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SAN値低めで御送りします
ブーン系空気作者の雑記&自作品まとめ かなりの頻度でクトゥルフも
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170: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:27:14 ID:zQ/5PdyA0

17.しょうがないめんどくさいころそうそうしよう


唐突に映像がフラッシュバックする時がある。
それの大体がトラウマで、経験で、教訓だ。

義務教育時代の俺には、まだ物心がなかった。学習と発達障害らしい。
始めてきちんと他人を”自分以外の思考する人間”だと認識したのは高校から。
それまでは、多分動くマネキンだとか喋る人形としか認識してなかった。

だから、小さい頃は気に入らない事、「弟に似てる」と何回もしつこく言われれば、
相手が老人や女の子だろうが全力で殴りにかかっていた。なんて野獣だ。滅されろ。


(。><)「わーん! あにじゃくんがなぐったー!」

(# _ゝ )「うっさい! おまえがわるいんだ!」

人の沸点なんてわからないんだ、相手がやめろと言ってる内にやめるべきなんだ。
自分が悪い事をしての説教ならまだ判る。間違いを正す為にしつこく言うのだ。

171: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:28:03 ID:zQ/5PdyA0
俺の気に入らない事は、誰もが悪意なんてなく最初は軽く口にする。

それは理解できる。



俺がやめろと言っても、二回目は笑いながら、もしくは同じ顔で繰り返す。

まだ我慢できる。



三回目、俺が怒鳴って、大半はやっと止める。

それでも笑いながらしつこく繰り返す輩には、何かが耐えられなかった。

172: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:28:44 ID:zQ/5PdyA0
他にも、人の一般常識ではやらない事をやらかしてしまった記憶。
周りが一歩引いて行く記憶。全員が俺に視線を向ける記憶がある。

それをやらない事は常識で、周りはそれが恥ずかしいものだとわかっていた。
だから誰も俺に言葉で教えてくれる人はいなかったし、俺も何がおかしいのかわからなく、
それとは違う別のもので怒ってしまったのだろうと思い、何も疑問には思わなかった。
共感能力0の俺は、自己中なんてものを通り越した存在になっていたのだ。

ただ、当時の俺の攻撃性は全て弟に突っ走り、弟も真正面から殴ってきていたので、
他人との接触でそれが目立つことがあまりなかった。ある意味よかったのである。


人とズレていると自分で自分を実感したのは、高校を卒業してから。

少しずつ常識を覚えていって、小さい頃の記憶に魘される夜があったりもした。
ただ、そのトラウマのお陰で色々なものにセーブをかけられるようになったのである。

173: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:29:35 ID:zQ/5PdyA0
それ以外のトラウマは、主に糞馬鹿野郎の女性関係に巻き込まれた事だ。

知らない女に刃物を向けられたり、
知らない男から殺害予告メールが届いたり。

知らない女からクリティカルな金的貰ったり、
知らない男が彼女を返せと泣きついたり。

知らない女が俺の部屋に不法侵入してたり、
知らない男に人違いで喧嘩売られたり。

知らない女たちに部屋から出た瞬間十数人で囲まれ集団で糾弾されたりした。


女性関係のトラウマは全てが弟関連だ。
お陰様で、結婚願望や幸せな家庭なんて夢は無くなった。
ずっと独り身でいい。自分の遺伝子を継ぐゴミなんていらない。

更にここで親父の浮気なんてものもあり、その覚悟は加速した。

ついでに親父の浮気相手はバツサンだった。
バツサンの中身は、小学生、中学生、大学生の男共。
おいおいクズの遺伝子溢れ返り過ぎだろ。
そりゃ弟や俺みたいなカスしか生まれねえよ。

174: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:30:24 ID:zQ/5PdyA0
何でも、頭の中のものを吐き出す日記を書けばいいと。
嫌な記憶や嫌な出来事、妄想、自分の沸点が判明した状況、
そんなものをまとめてぶちまける場所を作ればいいと言ってくれた。

その人はm○x○に日記を書いていると言う。
早速招待してもらう。垢乞食卒業。
もうVIPで捨てアド晒して招待を希う日々は終わりを告げた。
彼女に感謝。話を戻す。

参考として日記を読んでみたが、沸騰した怒りが伝わって来る内容だった。
このまま試しに何か書いてみてと言われたが、m○○iには母が登録している。
流石にそんな地雷原に踏みこんでいく程あたまがよわい子じゃない。


そこで俺は医者に持って行けるように、紙媒体で日記を書く事にした。

一度うっかりTRPG仲間に見られた時は、「SAN値がガリガリ削られた」
「フォールアウトのガイガーカウンターの幻聴がした」「この日記くれマジで」
なんてありがた過ぎるお言葉を頂いた名状しがたい日記である。

無くなったら色々と困るのだ。それはもう色々と困るのだ。

最近は一般には理解しにくい、弟以外の自分の沸点などを書き出しているので、
どんな状況で自分はそれを回避すべきか、流すべきか医者が教えてくれている。
以前はただの愚痴吐き出し日記だったが、今はただのそれではなくなっているのだ。

175: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:31:07 ID:zQ/5PdyA0
最近はその日記に吐き出して落ち着いているが、無くなったらもう、
どうなってしまうかわからない。どうにもならないかもしれない。
意外と普通に代えのノートを購入して元に戻るかもしれない。

   ね ん が ん の に っ き      を手に入れる為に、
 こ ろ し て で も う ば い と る !  選択肢をするかもしれない。










( ´_ゝ`)「だからいい加減それをこっちに返してくれ、そしたら何もしないぜ。
      俺はもう怒る気力とかないから、渡してくれたらそのまま不貞寝する」

(;<_; )「信じられるか! だったら手に持ったそのバールをなんとかしろよ!
      そんなモン持って追い駆け回しやがって! いい加減に諦めろよ!
      エクスカリバールなんて突っ込みできる余裕なんてねーよ! アホか!
      お前が攻撃してきたら俺はこの日記とやらを盾にするぞ! 破れるぞ!
      この日記なんか書きやがったお前のせいで今日は悪夢確定だわ!」

( ´_ゝ`)「なんだ……お前が説明を強要するから話してやったのに。
      久々に長々と話を聞いてくれたと思ったら全然じゃないか」

176: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:32:00 ID:zQ/5PdyA0
なんと言うか、数年ぶりにこいつの涙を見た気がする。
まさか下半身もやらかしてしまったのかと凝視するが、こう暗くては判らない。


( ´_ゝ`)「マジ泣きすんなよ、引くわー」

臭いを嗅いでみるが、アンモニア臭はしない。埃の臭いだけだ。けむい。


(;<_; )「おっ、おま゙っ、お前の゙にっぎのせいだよ!」

( ´_ゝ`)「面倒くさいわーもういいわ、泣き止んだら会話しろよ、聞き取り辛い」

弟の攻撃に備えてバールを構えていたので、肩が重くなってきた。
逆手に持ってトントンと肩を叩く。鉄製だからか、硬過ぎて痛い。

向こうが丸腰、こっちは武器あり、しかも誰も来ない屋根裏。
用意されたかのような絶好のチャンスだが、肝心の俺に殺る気がない。
まあ泣いてるのを見ると、糞ざまあwwwと暗い愉悦は少し浮かぶ。

少なくとも、弟を目の前にしてつらつらと下らない思考を並べられるだけ、
今の自分の精神は安定している。やっぱり日記のお陰か、取り返さねば。

177: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:32:59 ID:zQ/5PdyA0
( ´_ゝ`)「泣き止んだ? 鼻啜った? 涙拭いた? ションベン漏らすなよ?
      ゆっくり深呼吸したら、お前の持ってるその日記を俺に投げ渡せ」

( つ_>;)「できるかボケ! したら殴りかかって来るつもりだろ!
      せめてお前もそのバールを手放せ! 安心できねーよ!」

( ´_ゝ`)「うーん、じゃあ俺もこのバール投げるから、お前もその日記投げろよ」

(´<_`; )ミ「ホントだな? 嘘じゃないよな? いっせーの、せ! で行くぞ」

( ´_ゝ`)「ああうん投げる投げる。じゃあ、いっせーのー……


 ピタッ


”いや、待てよ。このバールは弟に向かって投げつけてもいいんじゃないか。
むしろチャンスなのでは。”そんな考えが頭に浮かんで体の動きが止まる。

相手の動きも止まる。お互いの手には日記とバールが握られたままだ。
薬を服用しても、攻撃的な思考の流れだけはせき止められないな。

178: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:33:41 ID:zQ/5PdyA0
(´<_`; )「今、何考えた? 俺を攻撃しようとしなかったか?」

( ´_ゝ`)「ほう、よくわかったな。少し邪念が流れたんだ、気にすんな」

(´<_`; )「正直だな! 気にするわ!」

( ´_ゝ`)「特に嘘を吐くような場面でもないだろ」

いや、それにしても、何か体がダルい。これは薬のせいだろうか。
そろそろ決着をつけないとこのまま寝る可能性がある。早くせねば。


( ´_ゝ`)「なあ、このバールさ。お前じゃなくどっか別の方向に投げるから。
      お前は俺に向かってその日記を投げてくれよ。優しく。」

(´<_`; )「やっぱり俺に向かって投げるつもりだったのか……まあいいよ」

交渉成立。しかしまた邪念が入る。

”このバールを後ろに投げて、日記を手に入れてからバールのところにダッシュすりゃよくね?
そうすりゃ俺が先にバールを手にしてフルボッコに出来て圧勝じゃね? マジ俺頭良くね?”

オイオイ、いい加減にしろ俺の脳みそ。どんだけ攻撃的なんだ。マジで。
薬のお陰で俺の一部冷静な思考が邪念を諌める。なんだか分裂した気分だ。

179: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:34:45 ID:zQ/5PdyA0
(´<_`; )「おい,なんでまた止まってるんだ。投げるぞ? いいんだよな?」

( ´_ゝ`)「あー……うんとさ、このバール投げる方向指定してくれ。
      指差した方向に向かって投げるから、どこでもいい」

(´<_`; )δ「なら、そっち」

(  ´_ゝ)「了解」

そして、日記は俺の方へ、バールは屋根裏の暗闇の中に消えていった。
ついでに、右の袖に入れていたブツも飛んで行く。やべえ忘れてた。
ハッピーエンド。めでたしめでたし? んなワケない。後で回収しよう。


( ´_ゝ`)「これ返してもらいたいだけだったのに、あんなガチ逃げしなくてもいいだろ。
      従姉妹の下着盗んだ下着泥棒を思い出すくらいの逃げっぷりだったわ」

(´<_`; )「あんな日記を読んでる途中、音もなく背後に仁王立ちってさあ!
      しかも真顔で追っかけて来て危機感ちょ~煽りやがって!
      屋根裏に逃げ込んで閉じこもって撒くまで待とうとか思ってたら、
      バールでこじ開けて登ってきやがったんだぞ! どうビビるなと!」

( ´_ゝ`)「おお……そうして聞いてみるとまるでホラーの主人公だな」

(´<_`# )「他人事だと思って!」

( ´_ゝ`)「他人事じゃん、それに俺、逃げられると追いたくなるし」

180: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:35:28 ID:zQ/5PdyA0
もし屋根裏が密閉空間だったら、登るところの真下でずっと待っていた。
そんな事を伝えると一歩後ずさる。登る手間と交渉の面倒臭さを説く。

そのついでに、逃げられると追いたくなる心理も説く。


(´<_` )「獣かテメェは、理解できねえ」

( ´_ゝ`)「期待してない」

ページをパラパラと捲って欠けがないか確認する。あまり内容は見ないように。
主に錯乱時に書いてるから、そりゃあもう色々と酷い。読んだら怒りのスイッチが入る。
今はこれをうっかり読んでも、不貞寝で怒りを抑えられるくらいには成長した。


(´<_` )「それにしてもヒデーなこの日記。主に俺の扱いが」

( ´_ゝ`)「お前が主に喧嘩を売ってくるからな」

弟のついでに、周囲の人間も一緒に綴っている。
笑われた日の復讐の仕方とか、殺害計画とか殺した後の事後処理とか、
事後処理がバレた場合の俺の人間関係と世間体の変化のシミュレートとか。

それらをこの日記に吐き出しているお陰で、実行に移した事はない。

181: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:36:17 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「つーか兄者、俺の事が好きなのか? 嫌いなのか?」

( ´_ゝ`)「は? 嫌いだよ」

硬直なんて間を置かず、考えるより先に口が答えを出した。
答えを発してから質問を頭の中で考えたが、やっぱり意味はわからない。
そんな答えがわかりきった質問をしてきた、弟の意図も。


( ´_ゝ`)「なんでそんな頓珍漢なことをほざく」

(´<_`; )「ほざくとか言うなや。てか、それに書いてあんじゃん。ちょっと貸せよ」

日記をぶん取る糞野郎。スイッチが入りかけたが、気合で抑える。
後でお前のお気に入りの靴にハムスターの糞を詰めてやる。


(´<_` )「ほらここだよ」
  _, 、_
( ´_ゝ`)「あぁん?」

182: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:38:19 ID:zQ/5PdyA0
指された箇所には、『ドキドキする』と書いてある。文の前後を繋げると、
『完全にスイッチが入った状態で弟者が目の前にいるとドキドキする、動悸が酷くなる』と。

勘違いされそうな文章、なのか? 確かにこれだけだと勘違いされそうではあるが、
その後には弟への恨み辛み殺害方法、そして自分に本気の恋愛対象が現れた場合の、
”速やかな排除の仕方”が綴られている。特に勘違いされそうな内容ではない。

( ´_ゝ`)「どこだよ」

(´<_`; )「いやそこであってるよ、今読んでるとこ」

( ´_ゝ`)「わかんねーよ」

(´<_`# )「あーもーだったら声に出して読んでみろよ!」

( ´_ゝ`)「『殺す殺す殺す殺す肘膝砕いて畜生のようにして

(´<_` )「悪かった、そっちじゃない」

( ´_ゝ`)「お前がおかしいと思う箇所をお前が教えろ、俺が書いたもんだ。
      自分では気付けない。指摘されない限り、俺は分からないから教えろ」

(´<_` )「真面目くさんなよ、まあ、ここだよ、ここ」

183: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:39:59 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「あまり深くは突っ込まないけど、ここにさあ、マジで好きな奴ができた時の
      殺し方が載ってあんじゃん? なんでそんな事するのかマジ意味不明だけど」

( ´_ゝ`)「そりゃあ恋愛対象が邪魔だからだ。俺の人生には必要ない。いらない。
      そこまでして欲しくて狂えるものなら、そうなる前に自分で壊す。排除する。
      不確定なものを欲しがって、愛なんてものを返してもらってほしくて、
      それに思考を割いて、そいつに尽くして人生棒に振るなんて無駄過ぎる。
      まあ発狂時に書いたものだからな。もし現れた場合。恋愛なんて知らんし」

知人にストーカーになって逮捕された奴がいるしな。ザ・反面教師。
ああまで女を追い求めるようになるくらいなら、いないほうがマシだ。
止めようと諌める周囲もその中心も、第三者から見たら滑稽でしかない。

それに、恋愛で人生終了とか笑い話にしかならない。
今の世界でロミオなんか演じたら、ストーカー法かセクハラで捕まる。


(´<_` )「クソ饒舌だな」

( ´_ゝ`)「へえ、お前そんな言葉知ってたんだ」

(´<_`# )「皮肉じゃないところが更に腹立つ」

┐( ´_ゝ`)┌「あっそう」

(´<_`; )「もー」

184: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:41:34 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「つーかそうじゃなくってな」

( ´_ゝ`)「なんだよ」

(´<_` )「この……俺の殺し方と、好きな奴の殺し方さあ、同じじゃん」

( ´_ゝ`)「ん?」

自分で読み返してみると、確かに同じ殺し方だった。
教室で、椅子で殴り殺す。シンプル。しんぷるいずべすと。
これは同じような状況での想定だったからこうなっただけだ。そのまま伝える。


(´<_` )「同じような状況でのソーテー……」

( ´_ゝ`)「ソテーじゃないぞ、ようはシミュレートとか将来設計だ」

(´<_` )「お前はどんな世紀末を生きる予定だよ」
     。
( ´_ゝ`)「北斗とか? スタルカーでもいいな、あ?」

185: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:42:24 ID:zQ/5PdyA0
薬が回ってきたのか、ふわふわする。少しずつ視界が狭くなる。
何が笑いの沸点に触れたのかわからないが、少し自分でおかしくなって笑う。

そろそろ寝たほうがいいかもしれない。睡魔が来る。抗えない奴が。
日記を取り戻す前に、錯乱状態になるまいと薬を飲んだのが仇になったか。

      。
( ´_ゝ`)゚「話はそれだけか? 俺は暗いしもう寝る」

(´<_`; )「寝んな! もう暗いがまだ5時だぞ!」

雪国の冬は日が短い。ついでに屋根裏なので寒い。やはり寝たい。
少しずつ後ろに、出口に下がって行く。開けっ放しだから落ちれば終わりだ。
下は押入れだから、布団がある。このままでもてきとうに寝れる。


( ´_ゝ`)「もう終わったんだろ? 寝るわ」

(´<_`; )「だからまだだっての!」

186: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:44:00 ID:zQ/5PdyA0     。
( ´_ゝ`)゚「へ? 他に何かあるのかよ。なら下で話せばいいじゃん」

(´<_` )「ここがいいんだよ」

( ´_ゝ`)「なんで」

肩を押されて強制的に目を合わせられた。
この糞野郎。人の嫌な事ばかりしやがって。

俺は人と目を合わすのが嫌いだ。
人の目が嫌いだ。
鏡に映った自分の目も嫌いだ。

長い時間は直視できない。
理由は眼球が気持ち悪いからだ。
白目も黒目もまとめてキモイ。
動物のは大丈夫なんだけどな。

小学生の頃に見たホラー漫画のせいだと、適当にあたりをつけている。

187: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:44:44 ID:zQ/5PdyA0
( ´_ゞ)「…………」

ここで逸らしたら野生動物よろしく負けなのか、いや負けでいい。眠い。
睡魔が強敵過ぎる。こんなところで寝たら凍死してしまう。俯いて目を擦る。


(´<_` )「俺さ、女癖悪いし盗癖あるし手癖悪いし金に汚いし」
     。
( ´_ゞ)゚「んな事知ってる、さっさと死ね……」

マジで眠い。肩に乗ってる手を振り払うが、今度は腕を掴まれる。


(´<_` )「独り立ちしてもあんたに金は集るし、割と迷惑かけるの好きだし。
      俺は死ぬまで一生アンタに色々な迷惑かけ続けると思うわ」

( ´_ゝ`)「マジかよ本当に死んでくれ」

スイッチが入りかかって一時的に目が覚める。睡魔め。
今度は日記に絶縁する妄想を書こう。実行用の日記に。

188: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:46:27 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「俺が勝手に死んだら兄者はどうすんの?」

( ´_ゝ`)「葬式は金がかかるからしない」

(´<_`; )「式は必ずだぞ」
     。
( ´_ゝ`)゚「役所に全部任せる。一文たりとも払わない。そして人生を謳歌する」

常日頃から思っている事だ。自分の手を下すのが一番だが、
知らない場所で勝手にのたれ死んでくれても構わない。

お前が死体になったら歓迎するよ。盛大にな。

(´<_` )「フーン。そうか、俺は兄者が死んだら俺も死ぬわ」
     。
(  ゙_ゞ)゚「はぁ?」

189: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:47:22 ID:zQ/5PdyA0
もう開けない目が、更に上から塞がれた。感触からして衣服。
しかも両腕でがっちりホールドの上に両足を踏まれた。億倍にして返す。
実行用に書く。絶対に書く。靴の内側に隙間なく画鋲を仕込んでやる。
新しいアクセなんてぶっ壊してやる。何がクロ○ハーツだ。氏ねじゃなく死ね。

そんな思いとは裏腹に、薬で力は入らない。


(´<_` )「どうせ俺の将来なんて知れてるしぃ、女前にすると止まらんし。
      あのさあ、嫌がらせはもうちょっと軽くするからさ、前みたいに

( ; _ゝ )

自分自身の心配しかできないクズな思考回路が警報を鳴らす。
もう駄目だ。凍死してもいい。それ以上は聞きたくない。

俺は睡魔と薬の効果を脳内で悪魔合体させて、ワンランク上の何かを作り出した。
後は自分の意識を頭の奥に押しやって、何かに落とさせて終了。

体が気絶しても、暴走してこいつに殴りかかっていっても知ったことか。

190: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:48:42 ID:zQ/5PdyA0
こいつが何を考えてるかなんて俺はわからんし、
こいつも俺が何を思ってるかなんて知らんだろう。

当たり前だ。ここは漫画でも小説でも映画でもないんだ。
テレパシストでもないし、人の頭の中なんて分かるワケない。
そういうのは創作でしかできない。フィクションの世界だ。

俺が解るのは、こいつは女を前にすると、
下半身でしか動けないと言う事実のみだ。


(´<_` )「あれ? おい兄者、聞いてる?」

人に気を使うのなんて面倒くさい。
人の顔色を窺うのも面倒くさい。

こいつは今こう思っているだろうから、こうしたほうがいいだろう、とか。
察しなければ、空気を読まなければ、雰囲気を感じなければ、とか。
言葉の裏を深読みして解くのだって、遊びでしかできやしない。

思いも考えも、言葉や行動に移さなきゃ相手に伝わらないのに。
態度や視線で察しろとばかりで、誰も直接教えてくれない。

191: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:49:38 ID:zQ/5PdyA0
実の母が目の前で泥酔して、失禁脱糞してる時だって心配すらできなかった。
誰も世話する人がいなかったから自分が全部処理したが、心は凪いでいた。
多分、糞親父が母に向かって暴言を吐いてたのが自分の客観性を押したんだろう。
   「
津波が来た時だって、友人の心配一つせず弟の死を望んでいた。
周りに転がる有象無象の死体なんてそれこそどうでもよかったし、
色々と優しくしてくれたバイク屋のおっさんが死んでも哀しくなかった。

下宿先の大家、近所の婆さん、よく会うバスの運転手、パチンカスの知り合い。
ブランド欲しさに風俗で稼ぐ女友達。口下手だけど料理を教えてくれた先輩。
誰が死んでも悲しくないけど、涙だけは長年の訓練で無理矢理ひねり出せる。

クズの自覚はあるし、碌でなしの証拠もある、救えない奴なのは判ってる。
実行していないだけで、精神判断だけでいけば弟を上回るクズなのも知ってる。


ポジティブに考えれば、他人の心配ができないってのは、
それだけ自分の心につける傷が少なくなるって事だ。
俺の思考回路は、俺の精神に対して優しくできている。

自分の日常生活に関係のない支障のない奴の死をヒーヒー哀しんだり、
好いていると思ってた奴が実は自分の事を嫌っていたと知って食欲無くしたり、
友人の母親の首吊り死体を見てその場で吐きまくったりしないでいい。
                                」
それで薄情だ、冷血だ、鬼だ、人でなしだ、畜生だと言われてもいい。
鈍くていい。無くていい。そういう余計なモノはいらない。

192: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:52:32 ID:zQ/5PdyA0
酷い日々を過ごしてきたから、そういうのが麻痺してるんだと言った人もいた。

じゃあ麻痺が直ったら、その後に俺はどうなるんだよ。
色々な記憶から良心の呵責が始まって、罪の意識に苛まれて、
それから弟に生まれてきてごめんなさいと自殺でもするんか?

いっそ安い不幸自慢大会でも開いたらいいのかねえ。




意識を無くす最後の足掻きなのか、脳みそは暴走しまくった。






17.糸冬


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