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SAN値低めで御送りします
ブーン系空気作者の雑記&自作品まとめ かなりの頻度でクトゥルフも
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532:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:22:40 ID:iH7GEoA20
('A`)「そういやさ」

( ´_ゝ`)「んあ?」

('A`)「弟者には持ってかないの?」

( ´_ゝ`)「は?」

('A`)「病院食ばっかりだと、飽きるんじゃないかな」

( ´_ゝ`)「それとこれと何が関係あるんだよ」

('A`;)「や、最近仲良さそうに見えたから」

(#´_ゝ`)「はあ!?」

テーブルから身を乗り出しかけて、座る。
いかんいかん。ここは冷静に。平常心。


('A`;)「ごめん、そう見えたから……」

あいつをぶっ殺した時、疑われないようにするには、
ここで『関係が改善されてる』事を肯定したほうがいい。

いいのは判るが、素直に肯定はできない。

533:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:23:42 ID:iH7GEoA20
あんな反応を見せてからでは遅いのは判るが、
駄目元でフォローして鬱田の心証を変えよう。


( ´_ゝ`)「そう見えるかもね。あいつも怪我人だからな。
      出来るだけ優しくしようと一応心掛けてるよ」

('A`;)「そっか。怪我すると優しくは出来るんだね」

( ´_ゝ`)「そうですね」

('A`)「一応、牛丼買っていったらど

( ´_ゝ`)「そうします」

('A`;)「……」

( ´_ゝ`)「俺は普通の牛丼にする。鬱田は?」

('A`)「牛丼と、豚丼で」

( ´_ゝ`)「分かった」

持ち帰り用を頼んだところ、まだ時間がかかるとのこと。
紅生姜をつまみつつ、さっきまで食ってた席で待つ。

534:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:26:22 ID:iH7GEoA20
('A`)「兄者と弟者の関係って、珍しいよね」

( ´_ゝ`)「またその話題か」

('A`;)「いや、実際珍しいから言ってるんだよ」

こめかみの辺りがひくつく。
なんでまたこの話題を繰り返すんだ。
今度こそ手を出されたいのか。出したほうがいいのか。


( ´_ゝ`)「どこが?」

('A`)「ここまで仲悪いなんて、そうそういないんじゃないかな」

それは確かにそうだろうと、自分でも思う。
けど、それが何だって言うんだ。


( ´_ゝ`)「仲悪いのと良いのなんて半々くらいで存在するだろ」

('A`)「双子で仲悪いなんて珍しいんじゃないかな」

535:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:29:35 ID:iH7GEoA20
頭の奥が少し熱くなる。怒りを我慢しようとして、逆に顔が笑顔になる。
これの所為で何度も誤解された事があるけど、治す目処は立ってない。


( ´_ゝ`)「珍しいって何を基準にしての話だ?」

('A`)「よく見る双子とかって仲いいじゃん。だからさ」

( ´_ゝ`)「それを俺らに当て嵌めた場合、何で珍しくなるんだ?」

('A`)「だから、仲良いはずなのに、仲悪いのが」

頭の奥で糸が切れる音が、耳に響いた。


(  _ゝ )「……何で、鬱田はそう思うのかな?」

('A`)「だって、双子って普通は仲良いじゃないか」

熱くなると同時に、昔の出来事が目の前を過ぎ去って行く。
場面はころころ変わる。中学、習い事、社交場、倉の中。

536:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:30:26 ID:iH7GEoA20
(# _ゝ )「普通って何だ? 鬱田の言う普通って」

('A`)「え」

(# _ゝ )「俺ら以外に見た事ある双子か?」

('A`;)「いや、双子は兄者達しか見たことないよ」

(# _ゝ )「じゃあなんだ。創作か? 伝記か? 映画か?
      全部が全部、双子がそうだと思ってんのか?」

喉元まで込み上がってくる、競り上がる何かを我慢しようとして、
左手の甲に爪を立てる。痛ければ痛いほうがいいのに、痛くない。

('A`;)「そうは思ってない、そうは思ってないよ」

(# _ゝ )「じゃあなんでそんな事言った? 俺はちゃんと聞いたぞ。
      なんで双子だと特別なんだ? 同時に産まれただけだ。
      普通の兄弟とどこがどう違うんだ? 俺には分からない。
      なんで双子だと仲が良い事になるんだ? 分かんねぇ。
      ああクッソ、マジでわかんねぇ。誰だよ最初に双子は
      絶対に仲がいいとか変な偏見植え付けた奴はゴミか
      兄弟仲が悪いなんてのが普通に転がってんのに何で
      双子仲は良いなんてのが通ってるんだよおかしいだろ」

手の甲から痛み届かない事に腹が立つ。
爪で軽く皮膚を毟っても痛くない。痛くない。痛くない。

540:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:04:47 ID:xpWgH/QY0
(# _ゝ )「『双子なのに仲悪いなんて珍しいわね』じゃねぇんだよクソがァ……
       テメェは世の中の兄弟姉妹が全て仲良いとでも思ってんのかボケ。
       だとしたらお花畑だな。余程平和に生きてきたんだろうなあホント。
       全部の兄弟仲が良いと思ってない奴も何で『双子は例外』なんだよ。
       双子だからって特別仲が良いみたいに何で言うんだよ思考停止か。
       『弟さんなのに可愛くないの?』だってぇ? 顔面割られてぇのか。
       自分と似たような顔が可愛いとマジで思うんならとんだナルだな。
       同じ年に産まれたのに何でこっちがあいつの世話焼かされるんだ。
       何で俺が『頼れるお兄ちゃん』やんなきゃなんねぇんだよゴミ野郎。
       年が離れた兄弟ならともかく同い年でそりゃねぇよクソボケカスが。
       お前の周囲半径5kmの常識がこっちに通用すると思うなよ情弱が。
       クソババァの眼前に糞仲悪ぃ双子5組くらい整列させてやるよブス。
       全員双子だからって理由で変な押し付け喰らってるのばかりだ。
       それでも認めねぇなら目の前であいつぶっ殺すしかねぇよなあ?
       『双子で兄弟が嫌いなんておかしいわ』って言うお前がおかしいわ。
       何がおかしいんだよ何を持って正しいとしてるんだよぶっ殺すぞ。
       マッドな奴の実験目的に世界中から双子が集められてさーあ。
       双子同士で殺し合うバトルロワイヤルが開催されるってんなら、
       世間一般の認識を改める為に俺は喜び勇んで参加してやるぜ。
       ああ勿論優勝狙いに決まっ

('A`;)「ストップ! ストップ落ち着いて!」

(  _ゝ )「おっとすまん」

('A`;)「なんかごめん……」

(  _ゝ`)「と言う訳でこの話題は止めてくれ」

541:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:05:49 ID:xpWgH/QY0
ストップの言葉で録音していた事を思い出し、頭が冷えた。
机の下に貼り付けていた携帯を取って、尻ポケットに突っ込む。


('A`)「取りあえず水を」

( ´_ゝ`)「止めておこう。力加減間違えて、コップ割るかもしれない」

('A`)「力が抜ける方向で? 力が入る方向で?」

( ´_ゝ`)「力が入り過ぎる方向で」

('A`)「分かった。やめよう」


会計をして、持ち帰り用の牛丼を受け取る。気分が悪い。

すぐにでも袋ごと雪の上に叩きつけたいとこだが、
食べ物を粗末にするのは良くない。勿体無いからだ。
家に帰って俺が食べてしまおう。我が母にやるのもいい。

一瞬、鬱田に持たせようかとも考えたが、母一人に子一人、
牛丼2つ豚丼1つで譲り合いが発生したら面倒そうなのでやめた。

542:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:07:23 ID:xpWgH/QY0
折角、前々から考えていた計画に必要な状況が最適化されてるのに、
肝心の俺に忍耐がない所為で、いまいち進展したと感じられない。

譲れない事に関するこだわりの強さが俺の症状特有のものだとしても、
これだけはなんとかしたい。でないと、俺は檻の中に直行監禁プレイだ。

入るとしたらどっちだろう。
実刑がつくか、キチガイ無罪で病院か。


( ´_ゝ`)「精神病院かなー……刑務所かなー……」

('A`)「なんか言った?」

( ´_ゝ`)「なんでも」

尻ポケットに入れた携帯を取り出し、画面を開く。

『録音が終了しました。保存しますか? はい/いいえ』

勿論YES。SDカードにもデータをコピーする。

しかし、鬱田の初体験告白の次に、俺の怨嗟が仕込まれたこれ。
割と内容が混沌としている気がするな。客観的にどうなんだ。

543:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:09:00 ID:xpWgH/QY0
悪用する気はないから、日記に文章化した後は、
HDDの中で眠る事になるから大丈夫だと思うが。


('A`)「そういやさ、俺、弟者君と割と仲良くやれそう」

( ´_ゝ`)「え、いきなり何……宣戦布告?」

('A`;)「お前がいきなりどうした」

( ´_ゝ`)「いや、あいつの味方とか……」

そこまで言い掛けて、色々出かかった言葉を飲み込む。


( ´_ゝ`)「まあ、お前友達少ないから、あんなのでも、
      ああ言うのでも増えるだけいいのかもな」

('A`)「辛辣な言葉だな」

辛辣にもなるさ。


( ´_ゝ`)「鬱田さあ。昔あいつにあんだけ巻き込まれたり、
      舐められてたってのに、今更よく『仲良くなれそう』
      とか言えるな。DQNは苦手じゃなかったのか?」

550:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:00:04 ID:yiRFOqHk0
('A`)「前に話してみたけど想像より酷くなかったから、
    金と女の人が絡まないなら大丈夫かと思って」

( ´_ゝ`)「俺のいないとこで何かあったらフォローできねぇよ?」

('A`;)「うん、それは……なんとか逃げる」

( ´_ゝ`)「フーン」

正直言って、鬱田の押しの弱さだと、何かあった時に冤罪になる。
主に女性関係の面倒事と窃盗の擦り付けだ。借りパクもある。

女に切りつけられでもすればなんとか正当防衛に持ち込めるが、
こいつの体の弱さだと刺されたショックで心停止して死にそうだ。


('A`)「弟者君、割と良い奴だと思うから大丈夫なんじゃないかな」

( ´_ゝ`)「ごめん、俺に喧嘩を売ってるならすぐに買うから。
      そういうのは面と向かってちゃんと俺に言ってくれ」

('A`;)「何でそうなるの!?」

( ´_ゝ`)「え、俺はてっきりあいつと喧嘩になった時、
      俺とあいつの拳の前に立ち塞がるのかと」

('A`;)「話が飛び過ぎだよ!」

551:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:01:09 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「どの辺?」

('A`)「俺が弟者を良い奴って言ったのが、何故宣戦布告に」

( ´_ゝ`)「屑を良い奴とかほざくの、同じ類友しかいねぇもん」

('A`;)「そりゃ、素行的な面では良い奴とは全く思ってないよ」

( ´_ゝ`)「なら何で『良い奴』なんて」

('A`)「一回だけ病室に二人きりでいたけど何もされなかったんだ。
    うん。意外と何もされなかったし、悪態吐かれなかったし」

( ´_ゝ`)「で?」

('A`)「え?」

( ´_ゝ`)「だから、それで?」

('A`)「え、えっと……それで、実は良い奴、じゃ、じゃなくて、
   身内認定入った人にはちょっと優しいのかな、なんて」

( ´_ゝ`)「あー確かに、不良って仲間認定すると、
      すげぇ馴れ馴れしく近寄って来るよな」

('A`)「う、うん」

552:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:02:08 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「それで?」

('A`;)「……もしかして、怒ってる?」

( ´_ゝ`)「怒ってないよ。ただ気に入らない。後、すっげぇ疑問」

('A`)「気に入らないって……」

( ´_ゝ`)「仲良くなれそうって理由が理解できん」

('A`;)「うん。俺も兄者と話しながら色々その事考えてたら、
    何でそんな風に思ってたのか分からなくなってきたよ」

( ´_ゝ`)「そっか」

('A`)「何だろ。いつもは出会い頭に悪口の一つ二つ貰ってたけど、
    見舞いに行った時はそれが無かったからかな。た、多分」

( ´_ゝ`)「映画版ジャ○アン現象かよ」

常日頃から理不尽な暴力を周囲に振り撒いているにも関わらず、
映画で味方を庇ったりちょっと活躍しただけで良い奴認定を貰う。

そんなズル臭い立ち位置にいる発達障害児。ジャイ○ン。

553:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:03:20 ID:yiRFOqHk0
いつも悪い奴が、少しだけ善行をやると良い奴に見えてしまう。
そんな現象が世の中にはあるらしい。俺には余り解らない。

悪い事ばっかしてる奴がちょっと良い事したくらいで、何をそんなに。
としか思えない。大体『いつも』と『少し』の部分で釣り合ってない。
最初から前提条件が破綻している。天秤の矛盾もいいとこだ。
善行より悪行が多い時点で、良い奴でもなんでもないじゃないか。

自分の仲間にだけ情に熱い不良。自分の家族にだけ優しいヤクザ。
自分の飼い犬だけを可愛がるマフィア。全部が全部理解出来ない。
それらを見て、どうして『実は優しい奴』などとほざけるのか。

マイナスとプラスをかけ合わせてもマイナスにしかならないのは、
数学的にも証明されている。と言うか、義務教育の中で学ぶ。

善行と悪行は別物だ。犯罪を犯したら前科が付く。
それが善行で取り消される事はない。一生纏わり憑く。
法律的にも、きちんと整備されている事だ。

もし、悪行を受けた被害者に対して、償いと言う名の善行をして、
それを被害者自身が認めて罪を許すのならプラマイゼロになる。

被害者以外に善行を働いたって、プラスになる訳がない。


('A`)「考えて見たけど、やっぱ前よりは優しい気がする」

( ´_ゝ`)「へー」

554:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:04:36 ID:yiRFOqHk0
例え、例え話をしよう。AとBとCがいた。それぞれ他人である。
AはBから非道な行いで金を巻き上げたが、Cには恵みを与えた。

さて、どうなる。

Bが借金持ちとか、Cが乞食とか、面倒臭い設定はなしだ。
純粋に、ABCそれぞれを一般人として見る。

AがCに対して優しくしているところを見たBは、何を思う?

自分が受けた非道も忘れて『実は優しい奴』なんて思うのか?

別の誰かに優しくしている加害者Aを被害者Bが見たら、
『何で俺の金は盗ったのに、あいつには恵んでるんだ』
とか思って、恨みを深める事になるんじゃないか?


( ´_ゝ`)「優しいって、どんな風に?」

('A`;)「その……そんなに、悪態吐かれないし」

( ´_ゝ`)「ふへ」

たった一回、悪口を言われなかっただけで?
いつもされてた事を、されなかったぐらいで?

555:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:06:29 ID:yiRFOqHk0
……鬱田って、実は結構おかしいんじゃないかな。
あんなに言っときながら、結構軽く受け流してたとか?
俺とは別の方向に、感覚が麻痺してるっつーか。

待てよ。だとしたら、どっちもおかしいんじゃないか。

一般人は、糞をしながら便所飯する経験はない。
その点で行けば、鬱田はパンピーではない。

頭部MRI検査で出た結果を見た医者に軽く笑われながら、
『脳波がちょっと異常』なんて言われた俺はお察し下さいだ。

情報が足りない。判断材料が少ない。
どうしようもないな、後で色々な奴に聞いて回るか。
こっからの会話も携帯で記録しとこう。ボイス録音モードON。


( ´_ゝ`)「つまり、鬱田は、いつも何かしてくる奴が、
      その日に限って何もして来なかったから、
      良い意味で期待を裏切ってくれたから、
      あいつの事を勘違いしたんだよな?」

('A`;)「勘違いっつか、ギャップかな」

( ´_ゝ`)「ギャップ……ああ、うん、成程ね」

556:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:07:26 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「アレだよ。普段すっげぇ凶暴な犬猫が少し弱っててさ、
      しおらしくなってるのに『こいつ実は優しいんじゃね?』
      的なギャップを感じてちょっと勘違いしてるだけだよ」

('A`;)「言われてみれば、それもあるかもしれないけど」

( ´_ゝ`)「けど?」

('A`)「やっぱり、ちょっとは仲良くしたいなあ……」

( ´_ゝ`)「……は」

駄目だ。鬱田の考えが全く分からない。
ここはもうストレートに聞くしかないのか。


( ´_ゝ`)「フツーに疑問なんだけど、何であいつみたいな危ない奴と、
      わざわざ仲良くなろうとしてんの? マジで意味わからんわ」

('A`)「兄者の弟だし……」

( ´_ゝ`)「俺の?」

友人の弟と仲良くする。
それは必要な事なんだろうか。

557:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:08:17 ID:yiRFOqHk0
人間関係を円滑に保つのは生活する上で大事かもしれないが、
わざわざDQNと手を組んで周囲の印象を下げるのは如何な物か。

まあ、友人の兄弟仲が良い場合なら、仲良くなるのもいいだろう。
兄弟仲が悪い場合、且つ両方とも親しくなってしまった場合にはどうする?
鬱田みたいな優柔不断な奴は、兄弟間で板挟みになるだけじゃないだろうか。

いや、大事な事を失念してた。

体の弱い鬱田なら、あんなのを敵に回したくはないんじゃないか?

やたら消極的で臆病で小心者で保身に走るガラスハートな鬱田君なら、
病院のベッドでマスかいてるだろう糞野郎の拳には殴られたくないのか。

だから、そんなにも親しくなろうとしてる?


('A`)「兄者、そろそろバスが来るよ」

( ´_ゝ`)「あー、うん」

もしそうなら、あんまり突っ込んで聞いちゃいけない課題だな。
人のコンプレックスに繋がる企み事は突いちゃいけないって、
世話になり続けてそろそろ八年近くなる病院の先生が言ってた。

558:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:09:09 ID:yiRFOqHk0
しっかしなあ、鬱田とあいつが仲良くなるのは、
いまいち、なんと言うか、こう、いただけないな。

奴に脅されるか、純粋に向こう側に着いてスパイされたらと思うと、
俺はもう一生鬱田を信用出来ない。余裕で拳も出せてしまう。


( ´_ゝ`)「あのさー鬱田」

('A`)「何?」

( ´_ゝ`)「俺の弟だから、あいつと仲良くなろうとしてんの?」

('A`)「うん、いい機会だからね」

( ´_ゝ`)「そっかー、俺とあいつの喧嘩に巻き込まれたらどうする?」

('A`;)「巻き込まれても……大丈夫なんじゃない?
    弟者も流石に、何もしてない奴は殴らないだろ」

は、アレを見といてそんな事が言えるなんて、鬱田も大概だな。

殴りはしないが、盾にはするぞ。
しかも、それで盾が刺されても何も言わない。
謝罪すらしないで、一直線に逃げ出す。

ソレを見といて、なぁーにが『殴られない』だ。
それ以外の事は余裕でされるっての。

559:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:10:25 ID:yiRFOqHk0
鬱憤が溜まるって、こういうのかな?
言いたい事を全部飲み込んで、息を吐く。

伝えようにも、今は時間がない。
バスん中で言える事じゃない。
次があれば、次にしよう。


( ´_ゝ`)「あー、うーん、そー」

('A`)「え、あ、どうした兄者」

( ´_ゝ`)「なんでもなーい。何か色々面倒臭くなった」

('A`)「ちょ、バス来るぞ、どこ行くんだ」

( ´_ゝ`)「歩いて帰るわ」

('A`;)「え、待って待って、もうバス見えたって」

( ´_ゝ`)「いーよ歩く。あと、あいつと仲良くなるなら、
      俺に殴られる覚悟しといたほうがいーよー」

('A`)「え」

( ´_ゝ`)「じゃあの」

560:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:11:32 ID:yiRFOqHk0
携帯の録音を終了して保存。
ついでにタクシーも呼ぶ。

あいつと一緒にいても、怪我をしないって甘い見通しが出来るとは、
鬱田も平和に慣れ切った日本人っつーか、危機感がないと言うか。

あああああああイラつく。腹立つ。苛々する。腸が煮え繰り返る。

このままだと自分の腕を掻き毟りそうなので、脳内に鬱田を置く。
そして、さっき飲み込んだ言葉を虚像に向かって吐き出す。








 「へえ……お前、そんな事言えるんだ」

そ、そんな事って。

 「いいよ、いいよ。うん。別にいい。よし、決めた!
  次に喧嘩する時は、盛大に巻き込んでやるよ」

なんでそうなるんだよ!

561:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:12:25 ID:yiRFOqHk0
 「そうなるだろ。俺が何かしなくても、巻き込まれるって。
  俺の友人だから、いい盾になると思うんじゃない? あいつ」

兄者は俺を殴るのか?

 「殴るよ。邪魔だもん。殴られたくなかったら、逃げればいい」

……。

 「向こうでアレに巻き込まれといて、あんな事が言えるなんて、
  巻き込み具合が足りなかったんだよね? 怪我無かったし」

自分が何言ってんのか分かってんのか?

 「知ってるよ。俺ってば、すっごい自己チュー。面倒臭いね」

知ってる。

 「あいつは、自分の女関係にも平気で人を巻き込むよ。
  一回、刃物持った女に追われてるのに偶然会っただろ。
  あいつ、友達Nの周り回って障害物にして逃げてたけど、
  ブチ切れた女がそのNを刺しただろ。容赦なく、深くさ。
  それを見たクズ、真っ先に逃げただろ。友達置いてさあ」

……。

562:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:13:15 ID:yiRFOqHk0
鬱田の考えが想像できんとこは、どうにも答えさせらんねぇな。


(=゚ω゚)ノ「イヨーゥ。あんちゃん何処までだい?」

( ´_ゝ`)「@X%/」

(=゚ω゚)ノ「遠いな! 電車使わねぇのかい?」

( ´_ゝ`)「駅まで歩くのも面倒なんでお願いします」

財布の中身を確認して、一息。
椅子に体を沈めて、また頭の中へ。





 「それ見ても、思い出しても、鬱田は怪我しないって言える?
  確かにあいつ自身に殴られはしないかもよ。でも怪我はする。
  あいつ、『流石に自分の友人の事は殴らないだろ』とか考えて、
  俺との喧嘩の時、鬱田を盾にしようとするんじゃねぇの?」

俺を殴れるのか?

 「殴れるよ。その時、向こうの味方してたら更に力が入るね。
  それに、友人を盾に使えるって思われるのが気に食わない。
  その程度で、俺が止まると思われてんのが気に入らない」

563:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:14:11 ID:yiRFOqHk0
 「それぐらいで俺を御せると思ってんのがムカつく。
  それぐらいで俺を制せると思われてんのに腹立つ。
  あいつに関してだけは、絶対に譲らない。絶対にだ。
  盾が関係ない他人でもだ。母さんでもだ。許さねぇ」

自分の言葉、訂正できる余裕、ある?

 「今の俺には無い。まあ、薬飲んで落ち着いた時の俺にでも、
  もう一回言ってみてくれ。もしかしたら、気が変わるかもな」

寝起き狙いか。

 「あとさ、鬱田」



 「俺さ、あいつをぶっ殺すのをお前が邪魔したとして、
  その時は遠慮なく、お前ごとぶっ殺せるんだぜ。
  嘘じゃねぇよ。良心の呵責なんて、全然ないんだ。
  事が過ぎ去ってから、自分でもビックリするくらいにな」

……それって、どういう意味?

 「どういう意味って? そのままだけど」

それを、伝えた意味。

564:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:15:09 ID:yiRFOqHk0
 「注意とかー警告とかー自虐とかー?」

……。

 「あの糞野郎、あいつを擁護するような事を言う奴らは敵だ。
  だから遠慮なく殴れるし、手加減しないし、後悔もしない」

……。

 「原因が別にあったり、そもそも勘違いだった場合を除いて、
  俺は一度嫌いになった人間の価値を引っ繰り返せない。
  粘着質で、恨みがずっとずっと残るんだ。時間で風化しない」

…。

 「医者のお墨付きだぜ。冗談じゃなく舐めないほうがいい。
  治せない。癒せない。どうしようもないものだって言われた。
  本当に忘れないんだ。いつだって覚えてて記憶の表層にあるんだ。
  小さい頃にヒスってる母さんから言われた『気持ち悪い』って言葉も、
  癇癪起こした糞親父の『親は神だと思え』って言葉も忘れてない」



 「『時間が解決してくれる』っての、俺が一番嫌いな言葉なんだ。
  俺の場合は、逆に時間が経過して恨みが凝り固まるだけなんだ。
  忘れられない。忘れないんだ。忘れられないんだ。忘れたくても。」

565:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:18:58 ID:yiRFOqHk0
 「だから、俺に恨まれるような事だけは、頼むからしてくれるなよ?
  友達とか、母親とか、世話になった人とか、そういうの関係ない。
  あいつを守る人種に、壁になった時点で、そんなの関係ないから」


ブチッ


(=゚ω゚)ノ「イヨ~ゥ、着いたよあんちゃん」

( ´_ゝ`)「は~い」

用済みになった鬱田を消して、いつも通りの真っ暗闇な脳内へ。
途中で三半規管的な意味とは別に酔ったが、脳内なので問題ない。


( ´_ゝ`)「お~いい夕焼け」

外は橙色に明るい。
綺麗なオレンジ色だ。
夕日は好きだ。

初めて俺が自分の世界から出て外界を知覚した時もそうだった。
夢から覚めたみたいで何もかもが辛かったけど、夕日は綺麗だった。

もう一度、この世に産まれたと言い替えてもいい。
体だけ先に産まれた俺に、ようやく精神が生まれたとも言える。

566:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:26:28 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「きも」

ポエミィチックで気持ち悪いな。死ね俺。
さっさと家に入って、雪を払う。


取りあえず、今日は鬱田の事を日記に書くか。

弟者が鬱田を盾にして、俺がうっかり殴り殺してしまった時、
その時の事をシミュレートして、なんとか打開策を打ってみよう。

確か、鬱田は母親と血が繋がってなかったな。
そこら辺に当てつければ、殺してもなんとかなりそうだ。

母親側に友好的な親族がいたらどうすっかなあ。
我が母ともメールのやり取りをしているようだし、
交友関係は良い方なのか。顔も広かったりする?

全部をあいつに擦り付ける方が単純で簡単そうだが、
こっちにはメリットもデメリットもでかい手帳があるしな。

自分の言う事が全て虚言にされて、発狂中にやった事にされたら厄介だ。

568:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:32:42 ID:yiRFOqHk0
だとしたら、鬱田の親父辺りの線にするか?

パチンカスサイマーの情報しかないが、これだけでクズと分かる。
金の無心を断られたとか、私怨の所為にして、でっち上げるか。
煙草、賭博、借金と来たらクスリもいけそうだな。

つーか鬱田を殺すなら、母親も殺したほうが早いのか?
一番強く喚く奴がいなくなるなら、終わりも早まりそうだ。

幸いにも、鬱田の母に家を紹介したのは我が母だ。
言えば、家くらい上がらせてもらえそうだな。
今度遊びに行った時、適当に間取りを写メって来るか。



27.糸冬


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