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195:名も無きAAのようです:2013/01/23(水) 23:59:14 ID:zQ/5PdyA0
18.得たものは宇宙人との交信方法
色々あったが、三日もすれば表層意識には大体昇って来なくなる。
イエス鳥頭。忘れっぽいのも前向きに、ポジティブに考えるぜ!
本当に嫌な記憶なら、フラッシュバック予備軍になるしな。
今日は平日なので我が母は仕事。俺はもう仕事を納めたので休み。
弟は母親が勘定したバイトに受かったかどうかの確認で家にいない。
ゴガガガガガガ
( ´_ゝ`)「ふんふっふ~ん」
俺は休日返上で絶賛雪掻き中。手押し除雪機の力は偉大だ。
たまに砂利を巻き込んだ散岩攻撃が出るのは仕方ないとしても、
雪掻きスコップやママさんダンプを使うよりは効率が良い。
前の家も今の家も、田舎なので庭だけは無駄にある。範囲が広い。
人力でちまちまやっていては、日が暮れても終わらない。
自力で金をはたいて買った除雪機は、久々のいい買い物だ。
196:名も無きAAのようです:2013/01/23(水) 23:59:58 ID:zQ/5PdyA0
ただまあ、ずっと雪を飛ばしているだけだと耳が暇だ。
漫画や小説を読んだりしているわけじゃないから、頭が暇だ。
今日の夕食どころか明日の食事まで決まっているから食は考えようがない。
弟に対しては、もう部屋にトラップを仕込み済みなのでやる事がない。
……先週色々とあったから、それ関連の思考は今は控えているのもある。
( ´_ゝ`)「うーん、しかし耳が暇だ。音が欲しい。音楽が欲しい」
耳から入って来る音は、除雪機のエンジン音が9割を占める。
単調な騒音じゃなく曲が欲しいな。
流行りの歌でもいい。
自分の独り言だけだとつまらん。
それさえもエンジンに掻き消される。
たまに竹竿屋や廃品回収のスピーカーが聞こえるが、そういうのはいらない。
糞業者はNGです。あいつら毟っても毟っても生えてくる毒草みたいだよな。
一体何人が騙されたんだろ。最近、祖母も金を騙し取られてたし。
197:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:00:38 ID:cXBc1ujc0
話が逸れた。耳が淋しいんだった。
( ´_ゝ`)「いくつかDLしてもらってたな」
携帯を取り出しサウンドフォルダを開く。内藤が悪意の下に違法DLしてくれたものだ。
選曲が闇しか見えてこない。たまにある恋愛ソングは嫌がらせの一種だろう。
モー○、大○愛、A○B○8。AK○48って、結局似た名前の銃と同じ意味なんだろうか。
( ´_ゝ`)「あ、そういや途中で一時停止した曲があるんだっけ」
音楽や動画を再生中に停止すると、電源が切れない限り、
ずっとその停止した状態を維持し続ける我が愛しの携帯君。
破壊したり水没したり、代替わりが激しいので一般的な機能なのかわからない。
買った次の日に、弟のセフレ()に逆パカされちゃった携帯もいるしな。
腹が立ったからそいつと弟の携帯を川に投げ込んでやったがあの時は…
おっといかんいかん。さっきからどうもズレる。
198:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:01:20 ID:cXBc1ujc0
充電口のところにイヤホン接続端子を挿して、それからイヤホンをぶっ挿す。
ウォークマンもiPodも持ってない自分は、未だに携帯とイヤホンを使っている。
いやだって、音楽聞く為だけにそれ専用の機械買う必要とかなくない?
携帯で代用出来るんならそれでいいと思うが、それは少数派なのか。
( ´_ゝ`)「ま、いいや」
途中で一時停止されていたものを、初めから再生。
小説や漫画はともかく、映像や音楽を途中から聞くのはなんか嫌だ。
( ´_ゝ`)「ふんふっふ~ん」
地吹雪の舞う庭。誰もいないし鼻歌じゃなく直接歌うか。
そう言えば、こっちには地吹雪体験とかあるらしいな。結構賑わってるとか。
わざわざ南のほうから北まで来て、そんなモン体験するとか、アホかと。
もうね、凍って凍れて死ねと笑顔で言いたくなるよ。俺と住む場所交換しろ。
199:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:02:02 ID:cXBc1ujc0
マイナス方向に思考が逸れる。早く歌を聞かなければ。
ピッ ズンドド ドドンドン ~♪
『月がかけていくヘンテコな、よーる』
『ゴムの木のカゲで、目を光らせーて』
『ノドをふくらませて』
『甘いものを食べている』
( ´_ゝ`)「……甘いものを食べていーる」
『私の大切なカメラ今夜』
『君の夢に、誘ってーよ』
『病院の屋根のー上から出発するんだ~ね』
『月面にテーブルを出して』
『楽しい夜の食事』
『ケモノのようなステキな君の食欲』
『夢から帰れーなくなってーも、知らないよ』
200:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:03:02 ID:cXBc1ujc0
相変わらず、意識して聞いても分からない歌詞だ。
決まった意味なんてない個人的解釈を勧めてる歌かもしれない。
俺としては頭のおかしい人の歌と単純に考えている。
それ以外に何かあるなら、どうぞどっかの議論スレへ。
俺は後半のリズムが好きなので、前半は聞き流す。
『星と星のスキマの暗闇へと』 ~♪
『手を伸ばしているんだーね』
『消えてしまうつもりなんだね』
『消えてしまうその行く先でそっと、歳をとっていくんだね』
『月がかけていくヘンテコな、よーる』
( ´_ゝ`)「…………………、よーる」
『ゴムの木のカゲで、目を光らせて』
( ´_ゝ`)「………で、目を光らせて」
『ノドをふくらませて』
( ´_ゝ`)「らませて」
201:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:03:51 ID:cXBc1ujc0
『甘いものを喰べている』 ~♪ ズドドドd>
( ´_ゝ`)「甘いものを喰べていーる」『私の大切なカメラあぁあぁー』
( ´_ゝ`)「土星にビールを冷やしておいて火星で肉をゆでてー」
( ´_ゝ`)ノ「この夜が死ぬ前にゼラチンのデザート」
(*´_ゝ`)ノシ「ねー見て☆※△がやーぶけちゃったよはははーはははぁ」
( ´_ゝ`)「私の大切なカメラ、どこへ、行ってしまったの?」
( ´_ゝ`)シ「おー願いだよ帰ってきてー」『あっ、帰ってきた』
ヽ(*´_ゝ`)「ああずみのーよたのせゆくぜるぶにひ!」
ヾ(*´_ゝ`)「んぜんざぷらずめみゅんげばーときそ!」
(*´_ゝ`)ノ「いぞんげやーいんぎょ!」
202:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:04:33 ID:cXBc1ujc0
~♪ ゴガガガガガg>
203:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:05:21 ID:cXBc1ujc0
(´<_`; )「く、狂った?」
( ´_ゝ)「ねーよ」
ぐぬぬ、接近に気付かなかったとは。不覚。
服装からしてバイト帰りか。灰色のスーツはいいとして、
その下のシャツがピンクなのは目を瞑ってやるべきか。
そして、行く時よりもアクセサリーが増えてるのは何事だ。
昼食とタクシー代として持たせてやったのにこの糞野郎が。
つーか、あれ? 手元に除雪機がない。どこいった。
(´<_` )σ「除雪機だったら、さっきから向こん杉とば削ってんぜ」
( ´_ゝ`)「わいは」
いつの間にか、除雪音が破砕音に変わっている。
音源は、太い杉の木に熱いベーゼをかます除雪機君。
どう見ても幹を抉っています本当にありがとうございました。
<(;´_ゝ`)>「やってまった……!」
一応、我が母の味方とは言え父方の親戚から借りた家だ。
これは不味い。除雪機まで走って急いでエンジンを切る。
204:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:06:32 ID:cXBc1ujc0
除雪機をどかして傷を確認すると、それほど抉れてはいない。
表皮が剥げたくらいだ。人の怪我に例えるならば、酷い擦り傷。
人。ヒトか。
除雪機が道路までアウェイして、人体をもみじおろしにしたり、
ストロベリージャムやトマトジュースを撒き散らさなかっただけいいか。
毎年とは言わないが、2年に一度くらいは誰かがゴリッと喰われてるからな。
(´<_` ) ))「何しちゅーんずマジで」
( ´_ゝ)「雪とば掻いでだら……」
( ´_ゝ`) (´<_` )
(#´_ゝ`)「訛んな!」
(´<_` )「今更ー、気にすんなよ地元で」
そういう問題じゃない。除雪機さんこいつ喰って下さい。
205:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:07:13 ID:cXBc1ujc0
(#´_ゝ`)「俺がたげ、どんだ……どれだけ頑張っててぎん……
面倒な方言とば……方言を……しかへで……」
(´<_` )「あーうんうん」
(;´_ゝ`)「人に、人に……教えて……ふとず……じゃなくて」
゙(´<_` ) ピッピッ(携帯操作音)
(; _ゝ )「同じ、言葉と……を、は、なせるように、なった、と」
(´<_` )「あーうん頑張った頑張った、撫でなでしてやろうか?」
(# _ゝ )「」
腹立つが、おろし立てのスーツを破くわけにはいかない。
( ´_ゝ`)「そったらだものいらねーはんでけぇろ」
(´<_` )「訛り直す諦めが早いな……宇宙人と交信した影響か?」
( ´_ゝ`)「は?」
ρ(´<_`; )「なんだよこのミステリーサークル」
( ´_ゝ`)「へ?」
206:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:08:47 ID:cXBc1ujc0
幾何学模様とも言い張れない、複雑な軌跡が庭一面に広がる。
今日は星辰が揃うので向こうと交信を試みました、という言い訳が通じそうだ。
怪しい宗教に属するようなヤバい人限定でしか効かないが。
(;´_ゝ`)「わお」
(´<_` )「何してこうなったんだよ、俺の面接失敗でも祈ってたのか?」
( ´_ゝ`)「んな事したら家に金が入らなくなるだろーが。
ただ単に歌聞いてたらテンション上がっただけだよ」
(´<_` )「そうだったのか……面白そうだから録画しときたかったな」
( ´_ゝ`)「さしねえ死ね」
(´<_` )「代わりに俺の動画取らせてやるよ、ネットに晒すのはなしな」
(#´_ゝ`)「だったらいらねっつの!」
最近、こいつの女性関係も一時的とは言え落ち着いてきたので、
我が母からの通達もあり、殴る蹴る夜襲をかける等の暴力は控えていた。
207:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:10:13 ID:cXBc1ujc0
悪い行いをやめたからといって、迷惑を被った方はすぐには納得できない。
いじめと同じだ。やめたからと言って、そいつにすぐ好感情を抱くわけない。
つまるところ、こいつが友好的(?)な態度を見せても殴り飛ばしたいのだ。
友好的と言うより、前よりも絡んでくるようになっただけだが。
(´<_` )「なんだよもー」
( ´_ゝ`)「こっちの台詞だよ」
例えば、貯金箱や財布の中の有り金どころか通帳さえパクった相手が、
「俺達ゼロからやり直そうぜ!」と言いながら借金をチャラにしようとしてくる。
その相手は殺したい程に憎い奴だ。
他の人はそれでも許せるだろうか。
歯磨き粉や歯ブラシのCMのように、笑顔で白い歯をキラめかせて、
爽やかにサムズアップしても許せるか? 俺なら顔面を殴りに行く。
友人、内藤もこんな弟がいたら金玉を捻り潰すと言っていた。
あの行いを許せる奴がいたら、そいつは聖人か白痴なんだろう。
211:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:57:40 ID:cXBc1ujc0
(´<_`* )「そうだ! 給料前借りで貰ったんだぜ!」
( ´_ゝ`)「それ、お前が逃げたらきつい仕置きでもする時の
理由にする為に渡したとかじゃねーの?」
(´<_` )「なんでもいいや、飯奢るぜ」
( ´_ゝ`)「明日は雪の重みで家が潰れそうだな」
(´<_` )「俺のバイト先の近くにある作業小屋も潰れてて、
仕事に行ってもしばらくは片付けが仕事だってさ」
( ´_ゝ`)「力仕事か」
バイト先はじーさんばーさんばかりだし、力仕事なら女性もいないだろう。
こいつの下半身に直結している脳みそが暴走する危険も低い。
212:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:58:20 ID:cXBc1ujc0
(´<_` )「ガ○トに行こうぜ」
( ´_ゝ`)「そんなシャツ着てる奴と一緒に外出したくないわ」
(´<_` )「どこがおかしいってんだよ」
( ´_ゝ`)σ「せめてそのピンクのシャツ脱げや」
(´<_` )「ピンク? ……白だと思ってた」
( ´_ゝ`)「は?」
(´<_` )「まーいーや、着替えたら出掛けるんだよな」
( ´_ゝ`)「いやどっちにしろ行かねーよ、雪掻き終わってねーし」
(´<_` )「後にすりゃいいだろ」
( ´_ゝ`)「後からなら手伝ってくれんの?」
(´<_` )「いいや?」
( ´_ゝ`)「凍え死ね」
213:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:59:17 ID:cXBc1ujc0
(´<_` )「いいじゃねーか、タダ飯なんだから釣られても」
( ´_ゝ`)「お前に渡した昼食代とタクシー代は俺の金なんスけど?」
(´<_`* )「あ、そーだ! セカ○ドスト○ートで結構イケてんの見つけたから、
こんなん買ってみたんだけど! 兄者にもやるよ!」
じゃらっとネックレスやらピアスやらアンクレットetc.を取り出す愚弟。
氷点下の気温と同調して、俺のテンションも下がって行く。
( ´_ゝ`)「……それ誰の金だ」
(´<_` )「お前の、だからお前の分も買ったしこれで
除雪機君を弟の方へ向けて、エンジンをかける。
いつまでも品名呼びだと味気ないから名前をつけよう。みち子。
(´<_`; )「っちょ!?」
( ´_ゝ`)「お前さー足なんかあるから、下半身あるから余計な事すんだよ。
いっそ無くして障害年金貰えるようになったほうがいいだろ」
(´<_`; )「金は欲しいけど車椅子にはなりたくねーよ!」
215:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:03:55 ID:cXBc1ujc0
弟のほうへ突進しようとするが、律儀に足元の雪を除雪するみち子。
杉の木の周りはハムスターの墓もあるし、後回しにしてたからな。
仕方がないので持ち上げて振り回そうとするが、回転刃が爪先を削る。
靴下がギザギザの部分に引っ掛かって、そのまま巻き取られた。
(;´_ゝ`)「あっぶねぇ死ぬ!」
(´<_` )「見てて面白いけどもうやめろよ」
仕方がないので、みち子のエンジンを切って両手で持ち上げる。
その体勢で、弟に向かってオーバースロー。肩がイカれそう。
当たらなくても、着地点は雪が深いのでみち子は大丈夫だ。
(゚<_゚ ; )「あっぶねぇ死ぬ!」
( ´_ゝ`)「避け方面白かったけど避けるなよ」
216:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:09:23 ID:cXBc1ujc0
腰まである雪に、ズブズブと自重で沈むみち子。
それを尻目にキレる弟。掘り出すのが苦労しそうだ。
(´<_`# )「ふざけんな死ね! 俺の良心を踏み躙りやがって!」
もうスーツの事などお互いの頭の中にはない。
( ´_ゝ`)「悪意でなかったとしても、厚かましさしか感じねーよ」
喧嘩の構えを取ろうと踏ん張ったら、左足が滑った。
具体的にはみち子に靴下をむしゃられた方の足が。
(;´_ゝ゚)「うぇっ!?」
(´<_` )「よっしゃ!」
片膝をついた体勢で碌な抵抗ができるはずもなく、
突進を受け止めて積もった雪の上に押し倒される。
押し返そうにも柔らかい雪のせいで体が沈む。これはやばい。
217:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:15:46 ID:cXBc1ujc0
(´<_`; )「うわ俺まで沈む! この辺ヤバ!」
(#´_ゝ`)「ならどけカス!」
(´<_` )「誰がどくかよ。やる気なくすまで抑え込んでやる」
いやいやいや窒息する。
その前に凍れる。
凍傷になる。
マウントされたせいで上半身は腹筋で起こせないくらい沈んだ。
両足は踏ん張ろうにも雪に沈むだけだ。殴ろうにも腕を抑えられている。
せめて顔がもうちょっと近けりゃ顎に頭突きかましてやるのに。
(# _ゝ )「ふんぐぐぐぐぐ……」
(´<_`# )「こっの馬鹿力が……」
力任せにしても状況は変わらない。全体重をかけて押さえ込んで来る。
重力が味方してる分、どうやったって相手が有利だ。
220:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:25:20 ID:cXBc1ujc0
腕に力を入れつつ考える。
周りの雪のお陰で思考はそこまで暴走してない。
雪に沈んでるとはいえ、ここまで体が沈むくらいの雪だ。
今日振り立てのものだから、そこまで固くはない。
雪の中でもそれなりに動かせるんじゃないか?
体力が切れる前に実行あるのみ。
弟と対抗する為に腕に込めてる力の向きを、地面へ変える。
(´<_`; )「うぉっとお!?」
(#´_ゝ`)「っしゃ!」
腕は簡単に雪の中に沈んだ。
抑えつけられている腕の力が緩む。
221:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:32:51 ID:cXBc1ujc0
その隙に両腕を上に引き抜く。
わかりやすく言うとバンザイの体勢。
(´<_`; )「げ」
(#´_ゝ`)「死ね」
バランスを崩して前に倒れる弟の頭を両手で抱え込み、全力で頭突く。
重力と俺が両手で引き寄せる力も加算されているのでかなりの威力だ。
下手にパンチするよりも頭突きのほうがダメージが大きい。
なんてったって固いからな。自爆する可能性も低くはないが。
悶絶する弟を横に蹴り飛ばして、雪藪から脱出する。
背中側から大分、雪が服の中に入った。寒い。冷たい。
222:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:40:42 ID:cXBc1ujc0
( <_ #;)「くっそ……この石頭」
( ´_ゝ`)「うっせぇ」
流石に喧嘩慣れしてるだけあって立ち上がるのが早い。
そのまま固い雪の上で互いに滑りつつ殴り合った。
傍から見れば、気温も相俟ってただの寒いコントだろう。
マウントを取り合い、尖ったつららで切り合い、氷玉を投げ合い、
アホみたいに殴り合って二人で門先まで転がっていったところ。
ブォォォオン.......バキュボキョ ズザザザザ
(゚<_゚ ; )「ふぎょお!」
(;´_ゝ`)「いだだだだ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃあああああちょっとアンタ達!」
帰宅した我が母のマイカーに轢かれた。
223:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:43:29 ID:cXBc1ujc0
その後、人生で初めて救急車を呼んだ。
痛みに悶える弟と錯乱する母が使い物にならなかったのだ。
……あんな場所で喧嘩していた俺達が全面的に悪いのは判る。
車に乗ってると死角になるのは、全快した後に教えてもらった。
入院後の話は、また次回。
18.糸冬
18.得たものは宇宙人との交信方法
色々あったが、三日もすれば表層意識には大体昇って来なくなる。
イエス鳥頭。忘れっぽいのも前向きに、ポジティブに考えるぜ!
本当に嫌な記憶なら、フラッシュバック予備軍になるしな。
今日は平日なので我が母は仕事。俺はもう仕事を納めたので休み。
弟は母親が勘定したバイトに受かったかどうかの確認で家にいない。
ゴガガガガガガ
( ´_ゝ`)「ふんふっふ~ん」
俺は休日返上で絶賛雪掻き中。手押し除雪機の力は偉大だ。
たまに砂利を巻き込んだ散岩攻撃が出るのは仕方ないとしても、
雪掻きスコップやママさんダンプを使うよりは効率が良い。
前の家も今の家も、田舎なので庭だけは無駄にある。範囲が広い。
人力でちまちまやっていては、日が暮れても終わらない。
自力で金をはたいて買った除雪機は、久々のいい買い物だ。
196:名も無きAAのようです:2013/01/23(水) 23:59:58 ID:zQ/5PdyA0
ただまあ、ずっと雪を飛ばしているだけだと耳が暇だ。
漫画や小説を読んだりしているわけじゃないから、頭が暇だ。
今日の夕食どころか明日の食事まで決まっているから食は考えようがない。
弟に対しては、もう部屋にトラップを仕込み済みなのでやる事がない。
……先週色々とあったから、それ関連の思考は今は控えているのもある。
( ´_ゝ`)「うーん、しかし耳が暇だ。音が欲しい。音楽が欲しい」
耳から入って来る音は、除雪機のエンジン音が9割を占める。
単調な騒音じゃなく曲が欲しいな。
流行りの歌でもいい。
自分の独り言だけだとつまらん。
それさえもエンジンに掻き消される。
たまに竹竿屋や廃品回収のスピーカーが聞こえるが、そういうのはいらない。
糞業者はNGです。あいつら毟っても毟っても生えてくる毒草みたいだよな。
一体何人が騙されたんだろ。最近、祖母も金を騙し取られてたし。
197:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:00:38 ID:cXBc1ujc0
話が逸れた。耳が淋しいんだった。
( ´_ゝ`)「いくつかDLしてもらってたな」
携帯を取り出しサウンドフォルダを開く。内藤が悪意の下に違法DLしてくれたものだ。
選曲が闇しか見えてこない。たまにある恋愛ソングは嫌がらせの一種だろう。
モー○、大○愛、A○B○8。AK○48って、結局似た名前の銃と同じ意味なんだろうか。
( ´_ゝ`)「あ、そういや途中で一時停止した曲があるんだっけ」
音楽や動画を再生中に停止すると、電源が切れない限り、
ずっとその停止した状態を維持し続ける我が愛しの携帯君。
破壊したり水没したり、代替わりが激しいので一般的な機能なのかわからない。
買った次の日に、弟のセフレ()に逆パカされちゃった携帯もいるしな。
腹が立ったからそいつと弟の携帯を川に投げ込んでやったがあの時は…
おっといかんいかん。さっきからどうもズレる。
198:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:01:20 ID:cXBc1ujc0
充電口のところにイヤホン接続端子を挿して、それからイヤホンをぶっ挿す。
ウォークマンもiPodも持ってない自分は、未だに携帯とイヤホンを使っている。
いやだって、音楽聞く為だけにそれ専用の機械買う必要とかなくない?
携帯で代用出来るんならそれでいいと思うが、それは少数派なのか。
( ´_ゝ`)「ま、いいや」
途中で一時停止されていたものを、初めから再生。
小説や漫画はともかく、映像や音楽を途中から聞くのはなんか嫌だ。
( ´_ゝ`)「ふんふっふ~ん」
地吹雪の舞う庭。誰もいないし鼻歌じゃなく直接歌うか。
そう言えば、こっちには地吹雪体験とかあるらしいな。結構賑わってるとか。
わざわざ南のほうから北まで来て、そんなモン体験するとか、アホかと。
もうね、凍って凍れて死ねと笑顔で言いたくなるよ。俺と住む場所交換しろ。
199:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:02:02 ID:cXBc1ujc0
マイナス方向に思考が逸れる。早く歌を聞かなければ。
ピッ ズンドド ドドンドン ~♪
『月がかけていくヘンテコな、よーる』
『ゴムの木のカゲで、目を光らせーて』
『ノドをふくらませて』
『甘いものを食べている』
( ´_ゝ`)「……甘いものを食べていーる」
『私の大切なカメラ今夜』
『君の夢に、誘ってーよ』
『病院の屋根のー上から出発するんだ~ね』
『月面にテーブルを出して』
『楽しい夜の食事』
『ケモノのようなステキな君の食欲』
『夢から帰れーなくなってーも、知らないよ』
200:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:03:02 ID:cXBc1ujc0
相変わらず、意識して聞いても分からない歌詞だ。
決まった意味なんてない個人的解釈を勧めてる歌かもしれない。
俺としては頭のおかしい人の歌と単純に考えている。
それ以外に何かあるなら、どうぞどっかの議論スレへ。
俺は後半のリズムが好きなので、前半は聞き流す。
『星と星のスキマの暗闇へと』 ~♪
『手を伸ばしているんだーね』
『消えてしまうつもりなんだね』
『消えてしまうその行く先でそっと、歳をとっていくんだね』
『月がかけていくヘンテコな、よーる』
( ´_ゝ`)「…………………、よーる」
『ゴムの木のカゲで、目を光らせて』
( ´_ゝ`)「………で、目を光らせて」
『ノドをふくらませて』
( ´_ゝ`)「らませて」
201:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:03:51 ID:cXBc1ujc0
『甘いものを喰べている』 ~♪ ズドドドd>
( ´_ゝ`)「甘いものを喰べていーる」『私の大切なカメラあぁあぁー』
( ´_ゝ`)「土星にビールを冷やしておいて火星で肉をゆでてー」
( ´_ゝ`)ノ「この夜が死ぬ前にゼラチンのデザート」
(*´_ゝ`)ノシ「ねー見て☆※△がやーぶけちゃったよはははーはははぁ」
( ´_ゝ`)「私の大切なカメラ、どこへ、行ってしまったの?」
( ´_ゝ`)シ「おー願いだよ帰ってきてー」『あっ、帰ってきた』
ヽ(*´_ゝ`)「ああずみのーよたのせゆくぜるぶにひ!」
ヾ(*´_ゝ`)「んぜんざぷらずめみゅんげばーときそ!」
(*´_ゝ`)ノ「いぞんげやーいんぎょ!」
202:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:04:33 ID:cXBc1ujc0
~♪ ゴガガガガガg>
203:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:05:21 ID:cXBc1ujc0
(´<_`; )「く、狂った?」
( ´_ゝ)「ねーよ」
ぐぬぬ、接近に気付かなかったとは。不覚。
服装からしてバイト帰りか。灰色のスーツはいいとして、
その下のシャツがピンクなのは目を瞑ってやるべきか。
そして、行く時よりもアクセサリーが増えてるのは何事だ。
昼食とタクシー代として持たせてやったのにこの糞野郎が。
つーか、あれ? 手元に除雪機がない。どこいった。
(´<_` )σ「除雪機だったら、さっきから向こん杉とば削ってんぜ」
( ´_ゝ`)「わいは」
いつの間にか、除雪音が破砕音に変わっている。
音源は、太い杉の木に熱いベーゼをかます除雪機君。
どう見ても幹を抉っています本当にありがとうございました。
<(;´_ゝ`)>「やってまった……!」
一応、我が母の味方とは言え父方の親戚から借りた家だ。
これは不味い。除雪機まで走って急いでエンジンを切る。
204:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:06:32 ID:cXBc1ujc0
除雪機をどかして傷を確認すると、それほど抉れてはいない。
表皮が剥げたくらいだ。人の怪我に例えるならば、酷い擦り傷。
人。ヒトか。
除雪機が道路までアウェイして、人体をもみじおろしにしたり、
ストロベリージャムやトマトジュースを撒き散らさなかっただけいいか。
毎年とは言わないが、2年に一度くらいは誰かがゴリッと喰われてるからな。
(´<_` ) ))「何しちゅーんずマジで」
( ´_ゝ)「雪とば掻いでだら……」
( ´_ゝ`) (´<_` )
(#´_ゝ`)「訛んな!」
(´<_` )「今更ー、気にすんなよ地元で」
そういう問題じゃない。除雪機さんこいつ喰って下さい。
205:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:07:13 ID:cXBc1ujc0
(#´_ゝ`)「俺がたげ、どんだ……どれだけ頑張っててぎん……
面倒な方言とば……方言を……しかへで……」
(´<_` )「あーうんうん」
(;´_ゝ`)「人に、人に……教えて……ふとず……じゃなくて」
゙(´<_` ) ピッピッ(携帯操作音)
(; _ゝ )「同じ、言葉と……を、は、なせるように、なった、と」
(´<_` )「あーうん頑張った頑張った、撫でなでしてやろうか?」
(# _ゝ )「」
腹立つが、おろし立てのスーツを破くわけにはいかない。
( ´_ゝ`)「そったらだものいらねーはんでけぇろ」
(´<_` )「訛り直す諦めが早いな……宇宙人と交信した影響か?」
( ´_ゝ`)「は?」
ρ(´<_`; )「なんだよこのミステリーサークル」
( ´_ゝ`)「へ?」
206:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:08:47 ID:cXBc1ujc0
幾何学模様とも言い張れない、複雑な軌跡が庭一面に広がる。
今日は星辰が揃うので向こうと交信を試みました、という言い訳が通じそうだ。
怪しい宗教に属するようなヤバい人限定でしか効かないが。
(;´_ゝ`)「わお」
(´<_` )「何してこうなったんだよ、俺の面接失敗でも祈ってたのか?」
( ´_ゝ`)「んな事したら家に金が入らなくなるだろーが。
ただ単に歌聞いてたらテンション上がっただけだよ」
(´<_` )「そうだったのか……面白そうだから録画しときたかったな」
( ´_ゝ`)「さしねえ死ね」
(´<_` )「代わりに俺の動画取らせてやるよ、ネットに晒すのはなしな」
(#´_ゝ`)「だったらいらねっつの!」
最近、こいつの女性関係も一時的とは言え落ち着いてきたので、
我が母からの通達もあり、殴る蹴る夜襲をかける等の暴力は控えていた。
207:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:10:13 ID:cXBc1ujc0
悪い行いをやめたからといって、迷惑を被った方はすぐには納得できない。
いじめと同じだ。やめたからと言って、そいつにすぐ好感情を抱くわけない。
つまるところ、こいつが友好的(?)な態度を見せても殴り飛ばしたいのだ。
友好的と言うより、前よりも絡んでくるようになっただけだが。
(´<_` )「なんだよもー」
( ´_ゝ`)「こっちの台詞だよ」
例えば、貯金箱や財布の中の有り金どころか通帳さえパクった相手が、
「俺達ゼロからやり直そうぜ!」と言いながら借金をチャラにしようとしてくる。
その相手は殺したい程に憎い奴だ。
他の人はそれでも許せるだろうか。
歯磨き粉や歯ブラシのCMのように、笑顔で白い歯をキラめかせて、
爽やかにサムズアップしても許せるか? 俺なら顔面を殴りに行く。
友人、内藤もこんな弟がいたら金玉を捻り潰すと言っていた。
あの行いを許せる奴がいたら、そいつは聖人か白痴なんだろう。
211:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:57:40 ID:cXBc1ujc0
(´<_`* )「そうだ! 給料前借りで貰ったんだぜ!」
( ´_ゝ`)「それ、お前が逃げたらきつい仕置きでもする時の
理由にする為に渡したとかじゃねーの?」
(´<_` )「なんでもいいや、飯奢るぜ」
( ´_ゝ`)「明日は雪の重みで家が潰れそうだな」
(´<_` )「俺のバイト先の近くにある作業小屋も潰れてて、
仕事に行ってもしばらくは片付けが仕事だってさ」
( ´_ゝ`)「力仕事か」
バイト先はじーさんばーさんばかりだし、力仕事なら女性もいないだろう。
こいつの下半身に直結している脳みそが暴走する危険も低い。
212:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:58:20 ID:cXBc1ujc0
(´<_` )「ガ○トに行こうぜ」
( ´_ゝ`)「そんなシャツ着てる奴と一緒に外出したくないわ」
(´<_` )「どこがおかしいってんだよ」
( ´_ゝ`)σ「せめてそのピンクのシャツ脱げや」
(´<_` )「ピンク? ……白だと思ってた」
( ´_ゝ`)「は?」
(´<_` )「まーいーや、着替えたら出掛けるんだよな」
( ´_ゝ`)「いやどっちにしろ行かねーよ、雪掻き終わってねーし」
(´<_` )「後にすりゃいいだろ」
( ´_ゝ`)「後からなら手伝ってくれんの?」
(´<_` )「いいや?」
( ´_ゝ`)「凍え死ね」
213:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:59:17 ID:cXBc1ujc0
(´<_` )「いいじゃねーか、タダ飯なんだから釣られても」
( ´_ゝ`)「お前に渡した昼食代とタクシー代は俺の金なんスけど?」
(´<_`* )「あ、そーだ! セカ○ドスト○ートで結構イケてんの見つけたから、
こんなん買ってみたんだけど! 兄者にもやるよ!」
じゃらっとネックレスやらピアスやらアンクレットetc.を取り出す愚弟。
氷点下の気温と同調して、俺のテンションも下がって行く。
( ´_ゝ`)「……それ誰の金だ」
(´<_` )「お前の、だからお前の分も買ったしこれで
除雪機君を弟の方へ向けて、エンジンをかける。
いつまでも品名呼びだと味気ないから名前をつけよう。みち子。
(´<_`; )「っちょ!?」
( ´_ゝ`)「お前さー足なんかあるから、下半身あるから余計な事すんだよ。
いっそ無くして障害年金貰えるようになったほうがいいだろ」
(´<_`; )「金は欲しいけど車椅子にはなりたくねーよ!」
215:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:03:55 ID:cXBc1ujc0
弟のほうへ突進しようとするが、律儀に足元の雪を除雪するみち子。
杉の木の周りはハムスターの墓もあるし、後回しにしてたからな。
仕方がないので持ち上げて振り回そうとするが、回転刃が爪先を削る。
靴下がギザギザの部分に引っ掛かって、そのまま巻き取られた。
(;´_ゝ`)「あっぶねぇ死ぬ!」
(´<_` )「見てて面白いけどもうやめろよ」
仕方がないので、みち子のエンジンを切って両手で持ち上げる。
その体勢で、弟に向かってオーバースロー。肩がイカれそう。
当たらなくても、着地点は雪が深いのでみち子は大丈夫だ。
(゚<_゚ ; )「あっぶねぇ死ぬ!」
( ´_ゝ`)「避け方面白かったけど避けるなよ」
216:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:09:23 ID:cXBc1ujc0
腰まである雪に、ズブズブと自重で沈むみち子。
それを尻目にキレる弟。掘り出すのが苦労しそうだ。
(´<_`# )「ふざけんな死ね! 俺の良心を踏み躙りやがって!」
もうスーツの事などお互いの頭の中にはない。
( ´_ゝ`)「悪意でなかったとしても、厚かましさしか感じねーよ」
喧嘩の構えを取ろうと踏ん張ったら、左足が滑った。
具体的にはみち子に靴下をむしゃられた方の足が。
(;´_ゝ゚)「うぇっ!?」
(´<_` )「よっしゃ!」
片膝をついた体勢で碌な抵抗ができるはずもなく、
突進を受け止めて積もった雪の上に押し倒される。
押し返そうにも柔らかい雪のせいで体が沈む。これはやばい。
217:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:15:46 ID:cXBc1ujc0
(´<_`; )「うわ俺まで沈む! この辺ヤバ!」
(#´_ゝ`)「ならどけカス!」
(´<_` )「誰がどくかよ。やる気なくすまで抑え込んでやる」
いやいやいや窒息する。
その前に凍れる。
凍傷になる。
マウントされたせいで上半身は腹筋で起こせないくらい沈んだ。
両足は踏ん張ろうにも雪に沈むだけだ。殴ろうにも腕を抑えられている。
せめて顔がもうちょっと近けりゃ顎に頭突きかましてやるのに。
(# _ゝ )「ふんぐぐぐぐぐ……」
(´<_`# )「こっの馬鹿力が……」
力任せにしても状況は変わらない。全体重をかけて押さえ込んで来る。
重力が味方してる分、どうやったって相手が有利だ。
220:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:25:20 ID:cXBc1ujc0
腕に力を入れつつ考える。
周りの雪のお陰で思考はそこまで暴走してない。
雪に沈んでるとはいえ、ここまで体が沈むくらいの雪だ。
今日振り立てのものだから、そこまで固くはない。
雪の中でもそれなりに動かせるんじゃないか?
体力が切れる前に実行あるのみ。
弟と対抗する為に腕に込めてる力の向きを、地面へ変える。
(´<_`; )「うぉっとお!?」
(#´_ゝ`)「っしゃ!」
腕は簡単に雪の中に沈んだ。
抑えつけられている腕の力が緩む。
221:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:32:51 ID:cXBc1ujc0
その隙に両腕を上に引き抜く。
わかりやすく言うとバンザイの体勢。
(´<_`; )「げ」
(#´_ゝ`)「死ね」
バランスを崩して前に倒れる弟の頭を両手で抱え込み、全力で頭突く。
重力と俺が両手で引き寄せる力も加算されているのでかなりの威力だ。
下手にパンチするよりも頭突きのほうがダメージが大きい。
なんてったって固いからな。自爆する可能性も低くはないが。
悶絶する弟を横に蹴り飛ばして、雪藪から脱出する。
背中側から大分、雪が服の中に入った。寒い。冷たい。
222:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:40:42 ID:cXBc1ujc0
( <_ #;)「くっそ……この石頭」
( ´_ゝ`)「うっせぇ」
流石に喧嘩慣れしてるだけあって立ち上がるのが早い。
そのまま固い雪の上で互いに滑りつつ殴り合った。
傍から見れば、気温も相俟ってただの寒いコントだろう。
マウントを取り合い、尖ったつららで切り合い、氷玉を投げ合い、
アホみたいに殴り合って二人で門先まで転がっていったところ。
ブォォォオン.......バキュボキョ ズザザザザ
(゚<_゚ ; )「ふぎょお!」
(;´_ゝ`)「いだだだだ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃあああああちょっとアンタ達!」
帰宅した我が母のマイカーに轢かれた。
223:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:43:29 ID:cXBc1ujc0
その後、人生で初めて救急車を呼んだ。
痛みに悶える弟と錯乱する母が使い物にならなかったのだ。
……あんな場所で喧嘩していた俺達が全面的に悪いのは判る。
車に乗ってると死角になるのは、全快した後に教えてもらった。
入院後の話は、また次回。
18.糸冬
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