×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
391:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:38:17 ID:/Sp4eqjE0
25.波動ベクトルが行き着く場末感って
最近の、怒涛の見舞い(?)ラッシュも控えめになった。
糞関係の男友達が何故か一人も来ないところを見て、
林檎を剥きつつ一人含み笑いをするのも飽きて来た。
鬱田はこっちから連絡するのもアレなので、
相手からのメール待ち、出方待ちとしている。
しかしあれだ。笑いを堪えているせいで、
林檎が上手く剥けない。ナイフが滑る。
(´<_`# )「お前、それで笑い堪えてるつもりじゃねーよな」
(;*´_ゝ`)「えっふぇ? 何が」
392:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:40:27 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「さっきまで体丸めて腹抱えて床転げ回って、
死に損ないの虫みてーに痙攣しててさあ」
( ´_ゝ`)「俺そんなに笑ったっけ」
(´<_`; )「笑ったっつの、いきなり何の脈絡もなく」
( ´_ゝ`)「覚えてねえ」
(´<_` )「さっきからそのふじ全然むけてねーだろが、
なんなの? まだ皮だらけなんですけど?
仮性包茎ってか真性包茎のレベルだぞ」
( ´_ゝ`)「まずはテメーのを輪切りにすっぞコラ。
このナイフ慣れないから滑るんだよ」
(´<_` )「林檎むいてくれるってとこまではスゲー……こう、
感動してたのに、散々じゃねーか、どうしてくれんだ」
( ´_ゝ`)「何がだよ」
(´<_` )「俺のお前への期待だよ」
( ´_ゝ`)「ウジにでも喰わせとけ」
393:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:41:11 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`# )「もういいわ、俺がやる」
( ´_ゝ`)「へいよ」
剥きかけの林檎にナイフをドズッと刺して、クソに手渡す。
顔を見ると、口元が引き攣っていた。
どうせなら手にぶっ刺しときゃよかったな。
(´<_` )「あ……なんか俺、さっきまで麻痺してたわ。
なんで兄者に普通にナイフ持たせてたんだろ」
( ´_ゝ`)「喧嘩してねえから油断してたんじゃね?」
(´<_` )「それもあるけどそれだけじゃねーよ、まあいいや」
無言で林檎を剥き始めるのを見て、林檎に何か注射しとくべきか、
ナイフの刃の部分に何か塗りつけておくべきだったかと思案する。
クソッタレな何もかもをさっさと終わらせたいんだったら、
林檎を剥くより相手の皮膚でも削いだほうがいいのは判る。
つーか、さっきまでよくある介護風景の真似をしようとしてたんだよね。
病人のいるベッド脇で、林檎を剥いたり、林檎を擂ったりするアレ。
394:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:41:54 ID:/Sp4eqjE0
弟を甲斐甲斐しく世話する心優しい兄を演出しようと、
近くの無人店から一袋4個100円の林檎まで買って、
家からこいつのナイフまで持って来て用意したのにさ。
(´<_`; )「な、なんだよ。そんなに見んじゃねーよ」
( ´_ゝ`)「……いや」
なんで病人が自分で林檎剥いてんだろ。
あのナイフの柄は木製なんだから、どうせなら、
彫刻刀でウンコとでも彫ってやればよかったな。
(´<_` )「なんでずっと手元見てんだよ」
( ´_ゝ`)「いや」
なんだろう。何となく渡しちまった。早計だった。
手元が空いてしまったので携帯を取り出すが、
特にこれといってやる事もやりたい事もない。
(´<_` )「そんな見られるとやりにくいんですけど」
( ´_ゝ`)「いや」
395:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:43:43 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「俺の話聞いてる?」
( ´_ゝ`)「右から左」
(´<_`# )「お前の耳から豆腐が出るのか」
( ´_ゝ`)「はあ?」
(´<_` )「なんだっけ、バカ豆腐とか言う諺……」
( ´_ゝ`)「馬耳東風」
(´<_` )「ばじとうふう?」
( ´_ゝ`)「馬、耳、東、風、な」
(´<_` )「…………」
( ´,_ゝ`) プッ
゙(´<_` ) ショリショリ
( ´_ゝ`)゙ ピッピッ
396:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:45:12 ID:/Sp4eqjE0
5分後。
林檎を丸々一個剥き終えて、そのまま齧り付く猿。
丸かじりするなら、皮を剥いた意味ないんじゃないの。
(´<_` )「あーなんか虚しくなってきた」
( ´_ゝ`)「足吊ってる器具の位置、高くするの手伝おうか?
そのままだと、ちょっと首には届かないだろ?」
(´<_` )「迷わずぶっ殺そうとすんな」
( ´_ゝ`)「虚しいんだろ? 生きる意味を見出せないんだろ?
主に俺の精神の為に早く死ねよクソボケカスが」
(´<_` )「なんでここまで罵倒されなきゃいけねーんだよ」
( ´_ゝ`)「テメーの日頃の行いだクズ」
(´<_` )「最近はずっとベッドの上だっつの」
( ´_ゝ`)「ずっとベッドの上にいても俺から変わらず
こんな扱いを受け続けるってどんな気分?」
(´<_` )「怪我が治ったら倍返し」
( ´_ゝ`)「やっぱ殺してやる」
397:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:45:59 ID:/Sp4eqjE0
ここは個室、手負いの相手に逃げ場はない。
まだ車椅子移動の上に、出入り口は俺の背後だ。
ぶん殴ってやろうと拳を振り上げて立ち上がる、が。
(´<_`; )「なんだよ、やんのか? やんのか?」
( ´_ゝ`)「あー……」
ここで殴ったら、優しい兄(藁)も糞もカスもなくなるな。
いやでも、なんか偉い人が叱る事も優しさだっつってた。
一発だ。一発だけなら許される。一発だけなら誤射になる。
(´<_`; )「俺は怪我人だぞ! 手加減はしろよ!」
手加減は無理だ。どうやったって全力になる。
(#´_ゝ`)「ふぎぎぎ」
(´<_` )「握った拳の隙間から血が見えるんですけど……」
殴りたい気持ちを、拳を握り締めて押さえ込む。
切ってない爪が手の平に刺さったが、これくらい。
398:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:47:05 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`; )「病院でわざわざ怪我してんじゃねーよ!
もうナースコール押すからな! いいな!」
( ´_ゝ`)「押すんじゃねーよ」
取りあえず、怒りの原因を視界からシャットアウト。
さっきまで目に映っていた景色を頭の中に転写して、
ベッドの上にいた奴を頭の中で落ち着くまで殴り続ける。
(´<_`; )「なんで構えたまま静止してるの?
力溜めてんの? 怖いんですけど」
( # _ゝ)「あ゙ぁ?」
ヾ(´<_`; )「その手、下ろして。ゆっくり座って、そうそう」
目を瞑ったまま椅子の上で姿勢を正す。
出入口、椅子、ベッド、窓と一直線に並んでいるので、
椅子に座ってると太陽の光がマトモに目に入った。
あー冬の昼の日射しは眩しいな。瞼の上からでもガンガン来る。
これで空気が暖かけりゃ昼寝に最高なんだけどなー。
399:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:48:20 ID:/Sp4eqjE0
そうだ。寝よう。
ベッドなら目の前にあるじゃないか。
布団はベッド下にあるから日に当たる事はないが、
ベッドの上ならさっきからカンカン照りになっている。
昨日、電話で長岡の風俗体験レポートを深夜に3時間報告され、
あんまり睡眠を取れていない。夢も夢精できない悪淫夢を見た。
( ´_ゝ`)「ちょっと端に寄れお前」
(´<_` )「はい?」
すっとぼけている内にナイフを取り上げ、遠くに置く。
天井から吊り下げている邪魔な足を場外に落とす。
(´<_`; )「うお何すんだ!」
靴を脱いでベッドに上がる。布団を奪う。枕も奪う。
(´<_`; )「おま!?」
( ´_ゝ`)「どけ早く」
400:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:49:06 ID:/Sp4eqjE0
同じ場所で寝るくらいなら、今はもう大丈夫だ。多分。
初めての泊まりの日、ギプスで固めた足をガン見しながら、
「こいつは怪我人こいつは怪我人こいつは怪我人こいつは」
と口の中で数百回唱えて強く自己暗示をかけたからな。
途中で、こいつの女友達()らしき奴も見舞いに来たが、
息を飲んだような悲鳴をあげてすぐに逃げ帰って行った。
キチ行為は意外といい修羅場回避手段かもしれない。
お陰でベッド下から針を突き刺そうなんて衝動も我慢できた。
ふとした拍子、無意識の隙間に拳が出ることも少なくなった。
渡そうとした見舞い品を、顔面に投げつける事もなくなった。
あいつの好きな本を目の前で真っ二つにする事もなくなった。
「おかわり」と弟から手渡された椀に飯をよそおうとして、
ナシュラルに足元のゴミ箱に白米をシュートしてしまい、
意味もわからずおかしくなって狂ったように笑っていたら、
いつの間にか精神科の診察室に体が搬送された事も、
あれ以降は、一応、ない。
うん、あれは酷かったな。拘束されるなんて初めての経験。
ベッドにベルトでギッチギチに縛り付けられるなんて経験。
抜く時の想像で空想の女相手にやることは多いが、
まさか現実で自分自身がされる立場になるとは。
思考脱線。
401:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:50:01 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`; )「何する気だ! 何かするのか!?」
( ´_ゝ`)「寝る」
(´<_` )「へ」
( ´_ゝ`)「眠る」
(´<_` )「は?」
( ´_ゝ`)「おやすみ」
ガラス越しとはいえ、冬の刺すような日射しはきつい。
なので、布団を頭まで被って団子虫状態になる。
光は軽減されていい感じだ。
尚、カーテン引けよとの突っ込みは受け付けない。
生ゴミのほうを向けば顔に日が当たることはないが、
そんなのは例え死んでも狂ってもごめん被る。
402:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:52:00 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「何してんの兄者」
( ´_ゝ`)「寝るんだよ」
血で汚れないように、タオルで手を縛る。
最後に、枕に乗せる頭の位置を微調整。
なんか抱くものが欲しいけどここは我慢。
よし、寝よう。
(´<_`; )「やっべぇ、ギプス重っ」
(´<_`; )「ちょ、兄者、ちょっと手ぇ貸し」
(´<_`; )「おち、落ちる、落ち、るっ!」
ドサゴゴッ
背後で、ギプスの重さに耐え切れず何かが落ちる音がした。
ベッド下には布団もあるから、そっちで寝るのも大丈夫だろ。
403:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:52:57 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`# )「そこで寝ていいから手ぇ貸せこのアホウ」
。
( _ゝ)゚「下の布団で寝ろよ……」
(´<_`# )「俺のベッドだぞ」
。
( _ゝ)゚「病院のだよ……」
(´<_` )「検温の時どーすんだ」
。
( _ゝ)゚「今日はもう来ない……」
(´<_` )「マジか。あ、でも午後に毒男が来るってよ」
。
( ; _ゝ)「……マジ?」
(´<_` )「マジ」
うーんメンドクセェ。
つか、なんで来るんだ。
知らんかった。
404:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:53:39 ID:/Sp4eqjE0
ま、さしたる問題はないな。
ここで寝てりゃ適度に何か勘違いしてくれるかもしれん。
その時、今ベッド下の男として都市伝説化してる奴が、
自力でベッドに戻ってようが戻れていまいが関係ない。
前者なら仲良くなったとアピール出来るかもしれないし、
後者なら今まで通りの仲違いだと思うかもしれない。
寝てても、内藤が付属品で来れば、勝手に起こすだろうしな。
(´<_` )「寝るのか?」
( _ゝ)「ねる」
日射しで温まった布団がイイ感じだ。
こいつさえ俺の現実からいなくなれば、
この温もりを心から享受できるのになあ。
405:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:54:27 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「はー今年のクリスマスは病院か……」
( _ゝ)「ざまあ」
(´<_` )「もう俺の女寝取んなよ」
( _ゝ)「するかボケ」
25.糸冬
25.波動ベクトルが行き着く場末感って
最近の、怒涛の見舞い(?)ラッシュも控えめになった。
糞関係の男友達が何故か一人も来ないところを見て、
林檎を剥きつつ一人含み笑いをするのも飽きて来た。
鬱田はこっちから連絡するのもアレなので、
相手からのメール待ち、出方待ちとしている。
しかしあれだ。笑いを堪えているせいで、
林檎が上手く剥けない。ナイフが滑る。
(´<_`# )「お前、それで笑い堪えてるつもりじゃねーよな」
(;*´_ゝ`)「えっふぇ? 何が」
392:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:40:27 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「さっきまで体丸めて腹抱えて床転げ回って、
死に損ないの虫みてーに痙攣しててさあ」
( ´_ゝ`)「俺そんなに笑ったっけ」
(´<_`; )「笑ったっつの、いきなり何の脈絡もなく」
( ´_ゝ`)「覚えてねえ」
(´<_` )「さっきからそのふじ全然むけてねーだろが、
なんなの? まだ皮だらけなんですけど?
仮性包茎ってか真性包茎のレベルだぞ」
( ´_ゝ`)「まずはテメーのを輪切りにすっぞコラ。
このナイフ慣れないから滑るんだよ」
(´<_` )「林檎むいてくれるってとこまではスゲー……こう、
感動してたのに、散々じゃねーか、どうしてくれんだ」
( ´_ゝ`)「何がだよ」
(´<_` )「俺のお前への期待だよ」
( ´_ゝ`)「ウジにでも喰わせとけ」
393:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:41:11 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`# )「もういいわ、俺がやる」
( ´_ゝ`)「へいよ」
剥きかけの林檎にナイフをドズッと刺して、クソに手渡す。
顔を見ると、口元が引き攣っていた。
どうせなら手にぶっ刺しときゃよかったな。
(´<_` )「あ……なんか俺、さっきまで麻痺してたわ。
なんで兄者に普通にナイフ持たせてたんだろ」
( ´_ゝ`)「喧嘩してねえから油断してたんじゃね?」
(´<_` )「それもあるけどそれだけじゃねーよ、まあいいや」
無言で林檎を剥き始めるのを見て、林檎に何か注射しとくべきか、
ナイフの刃の部分に何か塗りつけておくべきだったかと思案する。
クソッタレな何もかもをさっさと終わらせたいんだったら、
林檎を剥くより相手の皮膚でも削いだほうがいいのは判る。
つーか、さっきまでよくある介護風景の真似をしようとしてたんだよね。
病人のいるベッド脇で、林檎を剥いたり、林檎を擂ったりするアレ。
394:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:41:54 ID:/Sp4eqjE0
弟を甲斐甲斐しく世話する心優しい兄を演出しようと、
近くの無人店から一袋4個100円の林檎まで買って、
家からこいつのナイフまで持って来て用意したのにさ。
(´<_`; )「な、なんだよ。そんなに見んじゃねーよ」
( ´_ゝ`)「……いや」
なんで病人が自分で林檎剥いてんだろ。
あのナイフの柄は木製なんだから、どうせなら、
彫刻刀でウンコとでも彫ってやればよかったな。
(´<_` )「なんでずっと手元見てんだよ」
( ´_ゝ`)「いや」
なんだろう。何となく渡しちまった。早計だった。
手元が空いてしまったので携帯を取り出すが、
特にこれといってやる事もやりたい事もない。
(´<_` )「そんな見られるとやりにくいんですけど」
( ´_ゝ`)「いや」
395:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:43:43 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「俺の話聞いてる?」
( ´_ゝ`)「右から左」
(´<_`# )「お前の耳から豆腐が出るのか」
( ´_ゝ`)「はあ?」
(´<_` )「なんだっけ、バカ豆腐とか言う諺……」
( ´_ゝ`)「馬耳東風」
(´<_` )「ばじとうふう?」
( ´_ゝ`)「馬、耳、東、風、な」
(´<_` )「…………」
( ´,_ゝ`) プッ
゙(´<_` ) ショリショリ
( ´_ゝ`)゙ ピッピッ
396:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:45:12 ID:/Sp4eqjE0
5分後。
林檎を丸々一個剥き終えて、そのまま齧り付く猿。
丸かじりするなら、皮を剥いた意味ないんじゃないの。
(´<_` )「あーなんか虚しくなってきた」
( ´_ゝ`)「足吊ってる器具の位置、高くするの手伝おうか?
そのままだと、ちょっと首には届かないだろ?」
(´<_` )「迷わずぶっ殺そうとすんな」
( ´_ゝ`)「虚しいんだろ? 生きる意味を見出せないんだろ?
主に俺の精神の為に早く死ねよクソボケカスが」
(´<_` )「なんでここまで罵倒されなきゃいけねーんだよ」
( ´_ゝ`)「テメーの日頃の行いだクズ」
(´<_` )「最近はずっとベッドの上だっつの」
( ´_ゝ`)「ずっとベッドの上にいても俺から変わらず
こんな扱いを受け続けるってどんな気分?」
(´<_` )「怪我が治ったら倍返し」
( ´_ゝ`)「やっぱ殺してやる」
397:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:45:59 ID:/Sp4eqjE0
ここは個室、手負いの相手に逃げ場はない。
まだ車椅子移動の上に、出入り口は俺の背後だ。
ぶん殴ってやろうと拳を振り上げて立ち上がる、が。
(´<_`; )「なんだよ、やんのか? やんのか?」
( ´_ゝ`)「あー……」
ここで殴ったら、優しい兄(藁)も糞もカスもなくなるな。
いやでも、なんか偉い人が叱る事も優しさだっつってた。
一発だ。一発だけなら許される。一発だけなら誤射になる。
(´<_`; )「俺は怪我人だぞ! 手加減はしろよ!」
手加減は無理だ。どうやったって全力になる。
(#´_ゝ`)「ふぎぎぎ」
(´<_` )「握った拳の隙間から血が見えるんですけど……」
殴りたい気持ちを、拳を握り締めて押さえ込む。
切ってない爪が手の平に刺さったが、これくらい。
398:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:47:05 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`; )「病院でわざわざ怪我してんじゃねーよ!
もうナースコール押すからな! いいな!」
( ´_ゝ`)「押すんじゃねーよ」
取りあえず、怒りの原因を視界からシャットアウト。
さっきまで目に映っていた景色を頭の中に転写して、
ベッドの上にいた奴を頭の中で落ち着くまで殴り続ける。
(´<_`; )「なんで構えたまま静止してるの?
力溜めてんの? 怖いんですけど」
( # _ゝ)「あ゙ぁ?」
ヾ(´<_`; )「その手、下ろして。ゆっくり座って、そうそう」
目を瞑ったまま椅子の上で姿勢を正す。
出入口、椅子、ベッド、窓と一直線に並んでいるので、
椅子に座ってると太陽の光がマトモに目に入った。
あー冬の昼の日射しは眩しいな。瞼の上からでもガンガン来る。
これで空気が暖かけりゃ昼寝に最高なんだけどなー。
399:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:48:20 ID:/Sp4eqjE0
そうだ。寝よう。
ベッドなら目の前にあるじゃないか。
布団はベッド下にあるから日に当たる事はないが、
ベッドの上ならさっきからカンカン照りになっている。
昨日、電話で長岡の風俗体験レポートを深夜に3時間報告され、
あんまり睡眠を取れていない。夢も夢精できない悪淫夢を見た。
( ´_ゝ`)「ちょっと端に寄れお前」
(´<_` )「はい?」
すっとぼけている内にナイフを取り上げ、遠くに置く。
天井から吊り下げている邪魔な足を場外に落とす。
(´<_`; )「うお何すんだ!」
靴を脱いでベッドに上がる。布団を奪う。枕も奪う。
(´<_`; )「おま!?」
( ´_ゝ`)「どけ早く」
400:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:49:06 ID:/Sp4eqjE0
同じ場所で寝るくらいなら、今はもう大丈夫だ。多分。
初めての泊まりの日、ギプスで固めた足をガン見しながら、
「こいつは怪我人こいつは怪我人こいつは怪我人こいつは」
と口の中で数百回唱えて強く自己暗示をかけたからな。
途中で、こいつの女友達()らしき奴も見舞いに来たが、
息を飲んだような悲鳴をあげてすぐに逃げ帰って行った。
キチ行為は意外といい修羅場回避手段かもしれない。
お陰でベッド下から針を突き刺そうなんて衝動も我慢できた。
ふとした拍子、無意識の隙間に拳が出ることも少なくなった。
渡そうとした見舞い品を、顔面に投げつける事もなくなった。
あいつの好きな本を目の前で真っ二つにする事もなくなった。
「おかわり」と弟から手渡された椀に飯をよそおうとして、
ナシュラルに足元のゴミ箱に白米をシュートしてしまい、
意味もわからずおかしくなって狂ったように笑っていたら、
いつの間にか精神科の診察室に体が搬送された事も、
あれ以降は、一応、ない。
うん、あれは酷かったな。拘束されるなんて初めての経験。
ベッドにベルトでギッチギチに縛り付けられるなんて経験。
抜く時の想像で空想の女相手にやることは多いが、
まさか現実で自分自身がされる立場になるとは。
思考脱線。
401:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:50:01 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`; )「何する気だ! 何かするのか!?」
( ´_ゝ`)「寝る」
(´<_` )「へ」
( ´_ゝ`)「眠る」
(´<_` )「は?」
( ´_ゝ`)「おやすみ」
ガラス越しとはいえ、冬の刺すような日射しはきつい。
なので、布団を頭まで被って団子虫状態になる。
光は軽減されていい感じだ。
尚、カーテン引けよとの突っ込みは受け付けない。
生ゴミのほうを向けば顔に日が当たることはないが、
そんなのは例え死んでも狂ってもごめん被る。
402:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:52:00 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「何してんの兄者」
( ´_ゝ`)「寝るんだよ」
血で汚れないように、タオルで手を縛る。
最後に、枕に乗せる頭の位置を微調整。
なんか抱くものが欲しいけどここは我慢。
よし、寝よう。
(´<_`; )「やっべぇ、ギプス重っ」
(´<_`; )「ちょ、兄者、ちょっと手ぇ貸し」
(´<_`; )「おち、落ちる、落ち、るっ!」
ドサゴゴッ
背後で、ギプスの重さに耐え切れず何かが落ちる音がした。
ベッド下には布団もあるから、そっちで寝るのも大丈夫だろ。
403:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:52:57 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`# )「そこで寝ていいから手ぇ貸せこのアホウ」
。
( _ゝ)゚「下の布団で寝ろよ……」
(´<_`# )「俺のベッドだぞ」
。
( _ゝ)゚「病院のだよ……」
(´<_` )「検温の時どーすんだ」
。
( _ゝ)゚「今日はもう来ない……」
(´<_` )「マジか。あ、でも午後に毒男が来るってよ」
。
( ; _ゝ)「……マジ?」
(´<_` )「マジ」
うーんメンドクセェ。
つか、なんで来るんだ。
知らんかった。
404:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:53:39 ID:/Sp4eqjE0
ま、さしたる問題はないな。
ここで寝てりゃ適度に何か勘違いしてくれるかもしれん。
その時、今ベッド下の男として都市伝説化してる奴が、
自力でベッドに戻ってようが戻れていまいが関係ない。
前者なら仲良くなったとアピール出来るかもしれないし、
後者なら今まで通りの仲違いだと思うかもしれない。
寝てても、内藤が付属品で来れば、勝手に起こすだろうしな。
(´<_` )「寝るのか?」
( _ゝ)「ねる」
日射しで温まった布団がイイ感じだ。
こいつさえ俺の現実からいなくなれば、
この温もりを心から享受できるのになあ。
405:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:54:27 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「はー今年のクリスマスは病院か……」
( _ゝ)「ざまあ」
(´<_` )「もう俺の女寝取んなよ」
( _ゝ)「するかボケ」
25.糸冬
PR
この記事にコメントする
プロフィール
ブーン系エアー作者〆
Twitterはブログ更新通知用centipede02
リンク
ブログ内検索