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357: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/12(火) 09:17:56 ID:yxrgcnaE0
23.今更裸のビッチが迫って来られてもな
なんてふざけた事を抜かす車椅子のカタワもどきを、
マリアナ海溝に突き落としたい。18Gにしてやりたい。
海の底で深海魚の餌にでもなれば世界の為になる。
車椅子を自分で動かさずに俺に任せている所為で、
会話の際の身振り手振りがデカすぎてうぜえ。
成人してるんだから診察くらい一人で行けよ。
(´<_` )「ティーンの頃なら俺も脱いだかもしれないけど、
今はさー、無理だわー、ないわー、色々とさー」
( ´_ゝ`)「あの蝿共の修羅場から助けてもらった第一声が、
それってふざけてんの? もっかい戻されたいの?」
(´<_`; )「サンキュー毒男」
(;'A`)「あ、うん」
358:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:18:41 ID:yxrgcnaE0
(´<_` )「兄者にはあの穴やるよ」
( ´_ゝ`)「白神○地に帰せ」
(´<_` )「何を世界遺産に押し込めようとしてんだ。
そこはせめて性病検査の産婦人科だろ」
( ´_ゝ`)「自覚ある分タチ悪いわ」
(´<_` )「無自覚ポジのほうが厄介じゃね?」
( ´_ゝ`)「それゲイ用語」
(´<_` )「え」
('A`;)「性病なの?」
(´<_` )「今はなんもねーよ、多分」
('A`)「多分なんだ……」
359:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:19:29 ID:yxrgcnaE0
( ´_ゝ`)「メジャーなところは大体制覇したんじゃない?」
('A`)「兄者は?」
( ´_ゝ`)「やってねーよバカが死にてーのか、車椅子パス」
('A`;)「ご、ごめん。あ、意外と重い」
(´<_` )「今度ドキンちゃんから貰ってきたら移してやるよ」
( ´_ゝ`)「その汚ぇ便器諸共沈めてやろうか」
(´<_` )「俺だけ痒いとか不公平じゃね?」
( ´_ゝ`)「インキンが全身に回ってのた打ち回れ」
(´<_` )「それ痒過ぎて寝れなかったぐらいヤバいやつだぜ?
全身まで回ったら痒みで発狂して軽く死ねるわ」
( ´_ゝ`)「だから死ねっつってんだよ言わせんな恥ずかしい」
(´<_`# )「全力でお前を道連れにしてやっから」
360:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:20:35 ID:yxrgcnaE0
(;'A`)「性病って、EDになるのもあるから危ないんじゃ」
(´<_` )「どうせ年食ったら自然と勃たなくなるんだし、
年食ったら女も寄りつかなくなるしさーあ?
若い内にヤっとくべきだと思うんだよねー」
( ´_ゝ`)「お前のような考えの奴のチンコもいだら、
世の中の性犯罪は大方無くなりそうだな」
(´<_`# )「テメーのも、もいだろか? あぁ?」
( ´_ゝ`)「問題ねーよ、今んとこする必要なくなってるしぃ」
('A`)「え、え?」
(´<_` )「……それ男としてどうなん?」
( ´_ゝ`)「金と時間と思考の節約」
(´<_` )「理解できねえ」
( ´_ゝ`)「俺も、初めて性病に罹ったからって、笑いながら
ブツブツだらけになったチンコわざわざ見せに来る
露出狂の脳ミソは理解できねえわ。腐り落ちろ」
361:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:21:36 ID:yxrgcnaE0
(´<_` )「なんか怪我とかスゲーのやると見せたくなんじゃん」
( ´_ゝ`)「じゃあ今度カンジダやったら抜き身で歩け。
そのまま道路に出て通報されて塀ん中行け」
(´<_` )「股間の刀見せたら捕まるに決まってんだろ。
つか知らねー奴に怪我見せても面白くないだろ」
( ´_ゝ`)「じゃあ鬱田か内藤にでも晒しとけ」
('A`;)「へ!?」
(´<_` )「内藤ってあいつか……やだよ。すぐ写メる」
( ´_ゝ`)「なら母さんにでも見せとけ」
(´<_` )「ンな事したらブッ殺されるに決まってるだろ」
(#´_ゝ`)「俺だってブッ殺したかったわ! なんで俺に見せた!」
(´<_` )「あー……近くにいたから?」
(#´_ゝ`)「はぁ?」
(´<_` )「あと移そうと思って」
( ´_ゝ`)「寝てる隙に、尿道にウィダーinゼリー注ぎ込んでやっから」
362:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:22:18 ID:yxrgcnaE0
(´<_` )「なんか性病やるとバラまきたくなるんだよな」
( ´_ゝ`)「頭に梅毒回って死ね」
(´<_` )「HIVバラまいてる奴と同じ気持ちなだけだっつの、
『この苦しみを見知らぬ他人にも分け与えたい』
っていうどうしようもない心理なんだよ、分かる?」
( ´_ゝ`)「理解できるから言ってるんだよ。
その性病抱えてさっさとおっ死ね」
(´<_` )「性病やったチンコで銭湯行くとスゲー楽しいのに」
( ´_ゝ`)「新手のバイオテロじゃねぇか」
(´<_` )「俺が入った後の風呂にお前が入るんなら、
今度から銭湯とかではテロらねーよ?」
( ´_ゝ`)「今、階段あったよな。突き落としてやろうか?」
(´<_` )「マジキチ、目の焦点が合ってねーぞ」
( ´_ゝ`)「それは本来の『マジでキチガイ染みてるからやめろ』
って意味で捉えなくてもいいのかな?」
(´<_` )「略されて意味無くしたほうだよ」
363:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:24:02 ID:yxrgcnaE0
(;'A`)「もうちょっと仲良く……」
( ´_ゝ`)「無理」
(´<_` )「仲いいじゃん」
(#´_ゝ`)「は?」
('A`)「即答って…………」
( ´_ゝ`)「あー鬱田、こういう時の言葉に使うオブラート、
わからないから直に言わせてもらうけどさ」
('A`;)「な、何?」
( ´_ゝ`)「居心地悪いなら帰っていいぜ、
鬱田もそっちのほうがいいだろ?」
('A`)「え、い、いや」
(´<_` )「バッカだなー兄者、そんな言い方じゃ帰れねーだろ」
( ´_ゝ`)「お前の発言も後押ししてんじゃねーかアホか」
364:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:25:13 ID:yxrgcnaE0
('A`)「うん、もう俺の事は全自動車椅子押し機だと思っていいよ」
(´<_` )「やったな兄者」
( ´_ゝ`)「腹立ったら階段のほうに落としていいよ」
('A`;)「しないよ!」
(´<_` )「ぶちギレた兄者なら障害物が人でも容赦ねーぞ。
お前ごと落とされる覚悟していたほういいぜ」
( ´_ゝ`)「容赦あるよ」
(´<_` )「女の腹蹴っ飛ばした奴の台詞かそれ?」
( ´_ゝ`)「テメーこそ処理機が妊娠したっつった時に、
容赦なく腹に拳めり込ませてただろクズが」
(´<_` )「あーあれもう無意識に手が出たんだよ」
('A`)「これがDQNの会話……」
365:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:25:57 ID:yxrgcnaE0
(;´_ゝ`)「おい勘違いだ。刃物持った奴が走って迫って来たらさ、
そのまま黙って刺されたくないだろ、反撃するだろ?」
('A`)「あ、そういう状況ね」
(´<_` )「俺のほうだって結局腹にガキいなかったし、
元の家の金目当ての詐欺だったからセーフ」
( ´_ゝ`)「危機感持った詐欺師がお前から逃げてっただけだろ」
(´<_` )「金取れねーと思ったから引いてっただけじゃねーの?」
( ´_ゝ`)「……大正とか江戸時代なら余裕で勘当モンだぜお前」
(´<_` )「自分のキチっぷり自覚しててそれ言ってんの?
お前こそ座敷牢とか倉に押し込められるレベルだろが」
( ´_ゝ`)「正直お前の顔さえ見なくていいなら押入れの中でもいい」
(´<_` )「だったら毎日見に行ってやんよ」
( ´_ゝ`)「島流しにされろ」
(´<_` )「泳いで戻って来る」
366:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:27:48 ID:yxrgcnaE0
( ´_ゝ`)「北に行け」
(´<_` )「バイク乗って帰って来るわ」
( ´_ゝ`)「下痢便音撒き散らしながらとか公害だ死ね」
(´<_`# )「今ので世界中のライダー全員敵に回したぞ!
つーかお前もバイセコ乗ってんじゃねーか!」
( ´_ゝ`)「糞が乗ってるのなんてバイクと呼べねーよ。
せめて下痢便音発生装置で充分だろ?
走る便器なんて面白い視覚テロないしな」
(´<_` )「俺に対する悪口の発想、もう少し抑えらんない?」
( ´_ゝ`)「は? 無理」
(´<_` )「寝てる間にギプスのほうで踏み潰してやろうか」
('A`;)「診察室着いたよ」
( ´_ゝ`)「おーいつの間に」
367:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:29:05 ID:yxrgcnaE0
(´<_` )「じゃー逝って来るよニーサン」
( ´_ゝ`)「医療ミスで死ね。お前の嫌いなマスゴミは任せろ。
大丈夫だ、世間からはきちんと隠蔽してやるから」
(´<_` )「ダイニングメッセージでお前の名前を血文字で遺す」
('A`)「ダイニング?」
( ´_ゝ`)「ダイイングだよバーカ」
(´<_` )「死んだら毎日枕元で俺の誕生日囁いてやるよ」
自分でもなんでかわからんが、頭の奥にカチンときた。
ただ目の前の憎い奴が負傷していると言う事実が、
少しだけいつも感じる怒りを軽減してくれる。
368:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:30:17 ID:yxrgcnaE0
(#´_ゝ`)「……」
(´<_` )「兄者?」
軽減するだけであって、消えるわけじゃない。
(#´_ゝ`)「俺の誕生日じゃねーか、意味わかんねーよ。
死ね、そのまま死ね、死んで病院を徘徊しろ」
(´<_`; )「イッテ! いってぇ! 蹴るな!」
(゚A゚;)「車椅子壊れる! 車いしゅこわれりゅって!」
( ´_ゝ`)「ふへっ」
(´<_`; )「おま、ギプスじゃねーほう重点的に蹴りやがって」
('A`;)「噛んだ……」
369:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:31:44 ID:yxrgcnaE0
(´<_` )「今度その辺のビッチが孕んだって言って来たら」
( ´_ゝ`)「お祝いにこんにゃくゼリー送りつけてやんよ」
(´<_` )「続き聞けカス、産ませて兄者に全部擦り付けてやる」
( ´_ゝ`)「ンな事してみろ。そんなクッセェ中古は山にでも捨てて、
ガキは赤ちゃんポストにダンクシュート決めてやるよ」
(´<_`* )「クズ過ぎる! エキサイティン!」
('A`)「バトルドーム……」
( ´_ゝ`)「なんでテンション上がってんの?」
|゚ノ ^∀^)「はーい診察室に入りますよー」
(´<_` )「はーい」
( ´_ゝ`)「え? さっきのは何だったの?」
('A`;)「さ、さあ……」
370:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:32:25 ID:yxrgcnaE0
( ´_ゝ`)「……」
('A`)「……」
( ´_ゝ`)「……ああ、毒男。悪い事したな。
その辺の飯屋で昼飯奢ってやるよ」
('A`)「誠意が感じられない」
( ´_ゝ`)「具体的に何がどう悪いのか全然判らん上に、
あーいう時のフォローの仕方分からんからな」
('A`)「フォローに関しては俺もわからん、ココスで」
( ´_ゝ`)「はいよ」
23.糸冬
23.今更裸のビッチが迫って来られてもな
なんてふざけた事を抜かす車椅子のカタワもどきを、
マリアナ海溝に突き落としたい。18Gにしてやりたい。
海の底で深海魚の餌にでもなれば世界の為になる。
車椅子を自分で動かさずに俺に任せている所為で、
会話の際の身振り手振りがデカすぎてうぜえ。
成人してるんだから診察くらい一人で行けよ。
(´<_` )「ティーンの頃なら俺も脱いだかもしれないけど、
今はさー、無理だわー、ないわー、色々とさー」
( ´_ゝ`)「あの蝿共の修羅場から助けてもらった第一声が、
それってふざけてんの? もっかい戻されたいの?」
(´<_`; )「サンキュー毒男」
(;'A`)「あ、うん」
358:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:18:41 ID:yxrgcnaE0
(´<_` )「兄者にはあの穴やるよ」
( ´_ゝ`)「白神○地に帰せ」
(´<_` )「何を世界遺産に押し込めようとしてんだ。
そこはせめて性病検査の産婦人科だろ」
( ´_ゝ`)「自覚ある分タチ悪いわ」
(´<_` )「無自覚ポジのほうが厄介じゃね?」
( ´_ゝ`)「それゲイ用語」
(´<_` )「え」
('A`;)「性病なの?」
(´<_` )「今はなんもねーよ、多分」
('A`)「多分なんだ……」
359:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:19:29 ID:yxrgcnaE0
( ´_ゝ`)「メジャーなところは大体制覇したんじゃない?」
('A`)「兄者は?」
( ´_ゝ`)「やってねーよバカが死にてーのか、車椅子パス」
('A`;)「ご、ごめん。あ、意外と重い」
(´<_` )「今度ドキンちゃんから貰ってきたら移してやるよ」
( ´_ゝ`)「その汚ぇ便器諸共沈めてやろうか」
(´<_` )「俺だけ痒いとか不公平じゃね?」
( ´_ゝ`)「インキンが全身に回ってのた打ち回れ」
(´<_` )「それ痒過ぎて寝れなかったぐらいヤバいやつだぜ?
全身まで回ったら痒みで発狂して軽く死ねるわ」
( ´_ゝ`)「だから死ねっつってんだよ言わせんな恥ずかしい」
(´<_`# )「全力でお前を道連れにしてやっから」
360:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:20:35 ID:yxrgcnaE0
(;'A`)「性病って、EDになるのもあるから危ないんじゃ」
(´<_` )「どうせ年食ったら自然と勃たなくなるんだし、
年食ったら女も寄りつかなくなるしさーあ?
若い内にヤっとくべきだと思うんだよねー」
( ´_ゝ`)「お前のような考えの奴のチンコもいだら、
世の中の性犯罪は大方無くなりそうだな」
(´<_`# )「テメーのも、もいだろか? あぁ?」
( ´_ゝ`)「問題ねーよ、今んとこする必要なくなってるしぃ」
('A`)「え、え?」
(´<_` )「……それ男としてどうなん?」
( ´_ゝ`)「金と時間と思考の節約」
(´<_` )「理解できねえ」
( ´_ゝ`)「俺も、初めて性病に罹ったからって、笑いながら
ブツブツだらけになったチンコわざわざ見せに来る
露出狂の脳ミソは理解できねえわ。腐り落ちろ」
361:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:21:36 ID:yxrgcnaE0
(´<_` )「なんか怪我とかスゲーのやると見せたくなんじゃん」
( ´_ゝ`)「じゃあ今度カンジダやったら抜き身で歩け。
そのまま道路に出て通報されて塀ん中行け」
(´<_` )「股間の刀見せたら捕まるに決まってんだろ。
つか知らねー奴に怪我見せても面白くないだろ」
( ´_ゝ`)「じゃあ鬱田か内藤にでも晒しとけ」
('A`;)「へ!?」
(´<_` )「内藤ってあいつか……やだよ。すぐ写メる」
( ´_ゝ`)「なら母さんにでも見せとけ」
(´<_` )「ンな事したらブッ殺されるに決まってるだろ」
(#´_ゝ`)「俺だってブッ殺したかったわ! なんで俺に見せた!」
(´<_` )「あー……近くにいたから?」
(#´_ゝ`)「はぁ?」
(´<_` )「あと移そうと思って」
( ´_ゝ`)「寝てる隙に、尿道にウィダーinゼリー注ぎ込んでやっから」
362:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:22:18 ID:yxrgcnaE0
(´<_` )「なんか性病やるとバラまきたくなるんだよな」
( ´_ゝ`)「頭に梅毒回って死ね」
(´<_` )「HIVバラまいてる奴と同じ気持ちなだけだっつの、
『この苦しみを見知らぬ他人にも分け与えたい』
っていうどうしようもない心理なんだよ、分かる?」
( ´_ゝ`)「理解できるから言ってるんだよ。
その性病抱えてさっさとおっ死ね」
(´<_` )「性病やったチンコで銭湯行くとスゲー楽しいのに」
( ´_ゝ`)「新手のバイオテロじゃねぇか」
(´<_` )「俺が入った後の風呂にお前が入るんなら、
今度から銭湯とかではテロらねーよ?」
( ´_ゝ`)「今、階段あったよな。突き落としてやろうか?」
(´<_` )「マジキチ、目の焦点が合ってねーぞ」
( ´_ゝ`)「それは本来の『マジでキチガイ染みてるからやめろ』
って意味で捉えなくてもいいのかな?」
(´<_` )「略されて意味無くしたほうだよ」
363:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:24:02 ID:yxrgcnaE0
(;'A`)「もうちょっと仲良く……」
( ´_ゝ`)「無理」
(´<_` )「仲いいじゃん」
(#´_ゝ`)「は?」
('A`)「即答って…………」
( ´_ゝ`)「あー鬱田、こういう時の言葉に使うオブラート、
わからないから直に言わせてもらうけどさ」
('A`;)「な、何?」
( ´_ゝ`)「居心地悪いなら帰っていいぜ、
鬱田もそっちのほうがいいだろ?」
('A`)「え、い、いや」
(´<_` )「バッカだなー兄者、そんな言い方じゃ帰れねーだろ」
( ´_ゝ`)「お前の発言も後押ししてんじゃねーかアホか」
364:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:25:13 ID:yxrgcnaE0
('A`)「うん、もう俺の事は全自動車椅子押し機だと思っていいよ」
(´<_` )「やったな兄者」
( ´_ゝ`)「腹立ったら階段のほうに落としていいよ」
('A`;)「しないよ!」
(´<_` )「ぶちギレた兄者なら障害物が人でも容赦ねーぞ。
お前ごと落とされる覚悟していたほういいぜ」
( ´_ゝ`)「容赦あるよ」
(´<_` )「女の腹蹴っ飛ばした奴の台詞かそれ?」
( ´_ゝ`)「テメーこそ処理機が妊娠したっつった時に、
容赦なく腹に拳めり込ませてただろクズが」
(´<_` )「あーあれもう無意識に手が出たんだよ」
('A`)「これがDQNの会話……」
365:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:25:57 ID:yxrgcnaE0
(;´_ゝ`)「おい勘違いだ。刃物持った奴が走って迫って来たらさ、
そのまま黙って刺されたくないだろ、反撃するだろ?」
('A`)「あ、そういう状況ね」
(´<_` )「俺のほうだって結局腹にガキいなかったし、
元の家の金目当ての詐欺だったからセーフ」
( ´_ゝ`)「危機感持った詐欺師がお前から逃げてっただけだろ」
(´<_` )「金取れねーと思ったから引いてっただけじゃねーの?」
( ´_ゝ`)「……大正とか江戸時代なら余裕で勘当モンだぜお前」
(´<_` )「自分のキチっぷり自覚しててそれ言ってんの?
お前こそ座敷牢とか倉に押し込められるレベルだろが」
( ´_ゝ`)「正直お前の顔さえ見なくていいなら押入れの中でもいい」
(´<_` )「だったら毎日見に行ってやんよ」
( ´_ゝ`)「島流しにされろ」
(´<_` )「泳いで戻って来る」
366:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:27:48 ID:yxrgcnaE0
( ´_ゝ`)「北に行け」
(´<_` )「バイク乗って帰って来るわ」
( ´_ゝ`)「下痢便音撒き散らしながらとか公害だ死ね」
(´<_`# )「今ので世界中のライダー全員敵に回したぞ!
つーかお前もバイセコ乗ってんじゃねーか!」
( ´_ゝ`)「糞が乗ってるのなんてバイクと呼べねーよ。
せめて下痢便音発生装置で充分だろ?
走る便器なんて面白い視覚テロないしな」
(´<_` )「俺に対する悪口の発想、もう少し抑えらんない?」
( ´_ゝ`)「は? 無理」
(´<_` )「寝てる間にギプスのほうで踏み潰してやろうか」
('A`;)「診察室着いたよ」
( ´_ゝ`)「おーいつの間に」
367:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:29:05 ID:yxrgcnaE0
(´<_` )「じゃー逝って来るよニーサン」
( ´_ゝ`)「医療ミスで死ね。お前の嫌いなマスゴミは任せろ。
大丈夫だ、世間からはきちんと隠蔽してやるから」
(´<_` )「ダイニングメッセージでお前の名前を血文字で遺す」
('A`)「ダイニング?」
( ´_ゝ`)「ダイイングだよバーカ」
(´<_` )「死んだら毎日枕元で俺の誕生日囁いてやるよ」
自分でもなんでかわからんが、頭の奥にカチンときた。
ただ目の前の憎い奴が負傷していると言う事実が、
少しだけいつも感じる怒りを軽減してくれる。
368:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:30:17 ID:yxrgcnaE0
(#´_ゝ`)「……」
(´<_` )「兄者?」
軽減するだけであって、消えるわけじゃない。
(#´_ゝ`)「俺の誕生日じゃねーか、意味わかんねーよ。
死ね、そのまま死ね、死んで病院を徘徊しろ」
(´<_`; )「イッテ! いってぇ! 蹴るな!」
(゚A゚;)「車椅子壊れる! 車いしゅこわれりゅって!」
( ´_ゝ`)「ふへっ」
(´<_`; )「おま、ギプスじゃねーほう重点的に蹴りやがって」
('A`;)「噛んだ……」
369:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:31:44 ID:yxrgcnaE0
(´<_` )「今度その辺のビッチが孕んだって言って来たら」
( ´_ゝ`)「お祝いにこんにゃくゼリー送りつけてやんよ」
(´<_` )「続き聞けカス、産ませて兄者に全部擦り付けてやる」
( ´_ゝ`)「ンな事してみろ。そんなクッセェ中古は山にでも捨てて、
ガキは赤ちゃんポストにダンクシュート決めてやるよ」
(´<_`* )「クズ過ぎる! エキサイティン!」
('A`)「バトルドーム……」
( ´_ゝ`)「なんでテンション上がってんの?」
|゚ノ ^∀^)「はーい診察室に入りますよー」
(´<_` )「はーい」
( ´_ゝ`)「え? さっきのは何だったの?」
('A`;)「さ、さあ……」
370:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:32:25 ID:yxrgcnaE0
( ´_ゝ`)「……」
('A`)「……」
( ´_ゝ`)「……ああ、毒男。悪い事したな。
その辺の飯屋で昼飯奢ってやるよ」
('A`)「誠意が感じられない」
( ´_ゝ`)「具体的に何がどう悪いのか全然判らん上に、
あーいう時のフォローの仕方分からんからな」
('A`)「フォローに関しては俺もわからん、ココスで」
( ´_ゝ`)「はいよ」
23.糸冬
PR
323: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:48:57 ID:8zvTfRZs0
22.そして二人だけに
茶柱が沈んだような病院の閑散とした休憩所で、
見慣れた後ろ姿を見つけたので声をかける。
( ´_ゝ`)「鬱田、またここに来たのか」
('A`;)「その言葉そのまま返すっての、お前こそ」
( ´_ゝ`)「あいつ苦手なんだろ? よく来たなって意味」
('A`)「自分の発言が全部ブーメランになってる事に気付け」
( ´_ゝ`)「あー……」
('A`)「やっぱ弟が心配なのか?」
( ´_ゝ`)「へ?」
('A`)「俺はカーチャンに頼まれて病院に来てるけど、
兄者は自主的に来てるように見えるし……」
324: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:49:40 ID:8zvTfRZs0
さて、どう答えよう。YESかNOか。
嘘でも心配してるだなんてまだ吐きたくない。鳥肌が立つ。
しかし鬱田よ、俺があいつをぶち殺せる寸前まで行った騒動に、
何回か強制的に参加させられたってのに、この言い草。
やっぱ鬱田の中では、家族ってのが何を置いても優先される者なのか。
例え、性犯罪を犯して相手の人生をぶち壊しても家族は守るべきものだと、
相手を非難しても守るものと、そんな感じで思っていたりするんだろうか?
それとも、やっぱり兄弟がいないから、父がいないから、
法的にはともかく直接血の繋がった家族がいないから、
双子である俺に何らかの幻想を抱いたりしてるんだろうか?
('A`)「兄者?」
( ´_ゝ`)「あ、すまん。考えてた」
('A`;)「即答できないか」
( ´_ゝ`)「そうだな、無理だ。っつーかな」
('A`)「ん?」
325: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:50:33 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「お前が俺の立場だったら、あいつ許せるの?」
('A`;)「許せねえだろうけどさあ……」
( ´_ゝ`)「内藤は金玉捻り潰すっつってたぞ」
('A`;)「怖いこと言うなよ」
(;´_ゝ`)「内藤が言ったんだってば」
('A`)「ああ、うん、まあ、言うだろうな」
( ´_ゝ`)「もしお前があいつから俺のような事受けたら、
その時どうする? 出来るだけ具体的に」
('A`)「お前みたいな事って?」
( ´_ゝ`)「うーんとな、それじゃあ」
実際にあった出来事でも話すか。
結構長くなりそうだったので、その辺の席に座らせた。
326: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:51:14 ID:8zvTfRZs0
高校三年、新設校だからピンキリ揃いの生徒に先生。
そこでのバイトは、親と教師の両方から許可が降りなきゃ駄目だった。
流石に、教師へのバイト許可を取る説明で『家の家計が苦しくて』、
なんてバッレバレな嘘は言えず、素直に小遣いが欲しくてと言った。
受験も近いし、今の状態の成績を維持する事を条件に、許可は降りた。
糞親父へは、自分で稼いだ金が欲しくて、と説明し軽く『おk』が出た。
ただ、働く場所は選ばせてもらえず、遠い親戚の造園所を手伝う事に。
コンビニなんかの接客業は自信がなかったから、そこでいいと決めた。
造園所で虫に刺されたり、虫を捕まえたり、虫をいじめたりしつつ、
ジャージで土と汗まみれになって仕事する。やりがいはあった。
動物アレルギーは酷いが、生き物は好きだったしな。鼬も狸もいた。
そこにいた雇い主のじいさんも懐が広いと言うか、良い人だった。
俺がうっかり逃げる鼠に気を取られて、追っかけまわしてスッ転んで、
鼠に遊ばれていた時も笑って見ていた。思い切り仕事中だったのにな。
枝切り鋏で腕を切った時も、病院まで連れてってくれた。
もしかしたら家からの圧力があったのかもしれないけど、
俺はその行いを優しいと思ったよ。面倒だったろうに。
327: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:54:54 ID:8zvTfRZs0
で、給料日。
その日は休日で、バイトもなくて、受け取りに行くだけの予定だった。
それで、軽く受け取りに来たといったら、驚いた顔されたよ。
それから眉間に皺を寄せて、『もう給料は渡した』なんてな。
訳がわからなくて説明を求めたら、向こうも様子がおかしい。
俺が来る前日に、何故か俺(?)が珍しく制服でここに来た事、
話がおかしかった事、じいさんを雇い主だとわからなかった事。
そんなに様子がおかしいなら金なんか渡すなよ、と、
目の前のじいさんに今更怒っても仕方ない。
犯人はもうわかっていたので、『弟が迷惑をかけました』
と頭を下げて、じいさんへの評価も下げて、そこを後にした。
328: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:55:36 ID:8zvTfRZs0
家に帰って、いたいけな老人を騙した詐欺師から
金を取り返そうとしたら、もう既に使ったとの事。
( ´_ゝ`)「で、鬱田はどうする?」
('A`;)「えぇえ~……」
( ´_ゝ`)「俺は真正面から喧嘩売ったよ」
('A`)「俺なら……諦めるかな……」
( ´_ゝ`)「マジ?」
('A`)「弟者に勝てそうにない」
( ´_ゝ`)「自分と同じ体格の奴なら?」
('A`)「カーチャンに言いつけて二人で抑え込む」
(;´_ゝ`)「そう来るか」
それはちょっと予想外だ。
可能性としてはあったけど。
329: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:56:30 ID:8zvTfRZs0
('A`)「お前は、その後どうしたんだ?」
( ´_ゝ`)「喧嘩が見つかって糞親父にボコられたよ」
('A`;)「容赦ねーな」
( ´_ゝ`)「なんで昔はあんなの尊敬してたのか謎」
('A`)「金は返ってきたのか?」
( ´_ゝ`)「どう言やいいんだろうなー、そこんとこ」
('A`)「?」
( ´_ゝ`)「えっとな」
330: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:57:30 ID:8zvTfRZs0
返って来たには来たが、俺の金じゃあない。
しかも、渡された状況が状況だ。
暴れて手がつけられないからって、縄でぐるぐる巻きにされ、
身動きとれない状態のまま秋の土倉で一晩放置された。
向こうはすぐ拳を収めたからと、普通に家の中。納得いかねえ。
飯抜きは割とあったので耐えれたが、水抜きは辛い。
身動きはとれないから、服に排泄物垂れ流しだしな。
それで精神的にも肉体的にも疲弊した状態で、朝になった。
父が扉を開き、やっと解放してくれるのかと思いきや、
ポケットに手を突っ込み、目の前に札束を投げられた。
『給料はないが、倍の小遣いやるからこれで我慢しろ』、と。
331: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:58:12 ID:8zvTfRZs0
商才はあるけど、クズだって言われてる親父の本性が判った。
俺の頭がおかしいのは遺伝の可能性もあるって聞いたけど、
多分、いや確実に糞親父からの遺伝子だぜ、これマジで。
人の気持ちを考えられないって部分、絶対そうだって。
嘘でもいいから、『取り返した』っつってほしかったよ。
”自分の力で稼いだ初めての給料”が欲しいんであって、
あんな剥き出しの札束が欲しいわけじゃあなかったんだよ。
しかも、あの泥棒は俺が代わりにボコったから許せと。
許せるワケねーよ。自分の手でぶちのめしたいんだよ。
自分の肌で相手の体温を感じる距離で殴り抜きたいんだよ。
結局、その日はまだ俺が暴れる気があるからって、
札束を目の前に置かれたまま丸一日放置されたな。
飯は、あの泥棒が笑いながら窓から投げ込んだ。
地面は土だから普通に汚れるし、椀はひっくり返るし、
食わせる気なんかゼロだよ。普通に嫌がらせだろうな。
殺意だって湧くさ。むしろ殺意以外の何を抱けと。
悔しくて悔しくて、何かが臨界点突破して涙が出たよ。
高校生の時に泣いたのは、あの一回きりだった。
332: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:59:00 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「こんな感じですな」
('A`;)「壮絶だなあ」
( ´_ゝ`)「そうか?」
('A`)「その代わりの小遣いって、いくらだったんだ?」
( ´_ゝ`)「40万くらいだったかなー」
゙(゚A゚ )
( ´_ゝ`)「あんな金、貯めとくのも取られるのも嫌だったから、
休みの日使ってバイクの免許取りに全部使ったよ」
('A`;)「あ、そ、そう」
( ´_ゝ`)「うん」
('A`)「……」
( ´_ゝ`)「……」
沈黙。喋って喉も渇いたし、鬱田にジュースでも奢るべきか。
333: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:59:42 ID:8zvTfRZs0
('A`)「そういやさ」
( ´_ゝ`)「何?」
('A`)「キレるかもしんないけど、いい?」
( ´_ゝ`)「最近、割と沸点高くなったぜ」
('A`)「チラッと聞いたんだけどさ、お前ら、高校の時は、
なんか、それなりに、仲良くて、共闘してたって」
( ´_ゝ`)「………………………………ああ」
('A`;)「間が長ぇ」
( ´_ゝ`)「いやあ、うん。さっき話した事が起きるまでは、それなりに」
('A`)「それなりか」
( ´_ゝ`)「嫌がらせっつーか、喧嘩はしなかったから、多分だけども、
仲は良かったぜ。ただ一緒にいただけ、とも言えるけどな」
('A`)「うーん」
334: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:00:42 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「一緒にいじめっこボコしたのは共闘に入るかもしんねーけど」
('A`)「いじめっこ?」
( ´_ゝ`)「なんか双子ってだけで因縁つけてくる奴らがいたんだよなー」
('A`)「嘘吐け、お前ら逆にいじめる側だろ」
( ´_ゝ`)「鬱田、俺はお前にジュースを奢ろうと思って”いた”んだ」
('A`)「人生色々あるよね!」
(;´_ゝ`)「素直だな。嘘吐きよりはいいが」
('A`)「いちごオレキボンヌ」
( ´_ゝ`)「はいはい死語死語」
('A`)「まだ一部の板で生きてる」
335: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:01:42 ID:8zvTfRZs0
鬱田の所望したいちごオレと、俺が飲む用に適当な水を買う。
紙パックのいちごオレって、匂い嗅いだだけで吐気がするくらい甘いよな。
飲むと昇ってきた臭いで鼻が痒くなるし、とても飲めたモンじゃない。
甘いモノ平気な奴って、舌とか鼻とかどうなってんだろ。
( ´_ゝ`)「はーい、いちごオレ」
('A`)「兄者は水かよ、どうせなら味ついてるの買えよ」
( ´_ゝ`)「いいじゃねーか俺の金なんだし」
('A`)「なんだったっけ、その自販機使った心理テストみたいなの、
どっかであったなあ……なんとか診断て言うの。なんだっけ」
( ´_ゝ`)「いや知らねぇよ」
紙パックにストローを差し、一息でズゴォと飲み干す鬱田。
ダイ○ンもびくっりの吸引力だ。内藤には負けるが。
336: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:02:28 ID:8zvTfRZs0
('A`)「でも、お前らがいじめられっこって考えらんね、特に弟者」
( ´_ゝ`)「まあ、正面からいじめっこが喧嘩売ってきたら買ってたから、
殴り合いで一方的にやられっぱなしってのはなかったな」
('A`)「それただの不良の喧嘩の間違いじゃ」
( ´_ゝ`)「下駄箱に犬の糞、ロッカーに悪戯、サドル盗難。
あと主に男子が聞こえるか聞こえないかのヒソヒソ。
そういう手が届かんとこはどうにもならなかった」
('A`)「ああ、いじめだわ、つーか男子からなのな」
( ´_ゝ`)「そう、だから主に殴り合いが多かった」
('A`)「殴り合いとか俺には無理だわ」
( ´_ゝ`)「んー、お前の病気って特殊なんだろ?」
('A`)「特殊……あんまり見ない病気ではあるな」
( ´_ゝ`)「敗血症、だったっけ」
337: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:03:49 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「説明すれば、学校とかPTAとか教育委員会が、
全力でいじめから庇ってくれそうな案件だけど」
('A`)「その診断降りたの、高校になってから」
( ´_ゝ`)「小中は?」
('A`)「体育教師にヒョロガリチビだからっていじめられた。
皆の前で、一人で体育館一周とか、グラウンド一周とか」
( ´_ゝ`)「うっわぁ」
('A`)「俺の体、運動したって逆に症状悪化するだけだってのに、
ヒョロガリなのは運動しないからだって言われたぜ」
( ´_ゝ`)「その時に敗血症って判ってれば訴えれたのにな」
('A`)「もう遅ーよ」
( ´_ゝ`)「そいつが死んだ時に御祝儀くれてやろうぜ」
('A`;)「やり過ぎじゃね?」
( ´_ゝ`)「俺からしてみれば鬱田が何もしなさ過ぎ」
('A`)「そ、か…………」
338: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:05:36 ID:8zvTfRZs0
ん? 今の空気は沈んでるんだろうか。
この状況。明るくすべきか。
いやでも、たまには暗い部分吐き出さないとな、ストレスになる。
鬱田の口が真一文字になってるから、こっちから話題振るか。
( ´_ゝ`)「そーいや、鬱田はこれ知ってる?
内藤も実はいじめられっこだったんだぜ」
(゚A゚;)「マジで!?」
おっと、予想外の食い付きようだ。
339: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:06:36 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「マジマジ、中学生の時は本当のデブだったから、
主に体の事バカにされていじめられてたよ」
('A`)「小学生は?」
( ´_ゝ`)「ずっと全部同じ学校だったけど、実は小学生の時は
一言も会話したことなかったから、そこんとこわからん」
('A`)「そうか……うん、小中高といじめられてるのは俺だけか」
( ´_ゝ`)「全員にいじめられ経験があるんだから気にすんなよ」
('A`;)「いじめられ経験ってなあ」
340: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:07:18 ID:8zvTfRZs0
('A`)「にしても、兄者はどんな事されたんだよ」
( ´_ゝ`)「さっきのと、カツアゲ、未遂と、リンチ、未遂、パシリ未遂。
あと万引きの濡れ衣未遂と、黒板消し背中に当てられたり」
('A`)「ほぼ未遂ばっかじゃねーか」
( ´_ゝ`)「よく俺らに懲りもせず突っかかってきたいじめっこがさ、
体がデカいだけの頭足りないバカだったんだよねー」
('A`)「体デカい時点で俺は無理」
( ´_ゝ`)「しかもそいつ、廊下や教室でトイレブラシ振り回すんだぜ。
ブラシの水滴がそこかしこに飛び散って、汚ぇわ汚ぇわ。
休憩所の机は全部ひっくり返すし、全員に嫌われてたよ」
('A`)「うわぁ、先生はそれ見て何も言わねーの?」
( ´_ゝ`)「怖い先生の前では、何もやらなかったな」
('A`)「クズい」
341: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:08:02 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「周りにいた取り巻きも、そいつがいない時は、
『あいつマジきたねー』って言って笑ってたし」
('A`)「どっちにしろ近寄りたくねえ」
( ´_ゝ`)「俺だってそうだったよ。女子って不潔な奴を嫌がるから、
女子グループの陰口はあいつの独占市場状態だったな」
('A`)「独壇場」
( ´_ゝ`)「そうとも言う」
('A`)「つーか男子も嫌だろ」
( ´_ゝ`)「だろうな。取り巻きは、あいつの奇行見たくて、
近くで見える場所にいただけかもしれんね」
('A`)「そいつの鈍さがスゲー」
( ´_ゝ`)「自分を中心に世界が動いてると思ってる時は、
周りが自分をどう見てるかなんて気にしないさ」
('A`)「……経験者は語る?」
( ´_ゝ)「気付いた瞬間、夢から覚めたような気分だったなあ」
342: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:09:06 ID:8zvTfRZs0
('A`;)「こうして話してると、お前も全然そうとはわからんぜ。
ネットでよく言われてるようには見えないから大丈夫」
( ´_ゝ`)「……ん?」
('A`)「ど、どうした?」
( ´_ゝ`)「俺、今、慰められてるの?」
('A`)「わからんのか……」
(;´_ゝ`)「すまん、前後が読めないとどうにも」
('A`;)「いや、気にせんでくれ、そうか、こういうのか」
( ´_ゝ`)ノ「冗談は一応理解できるよ! 自分視点で少しだけな!
似てる冗談を言われた経験がなかったり、知らなかったり、
脈絡なく言われると全く理解できずに正面からツッコムけど!」
('A`;)「あんまり病院で声をあげるなよ! 視線が集まるだろ!」
( ´_ゝ)「誰もいないよ?」
343: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:10:01 ID:8zvTfRZs0
('A` )彡
ミ( 'A`)
('A`)「本当に誰もいねえ……」
( ´_ゝ`)「鬱田の声がぼそぼそして聞き取りにくかったのって、
周りに人がいると思って意識的に抑えてたからか?」
('A`)「そういう訳でもないけど、それでいいや。
さっき兄者が話してたやつの続きしようぜ」
( ´_ゝ`)「いじめの話ね」
('A`;)「やめろよ! 俺達がいじめてたみたいにも聞こえるだろ!」
( ´_ゝ`)「何をどうしたって鬱田はいじめられっこにしか見えないから、
そこんとこは安心しとけよ。胸を張っていいんだぜ」
('A`)「え? 俺フォローされてるの?」
( ´_ゝ`)「うん」
('A`)「無自覚の悪意が辛い」
(;´_ゝ`)「貶してるつもりはないんだけど……いいや」
344: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:11:19 ID:8zvTfRZs0
気を取り直して、話を再開。
( ´_ゝ`)「さっきの話、体がデカいだけのバカって奴。
そいつだけ卒業までしぶとく突っかかってきてたよ。
もういじめの対象変わってたのに、飽きずにずっと」
('A`)「弟者にも、か?」
( ´_ゝ`)「だな。便器の水かけられたっつって、すげえキレてた時あった」
('A`)「その時はどうしたんだ?」
( ´_ゝ`)「帰りに二人でボコった」
('A`)「詳細を」
( ´_ゝ`)「そいつの帰り道に草藪があったから、そこに二人で隠れた。
んで、自転車で通りかかったから弟が自転車の前に出て、
相手が減速した隙に俺が蹴り倒した。あとはフルボッコ」
('A`)「わあ……」
345: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:12:10 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「それから自転車パクって、二人乗りでゲーセンある街まで行って、
ゲーセンの前に鍵かけないで乗り捨ててきた。帰りはタクシー」
('A`)「どっちがいじめっこだよ」
( ´_ゝ`)「先に因縁つけて、言い返したら殴りかかってきたのは向こうだ。
やり返して何が悪い。反撃を予想しないアホが悪いんだよ」
('A`)「反撃ねえ、俺も筋肉あればなあ」
( ´_ゝ`)「言うだけ言ってみるのもアリだよ」
('A`;)「勇気が」
( ´_ゝ`)「よく、抵抗したら更にいじめが激しくなるとか聞くが、
無抵抗なら無抵抗で、『こいつなら何してもいい』
って思うからな。やっても変わらんかもしれんけど」
('A`)「なんかさあ、そういう時だけいいよなあ。双子。
二人でいじめっこに立ち向かったんだろ?」
(;´_ゝ`)「そんな綺麗な言葉では収まらねえなあ。
二人の時点で2対1の物量作戦できるから」
('A`)「え?」
346: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:12:52 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「登校初日で因縁つけてきた奴らにさー」
('A`)「初日からいじめとかやってられない高校だな」
( ´_ゝ`)「一週間くらいはいじめのターゲット探しみたいなモンなのにな」
('A`)「それはそれで嫌だ」
( ´_ゝ`)「救いは無ぇよ? そいつら次の日から一人ずつ呼び出して、
教師の目の届かないとこで二人でボッコボコにした。
呼び出しに応じない奴は帰り道で待ち伏せした」
('A`)「不良じゃねーか」
( ´_ゝ`)「ちゃんと最初は話し合いしましたよ? やめろって」
('A`;)「うん、まあ、いじめって言葉では治まらないよね……」
( ´_ゝ`)「教師に言い付けても体罰禁止の時代に
入っちゃってたから無意味だったなー」
('A`)「その時代で、何もしてないのに教師にぶっ飛ばされた」
( ´_ゝ`)「そこは復讐できるんだとポジティブに考えようぜ。
あいつの車のバンパー壊す理由ができた、とか」
('A`;)「俺そんな不良思考じゃないから!」
347: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:14:03 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「不良じゃねーよ俺は成績優良児だよ」
('A`;)「俺だって成績はなんとか上位キープしてたよ! つか、
そういう意味じゃなくて、すぐに暴力に走るっていうその考えが
( ´_ゝ`)「聞きたくなーい」
('A`)「ちょっと聞けって」
( ´_ゝ`)「何もしなくても殴られた家庭で、どう暴力を覚えるなと」
('A`;)「うーん……それは難しいな」
ピーンポーンパーンポーン
( ´_ゝ`)「「!!」」('A` )
業務連絡、業務連絡、コード・ホワイト、3階ナースステーション
348: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:15:44 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「……」
('A`)「3階、叔父さんいる階じゃないな」
( ´_ゝ`)「よかったね」
('A`)「でも弟者いなかったっけ?」
( ´_ゝ`)「……いたっけ?」
('A`)「いたよね」
( ´_ゝ`)「気の所為じゃないかなあ」
('A`)「間違いないよね」
( ´_ゝ`)「鬱田の記憶違いだったりして」
( 'A`)ロ「カーチャンのメモにちゃんと3階ってあるな」
(;´_ゝ`)「お前のカーチャンがミスったんじゃね?」
('A`)「いや、前はこれ見てちゃんと辿り着いたから」
349: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:16:53 ID:8zvTfRZs0
('A`)「ちょっと行こうぜ」
( ´_ゝ`)「やだ」
('A`)「なんで」
( ´_ゝ`)「面倒」
('A`)「おい」
( ´_ゝ`)「むしろ何故行かなければならないのか知りたい」
('A`)「心配じゃないのか?」
( ´_ゝ`)「死んでほし……」
Σ(;´_ゝ`) ハッ
いやいやいや、待て待て俺。
脊髄反射会話が長引いたから、すっかり考えなくなってた。
ここで肯定してどうすんだ。いやでも否定するのもアレだし。
350: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:17:56 ID:8zvTfRZs0
(;´_ゝ`)「くっ、……あるない?」
('A`)「迷いはわかった」
(;´_ゝ`)「ぐ」
('A`)「迷ってるくらいなら行こうぜ」
( ´_ゝ`)「やだよ」
('A`)「弟者が死んでるかもしれんよ?」
( ´_ゝ`)「死んでる感覚がしない」
('A`)「生死の境を彷徨ってるかもしれないぜ」
(*´_ゝ`)「あっ! それもそうか!」
もし死にかけていたら、蹴りでもお見舞いしてやろう!
諸々の責任は死にかけるまで追い詰めた奴にやればいい。
まあ、生死の境にいる感じも受けないんだがね。一応ね。
351: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:20:16 ID:8zvTfRZs0
('A`;)「えー、そこでそんな喜色満面で立ち上がんの?」
( ´_ゝ`)「何か?」
('A`)「俺としては『死んでるかもしれないよ、心配じゃないの?』
って言うニュアンスを込めたつもりだったんだけどさあ」
( ´_ゝ`)「基本的に言葉通りに受け止めるよ」
('A`)「そうだった……」
( ´_ゝ`)「行こうぜ」
('A`)「結果オーライだけど腑に落ちねえ」
352: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:21:16 ID:8zvTfRZs0
そして行った先では、二人の見舞い客らしい女のキャットファイト。
しかし、髪の毛振り乱して、般若のような形相で叫ぶ様子は、
可愛らしい猫に例えれたモンじゃない。良くて妖怪の山姥だ。
( ´_ゝ`)「おい鬱田、帰ろうぜ」
('A`;)「いやいや、こんな事になっちゃってるなら、
やっぱ弟者の無事を確認したほうが……」
( ´_ゝ`)「無理、俺は逃げる。人違いで刺されるのは嫌だ」
('A`)「おいおい」
( ´_ゝ`)「じゃな」
('A`;)「俺も置いてくなよ!」
鬱田の足音の後ろに、車輪が回る音がするのは気のせいだ。
うん、気のせいに決まってる。悪夢の幻聴か何かだな。
22.糸冬
22.そして二人だけに
茶柱が沈んだような病院の閑散とした休憩所で、
見慣れた後ろ姿を見つけたので声をかける。
( ´_ゝ`)「鬱田、またここに来たのか」
('A`;)「その言葉そのまま返すっての、お前こそ」
( ´_ゝ`)「あいつ苦手なんだろ? よく来たなって意味」
('A`)「自分の発言が全部ブーメランになってる事に気付け」
( ´_ゝ`)「あー……」
('A`)「やっぱ弟が心配なのか?」
( ´_ゝ`)「へ?」
('A`)「俺はカーチャンに頼まれて病院に来てるけど、
兄者は自主的に来てるように見えるし……」
324: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:49:40 ID:8zvTfRZs0
さて、どう答えよう。YESかNOか。
嘘でも心配してるだなんてまだ吐きたくない。鳥肌が立つ。
しかし鬱田よ、俺があいつをぶち殺せる寸前まで行った騒動に、
何回か強制的に参加させられたってのに、この言い草。
やっぱ鬱田の中では、家族ってのが何を置いても優先される者なのか。
例え、性犯罪を犯して相手の人生をぶち壊しても家族は守るべきものだと、
相手を非難しても守るものと、そんな感じで思っていたりするんだろうか?
それとも、やっぱり兄弟がいないから、父がいないから、
法的にはともかく直接血の繋がった家族がいないから、
双子である俺に何らかの幻想を抱いたりしてるんだろうか?
('A`)「兄者?」
( ´_ゝ`)「あ、すまん。考えてた」
('A`;)「即答できないか」
( ´_ゝ`)「そうだな、無理だ。っつーかな」
('A`)「ん?」
325: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:50:33 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「お前が俺の立場だったら、あいつ許せるの?」
('A`;)「許せねえだろうけどさあ……」
( ´_ゝ`)「内藤は金玉捻り潰すっつってたぞ」
('A`;)「怖いこと言うなよ」
(;´_ゝ`)「内藤が言ったんだってば」
('A`)「ああ、うん、まあ、言うだろうな」
( ´_ゝ`)「もしお前があいつから俺のような事受けたら、
その時どうする? 出来るだけ具体的に」
('A`)「お前みたいな事って?」
( ´_ゝ`)「うーんとな、それじゃあ」
実際にあった出来事でも話すか。
結構長くなりそうだったので、その辺の席に座らせた。
326: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:51:14 ID:8zvTfRZs0
高校三年、新設校だからピンキリ揃いの生徒に先生。
そこでのバイトは、親と教師の両方から許可が降りなきゃ駄目だった。
流石に、教師へのバイト許可を取る説明で『家の家計が苦しくて』、
なんてバッレバレな嘘は言えず、素直に小遣いが欲しくてと言った。
受験も近いし、今の状態の成績を維持する事を条件に、許可は降りた。
糞親父へは、自分で稼いだ金が欲しくて、と説明し軽く『おk』が出た。
ただ、働く場所は選ばせてもらえず、遠い親戚の造園所を手伝う事に。
コンビニなんかの接客業は自信がなかったから、そこでいいと決めた。
造園所で虫に刺されたり、虫を捕まえたり、虫をいじめたりしつつ、
ジャージで土と汗まみれになって仕事する。やりがいはあった。
動物アレルギーは酷いが、生き物は好きだったしな。鼬も狸もいた。
そこにいた雇い主のじいさんも懐が広いと言うか、良い人だった。
俺がうっかり逃げる鼠に気を取られて、追っかけまわしてスッ転んで、
鼠に遊ばれていた時も笑って見ていた。思い切り仕事中だったのにな。
枝切り鋏で腕を切った時も、病院まで連れてってくれた。
もしかしたら家からの圧力があったのかもしれないけど、
俺はその行いを優しいと思ったよ。面倒だったろうに。
327: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:54:54 ID:8zvTfRZs0
で、給料日。
その日は休日で、バイトもなくて、受け取りに行くだけの予定だった。
それで、軽く受け取りに来たといったら、驚いた顔されたよ。
それから眉間に皺を寄せて、『もう給料は渡した』なんてな。
訳がわからなくて説明を求めたら、向こうも様子がおかしい。
俺が来る前日に、何故か俺(?)が珍しく制服でここに来た事、
話がおかしかった事、じいさんを雇い主だとわからなかった事。
そんなに様子がおかしいなら金なんか渡すなよ、と、
目の前のじいさんに今更怒っても仕方ない。
犯人はもうわかっていたので、『弟が迷惑をかけました』
と頭を下げて、じいさんへの評価も下げて、そこを後にした。
328: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:55:36 ID:8zvTfRZs0
家に帰って、いたいけな老人を騙した詐欺師から
金を取り返そうとしたら、もう既に使ったとの事。
( ´_ゝ`)「で、鬱田はどうする?」
('A`;)「えぇえ~……」
( ´_ゝ`)「俺は真正面から喧嘩売ったよ」
('A`)「俺なら……諦めるかな……」
( ´_ゝ`)「マジ?」
('A`)「弟者に勝てそうにない」
( ´_ゝ`)「自分と同じ体格の奴なら?」
('A`)「カーチャンに言いつけて二人で抑え込む」
(;´_ゝ`)「そう来るか」
それはちょっと予想外だ。
可能性としてはあったけど。
329: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:56:30 ID:8zvTfRZs0
('A`)「お前は、その後どうしたんだ?」
( ´_ゝ`)「喧嘩が見つかって糞親父にボコられたよ」
('A`;)「容赦ねーな」
( ´_ゝ`)「なんで昔はあんなの尊敬してたのか謎」
('A`)「金は返ってきたのか?」
( ´_ゝ`)「どう言やいいんだろうなー、そこんとこ」
('A`)「?」
( ´_ゝ`)「えっとな」
330: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:57:30 ID:8zvTfRZs0
返って来たには来たが、俺の金じゃあない。
しかも、渡された状況が状況だ。
暴れて手がつけられないからって、縄でぐるぐる巻きにされ、
身動きとれない状態のまま秋の土倉で一晩放置された。
向こうはすぐ拳を収めたからと、普通に家の中。納得いかねえ。
飯抜きは割とあったので耐えれたが、水抜きは辛い。
身動きはとれないから、服に排泄物垂れ流しだしな。
それで精神的にも肉体的にも疲弊した状態で、朝になった。
父が扉を開き、やっと解放してくれるのかと思いきや、
ポケットに手を突っ込み、目の前に札束を投げられた。
『給料はないが、倍の小遣いやるからこれで我慢しろ』、と。
331: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:58:12 ID:8zvTfRZs0
商才はあるけど、クズだって言われてる親父の本性が判った。
俺の頭がおかしいのは遺伝の可能性もあるって聞いたけど、
多分、いや確実に糞親父からの遺伝子だぜ、これマジで。
人の気持ちを考えられないって部分、絶対そうだって。
嘘でもいいから、『取り返した』っつってほしかったよ。
”自分の力で稼いだ初めての給料”が欲しいんであって、
あんな剥き出しの札束が欲しいわけじゃあなかったんだよ。
しかも、あの泥棒は俺が代わりにボコったから許せと。
許せるワケねーよ。自分の手でぶちのめしたいんだよ。
自分の肌で相手の体温を感じる距離で殴り抜きたいんだよ。
結局、その日はまだ俺が暴れる気があるからって、
札束を目の前に置かれたまま丸一日放置されたな。
飯は、あの泥棒が笑いながら窓から投げ込んだ。
地面は土だから普通に汚れるし、椀はひっくり返るし、
食わせる気なんかゼロだよ。普通に嫌がらせだろうな。
殺意だって湧くさ。むしろ殺意以外の何を抱けと。
悔しくて悔しくて、何かが臨界点突破して涙が出たよ。
高校生の時に泣いたのは、あの一回きりだった。
332: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:59:00 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「こんな感じですな」
('A`;)「壮絶だなあ」
( ´_ゝ`)「そうか?」
('A`)「その代わりの小遣いって、いくらだったんだ?」
( ´_ゝ`)「40万くらいだったかなー」
゙(゚A゚ )
( ´_ゝ`)「あんな金、貯めとくのも取られるのも嫌だったから、
休みの日使ってバイクの免許取りに全部使ったよ」
('A`;)「あ、そ、そう」
( ´_ゝ`)「うん」
('A`)「……」
( ´_ゝ`)「……」
沈黙。喋って喉も渇いたし、鬱田にジュースでも奢るべきか。
333: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 01:59:42 ID:8zvTfRZs0
('A`)「そういやさ」
( ´_ゝ`)「何?」
('A`)「キレるかもしんないけど、いい?」
( ´_ゝ`)「最近、割と沸点高くなったぜ」
('A`)「チラッと聞いたんだけどさ、お前ら、高校の時は、
なんか、それなりに、仲良くて、共闘してたって」
( ´_ゝ`)「………………………………ああ」
('A`;)「間が長ぇ」
( ´_ゝ`)「いやあ、うん。さっき話した事が起きるまでは、それなりに」
('A`)「それなりか」
( ´_ゝ`)「嫌がらせっつーか、喧嘩はしなかったから、多分だけども、
仲は良かったぜ。ただ一緒にいただけ、とも言えるけどな」
('A`)「うーん」
334: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:00:42 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「一緒にいじめっこボコしたのは共闘に入るかもしんねーけど」
('A`)「いじめっこ?」
( ´_ゝ`)「なんか双子ってだけで因縁つけてくる奴らがいたんだよなー」
('A`)「嘘吐け、お前ら逆にいじめる側だろ」
( ´_ゝ`)「鬱田、俺はお前にジュースを奢ろうと思って”いた”んだ」
('A`)「人生色々あるよね!」
(;´_ゝ`)「素直だな。嘘吐きよりはいいが」
('A`)「いちごオレキボンヌ」
( ´_ゝ`)「はいはい死語死語」
('A`)「まだ一部の板で生きてる」
335: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:01:42 ID:8zvTfRZs0
鬱田の所望したいちごオレと、俺が飲む用に適当な水を買う。
紙パックのいちごオレって、匂い嗅いだだけで吐気がするくらい甘いよな。
飲むと昇ってきた臭いで鼻が痒くなるし、とても飲めたモンじゃない。
甘いモノ平気な奴って、舌とか鼻とかどうなってんだろ。
( ´_ゝ`)「はーい、いちごオレ」
('A`)「兄者は水かよ、どうせなら味ついてるの買えよ」
( ´_ゝ`)「いいじゃねーか俺の金なんだし」
('A`)「なんだったっけ、その自販機使った心理テストみたいなの、
どっかであったなあ……なんとか診断て言うの。なんだっけ」
( ´_ゝ`)「いや知らねぇよ」
紙パックにストローを差し、一息でズゴォと飲み干す鬱田。
ダイ○ンもびくっりの吸引力だ。内藤には負けるが。
336: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:02:28 ID:8zvTfRZs0
('A`)「でも、お前らがいじめられっこって考えらんね、特に弟者」
( ´_ゝ`)「まあ、正面からいじめっこが喧嘩売ってきたら買ってたから、
殴り合いで一方的にやられっぱなしってのはなかったな」
('A`)「それただの不良の喧嘩の間違いじゃ」
( ´_ゝ`)「下駄箱に犬の糞、ロッカーに悪戯、サドル盗難。
あと主に男子が聞こえるか聞こえないかのヒソヒソ。
そういう手が届かんとこはどうにもならなかった」
('A`)「ああ、いじめだわ、つーか男子からなのな」
( ´_ゝ`)「そう、だから主に殴り合いが多かった」
('A`)「殴り合いとか俺には無理だわ」
( ´_ゝ`)「んー、お前の病気って特殊なんだろ?」
('A`)「特殊……あんまり見ない病気ではあるな」
( ´_ゝ`)「敗血症、だったっけ」
337: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:03:49 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「説明すれば、学校とかPTAとか教育委員会が、
全力でいじめから庇ってくれそうな案件だけど」
('A`)「その診断降りたの、高校になってから」
( ´_ゝ`)「小中は?」
('A`)「体育教師にヒョロガリチビだからっていじめられた。
皆の前で、一人で体育館一周とか、グラウンド一周とか」
( ´_ゝ`)「うっわぁ」
('A`)「俺の体、運動したって逆に症状悪化するだけだってのに、
ヒョロガリなのは運動しないからだって言われたぜ」
( ´_ゝ`)「その時に敗血症って判ってれば訴えれたのにな」
('A`)「もう遅ーよ」
( ´_ゝ`)「そいつが死んだ時に御祝儀くれてやろうぜ」
('A`;)「やり過ぎじゃね?」
( ´_ゝ`)「俺からしてみれば鬱田が何もしなさ過ぎ」
('A`)「そ、か…………」
338: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:05:36 ID:8zvTfRZs0
ん? 今の空気は沈んでるんだろうか。
この状況。明るくすべきか。
いやでも、たまには暗い部分吐き出さないとな、ストレスになる。
鬱田の口が真一文字になってるから、こっちから話題振るか。
( ´_ゝ`)「そーいや、鬱田はこれ知ってる?
内藤も実はいじめられっこだったんだぜ」
(゚A゚;)「マジで!?」
おっと、予想外の食い付きようだ。
339: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:06:36 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「マジマジ、中学生の時は本当のデブだったから、
主に体の事バカにされていじめられてたよ」
('A`)「小学生は?」
( ´_ゝ`)「ずっと全部同じ学校だったけど、実は小学生の時は
一言も会話したことなかったから、そこんとこわからん」
('A`)「そうか……うん、小中高といじめられてるのは俺だけか」
( ´_ゝ`)「全員にいじめられ経験があるんだから気にすんなよ」
('A`;)「いじめられ経験ってなあ」
340: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:07:18 ID:8zvTfRZs0
('A`)「にしても、兄者はどんな事されたんだよ」
( ´_ゝ`)「さっきのと、カツアゲ、未遂と、リンチ、未遂、パシリ未遂。
あと万引きの濡れ衣未遂と、黒板消し背中に当てられたり」
('A`)「ほぼ未遂ばっかじゃねーか」
( ´_ゝ`)「よく俺らに懲りもせず突っかかってきたいじめっこがさ、
体がデカいだけの頭足りないバカだったんだよねー」
('A`)「体デカい時点で俺は無理」
( ´_ゝ`)「しかもそいつ、廊下や教室でトイレブラシ振り回すんだぜ。
ブラシの水滴がそこかしこに飛び散って、汚ぇわ汚ぇわ。
休憩所の机は全部ひっくり返すし、全員に嫌われてたよ」
('A`)「うわぁ、先生はそれ見て何も言わねーの?」
( ´_ゝ`)「怖い先生の前では、何もやらなかったな」
('A`)「クズい」
341: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:08:02 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「周りにいた取り巻きも、そいつがいない時は、
『あいつマジきたねー』って言って笑ってたし」
('A`)「どっちにしろ近寄りたくねえ」
( ´_ゝ`)「俺だってそうだったよ。女子って不潔な奴を嫌がるから、
女子グループの陰口はあいつの独占市場状態だったな」
('A`)「独壇場」
( ´_ゝ`)「そうとも言う」
('A`)「つーか男子も嫌だろ」
( ´_ゝ`)「だろうな。取り巻きは、あいつの奇行見たくて、
近くで見える場所にいただけかもしれんね」
('A`)「そいつの鈍さがスゲー」
( ´_ゝ`)「自分を中心に世界が動いてると思ってる時は、
周りが自分をどう見てるかなんて気にしないさ」
('A`)「……経験者は語る?」
( ´_ゝ)「気付いた瞬間、夢から覚めたような気分だったなあ」
342: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:09:06 ID:8zvTfRZs0
('A`;)「こうして話してると、お前も全然そうとはわからんぜ。
ネットでよく言われてるようには見えないから大丈夫」
( ´_ゝ`)「……ん?」
('A`)「ど、どうした?」
( ´_ゝ`)「俺、今、慰められてるの?」
('A`)「わからんのか……」
(;´_ゝ`)「すまん、前後が読めないとどうにも」
('A`;)「いや、気にせんでくれ、そうか、こういうのか」
( ´_ゝ`)ノ「冗談は一応理解できるよ! 自分視点で少しだけな!
似てる冗談を言われた経験がなかったり、知らなかったり、
脈絡なく言われると全く理解できずに正面からツッコムけど!」
('A`;)「あんまり病院で声をあげるなよ! 視線が集まるだろ!」
( ´_ゝ)「誰もいないよ?」
343: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:10:01 ID:8zvTfRZs0
('A` )彡
ミ( 'A`)
('A`)「本当に誰もいねえ……」
( ´_ゝ`)「鬱田の声がぼそぼそして聞き取りにくかったのって、
周りに人がいると思って意識的に抑えてたからか?」
('A`)「そういう訳でもないけど、それでいいや。
さっき兄者が話してたやつの続きしようぜ」
( ´_ゝ`)「いじめの話ね」
('A`;)「やめろよ! 俺達がいじめてたみたいにも聞こえるだろ!」
( ´_ゝ`)「何をどうしたって鬱田はいじめられっこにしか見えないから、
そこんとこは安心しとけよ。胸を張っていいんだぜ」
('A`)「え? 俺フォローされてるの?」
( ´_ゝ`)「うん」
('A`)「無自覚の悪意が辛い」
(;´_ゝ`)「貶してるつもりはないんだけど……いいや」
344: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:11:19 ID:8zvTfRZs0
気を取り直して、話を再開。
( ´_ゝ`)「さっきの話、体がデカいだけのバカって奴。
そいつだけ卒業までしぶとく突っかかってきてたよ。
もういじめの対象変わってたのに、飽きずにずっと」
('A`)「弟者にも、か?」
( ´_ゝ`)「だな。便器の水かけられたっつって、すげえキレてた時あった」
('A`)「その時はどうしたんだ?」
( ´_ゝ`)「帰りに二人でボコった」
('A`)「詳細を」
( ´_ゝ`)「そいつの帰り道に草藪があったから、そこに二人で隠れた。
んで、自転車で通りかかったから弟が自転車の前に出て、
相手が減速した隙に俺が蹴り倒した。あとはフルボッコ」
('A`)「わあ……」
345: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:12:10 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「それから自転車パクって、二人乗りでゲーセンある街まで行って、
ゲーセンの前に鍵かけないで乗り捨ててきた。帰りはタクシー」
('A`)「どっちがいじめっこだよ」
( ´_ゝ`)「先に因縁つけて、言い返したら殴りかかってきたのは向こうだ。
やり返して何が悪い。反撃を予想しないアホが悪いんだよ」
('A`)「反撃ねえ、俺も筋肉あればなあ」
( ´_ゝ`)「言うだけ言ってみるのもアリだよ」
('A`;)「勇気が」
( ´_ゝ`)「よく、抵抗したら更にいじめが激しくなるとか聞くが、
無抵抗なら無抵抗で、『こいつなら何してもいい』
って思うからな。やっても変わらんかもしれんけど」
('A`)「なんかさあ、そういう時だけいいよなあ。双子。
二人でいじめっこに立ち向かったんだろ?」
(;´_ゝ`)「そんな綺麗な言葉では収まらねえなあ。
二人の時点で2対1の物量作戦できるから」
('A`)「え?」
346: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:12:52 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「登校初日で因縁つけてきた奴らにさー」
('A`)「初日からいじめとかやってられない高校だな」
( ´_ゝ`)「一週間くらいはいじめのターゲット探しみたいなモンなのにな」
('A`)「それはそれで嫌だ」
( ´_ゝ`)「救いは無ぇよ? そいつら次の日から一人ずつ呼び出して、
教師の目の届かないとこで二人でボッコボコにした。
呼び出しに応じない奴は帰り道で待ち伏せした」
('A`)「不良じゃねーか」
( ´_ゝ`)「ちゃんと最初は話し合いしましたよ? やめろって」
('A`;)「うん、まあ、いじめって言葉では治まらないよね……」
( ´_ゝ`)「教師に言い付けても体罰禁止の時代に
入っちゃってたから無意味だったなー」
('A`)「その時代で、何もしてないのに教師にぶっ飛ばされた」
( ´_ゝ`)「そこは復讐できるんだとポジティブに考えようぜ。
あいつの車のバンパー壊す理由ができた、とか」
('A`;)「俺そんな不良思考じゃないから!」
347: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:14:03 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「不良じゃねーよ俺は成績優良児だよ」
('A`;)「俺だって成績はなんとか上位キープしてたよ! つか、
そういう意味じゃなくて、すぐに暴力に走るっていうその考えが
( ´_ゝ`)「聞きたくなーい」
('A`)「ちょっと聞けって」
( ´_ゝ`)「何もしなくても殴られた家庭で、どう暴力を覚えるなと」
('A`;)「うーん……それは難しいな」
ピーンポーンパーンポーン
( ´_ゝ`)「「!!」」('A` )
業務連絡、業務連絡、コード・ホワイト、3階ナースステーション
348: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:15:44 ID:8zvTfRZs0
( ´_ゝ`)「……」
('A`)「3階、叔父さんいる階じゃないな」
( ´_ゝ`)「よかったね」
('A`)「でも弟者いなかったっけ?」
( ´_ゝ`)「……いたっけ?」
('A`)「いたよね」
( ´_ゝ`)「気の所為じゃないかなあ」
('A`)「間違いないよね」
( ´_ゝ`)「鬱田の記憶違いだったりして」
( 'A`)ロ「カーチャンのメモにちゃんと3階ってあるな」
(;´_ゝ`)「お前のカーチャンがミスったんじゃね?」
('A`)「いや、前はこれ見てちゃんと辿り着いたから」
349: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:16:53 ID:8zvTfRZs0
('A`)「ちょっと行こうぜ」
( ´_ゝ`)「やだ」
('A`)「なんで」
( ´_ゝ`)「面倒」
('A`)「おい」
( ´_ゝ`)「むしろ何故行かなければならないのか知りたい」
('A`)「心配じゃないのか?」
( ´_ゝ`)「死んでほし……」
Σ(;´_ゝ`) ハッ
いやいやいや、待て待て俺。
脊髄反射会話が長引いたから、すっかり考えなくなってた。
ここで肯定してどうすんだ。いやでも否定するのもアレだし。
350: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:17:56 ID:8zvTfRZs0
(;´_ゝ`)「くっ、……あるない?」
('A`)「迷いはわかった」
(;´_ゝ`)「ぐ」
('A`)「迷ってるくらいなら行こうぜ」
( ´_ゝ`)「やだよ」
('A`)「弟者が死んでるかもしれんよ?」
( ´_ゝ`)「死んでる感覚がしない」
('A`)「生死の境を彷徨ってるかもしれないぜ」
(*´_ゝ`)「あっ! それもそうか!」
もし死にかけていたら、蹴りでもお見舞いしてやろう!
諸々の責任は死にかけるまで追い詰めた奴にやればいい。
まあ、生死の境にいる感じも受けないんだがね。一応ね。
351: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:20:16 ID:8zvTfRZs0
('A`;)「えー、そこでそんな喜色満面で立ち上がんの?」
( ´_ゝ`)「何か?」
('A`)「俺としては『死んでるかもしれないよ、心配じゃないの?』
って言うニュアンスを込めたつもりだったんだけどさあ」
( ´_ゝ`)「基本的に言葉通りに受け止めるよ」
('A`)「そうだった……」
( ´_ゝ`)「行こうぜ」
('A`)「結果オーライだけど腑に落ちねえ」
352: ◆T/D40qQ./Q:2013/02/09(土) 02:21:16 ID:8zvTfRZs0
そして行った先では、二人の見舞い客らしい女のキャットファイト。
しかし、髪の毛振り乱して、般若のような形相で叫ぶ様子は、
可愛らしい猫に例えれたモンじゃない。良くて妖怪の山姥だ。
( ´_ゝ`)「おい鬱田、帰ろうぜ」
('A`;)「いやいや、こんな事になっちゃってるなら、
やっぱ弟者の無事を確認したほうが……」
( ´_ゝ`)「無理、俺は逃げる。人違いで刺されるのは嫌だ」
('A`)「おいおい」
( ´_ゝ`)「じゃな」
('A`;)「俺も置いてくなよ!」
鬱田の足音の後ろに、車輪が回る音がするのは気のせいだ。
うん、気のせいに決まってる。悪夢の幻聴か何かだな。
22.糸冬
308:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:23:44 ID:o0svLa/s0
21.不健全な精神に健康なだけの体
ζ(゚Д゚;ζ
(゚<_゚; )
( ;゚_ゝ゚)
病室のドアを開けたら、雪に反射した白い光を浴びて、
真昼間から交尾をしている毛皮のない動物がいた。
具体的には、腐ったバナナを露出している半裸の男と、
鼻が痛くなるぐらいの香水を振り撒いている全裸の女。
いきなり過ぎて思考が追い付かない。眼を逸らせない。
長岡からクソへと渡すように言われた見舞いの漫画が、
ソ○ル○ーターが両手からドサドサと床に落ちる。
310:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:25:10 ID:o0svLa/s0
咄嗟の行動って制御できないよね。
気付いたら口が勝手に動いていた。
(´<_`; )「ちょっ、兄者ドア閉めれ!」
ζ(゚Д゚;ζ「ぁゎゎゎ」
( ;゚_ゝ゚)「ちっ……」
( ;゚_ゝ゚)「 __|__
|ノ┬ _ _/__ -┼- |^7
冫| -十-| | / ノ 十 ,-┼/-、 |/
ノ ノ ヽ|__| >く だぁあ (ル') ヽ_レ ノ ○ 」
(´<_`; )「ちょっ!?」
ζ(;Д;ilζ「ぁゎゎゎ」
311:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:26:54 ID:o0svLa/s0
ソドム在住のアダムとイヴに背を向けて、病室を飛び出す。
(;´_ゝ`)「看護師さん! 看護婦さん! ナースさん!
病室に! この部屋に裸の女が!!」
|゚ノ;^∀^)「え? えぇっ!?」
(;´_ゝ`)「マッパの甘クッサい女が部屋にいたんです!
なんか足折ってる弟も下脱いでたんです!」
|゚ノ;^∀^)「お、落ち着いて、落ち着いてね?」
(;´_ゝ`)「どうしましょうこういうハレンチな時もコードホワイトですか!?
それとも表に出てないだけでコードピンクがあるんですか!?」
|゚ノ;^∀^)「コードピンク?!」
( ;_ゝ;)「汚れたシーツの洗濯代ってこっち持ちなんでしょうか!?
あの女の裸うっかり見た自分は訴えられるんでしょうか?」
|゚ノ ^∀^)「部屋を確認させてね」
(;´_ゝ`)「はい」
312:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:27:51 ID:o0svLa/s0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
※コードホワイト
病院内で主に暴力が振われた時に使われる放送
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
313:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:29:09 ID:o0svLa/s0
あの看護師さんが突入後、猿の断末魔が聞こえたかと思いきや、
全裸の女が服を抱えて部屋を飛び出し、そのままトイレに駆け込んだ。
どうやら鍵をかけて閉じこもったらしいが、その後から人が来るわ来るわ。
もうトイレから出られないんじゃないの? ってくらいに人が集まる。
流石に、病人の野次馬は看護師さん達により蹴散らされたが。
(´<_`; )「外、どうなってる?」
( ´_ゝ`)「糞野郎とクソビッチの化学反応で面倒な事になってんぜ」
(´<_`; )「うわあ……どうしよう……終わった……」
( ´_ゝ`)「お前、多分男性ホルモン強過ぎるから性欲旺盛なんだよ。
病院にいるんだし、いっそここで女性ホルモン打って貰えや」
(´<_`; )「嫌に決まってるだろ! オカマになったらどうすんだ!」
( ´_ゝ`)「一部のジェンダーが突撃してきそうな発言だな」
(´<_` )「はぁーあ、兄者は若いのにマジ枯れてっからなー。
その年で女の裸見ても無反応って、EDなんじゃねーの?」
( ´_ゝ`)「ああ、そういや震災起きてから一回も勃起してねーな」
314:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:30:14 ID:o0svLa/s0
(゚<_゚ )
(;´_ゝ`)「なんだその顔」
(゚<_゚; )「大問題じゃねーか! お前何やってんだよ!
さっさとひつにょうきか行って来いよ!」
( ´_ゝ`)「は? ひつにょうきか?」
(゚<_゚ # )「ちんこ見てもらうとこだよ!」
( ´_ゝ`)「ああ……泌尿器科?」
(゚<_゚ )「へ?」
( ´_ゝ`)「泌尿器科な」
(´<_` )「マジ?」
( ´_ゝ`)9m「ふっへ、ばーかwwwww死ねカスwwwwwww」
(´<_` )「もう隣のクリニックの精神科行けや」
315:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:31:14 ID:o0svLa/s0
そして母親のカウンセリングついでに、俺も精神科の診察を受けた。
震災直後から一回も勃起してない事を簡潔に伝えると、
先生から心因性の勃起不全との診断を受ける。
いつもの安定剤に加えて、何やらビンビンになりそうな薬を数種。
診察受ける前に、その辺の薬局で精力剤を買うべきだったな。
弟はその間、病院からの呼び出しを受けた我が母のヒスを
まともに喰らってた。主に股間と耳のピアスに。ざまあねぇな。
21.糸冬
317:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:32:18 ID:o0svLa/s0時系列 過去→現在
11.1.8.9.2.3.10.4.5.6.7.12.13.14.15.16.17.18.19.20
次からは交互しない
今回の投下はここまで
21.不健全な精神に健康なだけの体
ζ(゚Д゚;ζ
(゚<_゚; )
( ;゚_ゝ゚)
病室のドアを開けたら、雪に反射した白い光を浴びて、
真昼間から交尾をしている毛皮のない動物がいた。
具体的には、腐ったバナナを露出している半裸の男と、
鼻が痛くなるぐらいの香水を振り撒いている全裸の女。
いきなり過ぎて思考が追い付かない。眼を逸らせない。
長岡からクソへと渡すように言われた見舞いの漫画が、
ソ○ル○ーターが両手からドサドサと床に落ちる。
310:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:25:10 ID:o0svLa/s0
咄嗟の行動って制御できないよね。
気付いたら口が勝手に動いていた。
(´<_`; )「ちょっ、兄者ドア閉めれ!」
ζ(゚Д゚;ζ「ぁゎゎゎ」
( ;゚_ゝ゚)「ちっ……」
( ;゚_ゝ゚)「 __|__
|ノ┬ _ _/__ -┼- |^7
冫| -十-| | / ノ 十 ,-┼/-、 |/
ノ ノ ヽ|__| >く だぁあ (ル') ヽ_レ ノ ○ 」
(´<_`; )「ちょっ!?」
ζ(;Д;ilζ「ぁゎゎゎ」
311:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:26:54 ID:o0svLa/s0
ソドム在住のアダムとイヴに背を向けて、病室を飛び出す。
(;´_ゝ`)「看護師さん! 看護婦さん! ナースさん!
病室に! この部屋に裸の女が!!」
|゚ノ;^∀^)「え? えぇっ!?」
(;´_ゝ`)「マッパの甘クッサい女が部屋にいたんです!
なんか足折ってる弟も下脱いでたんです!」
|゚ノ;^∀^)「お、落ち着いて、落ち着いてね?」
(;´_ゝ`)「どうしましょうこういうハレンチな時もコードホワイトですか!?
それとも表に出てないだけでコードピンクがあるんですか!?」
|゚ノ;^∀^)「コードピンク?!」
( ;_ゝ;)「汚れたシーツの洗濯代ってこっち持ちなんでしょうか!?
あの女の裸うっかり見た自分は訴えられるんでしょうか?」
|゚ノ ^∀^)「部屋を確認させてね」
(;´_ゝ`)「はい」
312:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:27:51 ID:o0svLa/s0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
※コードホワイト
病院内で主に暴力が振われた時に使われる放送
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
313:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:29:09 ID:o0svLa/s0
あの看護師さんが突入後、猿の断末魔が聞こえたかと思いきや、
全裸の女が服を抱えて部屋を飛び出し、そのままトイレに駆け込んだ。
どうやら鍵をかけて閉じこもったらしいが、その後から人が来るわ来るわ。
もうトイレから出られないんじゃないの? ってくらいに人が集まる。
流石に、病人の野次馬は看護師さん達により蹴散らされたが。
(´<_`; )「外、どうなってる?」
( ´_ゝ`)「糞野郎とクソビッチの化学反応で面倒な事になってんぜ」
(´<_`; )「うわあ……どうしよう……終わった……」
( ´_ゝ`)「お前、多分男性ホルモン強過ぎるから性欲旺盛なんだよ。
病院にいるんだし、いっそここで女性ホルモン打って貰えや」
(´<_`; )「嫌に決まってるだろ! オカマになったらどうすんだ!」
( ´_ゝ`)「一部のジェンダーが突撃してきそうな発言だな」
(´<_` )「はぁーあ、兄者は若いのにマジ枯れてっからなー。
その年で女の裸見ても無反応って、EDなんじゃねーの?」
( ´_ゝ`)「ああ、そういや震災起きてから一回も勃起してねーな」
314:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:30:14 ID:o0svLa/s0
(゚<_゚ )
(;´_ゝ`)「なんだその顔」
(゚<_゚; )「大問題じゃねーか! お前何やってんだよ!
さっさとひつにょうきか行って来いよ!」
( ´_ゝ`)「は? ひつにょうきか?」
(゚<_゚ # )「ちんこ見てもらうとこだよ!」
( ´_ゝ`)「ああ……泌尿器科?」
(゚<_゚ )「へ?」
( ´_ゝ`)「泌尿器科な」
(´<_` )「マジ?」
( ´_ゝ`)9m「ふっへ、ばーかwwwww死ねカスwwwwwww」
(´<_` )「もう隣のクリニックの精神科行けや」
315:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:31:14 ID:o0svLa/s0
そして母親のカウンセリングついでに、俺も精神科の診察を受けた。
震災直後から一回も勃起してない事を簡潔に伝えると、
先生から心因性の勃起不全との診断を受ける。
いつもの安定剤に加えて、何やらビンビンになりそうな薬を数種。
診察受ける前に、その辺の薬局で精力剤を買うべきだったな。
弟はその間、病院からの呼び出しを受けた我が母のヒスを
まともに喰らってた。主に股間と耳のピアスに。ざまあねぇな。
21.糸冬
317:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:32:18 ID:o0svLa/s0時系列 過去→現在
11.1.8.9.2.3.10.4.5.6.7.12.13.14.15.16.17.18.19.20
次からは交互しない
今回の投下はここまで
275:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:49:08 ID:bu18uDfE0
20.将来設計の最期は安楽死
何故か糞野郎の見舞いに鬱田が立候補した。
やめといたほうが、とメールする前に、病院の廊下でバッタリ出会った。
底辺DQNとの初対面でメンチきられてカツアゲされそうだったってのに、
意識改革でもされたのか、内藤が企画した罰ゲームなのか。
( ´_ゝ`)「本当に大丈夫か? 無理しなくていいんだぞ?」
('A`;)「カーチャンに行けって言われたんだよ。この菓子持たされて。
俺の叔父さんも入院してるからさ。友達のとこにも顔出せって」
( ´_ゝ`)「ああ、ついでか、成程」
('A`)「そりゃ……面と向かって言うのもアレだけど、会いたくはないわ」
( ´_ゝ`)「だろうなあ」
精子スプリンクラーと鬱田は、色々な物事の対極に立っている。
簡単に言ってしまえばヲタクとDQNだな。
276:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:49:52 ID:bu18uDfE0
( ´_ゝ`)「鬱田の母親は、あいつの性格とか知らねーの?」
('A`)「知らないよ。俺の友人の双子の弟としか知らない」
( ´_ゝ`)「口で言うと他人じゃねーか」
('A`)「ですよねー」
( ´_ゝ`)「なんで菓子まで持たせたし」
('A`)「俺に聞かないでくれよ」
( ´_ゝ`)「今メールで伝えたら? あいつの所業とか」
('A`)「してもいいんだけど、多分、お前にまで飛び火しそう」
( ´_ゝ`)「へ? なんで?」
('A`;)「言いにくいけど、双子ってだけで……やっぱ、さあ」
まだ見ぬ鬱田の母にイラッとしたが、そこは抑える。
会う前の段取りとして、鬱田の母に手紙でも送ってやろうか。
同じ家庭で育った双子よりも、別々の家庭に引き取られて育った双子のほうが、
より似通った性質や一致する特徴を持つという事例を5万字くらいに書き連ねて。
277:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:50:47 ID:bu18uDfE0
('A`)「今、眉間にすごい皺を寄せた後に、すごいゲス顔になったぞ。
何企んでやがる。こっちを巻き込むなよ? カーチャン巻き込むなよ?」
( ´_ゝ`)「ゲス顔言うなや。仲良くしようぜ~」
('A`;)「俺、取りあえず叔父さんの見舞い行ってくる!」
( ´_ゝ`)「待て待て。その菓子、代わりに渡しといてやるよ」
('A`;)「ありがとう」
菓子を渡すと、すぐに走り去って行く鬱田。
病院の廊下は走るなよ、危ねーな。
ああ、曲がり角でナースとぶつかるとかどんだけだよ。
お前がいつも呟いてる理想のシチュエーションじゃねえか。
('A`;)「わーすみません! ごめんなさい! 今拾います!」
うん、でも現実での反応なんてそんなモンだよね。
ここで救助に行ったら、逆に鬱田に恥の上塗りをする事になるのかどうか。
ちょっと判断がつかなかったので去る。俺なら手助けされても困るからね。
人の嫌がる事はすんなってばっちゃが言ってた。
278:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:51:42 ID:bu18uDfE0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そして俺は、また迷子になっていた。
|゚ノ ^∀^)「ここですよー」
(; _ゝ )「なんかもう……毎度毎度、すみません」
|゚ノ ^∀^)「いえいえ、ここって広いから迷う方は多いんですよ」
(;´_ゝ`)「はい、ありがとうございました」
|゚ノ ^∀^)「それではー」
そして俺は、また一歩自分が嫌いになった。
方向音痴ってどうやったら直るんだろう。
空間把握能力ってどうやったら身に着くんだ。
(;´_ゝ`)「はーぁあ、菓子の空箱だけ置いて帰るか」
ゲームのマップじゃ迷わないのになー。
なんて考えつつ、ドアを開ける。
279:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:52:47 ID:bu18uDfE0
280:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:53:28 ID:bu18uDfE0
( ´_ゝ`)「んー疲れてんのかな」
堂々と居座ってペットボトルのお茶を飲み干すどころか、
図々しくも菓子と果物まで要求するぬらりひょんがいた。
ガラッ
( ^ω^)「閉めんなお、このクソと二人きりにさせる気かお」
( ´_ゝ`)「お前マジでなんでいんの」
( ^ω^)「暇だからだお」
( ´_ゝ`)「なんでここが分かった?」
( ^ω^)「兄者のお母さんに聞いたらすぐ教えてくれたお」
ガッデム。シット。ジーザスクライシス。
内藤と弟が喧嘩した事あるのは知ってるだろうに、何故教えたし。
281:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:55:08 ID:bu18uDfE0
( ^ω^)「まさか僕もすんなり教えてくれるとは思わなかったお」
( ´_ゝ`)「俺が一番そう思ってたよ」
( ^ω^)「あれじゃないかお。河原での殴り合い後の、
友情効果でも信じてるとかじゃないかお?」
( ´_ゝ`)「少年漫画かよ」
( ^ω^)「信じてるタイプかもしれないお」
自分の母を思い浮かべるが、そんな考えまでは分からない。
少なくとも、少女漫画雑誌LA○Aの読者としてそれは有り得るのか?
( ´_ゝ`)「わかんねぇ」
( ^ω^)「細けぇこたぁいいんだよ! その菓子くれお」
( ´_ゝ`)「これ鬱田の母が弟者に、ってやった菓子だから」
( ^ω^)「ならそれ弟者に食わせちまうのかお?」
( ´_ゝ`)「やるわけねーだろ」
(´<_`; )「オイ!」
砕けた涅槃のポーズをしていた奴が、ようやく動き出した。
282:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:56:06 ID:bu18uDfE0
( ^ω^)「じゃあ僕にくれお」
( ´_ゝ`)「あーうん、お前とそいつで分けて食えよ、ほれ」
(´<_`; )「うわ、投げんな!」
空中でキリ揉み三回転を決めた後、手があるゴミ箱の中に収まる。
そして内藤が開けた箱の中身は、何とケーキだった。
俺が与えた回転の力で、ケーキはギリギリ原形といったところ。
砂糖漬けにされた脳筋と精子脳の瞳がこちらを捉える。
( ^ω^)「おい兄者」
(´<_` )「よし行けブーン」
( ^ω^)+「任せられたお!」
(;´_ゝ`)「え? あっ、ちょま!」
病院だと言うのに、手加減なしのドラゴンスリーパーを決められる。
コードホワイトで警備員を呼ぼうにもナースコールまで届かない。
なんだお前ら、いつの間にそんなに仲良くなってんだ。
それとも食べ物が人と人を繋ぐ絆は何よりも強固だって事か。
283:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:57:07 ID:bu18uDfE0
(´<_` )「このケーキうめー」
( ;^ω^)「あっ! 兄者! 早くギブアップするお! 食われる!」
(;´_ゝ`)「勝手に外せよ、理不尽な……」
ギブアップの意を示して、内藤から解放された頃、
ドアをノックする音が病室に響く。なんか新鮮だ。
そういや俺、ここの部屋にノックしてから入った事ねーな。
( ^ω^)「検温かお? 飯かお?」
(´<_` )「どっちもやったぞデブ」
( ^ω^)「殴られてーのかボケ」
( ´_ゝ`)「どうぞー」
ガラガラガラ.....
('A`;)「し、失礼します……」
( ^ω^)「うお、毒男とは予想外」
284:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:58:08 ID:bu18uDfE0
('A`;)「お邪魔しまーす……」
( ´_ゝ`)「そんな職員室入る時みたいに畏まらなくても」
(´<_` )「職員室ってふいんき(ry じゃねーし、ここ」
( ^ω^)「僕、一応教員免許は持ってるお」
(´<_` )「マジかよ似合わねーな、体育教師か?」
( ´_ゝ`)「筋肉でゴリ押しする先生とか嫌だわ」
( ^ω^)「免許持ってるだけで、別に教師なんかにならねーお」
(´<_` )「なんかイラッときた」
( *^ω^)「免許見たいかお? ふっふ~ん、見 た い か お?」
(´<_` )「すげえイラッとする」
('A`)「入っていいんだよね?」
( ´_ゝ`)「どうぞ」
285:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:59:02 ID:bu18uDfE0
しかしここで問題が発生する。
人数分の座る椅子がないのだ。
(´<_` )「問題じゃねーだろ、誰かベッドに座ればいいだけじゃん」
( ^ω^)「じゃあ弟者の兄弟である兄者さんがベッドに」
( ´_ゝ`)「いやいやここは過去の因縁を片付ける為に鬱田だろ」
( ^ω^)「過去の因縁って言うなら兄者と毒男のほうが先だお」
('A`;)「え、嫌だよ。割と仲良さそうな内藤が座ればいいだろ」
( ^ω^)「僕は割と仲がいいんだから、関係改善の為に僕以外が」
( ´_ゝ`)「病院で喧嘩したらどうすんだ、やっぱ内藤だろ」
('A`)「ああ、でも一応家族なんだし兄者でいいんじゃない?」
(´<_` )「投げやりに言うなや」
286:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:59:46 ID:bu18uDfE0
( ´_ゝ`)「はあ、仕方ない俺が」
( ^ω^)「なら僕が」
('A`)「あ、じゃあ俺も」
鬱田の言葉を聞いた瞬間、内藤が反対側で俺と同じ動きをした。
ベッドの脇に立ち、漫画でよくある執事のように先を促す動きを。
( ´_ゝ`)っ「「どうぞどうぞ」」c(^ω^ )
裏切られた鬱田は、口でガーンと効果音を言いつつ一歩下がる。
('A`;)「は、嵌められた…! あのお決まりの流れじゃないのかよ!」
( ^ω^)「ほら座れお、さっさとこの薄汚いシーツに尻を乗せるお」
( ´_ゝ`)「相手は手負いのチンカスだから心配すんな」
(´<_` )「俺が退院したら覚えてろクズ共」
287:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:00:44 ID:o0svLa/s0
( ´_ゝ`)「病院に参るんじゃなく、病院から参られるのって何て言う?」
( ^ω^)「逆参りとかでいいんじゃないかお」
(´<_` )「焼却炉にでも消えてくれ」
その後、ぐっだぐだの下らないやり取りを数回。
結局顔合わせは済んだと言うことで退室となった。
内藤は鬱田の見舞いのケーキを食い、茶を飲んで終わった。
何も見舞いは持参して来なかったらしい。マジでなんなんだ。
鬱田は結局、弟者とは直接一言も話さないまま退室。
これは仕方ない。部屋に来ただけで及第点をあげていい。
尿瓶に突っ込んだ花束は、まだバレていないようだ。
あいつが自主的に花の水を替えようなんて思うわけがないし、
となると第一発見者は看護師か見舞い客のどちらか、か。
俺の後ろの二人には、その悪戯がバレても問題あるまい。
内藤なんかは、更なる悪戯の提案をしてきそうなくらいだ。
鬱田は、やんわり止めつつも最終的にノってきそうだな。
288:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:01:49 ID:o0svLa/s0
('A`)「外やっぱ寒……バスはまだか」
( ^ω^)「筋肉か脂肪つけろお」
( ´_ゝ`)「無理なの知ってて言うのか。内藤、分けてやれよ」
( ^ω^)「だが断る」
('A`)「バス来るまでお前らのトレーニングの仕方でも聞かせてくれ」
( ^ω^)「うむ、僕は酒呑んでから筋トレしてるお」
( ´_ゝ`)「へー」
('A`)「なんで?」
( ^ω^)「お酒飲むと、少しリミッターが外れて力が出るんだお。
だから僕は筋トレする前に酒呑むお、ちょっとだけ」
('A`;)「酒の成分て筋肉分解するから、筋トレによくないって前に見たぞ」
( ´_ゝ`)「人それぞれだろ、筋トレ前に酒って奴は割と見るぜ。
内藤見ろよ。腹筋とかサイコロステーキじゃねえか」
('A`)「一回パンチした事あるけど、まるでゴムタイヤだわ」
( ^ω^)「もっと褒めろお、筋肉的弱者共め」
289:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:03:04 ID:o0svLa/s0
('A`)「兄者は?」
( ^ω^)「シカトかお」
( ´_ゝ`)「ゲームとかパソコンの読み込みが長い時に、
腕立てとか、スクワットとかだな。あと腹筋」
('A`)「……そんだけ?」
( ´_ゝ`)「内藤にみたいに筋トレが趣味じゃねーしな」
('A`)「それでその体だってのかよチックショウ」
( ´_ゝ`)「毎月必ずやってる全力の喧嘩も筋トレに入るかな?」
( ^ω^)「筋トレじゃねーお、それ実戦だお」
('A`;)「そっか、筋トレ以外にそれやってるからか……」
( ´_ゝ`)「ほぼ不本意だけどな」
( ^ω^)「僕も全力で殴れる動くサンドバックが欲しいお~」
('A`)「そこの電柱は?」
( ^ω^)「なめてんのか。流石に拳が砕けるお」
290:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:03:45 ID:o0svLa/s0
一際強い風が吹き、足元の雪が舞い上がる。
('A`il)「寒! さむ! サム!」
( ´_ゝ`)「連呼すんな余計寒いだろ」
( ^ω^)「軟弱、軟弱ぅ!」
('A`)「足ガックガクだぞ内藤」
( ^ω^)「股引くらい履いて来ればよかったお」
( ´_ゝ`)「そもそも短パンの時点でおかしい」
( ^ω^)「見栄はらなきゃよかったお」
('A`)「張れねーよ、誰に張るんだ」
( ^ω^)「僕を目撃してしまったお前ら以外の誰か」
( ´_ゝ`)「頭おかしい奴と思われるか、『流石はデブ』
としか思われないだろ、どう見てもさあ」
292:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:04:38 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「はぁ~あ二人の反応も冷たいお~
チンだけじゃなく心もキュッとなるお」
( ´_ゝ`)「いきなりシモに転がるなよ」
('A`)「その短パン、ジャージだろ? そりゃ縮まるわ」
( ^ω^)「チンサム~チンサム~ぅ…………はっ」
( ´_ゝ`)「どうした夏野郎」
( ^ω^)「頭の中でペ○スち○こチ○コ連呼してたら、
小学生の時に作った替え歌思い出したお」
微妙に韻を踏んでいた内藤の言葉は、洒落なのかどうなのか。
突っ込んでいいものか、何一つわからなかったので放置する。
('A`)「何の歌?」
( ^ω^)「小学生がひり出す下らねえエロネタだらけの歌だお。
歌ったら先生に殴られた上に廊下に出されたくらいだお」
( ´_ゝ`)「あ~アレか」
( ^ω^)「アレだお、懐いお~」
293:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:05:43 ID:o0svLa/s0
('A`)「下らないって前置きあってもンな事されると気になるわ」
( ´_ゝ`)「ガッカリするかもよ?」
( ^ω^)「確実に呆れるお」
('A`;)「早く歌えよ」
( ^ω^)「うむ、では」
( -ω-)=3 ウォッホン
( ^ω^)「……」
( ´_ゝ`)「……」
('A`)「……」
( ^ω^)「では」
( ´_ゝ`)「はよ」
( ^ω^)「うむ」
294:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:06:24 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「ちん○ま○こどっこさ~♪ う○こさ♪
うん○どっこさ~♪ しり○なさ♪
し~りあ○どっこ
('A`)「もういい」
( ^ω^)「歌いきってないお」
('A`)「いやもういいよ」
(;´_ゝ`)「そだな」
295:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:07:18 ID:o0svLa/s0
大きくなってから改めて聞くと、酷い歌だ。いや、歌と言っていいのか?
これを広義の歌に含めてしまったら、それは酷い侮辱じゃなかろうか。
当時の自分はよくこれで呑気に笑っていられたもんだ。
と言うか、歌詞の意味もわからず、周りが笑うから笑っていただけか。
ん? 待てよ。
まだ保健体育を習わない年齢の児童に卑猥な単語を聞かせるのは、
六法全書にきちんと法律違反であるとあったように記憶している。
あの場合、逮捕されるのは内藤なのか? 親なのか? わからん。
取りあえず、あんな酷いものでバカ笑いできるのは、
テンションが高い時か、酒が入ってる時だけだ。
つまるところ、今の状態はサイレントである。
風の音と救急車の音だけが周囲を支配する。
( ^ω^)「…………」
( ´_ゝ`)「…………」
('A`)「…………」
( ^ω^)「すまんお」
('A`;)「もういいってば」
296:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:08:22 ID:o0svLa/s0
溜め息を吐いて、鬱田が別の話を切り出す。
寒い日にシモい話したって、逆に下半身意識するだけだもんな。
('A`)「内藤って、土産も持たずに何しに来たんだ?」
( ^ω^)「遊びに」
('A`;)「マジで?」
( ´_ゝ`)「それ以外の何だと思ったんだよ」
('A`)「なんかこう、ツンデレ的なアレかと思って……」
_, 、_
( ^ω^)「は?」
('A`;)「いや! 要は! 『アンタなんか心配してないんだからねっ!』
って言いつつ結局病院に来るあたり、それなのかと……」
_, 、_
( ´_ゝ`)「は?」
いやそれ、萌え系の創作物の中だけだろう。そんなの。
現実にツンデレなんていたら、ただの鬱陶しい女だ。
ヤンデレも、現実ではただの自己中メンヘラ女に成り下がる。
フィクションだから、自分の好きなように解釈できるだけで。
298:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:09:50 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「ンなふざけたコト言った覚えはないお」
('A`;)「ニュアンスだよ」
( ^ω^)「どんだけ曲がった表現だお」
( ´_ゝ`)「本人のアレ並に」
('A`)「やめろ、右曲がりなの気にしてんだから」
鬱田のちんこの曲がり方なんて、今初めて知った。
内藤がいぇーいとダブルピースしつつ、さっきの歌の続きを歌う。
それを無視して、鬱田が言葉を吐く。
('A`)「本当に心配してないのか?」
( ^ω^)「うんこ……え?」
('A`)「一応……」
鬱田の視線が、一瞬チラッとこちらに流れた。
なんだ。何のサインだ。わからんぞ。
('A`)「兄者の兄弟だし」
299:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:10:44 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「えっ? 僕が? 友人の弟という他人を? あのクズを?」
('A`;)「クズて」
( ^ω^)「クズじゃんお」
( ´_ゝ`)「生きる価値のない糞袋と呼んでも俺は許すよ?」
(;'A`)「いやいやいや!」
( ^ω^)
( ^ω^)「う」
( ^ω^)「ふふふっふ、うふ」
( ^ω^)「ふ」
300:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:11:25 ID:o0svLa/s0
('A`;)「ブーン?」
( ´_ゝ`)「あー」
( ^ω^)
:( ^ω^): プルプル
ノ
( ^ω^)_ - スゥウウウウウウウ
ヽ
(。 )ω^) プクッ
充分に溜めが入る。
鬱田は呆然としているが、俺の準備は万端だ。
301:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:13:11 ID:o0svLa/s0
ノつ__とヽ
/( ´_ゝ`)|
(;'A`)「兄者、なんで耳塞いで……」
人从人从人从人从人从人从人从人从人从人
(σ^ω^)σ「―――っぷぎゃっはぁああああ!!!11
ンなワケねぇーお!!アリエネぇえええ!!」
WYWYWYWYWYWYWYWYWYWYWYW
(゚A゚;)「!?」
膝を少し折り曲げ、顔の横で両人差し指をこちらに向ける内藤。
よくわからないが、行動にも溜めが入ったせいでやたらウザったい。
耳塞いでなきゃ、確実に頭の中で反響する声だな。
鬱田なんかは完全に硬直している。
( ^ω^)「エフッ、えふっ。あースッキリした」
( ´_ゝ`)「やるならやるって言え」
( ^ω^)「叫びたい気分だったんだおー」
('A`)「……ハッ」
302:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:14:42 ID:o0svLa/s0
割と早い復活を果たした鬱田は、軽く苛立った俺と同じように、
内藤の膝裏に蹴りを入れている。しかしこうかはないようだ・・・
威力が足りないので膝カックンさせれない。
内藤相手なら全力で良いんだぞ鬱田。
('A`#)「いきなり! 叫ぶな! 病院前で!」
( ^ω^)「あぁん怒るポイントそこぉ?」
( ´_ゝ`)「いきなりハイパーボイスくらった事には怒らんのね」
はあ、なんというか。不真面目と生真面目と言うか。
たまにこの二人がつるんでる事が不思議に思えてくるな。
( ´_ゝ`)「まあ、今は冬だからある程度の騒音は雪が吸収してるだろ」
('A`)「そういう問題じゃないから」
え? じゃあどういう問題なんだ。
303:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:15:55 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「毒男の蹴りには気合いが足りぬお……。
兄者、彼の者に手本を見せてやれい」
( ´_ゝ`)ゞ「ラジャー」
('A`)「は? どゆこt
ヒュゴッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そして俺は内藤の左足に前方から全力の蹴りを入れ、
そのまま二人でユーターンし病院のお世話となった。
脛を抑えて悶絶する俺らに危機感を感じた鬱田が、
わざわざ看護師を呼んでくれたのだ。実にありがたい。
304:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:17:00 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「あーあ、無駄に金とられたお~」
( ´_ゝ`)「レントゲンまで撮られるとは思ってなかったわ」
('A`)「アホだろお前ら」
( ^ω^)「うん」
( ´_ゝ`)「知らなかったの?」
俺に向かって手本を見せいと発言した時、
内藤はバス停の標識を指差してたらしい。
そんなん見てなかったよ内藤さん。
つーかそんなモン指差すなや内藤さん。
脛はまだ痛い。こりゃ痣になるな。
20.糸冬
20.将来設計の最期は安楽死
何故か糞野郎の見舞いに鬱田が立候補した。
やめといたほうが、とメールする前に、病院の廊下でバッタリ出会った。
底辺DQNとの初対面でメンチきられてカツアゲされそうだったってのに、
意識改革でもされたのか、内藤が企画した罰ゲームなのか。
( ´_ゝ`)「本当に大丈夫か? 無理しなくていいんだぞ?」
('A`;)「カーチャンに行けって言われたんだよ。この菓子持たされて。
俺の叔父さんも入院してるからさ。友達のとこにも顔出せって」
( ´_ゝ`)「ああ、ついでか、成程」
('A`)「そりゃ……面と向かって言うのもアレだけど、会いたくはないわ」
( ´_ゝ`)「だろうなあ」
精子スプリンクラーと鬱田は、色々な物事の対極に立っている。
簡単に言ってしまえばヲタクとDQNだな。
276:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:49:52 ID:bu18uDfE0
( ´_ゝ`)「鬱田の母親は、あいつの性格とか知らねーの?」
('A`)「知らないよ。俺の友人の双子の弟としか知らない」
( ´_ゝ`)「口で言うと他人じゃねーか」
('A`)「ですよねー」
( ´_ゝ`)「なんで菓子まで持たせたし」
('A`)「俺に聞かないでくれよ」
( ´_ゝ`)「今メールで伝えたら? あいつの所業とか」
('A`)「してもいいんだけど、多分、お前にまで飛び火しそう」
( ´_ゝ`)「へ? なんで?」
('A`;)「言いにくいけど、双子ってだけで……やっぱ、さあ」
まだ見ぬ鬱田の母にイラッとしたが、そこは抑える。
会う前の段取りとして、鬱田の母に手紙でも送ってやろうか。
同じ家庭で育った双子よりも、別々の家庭に引き取られて育った双子のほうが、
より似通った性質や一致する特徴を持つという事例を5万字くらいに書き連ねて。
277:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:50:47 ID:bu18uDfE0
('A`)「今、眉間にすごい皺を寄せた後に、すごいゲス顔になったぞ。
何企んでやがる。こっちを巻き込むなよ? カーチャン巻き込むなよ?」
( ´_ゝ`)「ゲス顔言うなや。仲良くしようぜ~」
('A`;)「俺、取りあえず叔父さんの見舞い行ってくる!」
( ´_ゝ`)「待て待て。その菓子、代わりに渡しといてやるよ」
('A`;)「ありがとう」
菓子を渡すと、すぐに走り去って行く鬱田。
病院の廊下は走るなよ、危ねーな。
ああ、曲がり角でナースとぶつかるとかどんだけだよ。
お前がいつも呟いてる理想のシチュエーションじゃねえか。
('A`;)「わーすみません! ごめんなさい! 今拾います!」
うん、でも現実での反応なんてそんなモンだよね。
ここで救助に行ったら、逆に鬱田に恥の上塗りをする事になるのかどうか。
ちょっと判断がつかなかったので去る。俺なら手助けされても困るからね。
人の嫌がる事はすんなってばっちゃが言ってた。
278:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:51:42 ID:bu18uDfE0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そして俺は、また迷子になっていた。
|゚ノ ^∀^)「ここですよー」
(; _ゝ )「なんかもう……毎度毎度、すみません」
|゚ノ ^∀^)「いえいえ、ここって広いから迷う方は多いんですよ」
(;´_ゝ`)「はい、ありがとうございました」
|゚ノ ^∀^)「それではー」
そして俺は、また一歩自分が嫌いになった。
方向音痴ってどうやったら直るんだろう。
空間把握能力ってどうやったら身に着くんだ。
(;´_ゝ`)「はーぁあ、菓子の空箱だけ置いて帰るか」
ゲームのマップじゃ迷わないのになー。
なんて考えつつ、ドアを開ける。
279:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:52:47 ID:bu18uDfE0
280:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:53:28 ID:bu18uDfE0
( ´_ゝ`)「んー疲れてんのかな」
堂々と居座ってペットボトルのお茶を飲み干すどころか、
図々しくも菓子と果物まで要求するぬらりひょんがいた。
ガラッ
( ^ω^)「閉めんなお、このクソと二人きりにさせる気かお」
( ´_ゝ`)「お前マジでなんでいんの」
( ^ω^)「暇だからだお」
( ´_ゝ`)「なんでここが分かった?」
( ^ω^)「兄者のお母さんに聞いたらすぐ教えてくれたお」
ガッデム。シット。ジーザスクライシス。
内藤と弟が喧嘩した事あるのは知ってるだろうに、何故教えたし。
281:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:55:08 ID:bu18uDfE0
( ^ω^)「まさか僕もすんなり教えてくれるとは思わなかったお」
( ´_ゝ`)「俺が一番そう思ってたよ」
( ^ω^)「あれじゃないかお。河原での殴り合い後の、
友情効果でも信じてるとかじゃないかお?」
( ´_ゝ`)「少年漫画かよ」
( ^ω^)「信じてるタイプかもしれないお」
自分の母を思い浮かべるが、そんな考えまでは分からない。
少なくとも、少女漫画雑誌LA○Aの読者としてそれは有り得るのか?
( ´_ゝ`)「わかんねぇ」
( ^ω^)「細けぇこたぁいいんだよ! その菓子くれお」
( ´_ゝ`)「これ鬱田の母が弟者に、ってやった菓子だから」
( ^ω^)「ならそれ弟者に食わせちまうのかお?」
( ´_ゝ`)「やるわけねーだろ」
(´<_`; )「オイ!」
砕けた涅槃のポーズをしていた奴が、ようやく動き出した。
282:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:56:06 ID:bu18uDfE0
( ^ω^)「じゃあ僕にくれお」
( ´_ゝ`)「あーうん、お前とそいつで分けて食えよ、ほれ」
(´<_`; )「うわ、投げんな!」
空中でキリ揉み三回転を決めた後、手があるゴミ箱の中に収まる。
そして内藤が開けた箱の中身は、何とケーキだった。
俺が与えた回転の力で、ケーキはギリギリ原形といったところ。
砂糖漬けにされた脳筋と精子脳の瞳がこちらを捉える。
( ^ω^)「おい兄者」
(´<_` )「よし行けブーン」
( ^ω^)+「任せられたお!」
(;´_ゝ`)「え? あっ、ちょま!」
病院だと言うのに、手加減なしのドラゴンスリーパーを決められる。
コードホワイトで警備員を呼ぼうにもナースコールまで届かない。
なんだお前ら、いつの間にそんなに仲良くなってんだ。
それとも食べ物が人と人を繋ぐ絆は何よりも強固だって事か。
283:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:57:07 ID:bu18uDfE0
(´<_` )「このケーキうめー」
( ;^ω^)「あっ! 兄者! 早くギブアップするお! 食われる!」
(;´_ゝ`)「勝手に外せよ、理不尽な……」
ギブアップの意を示して、内藤から解放された頃、
ドアをノックする音が病室に響く。なんか新鮮だ。
そういや俺、ここの部屋にノックしてから入った事ねーな。
( ^ω^)「検温かお? 飯かお?」
(´<_` )「どっちもやったぞデブ」
( ^ω^)「殴られてーのかボケ」
( ´_ゝ`)「どうぞー」
ガラガラガラ.....
('A`;)「し、失礼します……」
( ^ω^)「うお、毒男とは予想外」
284:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:58:08 ID:bu18uDfE0
('A`;)「お邪魔しまーす……」
( ´_ゝ`)「そんな職員室入る時みたいに畏まらなくても」
(´<_` )「職員室ってふいんき(ry じゃねーし、ここ」
( ^ω^)「僕、一応教員免許は持ってるお」
(´<_` )「マジかよ似合わねーな、体育教師か?」
( ´_ゝ`)「筋肉でゴリ押しする先生とか嫌だわ」
( ^ω^)「免許持ってるだけで、別に教師なんかにならねーお」
(´<_` )「なんかイラッときた」
( *^ω^)「免許見たいかお? ふっふ~ん、見 た い か お?」
(´<_` )「すげえイラッとする」
('A`)「入っていいんだよね?」
( ´_ゝ`)「どうぞ」
285:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:59:02 ID:bu18uDfE0
しかしここで問題が発生する。
人数分の座る椅子がないのだ。
(´<_` )「問題じゃねーだろ、誰かベッドに座ればいいだけじゃん」
( ^ω^)「じゃあ弟者の兄弟である兄者さんがベッドに」
( ´_ゝ`)「いやいやここは過去の因縁を片付ける為に鬱田だろ」
( ^ω^)「過去の因縁って言うなら兄者と毒男のほうが先だお」
('A`;)「え、嫌だよ。割と仲良さそうな内藤が座ればいいだろ」
( ^ω^)「僕は割と仲がいいんだから、関係改善の為に僕以外が」
( ´_ゝ`)「病院で喧嘩したらどうすんだ、やっぱ内藤だろ」
('A`)「ああ、でも一応家族なんだし兄者でいいんじゃない?」
(´<_` )「投げやりに言うなや」
286:名も無きAAのようです:2013/02/05(火) 23:59:46 ID:bu18uDfE0
( ´_ゝ`)「はあ、仕方ない俺が」
( ^ω^)「なら僕が」
('A`)「あ、じゃあ俺も」
鬱田の言葉を聞いた瞬間、内藤が反対側で俺と同じ動きをした。
ベッドの脇に立ち、漫画でよくある執事のように先を促す動きを。
( ´_ゝ`)っ「「どうぞどうぞ」」c(^ω^ )
裏切られた鬱田は、口でガーンと効果音を言いつつ一歩下がる。
('A`;)「は、嵌められた…! あのお決まりの流れじゃないのかよ!」
( ^ω^)「ほら座れお、さっさとこの薄汚いシーツに尻を乗せるお」
( ´_ゝ`)「相手は手負いのチンカスだから心配すんな」
(´<_` )「俺が退院したら覚えてろクズ共」
287:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:00:44 ID:o0svLa/s0
( ´_ゝ`)「病院に参るんじゃなく、病院から参られるのって何て言う?」
( ^ω^)「逆参りとかでいいんじゃないかお」
(´<_` )「焼却炉にでも消えてくれ」
その後、ぐっだぐだの下らないやり取りを数回。
結局顔合わせは済んだと言うことで退室となった。
内藤は鬱田の見舞いのケーキを食い、茶を飲んで終わった。
何も見舞いは持参して来なかったらしい。マジでなんなんだ。
鬱田は結局、弟者とは直接一言も話さないまま退室。
これは仕方ない。部屋に来ただけで及第点をあげていい。
尿瓶に突っ込んだ花束は、まだバレていないようだ。
あいつが自主的に花の水を替えようなんて思うわけがないし、
となると第一発見者は看護師か見舞い客のどちらか、か。
俺の後ろの二人には、その悪戯がバレても問題あるまい。
内藤なんかは、更なる悪戯の提案をしてきそうなくらいだ。
鬱田は、やんわり止めつつも最終的にノってきそうだな。
288:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:01:49 ID:o0svLa/s0
('A`)「外やっぱ寒……バスはまだか」
( ^ω^)「筋肉か脂肪つけろお」
( ´_ゝ`)「無理なの知ってて言うのか。内藤、分けてやれよ」
( ^ω^)「だが断る」
('A`)「バス来るまでお前らのトレーニングの仕方でも聞かせてくれ」
( ^ω^)「うむ、僕は酒呑んでから筋トレしてるお」
( ´_ゝ`)「へー」
('A`)「なんで?」
( ^ω^)「お酒飲むと、少しリミッターが外れて力が出るんだお。
だから僕は筋トレする前に酒呑むお、ちょっとだけ」
('A`;)「酒の成分て筋肉分解するから、筋トレによくないって前に見たぞ」
( ´_ゝ`)「人それぞれだろ、筋トレ前に酒って奴は割と見るぜ。
内藤見ろよ。腹筋とかサイコロステーキじゃねえか」
('A`)「一回パンチした事あるけど、まるでゴムタイヤだわ」
( ^ω^)「もっと褒めろお、筋肉的弱者共め」
289:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:03:04 ID:o0svLa/s0
('A`)「兄者は?」
( ^ω^)「シカトかお」
( ´_ゝ`)「ゲームとかパソコンの読み込みが長い時に、
腕立てとか、スクワットとかだな。あと腹筋」
('A`)「……そんだけ?」
( ´_ゝ`)「内藤にみたいに筋トレが趣味じゃねーしな」
('A`)「それでその体だってのかよチックショウ」
( ´_ゝ`)「毎月必ずやってる全力の喧嘩も筋トレに入るかな?」
( ^ω^)「筋トレじゃねーお、それ実戦だお」
('A`;)「そっか、筋トレ以外にそれやってるからか……」
( ´_ゝ`)「ほぼ不本意だけどな」
( ^ω^)「僕も全力で殴れる動くサンドバックが欲しいお~」
('A`)「そこの電柱は?」
( ^ω^)「なめてんのか。流石に拳が砕けるお」
290:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:03:45 ID:o0svLa/s0
一際強い風が吹き、足元の雪が舞い上がる。
('A`il)「寒! さむ! サム!」
( ´_ゝ`)「連呼すんな余計寒いだろ」
( ^ω^)「軟弱、軟弱ぅ!」
('A`)「足ガックガクだぞ内藤」
( ^ω^)「股引くらい履いて来ればよかったお」
( ´_ゝ`)「そもそも短パンの時点でおかしい」
( ^ω^)「見栄はらなきゃよかったお」
('A`)「張れねーよ、誰に張るんだ」
( ^ω^)「僕を目撃してしまったお前ら以外の誰か」
( ´_ゝ`)「頭おかしい奴と思われるか、『流石はデブ』
としか思われないだろ、どう見てもさあ」
292:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:04:38 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「はぁ~あ二人の反応も冷たいお~
チンだけじゃなく心もキュッとなるお」
( ´_ゝ`)「いきなりシモに転がるなよ」
('A`)「その短パン、ジャージだろ? そりゃ縮まるわ」
( ^ω^)「チンサム~チンサム~ぅ…………はっ」
( ´_ゝ`)「どうした夏野郎」
( ^ω^)「頭の中でペ○スち○こチ○コ連呼してたら、
小学生の時に作った替え歌思い出したお」
微妙に韻を踏んでいた内藤の言葉は、洒落なのかどうなのか。
突っ込んでいいものか、何一つわからなかったので放置する。
('A`)「何の歌?」
( ^ω^)「小学生がひり出す下らねえエロネタだらけの歌だお。
歌ったら先生に殴られた上に廊下に出されたくらいだお」
( ´_ゝ`)「あ~アレか」
( ^ω^)「アレだお、懐いお~」
293:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:05:43 ID:o0svLa/s0
('A`)「下らないって前置きあってもンな事されると気になるわ」
( ´_ゝ`)「ガッカリするかもよ?」
( ^ω^)「確実に呆れるお」
('A`;)「早く歌えよ」
( ^ω^)「うむ、では」
( -ω-)=3 ウォッホン
( ^ω^)「……」
( ´_ゝ`)「……」
('A`)「……」
( ^ω^)「では」
( ´_ゝ`)「はよ」
( ^ω^)「うむ」
294:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:06:24 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「ちん○ま○こどっこさ~♪ う○こさ♪
うん○どっこさ~♪ しり○なさ♪
し~りあ○どっこ
('A`)「もういい」
( ^ω^)「歌いきってないお」
('A`)「いやもういいよ」
(;´_ゝ`)「そだな」
295:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:07:18 ID:o0svLa/s0
大きくなってから改めて聞くと、酷い歌だ。いや、歌と言っていいのか?
これを広義の歌に含めてしまったら、それは酷い侮辱じゃなかろうか。
当時の自分はよくこれで呑気に笑っていられたもんだ。
と言うか、歌詞の意味もわからず、周りが笑うから笑っていただけか。
ん? 待てよ。
まだ保健体育を習わない年齢の児童に卑猥な単語を聞かせるのは、
六法全書にきちんと法律違反であるとあったように記憶している。
あの場合、逮捕されるのは内藤なのか? 親なのか? わからん。
取りあえず、あんな酷いものでバカ笑いできるのは、
テンションが高い時か、酒が入ってる時だけだ。
つまるところ、今の状態はサイレントである。
風の音と救急車の音だけが周囲を支配する。
( ^ω^)「…………」
( ´_ゝ`)「…………」
('A`)「…………」
( ^ω^)「すまんお」
('A`;)「もういいってば」
296:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:08:22 ID:o0svLa/s0
溜め息を吐いて、鬱田が別の話を切り出す。
寒い日にシモい話したって、逆に下半身意識するだけだもんな。
('A`)「内藤って、土産も持たずに何しに来たんだ?」
( ^ω^)「遊びに」
('A`;)「マジで?」
( ´_ゝ`)「それ以外の何だと思ったんだよ」
('A`)「なんかこう、ツンデレ的なアレかと思って……」
_, 、_
( ^ω^)「は?」
('A`;)「いや! 要は! 『アンタなんか心配してないんだからねっ!』
って言いつつ結局病院に来るあたり、それなのかと……」
_, 、_
( ´_ゝ`)「は?」
いやそれ、萌え系の創作物の中だけだろう。そんなの。
現実にツンデレなんていたら、ただの鬱陶しい女だ。
ヤンデレも、現実ではただの自己中メンヘラ女に成り下がる。
フィクションだから、自分の好きなように解釈できるだけで。
298:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:09:50 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「ンなふざけたコト言った覚えはないお」
('A`;)「ニュアンスだよ」
( ^ω^)「どんだけ曲がった表現だお」
( ´_ゝ`)「本人のアレ並に」
('A`)「やめろ、右曲がりなの気にしてんだから」
鬱田のちんこの曲がり方なんて、今初めて知った。
内藤がいぇーいとダブルピースしつつ、さっきの歌の続きを歌う。
それを無視して、鬱田が言葉を吐く。
('A`)「本当に心配してないのか?」
( ^ω^)「うんこ……え?」
('A`)「一応……」
鬱田の視線が、一瞬チラッとこちらに流れた。
なんだ。何のサインだ。わからんぞ。
('A`)「兄者の兄弟だし」
299:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:10:44 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「えっ? 僕が? 友人の弟という他人を? あのクズを?」
('A`;)「クズて」
( ^ω^)「クズじゃんお」
( ´_ゝ`)「生きる価値のない糞袋と呼んでも俺は許すよ?」
(;'A`)「いやいやいや!」
( ^ω^)
( ^ω^)「う」
( ^ω^)「ふふふっふ、うふ」
( ^ω^)「ふ」
300:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:11:25 ID:o0svLa/s0
('A`;)「ブーン?」
( ´_ゝ`)「あー」
( ^ω^)
:( ^ω^): プルプル
ノ
( ^ω^)_ - スゥウウウウウウウ
ヽ
(。 )ω^) プクッ
充分に溜めが入る。
鬱田は呆然としているが、俺の準備は万端だ。
301:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:13:11 ID:o0svLa/s0
ノつ__とヽ
/( ´_ゝ`)|
(;'A`)「兄者、なんで耳塞いで……」
人从人从人从人从人从人从人从人从人从人
(σ^ω^)σ「―――っぷぎゃっはぁああああ!!!11
ンなワケねぇーお!!アリエネぇえええ!!」
WYWYWYWYWYWYWYWYWYWYWYW
(゚A゚;)「!?」
膝を少し折り曲げ、顔の横で両人差し指をこちらに向ける内藤。
よくわからないが、行動にも溜めが入ったせいでやたらウザったい。
耳塞いでなきゃ、確実に頭の中で反響する声だな。
鬱田なんかは完全に硬直している。
( ^ω^)「エフッ、えふっ。あースッキリした」
( ´_ゝ`)「やるならやるって言え」
( ^ω^)「叫びたい気分だったんだおー」
('A`)「……ハッ」
302:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:14:42 ID:o0svLa/s0
割と早い復活を果たした鬱田は、軽く苛立った俺と同じように、
内藤の膝裏に蹴りを入れている。しかしこうかはないようだ・・・
威力が足りないので膝カックンさせれない。
内藤相手なら全力で良いんだぞ鬱田。
('A`#)「いきなり! 叫ぶな! 病院前で!」
( ^ω^)「あぁん怒るポイントそこぉ?」
( ´_ゝ`)「いきなりハイパーボイスくらった事には怒らんのね」
はあ、なんというか。不真面目と生真面目と言うか。
たまにこの二人がつるんでる事が不思議に思えてくるな。
( ´_ゝ`)「まあ、今は冬だからある程度の騒音は雪が吸収してるだろ」
('A`)「そういう問題じゃないから」
え? じゃあどういう問題なんだ。
303:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:15:55 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「毒男の蹴りには気合いが足りぬお……。
兄者、彼の者に手本を見せてやれい」
( ´_ゝ`)ゞ「ラジャー」
('A`)「は? どゆこt
ヒュゴッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そして俺は内藤の左足に前方から全力の蹴りを入れ、
そのまま二人でユーターンし病院のお世話となった。
脛を抑えて悶絶する俺らに危機感を感じた鬱田が、
わざわざ看護師を呼んでくれたのだ。実にありがたい。
304:名も無きAAのようです:2013/02/06(水) 00:17:00 ID:o0svLa/s0
( ^ω^)「あーあ、無駄に金とられたお~」
( ´_ゝ`)「レントゲンまで撮られるとは思ってなかったわ」
('A`)「アホだろお前ら」
( ^ω^)「うん」
( ´_ゝ`)「知らなかったの?」
俺に向かって手本を見せいと発言した時、
内藤はバス停の標識を指差してたらしい。
そんなん見てなかったよ内藤さん。
つーかそんなモン指差すなや内藤さん。
脛はまだ痛い。こりゃ痣になるな。
20.糸冬
233:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:24:14 ID:.hG7gVG20
19.手こずるのは自分自身の理性と衝動
ヽ( *´_ゝ`)ノ「わっほーい」
嫌いな奴が事故で入院した。当分は車椅子らしい。
手術は無事に終わってしまったが、これは絶好のチャンス。
よく犯罪モノで、
”心配して見舞いに行くフリをして、周囲の同情と感心を集め、
対象を殺害した時に犯人として自分が浮かばないようにする”
というのがある。
その前提を犯さずにさっさと階段からゴートゥヘルさせては、
真っ先に自分が疑われてしまう。それは非常によくない。
幸いにも、弟の入院期間はかなり長い。
確か、大腿骨となんとか骨とかんとか骨の複雑骨折。
あんまり聞かない骨の名前だったから全然覚えてねーや。
ちなみに俺は、弟が車からのダメージを軽減するクッション役を果たし、
手の擦り傷と打ち身だけで済んだ。多分これで今年の運を使いきったな。
234:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:25:03 ID:.hG7gVG20
奴は今のところ車椅子なので、こっちが断然有利だ。
だが、衝動のままボコボコにしてはこっちが不利だ。
俺とあいつの中の悪さ、喧嘩っ早さは周知の事実なので、
いきなり俺があいつに優しくなったら周囲は不審がるだけだろう。
長い期間で、段々と態度を軟化させていくのが重要だ。
車椅子から松葉杖に移るまでは待っていたほうがいい。
それには、俺があいつへの攻撃欲求を抑える必要がある。
( ´_ゝ`)「取りあえず、初めての見舞いだし簡単に済ませとくか」
見舞いの定番と言えば、花、お菓子、果物、退屈しない為の本。
お菓子と果物は駄目だ。あいつは甘味が好きだからな。
ワンホールケーキを1人で平らげるとか、絶対に舌がおかしい。
甘味じゃないとすれば、苦味。辛味。旨味。塩味も微妙だ。
( ´_ゝ`)「あいつの腹に収まるものに金使いたくないし、
食べ物はなしにすっか。鮭とばもやめとこっと」
ここはやはり、嫌らがせで花と本にでもしてやろう。
235:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:25:45 ID:.hG7gVG20
本は、弟が読まないような小説でいいか。
俺が既に読んでしまっていて、汚されても破かれてもいい本。
うん、筒井○○にしよう。
この作者の本は何をどうされても本の味になりそうな気がする。
あとは母に言われたものを鞄に詰めよう。
止まる日もあるようだから、俺の分の着替えも詰め込んで。
( ´_ゝ`)「よし」
旅行鞄をパンパンに膨らましている中身は、
・十○茶を十数本 ・俺厳選の小説
・全員の着替え三日分 ・携帯の充電器
・母厳選のクロスワードパズル懸賞雑誌
こんなモノだ。割と懸賞雑誌がかさばっている。母よ。
濡れ衣を着せる為にエロ本でも紛れこましてやろうと思ったが、
現在足が不自由な弟の手前、すぐにバレそうなのでやめた。
236:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:27:20 ID:.hG7gVG20
( ´_ゝ`)「あとは花か」
花は、不吉な花言葉のやつでも持ってってやろうか。
いやしかし、あいつに花言葉なんて分かるのか?
遠回しな嫌がらせなんて、伝わらねば意味がない。
そもそも、この辺に俺が求める花言葉を持った花が生えてるのか。
(;´_ゝ`)「つか、今、冬か……」
それ以前に季節の問題がある。身近に植物なんてない。
今の季節で元気なものなんて、庭に生えてる針葉樹くらいだ。
仕方ない。花屋で普通に花束でも買ってこう。
花屋なんて一人で入った事ないけど。
デパートまで行くのは面倒だし、市中にある花屋でいいか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
237:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:28:44 ID:.hG7gVG20
( ><)「いらっしゃいませなんです!」
( ´_ゝ`)「へっ?」
個人経営っぽい店から予想外の店員が出て来た。
身長が俺の半分もない。声が幼い。言葉使いが少し変。
デパートの中にあるテナントを素直に選んでおくべきだったか。
(;´_ゝ`)「こ、こんにちはー」
( ><)「こんにちは!」
なんだろう。これでも一応成人している大人なのか。
それとも、この店の子がお手伝い感覚でやっているのか。
うん、触れないようにするべきだな。触らぬ神に祟りなし。
( ><)「どんな花をお求めなんですか?」
( ´_ゝ`)「えーと、身内が怪我して入院しているので、
お見舞い用の花束をお願いできますか?」
( ><)「花束ですね、お見舞い用はこっちなんです!」
238:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:29:51 ID:.hG7gVG20
案内された場所には、バケツに入った花束が3束。
それぞれに、500円、600円、800円と値札が付けられている。
( ><)「これなんです!」
( ´_ゝ`)「うーん」
流石に子供の小遣いで買える値段は、ケチだと言われそうだ。
千円台に届くのがないのは何故だろう。みんな買ってんのか。
冬だからスリップ事故や玉突き事故でも多発してんのか。
( ><)「お求めに応じて、今から手作りもできますよ!」
( ´_ゝ`)「え? そうなんですか?」
( ><)「はい!」
( ´_ゝ`)「それって、いくらかかるんでしょうか?」
( ><)「そちらが掲示した値段に合わせて作るんです!」
( ´_ゝ`)「へええ」
239:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:30:53 ID:.hG7gVG20
いいかもしれない。それにしよう。しかし、いくら払うべきか。
かつての糞親父の退院祝いには、デカい籠から溢れる花が届いた。
滅茶苦茶に盛ったようにしか見えなかったが、それで万単位だと言う。
お見舞いとは言え、ぶっ殺したい奴へ送る花に万単位もかけたくない。
( ><)「どうされますか?」
よし、万の半額にしとこう。
財布から五千円札を取り出し、店員に渡す。
( ´_ゝ`)「これに合わせてお願いします」
( ><)「えっ?」
( ´_ゝ`)「えっ?」
なんだその疑問符。これじゃ足りないのか。
そこのバケツに三桁の花束があるだろうに。
やっぱオーダーメイドだと桁が違うのか、迂闊だった。
240:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:32:08 ID:.hG7gVG20
( ;><)「ちょ、ちょっと待って下さいなんです!」
( ´_ゝ`)「えっ」
五千円札を返される。店員は店の奥に走って行った。
なんだろう。何か別の問題があるのか。
そういや、さっきの店員は札を凝視していたような気がする。
まさかこの札が偽札だったとか言うオチなのか。やべえ。
光に透かそうとしてる間に、店員が駆け戻って来る。
( ><)「お待たせしましたんです!」
(;´_ゝ`)「えっ? あっ、えっ、その」
( <●><●>)「お待たせして申し訳ありません」
( ´_ゝ`)「あ、いえ」
なんかやたらデカいのが来た。背じゃなく目が。
目は苦手だ、眼は。あまり直視しないようにする。
241:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:33:26 ID:.hG7gVG20
( <●><●>)「どれくらいの大きさの花束をお求めですか?」
( ´_ゝ`)「そうですね、これくらいでしょうか」
コンビニにあるゴミ箱サイズのデカい花束なんて求めてない。
せめて花の部分で人の顔が隠れるサイズの花束だな。
そんで、片手で抱えれるくらいの大きさがいい。
( <●><●>)「その大きさなら、2500円で大丈夫ですよ」
( ´_ゝ`)「そうなんですか?」
相場なんてわからない。高いの? 安いの?
使う花によって金額が変動したりしないんだろうか。
まあ、半額が更に半額になったと思えばお買い得か。
( ´_ゝ`)「では、それでお願いします」
( <●><●>)「ワカッテマ……わかりました。少々お待ち下さい」
242:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:34:21 ID:.hG7gVG20
店員が揃って奥に消えて行く。レジはそのままだ。
( ´_ゝ`)「……」
実に不用心だが、まあ、田舎ですし。
窃盗とか、んな事する輩は、ほぼいませんし。
いたら村八分の上に、農業で鍛えた老人達にフルボッコされます。
むしろ、少し隙を見せただけですぐに何かを掠め取ろうとする、
世紀末都会人の恐ろしさよ。……全員がそうとは言わないが。
( ´_ゝ`)「都会こえー」
意味のない独り言を呟きつつ、店内を見て回る。
243:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:35:21 ID:.hG7gVG20
( ´_ゝ`)「ん」
鉢植えのアジサイを見た辺りで、ふと思い出す。
見舞いの時には、必ず切り花にしなくてはいけないという話。
根っこが付いた花は”寝付く”と捉えられて、縁起が悪いとか。
( ´_ゝ`)「これも一緒に買うべきか……」
しかし、店員に見舞い用の花を、と言ってしまった手前がある。
仮に購入したとしても、バスとタクシー経由で行く病院だ。
( ´_ゝ`)「うーむ」
結論としては、『買って持っていくのが面倒くせえ』。
この嫌がらせの案は、今のところ保留で。
( <●><●>)「お待たせしました、如何でしょうか?」
( ´_ゝ`)「おお」
予想していたより大きい。これはいい。重要なのは大きさだ。
センスがないので綺麗かどうかはわからない、大きさが大事だ。
244:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:37:09 ID:.hG7gVG20
金を払い、そのまま持って行こうとしたところを呼び止められる。
外は雪なので、花弁が散らないようにと薄い袋をかけてくれた。
持ち手の部分は、手が濡れないようにと厚い紙で包む。
気がまわる花屋だ。
いや、この花屋ではこの対応は一般常識なのか?
( <●><●>)「ありがとうございました」
( ><)「あじがとうございましだんです!」
噛んだ上に、お辞儀の勢いが良過ぎて帽子が下に落ちる。
目のデカい店員さんは、それを拾って払ってから元に戻した。
( ´_ゝ`)「ありがとう」
軽く手を振って終わる。
あの二人は果たして親子なのか、バイトと店長なのか。
考えても仕方がない上に無益なので、頭からほっぽり出す。
245:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:37:50 ID:.hG7gVG20
しばらく歩いて、そして気付く。
(;´_ゝ`)「こんなデカい花束持ってバス乗ったら、
人の邪魔にしかならねーじゃねーか」
田舎のバスとは言え、冬、市街行き、昼と重なれば、
バスを使おうと乗る老人達がそれなりに多くなる。
こんなモン持って乗ったら、立ってたとしても邪魔になるし、
最悪フレンドリーなおばちゃんに話しかけられるだろう。
そんな面倒はごめん被りたい。
ピッピッピ プル ガチャ
『もしもし、○○タクシーですが…』
( ´_ゝ`)「すみません、花屋の○○○までタクシーを…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
246:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:39:11 ID:.hG7gVG20
(;´_ゝ`)「ふう」
色々あったが、病院に着いた。
まさか渋い顔をしてるタクシー運転手のおっちゃんが、
そこらのおばちゃん並にフレンドリーだとは思わなかった。
名は体を表すと言うが、どうせならちゃんと内面にも頼む。
( ´_ゝ`)「名前と顔だけしか合ってねーよ。渋沢って、さ」
……何事にも、予想外というのはある。
バスの運転手に、車内放送でフレンドリーに話しかけられた事もあったのだ。
タクシーの運転手がそうだと想定していなかったのは、俺の落ち度だな。
とにかく、弟の病室にさっさと入って花束を投げつけよう。
さっきから花束が人の視線を集めて辛い。デカすぎたか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
247:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:40:06 ID:.hG7gVG20
|゚ノ ^∀^)「弟さんの病室はこちらですよー」
(;´_ゝ`)「すみません、迷ってしまって……」
|゚ノ ^∀^)「いえいえー」
うっかり迷って、結核患者の隔離病棟に行きそうになってた俺。
病室の番号も階も知ってたはずなのに、どうもこういうのは駄目だ。
地図の東西南北はわかるけど、自分がどっちを向いてるかはわからない。
苛立ちも込めて、扉を勢いよく開けて目的の人物に花束を投擲。
(´<_`; )「おわっぷ! 何これ! トリカブト!?」
( ´_ゝ`)「花屋で買った普通の花束だよ」
手術後に初めて会った弟は、左足が宙吊りになっていた。
あの器具ってなんか面白そうだよな。なんか遊びたい。
248:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:41:39 ID:.hG7gVG20
(´<_` )「母さんもわかってねーなーマジで。
花なんかで暇が潰せるかっての」
( ´_ゝ`)「それ俺から、母さんは懸賞の雑誌」
(´<_` )「は?」
何はともあれ、水に挿さねば。
備え付けの花瓶に入っていた造花を抜く。
( ´_ゝ`)「……ちっさ」
抜いたはいいが、花瓶が小さ過ぎて花束が入りそうにない。
折角、金まで払って束にしてもらったんだ。
花束をバラしてしまうのは避けたい。
249:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:42:37 ID:.hG7gVG20
(´<_` ;)「え? 何? なんで花束? 兄者が? 俺に?
実は俺だけ医者から知らされてないだけで、
この足に治せねえ後遺症でも残ったとかなの?」
( ´_ゝ`)「は?」
(´<_`; )「え?」
よくわからないが、テンパり始めた奴を置いて鞄の整理。
俺が持って来た小説と、母親の雑誌を備え付けの本棚に並べる。
お茶もまとめて備え付けの冷蔵庫に入れる。入らない分は窓際へ。
それぞれの着替えを取り出して、ベッド下の収納スペースに。
これで、もう鞄は空だ。
(´<_`; )「おーいちょっと聞いてる? 何の意味の花束なの?」
( ´_ゝ`)「うっせぇな」
250:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:43:38 ID:.hG7gVG20
バスが来るまで暇なので、ベッド下に潜り込んで床に転がった。
保護者や家族の泊まりOKの病院なので、持ってきた布団もある。
母親が初日に持ち込んだ荷物で、最早押入れのようだ。
(´<_`; )「なんでベッド下に入るんだよ」
弟は足を吊られて身動きが取れないので、ここまで来ない。
電灯の光が届かない事を除けば、割といい位置だ。
(´<_`; )「おいこら何してる!」
( ´_ゝ`)「物色」
おっ、尿瓶発見。
汚ぇな。
使用済みか?
(´<_`; )「おーい、下から出て来てくんない? 姿見えないと、
何されてっかわかんねーから不気味なんだけど」
どうせならこいつに花束ぶち込んでやるか。
251:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:44:58 ID:.hG7gVG20
ついでだから水に林檎ジュースでも混ぜて、
尿に似た色をつけてもいいかもしれない。
そっちのほうが誤解を招いて、見つかった時が楽しそうだ。
確か今日は吉日か。よし。
思い立ったら行動あるのみ。
(´<_` )「あっ、やっと出て来た……ってオイ、どこ行く」
( ´_ゝ`)「自動販売機」
(´<_` )「あーじゃー俺の分も買ってきてーコーヒー」
無視して部屋を出る。
コーヒー以外だったら、買って目の前で飲み干してやったけどな。
あんな苦い泥水飲む奴の気が知れねーわ。舌おかしいんじゃない。
喫茶店での取引とか商談でコーヒー出されてるのよく見るけど、
飲むと息が臭くなるし……本当コーヒーの存在意義ってわからん。
日本人なら茶でも出しとけ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
252:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:46:34 ID:.hG7gVG20
ガラッ ピシャ
(´<_` )「おー買ってきて……ないよな。当たり前か……」
なんだか勝手に落胆しているのを置いといて、ベッド下へ。
(´<_`; )「おい何やってんだ。顔くらい見せろ」
買ってきた林檎ジュースの紙パックと、水のペットボトルを開ける。
それを、大体半々の用量で尿瓶に注ぐ。色は注ぎ足しで調節。
いつの間にか床に落ちていた花束さんをベッド下に連れ込み、
その体を包むラップを剥ぎ取って、尿瓶にギチギチ押し込む。
(´<_` )「何ガサガサやってんの……不安なんだけど」
( ´_ゝ`)「なんでもねーよ。花を枯れないようにしてただけだ」
ベッドサイドや窓際に置くと入れ物が一発でバレてしまうので、
通行の邪魔にならない位置に、弟の死角になる場所に置く。
253:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:47:39 ID:.hG7gVG20
(´<_` )「そ、そうだったん? ありがとう」
( ´_ゝ`)「死ねカス」
(´<_` )「なんでだよ」
なんだかんだしてる間にバスの時間だ。
ここは市街なので、家の近くにあるバス停よりバスが来る。
家の近くのバス停?
一日で10本来るか来ないかだよ。
( ´_ゝ`)「じゃーな、 往 生 しろよ」
(´<_` )「ハッキリ言いやがって、せめて少しくらいは
空耳で養生と聞こえそうなくらいに言えカス」
空になった鞄を背負って、病室を出る。
254:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:49:49 ID:.hG7gVG20
( ´_ゝ`)「あー、あいつに携帯渡すの忘れたなあ……まいっか」
車に轢かれた時に、弟の携帯はお陀仏していた。
中のデータだけは無事だったらしく、移し替えが済んだのが昨日。
あいつの交友関係と母は、人種が違い過ぎて繋がってないはずなのに、
何故かこの携帯には女達からの見舞いに行く的なメールがガンガン来る。
あいつ、女性関係は落ち着いてたと思ったら、表面だけだったのな。
入院の情報はどっから漏れてんだ。恐ろしいな女性の情報網。
つーか、この複数のメールを読む限り、
『心配だから○○日にお見舞いに行ってもいい?』
と伺うものじゃなくて、
『心配だから○○日にお見舞いに行くね!^^v』
っていうのが大半なんだよな。
相手の都合を考えてないアホな女共ばっかりだねえ。
返信のない状態で押し掛けるバカ女は、一体何人いるのか。
全く、今から修羅場が楽しみ過ぎて笑えてくるぜ。
255:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:51:06 ID:.hG7gVG20
懸念はあれだな。
事故でまた情緒不安定になりつつある我が母が、
女共の修羅場に入ってしまった時どんな反応をするか。
まだ糞親父への殺意と同情と憎悪と憐憫で揺れ動いてる時期だ。
バカ女と我が母がエンカウントした時には血の雨が降るな。
しばらくは、母と一緒の見舞いを避けたほうがいいか。
( ´_ゝ`)「はあーあ、修羅場るついでに誰かあいつを
ぶっ刺して殺してくんねーかなー……」
19.糸冬
19.手こずるのは自分自身の理性と衝動
ヽ( *´_ゝ`)ノ「わっほーい」
嫌いな奴が事故で入院した。当分は車椅子らしい。
手術は無事に終わってしまったが、これは絶好のチャンス。
よく犯罪モノで、
”心配して見舞いに行くフリをして、周囲の同情と感心を集め、
対象を殺害した時に犯人として自分が浮かばないようにする”
というのがある。
その前提を犯さずにさっさと階段からゴートゥヘルさせては、
真っ先に自分が疑われてしまう。それは非常によくない。
幸いにも、弟の入院期間はかなり長い。
確か、大腿骨となんとか骨とかんとか骨の複雑骨折。
あんまり聞かない骨の名前だったから全然覚えてねーや。
ちなみに俺は、弟が車からのダメージを軽減するクッション役を果たし、
手の擦り傷と打ち身だけで済んだ。多分これで今年の運を使いきったな。
234:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:25:03 ID:.hG7gVG20
奴は今のところ車椅子なので、こっちが断然有利だ。
だが、衝動のままボコボコにしてはこっちが不利だ。
俺とあいつの中の悪さ、喧嘩っ早さは周知の事実なので、
いきなり俺があいつに優しくなったら周囲は不審がるだけだろう。
長い期間で、段々と態度を軟化させていくのが重要だ。
車椅子から松葉杖に移るまでは待っていたほうがいい。
それには、俺があいつへの攻撃欲求を抑える必要がある。
( ´_ゝ`)「取りあえず、初めての見舞いだし簡単に済ませとくか」
見舞いの定番と言えば、花、お菓子、果物、退屈しない為の本。
お菓子と果物は駄目だ。あいつは甘味が好きだからな。
ワンホールケーキを1人で平らげるとか、絶対に舌がおかしい。
甘味じゃないとすれば、苦味。辛味。旨味。塩味も微妙だ。
( ´_ゝ`)「あいつの腹に収まるものに金使いたくないし、
食べ物はなしにすっか。鮭とばもやめとこっと」
ここはやはり、嫌らがせで花と本にでもしてやろう。
235:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:25:45 ID:.hG7gVG20
本は、弟が読まないような小説でいいか。
俺が既に読んでしまっていて、汚されても破かれてもいい本。
うん、筒井○○にしよう。
この作者の本は何をどうされても本の味になりそうな気がする。
あとは母に言われたものを鞄に詰めよう。
止まる日もあるようだから、俺の分の着替えも詰め込んで。
( ´_ゝ`)「よし」
旅行鞄をパンパンに膨らましている中身は、
・十○茶を十数本 ・俺厳選の小説
・全員の着替え三日分 ・携帯の充電器
・母厳選のクロスワードパズル懸賞雑誌
こんなモノだ。割と懸賞雑誌がかさばっている。母よ。
濡れ衣を着せる為にエロ本でも紛れこましてやろうと思ったが、
現在足が不自由な弟の手前、すぐにバレそうなのでやめた。
236:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:27:20 ID:.hG7gVG20
( ´_ゝ`)「あとは花か」
花は、不吉な花言葉のやつでも持ってってやろうか。
いやしかし、あいつに花言葉なんて分かるのか?
遠回しな嫌がらせなんて、伝わらねば意味がない。
そもそも、この辺に俺が求める花言葉を持った花が生えてるのか。
(;´_ゝ`)「つか、今、冬か……」
それ以前に季節の問題がある。身近に植物なんてない。
今の季節で元気なものなんて、庭に生えてる針葉樹くらいだ。
仕方ない。花屋で普通に花束でも買ってこう。
花屋なんて一人で入った事ないけど。
デパートまで行くのは面倒だし、市中にある花屋でいいか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
237:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:28:44 ID:.hG7gVG20
( ><)「いらっしゃいませなんです!」
( ´_ゝ`)「へっ?」
個人経営っぽい店から予想外の店員が出て来た。
身長が俺の半分もない。声が幼い。言葉使いが少し変。
デパートの中にあるテナントを素直に選んでおくべきだったか。
(;´_ゝ`)「こ、こんにちはー」
( ><)「こんにちは!」
なんだろう。これでも一応成人している大人なのか。
それとも、この店の子がお手伝い感覚でやっているのか。
うん、触れないようにするべきだな。触らぬ神に祟りなし。
( ><)「どんな花をお求めなんですか?」
( ´_ゝ`)「えーと、身内が怪我して入院しているので、
お見舞い用の花束をお願いできますか?」
( ><)「花束ですね、お見舞い用はこっちなんです!」
238:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:29:51 ID:.hG7gVG20
案内された場所には、バケツに入った花束が3束。
それぞれに、500円、600円、800円と値札が付けられている。
( ><)「これなんです!」
( ´_ゝ`)「うーん」
流石に子供の小遣いで買える値段は、ケチだと言われそうだ。
千円台に届くのがないのは何故だろう。みんな買ってんのか。
冬だからスリップ事故や玉突き事故でも多発してんのか。
( ><)「お求めに応じて、今から手作りもできますよ!」
( ´_ゝ`)「え? そうなんですか?」
( ><)「はい!」
( ´_ゝ`)「それって、いくらかかるんでしょうか?」
( ><)「そちらが掲示した値段に合わせて作るんです!」
( ´_ゝ`)「へええ」
239:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:30:53 ID:.hG7gVG20
いいかもしれない。それにしよう。しかし、いくら払うべきか。
かつての糞親父の退院祝いには、デカい籠から溢れる花が届いた。
滅茶苦茶に盛ったようにしか見えなかったが、それで万単位だと言う。
お見舞いとは言え、ぶっ殺したい奴へ送る花に万単位もかけたくない。
( ><)「どうされますか?」
よし、万の半額にしとこう。
財布から五千円札を取り出し、店員に渡す。
( ´_ゝ`)「これに合わせてお願いします」
( ><)「えっ?」
( ´_ゝ`)「えっ?」
なんだその疑問符。これじゃ足りないのか。
そこのバケツに三桁の花束があるだろうに。
やっぱオーダーメイドだと桁が違うのか、迂闊だった。
240:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:32:08 ID:.hG7gVG20
( ;><)「ちょ、ちょっと待って下さいなんです!」
( ´_ゝ`)「えっ」
五千円札を返される。店員は店の奥に走って行った。
なんだろう。何か別の問題があるのか。
そういや、さっきの店員は札を凝視していたような気がする。
まさかこの札が偽札だったとか言うオチなのか。やべえ。
光に透かそうとしてる間に、店員が駆け戻って来る。
( ><)「お待たせしましたんです!」
(;´_ゝ`)「えっ? あっ、えっ、その」
( <●><●>)「お待たせして申し訳ありません」
( ´_ゝ`)「あ、いえ」
なんかやたらデカいのが来た。背じゃなく目が。
目は苦手だ、眼は。あまり直視しないようにする。
241:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:33:26 ID:.hG7gVG20
( <●><●>)「どれくらいの大きさの花束をお求めですか?」
( ´_ゝ`)「そうですね、これくらいでしょうか」
コンビニにあるゴミ箱サイズのデカい花束なんて求めてない。
せめて花の部分で人の顔が隠れるサイズの花束だな。
そんで、片手で抱えれるくらいの大きさがいい。
( <●><●>)「その大きさなら、2500円で大丈夫ですよ」
( ´_ゝ`)「そうなんですか?」
相場なんてわからない。高いの? 安いの?
使う花によって金額が変動したりしないんだろうか。
まあ、半額が更に半額になったと思えばお買い得か。
( ´_ゝ`)「では、それでお願いします」
( <●><●>)「ワカッテマ……わかりました。少々お待ち下さい」
242:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:34:21 ID:.hG7gVG20
店員が揃って奥に消えて行く。レジはそのままだ。
( ´_ゝ`)「……」
実に不用心だが、まあ、田舎ですし。
窃盗とか、んな事する輩は、ほぼいませんし。
いたら村八分の上に、農業で鍛えた老人達にフルボッコされます。
むしろ、少し隙を見せただけですぐに何かを掠め取ろうとする、
世紀末都会人の恐ろしさよ。……全員がそうとは言わないが。
( ´_ゝ`)「都会こえー」
意味のない独り言を呟きつつ、店内を見て回る。
243:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:35:21 ID:.hG7gVG20
( ´_ゝ`)「ん」
鉢植えのアジサイを見た辺りで、ふと思い出す。
見舞いの時には、必ず切り花にしなくてはいけないという話。
根っこが付いた花は”寝付く”と捉えられて、縁起が悪いとか。
( ´_ゝ`)「これも一緒に買うべきか……」
しかし、店員に見舞い用の花を、と言ってしまった手前がある。
仮に購入したとしても、バスとタクシー経由で行く病院だ。
( ´_ゝ`)「うーむ」
結論としては、『買って持っていくのが面倒くせえ』。
この嫌がらせの案は、今のところ保留で。
( <●><●>)「お待たせしました、如何でしょうか?」
( ´_ゝ`)「おお」
予想していたより大きい。これはいい。重要なのは大きさだ。
センスがないので綺麗かどうかはわからない、大きさが大事だ。
244:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:37:09 ID:.hG7gVG20
金を払い、そのまま持って行こうとしたところを呼び止められる。
外は雪なので、花弁が散らないようにと薄い袋をかけてくれた。
持ち手の部分は、手が濡れないようにと厚い紙で包む。
気がまわる花屋だ。
いや、この花屋ではこの対応は一般常識なのか?
( <●><●>)「ありがとうございました」
( ><)「あじがとうございましだんです!」
噛んだ上に、お辞儀の勢いが良過ぎて帽子が下に落ちる。
目のデカい店員さんは、それを拾って払ってから元に戻した。
( ´_ゝ`)「ありがとう」
軽く手を振って終わる。
あの二人は果たして親子なのか、バイトと店長なのか。
考えても仕方がない上に無益なので、頭からほっぽり出す。
245:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:37:50 ID:.hG7gVG20
しばらく歩いて、そして気付く。
(;´_ゝ`)「こんなデカい花束持ってバス乗ったら、
人の邪魔にしかならねーじゃねーか」
田舎のバスとは言え、冬、市街行き、昼と重なれば、
バスを使おうと乗る老人達がそれなりに多くなる。
こんなモン持って乗ったら、立ってたとしても邪魔になるし、
最悪フレンドリーなおばちゃんに話しかけられるだろう。
そんな面倒はごめん被りたい。
ピッピッピ プル ガチャ
『もしもし、○○タクシーですが…』
( ´_ゝ`)「すみません、花屋の○○○までタクシーを…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
246:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:39:11 ID:.hG7gVG20
(;´_ゝ`)「ふう」
色々あったが、病院に着いた。
まさか渋い顔をしてるタクシー運転手のおっちゃんが、
そこらのおばちゃん並にフレンドリーだとは思わなかった。
名は体を表すと言うが、どうせならちゃんと内面にも頼む。
( ´_ゝ`)「名前と顔だけしか合ってねーよ。渋沢って、さ」
……何事にも、予想外というのはある。
バスの運転手に、車内放送でフレンドリーに話しかけられた事もあったのだ。
タクシーの運転手がそうだと想定していなかったのは、俺の落ち度だな。
とにかく、弟の病室にさっさと入って花束を投げつけよう。
さっきから花束が人の視線を集めて辛い。デカすぎたか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
247:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:40:06 ID:.hG7gVG20
|゚ノ ^∀^)「弟さんの病室はこちらですよー」
(;´_ゝ`)「すみません、迷ってしまって……」
|゚ノ ^∀^)「いえいえー」
うっかり迷って、結核患者の隔離病棟に行きそうになってた俺。
病室の番号も階も知ってたはずなのに、どうもこういうのは駄目だ。
地図の東西南北はわかるけど、自分がどっちを向いてるかはわからない。
苛立ちも込めて、扉を勢いよく開けて目的の人物に花束を投擲。
(´<_`; )「おわっぷ! 何これ! トリカブト!?」
( ´_ゝ`)「花屋で買った普通の花束だよ」
手術後に初めて会った弟は、左足が宙吊りになっていた。
あの器具ってなんか面白そうだよな。なんか遊びたい。
248:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:41:39 ID:.hG7gVG20
(´<_` )「母さんもわかってねーなーマジで。
花なんかで暇が潰せるかっての」
( ´_ゝ`)「それ俺から、母さんは懸賞の雑誌」
(´<_` )「は?」
何はともあれ、水に挿さねば。
備え付けの花瓶に入っていた造花を抜く。
( ´_ゝ`)「……ちっさ」
抜いたはいいが、花瓶が小さ過ぎて花束が入りそうにない。
折角、金まで払って束にしてもらったんだ。
花束をバラしてしまうのは避けたい。
249:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:42:37 ID:.hG7gVG20
(´<_` ;)「え? 何? なんで花束? 兄者が? 俺に?
実は俺だけ医者から知らされてないだけで、
この足に治せねえ後遺症でも残ったとかなの?」
( ´_ゝ`)「は?」
(´<_`; )「え?」
よくわからないが、テンパり始めた奴を置いて鞄の整理。
俺が持って来た小説と、母親の雑誌を備え付けの本棚に並べる。
お茶もまとめて備え付けの冷蔵庫に入れる。入らない分は窓際へ。
それぞれの着替えを取り出して、ベッド下の収納スペースに。
これで、もう鞄は空だ。
(´<_`; )「おーいちょっと聞いてる? 何の意味の花束なの?」
( ´_ゝ`)「うっせぇな」
250:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:43:38 ID:.hG7gVG20
バスが来るまで暇なので、ベッド下に潜り込んで床に転がった。
保護者や家族の泊まりOKの病院なので、持ってきた布団もある。
母親が初日に持ち込んだ荷物で、最早押入れのようだ。
(´<_`; )「なんでベッド下に入るんだよ」
弟は足を吊られて身動きが取れないので、ここまで来ない。
電灯の光が届かない事を除けば、割といい位置だ。
(´<_`; )「おいこら何してる!」
( ´_ゝ`)「物色」
おっ、尿瓶発見。
汚ぇな。
使用済みか?
(´<_`; )「おーい、下から出て来てくんない? 姿見えないと、
何されてっかわかんねーから不気味なんだけど」
どうせならこいつに花束ぶち込んでやるか。
251:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:44:58 ID:.hG7gVG20
ついでだから水に林檎ジュースでも混ぜて、
尿に似た色をつけてもいいかもしれない。
そっちのほうが誤解を招いて、見つかった時が楽しそうだ。
確か今日は吉日か。よし。
思い立ったら行動あるのみ。
(´<_` )「あっ、やっと出て来た……ってオイ、どこ行く」
( ´_ゝ`)「自動販売機」
(´<_` )「あーじゃー俺の分も買ってきてーコーヒー」
無視して部屋を出る。
コーヒー以外だったら、買って目の前で飲み干してやったけどな。
あんな苦い泥水飲む奴の気が知れねーわ。舌おかしいんじゃない。
喫茶店での取引とか商談でコーヒー出されてるのよく見るけど、
飲むと息が臭くなるし……本当コーヒーの存在意義ってわからん。
日本人なら茶でも出しとけ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
252:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:46:34 ID:.hG7gVG20
ガラッ ピシャ
(´<_` )「おー買ってきて……ないよな。当たり前か……」
なんだか勝手に落胆しているのを置いといて、ベッド下へ。
(´<_`; )「おい何やってんだ。顔くらい見せろ」
買ってきた林檎ジュースの紙パックと、水のペットボトルを開ける。
それを、大体半々の用量で尿瓶に注ぐ。色は注ぎ足しで調節。
いつの間にか床に落ちていた花束さんをベッド下に連れ込み、
その体を包むラップを剥ぎ取って、尿瓶にギチギチ押し込む。
(´<_` )「何ガサガサやってんの……不安なんだけど」
( ´_ゝ`)「なんでもねーよ。花を枯れないようにしてただけだ」
ベッドサイドや窓際に置くと入れ物が一発でバレてしまうので、
通行の邪魔にならない位置に、弟の死角になる場所に置く。
253:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:47:39 ID:.hG7gVG20
(´<_` )「そ、そうだったん? ありがとう」
( ´_ゝ`)「死ねカス」
(´<_` )「なんでだよ」
なんだかんだしてる間にバスの時間だ。
ここは市街なので、家の近くにあるバス停よりバスが来る。
家の近くのバス停?
一日で10本来るか来ないかだよ。
( ´_ゝ`)「じゃーな、 往 生 しろよ」
(´<_` )「ハッキリ言いやがって、せめて少しくらいは
空耳で養生と聞こえそうなくらいに言えカス」
空になった鞄を背負って、病室を出る。
254:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:49:49 ID:.hG7gVG20
( ´_ゝ`)「あー、あいつに携帯渡すの忘れたなあ……まいっか」
車に轢かれた時に、弟の携帯はお陀仏していた。
中のデータだけは無事だったらしく、移し替えが済んだのが昨日。
あいつの交友関係と母は、人種が違い過ぎて繋がってないはずなのに、
何故かこの携帯には女達からの見舞いに行く的なメールがガンガン来る。
あいつ、女性関係は落ち着いてたと思ったら、表面だけだったのな。
入院の情報はどっから漏れてんだ。恐ろしいな女性の情報網。
つーか、この複数のメールを読む限り、
『心配だから○○日にお見舞いに行ってもいい?』
と伺うものじゃなくて、
『心配だから○○日にお見舞いに行くね!^^v』
っていうのが大半なんだよな。
相手の都合を考えてないアホな女共ばっかりだねえ。
返信のない状態で押し掛けるバカ女は、一体何人いるのか。
全く、今から修羅場が楽しみ過ぎて笑えてくるぜ。
255:名も無きAAのようです:2013/01/28(月) 23:51:06 ID:.hG7gVG20
懸念はあれだな。
事故でまた情緒不安定になりつつある我が母が、
女共の修羅場に入ってしまった時どんな反応をするか。
まだ糞親父への殺意と同情と憎悪と憐憫で揺れ動いてる時期だ。
バカ女と我が母がエンカウントした時には血の雨が降るな。
しばらくは、母と一緒の見舞いを避けたほうがいいか。
( ´_ゝ`)「はあーあ、修羅場るついでに誰かあいつを
ぶっ刺して殺してくんねーかなー……」
19.糸冬
195:名も無きAAのようです:2013/01/23(水) 23:59:14 ID:zQ/5PdyA0
18.得たものは宇宙人との交信方法
色々あったが、三日もすれば表層意識には大体昇って来なくなる。
イエス鳥頭。忘れっぽいのも前向きに、ポジティブに考えるぜ!
本当に嫌な記憶なら、フラッシュバック予備軍になるしな。
今日は平日なので我が母は仕事。俺はもう仕事を納めたので休み。
弟は母親が勘定したバイトに受かったかどうかの確認で家にいない。
ゴガガガガガガ
( ´_ゝ`)「ふんふっふ~ん」
俺は休日返上で絶賛雪掻き中。手押し除雪機の力は偉大だ。
たまに砂利を巻き込んだ散岩攻撃が出るのは仕方ないとしても、
雪掻きスコップやママさんダンプを使うよりは効率が良い。
前の家も今の家も、田舎なので庭だけは無駄にある。範囲が広い。
人力でちまちまやっていては、日が暮れても終わらない。
自力で金をはたいて買った除雪機は、久々のいい買い物だ。
196:名も無きAAのようです:2013/01/23(水) 23:59:58 ID:zQ/5PdyA0
ただまあ、ずっと雪を飛ばしているだけだと耳が暇だ。
漫画や小説を読んだりしているわけじゃないから、頭が暇だ。
今日の夕食どころか明日の食事まで決まっているから食は考えようがない。
弟に対しては、もう部屋にトラップを仕込み済みなのでやる事がない。
……先週色々とあったから、それ関連の思考は今は控えているのもある。
( ´_ゝ`)「うーん、しかし耳が暇だ。音が欲しい。音楽が欲しい」
耳から入って来る音は、除雪機のエンジン音が9割を占める。
単調な騒音じゃなく曲が欲しいな。
流行りの歌でもいい。
自分の独り言だけだとつまらん。
それさえもエンジンに掻き消される。
たまに竹竿屋や廃品回収のスピーカーが聞こえるが、そういうのはいらない。
糞業者はNGです。あいつら毟っても毟っても生えてくる毒草みたいだよな。
一体何人が騙されたんだろ。最近、祖母も金を騙し取られてたし。
197:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:00:38 ID:cXBc1ujc0
話が逸れた。耳が淋しいんだった。
( ´_ゝ`)「いくつかDLしてもらってたな」
携帯を取り出しサウンドフォルダを開く。内藤が悪意の下に違法DLしてくれたものだ。
選曲が闇しか見えてこない。たまにある恋愛ソングは嫌がらせの一種だろう。
モー○、大○愛、A○B○8。AK○48って、結局似た名前の銃と同じ意味なんだろうか。
( ´_ゝ`)「あ、そういや途中で一時停止した曲があるんだっけ」
音楽や動画を再生中に停止すると、電源が切れない限り、
ずっとその停止した状態を維持し続ける我が愛しの携帯君。
破壊したり水没したり、代替わりが激しいので一般的な機能なのかわからない。
買った次の日に、弟のセフレ()に逆パカされちゃった携帯もいるしな。
腹が立ったからそいつと弟の携帯を川に投げ込んでやったがあの時は…
おっといかんいかん。さっきからどうもズレる。
198:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:01:20 ID:cXBc1ujc0
充電口のところにイヤホン接続端子を挿して、それからイヤホンをぶっ挿す。
ウォークマンもiPodも持ってない自分は、未だに携帯とイヤホンを使っている。
いやだって、音楽聞く為だけにそれ専用の機械買う必要とかなくない?
携帯で代用出来るんならそれでいいと思うが、それは少数派なのか。
( ´_ゝ`)「ま、いいや」
途中で一時停止されていたものを、初めから再生。
小説や漫画はともかく、映像や音楽を途中から聞くのはなんか嫌だ。
( ´_ゝ`)「ふんふっふ~ん」
地吹雪の舞う庭。誰もいないし鼻歌じゃなく直接歌うか。
そう言えば、こっちには地吹雪体験とかあるらしいな。結構賑わってるとか。
わざわざ南のほうから北まで来て、そんなモン体験するとか、アホかと。
もうね、凍って凍れて死ねと笑顔で言いたくなるよ。俺と住む場所交換しろ。
199:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:02:02 ID:cXBc1ujc0
マイナス方向に思考が逸れる。早く歌を聞かなければ。
ピッ ズンドド ドドンドン ~♪
『月がかけていくヘンテコな、よーる』
『ゴムの木のカゲで、目を光らせーて』
『ノドをふくらませて』
『甘いものを食べている』
( ´_ゝ`)「……甘いものを食べていーる」
『私の大切なカメラ今夜』
『君の夢に、誘ってーよ』
『病院の屋根のー上から出発するんだ~ね』
『月面にテーブルを出して』
『楽しい夜の食事』
『ケモノのようなステキな君の食欲』
『夢から帰れーなくなってーも、知らないよ』
200:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:03:02 ID:cXBc1ujc0
相変わらず、意識して聞いても分からない歌詞だ。
決まった意味なんてない個人的解釈を勧めてる歌かもしれない。
俺としては頭のおかしい人の歌と単純に考えている。
それ以外に何かあるなら、どうぞどっかの議論スレへ。
俺は後半のリズムが好きなので、前半は聞き流す。
『星と星のスキマの暗闇へと』 ~♪
『手を伸ばしているんだーね』
『消えてしまうつもりなんだね』
『消えてしまうその行く先でそっと、歳をとっていくんだね』
『月がかけていくヘンテコな、よーる』
( ´_ゝ`)「…………………、よーる」
『ゴムの木のカゲで、目を光らせて』
( ´_ゝ`)「………で、目を光らせて」
『ノドをふくらませて』
( ´_ゝ`)「らませて」
201:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:03:51 ID:cXBc1ujc0
『甘いものを喰べている』 ~♪ ズドドドd>
( ´_ゝ`)「甘いものを喰べていーる」『私の大切なカメラあぁあぁー』
( ´_ゝ`)「土星にビールを冷やしておいて火星で肉をゆでてー」
( ´_ゝ`)ノ「この夜が死ぬ前にゼラチンのデザート」
(*´_ゝ`)ノシ「ねー見て☆※△がやーぶけちゃったよはははーはははぁ」
( ´_ゝ`)「私の大切なカメラ、どこへ、行ってしまったの?」
( ´_ゝ`)シ「おー願いだよ帰ってきてー」『あっ、帰ってきた』
ヽ(*´_ゝ`)「ああずみのーよたのせゆくぜるぶにひ!」
ヾ(*´_ゝ`)「んぜんざぷらずめみゅんげばーときそ!」
(*´_ゝ`)ノ「いぞんげやーいんぎょ!」
202:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:04:33 ID:cXBc1ujc0
~♪ ゴガガガガガg>
203:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:05:21 ID:cXBc1ujc0
(´<_`; )「く、狂った?」
( ´_ゝ)「ねーよ」
ぐぬぬ、接近に気付かなかったとは。不覚。
服装からしてバイト帰りか。灰色のスーツはいいとして、
その下のシャツがピンクなのは目を瞑ってやるべきか。
そして、行く時よりもアクセサリーが増えてるのは何事だ。
昼食とタクシー代として持たせてやったのにこの糞野郎が。
つーか、あれ? 手元に除雪機がない。どこいった。
(´<_` )σ「除雪機だったら、さっきから向こん杉とば削ってんぜ」
( ´_ゝ`)「わいは」
いつの間にか、除雪音が破砕音に変わっている。
音源は、太い杉の木に熱いベーゼをかます除雪機君。
どう見ても幹を抉っています本当にありがとうございました。
<(;´_ゝ`)>「やってまった……!」
一応、我が母の味方とは言え父方の親戚から借りた家だ。
これは不味い。除雪機まで走って急いでエンジンを切る。
204:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:06:32 ID:cXBc1ujc0
除雪機をどかして傷を確認すると、それほど抉れてはいない。
表皮が剥げたくらいだ。人の怪我に例えるならば、酷い擦り傷。
人。ヒトか。
除雪機が道路までアウェイして、人体をもみじおろしにしたり、
ストロベリージャムやトマトジュースを撒き散らさなかっただけいいか。
毎年とは言わないが、2年に一度くらいは誰かがゴリッと喰われてるからな。
(´<_` ) ))「何しちゅーんずマジで」
( ´_ゝ)「雪とば掻いでだら……」
( ´_ゝ`) (´<_` )
(#´_ゝ`)「訛んな!」
(´<_` )「今更ー、気にすんなよ地元で」
そういう問題じゃない。除雪機さんこいつ喰って下さい。
205:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:07:13 ID:cXBc1ujc0
(#´_ゝ`)「俺がたげ、どんだ……どれだけ頑張っててぎん……
面倒な方言とば……方言を……しかへで……」
(´<_` )「あーうんうん」
(;´_ゝ`)「人に、人に……教えて……ふとず……じゃなくて」
゙(´<_` ) ピッピッ(携帯操作音)
(; _ゝ )「同じ、言葉と……を、は、なせるように、なった、と」
(´<_` )「あーうん頑張った頑張った、撫でなでしてやろうか?」
(# _ゝ )「」
腹立つが、おろし立てのスーツを破くわけにはいかない。
( ´_ゝ`)「そったらだものいらねーはんでけぇろ」
(´<_` )「訛り直す諦めが早いな……宇宙人と交信した影響か?」
( ´_ゝ`)「は?」
ρ(´<_`; )「なんだよこのミステリーサークル」
( ´_ゝ`)「へ?」
206:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:08:47 ID:cXBc1ujc0
幾何学模様とも言い張れない、複雑な軌跡が庭一面に広がる。
今日は星辰が揃うので向こうと交信を試みました、という言い訳が通じそうだ。
怪しい宗教に属するようなヤバい人限定でしか効かないが。
(;´_ゝ`)「わお」
(´<_` )「何してこうなったんだよ、俺の面接失敗でも祈ってたのか?」
( ´_ゝ`)「んな事したら家に金が入らなくなるだろーが。
ただ単に歌聞いてたらテンション上がっただけだよ」
(´<_` )「そうだったのか……面白そうだから録画しときたかったな」
( ´_ゝ`)「さしねえ死ね」
(´<_` )「代わりに俺の動画取らせてやるよ、ネットに晒すのはなしな」
(#´_ゝ`)「だったらいらねっつの!」
最近、こいつの女性関係も一時的とは言え落ち着いてきたので、
我が母からの通達もあり、殴る蹴る夜襲をかける等の暴力は控えていた。
207:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:10:13 ID:cXBc1ujc0
悪い行いをやめたからといって、迷惑を被った方はすぐには納得できない。
いじめと同じだ。やめたからと言って、そいつにすぐ好感情を抱くわけない。
つまるところ、こいつが友好的(?)な態度を見せても殴り飛ばしたいのだ。
友好的と言うより、前よりも絡んでくるようになっただけだが。
(´<_` )「なんだよもー」
( ´_ゝ`)「こっちの台詞だよ」
例えば、貯金箱や財布の中の有り金どころか通帳さえパクった相手が、
「俺達ゼロからやり直そうぜ!」と言いながら借金をチャラにしようとしてくる。
その相手は殺したい程に憎い奴だ。
他の人はそれでも許せるだろうか。
歯磨き粉や歯ブラシのCMのように、笑顔で白い歯をキラめかせて、
爽やかにサムズアップしても許せるか? 俺なら顔面を殴りに行く。
友人、内藤もこんな弟がいたら金玉を捻り潰すと言っていた。
あの行いを許せる奴がいたら、そいつは聖人か白痴なんだろう。
211:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:57:40 ID:cXBc1ujc0
(´<_`* )「そうだ! 給料前借りで貰ったんだぜ!」
( ´_ゝ`)「それ、お前が逃げたらきつい仕置きでもする時の
理由にする為に渡したとかじゃねーの?」
(´<_` )「なんでもいいや、飯奢るぜ」
( ´_ゝ`)「明日は雪の重みで家が潰れそうだな」
(´<_` )「俺のバイト先の近くにある作業小屋も潰れてて、
仕事に行ってもしばらくは片付けが仕事だってさ」
( ´_ゝ`)「力仕事か」
バイト先はじーさんばーさんばかりだし、力仕事なら女性もいないだろう。
こいつの下半身に直結している脳みそが暴走する危険も低い。
212:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:58:20 ID:cXBc1ujc0
(´<_` )「ガ○トに行こうぜ」
( ´_ゝ`)「そんなシャツ着てる奴と一緒に外出したくないわ」
(´<_` )「どこがおかしいってんだよ」
( ´_ゝ`)σ「せめてそのピンクのシャツ脱げや」
(´<_` )「ピンク? ……白だと思ってた」
( ´_ゝ`)「は?」
(´<_` )「まーいーや、着替えたら出掛けるんだよな」
( ´_ゝ`)「いやどっちにしろ行かねーよ、雪掻き終わってねーし」
(´<_` )「後にすりゃいいだろ」
( ´_ゝ`)「後からなら手伝ってくれんの?」
(´<_` )「いいや?」
( ´_ゝ`)「凍え死ね」
213:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:59:17 ID:cXBc1ujc0
(´<_` )「いいじゃねーか、タダ飯なんだから釣られても」
( ´_ゝ`)「お前に渡した昼食代とタクシー代は俺の金なんスけど?」
(´<_`* )「あ、そーだ! セカ○ドスト○ートで結構イケてんの見つけたから、
こんなん買ってみたんだけど! 兄者にもやるよ!」
じゃらっとネックレスやらピアスやらアンクレットetc.を取り出す愚弟。
氷点下の気温と同調して、俺のテンションも下がって行く。
( ´_ゝ`)「……それ誰の金だ」
(´<_` )「お前の、だからお前の分も買ったしこれで
除雪機君を弟の方へ向けて、エンジンをかける。
いつまでも品名呼びだと味気ないから名前をつけよう。みち子。
(´<_`; )「っちょ!?」
( ´_ゝ`)「お前さー足なんかあるから、下半身あるから余計な事すんだよ。
いっそ無くして障害年金貰えるようになったほうがいいだろ」
(´<_`; )「金は欲しいけど車椅子にはなりたくねーよ!」
215:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:03:55 ID:cXBc1ujc0
弟のほうへ突進しようとするが、律儀に足元の雪を除雪するみち子。
杉の木の周りはハムスターの墓もあるし、後回しにしてたからな。
仕方がないので持ち上げて振り回そうとするが、回転刃が爪先を削る。
靴下がギザギザの部分に引っ掛かって、そのまま巻き取られた。
(;´_ゝ`)「あっぶねぇ死ぬ!」
(´<_` )「見てて面白いけどもうやめろよ」
仕方がないので、みち子のエンジンを切って両手で持ち上げる。
その体勢で、弟に向かってオーバースロー。肩がイカれそう。
当たらなくても、着地点は雪が深いのでみち子は大丈夫だ。
(゚<_゚ ; )「あっぶねぇ死ぬ!」
( ´_ゝ`)「避け方面白かったけど避けるなよ」
216:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:09:23 ID:cXBc1ujc0
腰まである雪に、ズブズブと自重で沈むみち子。
それを尻目にキレる弟。掘り出すのが苦労しそうだ。
(´<_`# )「ふざけんな死ね! 俺の良心を踏み躙りやがって!」
もうスーツの事などお互いの頭の中にはない。
( ´_ゝ`)「悪意でなかったとしても、厚かましさしか感じねーよ」
喧嘩の構えを取ろうと踏ん張ったら、左足が滑った。
具体的にはみち子に靴下をむしゃられた方の足が。
(;´_ゝ゚)「うぇっ!?」
(´<_` )「よっしゃ!」
片膝をついた体勢で碌な抵抗ができるはずもなく、
突進を受け止めて積もった雪の上に押し倒される。
押し返そうにも柔らかい雪のせいで体が沈む。これはやばい。
217:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:15:46 ID:cXBc1ujc0
(´<_`; )「うわ俺まで沈む! この辺ヤバ!」
(#´_ゝ`)「ならどけカス!」
(´<_` )「誰がどくかよ。やる気なくすまで抑え込んでやる」
いやいやいや窒息する。
その前に凍れる。
凍傷になる。
マウントされたせいで上半身は腹筋で起こせないくらい沈んだ。
両足は踏ん張ろうにも雪に沈むだけだ。殴ろうにも腕を抑えられている。
せめて顔がもうちょっと近けりゃ顎に頭突きかましてやるのに。
(# _ゝ )「ふんぐぐぐぐぐ……」
(´<_`# )「こっの馬鹿力が……」
力任せにしても状況は変わらない。全体重をかけて押さえ込んで来る。
重力が味方してる分、どうやったって相手が有利だ。
220:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:25:20 ID:cXBc1ujc0
腕に力を入れつつ考える。
周りの雪のお陰で思考はそこまで暴走してない。
雪に沈んでるとはいえ、ここまで体が沈むくらいの雪だ。
今日振り立てのものだから、そこまで固くはない。
雪の中でもそれなりに動かせるんじゃないか?
体力が切れる前に実行あるのみ。
弟と対抗する為に腕に込めてる力の向きを、地面へ変える。
(´<_`; )「うぉっとお!?」
(#´_ゝ`)「っしゃ!」
腕は簡単に雪の中に沈んだ。
抑えつけられている腕の力が緩む。
221:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:32:51 ID:cXBc1ujc0
その隙に両腕を上に引き抜く。
わかりやすく言うとバンザイの体勢。
(´<_`; )「げ」
(#´_ゝ`)「死ね」
バランスを崩して前に倒れる弟の頭を両手で抱え込み、全力で頭突く。
重力と俺が両手で引き寄せる力も加算されているのでかなりの威力だ。
下手にパンチするよりも頭突きのほうがダメージが大きい。
なんてったって固いからな。自爆する可能性も低くはないが。
悶絶する弟を横に蹴り飛ばして、雪藪から脱出する。
背中側から大分、雪が服の中に入った。寒い。冷たい。
222:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:40:42 ID:cXBc1ujc0
( <_ #;)「くっそ……この石頭」
( ´_ゝ`)「うっせぇ」
流石に喧嘩慣れしてるだけあって立ち上がるのが早い。
そのまま固い雪の上で互いに滑りつつ殴り合った。
傍から見れば、気温も相俟ってただの寒いコントだろう。
マウントを取り合い、尖ったつららで切り合い、氷玉を投げ合い、
アホみたいに殴り合って二人で門先まで転がっていったところ。
ブォォォオン.......バキュボキョ ズザザザザ
(゚<_゚ ; )「ふぎょお!」
(;´_ゝ`)「いだだだだ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃあああああちょっとアンタ達!」
帰宅した我が母のマイカーに轢かれた。
223:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:43:29 ID:cXBc1ujc0
その後、人生で初めて救急車を呼んだ。
痛みに悶える弟と錯乱する母が使い物にならなかったのだ。
……あんな場所で喧嘩していた俺達が全面的に悪いのは判る。
車に乗ってると死角になるのは、全快した後に教えてもらった。
入院後の話は、また次回。
18.糸冬
18.得たものは宇宙人との交信方法
色々あったが、三日もすれば表層意識には大体昇って来なくなる。
イエス鳥頭。忘れっぽいのも前向きに、ポジティブに考えるぜ!
本当に嫌な記憶なら、フラッシュバック予備軍になるしな。
今日は平日なので我が母は仕事。俺はもう仕事を納めたので休み。
弟は母親が勘定したバイトに受かったかどうかの確認で家にいない。
ゴガガガガガガ
( ´_ゝ`)「ふんふっふ~ん」
俺は休日返上で絶賛雪掻き中。手押し除雪機の力は偉大だ。
たまに砂利を巻き込んだ散岩攻撃が出るのは仕方ないとしても、
雪掻きスコップやママさんダンプを使うよりは効率が良い。
前の家も今の家も、田舎なので庭だけは無駄にある。範囲が広い。
人力でちまちまやっていては、日が暮れても終わらない。
自力で金をはたいて買った除雪機は、久々のいい買い物だ。
196:名も無きAAのようです:2013/01/23(水) 23:59:58 ID:zQ/5PdyA0
ただまあ、ずっと雪を飛ばしているだけだと耳が暇だ。
漫画や小説を読んだりしているわけじゃないから、頭が暇だ。
今日の夕食どころか明日の食事まで決まっているから食は考えようがない。
弟に対しては、もう部屋にトラップを仕込み済みなのでやる事がない。
……先週色々とあったから、それ関連の思考は今は控えているのもある。
( ´_ゝ`)「うーん、しかし耳が暇だ。音が欲しい。音楽が欲しい」
耳から入って来る音は、除雪機のエンジン音が9割を占める。
単調な騒音じゃなく曲が欲しいな。
流行りの歌でもいい。
自分の独り言だけだとつまらん。
それさえもエンジンに掻き消される。
たまに竹竿屋や廃品回収のスピーカーが聞こえるが、そういうのはいらない。
糞業者はNGです。あいつら毟っても毟っても生えてくる毒草みたいだよな。
一体何人が騙されたんだろ。最近、祖母も金を騙し取られてたし。
197:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:00:38 ID:cXBc1ujc0
話が逸れた。耳が淋しいんだった。
( ´_ゝ`)「いくつかDLしてもらってたな」
携帯を取り出しサウンドフォルダを開く。内藤が悪意の下に違法DLしてくれたものだ。
選曲が闇しか見えてこない。たまにある恋愛ソングは嫌がらせの一種だろう。
モー○、大○愛、A○B○8。AK○48って、結局似た名前の銃と同じ意味なんだろうか。
( ´_ゝ`)「あ、そういや途中で一時停止した曲があるんだっけ」
音楽や動画を再生中に停止すると、電源が切れない限り、
ずっとその停止した状態を維持し続ける我が愛しの携帯君。
破壊したり水没したり、代替わりが激しいので一般的な機能なのかわからない。
買った次の日に、弟のセフレ()に逆パカされちゃった携帯もいるしな。
腹が立ったからそいつと弟の携帯を川に投げ込んでやったがあの時は…
おっといかんいかん。さっきからどうもズレる。
198:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:01:20 ID:cXBc1ujc0
充電口のところにイヤホン接続端子を挿して、それからイヤホンをぶっ挿す。
ウォークマンもiPodも持ってない自分は、未だに携帯とイヤホンを使っている。
いやだって、音楽聞く為だけにそれ専用の機械買う必要とかなくない?
携帯で代用出来るんならそれでいいと思うが、それは少数派なのか。
( ´_ゝ`)「ま、いいや」
途中で一時停止されていたものを、初めから再生。
小説や漫画はともかく、映像や音楽を途中から聞くのはなんか嫌だ。
( ´_ゝ`)「ふんふっふ~ん」
地吹雪の舞う庭。誰もいないし鼻歌じゃなく直接歌うか。
そう言えば、こっちには地吹雪体験とかあるらしいな。結構賑わってるとか。
わざわざ南のほうから北まで来て、そんなモン体験するとか、アホかと。
もうね、凍って凍れて死ねと笑顔で言いたくなるよ。俺と住む場所交換しろ。
199:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:02:02 ID:cXBc1ujc0
マイナス方向に思考が逸れる。早く歌を聞かなければ。
ピッ ズンドド ドドンドン ~♪
『月がかけていくヘンテコな、よーる』
『ゴムの木のカゲで、目を光らせーて』
『ノドをふくらませて』
『甘いものを食べている』
( ´_ゝ`)「……甘いものを食べていーる」
『私の大切なカメラ今夜』
『君の夢に、誘ってーよ』
『病院の屋根のー上から出発するんだ~ね』
『月面にテーブルを出して』
『楽しい夜の食事』
『ケモノのようなステキな君の食欲』
『夢から帰れーなくなってーも、知らないよ』
200:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:03:02 ID:cXBc1ujc0
相変わらず、意識して聞いても分からない歌詞だ。
決まった意味なんてない個人的解釈を勧めてる歌かもしれない。
俺としては頭のおかしい人の歌と単純に考えている。
それ以外に何かあるなら、どうぞどっかの議論スレへ。
俺は後半のリズムが好きなので、前半は聞き流す。
『星と星のスキマの暗闇へと』 ~♪
『手を伸ばしているんだーね』
『消えてしまうつもりなんだね』
『消えてしまうその行く先でそっと、歳をとっていくんだね』
『月がかけていくヘンテコな、よーる』
( ´_ゝ`)「…………………、よーる」
『ゴムの木のカゲで、目を光らせて』
( ´_ゝ`)「………で、目を光らせて」
『ノドをふくらませて』
( ´_ゝ`)「らませて」
201:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:03:51 ID:cXBc1ujc0
『甘いものを喰べている』 ~♪ ズドドドd>
( ´_ゝ`)「甘いものを喰べていーる」『私の大切なカメラあぁあぁー』
( ´_ゝ`)「土星にビールを冷やしておいて火星で肉をゆでてー」
( ´_ゝ`)ノ「この夜が死ぬ前にゼラチンのデザート」
(*´_ゝ`)ノシ「ねー見て☆※△がやーぶけちゃったよはははーはははぁ」
( ´_ゝ`)「私の大切なカメラ、どこへ、行ってしまったの?」
( ´_ゝ`)シ「おー願いだよ帰ってきてー」『あっ、帰ってきた』
ヽ(*´_ゝ`)「ああずみのーよたのせゆくぜるぶにひ!」
ヾ(*´_ゝ`)「んぜんざぷらずめみゅんげばーときそ!」
(*´_ゝ`)ノ「いぞんげやーいんぎょ!」
202:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:04:33 ID:cXBc1ujc0
~♪ ゴガガガガガg>
203:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:05:21 ID:cXBc1ujc0
(´<_`; )「く、狂った?」
( ´_ゝ)「ねーよ」
ぐぬぬ、接近に気付かなかったとは。不覚。
服装からしてバイト帰りか。灰色のスーツはいいとして、
その下のシャツがピンクなのは目を瞑ってやるべきか。
そして、行く時よりもアクセサリーが増えてるのは何事だ。
昼食とタクシー代として持たせてやったのにこの糞野郎が。
つーか、あれ? 手元に除雪機がない。どこいった。
(´<_` )σ「除雪機だったら、さっきから向こん杉とば削ってんぜ」
( ´_ゝ`)「わいは」
いつの間にか、除雪音が破砕音に変わっている。
音源は、太い杉の木に熱いベーゼをかます除雪機君。
どう見ても幹を抉っています本当にありがとうございました。
<(;´_ゝ`)>「やってまった……!」
一応、我が母の味方とは言え父方の親戚から借りた家だ。
これは不味い。除雪機まで走って急いでエンジンを切る。
204:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:06:32 ID:cXBc1ujc0
除雪機をどかして傷を確認すると、それほど抉れてはいない。
表皮が剥げたくらいだ。人の怪我に例えるならば、酷い擦り傷。
人。ヒトか。
除雪機が道路までアウェイして、人体をもみじおろしにしたり、
ストロベリージャムやトマトジュースを撒き散らさなかっただけいいか。
毎年とは言わないが、2年に一度くらいは誰かがゴリッと喰われてるからな。
(´<_` ) ))「何しちゅーんずマジで」
( ´_ゝ)「雪とば掻いでだら……」
( ´_ゝ`) (´<_` )
(#´_ゝ`)「訛んな!」
(´<_` )「今更ー、気にすんなよ地元で」
そういう問題じゃない。除雪機さんこいつ喰って下さい。
205:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:07:13 ID:cXBc1ujc0
(#´_ゝ`)「俺がたげ、どんだ……どれだけ頑張っててぎん……
面倒な方言とば……方言を……しかへで……」
(´<_` )「あーうんうん」
(;´_ゝ`)「人に、人に……教えて……ふとず……じゃなくて」
゙(´<_` ) ピッピッ(携帯操作音)
(; _ゝ )「同じ、言葉と……を、は、なせるように、なった、と」
(´<_` )「あーうん頑張った頑張った、撫でなでしてやろうか?」
(# _ゝ )「」
腹立つが、おろし立てのスーツを破くわけにはいかない。
( ´_ゝ`)「そったらだものいらねーはんでけぇろ」
(´<_` )「訛り直す諦めが早いな……宇宙人と交信した影響か?」
( ´_ゝ`)「は?」
ρ(´<_`; )「なんだよこのミステリーサークル」
( ´_ゝ`)「へ?」
206:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:08:47 ID:cXBc1ujc0
幾何学模様とも言い張れない、複雑な軌跡が庭一面に広がる。
今日は星辰が揃うので向こうと交信を試みました、という言い訳が通じそうだ。
怪しい宗教に属するようなヤバい人限定でしか効かないが。
(;´_ゝ`)「わお」
(´<_` )「何してこうなったんだよ、俺の面接失敗でも祈ってたのか?」
( ´_ゝ`)「んな事したら家に金が入らなくなるだろーが。
ただ単に歌聞いてたらテンション上がっただけだよ」
(´<_` )「そうだったのか……面白そうだから録画しときたかったな」
( ´_ゝ`)「さしねえ死ね」
(´<_` )「代わりに俺の動画取らせてやるよ、ネットに晒すのはなしな」
(#´_ゝ`)「だったらいらねっつの!」
最近、こいつの女性関係も一時的とは言え落ち着いてきたので、
我が母からの通達もあり、殴る蹴る夜襲をかける等の暴力は控えていた。
207:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 00:10:13 ID:cXBc1ujc0
悪い行いをやめたからといって、迷惑を被った方はすぐには納得できない。
いじめと同じだ。やめたからと言って、そいつにすぐ好感情を抱くわけない。
つまるところ、こいつが友好的(?)な態度を見せても殴り飛ばしたいのだ。
友好的と言うより、前よりも絡んでくるようになっただけだが。
(´<_` )「なんだよもー」
( ´_ゝ`)「こっちの台詞だよ」
例えば、貯金箱や財布の中の有り金どころか通帳さえパクった相手が、
「俺達ゼロからやり直そうぜ!」と言いながら借金をチャラにしようとしてくる。
その相手は殺したい程に憎い奴だ。
他の人はそれでも許せるだろうか。
歯磨き粉や歯ブラシのCMのように、笑顔で白い歯をキラめかせて、
爽やかにサムズアップしても許せるか? 俺なら顔面を殴りに行く。
友人、内藤もこんな弟がいたら金玉を捻り潰すと言っていた。
あの行いを許せる奴がいたら、そいつは聖人か白痴なんだろう。
211:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:57:40 ID:cXBc1ujc0
(´<_`* )「そうだ! 給料前借りで貰ったんだぜ!」
( ´_ゝ`)「それ、お前が逃げたらきつい仕置きでもする時の
理由にする為に渡したとかじゃねーの?」
(´<_` )「なんでもいいや、飯奢るぜ」
( ´_ゝ`)「明日は雪の重みで家が潰れそうだな」
(´<_` )「俺のバイト先の近くにある作業小屋も潰れてて、
仕事に行ってもしばらくは片付けが仕事だってさ」
( ´_ゝ`)「力仕事か」
バイト先はじーさんばーさんばかりだし、力仕事なら女性もいないだろう。
こいつの下半身に直結している脳みそが暴走する危険も低い。
212:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:58:20 ID:cXBc1ujc0
(´<_` )「ガ○トに行こうぜ」
( ´_ゝ`)「そんなシャツ着てる奴と一緒に外出したくないわ」
(´<_` )「どこがおかしいってんだよ」
( ´_ゝ`)σ「せめてそのピンクのシャツ脱げや」
(´<_` )「ピンク? ……白だと思ってた」
( ´_ゝ`)「は?」
(´<_` )「まーいーや、着替えたら出掛けるんだよな」
( ´_ゝ`)「いやどっちにしろ行かねーよ、雪掻き終わってねーし」
(´<_` )「後にすりゃいいだろ」
( ´_ゝ`)「後からなら手伝ってくれんの?」
(´<_` )「いいや?」
( ´_ゝ`)「凍え死ね」
213:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 01:59:17 ID:cXBc1ujc0
(´<_` )「いいじゃねーか、タダ飯なんだから釣られても」
( ´_ゝ`)「お前に渡した昼食代とタクシー代は俺の金なんスけど?」
(´<_`* )「あ、そーだ! セカ○ドスト○ートで結構イケてんの見つけたから、
こんなん買ってみたんだけど! 兄者にもやるよ!」
じゃらっとネックレスやらピアスやらアンクレットetc.を取り出す愚弟。
氷点下の気温と同調して、俺のテンションも下がって行く。
( ´_ゝ`)「……それ誰の金だ」
(´<_` )「お前の、だからお前の分も買ったしこれで
除雪機君を弟の方へ向けて、エンジンをかける。
いつまでも品名呼びだと味気ないから名前をつけよう。みち子。
(´<_`; )「っちょ!?」
( ´_ゝ`)「お前さー足なんかあるから、下半身あるから余計な事すんだよ。
いっそ無くして障害年金貰えるようになったほうがいいだろ」
(´<_`; )「金は欲しいけど車椅子にはなりたくねーよ!」
215:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:03:55 ID:cXBc1ujc0
弟のほうへ突進しようとするが、律儀に足元の雪を除雪するみち子。
杉の木の周りはハムスターの墓もあるし、後回しにしてたからな。
仕方がないので持ち上げて振り回そうとするが、回転刃が爪先を削る。
靴下がギザギザの部分に引っ掛かって、そのまま巻き取られた。
(;´_ゝ`)「あっぶねぇ死ぬ!」
(´<_` )「見てて面白いけどもうやめろよ」
仕方がないので、みち子のエンジンを切って両手で持ち上げる。
その体勢で、弟に向かってオーバースロー。肩がイカれそう。
当たらなくても、着地点は雪が深いのでみち子は大丈夫だ。
(゚<_゚ ; )「あっぶねぇ死ぬ!」
( ´_ゝ`)「避け方面白かったけど避けるなよ」
216:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:09:23 ID:cXBc1ujc0
腰まである雪に、ズブズブと自重で沈むみち子。
それを尻目にキレる弟。掘り出すのが苦労しそうだ。
(´<_`# )「ふざけんな死ね! 俺の良心を踏み躙りやがって!」
もうスーツの事などお互いの頭の中にはない。
( ´_ゝ`)「悪意でなかったとしても、厚かましさしか感じねーよ」
喧嘩の構えを取ろうと踏ん張ったら、左足が滑った。
具体的にはみち子に靴下をむしゃられた方の足が。
(;´_ゝ゚)「うぇっ!?」
(´<_` )「よっしゃ!」
片膝をついた体勢で碌な抵抗ができるはずもなく、
突進を受け止めて積もった雪の上に押し倒される。
押し返そうにも柔らかい雪のせいで体が沈む。これはやばい。
217:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:15:46 ID:cXBc1ujc0
(´<_`; )「うわ俺まで沈む! この辺ヤバ!」
(#´_ゝ`)「ならどけカス!」
(´<_` )「誰がどくかよ。やる気なくすまで抑え込んでやる」
いやいやいや窒息する。
その前に凍れる。
凍傷になる。
マウントされたせいで上半身は腹筋で起こせないくらい沈んだ。
両足は踏ん張ろうにも雪に沈むだけだ。殴ろうにも腕を抑えられている。
せめて顔がもうちょっと近けりゃ顎に頭突きかましてやるのに。
(# _ゝ )「ふんぐぐぐぐぐ……」
(´<_`# )「こっの馬鹿力が……」
力任せにしても状況は変わらない。全体重をかけて押さえ込んで来る。
重力が味方してる分、どうやったって相手が有利だ。
220:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:25:20 ID:cXBc1ujc0
腕に力を入れつつ考える。
周りの雪のお陰で思考はそこまで暴走してない。
雪に沈んでるとはいえ、ここまで体が沈むくらいの雪だ。
今日振り立てのものだから、そこまで固くはない。
雪の中でもそれなりに動かせるんじゃないか?
体力が切れる前に実行あるのみ。
弟と対抗する為に腕に込めてる力の向きを、地面へ変える。
(´<_`; )「うぉっとお!?」
(#´_ゝ`)「っしゃ!」
腕は簡単に雪の中に沈んだ。
抑えつけられている腕の力が緩む。
221:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:32:51 ID:cXBc1ujc0
その隙に両腕を上に引き抜く。
わかりやすく言うとバンザイの体勢。
(´<_`; )「げ」
(#´_ゝ`)「死ね」
バランスを崩して前に倒れる弟の頭を両手で抱え込み、全力で頭突く。
重力と俺が両手で引き寄せる力も加算されているのでかなりの威力だ。
下手にパンチするよりも頭突きのほうがダメージが大きい。
なんてったって固いからな。自爆する可能性も低くはないが。
悶絶する弟を横に蹴り飛ばして、雪藪から脱出する。
背中側から大分、雪が服の中に入った。寒い。冷たい。
222:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:40:42 ID:cXBc1ujc0
( <_ #;)「くっそ……この石頭」
( ´_ゝ`)「うっせぇ」
流石に喧嘩慣れしてるだけあって立ち上がるのが早い。
そのまま固い雪の上で互いに滑りつつ殴り合った。
傍から見れば、気温も相俟ってただの寒いコントだろう。
マウントを取り合い、尖ったつららで切り合い、氷玉を投げ合い、
アホみたいに殴り合って二人で門先まで転がっていったところ。
ブォォォオン.......バキュボキョ ズザザザザ
(゚<_゚ ; )「ふぎょお!」
(;´_ゝ`)「いだだだだ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃあああああちょっとアンタ達!」
帰宅した我が母のマイカーに轢かれた。
223:名も無きAAのようです:2013/01/24(木) 02:43:29 ID:cXBc1ujc0
その後、人生で初めて救急車を呼んだ。
痛みに悶える弟と錯乱する母が使い物にならなかったのだ。
……あんな場所で喧嘩していた俺達が全面的に悪いのは判る。
車に乗ってると死角になるのは、全快した後に教えてもらった。
入院後の話は、また次回。
18.糸冬
170: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:27:14 ID:zQ/5PdyA0
17.しょうがないめんどくさいころそうそうしよう
唐突に映像がフラッシュバックする時がある。
それの大体がトラウマで、経験で、教訓だ。
義務教育時代の俺には、まだ物心がなかった。学習と発達障害らしい。
始めてきちんと他人を”自分以外の思考する人間”だと認識したのは高校から。
それまでは、多分動くマネキンだとか喋る人形としか認識してなかった。
だから、小さい頃は気に入らない事、「弟に似てる」と何回もしつこく言われれば、
相手が老人や女の子だろうが全力で殴りにかかっていた。なんて野獣だ。滅されろ。
(。><)「わーん! あにじゃくんがなぐったー!」
(# _ゝ )「うっさい! おまえがわるいんだ!」
人の沸点なんてわからないんだ、相手がやめろと言ってる内にやめるべきなんだ。
自分が悪い事をしての説教ならまだ判る。間違いを正す為にしつこく言うのだ。
171: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:28:03 ID:zQ/5PdyA0
俺の気に入らない事は、誰もが悪意なんてなく最初は軽く口にする。
それは理解できる。
俺がやめろと言っても、二回目は笑いながら、もしくは同じ顔で繰り返す。
まだ我慢できる。
三回目、俺が怒鳴って、大半はやっと止める。
それでも笑いながらしつこく繰り返す輩には、何かが耐えられなかった。
172: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:28:44 ID:zQ/5PdyA0
他にも、人の一般常識ではやらない事をやらかしてしまった記憶。
周りが一歩引いて行く記憶。全員が俺に視線を向ける記憶がある。
それをやらない事は常識で、周りはそれが恥ずかしいものだとわかっていた。
だから誰も俺に言葉で教えてくれる人はいなかったし、俺も何がおかしいのかわからなく、
それとは違う別のもので怒ってしまったのだろうと思い、何も疑問には思わなかった。
共感能力0の俺は、自己中なんてものを通り越した存在になっていたのだ。
ただ、当時の俺の攻撃性は全て弟に突っ走り、弟も真正面から殴ってきていたので、
他人との接触でそれが目立つことがあまりなかった。ある意味よかったのである。
人とズレていると自分で自分を実感したのは、高校を卒業してから。
少しずつ常識を覚えていって、小さい頃の記憶に魘される夜があったりもした。
ただ、そのトラウマのお陰で色々なものにセーブをかけられるようになったのである。
173: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:29:35 ID:zQ/5PdyA0
それ以外のトラウマは、主に糞馬鹿野郎の女性関係に巻き込まれた事だ。
知らない女に刃物を向けられたり、
知らない男から殺害予告メールが届いたり。
知らない女からクリティカルな金的貰ったり、
知らない男が彼女を返せと泣きついたり。
知らない女が俺の部屋に不法侵入してたり、
知らない男に人違いで喧嘩売られたり。
知らない女たちに部屋から出た瞬間十数人で囲まれ集団で糾弾されたりした。
女性関係のトラウマは全てが弟関連だ。
お陰様で、結婚願望や幸せな家庭なんて夢は無くなった。
ずっと独り身でいい。自分の遺伝子を継ぐゴミなんていらない。
更にここで親父の浮気なんてものもあり、その覚悟は加速した。
ついでに親父の浮気相手はバツサンだった。
バツサンの中身は、小学生、中学生、大学生の男共。
おいおいクズの遺伝子溢れ返り過ぎだろ。
そりゃ弟や俺みたいなカスしか生まれねえよ。
174: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:30:24 ID:zQ/5PdyA0
何でも、頭の中のものを吐き出す日記を書けばいいと。
嫌な記憶や嫌な出来事、妄想、自分の沸点が判明した状況、
そんなものをまとめてぶちまける場所を作ればいいと言ってくれた。
その人はm○x○に日記を書いていると言う。
早速招待してもらう。垢乞食卒業。
もうVIPで捨てアド晒して招待を希う日々は終わりを告げた。
彼女に感謝。話を戻す。
参考として日記を読んでみたが、沸騰した怒りが伝わって来る内容だった。
このまま試しに何か書いてみてと言われたが、m○○iには母が登録している。
流石にそんな地雷原に踏みこんでいく程あたまがよわい子じゃない。
そこで俺は医者に持って行けるように、紙媒体で日記を書く事にした。
一度うっかりTRPG仲間に見られた時は、「SAN値がガリガリ削られた」
「フォールアウトのガイガーカウンターの幻聴がした」「この日記くれマジで」
なんてありがた過ぎるお言葉を頂いた名状しがたい日記である。
無くなったら色々と困るのだ。それはもう色々と困るのだ。
最近は一般には理解しにくい、弟以外の自分の沸点などを書き出しているので、
どんな状況で自分はそれを回避すべきか、流すべきか医者が教えてくれている。
以前はただの愚痴吐き出し日記だったが、今はただのそれではなくなっているのだ。
175: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:31:07 ID:zQ/5PdyA0
最近はその日記に吐き出して落ち着いているが、無くなったらもう、
どうなってしまうかわからない。どうにもならないかもしれない。
意外と普通に代えのノートを購入して元に戻るかもしれない。
ね ん が ん の に っ き を手に入れる為に、
こ ろ し て で も う ば い と る ! 選択肢をするかもしれない。
( ´_ゝ`)「だからいい加減それをこっちに返してくれ、そしたら何もしないぜ。
俺はもう怒る気力とかないから、渡してくれたらそのまま不貞寝する」
(;<_; )「信じられるか! だったら手に持ったそのバールをなんとかしろよ!
そんなモン持って追い駆け回しやがって! いい加減に諦めろよ!
エクスカリバールなんて突っ込みできる余裕なんてねーよ! アホか!
お前が攻撃してきたら俺はこの日記とやらを盾にするぞ! 破れるぞ!
この日記なんか書きやがったお前のせいで今日は悪夢確定だわ!」
( ´_ゝ`)「なんだ……お前が説明を強要するから話してやったのに。
久々に長々と話を聞いてくれたと思ったら全然じゃないか」
176: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:32:00 ID:zQ/5PdyA0
なんと言うか、数年ぶりにこいつの涙を見た気がする。
まさか下半身もやらかしてしまったのかと凝視するが、こう暗くては判らない。
( ´_ゝ`)「マジ泣きすんなよ、引くわー」
臭いを嗅いでみるが、アンモニア臭はしない。埃の臭いだけだ。けむい。
(;<_; )「おっ、おま゙っ、お前の゙にっぎのせいだよ!」
( ´_ゝ`)「面倒くさいわーもういいわ、泣き止んだら会話しろよ、聞き取り辛い」
弟の攻撃に備えてバールを構えていたので、肩が重くなってきた。
逆手に持ってトントンと肩を叩く。鉄製だからか、硬過ぎて痛い。
向こうが丸腰、こっちは武器あり、しかも誰も来ない屋根裏。
用意されたかのような絶好のチャンスだが、肝心の俺に殺る気がない。
まあ泣いてるのを見ると、糞ざまあwwwと暗い愉悦は少し浮かぶ。
少なくとも、弟を目の前にしてつらつらと下らない思考を並べられるだけ、
今の自分の精神は安定している。やっぱり日記のお陰か、取り返さねば。
177: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:32:59 ID:zQ/5PdyA0
( ´_ゝ`)「泣き止んだ? 鼻啜った? 涙拭いた? ションベン漏らすなよ?
ゆっくり深呼吸したら、お前の持ってるその日記を俺に投げ渡せ」
( つ_>;)「できるかボケ! したら殴りかかって来るつもりだろ!
せめてお前もそのバールを手放せ! 安心できねーよ!」
( ´_ゝ`)「うーん、じゃあ俺もこのバール投げるから、お前もその日記投げろよ」
(´<_`; )ミ「ホントだな? 嘘じゃないよな? いっせーの、せ! で行くぞ」
( ´_ゝ`)「ああうん投げる投げる。じゃあ、いっせーのー……
ピタッ
”いや、待てよ。このバールは弟に向かって投げつけてもいいんじゃないか。
むしろチャンスなのでは。”そんな考えが頭に浮かんで体の動きが止まる。
相手の動きも止まる。お互いの手には日記とバールが握られたままだ。
薬を服用しても、攻撃的な思考の流れだけはせき止められないな。
178: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:33:41 ID:zQ/5PdyA0
(´<_`; )「今、何考えた? 俺を攻撃しようとしなかったか?」
( ´_ゝ`)「ほう、よくわかったな。少し邪念が流れたんだ、気にすんな」
(´<_`; )「正直だな! 気にするわ!」
( ´_ゝ`)「特に嘘を吐くような場面でもないだろ」
いや、それにしても、何か体がダルい。これは薬のせいだろうか。
そろそろ決着をつけないとこのまま寝る可能性がある。早くせねば。
( ´_ゝ`)「なあ、このバールさ。お前じゃなくどっか別の方向に投げるから。
お前は俺に向かってその日記を投げてくれよ。優しく。」
(´<_`; )「やっぱり俺に向かって投げるつもりだったのか……まあいいよ」
交渉成立。しかしまた邪念が入る。
”このバールを後ろに投げて、日記を手に入れてからバールのところにダッシュすりゃよくね?
そうすりゃ俺が先にバールを手にしてフルボッコに出来て圧勝じゃね? マジ俺頭良くね?”
オイオイ、いい加減にしろ俺の脳みそ。どんだけ攻撃的なんだ。マジで。
薬のお陰で俺の一部冷静な思考が邪念を諌める。なんだか分裂した気分だ。
179: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:34:45 ID:zQ/5PdyA0
(´<_`; )「おい,なんでまた止まってるんだ。投げるぞ? いいんだよな?」
( ´_ゝ`)「あー……うんとさ、このバール投げる方向指定してくれ。
指差した方向に向かって投げるから、どこでもいい」
(´<_`; )δ「なら、そっち」
( ´_ゝ)「了解」
そして、日記は俺の方へ、バールは屋根裏の暗闇の中に消えていった。
ついでに、右の袖に入れていたブツも飛んで行く。やべえ忘れてた。
ハッピーエンド。めでたしめでたし? んなワケない。後で回収しよう。
( ´_ゝ`)「これ返してもらいたいだけだったのに、あんなガチ逃げしなくてもいいだろ。
従姉妹の下着盗んだ下着泥棒を思い出すくらいの逃げっぷりだったわ」
(´<_`; )「あんな日記を読んでる途中、音もなく背後に仁王立ちってさあ!
しかも真顔で追っかけて来て危機感ちょ~煽りやがって!
屋根裏に逃げ込んで閉じこもって撒くまで待とうとか思ってたら、
バールでこじ開けて登ってきやがったんだぞ! どうビビるなと!」
( ´_ゝ`)「おお……そうして聞いてみるとまるでホラーの主人公だな」
(´<_`# )「他人事だと思って!」
( ´_ゝ`)「他人事じゃん、それに俺、逃げられると追いたくなるし」
180: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:35:28 ID:zQ/5PdyA0
もし屋根裏が密閉空間だったら、登るところの真下でずっと待っていた。
そんな事を伝えると一歩後ずさる。登る手間と交渉の面倒臭さを説く。
そのついでに、逃げられると追いたくなる心理も説く。
(´<_` )「獣かテメェは、理解できねえ」
( ´_ゝ`)「期待してない」
ページをパラパラと捲って欠けがないか確認する。あまり内容は見ないように。
主に錯乱時に書いてるから、そりゃあもう色々と酷い。読んだら怒りのスイッチが入る。
今はこれをうっかり読んでも、不貞寝で怒りを抑えられるくらいには成長した。
(´<_` )「それにしてもヒデーなこの日記。主に俺の扱いが」
( ´_ゝ`)「お前が主に喧嘩を売ってくるからな」
弟のついでに、周囲の人間も一緒に綴っている。
笑われた日の復讐の仕方とか、殺害計画とか殺した後の事後処理とか、
事後処理がバレた場合の俺の人間関係と世間体の変化のシミュレートとか。
それらをこの日記に吐き出しているお陰で、実行に移した事はない。
181: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:36:17 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「つーか兄者、俺の事が好きなのか? 嫌いなのか?」
( ´_ゝ`)「は? 嫌いだよ」
硬直なんて間を置かず、考えるより先に口が答えを出した。
答えを発してから質問を頭の中で考えたが、やっぱり意味はわからない。
そんな答えがわかりきった質問をしてきた、弟の意図も。
( ´_ゝ`)「なんでそんな頓珍漢なことをほざく」
(´<_`; )「ほざくとか言うなや。てか、それに書いてあんじゃん。ちょっと貸せよ」
日記をぶん取る糞野郎。スイッチが入りかけたが、気合で抑える。
後でお前のお気に入りの靴にハムスターの糞を詰めてやる。
(´<_` )「ほらここだよ」
_, 、_
( ´_ゝ`)「あぁん?」
182: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:38:19 ID:zQ/5PdyA0
指された箇所には、『ドキドキする』と書いてある。文の前後を繋げると、
『完全にスイッチが入った状態で弟者が目の前にいるとドキドキする、動悸が酷くなる』と。
勘違いされそうな文章、なのか? 確かにこれだけだと勘違いされそうではあるが、
その後には弟への恨み辛み殺害方法、そして自分に本気の恋愛対象が現れた場合の、
”速やかな排除の仕方”が綴られている。特に勘違いされそうな内容ではない。
( ´_ゝ`)「どこだよ」
(´<_`; )「いやそこであってるよ、今読んでるとこ」
( ´_ゝ`)「わかんねーよ」
(´<_`# )「あーもーだったら声に出して読んでみろよ!」
( ´_ゝ`)「『殺す殺す殺す殺す肘膝砕いて畜生のようにして
(´<_` )「悪かった、そっちじゃない」
( ´_ゝ`)「お前がおかしいと思う箇所をお前が教えろ、俺が書いたもんだ。
自分では気付けない。指摘されない限り、俺は分からないから教えろ」
(´<_` )「真面目くさんなよ、まあ、ここだよ、ここ」
183: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:39:59 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「あまり深くは突っ込まないけど、ここにさあ、マジで好きな奴ができた時の
殺し方が載ってあんじゃん? なんでそんな事するのかマジ意味不明だけど」
( ´_ゝ`)「そりゃあ恋愛対象が邪魔だからだ。俺の人生には必要ない。いらない。
そこまでして欲しくて狂えるものなら、そうなる前に自分で壊す。排除する。
不確定なものを欲しがって、愛なんてものを返してもらってほしくて、
それに思考を割いて、そいつに尽くして人生棒に振るなんて無駄過ぎる。
まあ発狂時に書いたものだからな。もし現れた場合。恋愛なんて知らんし」
知人にストーカーになって逮捕された奴がいるしな。ザ・反面教師。
ああまで女を追い求めるようになるくらいなら、いないほうがマシだ。
止めようと諌める周囲もその中心も、第三者から見たら滑稽でしかない。
それに、恋愛で人生終了とか笑い話にしかならない。
今の世界でロミオなんか演じたら、ストーカー法かセクハラで捕まる。
(´<_` )「クソ饒舌だな」
( ´_ゝ`)「へえ、お前そんな言葉知ってたんだ」
(´<_`# )「皮肉じゃないところが更に腹立つ」
┐( ´_ゝ`)┌「あっそう」
(´<_`; )「もー」
184: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:41:34 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「つーかそうじゃなくってな」
( ´_ゝ`)「なんだよ」
(´<_` )「この……俺の殺し方と、好きな奴の殺し方さあ、同じじゃん」
( ´_ゝ`)「ん?」
自分で読み返してみると、確かに同じ殺し方だった。
教室で、椅子で殴り殺す。シンプル。しんぷるいずべすと。
これは同じような状況での想定だったからこうなっただけだ。そのまま伝える。
(´<_` )「同じような状況でのソーテー……」
( ´_ゝ`)「ソテーじゃないぞ、ようはシミュレートとか将来設計だ」
(´<_` )「お前はどんな世紀末を生きる予定だよ」
。
( ´_ゝ`)「北斗とか? スタルカーでもいいな、あ?」
185: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:42:24 ID:zQ/5PdyA0
薬が回ってきたのか、ふわふわする。少しずつ視界が狭くなる。
何が笑いの沸点に触れたのかわからないが、少し自分でおかしくなって笑う。
そろそろ寝たほうがいいかもしれない。睡魔が来る。抗えない奴が。
日記を取り戻す前に、錯乱状態になるまいと薬を飲んだのが仇になったか。
。
( ´_ゝ`)゚「話はそれだけか? 俺は暗いしもう寝る」
(´<_`; )「寝んな! もう暗いがまだ5時だぞ!」
雪国の冬は日が短い。ついでに屋根裏なので寒い。やはり寝たい。
少しずつ後ろに、出口に下がって行く。開けっ放しだから落ちれば終わりだ。
下は押入れだから、布団がある。このままでもてきとうに寝れる。
( ´_ゝ`)「もう終わったんだろ? 寝るわ」
(´<_`; )「だからまだだっての!」
186: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:44:00 ID:zQ/5PdyA0 。
( ´_ゝ`)゚「へ? 他に何かあるのかよ。なら下で話せばいいじゃん」
(´<_` )「ここがいいんだよ」
( ´_ゝ`)「なんで」
肩を押されて強制的に目を合わせられた。
この糞野郎。人の嫌な事ばかりしやがって。
俺は人と目を合わすのが嫌いだ。
人の目が嫌いだ。
鏡に映った自分の目も嫌いだ。
長い時間は直視できない。
理由は眼球が気持ち悪いからだ。
白目も黒目もまとめてキモイ。
動物のは大丈夫なんだけどな。
小学生の頃に見たホラー漫画のせいだと、適当にあたりをつけている。
187: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:44:44 ID:zQ/5PdyA0
( ´_ゞ)「…………」
ここで逸らしたら野生動物よろしく負けなのか、いや負けでいい。眠い。
睡魔が強敵過ぎる。こんなところで寝たら凍死してしまう。俯いて目を擦る。
(´<_` )「俺さ、女癖悪いし盗癖あるし手癖悪いし金に汚いし」
。
( ´_ゞ)゚「んな事知ってる、さっさと死ね……」
マジで眠い。肩に乗ってる手を振り払うが、今度は腕を掴まれる。
(´<_` )「独り立ちしてもあんたに金は集るし、割と迷惑かけるの好きだし。
俺は死ぬまで一生アンタに色々な迷惑かけ続けると思うわ」
( ´_ゝ`)「マジかよ本当に死んでくれ」
スイッチが入りかかって一時的に目が覚める。睡魔め。
今度は日記に絶縁する妄想を書こう。実行用の日記に。
188: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:46:27 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「俺が勝手に死んだら兄者はどうすんの?」
( ´_ゝ`)「葬式は金がかかるからしない」
(´<_`; )「式は必ずだぞ」
。
( ´_ゝ`)゚「役所に全部任せる。一文たりとも払わない。そして人生を謳歌する」
常日頃から思っている事だ。自分の手を下すのが一番だが、
知らない場所で勝手にのたれ死んでくれても構わない。
お前が死体になったら歓迎するよ。盛大にな。
(´<_` )「フーン。そうか、俺は兄者が死んだら俺も死ぬわ」
。
( ゙_ゞ)゚「はぁ?」
189: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:47:22 ID:zQ/5PdyA0
もう開けない目が、更に上から塞がれた。感触からして衣服。
しかも両腕でがっちりホールドの上に両足を踏まれた。億倍にして返す。
実行用に書く。絶対に書く。靴の内側に隙間なく画鋲を仕込んでやる。
新しいアクセなんてぶっ壊してやる。何がクロ○ハーツだ。氏ねじゃなく死ね。
そんな思いとは裏腹に、薬で力は入らない。
(´<_` )「どうせ俺の将来なんて知れてるしぃ、女前にすると止まらんし。
あのさあ、嫌がらせはもうちょっと軽くするからさ、前みたいに
( ; _ゝ )
自分自身の心配しかできないクズな思考回路が警報を鳴らす。
もう駄目だ。凍死してもいい。それ以上は聞きたくない。
俺は睡魔と薬の効果を脳内で悪魔合体させて、ワンランク上の何かを作り出した。
後は自分の意識を頭の奥に押しやって、何かに落とさせて終了。
体が気絶しても、暴走してこいつに殴りかかっていっても知ったことか。
190: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:48:42 ID:zQ/5PdyA0
こいつが何を考えてるかなんて俺はわからんし、
こいつも俺が何を思ってるかなんて知らんだろう。
当たり前だ。ここは漫画でも小説でも映画でもないんだ。
テレパシストでもないし、人の頭の中なんて分かるワケない。
そういうのは創作でしかできない。フィクションの世界だ。
俺が解るのは、こいつは女を前にすると、
下半身でしか動けないと言う事実のみだ。
(´<_` )「あれ? おい兄者、聞いてる?」
人に気を使うのなんて面倒くさい。
人の顔色を窺うのも面倒くさい。
こいつは今こう思っているだろうから、こうしたほうがいいだろう、とか。
察しなければ、空気を読まなければ、雰囲気を感じなければ、とか。
言葉の裏を深読みして解くのだって、遊びでしかできやしない。
思いも考えも、言葉や行動に移さなきゃ相手に伝わらないのに。
態度や視線で察しろとばかりで、誰も直接教えてくれない。
191: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:49:38 ID:zQ/5PdyA0
実の母が目の前で泥酔して、失禁脱糞してる時だって心配すらできなかった。
誰も世話する人がいなかったから自分が全部処理したが、心は凪いでいた。
多分、糞親父が母に向かって暴言を吐いてたのが自分の客観性を押したんだろう。
「
津波が来た時だって、友人の心配一つせず弟の死を望んでいた。
周りに転がる有象無象の死体なんてそれこそどうでもよかったし、
色々と優しくしてくれたバイク屋のおっさんが死んでも哀しくなかった。
下宿先の大家、近所の婆さん、よく会うバスの運転手、パチンカスの知り合い。
ブランド欲しさに風俗で稼ぐ女友達。口下手だけど料理を教えてくれた先輩。
誰が死んでも悲しくないけど、涙だけは長年の訓練で無理矢理ひねり出せる。
クズの自覚はあるし、碌でなしの証拠もある、救えない奴なのは判ってる。
実行していないだけで、精神判断だけでいけば弟を上回るクズなのも知ってる。
ポジティブに考えれば、他人の心配ができないってのは、
それだけ自分の心につける傷が少なくなるって事だ。
俺の思考回路は、俺の精神に対して優しくできている。
自分の日常生活に関係のない支障のない奴の死をヒーヒー哀しんだり、
好いていると思ってた奴が実は自分の事を嫌っていたと知って食欲無くしたり、
友人の母親の首吊り死体を見てその場で吐きまくったりしないでいい。
」
それで薄情だ、冷血だ、鬼だ、人でなしだ、畜生だと言われてもいい。
鈍くていい。無くていい。そういう余計なモノはいらない。
192: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:52:32 ID:zQ/5PdyA0
酷い日々を過ごしてきたから、そういうのが麻痺してるんだと言った人もいた。
じゃあ麻痺が直ったら、その後に俺はどうなるんだよ。
色々な記憶から良心の呵責が始まって、罪の意識に苛まれて、
それから弟に生まれてきてごめんなさいと自殺でもするんか?
いっそ安い不幸自慢大会でも開いたらいいのかねえ。
意識を無くす最後の足掻きなのか、脳みそは暴走しまくった。
17.糸冬
17.しょうがないめんどくさいころそうそうしよう
唐突に映像がフラッシュバックする時がある。
それの大体がトラウマで、経験で、教訓だ。
義務教育時代の俺には、まだ物心がなかった。学習と発達障害らしい。
始めてきちんと他人を”自分以外の思考する人間”だと認識したのは高校から。
それまでは、多分動くマネキンだとか喋る人形としか認識してなかった。
だから、小さい頃は気に入らない事、「弟に似てる」と何回もしつこく言われれば、
相手が老人や女の子だろうが全力で殴りにかかっていた。なんて野獣だ。滅されろ。
(。><)「わーん! あにじゃくんがなぐったー!」
(# _ゝ )「うっさい! おまえがわるいんだ!」
人の沸点なんてわからないんだ、相手がやめろと言ってる内にやめるべきなんだ。
自分が悪い事をしての説教ならまだ判る。間違いを正す為にしつこく言うのだ。
171: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:28:03 ID:zQ/5PdyA0
俺の気に入らない事は、誰もが悪意なんてなく最初は軽く口にする。
それは理解できる。
俺がやめろと言っても、二回目は笑いながら、もしくは同じ顔で繰り返す。
まだ我慢できる。
三回目、俺が怒鳴って、大半はやっと止める。
それでも笑いながらしつこく繰り返す輩には、何かが耐えられなかった。
172: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:28:44 ID:zQ/5PdyA0
他にも、人の一般常識ではやらない事をやらかしてしまった記憶。
周りが一歩引いて行く記憶。全員が俺に視線を向ける記憶がある。
それをやらない事は常識で、周りはそれが恥ずかしいものだとわかっていた。
だから誰も俺に言葉で教えてくれる人はいなかったし、俺も何がおかしいのかわからなく、
それとは違う別のもので怒ってしまったのだろうと思い、何も疑問には思わなかった。
共感能力0の俺は、自己中なんてものを通り越した存在になっていたのだ。
ただ、当時の俺の攻撃性は全て弟に突っ走り、弟も真正面から殴ってきていたので、
他人との接触でそれが目立つことがあまりなかった。ある意味よかったのである。
人とズレていると自分で自分を実感したのは、高校を卒業してから。
少しずつ常識を覚えていって、小さい頃の記憶に魘される夜があったりもした。
ただ、そのトラウマのお陰で色々なものにセーブをかけられるようになったのである。
173: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:29:35 ID:zQ/5PdyA0
それ以外のトラウマは、主に糞馬鹿野郎の女性関係に巻き込まれた事だ。
知らない女に刃物を向けられたり、
知らない男から殺害予告メールが届いたり。
知らない女からクリティカルな金的貰ったり、
知らない男が彼女を返せと泣きついたり。
知らない女が俺の部屋に不法侵入してたり、
知らない男に人違いで喧嘩売られたり。
知らない女たちに部屋から出た瞬間十数人で囲まれ集団で糾弾されたりした。
女性関係のトラウマは全てが弟関連だ。
お陰様で、結婚願望や幸せな家庭なんて夢は無くなった。
ずっと独り身でいい。自分の遺伝子を継ぐゴミなんていらない。
更にここで親父の浮気なんてものもあり、その覚悟は加速した。
ついでに親父の浮気相手はバツサンだった。
バツサンの中身は、小学生、中学生、大学生の男共。
おいおいクズの遺伝子溢れ返り過ぎだろ。
そりゃ弟や俺みたいなカスしか生まれねえよ。
174: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:30:24 ID:zQ/5PdyA0
何でも、頭の中のものを吐き出す日記を書けばいいと。
嫌な記憶や嫌な出来事、妄想、自分の沸点が判明した状況、
そんなものをまとめてぶちまける場所を作ればいいと言ってくれた。
その人はm○x○に日記を書いていると言う。
早速招待してもらう。垢乞食卒業。
もうVIPで捨てアド晒して招待を希う日々は終わりを告げた。
彼女に感謝。話を戻す。
参考として日記を読んでみたが、沸騰した怒りが伝わって来る内容だった。
このまま試しに何か書いてみてと言われたが、m○○iには母が登録している。
流石にそんな地雷原に踏みこんでいく程あたまがよわい子じゃない。
そこで俺は医者に持って行けるように、紙媒体で日記を書く事にした。
一度うっかりTRPG仲間に見られた時は、「SAN値がガリガリ削られた」
「フォールアウトのガイガーカウンターの幻聴がした」「この日記くれマジで」
なんてありがた過ぎるお言葉を頂いた名状しがたい日記である。
無くなったら色々と困るのだ。それはもう色々と困るのだ。
最近は一般には理解しにくい、弟以外の自分の沸点などを書き出しているので、
どんな状況で自分はそれを回避すべきか、流すべきか医者が教えてくれている。
以前はただの愚痴吐き出し日記だったが、今はただのそれではなくなっているのだ。
175: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:31:07 ID:zQ/5PdyA0
最近はその日記に吐き出して落ち着いているが、無くなったらもう、
どうなってしまうかわからない。どうにもならないかもしれない。
意外と普通に代えのノートを購入して元に戻るかもしれない。
ね ん が ん の に っ き を手に入れる為に、
こ ろ し て で も う ば い と る ! 選択肢をするかもしれない。
( ´_ゝ`)「だからいい加減それをこっちに返してくれ、そしたら何もしないぜ。
俺はもう怒る気力とかないから、渡してくれたらそのまま不貞寝する」
(;<_; )「信じられるか! だったら手に持ったそのバールをなんとかしろよ!
そんなモン持って追い駆け回しやがって! いい加減に諦めろよ!
エクスカリバールなんて突っ込みできる余裕なんてねーよ! アホか!
お前が攻撃してきたら俺はこの日記とやらを盾にするぞ! 破れるぞ!
この日記なんか書きやがったお前のせいで今日は悪夢確定だわ!」
( ´_ゝ`)「なんだ……お前が説明を強要するから話してやったのに。
久々に長々と話を聞いてくれたと思ったら全然じゃないか」
176: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:32:00 ID:zQ/5PdyA0
なんと言うか、数年ぶりにこいつの涙を見た気がする。
まさか下半身もやらかしてしまったのかと凝視するが、こう暗くては判らない。
( ´_ゝ`)「マジ泣きすんなよ、引くわー」
臭いを嗅いでみるが、アンモニア臭はしない。埃の臭いだけだ。けむい。
(;<_; )「おっ、おま゙っ、お前の゙にっぎのせいだよ!」
( ´_ゝ`)「面倒くさいわーもういいわ、泣き止んだら会話しろよ、聞き取り辛い」
弟の攻撃に備えてバールを構えていたので、肩が重くなってきた。
逆手に持ってトントンと肩を叩く。鉄製だからか、硬過ぎて痛い。
向こうが丸腰、こっちは武器あり、しかも誰も来ない屋根裏。
用意されたかのような絶好のチャンスだが、肝心の俺に殺る気がない。
まあ泣いてるのを見ると、糞ざまあwwwと暗い愉悦は少し浮かぶ。
少なくとも、弟を目の前にしてつらつらと下らない思考を並べられるだけ、
今の自分の精神は安定している。やっぱり日記のお陰か、取り返さねば。
177: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:32:59 ID:zQ/5PdyA0
( ´_ゝ`)「泣き止んだ? 鼻啜った? 涙拭いた? ションベン漏らすなよ?
ゆっくり深呼吸したら、お前の持ってるその日記を俺に投げ渡せ」
( つ_>;)「できるかボケ! したら殴りかかって来るつもりだろ!
せめてお前もそのバールを手放せ! 安心できねーよ!」
( ´_ゝ`)「うーん、じゃあ俺もこのバール投げるから、お前もその日記投げろよ」
(´<_`; )ミ「ホントだな? 嘘じゃないよな? いっせーの、せ! で行くぞ」
( ´_ゝ`)「ああうん投げる投げる。じゃあ、いっせーのー……
ピタッ
”いや、待てよ。このバールは弟に向かって投げつけてもいいんじゃないか。
むしろチャンスなのでは。”そんな考えが頭に浮かんで体の動きが止まる。
相手の動きも止まる。お互いの手には日記とバールが握られたままだ。
薬を服用しても、攻撃的な思考の流れだけはせき止められないな。
178: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:33:41 ID:zQ/5PdyA0
(´<_`; )「今、何考えた? 俺を攻撃しようとしなかったか?」
( ´_ゝ`)「ほう、よくわかったな。少し邪念が流れたんだ、気にすんな」
(´<_`; )「正直だな! 気にするわ!」
( ´_ゝ`)「特に嘘を吐くような場面でもないだろ」
いや、それにしても、何か体がダルい。これは薬のせいだろうか。
そろそろ決着をつけないとこのまま寝る可能性がある。早くせねば。
( ´_ゝ`)「なあ、このバールさ。お前じゃなくどっか別の方向に投げるから。
お前は俺に向かってその日記を投げてくれよ。優しく。」
(´<_`; )「やっぱり俺に向かって投げるつもりだったのか……まあいいよ」
交渉成立。しかしまた邪念が入る。
”このバールを後ろに投げて、日記を手に入れてからバールのところにダッシュすりゃよくね?
そうすりゃ俺が先にバールを手にしてフルボッコに出来て圧勝じゃね? マジ俺頭良くね?”
オイオイ、いい加減にしろ俺の脳みそ。どんだけ攻撃的なんだ。マジで。
薬のお陰で俺の一部冷静な思考が邪念を諌める。なんだか分裂した気分だ。
179: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:34:45 ID:zQ/5PdyA0
(´<_`; )「おい,なんでまた止まってるんだ。投げるぞ? いいんだよな?」
( ´_ゝ`)「あー……うんとさ、このバール投げる方向指定してくれ。
指差した方向に向かって投げるから、どこでもいい」
(´<_`; )δ「なら、そっち」
( ´_ゝ)「了解」
そして、日記は俺の方へ、バールは屋根裏の暗闇の中に消えていった。
ついでに、右の袖に入れていたブツも飛んで行く。やべえ忘れてた。
ハッピーエンド。めでたしめでたし? んなワケない。後で回収しよう。
( ´_ゝ`)「これ返してもらいたいだけだったのに、あんなガチ逃げしなくてもいいだろ。
従姉妹の下着盗んだ下着泥棒を思い出すくらいの逃げっぷりだったわ」
(´<_`; )「あんな日記を読んでる途中、音もなく背後に仁王立ちってさあ!
しかも真顔で追っかけて来て危機感ちょ~煽りやがって!
屋根裏に逃げ込んで閉じこもって撒くまで待とうとか思ってたら、
バールでこじ開けて登ってきやがったんだぞ! どうビビるなと!」
( ´_ゝ`)「おお……そうして聞いてみるとまるでホラーの主人公だな」
(´<_`# )「他人事だと思って!」
( ´_ゝ`)「他人事じゃん、それに俺、逃げられると追いたくなるし」
180: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:35:28 ID:zQ/5PdyA0
もし屋根裏が密閉空間だったら、登るところの真下でずっと待っていた。
そんな事を伝えると一歩後ずさる。登る手間と交渉の面倒臭さを説く。
そのついでに、逃げられると追いたくなる心理も説く。
(´<_` )「獣かテメェは、理解できねえ」
( ´_ゝ`)「期待してない」
ページをパラパラと捲って欠けがないか確認する。あまり内容は見ないように。
主に錯乱時に書いてるから、そりゃあもう色々と酷い。読んだら怒りのスイッチが入る。
今はこれをうっかり読んでも、不貞寝で怒りを抑えられるくらいには成長した。
(´<_` )「それにしてもヒデーなこの日記。主に俺の扱いが」
( ´_ゝ`)「お前が主に喧嘩を売ってくるからな」
弟のついでに、周囲の人間も一緒に綴っている。
笑われた日の復讐の仕方とか、殺害計画とか殺した後の事後処理とか、
事後処理がバレた場合の俺の人間関係と世間体の変化のシミュレートとか。
それらをこの日記に吐き出しているお陰で、実行に移した事はない。
181: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:36:17 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「つーか兄者、俺の事が好きなのか? 嫌いなのか?」
( ´_ゝ`)「は? 嫌いだよ」
硬直なんて間を置かず、考えるより先に口が答えを出した。
答えを発してから質問を頭の中で考えたが、やっぱり意味はわからない。
そんな答えがわかりきった質問をしてきた、弟の意図も。
( ´_ゝ`)「なんでそんな頓珍漢なことをほざく」
(´<_`; )「ほざくとか言うなや。てか、それに書いてあんじゃん。ちょっと貸せよ」
日記をぶん取る糞野郎。スイッチが入りかけたが、気合で抑える。
後でお前のお気に入りの靴にハムスターの糞を詰めてやる。
(´<_` )「ほらここだよ」
_, 、_
( ´_ゝ`)「あぁん?」
182: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:38:19 ID:zQ/5PdyA0
指された箇所には、『ドキドキする』と書いてある。文の前後を繋げると、
『完全にスイッチが入った状態で弟者が目の前にいるとドキドキする、動悸が酷くなる』と。
勘違いされそうな文章、なのか? 確かにこれだけだと勘違いされそうではあるが、
その後には弟への恨み辛み殺害方法、そして自分に本気の恋愛対象が現れた場合の、
”速やかな排除の仕方”が綴られている。特に勘違いされそうな内容ではない。
( ´_ゝ`)「どこだよ」
(´<_`; )「いやそこであってるよ、今読んでるとこ」
( ´_ゝ`)「わかんねーよ」
(´<_`# )「あーもーだったら声に出して読んでみろよ!」
( ´_ゝ`)「『殺す殺す殺す殺す肘膝砕いて畜生のようにして
(´<_` )「悪かった、そっちじゃない」
( ´_ゝ`)「お前がおかしいと思う箇所をお前が教えろ、俺が書いたもんだ。
自分では気付けない。指摘されない限り、俺は分からないから教えろ」
(´<_` )「真面目くさんなよ、まあ、ここだよ、ここ」
183: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:39:59 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「あまり深くは突っ込まないけど、ここにさあ、マジで好きな奴ができた時の
殺し方が載ってあんじゃん? なんでそんな事するのかマジ意味不明だけど」
( ´_ゝ`)「そりゃあ恋愛対象が邪魔だからだ。俺の人生には必要ない。いらない。
そこまでして欲しくて狂えるものなら、そうなる前に自分で壊す。排除する。
不確定なものを欲しがって、愛なんてものを返してもらってほしくて、
それに思考を割いて、そいつに尽くして人生棒に振るなんて無駄過ぎる。
まあ発狂時に書いたものだからな。もし現れた場合。恋愛なんて知らんし」
知人にストーカーになって逮捕された奴がいるしな。ザ・反面教師。
ああまで女を追い求めるようになるくらいなら、いないほうがマシだ。
止めようと諌める周囲もその中心も、第三者から見たら滑稽でしかない。
それに、恋愛で人生終了とか笑い話にしかならない。
今の世界でロミオなんか演じたら、ストーカー法かセクハラで捕まる。
(´<_` )「クソ饒舌だな」
( ´_ゝ`)「へえ、お前そんな言葉知ってたんだ」
(´<_`# )「皮肉じゃないところが更に腹立つ」
┐( ´_ゝ`)┌「あっそう」
(´<_`; )「もー」
184: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:41:34 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「つーかそうじゃなくってな」
( ´_ゝ`)「なんだよ」
(´<_` )「この……俺の殺し方と、好きな奴の殺し方さあ、同じじゃん」
( ´_ゝ`)「ん?」
自分で読み返してみると、確かに同じ殺し方だった。
教室で、椅子で殴り殺す。シンプル。しんぷるいずべすと。
これは同じような状況での想定だったからこうなっただけだ。そのまま伝える。
(´<_` )「同じような状況でのソーテー……」
( ´_ゝ`)「ソテーじゃないぞ、ようはシミュレートとか将来設計だ」
(´<_` )「お前はどんな世紀末を生きる予定だよ」
。
( ´_ゝ`)「北斗とか? スタルカーでもいいな、あ?」
185: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:42:24 ID:zQ/5PdyA0
薬が回ってきたのか、ふわふわする。少しずつ視界が狭くなる。
何が笑いの沸点に触れたのかわからないが、少し自分でおかしくなって笑う。
そろそろ寝たほうがいいかもしれない。睡魔が来る。抗えない奴が。
日記を取り戻す前に、錯乱状態になるまいと薬を飲んだのが仇になったか。
。
( ´_ゝ`)゚「話はそれだけか? 俺は暗いしもう寝る」
(´<_`; )「寝んな! もう暗いがまだ5時だぞ!」
雪国の冬は日が短い。ついでに屋根裏なので寒い。やはり寝たい。
少しずつ後ろに、出口に下がって行く。開けっ放しだから落ちれば終わりだ。
下は押入れだから、布団がある。このままでもてきとうに寝れる。
( ´_ゝ`)「もう終わったんだろ? 寝るわ」
(´<_`; )「だからまだだっての!」
186: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:44:00 ID:zQ/5PdyA0 。
( ´_ゝ`)゚「へ? 他に何かあるのかよ。なら下で話せばいいじゃん」
(´<_` )「ここがいいんだよ」
( ´_ゝ`)「なんで」
肩を押されて強制的に目を合わせられた。
この糞野郎。人の嫌な事ばかりしやがって。
俺は人と目を合わすのが嫌いだ。
人の目が嫌いだ。
鏡に映った自分の目も嫌いだ。
長い時間は直視できない。
理由は眼球が気持ち悪いからだ。
白目も黒目もまとめてキモイ。
動物のは大丈夫なんだけどな。
小学生の頃に見たホラー漫画のせいだと、適当にあたりをつけている。
187: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:44:44 ID:zQ/5PdyA0
( ´_ゞ)「…………」
ここで逸らしたら野生動物よろしく負けなのか、いや負けでいい。眠い。
睡魔が強敵過ぎる。こんなところで寝たら凍死してしまう。俯いて目を擦る。
(´<_` )「俺さ、女癖悪いし盗癖あるし手癖悪いし金に汚いし」
。
( ´_ゞ)゚「んな事知ってる、さっさと死ね……」
マジで眠い。肩に乗ってる手を振り払うが、今度は腕を掴まれる。
(´<_` )「独り立ちしてもあんたに金は集るし、割と迷惑かけるの好きだし。
俺は死ぬまで一生アンタに色々な迷惑かけ続けると思うわ」
( ´_ゝ`)「マジかよ本当に死んでくれ」
スイッチが入りかかって一時的に目が覚める。睡魔め。
今度は日記に絶縁する妄想を書こう。実行用の日記に。
188: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:46:27 ID:zQ/5PdyA0
(´<_` )「俺が勝手に死んだら兄者はどうすんの?」
( ´_ゝ`)「葬式は金がかかるからしない」
(´<_`; )「式は必ずだぞ」
。
( ´_ゝ`)゚「役所に全部任せる。一文たりとも払わない。そして人生を謳歌する」
常日頃から思っている事だ。自分の手を下すのが一番だが、
知らない場所で勝手にのたれ死んでくれても構わない。
お前が死体になったら歓迎するよ。盛大にな。
(´<_` )「フーン。そうか、俺は兄者が死んだら俺も死ぬわ」
。
( ゙_ゞ)゚「はぁ?」
189: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:47:22 ID:zQ/5PdyA0
もう開けない目が、更に上から塞がれた。感触からして衣服。
しかも両腕でがっちりホールドの上に両足を踏まれた。億倍にして返す。
実行用に書く。絶対に書く。靴の内側に隙間なく画鋲を仕込んでやる。
新しいアクセなんてぶっ壊してやる。何がクロ○ハーツだ。氏ねじゃなく死ね。
そんな思いとは裏腹に、薬で力は入らない。
(´<_` )「どうせ俺の将来なんて知れてるしぃ、女前にすると止まらんし。
あのさあ、嫌がらせはもうちょっと軽くするからさ、前みたいに
( ; _ゝ )
自分自身の心配しかできないクズな思考回路が警報を鳴らす。
もう駄目だ。凍死してもいい。それ以上は聞きたくない。
俺は睡魔と薬の効果を脳内で悪魔合体させて、ワンランク上の何かを作り出した。
後は自分の意識を頭の奥に押しやって、何かに落とさせて終了。
体が気絶しても、暴走してこいつに殴りかかっていっても知ったことか。
190: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:48:42 ID:zQ/5PdyA0
こいつが何を考えてるかなんて俺はわからんし、
こいつも俺が何を思ってるかなんて知らんだろう。
当たり前だ。ここは漫画でも小説でも映画でもないんだ。
テレパシストでもないし、人の頭の中なんて分かるワケない。
そういうのは創作でしかできない。フィクションの世界だ。
俺が解るのは、こいつは女を前にすると、
下半身でしか動けないと言う事実のみだ。
(´<_` )「あれ? おい兄者、聞いてる?」
人に気を使うのなんて面倒くさい。
人の顔色を窺うのも面倒くさい。
こいつは今こう思っているだろうから、こうしたほうがいいだろう、とか。
察しなければ、空気を読まなければ、雰囲気を感じなければ、とか。
言葉の裏を深読みして解くのだって、遊びでしかできやしない。
思いも考えも、言葉や行動に移さなきゃ相手に伝わらないのに。
態度や視線で察しろとばかりで、誰も直接教えてくれない。
191: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:49:38 ID:zQ/5PdyA0
実の母が目の前で泥酔して、失禁脱糞してる時だって心配すらできなかった。
誰も世話する人がいなかったから自分が全部処理したが、心は凪いでいた。
多分、糞親父が母に向かって暴言を吐いてたのが自分の客観性を押したんだろう。
「
津波が来た時だって、友人の心配一つせず弟の死を望んでいた。
周りに転がる有象無象の死体なんてそれこそどうでもよかったし、
色々と優しくしてくれたバイク屋のおっさんが死んでも哀しくなかった。
下宿先の大家、近所の婆さん、よく会うバスの運転手、パチンカスの知り合い。
ブランド欲しさに風俗で稼ぐ女友達。口下手だけど料理を教えてくれた先輩。
誰が死んでも悲しくないけど、涙だけは長年の訓練で無理矢理ひねり出せる。
クズの自覚はあるし、碌でなしの証拠もある、救えない奴なのは判ってる。
実行していないだけで、精神判断だけでいけば弟を上回るクズなのも知ってる。
ポジティブに考えれば、他人の心配ができないってのは、
それだけ自分の心につける傷が少なくなるって事だ。
俺の思考回路は、俺の精神に対して優しくできている。
自分の日常生活に関係のない支障のない奴の死をヒーヒー哀しんだり、
好いていると思ってた奴が実は自分の事を嫌っていたと知って食欲無くしたり、
友人の母親の首吊り死体を見てその場で吐きまくったりしないでいい。
」
それで薄情だ、冷血だ、鬼だ、人でなしだ、畜生だと言われてもいい。
鈍くていい。無くていい。そういう余計なモノはいらない。
192: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/23(水) 23:52:32 ID:zQ/5PdyA0
酷い日々を過ごしてきたから、そういうのが麻痺してるんだと言った人もいた。
じゃあ麻痺が直ったら、その後に俺はどうなるんだよ。
色々な記憶から良心の呵責が始まって、罪の意識に苛まれて、
それから弟に生まれてきてごめんなさいと自殺でもするんか?
いっそ安い不幸自慢大会でも開いたらいいのかねえ。
意識を無くす最後の足掻きなのか、脳みそは暴走しまくった。
17.糸冬
154:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:42:28 ID:MewIrKOQ0
16.お帰りがないのはいつもの事です
( ´_ゝ`)「ただいまー」
鬱田の部屋へ泊っての朝帰り。
夜食を買いに件のコンビニへ寄ったりしたが、何も無かった。
毎日のように殴り合いに明け暮れるなんて事はない。どこの不良漫画だ。
( ´_ゝ`)「あーやっぱあいつ家にいんのか」
靴が揃って投げ出されている。揃えろと言っても従った事はほぼない。
あの糞親父が、木刀と言い張った真剣を携えていた時だけ揃えていた。
しかし、当時の自分は何故それに騙されていたんだろうな。
重さと外見からして木刀は有り得ないのに。柄を見て気付け自分。
本物の木刀を知らなかったから無理だったんだろうか。
京都で土産の木刀を見た時は軽さに驚いたものだ。買いはしなかったが。
155:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:43:51 ID:MewIrKOQ0
蛇足。
京都で弟が買った木刀は、帰宅後の乱闘で折れた。確か原因は向こう。
木刀相手に、頼りない錆付き包丁で善戦した自分を称賛したい。
土産物の木刀なんてそんなものかと言いつつ、軟弱で逆に助かったと思った。
合気道で使った木刀はもっと重かったしな。あれだと勝てる気がしない。
( ´_ゝ`)「はー……」
いやしかし、今日は色々と気を張っていて疲れたから、もう眠りたい。
母親とあいつの分のメシをてきとーに作って、風呂に入ろう。
その前に日記か。忘れない内に書き留めよう。
内藤と鬱田から今日も色々と考えを貰った。
悪い出来事ばかりでページを埋め尽くしていては、
日記もそれを読み返す俺の脳みそも疲弊する。
部屋に入って、上着を脱いで帽子を取って。
さて日記はと机の引き出しを開けると、目当ての物が無かった。
( ´_ゝ`)゙
硬直。
156:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:44:47 ID:MewIrKOQ0
( ´_ゝ`)
氷解。
咄嗟に部屋全体を見渡す。特に荒らされた形跡はない。
貴重品の入った、鍵のかかった引き出しにも変わりはない。
貯金箱も軽くなってはいないし、通帳や印鑑もそのままだ。
隠し棚の様子も確かめてみたが、相変わらず埃を被っていた。
落ち着く為に、事前に薬を服用しておく。医者処方の液状即効性。
( ´_ゝ`)「ふむ」
ピンポイントで日記を取りに来たんだろうか。
何故バレた? 何処でヘマをした? 一体いつ此処に?
医者から処方してもらった薬が切れて、市販の睡眠薬を飲んだ時だろうか。
だとしたら予想もつかないくらいヤバイことが起きている気がする。
薬が合わないのか、効果が薄いのか。
専門家ではないから詳しい事は不明だが、市販の睡眠薬を飲んだ俺は、
寝るまで変な行動を取るらしい。その間の記憶は俺にはない。全く無い。
それを知っているのは我が母と、弟と、俺と似たような症状を持ってる友人Aだ。
157:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:45:40 ID:MewIrKOQ0
友人Aの場合、何故かはわからないが電気、水道、ガス等の元栓を、
使えないように全て閉めてしまうらしい。きっちりと。理由は不明。
電気ならブレーカーを落とす。冬には壊滅的な被害だ。
水道の場合は外まで行って元栓を閉める。迷惑極まりない。
ガスは外のガス缶ごと外されていた。火事どころの話じゃない。
一人暮らしなので、最初は不法侵入の悪戯かと思いカメラを仕掛けた友人A。
被害にあった翌日、カメラを再生すると、そこにあった映像に息を呑んだと言う。
暗視撮影用の緑色の画面の向こう。その明かり一つもない暗闇の中。
ブレーカーを落とし、元栓を閉め、ガス缶を倒しているのは紛れもない自分だった。
それを見た時の気持ちはお分かりいただけるだろうか。
ぶっちゃけ俺でもよくわからない。起してる行動が違うし。
( #゚∀゚ )『そおいうときは、嘘でもわかると言えやぁあああ!!』
(; _ゝ )『ぎゃああああ痛い痛いいだだだだ!!』
そんな事を言ったら全力のキャメルクラッチを喰らった。
わからないものはわからないのだ。答えを濁してどうする。
理解すらできないものを、嘘で判ると答えてもどうにもならない。
158:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:46:50 ID:MewIrKOQ0
友人A……もうアヒャでいいか。
友人Aをアヒャに置換する。
アヒャは、自分なりの対策を立てた。
ブレーカーの綴蓋にガムテープを張りまくり、開かないようにした。
元栓にはハンドルの部分に100均の施錠をして、動かないようにした。
ガス缶は鎖を何重にも巻いて縛りまくり、倒れないようにした。
結果。
ガムテープには狂ったような引っ掻き傷の跡。
鍵には生爪が引っ掛かり、鎖には血が染み付いた。
( ゚∀゚ )『もう俺は駄目みたいだわ。死んだらHDD処分してくれ』
( ´_ゝ`)『わかった。お前が死んだら中身全部ネットにzipで流すわ』
アヒャのとった最終手段は、病院ではなく俺だった。
金がかかるのが嫌だと言う。保険証もなくしたらしい。再発行しろよ。
159:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:48:07 ID:MewIrKOQ0
( ゚∀゚ )『俺が変な行動し出したら、話しかけるとかしてくれ。
駄目だったら力尽くで止めて、なんとか会話してくれ』
( ´_ゝ`)『会話できなかったら?』
( ゚∀゚ )『その時はその時だ。適当に……うん、その包丁はしまえ』
( ´_ゝ`)『ちっ』
結局、向こうのアヒャとは会話が出来なかった。
ある程度痛めつけてもいいと言ったので、殴ったり蹴ったり、刃物で脅したり、
脛にガムテープを張ってからべりぃとスネ毛ごと剥がしたりしたが駄目だった。
一心不乱にブレーカー、元栓、ガス缶のある場所へ行こうとする。
会話が出来ないとなれば、特にやる事はない。
放っておこうにも、こっちのアヒャは寝るまでこの行為を繰り返す。
160:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:49:37 ID:MewIrKOQ0
結局、俺が寝る為に、アヒャの体を鎖で縛って転がしておいた。
馬鹿力だったが、あまり知能はないようで抵抗を抑えるのは簡単だった。
翌日、呻き声を耳にして起きた俺の目に入ったのは、
トイレに行けずに盛大に漏らしてしまってたアヒャであった。
人生とは無情である。おにちくしょうと罵られたが、甘んじて受け取った。
( ´_ゝ`)『じゃあ今度は俺の番な、痛みが残るのは嫌だから、
暴れたらガムテで縛りあげてベッドに転がしてくれ!』
( ゚∀゚ )『俺の事で学んだ問題点を全部改善するよう要求しやがって。
まあいいけどさ、取りあえず最初は会話でいいんだよな?』
( ´_ゝ`)『会話は二の次でいいや。俺が何してるのか見て、俺に教えてくれ。
俺は自分が何してるかわからないんだ。当事者も教えてくれない』
( ゚∀゚ )『わかった。でも話しかけられたり、襲いかかられたり、
こっちに何かしらの反応があったら俺もそれに応えるぜ』
( ´_ゝ`)『そうしてくれ』
161:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:50:39 ID:MewIrKOQ0
そして、市販の睡眠薬服用後の俺は
どうやら、人肌恋しくなると言うか
まるで鼻水垂らしたガキみたいな甘ったれと言うか
何をどう言ったらいいかわからない、が
ええと、やたら人にベタつくようで
相手を間違えれば尻の危機にも等しいと言うか
普段、思ってすらいない事をくっちゃべると言うか
取りあえず、暖を求めて徘徊しているようで
しかも言葉が大分幼稚になるようで
一番の問題は、こんな行動を
弟に対しても起こしていたかと思うと、もう
うわあああああああああああああああああああ
ああああぁくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
162:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:51:25 ID:MewIrKOQ0
となるくらいの衝撃だった。
アヒャが面白がって録音したボイスレコーダーは破壊しておいた。
後から弁償して新品を買い与えたのだから、大目に見てもらいたい。
( ゚∀゚ )『あーあ、勿体ねー』
( ´_ゝ`)『お前のこの映像でもバラまいてやろうか』
( ゚∀゚ )『別にそれは恥ずかしくねーし』
( ´_ゝ`)『いや、こっちの漏らしたやつだ』
そして、俺のデジタルカメラはアヒャに破壊された。
誰が何と言おうと相討ちである。紛れもない相討ちである。
お互いの実験が終わった去り際に、顔を赤らめたアヒャから、
俺って男でも大丈夫かもしれない……との言葉を背に頂いた。
内股になり、人差し指を胸の前でつんつんするおまけ付きで。
今後、こいつとの付き合いは改めていきたいと俺は思う。
あいつの感情は、失禁現場を見られた吊り橋効果だった事を願おう。
同じ年代の友人にそんなモノを見られたのだ。混乱していたに違いない。
多分、きっと、おそらく。そうであってくれないと困る。
163:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:52:07 ID:MewIrKOQ0
うーん。嫌な事を思い出した上に、話が大分脱線した。
つまり俺が言いたいのは、日記の在りかがバレたのは、
市販の睡眠薬を服用した俺が口を滑らせたと言う憶測だ。
むしろそれ以外に考えられない。
他に何かあったら教えてほしい。
まあ、全て当の本人に聞けばすむ話だからよかった。
嘘を吐くかもしれないが、そこはまあ脅し殴り宥め蹴りつつ行こう。
足音を消して家の中を歩き回っている内に目標が見つかったのは幸いだ。
弟は自分の部屋で俺の日記を熟読している。
相手を警戒させないように、努めて優しく声をかけた。
16.糸冬
16.お帰りがないのはいつもの事です
( ´_ゝ`)「ただいまー」
鬱田の部屋へ泊っての朝帰り。
夜食を買いに件のコンビニへ寄ったりしたが、何も無かった。
毎日のように殴り合いに明け暮れるなんて事はない。どこの不良漫画だ。
( ´_ゝ`)「あーやっぱあいつ家にいんのか」
靴が揃って投げ出されている。揃えろと言っても従った事はほぼない。
あの糞親父が、木刀と言い張った真剣を携えていた時だけ揃えていた。
しかし、当時の自分は何故それに騙されていたんだろうな。
重さと外見からして木刀は有り得ないのに。柄を見て気付け自分。
本物の木刀を知らなかったから無理だったんだろうか。
京都で土産の木刀を見た時は軽さに驚いたものだ。買いはしなかったが。
155:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:43:51 ID:MewIrKOQ0
蛇足。
京都で弟が買った木刀は、帰宅後の乱闘で折れた。確か原因は向こう。
木刀相手に、頼りない錆付き包丁で善戦した自分を称賛したい。
土産物の木刀なんてそんなものかと言いつつ、軟弱で逆に助かったと思った。
合気道で使った木刀はもっと重かったしな。あれだと勝てる気がしない。
( ´_ゝ`)「はー……」
いやしかし、今日は色々と気を張っていて疲れたから、もう眠りたい。
母親とあいつの分のメシをてきとーに作って、風呂に入ろう。
その前に日記か。忘れない内に書き留めよう。
内藤と鬱田から今日も色々と考えを貰った。
悪い出来事ばかりでページを埋め尽くしていては、
日記もそれを読み返す俺の脳みそも疲弊する。
部屋に入って、上着を脱いで帽子を取って。
さて日記はと机の引き出しを開けると、目当ての物が無かった。
( ´_ゝ`)゙
硬直。
156:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:44:47 ID:MewIrKOQ0
( ´_ゝ`)
氷解。
咄嗟に部屋全体を見渡す。特に荒らされた形跡はない。
貴重品の入った、鍵のかかった引き出しにも変わりはない。
貯金箱も軽くなってはいないし、通帳や印鑑もそのままだ。
隠し棚の様子も確かめてみたが、相変わらず埃を被っていた。
落ち着く為に、事前に薬を服用しておく。医者処方の液状即効性。
( ´_ゝ`)「ふむ」
ピンポイントで日記を取りに来たんだろうか。
何故バレた? 何処でヘマをした? 一体いつ此処に?
医者から処方してもらった薬が切れて、市販の睡眠薬を飲んだ時だろうか。
だとしたら予想もつかないくらいヤバイことが起きている気がする。
薬が合わないのか、効果が薄いのか。
専門家ではないから詳しい事は不明だが、市販の睡眠薬を飲んだ俺は、
寝るまで変な行動を取るらしい。その間の記憶は俺にはない。全く無い。
それを知っているのは我が母と、弟と、俺と似たような症状を持ってる友人Aだ。
157:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:45:40 ID:MewIrKOQ0
友人Aの場合、何故かはわからないが電気、水道、ガス等の元栓を、
使えないように全て閉めてしまうらしい。きっちりと。理由は不明。
電気ならブレーカーを落とす。冬には壊滅的な被害だ。
水道の場合は外まで行って元栓を閉める。迷惑極まりない。
ガスは外のガス缶ごと外されていた。火事どころの話じゃない。
一人暮らしなので、最初は不法侵入の悪戯かと思いカメラを仕掛けた友人A。
被害にあった翌日、カメラを再生すると、そこにあった映像に息を呑んだと言う。
暗視撮影用の緑色の画面の向こう。その明かり一つもない暗闇の中。
ブレーカーを落とし、元栓を閉め、ガス缶を倒しているのは紛れもない自分だった。
それを見た時の気持ちはお分かりいただけるだろうか。
ぶっちゃけ俺でもよくわからない。起してる行動が違うし。
( #゚∀゚ )『そおいうときは、嘘でもわかると言えやぁあああ!!』
(; _ゝ )『ぎゃああああ痛い痛いいだだだだ!!』
そんな事を言ったら全力のキャメルクラッチを喰らった。
わからないものはわからないのだ。答えを濁してどうする。
理解すらできないものを、嘘で判ると答えてもどうにもならない。
158:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:46:50 ID:MewIrKOQ0
友人A……もうアヒャでいいか。
友人Aをアヒャに置換する。
アヒャは、自分なりの対策を立てた。
ブレーカーの綴蓋にガムテープを張りまくり、開かないようにした。
元栓にはハンドルの部分に100均の施錠をして、動かないようにした。
ガス缶は鎖を何重にも巻いて縛りまくり、倒れないようにした。
結果。
ガムテープには狂ったような引っ掻き傷の跡。
鍵には生爪が引っ掛かり、鎖には血が染み付いた。
( ゚∀゚ )『もう俺は駄目みたいだわ。死んだらHDD処分してくれ』
( ´_ゝ`)『わかった。お前が死んだら中身全部ネットにzipで流すわ』
アヒャのとった最終手段は、病院ではなく俺だった。
金がかかるのが嫌だと言う。保険証もなくしたらしい。再発行しろよ。
159:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:48:07 ID:MewIrKOQ0
( ゚∀゚ )『俺が変な行動し出したら、話しかけるとかしてくれ。
駄目だったら力尽くで止めて、なんとか会話してくれ』
( ´_ゝ`)『会話できなかったら?』
( ゚∀゚ )『その時はその時だ。適当に……うん、その包丁はしまえ』
( ´_ゝ`)『ちっ』
結局、向こうのアヒャとは会話が出来なかった。
ある程度痛めつけてもいいと言ったので、殴ったり蹴ったり、刃物で脅したり、
脛にガムテープを張ってからべりぃとスネ毛ごと剥がしたりしたが駄目だった。
一心不乱にブレーカー、元栓、ガス缶のある場所へ行こうとする。
会話が出来ないとなれば、特にやる事はない。
放っておこうにも、こっちのアヒャは寝るまでこの行為を繰り返す。
160:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:49:37 ID:MewIrKOQ0
結局、俺が寝る為に、アヒャの体を鎖で縛って転がしておいた。
馬鹿力だったが、あまり知能はないようで抵抗を抑えるのは簡単だった。
翌日、呻き声を耳にして起きた俺の目に入ったのは、
トイレに行けずに盛大に漏らしてしまってたアヒャであった。
人生とは無情である。おにちくしょうと罵られたが、甘んじて受け取った。
( ´_ゝ`)『じゃあ今度は俺の番な、痛みが残るのは嫌だから、
暴れたらガムテで縛りあげてベッドに転がしてくれ!』
( ゚∀゚ )『俺の事で学んだ問題点を全部改善するよう要求しやがって。
まあいいけどさ、取りあえず最初は会話でいいんだよな?』
( ´_ゝ`)『会話は二の次でいいや。俺が何してるのか見て、俺に教えてくれ。
俺は自分が何してるかわからないんだ。当事者も教えてくれない』
( ゚∀゚ )『わかった。でも話しかけられたり、襲いかかられたり、
こっちに何かしらの反応があったら俺もそれに応えるぜ』
( ´_ゝ`)『そうしてくれ』
161:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:50:39 ID:MewIrKOQ0
そして、市販の睡眠薬服用後の俺は
どうやら、人肌恋しくなると言うか
まるで鼻水垂らしたガキみたいな甘ったれと言うか
何をどう言ったらいいかわからない、が
ええと、やたら人にベタつくようで
相手を間違えれば尻の危機にも等しいと言うか
普段、思ってすらいない事をくっちゃべると言うか
取りあえず、暖を求めて徘徊しているようで
しかも言葉が大分幼稚になるようで
一番の問題は、こんな行動を
弟に対しても起こしていたかと思うと、もう
うわあああああああああああああああああああ
ああああぁくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
162:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:51:25 ID:MewIrKOQ0
となるくらいの衝撃だった。
アヒャが面白がって録音したボイスレコーダーは破壊しておいた。
後から弁償して新品を買い与えたのだから、大目に見てもらいたい。
( ゚∀゚ )『あーあ、勿体ねー』
( ´_ゝ`)『お前のこの映像でもバラまいてやろうか』
( ゚∀゚ )『別にそれは恥ずかしくねーし』
( ´_ゝ`)『いや、こっちの漏らしたやつだ』
そして、俺のデジタルカメラはアヒャに破壊された。
誰が何と言おうと相討ちである。紛れもない相討ちである。
お互いの実験が終わった去り際に、顔を赤らめたアヒャから、
俺って男でも大丈夫かもしれない……との言葉を背に頂いた。
内股になり、人差し指を胸の前でつんつんするおまけ付きで。
今後、こいつとの付き合いは改めていきたいと俺は思う。
あいつの感情は、失禁現場を見られた吊り橋効果だった事を願おう。
同じ年代の友人にそんなモノを見られたのだ。混乱していたに違いない。
多分、きっと、おそらく。そうであってくれないと困る。
163:名も無きAAのようです:2013/01/13(日) 18:52:07 ID:MewIrKOQ0
うーん。嫌な事を思い出した上に、話が大分脱線した。
つまり俺が言いたいのは、日記の在りかがバレたのは、
市販の睡眠薬を服用した俺が口を滑らせたと言う憶測だ。
むしろそれ以外に考えられない。
他に何かあったら教えてほしい。
まあ、全て当の本人に聞けばすむ話だからよかった。
嘘を吐くかもしれないが、そこはまあ脅し殴り宥め蹴りつつ行こう。
足音を消して家の中を歩き回っている内に目標が見つかったのは幸いだ。
弟は自分の部屋で俺の日記を熟読している。
相手を警戒させないように、努めて優しく声をかけた。
16.糸冬
135: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:19:46 ID:MewIrKOQ0
15.おっ? イライラすると人肌恋しくなるだけだお
鬱田が俺と内藤にあらぬ誤解をしたが、無事に解けた。
内藤はともかく、俺がゲイだとか有り得ない。ギガワロス。
何せこちとらショタや男の娘やらで抜いた事はないんだ。
気付かずに抜いてしまった事はあるが、その時見ていた薄い本には、
汚らわしいブツが股間に描かれていなかったので仕方ない。仕方ないのだ。
大事な事なので二回言いました。ちなみにニューハーフもNGです。
('A`;)「えぇと、違うんだよな? なら俺は安心していいんだな?
いきなりプレイを見せつけられたり、参加させられたりしないよな?」
( ^ω^)「いい加減うぜぇお。冗談だって言ってるだろうがお」
('A`)「さっきの、あの状況で、冗談って、お前」
( ^ω^)「僕に彼女がいる事を知っての狼藉か、そこになおれ」
('A`;) ヒィイ
136: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:20:27 ID:MewIrKOQ0
( ^ω^)「つーか兄者も兄者だお。僕ばっかで否定して、
お陰で『必死になればなるほど真実味が増す』
って状況になりかけてるお。どうしてくれるお」
( ´_ゝ`)「提案と言う名の強制してきたのお前じゃん……。
俺はそういうの面倒だし、鬱田も今は混乱して話聞かんし。
誤解が解けないようなら、それまでの仲だったんだろ」
そこで、何故か鬱田が俺を凝視する。俺は悪くない。
('A`)「あれ? もしかして俺って試されてたの?」
( ´_ゝ`)「は? 何を?」
( ^ω^)「あーうんうんそうそう、試してたんだお」
('A`;)「そうだったのか……心臓に悪いから、今度からその類はやめてくれ」
( ^ω^)ゞ「あいあいおー」
( ´_ゝ`)「……」
よくわからん内に収まった。別に良いが。
俺としては内藤の話の続きを早く聞きたい。
137: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:21:28 ID:MewIrKOQ0
( ´_ゝ`)「で、向こうのグループのバカが何したって?」
( ^ω^)「どこまで話したっけ?」
('A`)「脛を蹴ったとこまで」
( ^ω^)「ああ、その後3人くらい殴りかかって来たから適当に投げて、
店長に連絡いれて店の裏口から逃げて来たんだお」
( ´_ゝ`)「逃げたのか、意外だな」
( ^ω^)「丸腰の上に、相手はナイフ出してきてたお」
( ´_ゝ`)「危ねぇ奴らだな」
('A`)「……あそこのコンビニ周辺、そんなに物騒なの?」
( ´_ゝ`)「さあ。ただ自分の獲物持って歩いてるのは増えたんじゃない?」
('A`)「そうなのか?」
( ^ω^)「そう言えば最近雑貨屋のおっちゃんが刃物の売れ行きがいいって」
( ´_ゝ`)「へー」
138: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:23:01 ID:MewIrKOQ0
DQN独特のコミュニティもあるから、多分その界隈とかで、
内藤の言った雑貨屋がいいなんて言われたりしたんだろう。
理由はいくらでも推測できるが、当たっているとは限らない。
( ^ω^)「最近若者が出入りするようになったって言ってたおね」
('A`)「ふんふん」
雑貨屋のおっちゃんの強面から元ヤクザと噂が走り武器に精通してるとか。
あの店は古くてカメラもないから武器を買った場所の足がつかなくて大丈夫だとか。
他にも色々とあるが、そんな理由じゃないだろうか。料理クラブは流石に有り得ない。
( ´_ゝ`)「まあ、俺らも銃刀法に引っ掛からない程度の大きさの刃物とか、
改造したエアガンの類とか、火炎放射機にしたライターとか、
100円のショップの包丁をレシートと一緒に持っててもいいかもね。
ちなみに包丁はパッケージから開封しないで持っておけばいいよ」
(;'A`)「……」
( ´_ゝ`)「最近物騒だからさー、護身用に……っておい鬱田、なにゆえ逃げる」
(;'A`) ))「あの、すみません……俺なんにもしてないんで……」
(;´_ゝ`)「え? ちょっ」
139: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:23:44 ID:MewIrKOQ0
いやいや待て待て、これはもしかしてガチ逃げされているのか。
この部屋の主はお前だろう。そんな部屋のスミスに逃げ込んでどうする。
( ^ω^)「小心者で臆病者なガラスハートの毒男君がびびりまくってるお。
これは安心させる為に兄者を丸腰にせねばなるまい」
(;´_ゝ`)「友達の部屋にそんなモン持ち込むはずねーだろ!」
(;'A`)「安心させて! 安心させて! 全裸になれとまでは言わない!」
( ´_ゝ`)「頼まれてもそれだけはしないから」
( ^ω^) チッ
( ´_ゝ`)「そこで舌打ちしてる自称デブが怖いんでね」
そもそも内藤の目の前で全裸とか、ただネタにされるだけだ。
俺の一生の恥画像がネットで出回る等、死んでも避けたい。
( ^ω^)「まあいいお、僕も兄者が暴走した時の危険は排除したいし、
何か持ってるならここで出せお。後で返すお。鞄見せろお」
( ´_ゝ`)(やべえ)
140: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:25:03 ID:MewIrKOQ0
ちょっと倫理的に見つかりたくない物が入っている。
俺は右腕の袖の隙間を確保しつつ、鞄から気付かれないよう物を抜く。
そのまま指だけで袖の中に押し込み、鞄を内藤に渡した。
( ^ω^)「さーて御開帳~」
ガシャ
ドサ
ジャラ
('A`)「oh...」
( ^ω^)「ワンダホー」
( ´_ゝ`)「ありがとう」
( ^ω^)「褒めてねぇお」
('A`)「アンビリーバボー」
( ´_ゝ`)「ありがとう」
('A`)「褒めて……い、ます」
141: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:26:08 ID:MewIrKOQ0
二人の感情は察せない。そもそも察する機能は元々ないが。
うーん、こういう時にはあればいいと心底思うな。こういう時だけ。
経験や推測だけじゃどうにもできない時もある。
( ^ω^)「兄者さん」
( ´_ゝ`)「はい」
内藤が正座して俺に向き直るので、俺もベッドの上で姿勢を正す。
( ^ω^)「あなたは拷問趣味か、サディストか、尋問官なのですか?」
( ´_ゝ`)「どれも否定はしませんが、対象は一人だけですのでご安心下さい」
('A`)「……安心?」
斜め後ろから「安心ってなんだろう……」と哲学的な呟きが聞こえる。
俺にとっての安心は、予測できる危険に備え、危険を排除した状況かな。
142: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:26:53 ID:MewIrKOQ0
内藤が俺の鞄から落ちたキーホルダーを手に持った。
( ^ω^)「これは?」
( ´_ゝ`)「装飾品です」
( ^ω^)「開いて中から刃が出て来ましたが」
( ´_ゝ`)「折り畳みナイフです」
次に、エアガン。
( ^ω^)「これは?」
( ´_ゝ`)「エアガンです」
( ^ω^)「やけに重いのですが」
( ´_ゝ`)「弾がパチンコ玉なので」
麺棒の空き箱にぎっちり詰まった画鋲は、何故かスルーされた。
143: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:28:18 ID:MewIrKOQ0
次々に取り出す内藤。毒男はスミスで体育座りをしている。
( ^ω^)「これは?」
( ´_ゝ`)「ライターです」
( ^ω^)「喫煙者ではありませんね?」
( ´_ゝ`)「いずれそうなった時の為に」
( ^ω^)「試しに使って見てもいいですか?」
( ´_ゝ`)「その位置からだとこの部屋の天井が焦げます」
目を見開いてライターを取り落とす内藤。だが、すぐに顔を元に戻す。
改造ライターは衝撃に強いか実験していなかったので、念の為降りてキャッチした。
( ;^ω^)「なんつー物騒なモンを!」
( ´_ゝ`)「全身凶器に言われたくねーよ」
144: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:29:37 ID:MewIrKOQ0
( ^ω^)「没収しないって言ってたけど、それは流石に駄目だお。
こっちに寄越しなさい兄者君。それは危ないお~」
( ´_ゝ`)「えー嘘吐き」
袖に隠した物は見られたくない物だが、これは取られたくない物だ。
俺の技術では使い捨てしか作れない上に、一回きりの消耗品。
簡単に量産できないから無駄使いはしたくない。誰かにやるのも遠慮したい。
作り方だったらアレを見るといい。あの有害図書指定くらった理科の本。
( ^ω^)「だ~め~だ~おっ! それ寄越さなかったら全部没収だお!」
(;´_ゝ`)「それは」
それで困る。特にエアガンは貰い物だ。
いやちょっと待て、気付いたらエアガンが見当たらない。どこいった。
( ^ω^)「さ~坊や。その物騒なガラガラを寄越ちなさい」
幼稚な口調と共ににじり寄って来る。
ベッドは壁際だ。逃げ場はない。
145: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:30:38 ID:MewIrKOQ0
( ^ω^)「よこちなちゃい!」
(;´_ゝ`)「やだー!」
カマキリの威嚇よろしく迫って来る。
渡す渡さない以前にこの口調と態度が気持ち悪い。
横からすり抜けようとして、ベッドに押し潰された。息が苦しい。
('A`)「何やってんの、二人とも」
そこに神の声、ではなくモヤシの声。
しかしモヤシは手にエアガンを持っている。植物の反旗だ。
( ´_ゝ`)「エアガン……」
( ^ω^)「お? どこ行ってたお」
('A`)「河原で試し撃ちしてきた」
こいつ、実は不良なんて怖くないんじゃないの。
146: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:31:36 ID:MewIrKOQ0
気を取り直して先程の位置に戻り、尋問再開。
( ^ω^)「これは?」
( ´_ゝ`)「100均の包丁です」
( ^ω^)「開封していいですか?」
( ´_ゝ`)「やめて下さい持ち歩けなくなってしまいます」
( ^ω^)「レシートが新しいですね」
( ´_ゝ`)「古いと持ち歩けなくなるので」
( ^ω^)「何故持ち歩くのですか?」
( ´_ゝ`)「護身用に」
( ^ω^)「なりません」
('A`)「……」
147: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:32:58 ID:MewIrKOQ0
結局、開封された包丁は迷惑料として鬱田の部屋に置く事にした。
俺としては迷惑よりも、精神的負担による慰謝料、昼飯代のほうがしっくりする。
('A`)「共同キッチンあるのに、部屋に一本だけ包丁とか」
( ´_ゝ`)「不自然極まりない気がする」
( ^ω^)「不自然を持ち歩いてた奴が言うなお」
( ´_ゝ`)「ならないように持ち歩いてたから」
( ^ω^)「中学時代に袖に校則違反仕込んでた奴が何を言う」
( ´_ゝ`)「漫画の影響でな。そんなお前もヒデー物持って来てたじゃん」
( ^ω^)「やめよう。黒い歴史をほじくり返すのは」
( ´_ゝ`)「先に言ったのはお前だろうに……」
('A`)「卑猥な玩具とか安全なオチが見出せないお前らが怖い」
もうgdgd。内藤の話はいつになったら聞けるんだ。
148: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:34:41 ID:MewIrKOQ0
( ^ω^)「んーもうそろそろ時間ないかもしれないから、
兄者、念の為に今ある武器全部出してくれお」
( ´_ゝ`)「時間? てかそれで全部だけど」
( ^ω^)「袖かポケットに何か入ってないかお?」
( ´_ゝ`)「入ってないよ」
( ^ω^)「調べてもいいかお?」
おいおいなんでこんなにしつこいんだ。まさか見られてたのか?
俺はズボンの全てのポケットを裏返す。
(;´_ゝ`)「な。ないだろ?」
( ^ω^)「袖は?」
そっと右腕を上げて、袖の中の物を肘まで落とした。
その時に不自然な膨らみを見られないように、下から袖口に指をかけて広げる。
左腕も同じように内藤に見せて、審判を待つ。いざとなったら下着にでも隠そう。
149: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:36:27 ID:MewIrKOQ0
( ^ω^)「ないかお、残念だお……」
セーフ。俺は内藤から鞄を取り返す。
('A`)「時間ないってどういう事だ? 決闘相手でも待たせてんの?」
( ´_ゝ`)「そうだな。時間ないなら早く話しろよ」
( ^ω^)「じゃあ毒男のほうから答えるかお」
( ´_ゝ`)「どうぞ」
( ^ω^)「店の裏口から逃げたんだけど、着替えるのに手間取って。
復活してた奴らに見つかって追いかけっこしてたんだお」
('A`)「え?」
( ^ω^)「途中で撒いたからこの建物は気付かれてないお」
('A`)「え?」
( ^ω^)「多分」
('A`)「え」
150: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:37:09 ID:MewIrKOQ0
( ´_ゝ`)「じゃあ次俺」
( ^ω^)「動揺しろお」
慌てたってどうしようもない。
それにこの状況でどうやって慌てればいいんだ。
取りあえずムンクの叫びのポーズをとったら内藤にチョップされた。
( ^ω^)「話すから、うぜー動きはすんなお」
動揺しろ、と命令を出しておきながらこの言い様。
親の顔が見たい。まあこいつの親は波に攫われたが。
( ^ω^)「うんと、まず追い駆けられてる時に一人が電話したんだお」
('A`)「援軍?」
( ^ω^)「そうっぽいお。弟者って名前が聞こえたお」
( ´_ゝ`)「へー」
( ^ω^)「……兄者? もしかして頭おかしくなったかお?
ヤバイところ叩いてしまったのかお。ごめんお」
( ´_ゝ`)「ねーよ」
151: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:37:55 ID:MewIrKOQ0
( ;^ω^)「うーん、僕の予想ではこの辺りで兄者が暴走するかと……」
失礼な。そんなアホの事で常時頭を沸騰させてると思わないで頂きたい。
頭を沸騰させる、の下りであのAA(頭がフットー(ry)が思い浮かんだ。
アホな自分の脳みそが許せなくて、側頭部を殴る。すっきりした。
俺だってどうでもいい時くらいある。関わって疲れたくない時がある。
( ´_ゝ`)「つーか、その電話聞いたのって何時くらい?」
( ^ω^)「11時台だお」
(´く_` )ミ「鬱田ー、俺が来たのって何時くらい?」
('A`)「11時半」
ミ( ´_ゝ`)「じゃあ、あいつは援軍で来ないな」
( ^ω^)「え?」
( ´_ゝ`)「俺が家出る時、あいつ道のド真ん中で長岡と睨み合ってたぜ。
縄張り争いか、エロ本の貸し借りかは知らんけどさ」
( ^ω^)「なーんだ、杞憂かお」
('A`)「杞憂じゃないから。どっちにしろ俺のピンチに変わりはないから」
152: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:39:18 ID:MewIrKOQ0
その後、3人で色々構えていたが何もなかった。
どうやら近隣住民が、夜遅くに騒いでいる怪しい集団がいると通報したとの事。
しかし内藤め、毎回毎回めんどくせーのに巻き込んでくれやがって。
面白いからいいんだけどさ。
15糸冬
15.おっ? イライラすると人肌恋しくなるだけだお
鬱田が俺と内藤にあらぬ誤解をしたが、無事に解けた。
内藤はともかく、俺がゲイだとか有り得ない。ギガワロス。
何せこちとらショタや男の娘やらで抜いた事はないんだ。
気付かずに抜いてしまった事はあるが、その時見ていた薄い本には、
汚らわしいブツが股間に描かれていなかったので仕方ない。仕方ないのだ。
大事な事なので二回言いました。ちなみにニューハーフもNGです。
('A`;)「えぇと、違うんだよな? なら俺は安心していいんだな?
いきなりプレイを見せつけられたり、参加させられたりしないよな?」
( ^ω^)「いい加減うぜぇお。冗談だって言ってるだろうがお」
('A`)「さっきの、あの状況で、冗談って、お前」
( ^ω^)「僕に彼女がいる事を知っての狼藉か、そこになおれ」
('A`;) ヒィイ
136: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:20:27 ID:MewIrKOQ0
( ^ω^)「つーか兄者も兄者だお。僕ばっかで否定して、
お陰で『必死になればなるほど真実味が増す』
って状況になりかけてるお。どうしてくれるお」
( ´_ゝ`)「提案と言う名の強制してきたのお前じゃん……。
俺はそういうの面倒だし、鬱田も今は混乱して話聞かんし。
誤解が解けないようなら、それまでの仲だったんだろ」
そこで、何故か鬱田が俺を凝視する。俺は悪くない。
('A`)「あれ? もしかして俺って試されてたの?」
( ´_ゝ`)「は? 何を?」
( ^ω^)「あーうんうんそうそう、試してたんだお」
('A`;)「そうだったのか……心臓に悪いから、今度からその類はやめてくれ」
( ^ω^)ゞ「あいあいおー」
( ´_ゝ`)「……」
よくわからん内に収まった。別に良いが。
俺としては内藤の話の続きを早く聞きたい。
137: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:21:28 ID:MewIrKOQ0
( ´_ゝ`)「で、向こうのグループのバカが何したって?」
( ^ω^)「どこまで話したっけ?」
('A`)「脛を蹴ったとこまで」
( ^ω^)「ああ、その後3人くらい殴りかかって来たから適当に投げて、
店長に連絡いれて店の裏口から逃げて来たんだお」
( ´_ゝ`)「逃げたのか、意外だな」
( ^ω^)「丸腰の上に、相手はナイフ出してきてたお」
( ´_ゝ`)「危ねぇ奴らだな」
('A`)「……あそこのコンビニ周辺、そんなに物騒なの?」
( ´_ゝ`)「さあ。ただ自分の獲物持って歩いてるのは増えたんじゃない?」
('A`)「そうなのか?」
( ^ω^)「そう言えば最近雑貨屋のおっちゃんが刃物の売れ行きがいいって」
( ´_ゝ`)「へー」
138: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:23:01 ID:MewIrKOQ0
DQN独特のコミュニティもあるから、多分その界隈とかで、
内藤の言った雑貨屋がいいなんて言われたりしたんだろう。
理由はいくらでも推測できるが、当たっているとは限らない。
( ^ω^)「最近若者が出入りするようになったって言ってたおね」
('A`)「ふんふん」
雑貨屋のおっちゃんの強面から元ヤクザと噂が走り武器に精通してるとか。
あの店は古くてカメラもないから武器を買った場所の足がつかなくて大丈夫だとか。
他にも色々とあるが、そんな理由じゃないだろうか。料理クラブは流石に有り得ない。
( ´_ゝ`)「まあ、俺らも銃刀法に引っ掛からない程度の大きさの刃物とか、
改造したエアガンの類とか、火炎放射機にしたライターとか、
100円のショップの包丁をレシートと一緒に持っててもいいかもね。
ちなみに包丁はパッケージから開封しないで持っておけばいいよ」
(;'A`)「……」
( ´_ゝ`)「最近物騒だからさー、護身用に……っておい鬱田、なにゆえ逃げる」
(;'A`) ))「あの、すみません……俺なんにもしてないんで……」
(;´_ゝ`)「え? ちょっ」
139: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:23:44 ID:MewIrKOQ0
いやいや待て待て、これはもしかしてガチ逃げされているのか。
この部屋の主はお前だろう。そんな部屋のスミスに逃げ込んでどうする。
( ^ω^)「小心者で臆病者なガラスハートの毒男君がびびりまくってるお。
これは安心させる為に兄者を丸腰にせねばなるまい」
(;´_ゝ`)「友達の部屋にそんなモン持ち込むはずねーだろ!」
(;'A`)「安心させて! 安心させて! 全裸になれとまでは言わない!」
( ´_ゝ`)「頼まれてもそれだけはしないから」
( ^ω^) チッ
( ´_ゝ`)「そこで舌打ちしてる自称デブが怖いんでね」
そもそも内藤の目の前で全裸とか、ただネタにされるだけだ。
俺の一生の恥画像がネットで出回る等、死んでも避けたい。
( ^ω^)「まあいいお、僕も兄者が暴走した時の危険は排除したいし、
何か持ってるならここで出せお。後で返すお。鞄見せろお」
( ´_ゝ`)(やべえ)
140: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:25:03 ID:MewIrKOQ0
ちょっと倫理的に見つかりたくない物が入っている。
俺は右腕の袖の隙間を確保しつつ、鞄から気付かれないよう物を抜く。
そのまま指だけで袖の中に押し込み、鞄を内藤に渡した。
( ^ω^)「さーて御開帳~」
ガシャ
ドサ
ジャラ
('A`)「oh...」
( ^ω^)「ワンダホー」
( ´_ゝ`)「ありがとう」
( ^ω^)「褒めてねぇお」
('A`)「アンビリーバボー」
( ´_ゝ`)「ありがとう」
('A`)「褒めて……い、ます」
141: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:26:08 ID:MewIrKOQ0
二人の感情は察せない。そもそも察する機能は元々ないが。
うーん、こういう時にはあればいいと心底思うな。こういう時だけ。
経験や推測だけじゃどうにもできない時もある。
( ^ω^)「兄者さん」
( ´_ゝ`)「はい」
内藤が正座して俺に向き直るので、俺もベッドの上で姿勢を正す。
( ^ω^)「あなたは拷問趣味か、サディストか、尋問官なのですか?」
( ´_ゝ`)「どれも否定はしませんが、対象は一人だけですのでご安心下さい」
('A`)「……安心?」
斜め後ろから「安心ってなんだろう……」と哲学的な呟きが聞こえる。
俺にとっての安心は、予測できる危険に備え、危険を排除した状況かな。
142: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:26:53 ID:MewIrKOQ0
内藤が俺の鞄から落ちたキーホルダーを手に持った。
( ^ω^)「これは?」
( ´_ゝ`)「装飾品です」
( ^ω^)「開いて中から刃が出て来ましたが」
( ´_ゝ`)「折り畳みナイフです」
次に、エアガン。
( ^ω^)「これは?」
( ´_ゝ`)「エアガンです」
( ^ω^)「やけに重いのですが」
( ´_ゝ`)「弾がパチンコ玉なので」
麺棒の空き箱にぎっちり詰まった画鋲は、何故かスルーされた。
143: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:28:18 ID:MewIrKOQ0
次々に取り出す内藤。毒男はスミスで体育座りをしている。
( ^ω^)「これは?」
( ´_ゝ`)「ライターです」
( ^ω^)「喫煙者ではありませんね?」
( ´_ゝ`)「いずれそうなった時の為に」
( ^ω^)「試しに使って見てもいいですか?」
( ´_ゝ`)「その位置からだとこの部屋の天井が焦げます」
目を見開いてライターを取り落とす内藤。だが、すぐに顔を元に戻す。
改造ライターは衝撃に強いか実験していなかったので、念の為降りてキャッチした。
( ;^ω^)「なんつー物騒なモンを!」
( ´_ゝ`)「全身凶器に言われたくねーよ」
144: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:29:37 ID:MewIrKOQ0
( ^ω^)「没収しないって言ってたけど、それは流石に駄目だお。
こっちに寄越しなさい兄者君。それは危ないお~」
( ´_ゝ`)「えー嘘吐き」
袖に隠した物は見られたくない物だが、これは取られたくない物だ。
俺の技術では使い捨てしか作れない上に、一回きりの消耗品。
簡単に量産できないから無駄使いはしたくない。誰かにやるのも遠慮したい。
作り方だったらアレを見るといい。あの有害図書指定くらった理科の本。
( ^ω^)「だ~め~だ~おっ! それ寄越さなかったら全部没収だお!」
(;´_ゝ`)「それは」
それで困る。特にエアガンは貰い物だ。
いやちょっと待て、気付いたらエアガンが見当たらない。どこいった。
( ^ω^)「さ~坊や。その物騒なガラガラを寄越ちなさい」
幼稚な口調と共ににじり寄って来る。
ベッドは壁際だ。逃げ場はない。
145: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:30:38 ID:MewIrKOQ0
( ^ω^)「よこちなちゃい!」
(;´_ゝ`)「やだー!」
カマキリの威嚇よろしく迫って来る。
渡す渡さない以前にこの口調と態度が気持ち悪い。
横からすり抜けようとして、ベッドに押し潰された。息が苦しい。
('A`)「何やってんの、二人とも」
そこに神の声、ではなくモヤシの声。
しかしモヤシは手にエアガンを持っている。植物の反旗だ。
( ´_ゝ`)「エアガン……」
( ^ω^)「お? どこ行ってたお」
('A`)「河原で試し撃ちしてきた」
こいつ、実は不良なんて怖くないんじゃないの。
146: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:31:36 ID:MewIrKOQ0
気を取り直して先程の位置に戻り、尋問再開。
( ^ω^)「これは?」
( ´_ゝ`)「100均の包丁です」
( ^ω^)「開封していいですか?」
( ´_ゝ`)「やめて下さい持ち歩けなくなってしまいます」
( ^ω^)「レシートが新しいですね」
( ´_ゝ`)「古いと持ち歩けなくなるので」
( ^ω^)「何故持ち歩くのですか?」
( ´_ゝ`)「護身用に」
( ^ω^)「なりません」
('A`)「……」
147: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:32:58 ID:MewIrKOQ0
結局、開封された包丁は迷惑料として鬱田の部屋に置く事にした。
俺としては迷惑よりも、精神的負担による慰謝料、昼飯代のほうがしっくりする。
('A`)「共同キッチンあるのに、部屋に一本だけ包丁とか」
( ´_ゝ`)「不自然極まりない気がする」
( ^ω^)「不自然を持ち歩いてた奴が言うなお」
( ´_ゝ`)「ならないように持ち歩いてたから」
( ^ω^)「中学時代に袖に校則違反仕込んでた奴が何を言う」
( ´_ゝ`)「漫画の影響でな。そんなお前もヒデー物持って来てたじゃん」
( ^ω^)「やめよう。黒い歴史をほじくり返すのは」
( ´_ゝ`)「先に言ったのはお前だろうに……」
('A`)「卑猥な玩具とか安全なオチが見出せないお前らが怖い」
もうgdgd。内藤の話はいつになったら聞けるんだ。
148: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:34:41 ID:MewIrKOQ0
( ^ω^)「んーもうそろそろ時間ないかもしれないから、
兄者、念の為に今ある武器全部出してくれお」
( ´_ゝ`)「時間? てかそれで全部だけど」
( ^ω^)「袖かポケットに何か入ってないかお?」
( ´_ゝ`)「入ってないよ」
( ^ω^)「調べてもいいかお?」
おいおいなんでこんなにしつこいんだ。まさか見られてたのか?
俺はズボンの全てのポケットを裏返す。
(;´_ゝ`)「な。ないだろ?」
( ^ω^)「袖は?」
そっと右腕を上げて、袖の中の物を肘まで落とした。
その時に不自然な膨らみを見られないように、下から袖口に指をかけて広げる。
左腕も同じように内藤に見せて、審判を待つ。いざとなったら下着にでも隠そう。
149: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:36:27 ID:MewIrKOQ0
( ^ω^)「ないかお、残念だお……」
セーフ。俺は内藤から鞄を取り返す。
('A`)「時間ないってどういう事だ? 決闘相手でも待たせてんの?」
( ´_ゝ`)「そうだな。時間ないなら早く話しろよ」
( ^ω^)「じゃあ毒男のほうから答えるかお」
( ´_ゝ`)「どうぞ」
( ^ω^)「店の裏口から逃げたんだけど、着替えるのに手間取って。
復活してた奴らに見つかって追いかけっこしてたんだお」
('A`)「え?」
( ^ω^)「途中で撒いたからこの建物は気付かれてないお」
('A`)「え?」
( ^ω^)「多分」
('A`)「え」
150: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:37:09 ID:MewIrKOQ0
( ´_ゝ`)「じゃあ次俺」
( ^ω^)「動揺しろお」
慌てたってどうしようもない。
それにこの状況でどうやって慌てればいいんだ。
取りあえずムンクの叫びのポーズをとったら内藤にチョップされた。
( ^ω^)「話すから、うぜー動きはすんなお」
動揺しろ、と命令を出しておきながらこの言い様。
親の顔が見たい。まあこいつの親は波に攫われたが。
( ^ω^)「うんと、まず追い駆けられてる時に一人が電話したんだお」
('A`)「援軍?」
( ^ω^)「そうっぽいお。弟者って名前が聞こえたお」
( ´_ゝ`)「へー」
( ^ω^)「……兄者? もしかして頭おかしくなったかお?
ヤバイところ叩いてしまったのかお。ごめんお」
( ´_ゝ`)「ねーよ」
151: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:37:55 ID:MewIrKOQ0
( ;^ω^)「うーん、僕の予想ではこの辺りで兄者が暴走するかと……」
失礼な。そんなアホの事で常時頭を沸騰させてると思わないで頂きたい。
頭を沸騰させる、の下りであのAA(頭がフットー(ry)が思い浮かんだ。
アホな自分の脳みそが許せなくて、側頭部を殴る。すっきりした。
俺だってどうでもいい時くらいある。関わって疲れたくない時がある。
( ´_ゝ`)「つーか、その電話聞いたのって何時くらい?」
( ^ω^)「11時台だお」
(´く_` )ミ「鬱田ー、俺が来たのって何時くらい?」
('A`)「11時半」
ミ( ´_ゝ`)「じゃあ、あいつは援軍で来ないな」
( ^ω^)「え?」
( ´_ゝ`)「俺が家出る時、あいつ道のド真ん中で長岡と睨み合ってたぜ。
縄張り争いか、エロ本の貸し借りかは知らんけどさ」
( ^ω^)「なーんだ、杞憂かお」
('A`)「杞憂じゃないから。どっちにしろ俺のピンチに変わりはないから」
152: ◆T/D40qQ./Q:2013/01/13(日) 18:39:18 ID:MewIrKOQ0
その後、3人で色々構えていたが何もなかった。
どうやら近隣住民が、夜遅くに騒いでいる怪しい集団がいると通報したとの事。
しかし内藤め、毎回毎回めんどくせーのに巻き込んでくれやがって。
面白いからいいんだけどさ。
15糸冬
93:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:18:12 ID:1eULDlhg0
14.タッチアンドゴー トゥ ヘル
(´<_` )「……」
_
( ゚∀゚)「……」
柱|_ゝ`)「……」
愛しの我が家へ通じる道では、何故か野犬と狂犬が睨み合っていた。
縄張り争いだろう。巻き込まれるのは嫌なので、進路変更をする。
日記の回収は後回しだ。怪我をするほうがイクナイ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
('A`)「どうした?」
( ´_ゝ`)「最悪の化学反応が起きそうだったから先に避難してきた」
94:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:20:23 ID:1eULDlhg0
('A`;)「防げないからね? 俺は肉壁にもならないからね?」
( ´_ゝ`)「ああ、万が一の時には喋るミノ虫と思っておくよ」
('A`)「それは比喩表現か? 俺の今の格好そのままの意味か?
前者にしろ後者にしろ、どっちにしても殴っていい?」
珍しく鬱田はやる気だ。布団を脱いで腕まくりまでをしている。筋肉ねえなあ。
だが、この意気には俺も応えてやらねばなるまい。腹を出し、力を込める。
( ´_ゝ`)「来な!」
('A`;)「シャツ捲るなよ、逆に殴りにくいなあ……」
( ´_ゝ`)「なんだ地肌は駄目か、なら服の上からでも
('A`)「うん、なんかもういいや」
いきなりテンションダウンした。
俺もそうだが、こいつにも落差があるような気がする。
95:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:21:25 ID:1eULDlhg0
('A`)「今は特につまむ物もないし、本でも読んでおいて」
( ´_ゝ`)「ラノベばっかじゃねえか」
2mはあろうかという本棚3つ、その全てを埋めるのはライトノベルだ。
この数はちょっと引く。始めて見た時は顔が引き攣るのを止められなかった。
個人的に、まだエロ漫画のほうがマシだと思うのは……。
毒されてはいけない奴に、影響を受けているのかもしれない。
危ない兆候だ。抗わねば。眉毛野郎と同じになってしまう。
('A`)「顔が歪んでるぞ」
( ´_ゝ`)「ぬ、すまん」
('A`)「いやいいけどさ……内藤よりは」
( ´_ゝ`)「ああ」
内藤も、初めて見た時は笑いながら携帯のシャッターを切り続けていたらしい。
部屋スレにうpすると言って鬱田に止められていたが、後日うpされたスレを見つけた。
哀れ鬱田。俺はその後のレスを見て、鬱田に教えるのをやめた。
世の中には、知らないほうが幸せな事が沢山ある。腐るほどある。
96:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:22:17 ID:1eULDlhg0
('A`)「ラノベ持ってねーの?」
( ´_ゝ`)「そういや2、3冊しかないわ」
そもそもラノベ自体にあまり興味がない。持ってるのは中古10円の購入品だ。
何回か熱烈に進められて読んだもの全てがつまらなかったからかもしれない。
しつこいくらいの勧誘で、『貸してやる』のではなく『買え』とまで言われた。
一応は小説なので、気軽に立ち読みできるものではない。俺は素直に買った。
目の前で読めと言われ、そいつの前に座って読んだ。熟読した。鼻息がうるさかった。
(*@∀@)『どう? どう!?』
糞がつくほどにつまらなかった上に、ヒロインの性格が俺の嫌いなタカビー女だった。
目の前の奴は腋臭だった。地獄だった。思い出すと腸が煮える思い出の一つだ。
最後の勧誘では、勧められて自分で買った本を真っ二つに裂いて、顔面にぶつけてやった。
が、どうせなら膝でも入れるべきだった。言葉で反省しない奴は物理的にやるしかない。
97:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:23:07 ID:1eULDlhg0
そして俺は、ラノベとそいつが嫌いに……いや、感情で結論を出すのは駄目だな。
あの腋臭野郎は嫌いになった。カツアゲされるのを見かけても助けないくらいには。
ラノベは嫌いではないが、少なくともホラーとか推理とかSFとか妖怪話の方が好きだ。
別に文学()がどうのと偉そうに御口舌を垂れる気はない。
ただ好みのものにその枠内で当たらなかったと言うだけで。
('A`)「何冊か貸そうか?」
( ´_ゝ`)「ホラーとかSFとかある?」
('A`;)「うーん俺の棚には無いなあ」
( ´_ゝ`)「妖怪とか」
('A`)「……ハーレムものなら」
( ;´_ゝ)「ごめん」
('A`;)「俺も悪かった」
98:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:23:48 ID:1eULDlhg0
まあ、好みの相違は仕方ない。人は千差万別だ。話題を変える。
( ´_ゝ`)「内藤が前に来た時はどうしてた?」
('A`)「なんか、『うっはwww何これマジキ……ワロスwww』とか言いながら、
俺の棚をハイテンションで写メりまくってたよ。色んな角度から」
( ´_ゝ`)「あれ? それって最初の時だよな? それから来てないの?」
('A`)「俺が遊びに行く方が多いよ」
( ´_ゝ`)「へー」
内藤の事だから、好きに暴れられる他人の部屋で過ごしてるかと。
ううむ、この時点で俺自身の内藤への評価が透けて見えるな。
ピピピッ
('A`)「お、噂をすればなんとやらだ。内藤が遊びに来てもいいかって」
( ´_ゝ`)「おーいいじゃん、来いよ来いよ」
99:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:24:41 ID:1eULDlhg0
鬱田の「でも嫌な予感しかしねー……」との呟きには反応しない。
俺は時間を潰せればそれでいいので、いざとなったら逃げよう。
逃走経路を確認しに、窓際へ寄る。うーん、2階って高い。
ベランダの手摺りにぶら下がってから落ちれば行けるかな?
('A`)「兄者、ベランダには何もないぞ」
( ´_ゝ`)「いやー割と高いなーと思って」
('A`)「昼飯喰わせてやるよ」
(*´_ゝ`)「わーい」
こっちの意図をすぐさま察して来た。
鬱田は将来いいカウンセラーか詐欺師になれる。
100:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:25:22 ID:1eULDlhg0
( ´_ゝ`)「何時くらいに来るって?」
('A`)「今聞くー」
チャッチャカチャラララ チャッチャ♪
('A`)「笑天のテーマ……」
( ´_ゝ`)「あ、俺の携帯だわ」
メールには、『毒男の家に遊びに行くからお前も来い』とある。
『もういる』とだけ打って、鬱田の写メを一緒に添付し返信した。
他意はない。内藤のフォトショの玩具にされるだけだ。
('A`;)「おいなんで今撮った」
( ´_ゝ`)「本人の家にいるという証明」
101:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:26:08 ID:1eULDlhg0
その後、子泣き爺と合成された鬱田の画像が本人の携帯へ。
(;゚‥゚):'*~「ブッフォ」
( ;´_ゝ`)「汚っ!」
それを見た鬱田は、インスタントラーメンの麺を鼻から吹き出した。
内藤がいれば嬉々として撮影しただろう。
俺はそんな鬼畜ではない。録画はしたいが。
('A`il)「これさっき兄者が撮った奴だよな?」
( ´_ゝ`)「だろな。相変わらずすげースピード編集」
102:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:27:01 ID:1eULDlhg0
そして、俺には”チャリで来た”の画像と合成された俺と糞野郎の画像が来た。
仲良くハイタッチまでしている改変付きだ。時間と技術の無駄遣いにも程がある。
( ´_ゝ`)「よし、シメよう」
俺の後ろで笑いをこらえてる奴も、ついでにシメとこう。
:('*`):「……プッ………プフッ…………ブッフッ」
( ´_ゝ`)「なあ鬱田。俺はいきなりお前と腕相撲がしたくなってきた」
('A`;)「や、やめろよ! 内藤とやれよ!」
( ´_ゝ`)「あれには勝てる気がしない」
('A`)「内藤の腕とか俺の倍だもんな」
( ´_ゝ`)「俺の2倍、お前と比較したら3倍だな」
103:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:27:51 ID:1eULDlhg0
そういや最近SEに就職した先輩も、ムキムキボディビルダーな体だった。
なんだろう、理系のスポーツマンでも流行り始めてるんだろうか。
('A`)「どうだろ、底辺IT土方なんて頭脳と体力勝負なとこがあるから、
結局みんな筋肉つけないとやっていけないのかもしれないな」
( ´_ゝ`)「見せ筋つけてどうすんだよ」
('A`)「暴漢対策?」
( ´_ゝ`)「相手は何目的で襲うんだ、一体」
('A`)「お前の弟みたいなDQNが金を毟りに」
( ´_ゝ`)「ああ」
正解なんて求めてない、くっだらない会話を交わしつつ内藤を待つ。
時計を見ると、最初のメールからもう3時間は過ぎている。
104:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:30:01 ID:1eULDlhg0
( ´_ゝ`)「遅くね?」
('A`)「だなー、見て来るから付いてきてくれよ」
( ´_ゝ`)「えー?」
('A`)「土日になると道の河原の近くにDQNが湧くんだよ。
お前ピアス空けてるから、同類と思われて素通りできそうだし」
寛大な俺は後半を聞き流してやる。
( ´_ゝ`)「夏場、河原に湧いてバーベキューをしてよく流されているのは、
DQNの亜種であるBQNだ。読みはバキュン。確かそう書いてあった」
('A`)「マジか、いつの間にかそんな区分けが……」
( ´_ゝ`)「あんまり認知されてないけどな」
靴を履いて、ドアを開けた。
ガチャッ
105:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:30:42 ID:1eULDlhg0
∧_∧。 /⌒ヽ
( ´_ゝ) (^ω^ )
∧_∧。 /⌒ヽ
( ´_ゝ) (^ω^ )<ハロー
∧_∧。 /⌒ヽ
( ´_ゝ)'A)゙ (^ω^ )
∧_∧。 ||
( ´_ゝ)( 'A)ノ|| パタン
俺の前に出て来た鬱田が、無言でドアを閉めた。
内藤はいつからあそこで待機していたのだろう。
106:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:31:23 ID:1eULDlhg0
('A`)「俺らなんか聞かれてヤバイこと言ってたっけ?」
( ´_ゝ`)「言ってない言ってない。むしろ筋肉褒めてたじゃん」
('A`)「だよな。あとはお前が内藤をシmむんぐぐぐぐ!」
アイアンクローで鬱田の口を強制的にミッフィーにする。許せ。
糞野郎に実行したら、手の平を舐められるという最悪の対抗法に出たので、
この技は主に黙らせたいDQNと鬱田にしか出したことはない。
( ´_ゝ`)「よし、俺達はお前を褒めてただけだからな!」
自分に言い聞かせるようにして、ドアを開け放つ。
向こうにはいつもニコニコ笑顔の内藤がいた。広げた両腕が不穏過ぎる。
107:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:33:15 ID:1eULDlhg0
( ^ω^)「僕をシメるって聞こえたお?」
( ;´_ゝ`)「お前いつから聞いてて……」
あれを言ったのはメールが来た直後だ、それから2時間は経っている。
2時間も待っていた? いや、それよりはこの部屋に盗聴器があるという可能性が
( ^ω^)「シ・メ・る って聞こえたぉお~?」
(;´_ゝ`)「ぎゃー!」
広げた両腕がクワガタよろしく迫ってきて捕まえられた。
そのまま力を入れてミシミシと鯖折りをかけられる。
鯖は好きだが鯖折りは勘弁だ。肋骨と背骨がいだだだだだ!
108:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:34:21 ID:1eULDlhg0
_, 、_
( ^ω^)「毒男を放すお、メッ」
( ; _ゝ )「む゙、無理……ゲホッ」
苦しくて、逆に手に変な力が入っている。
このままだと窒息するんじゃないか。鬱田が。その次に俺が。
(;屮)「むごごごご!!」
( ^ω^)「おーい鬱田が死ぬお」
( ; _ゝ )「いやマジ俺も死ぬ」
( ^ω^)「手を放せってお」
( ; _ゝ )「変に力が入ってて無理……ゲッホ!」
( ^ω^)「む、すまんお」
パッ
109:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:35:20 ID:1eULDlhg0
ようやく解放される。鬱田も俺から解放される。
気分がいい。いや、内藤に鯖折られた事ではなく、空気がおいしいという意味で。
空気がおいしいのは胸部を、肺を圧迫され呼吸が阻害されていたからだ。
自分の思考に突っ込みいれつつ何故訂正と解説をしてるんだ。
無駄過ぎるがいつも通りの脳みそだ。酸素不足でおかしくはなってない。
( il´_ゝ`)「うげぇえええ、酷ぇ馬鹿力」
( A ;)「お前、が、言うな……」
( ;´_ゝ`)「すまん」
( ^ω^)「やべえ、うっかり肉壁を弱らせちまったお」
おい内藤なんつった。
110:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:37:10 ID:1eULDlhg0
('A`;)「なんだよ、またなんかやらかしたのか?」
( ^ω^)「事故だお」
( ´_ゝ`)「人轢いたの?」
( ^ω^)「ややこしいから兄者は寝てろお」
素直に鬱田のベッドの中に潜った。なんかくさい。
強いて言うならイカ臭い。俺は毛布の上に横になった。
( ^ω^)「僕、あそこのコンビニでバイトしてるお?」
('A`)「昼勤だっけ」
( ^ω^)「そそ」
111:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:37:56 ID:1eULDlhg0
( ^ω^)「まあ仕事乗り換える時期だったし、ほどほどにやってたんだお」
('A`)「仕事を程々にってのがわからない」
鬱田は真面目だなあ。
( ^ω^)「真面目君は相槌打ってろお」
('A`)「はい」
( ^ω^)「それで、表が汚いから掃除してって店長に言われたんだお」
('A`)「うん」
( ^ω^)「掃除してたら、不良が来てわざとゴミをその辺に捨てていったんだお」
('A`)「うへえ、俺なら店の中に逃げるわ」
( ^ω^)「僕はゴミはゴミ箱の中に捨てろと言ったお」
うーん、俺なら無言でそいつらに向かって視線を送り続けるかもしれん。
絡まれて肩パンでもされたら、それを正当防衛にしてしまえばいい。
という思考は俺もDQNの証だろうか。
112:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:42:06 ID:1eULDlhg0
( ^ω^)「そしたらニヤニヤしながら寄ってきて、肩パンされたんだお」
('A`)「かたぱん?」
鬱田は知らないのか。
するよりはされる方だからか?
( ^ω^)「肩を軽く叩いたり、小突いたりすることだお」
('A`)「なる」
( ^ω^)「それで、相手は『何チョーシこいてんのこのデブ』と言ってきて」
('A`)「もう展開読めた」
( ^ω^)「うん、まあ、ゴミを拾って、無理矢理そいつの手に握らせたんだお」
('A`)「読めてなかった」
俺も。
113:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:43:57 ID:1eULDlhg0
( ^ω^)「捨てようとしたから、『あそこのゴミ箱に捨てるまでこうしますお』
って言って、ゴミ握ってる手を上から両手で握り続けたんだお」
('A`)「嫌過ぎる」
( ^ω^)「ちなみにそのゴミは、まだ火の消えてない煙草だったお」
('A`)「熱過ぎる」
( ^ω^)「そしたら足を蹴って来たから僕も脛を蹴り返したんだお」
('A`)「痛過ぎる」
根性焼きと痣を一つずつ追加されたのか。
不運なDQN。因果応報だ。
( ^ω^)「そいつが弟者のグループの奴だったお」
( ´_ゝ`)「おい」
('A`;)「うわ起き上がり早ぇ」
114:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:48:29 ID:1eULDlhg0
( ´_ゝ`)「俺にも関係あるじゃねーか。なんで寝かせるんだ」
( ^ω^)「スイッチが入ったら話が進まんおー」
(;´_ゝ`)「むぅ、正論だ」
('A`)「え? え? それで結局、何がどうなったの?」
( ^ω^)「話し疲れて喉渇いたおー」チラッチラッ
内藤が俺に視線を飛ばしてくる。買って来いってか。面倒くせえ。
( ´_ゝ`)「俺もっかい寝るわ」
( ^ω^) チッ
舌打ちがでかすぎる。
鬱田が委縮してるじゃないか。可哀想に。
('A`;)「ゆず茶しかない……」
115:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:52:51 ID:1eULDlhg0
( ^ω^)「なんという健康的な一般庶民……氷水でいいお」
('A`)「持って来る」
( ^ω^)「ごめんおー、あー僕ってば疲れてるから、
動きたくなくて本当助かったおー」チラッ
なんでそこでまた俺に視線を飛ばしてくるんだ。
ベッド交代しろってか?
押し込んだのは内藤の癖に何考えてんだ。
まあいいや。こっちもふざけてやろう。
( ´_ゝ`)「じゃあ来いよ、ほーら」
( ^ω^)「マジか」
横になって片肘ついて、布団を捲り上げる。
つーかこの残り面積じゃ内藤の巨体は無理だな、うん。
116:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:56:38 ID:1eULDlhg0
( ´_ゝ`)「え?」
しかし、予想に反して内藤はぐいぐい入ってきた。
俺は壁に押しやられる。内藤との距離はもう零だ。なんだこの状況。
壁に背中を向けているので、内藤に向き合う形になる。
つまるところ、内藤の大胸筋を押し付けられる形だ。
( ;´_ゝ`)(^ω^ )
硬い。なんかもう固い。堅くて動かない。
両手で押して、壁も使って踏ん張ってるのにびくともしない。
何これ空間に固定でもされてるの? 能力者なの?
117:名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 00:00:52 ID:zfhla4VU0
( ^ω^)「……」
( ´_ゝ`)「……」
( ^ω^)「毒男だと、悲鳴あげて飛び起きたんだお」
( ´_ゝ`)「俺に面白いリアクションを期待するなよ」
飛び起きるも糞も、がっちりホールドされているので動けない。
両腕だけでなく、下半身も両脚でがっちりだ。逃げ場がない。これが地獄か。
耳に息と一緒に「このまま毒男を驚かしてやろうぜ」と吹き込まれる。
キモイからやめろと言ったはずだが。聞いていなかったのか。
てか大胸筋ぴくぴく動かすなキモうぉええええええ。
118:名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 00:03:43 ID:zfhla4VU0
その後、氷水を持ってやってきた毒男が、
半狂乱になって俺達にそれをぶっかけた。
『友人とはスリルを共有するものである』という内藤の認識には、
半分同意で半分反対だ。氷水でその頭が冷えた事を願う。
14糸冬
14.タッチアンドゴー トゥ ヘル
(´<_` )「……」
_
( ゚∀゚)「……」
柱|_ゝ`)「……」
愛しの我が家へ通じる道では、何故か野犬と狂犬が睨み合っていた。
縄張り争いだろう。巻き込まれるのは嫌なので、進路変更をする。
日記の回収は後回しだ。怪我をするほうがイクナイ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
('A`)「どうした?」
( ´_ゝ`)「最悪の化学反応が起きそうだったから先に避難してきた」
94:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:20:23 ID:1eULDlhg0
('A`;)「防げないからね? 俺は肉壁にもならないからね?」
( ´_ゝ`)「ああ、万が一の時には喋るミノ虫と思っておくよ」
('A`)「それは比喩表現か? 俺の今の格好そのままの意味か?
前者にしろ後者にしろ、どっちにしても殴っていい?」
珍しく鬱田はやる気だ。布団を脱いで腕まくりまでをしている。筋肉ねえなあ。
だが、この意気には俺も応えてやらねばなるまい。腹を出し、力を込める。
( ´_ゝ`)「来な!」
('A`;)「シャツ捲るなよ、逆に殴りにくいなあ……」
( ´_ゝ`)「なんだ地肌は駄目か、なら服の上からでも
('A`)「うん、なんかもういいや」
いきなりテンションダウンした。
俺もそうだが、こいつにも落差があるような気がする。
95:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:21:25 ID:1eULDlhg0
('A`)「今は特につまむ物もないし、本でも読んでおいて」
( ´_ゝ`)「ラノベばっかじゃねえか」
2mはあろうかという本棚3つ、その全てを埋めるのはライトノベルだ。
この数はちょっと引く。始めて見た時は顔が引き攣るのを止められなかった。
個人的に、まだエロ漫画のほうがマシだと思うのは……。
毒されてはいけない奴に、影響を受けているのかもしれない。
危ない兆候だ。抗わねば。眉毛野郎と同じになってしまう。
('A`)「顔が歪んでるぞ」
( ´_ゝ`)「ぬ、すまん」
('A`)「いやいいけどさ……内藤よりは」
( ´_ゝ`)「ああ」
内藤も、初めて見た時は笑いながら携帯のシャッターを切り続けていたらしい。
部屋スレにうpすると言って鬱田に止められていたが、後日うpされたスレを見つけた。
哀れ鬱田。俺はその後のレスを見て、鬱田に教えるのをやめた。
世の中には、知らないほうが幸せな事が沢山ある。腐るほどある。
96:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:22:17 ID:1eULDlhg0
('A`)「ラノベ持ってねーの?」
( ´_ゝ`)「そういや2、3冊しかないわ」
そもそもラノベ自体にあまり興味がない。持ってるのは中古10円の購入品だ。
何回か熱烈に進められて読んだもの全てがつまらなかったからかもしれない。
しつこいくらいの勧誘で、『貸してやる』のではなく『買え』とまで言われた。
一応は小説なので、気軽に立ち読みできるものではない。俺は素直に買った。
目の前で読めと言われ、そいつの前に座って読んだ。熟読した。鼻息がうるさかった。
(*@∀@)『どう? どう!?』
糞がつくほどにつまらなかった上に、ヒロインの性格が俺の嫌いなタカビー女だった。
目の前の奴は腋臭だった。地獄だった。思い出すと腸が煮える思い出の一つだ。
最後の勧誘では、勧められて自分で買った本を真っ二つに裂いて、顔面にぶつけてやった。
が、どうせなら膝でも入れるべきだった。言葉で反省しない奴は物理的にやるしかない。
97:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:23:07 ID:1eULDlhg0
そして俺は、ラノベとそいつが嫌いに……いや、感情で結論を出すのは駄目だな。
あの腋臭野郎は嫌いになった。カツアゲされるのを見かけても助けないくらいには。
ラノベは嫌いではないが、少なくともホラーとか推理とかSFとか妖怪話の方が好きだ。
別に文学()がどうのと偉そうに御口舌を垂れる気はない。
ただ好みのものにその枠内で当たらなかったと言うだけで。
('A`)「何冊か貸そうか?」
( ´_ゝ`)「ホラーとかSFとかある?」
('A`;)「うーん俺の棚には無いなあ」
( ´_ゝ`)「妖怪とか」
('A`)「……ハーレムものなら」
( ;´_ゝ)「ごめん」
('A`;)「俺も悪かった」
98:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:23:48 ID:1eULDlhg0
まあ、好みの相違は仕方ない。人は千差万別だ。話題を変える。
( ´_ゝ`)「内藤が前に来た時はどうしてた?」
('A`)「なんか、『うっはwww何これマジキ……ワロスwww』とか言いながら、
俺の棚をハイテンションで写メりまくってたよ。色んな角度から」
( ´_ゝ`)「あれ? それって最初の時だよな? それから来てないの?」
('A`)「俺が遊びに行く方が多いよ」
( ´_ゝ`)「へー」
内藤の事だから、好きに暴れられる他人の部屋で過ごしてるかと。
ううむ、この時点で俺自身の内藤への評価が透けて見えるな。
ピピピッ
('A`)「お、噂をすればなんとやらだ。内藤が遊びに来てもいいかって」
( ´_ゝ`)「おーいいじゃん、来いよ来いよ」
99:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:24:41 ID:1eULDlhg0
鬱田の「でも嫌な予感しかしねー……」との呟きには反応しない。
俺は時間を潰せればそれでいいので、いざとなったら逃げよう。
逃走経路を確認しに、窓際へ寄る。うーん、2階って高い。
ベランダの手摺りにぶら下がってから落ちれば行けるかな?
('A`)「兄者、ベランダには何もないぞ」
( ´_ゝ`)「いやー割と高いなーと思って」
('A`)「昼飯喰わせてやるよ」
(*´_ゝ`)「わーい」
こっちの意図をすぐさま察して来た。
鬱田は将来いいカウンセラーか詐欺師になれる。
100:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:25:22 ID:1eULDlhg0
( ´_ゝ`)「何時くらいに来るって?」
('A`)「今聞くー」
チャッチャカチャラララ チャッチャ♪
('A`)「笑天のテーマ……」
( ´_ゝ`)「あ、俺の携帯だわ」
メールには、『毒男の家に遊びに行くからお前も来い』とある。
『もういる』とだけ打って、鬱田の写メを一緒に添付し返信した。
他意はない。内藤のフォトショの玩具にされるだけだ。
('A`;)「おいなんで今撮った」
( ´_ゝ`)「本人の家にいるという証明」
101:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:26:08 ID:1eULDlhg0
その後、子泣き爺と合成された鬱田の画像が本人の携帯へ。
(;゚‥゚):'*~「ブッフォ」
( ;´_ゝ`)「汚っ!」
それを見た鬱田は、インスタントラーメンの麺を鼻から吹き出した。
内藤がいれば嬉々として撮影しただろう。
俺はそんな鬼畜ではない。録画はしたいが。
('A`il)「これさっき兄者が撮った奴だよな?」
( ´_ゝ`)「だろな。相変わらずすげースピード編集」
102:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:27:01 ID:1eULDlhg0
そして、俺には”チャリで来た”の画像と合成された俺と糞野郎の画像が来た。
仲良くハイタッチまでしている改変付きだ。時間と技術の無駄遣いにも程がある。
( ´_ゝ`)「よし、シメよう」
俺の後ろで笑いをこらえてる奴も、ついでにシメとこう。
:('*`):「……プッ………プフッ…………ブッフッ」
( ´_ゝ`)「なあ鬱田。俺はいきなりお前と腕相撲がしたくなってきた」
('A`;)「や、やめろよ! 内藤とやれよ!」
( ´_ゝ`)「あれには勝てる気がしない」
('A`)「内藤の腕とか俺の倍だもんな」
( ´_ゝ`)「俺の2倍、お前と比較したら3倍だな」
103:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:27:51 ID:1eULDlhg0
そういや最近SEに就職した先輩も、ムキムキボディビルダーな体だった。
なんだろう、理系のスポーツマンでも流行り始めてるんだろうか。
('A`)「どうだろ、底辺IT土方なんて頭脳と体力勝負なとこがあるから、
結局みんな筋肉つけないとやっていけないのかもしれないな」
( ´_ゝ`)「見せ筋つけてどうすんだよ」
('A`)「暴漢対策?」
( ´_ゝ`)「相手は何目的で襲うんだ、一体」
('A`)「お前の弟みたいなDQNが金を毟りに」
( ´_ゝ`)「ああ」
正解なんて求めてない、くっだらない会話を交わしつつ内藤を待つ。
時計を見ると、最初のメールからもう3時間は過ぎている。
104:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:30:01 ID:1eULDlhg0
( ´_ゝ`)「遅くね?」
('A`)「だなー、見て来るから付いてきてくれよ」
( ´_ゝ`)「えー?」
('A`)「土日になると道の河原の近くにDQNが湧くんだよ。
お前ピアス空けてるから、同類と思われて素通りできそうだし」
寛大な俺は後半を聞き流してやる。
( ´_ゝ`)「夏場、河原に湧いてバーベキューをしてよく流されているのは、
DQNの亜種であるBQNだ。読みはバキュン。確かそう書いてあった」
('A`)「マジか、いつの間にかそんな区分けが……」
( ´_ゝ`)「あんまり認知されてないけどな」
靴を履いて、ドアを開けた。
ガチャッ
105:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:30:42 ID:1eULDlhg0
∧_∧。 /⌒ヽ
( ´_ゝ) (^ω^ )
∧_∧。 /⌒ヽ
( ´_ゝ) (^ω^ )<ハロー
∧_∧。 /⌒ヽ
( ´_ゝ)'A)゙ (^ω^ )
∧_∧。 ||
( ´_ゝ)( 'A)ノ|| パタン
俺の前に出て来た鬱田が、無言でドアを閉めた。
内藤はいつからあそこで待機していたのだろう。
106:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:31:23 ID:1eULDlhg0
('A`)「俺らなんか聞かれてヤバイこと言ってたっけ?」
( ´_ゝ`)「言ってない言ってない。むしろ筋肉褒めてたじゃん」
('A`)「だよな。あとはお前が内藤をシmむんぐぐぐぐ!」
アイアンクローで鬱田の口を強制的にミッフィーにする。許せ。
糞野郎に実行したら、手の平を舐められるという最悪の対抗法に出たので、
この技は主に黙らせたいDQNと鬱田にしか出したことはない。
( ´_ゝ`)「よし、俺達はお前を褒めてただけだからな!」
自分に言い聞かせるようにして、ドアを開け放つ。
向こうにはいつもニコニコ笑顔の内藤がいた。広げた両腕が不穏過ぎる。
107:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:33:15 ID:1eULDlhg0
( ^ω^)「僕をシメるって聞こえたお?」
( ;´_ゝ`)「お前いつから聞いてて……」
あれを言ったのはメールが来た直後だ、それから2時間は経っている。
2時間も待っていた? いや、それよりはこの部屋に盗聴器があるという可能性が
( ^ω^)「シ・メ・る って聞こえたぉお~?」
(;´_ゝ`)「ぎゃー!」
広げた両腕がクワガタよろしく迫ってきて捕まえられた。
そのまま力を入れてミシミシと鯖折りをかけられる。
鯖は好きだが鯖折りは勘弁だ。肋骨と背骨がいだだだだだ!
108:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:34:21 ID:1eULDlhg0
_, 、_
( ^ω^)「毒男を放すお、メッ」
( ; _ゝ )「む゙、無理……ゲホッ」
苦しくて、逆に手に変な力が入っている。
このままだと窒息するんじゃないか。鬱田が。その次に俺が。
(;屮)「むごごごご!!」
( ^ω^)「おーい鬱田が死ぬお」
( ; _ゝ )「いやマジ俺も死ぬ」
( ^ω^)「手を放せってお」
( ; _ゝ )「変に力が入ってて無理……ゲッホ!」
( ^ω^)「む、すまんお」
パッ
109:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:35:20 ID:1eULDlhg0
ようやく解放される。鬱田も俺から解放される。
気分がいい。いや、内藤に鯖折られた事ではなく、空気がおいしいという意味で。
空気がおいしいのは胸部を、肺を圧迫され呼吸が阻害されていたからだ。
自分の思考に突っ込みいれつつ何故訂正と解説をしてるんだ。
無駄過ぎるがいつも通りの脳みそだ。酸素不足でおかしくはなってない。
( il´_ゝ`)「うげぇえええ、酷ぇ馬鹿力」
( A ;)「お前、が、言うな……」
( ;´_ゝ`)「すまん」
( ^ω^)「やべえ、うっかり肉壁を弱らせちまったお」
おい内藤なんつった。
110:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:37:10 ID:1eULDlhg0
('A`;)「なんだよ、またなんかやらかしたのか?」
( ^ω^)「事故だお」
( ´_ゝ`)「人轢いたの?」
( ^ω^)「ややこしいから兄者は寝てろお」
素直に鬱田のベッドの中に潜った。なんかくさい。
強いて言うならイカ臭い。俺は毛布の上に横になった。
( ^ω^)「僕、あそこのコンビニでバイトしてるお?」
('A`)「昼勤だっけ」
( ^ω^)「そそ」
111:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:37:56 ID:1eULDlhg0
( ^ω^)「まあ仕事乗り換える時期だったし、ほどほどにやってたんだお」
('A`)「仕事を程々にってのがわからない」
鬱田は真面目だなあ。
( ^ω^)「真面目君は相槌打ってろお」
('A`)「はい」
( ^ω^)「それで、表が汚いから掃除してって店長に言われたんだお」
('A`)「うん」
( ^ω^)「掃除してたら、不良が来てわざとゴミをその辺に捨てていったんだお」
('A`)「うへえ、俺なら店の中に逃げるわ」
( ^ω^)「僕はゴミはゴミ箱の中に捨てろと言ったお」
うーん、俺なら無言でそいつらに向かって視線を送り続けるかもしれん。
絡まれて肩パンでもされたら、それを正当防衛にしてしまえばいい。
という思考は俺もDQNの証だろうか。
112:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:42:06 ID:1eULDlhg0
( ^ω^)「そしたらニヤニヤしながら寄ってきて、肩パンされたんだお」
('A`)「かたぱん?」
鬱田は知らないのか。
するよりはされる方だからか?
( ^ω^)「肩を軽く叩いたり、小突いたりすることだお」
('A`)「なる」
( ^ω^)「それで、相手は『何チョーシこいてんのこのデブ』と言ってきて」
('A`)「もう展開読めた」
( ^ω^)「うん、まあ、ゴミを拾って、無理矢理そいつの手に握らせたんだお」
('A`)「読めてなかった」
俺も。
113:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:43:57 ID:1eULDlhg0
( ^ω^)「捨てようとしたから、『あそこのゴミ箱に捨てるまでこうしますお』
って言って、ゴミ握ってる手を上から両手で握り続けたんだお」
('A`)「嫌過ぎる」
( ^ω^)「ちなみにそのゴミは、まだ火の消えてない煙草だったお」
('A`)「熱過ぎる」
( ^ω^)「そしたら足を蹴って来たから僕も脛を蹴り返したんだお」
('A`)「痛過ぎる」
根性焼きと痣を一つずつ追加されたのか。
不運なDQN。因果応報だ。
( ^ω^)「そいつが弟者のグループの奴だったお」
( ´_ゝ`)「おい」
('A`;)「うわ起き上がり早ぇ」
114:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:48:29 ID:1eULDlhg0
( ´_ゝ`)「俺にも関係あるじゃねーか。なんで寝かせるんだ」
( ^ω^)「スイッチが入ったら話が進まんおー」
(;´_ゝ`)「むぅ、正論だ」
('A`)「え? え? それで結局、何がどうなったの?」
( ^ω^)「話し疲れて喉渇いたおー」チラッチラッ
内藤が俺に視線を飛ばしてくる。買って来いってか。面倒くせえ。
( ´_ゝ`)「俺もっかい寝るわ」
( ^ω^) チッ
舌打ちがでかすぎる。
鬱田が委縮してるじゃないか。可哀想に。
('A`;)「ゆず茶しかない……」
115:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:52:51 ID:1eULDlhg0
( ^ω^)「なんという健康的な一般庶民……氷水でいいお」
('A`)「持って来る」
( ^ω^)「ごめんおー、あー僕ってば疲れてるから、
動きたくなくて本当助かったおー」チラッ
なんでそこでまた俺に視線を飛ばしてくるんだ。
ベッド交代しろってか?
押し込んだのは内藤の癖に何考えてんだ。
まあいいや。こっちもふざけてやろう。
( ´_ゝ`)「じゃあ来いよ、ほーら」
( ^ω^)「マジか」
横になって片肘ついて、布団を捲り上げる。
つーかこの残り面積じゃ内藤の巨体は無理だな、うん。
116:名も無きAAのようです:2013/01/06(日) 23:56:38 ID:1eULDlhg0
( ´_ゝ`)「え?」
しかし、予想に反して内藤はぐいぐい入ってきた。
俺は壁に押しやられる。内藤との距離はもう零だ。なんだこの状況。
壁に背中を向けているので、内藤に向き合う形になる。
つまるところ、内藤の大胸筋を押し付けられる形だ。
( ;´_ゝ`)(^ω^ )
硬い。なんかもう固い。堅くて動かない。
両手で押して、壁も使って踏ん張ってるのにびくともしない。
何これ空間に固定でもされてるの? 能力者なの?
117:名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 00:00:52 ID:zfhla4VU0
( ^ω^)「……」
( ´_ゝ`)「……」
( ^ω^)「毒男だと、悲鳴あげて飛び起きたんだお」
( ´_ゝ`)「俺に面白いリアクションを期待するなよ」
飛び起きるも糞も、がっちりホールドされているので動けない。
両腕だけでなく、下半身も両脚でがっちりだ。逃げ場がない。これが地獄か。
耳に息と一緒に「このまま毒男を驚かしてやろうぜ」と吹き込まれる。
キモイからやめろと言ったはずだが。聞いていなかったのか。
てか大胸筋ぴくぴく動かすなキモうぉええええええ。
118:名も無きAAのようです:2013/01/07(月) 00:03:43 ID:zfhla4VU0
その後、氷水を持ってやってきた毒男が、
半狂乱になって俺達にそれをぶっかけた。
『友人とはスリルを共有するものである』という内藤の認識には、
半分同意で半分反対だ。氷水でその頭が冷えた事を願う。
14糸冬
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ブーン系エアー作者〆
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