忍者ブログ
SAN値低めで御送りします
ブーン系空気作者の雑記&自作品まとめ かなりの頻度でクトゥルフも
122. 121. 120. 118. 117. 116. 115. 114. 113. 112. 111.
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

495:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:29:18 ID:jGL0Va7A0
27.気付けの朝焼け、爛れた夕暮れ



クソ固い瓶の蓋をようやく開けられたような月曜日の早朝に、
携帯の着信音で起こされた。着メロは交響曲第九番。通称第九。


(# _ゝ )「あァ゙? んだよもー」

社畜があくせく働いて、学生が自殺なんかを思い浮かべている日に、
そんな時間に怠惰を貪るのがいいのだ。週の始まりの日だからこそ。

2chで月曜日の朝が来たのを盛大に嘆くレスをニヤニヤ眺めながら、
ベッドに転がって漫画を読んだり、ゲーム機をいじるのが楽しいのだ。
実際は、自分が土日出勤なので月曜日から休みなだけだが。

冬期は畑に雪が積もるので畑の手伝いもない。
まさに半ニート生活。理想である。ずっとこうしていたい。

496:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:31:08 ID:jGL0Va7A0
( ´_ゝ`)「あ? 鬱田か」

メールの差出人にはディプレーションライスフィールドとある。

よく携帯を勝手に見やがる奴に対する、ちょっとした対抗策だ。
静香ちゃんならサイレントアロマ、一君ならファーストで登録する。
一度、奴がロックを打ち破りやがったので、2重に警戒をしている。

ロックを解除する為に、俺がIDを取得する時によく使われている数字、
拘っているような数を組み合わせて、とにかく打ち込んでみたらしい。

どんだけだよ。その執念を他へ回せ。
俺には自分の携帯を見せない癖に。


( ´_ゝ`)「なんだこの添付……」

動画だったのでDLして再生する。
内容はハムスターを握っている様子だった。

自宅で量産されたハムスターを一匹水槽と共にあげたのだが、
どうやら元気に育っているらしい。育ち過ぎて太っている気もする。

たれ○んだ化している事に関して、特に突っ込むつもりはない。
俺としては、ハムスターなんかの短い寿命で変に食事制限をして
糞を頬袋に溜め込ませるくらいなら沢山食事させてもいいと思う。

497:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:34:51 ID:jGL0Va7A0
本に書いてある通りじゃない飼い方なのは、言われるまでもなく判っている。

けど、夫と仕事の都合で別居生活をしている叔母にハムスターをやり、
その叔母がハムスターを亡くして号泣しているのを慰める為に吐いた、


 『そのハムスターは、きっと幸せだったと俺は思うよ。
  叔母さんに贅沢させてもらって、うちのよりいい生活してたって。
  お菓子とか果物とか野菜とか、いつもケースに入ってたじゃん。
  巣もトイレもいつも綺麗にしてもらってたし、可愛がってたよね。
  仕事に行くのにも一緒でさ、ハムスターも楽しかったと思うよ。
  叔母さんに沢山可愛がられて、絶対によかったってば』


なぁんて誤魔化しと出鱈目と陳腐過ぎて鼓膜が弾けるような、
バッレバレな嘘と欺瞞を込めた慰めが自分の耳に残ってる。

本当は駄目だ。何もかも駄目だ。
飼育の仕方としては正しくない。

しかし、それが頭ん中で反響し過ぎて、段々と理想論になりつつある。

デブハム可愛い。もっちもっちしてる。
何この雪見大福。握り心地最高。

499:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:36:07 ID:jGL0Va7A0
待て待て思考が脱線した。

さっきまで何してたんだっけ。
そうだ、叔母とハムスターの話だ。


ハムスターにとって巣は最重要だ。寝場所意外にも色々使う。
身を隠す場所として、餌の貯蓄場として、子を育てる場所として。
そこを毎回掃除と言う名目で引っ掻き回されると、ストレスが溜まる。
彼らだってストレスで太ったり痩せたりハゲたりするデリケートな生物だ。

ハムスターを連れ歩くなんて以ての外だ。ストレスがマッハで死ねる。
叔母の取った連れ歩き方は、キャリーケースのキの文字も無かった。
敢えて言うならキ印の持ち方をしていた。生き物ではなく玩具扱い。
手縫いの布にハムを入れて、それを上着のポケットに突っ込む。
そのまま自転車で仕事場へGO。そりゃあ、いつかは落ちるさ。
ファスナーも何もないポッケに、ただ入れてただけだもの。

人の食べる食べ物もお菓子も合成食品もたっぷり上げていた。
食いたそうにしてたからじゃねぇよ。やっちゃいけねぇんだよ。
だから体重管理も糞もなかったんだよ。そりゃあ太るわ。
生き物にとって自重を支えられないのは死活問題だ。


でも、叔母は可愛がっていた。自分なりに。死ねば泣くほどに。

けど自分は、それが免罪符になるとは思っていない。

500:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:37:10 ID:jGL0Va7A0
俺としてはただハムスターの死骸を目の前で泣く叔母をどうにかする為に、
これからも付き合いのある親戚として不和無く過ごす為に慰めただけだ。

叔母は『自転車で仕事場へ行く時にハムを布袋に入れてポッケに突っ込む』
と言う行動だけは後悔しているようだった。反省もしていたのかもしれない。
俺は叔母自身ではないので、本人の心境は判らない。言葉でそう判断しただけだ。

つーか、それで後悔しないほうがおかしい。
何せそれで可愛いペットが死んだんだ。

俺本心としては『自業自得だクソババア』と罵倒したかった。
が、理性と家族付き合いと客観性と世間体と人間性が邪魔をした。
これがネットなら匿名で色々言えるのに、リアルの辛い所はこれである。


慰めでは、言葉の一つ一つをいい方向に否定しただけだ。
野生では味わえない食物、つまりは人工のお菓子。
ハムスター用のスナック。ハムスター用の遊具。

そう言った人間視点から娯楽と思われると物を肯定した。
野生ではそれが味わえないのだから、叔母にそれを『味合わせてもらった』
そのハムスターはとても幸運だった、飼われてよかったとほざきまくったのだ。
傲慢過ぎる物言いだが、叔母はそれで泣き止んだので、うん、いいんだろう。

自分の慰めが相手のハートに響いて泣き止んだ。
と言うのを頭から信じてる訳ではない。可能性の一つだ。
もしかしたら、俺の言葉に呆れてと言う可能性もある。

501:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:38:01 ID:jGL0Va7A0
そもそも俺は人の感情が上手く汲み取れない。
だから、叔母の哀しみをよく分かっていたのかと言われるとそうではない。

お前の脳の作りは生まれつきそんなんだと言われればそこでお終いだが、
経験と訓練とケアを積んで、なんとかまともに近くなったと自負している。

しかし、周りから見ればそうではない、KYな時もあるらしい。
主に内藤視点からの助言である。もしくは説教。もしくは罵倒。


ある時、会議で新人相手に自分の意見を強く言っているように見えた人がいたので、
窘めつつもうちょっと落ち着いて優しく言えよと発言したら殴りかかられた事がある。
俺から見て怒っている事は判らなかったのだが、周囲は怒っていると判っていた。

周りは、あいつの怒りが鎮火してから新人を慰めてやろうと思っていたらしいが、
俺がそこに横槍と言う爆弾投下、一気に着火し、怒りを乗せた唸る拳がこっちに。
みたいな感じだったらしい。俺は全く分からなかった。最初から最後まで。

俺視点から言ってしまえば、鎮火も糞もなくあそこは助けるべきだったと思う。
新規参入者が少ない業界では、新人は大事にするものと言っておきながら、
終わったらフォローしよう、だから今は耐えてくれなんて虫が良いにも程がある。

極めつけに、原因はバカの逆上だ。
新人にシステムの穴を指摘されたからって、いきなりブチ切れて、
先輩風吹かせて極論振りかざし、挙句「これだから女は」なんて。
明らかにおかしい。同じ男の俺でもおかしいと感じる。女は悪くない。

どうやってもそいつが悪い。

502:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:40:13 ID:jGL0Va7A0
拳自体は難なく避けれた。

後ろに大きく腕ごと後退し、「私これから貴方を殴りますよ」なんて、
全身全霊を持って表現されたら、避けないほうがおかしいだろう。

場合によっては、正当防衛の理由なり、恐怖で体が固まって動かなかったなり、
殴られたかった等で殴られる人がいるかもしれないが、そこはそこである。

話が飛んだ。

育成能力のないベテランは、ただのゴミだ。
ベテランを自称するには、多少の育成能力が求められる。
育てるどころか、新人を追い出そうとまでするとなると、ただの害だ。

結果、老害より新人の方が大事と言う事でそいつは出禁となった。
可能性ある新人と、クズの老害じゃあ価値が知れてる。
しかし、新人はそれが原因で、二度とそこに足を運ぶ事はなかった。

当たり前である。別に強制ではなく、趣味の集まりなのだ。
嫌な思いをした場所に、自ら行こうとするほうが訳が解らない。
嫌と言えば、ピピピピピピピピピピピピピピピピ、と目覚しが五月蠅い。

時計を殴り飛ばして音を止める。洗濯かごにシュートされた。
この時計は古いのか、最近スイッチを押しても止まってくれない。
何かで強い衝撃を与えないと止まってくれないのだ。

残念ながら、我が母から思い出の品だからと分解許可は降りないので、
こうして毎日事故に見せかけて砕けてくれないかと拳に希う日々である。

503:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:41:06 ID:jGL0Va7A0
そろそろ起きるか。

  ,  _  _  。
∠(  う )~゚「ふぁあああ」

でかい欠伸をかまして目を擦る。
携帯を確認すると光っていた。
あの色はメール着信か。


( ´_ゝ`)「ん?」

2件目のメール。鬱田から、「朝早くにごめん」との謝罪。
すっかり忘れてた。いや、頭から飛び去っていた。

飛び去ると言えば鳥小屋の奴らが……


( ´_ゝ`)「あー」

駄目だな。寝起きだからか思考があっちこっちに飛ぶ。
枕に顔を押し付けて、鼻がゴキゴキ鳴るまで擦り付ける。

少し頭が整理された所で、鬱田に「おきた」とだけ返信。

漢字変換する気力はない。しなくても意味は伝わる。
メールって返信するのもすげぇ面倒臭い時あるよな。

504:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:42:01 ID:jGL0Va7A0
すぐにメールが返って来た。反応が早いな鬱田。
携帯電話開いて、メール画面で待機でもしてたのか。


( ´_ゝ`)「えーと?」

内容は風俗での初体験を誰かに吐き出したい旨と、
昼飯を鬱田が奢る事、それを話す場所について。

自分の持ち合わせ金額では高い店は無理なので、
吐き出し場所は吉○家が希望、いや予定との事。

もうとっくの昔に忘れているのかと思いきや、長岡に引きずられ、
ちょっとイリーガルな感じの泡風呂に行った話は覚えていたのか。

ここはむしろ、俺が昼食代を準備する場面だろう。
あの時、長岡から助けずに餌にしちまったしな。

それにしても、


(*´_ゝ`)「○野家って初めて行くなー」

思えば宮城の仮住まいが決まった頃に、糞親父から直々に手渡された、
『入ってはいけない店リスト』に載せられてしまったので入れなかった店だ。

505:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:42:46 ID:jGL0Va7A0
紙にはパチンコ店や居酒屋、風俗店、質屋、賭博場などが並ぶ中、
いくつかの飲食店も何故かリストアップされていた。基準は知らない。

吉野○とは、自分が常々行ってみたいと思っていた店である。
有名な吉野家コピペの店であり、数々の話でネタにされる場所である。
よくCMに入ったり、紅生姜食い放題と俺の気を引きまくってくれた店だ。

だが、親父からは店に行くのを禁止されていた。理由は判らない。
コピペ通り殺伐とした場所だからなのかもしれないと当時は思ったが、
ガラス越しでは店のアンダーグラウンドなふいんき(ry も分からない。

宮城へ移った時に、これでようやく行けると含み笑いをしたものだが、
その次の日に、糞野郎が禁止リストのパチ屋に突入してくれていた。

俺が知るより先に、糞親父からその事で叱責の電話。
止めなかった俺も同罪だそうだが、そんなん知るか。
つーかテメェ、何故それを知ってる。どうやって知った。

後から知った事だが、糞親父は専門機関に依頼したそうだ。
『離れた地域での息子達の素行を細かく調べてほしい』と。
わざわざ興信所へ依頼したそうだ。探偵などではない。興信所である。
どんだけ本気なんだ。ってか、調べて何をする気だったんだ。

今となってはバツサンと浮気して開き直るクズ親父のみぞ知る。


……やっべぇ、また思考が脱線した。

506:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:43:33 ID:jGL0Va7A0
余計な思考を挟むまいとしても、単語から思い浮かべてしまう。

ストレスでぶっつんぶっつん切れてた時代よりマシにはなったが、
元々の脳ミソの作りのお陰で、我が脳内は落ち着く事がない。

今日は早めに行動だな、さっさと着替えて念願の吉野家に向かおう。
バスも調度出る。今はいい時間だ。
これを逃すと、街へ着くのは3時間後になる。

東京で、分単位で来るバスにはマジでビビった。
更に、その全てのバスに人がギュウギュウ詰めなのにも。







~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ピッピッピッ プルルップルルッ


('A`;)『兄者! 今どこ居んだよ!』

( ´_ゝ`)「迷った」

507:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:44:37 ID:jGL0Va7A0
('A`;)『病院の正面入り口から出て右に曲がればコンビニあったろ。
    そこの信号をまた右に曲がれば見えて来るんだってば!』

( ´_ゝ`)「ありがとう。鬱田の説明は、きっと判り易いんだと思う」

('A`)『褒めても何も出ねーぞ?』

( ´_ゝ`)「でも迷った」

('A`)『実は貶してるのか』

( ´_ゝ`)「コンビニってファミ○じゃないよね?」

('A`)『違う。ローソン』

( ´_ゝ`)「そうか。俺は何処にいると思う?」

('A`)『俺に聞くなよ、つか地元だろ』

( ´_ゝ`)「俺、こういうの、毎日行かないと地理覚えられないんだよね。
      昼と夕方と夜でまた道が全然違って見えるし、季節でも変わる。
      ぶっちゃけ建物一つ消えるだけでそれまでの道が判らなくなる」

('A`)『重傷じゃねーか』

( ´_ゝ`)「3Dのゲームでは迷わないのに、不思議だぜ」

508:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:45:45 ID:jGL0Va7A0
('A`)『どうすんだよ、俺はもう店の前にいるんだけど……』

( ´_ゝ`)「病院の前で俺が鬱田を待つ案はどうだ?」

('A`)『俺の負担が倍増しだな』

( ´_ゝ`)「昼飯奢るぜ」

('A`)『カーチャンへの持ち帰りも追加で』

( ´_ゝ`)「おう」


ブツッ


よし、一段落。いやあ、一時はどうなるかと思ったぜ。
鬱田の負担が倍増しどころか、累乗になったのはキニシナーイ。

さっき毎日行かないと道を覚えられないと言ったが、
ぶっちゃけ人の顔も毎日見ないと覚えられない。

記憶に染み付く程に印象が強ければいいんだがな。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

518:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:08:42 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「遅いぞ鬱田~」

('A`)「ふざけてんのか?」

( ´_ゝ`)「怒りで体暖まった?」

('A`)「ふざけてんのか」

( ´_ゝ`)「イントネーションが変わっただけで、言葉が何も変わってないぞ」

('A`)「いいやもう、寒い。一旦どっか入ろう」

( ´_ゝ`)「なら病院の食堂で食いながら話したらいいんじゃない?」

('A`;)「バカ! 病院でこんな話出来るか!」

( ´_ゝ`)「吉野家では出来る話なのか……」

('A`)「……家族連れがいたら出来ないかな」

( ´_ゝ`)「そういう配慮はあるのね」

('A`)「予想外みたいな言い方すんな」

吹雪で荒れる外で立ち話していても、何も始まらない。
取りあえず、俺らは近くのコンビニに入った。

519:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:09:46 ID:iH7GEoA20
('A`)「なんか暖かい飲み物買ってくわ」

( ´_ゝ`)「そうだなー、じゃあ俺はタクシーでも呼んでるわ」

('A`)「ああ…………………あぁ?」

( ´_ゝ`)「ん?」

('A`)「兄者、何で吉野家までタクシーで来なかったんだ」

( ´_ゝ`)「あ」


('A`)


( ´_ゝ`)






結果的に、俺達は無事吉野家へ辿り着いた。
タクシー台は無論、俺持ちである。

520:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:10:50 ID:iH7GEoA20


( ´_ゝ`)「へぇーここが吉野家」

('A`)「もしかして初?」

( ´_ゝ`)「うん、ただ想像してたよりも普通だな」

流石に、コピペ通りとまで想像してはいない。

店内は無音じゃなく、ちゃんとしたBGMが流れている。
客同士が飯を食いながら、互いにガンつけあってもいない。
コップが割れたり、皿が飛んだり、血飛沫が弾けたりもしない。

普通の定食屋のような雰囲気だ。


('A`)「どんな場所だと思ってたんだよ……」

( ´_ゝ`)「ほら、あの吉野家コピペ」

('A`)「ないから、少なくともあれは数年前のだから」

( ´_ゝ`)「それもそうだな」

規制が激しくなった今は、店内でそんな事は出来ないだろう。

521:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:11:39 ID:iH7GEoA20
全国チェーンどころか海を越えて国外に行ってるようだし、
ソマリアやヨハネスブルグでもない限りそうはならないか。

違うな。

ソマリアやヨハネスの場合は、出される肉が人肉なのか。
あそこだと、本当にありそうで面白い。


('A`)「何さっきから難しい顔したり笑ったりしてるんだよ」

( ´_ゝ`)「んー? あー、ただの思い出し笑いだ。気にすんな」

('A`)「早く店員来る前にメニュー決めとけ」

( ´_ゝ`)「鬱田はもう決めたのか?」

('A`)「もう決めた。この定食のセット」

( ´_ゝ`)「毎回早いよなーメニュー決め」

('A`)「そりゃな。俺、店員呼び出しボタンが無い店だと、
    大声出したり、手を振り上げて店員呼んだり、
    そういうの恥ずかしくてちょっと出来ないからな」

( ´_ゝ`)「恥ずかしいって何がだ、それくらいやれよ」

522:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:12:31 ID:iH7GEoA20
('A`)「そんな訳で早く決めるんだ兄者」

( ´_ゝ`)「鬱田が呼ばなくても、俺が呼ぶのに……いいや。
      この豚丼と、うな重と、サンマ定食ってのにする」

('A`)「食えんの?」

( ´_ゝ`)「朝飯抜いてきたから」

('A`)「よく食うなあ」

( ´_ゝ`)「それ内藤に言え」

('A`;)「うん、なんか、いつもは内藤の量が凄過ぎて、
    兄者もそれなりに食えるって印象がなかったわ」

( ´_ゝ`)「3kgの肉を余裕で食えるフードファイターと比べないでくれ」

メニューは結局、鬱田がどもりながら全て頼んだ。

異性相手だけじゃなく、同性でもアウトなのか。
鬱田のセーフの基準は一体何で判定されているんだろう。

523:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:13:16 ID:iH7GEoA20
食事が運ばれて来るまで、内藤が地域から全国的なフードファイターになり、
TV出演して、インタビューされた場合の未来予想図を話しながら過ごす。
結果は、マスゴミ嫌いの内藤がカメラを叩き割ると言う論が出て終わった。


( ´_ゝ`)「わーい、俺のが先に来た」

('A`)「なんか寄越せ」

( ´_ゝ`)「はい」

('A`)「漬物……」

( ´_ゝ`)「この場合、何もやらないのといらない物をあげるの、
      どっちが正しいの? 何が欲しいか言ってくれよ」

('A`)「出来ればそのうなぎが欲しい」

( ´_ゝ`)「嫌だ」

('A`)「うなぎの皮」

( ´_ゝ`)「いいよ」

ペリペリと小気味良く肉から剥がれず、ぐちょぐちょと剥がす。

その皮を、漬物を入れた皿に置いて鬱田のほうへ押したら、
鬱田は何故か眉間に少し皺を入れて、微妙な表情をしていた。

524:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:13:58 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「あんまり長いのは勘弁」

('A`)「店に着いたところ、くらいからでいい?」

( ´_ゝ`)「いいよー」

机の下で、こっそり携帯のボイス録音機能をONにする。


('A`)「店に着いて、長岡、俺を置いてさっさと先に頼んでさ」

( ´_ゝ`)「3Pしたかったのか」

('A`;)「違うよ!」

( ´_ゝ`)「なーんだ」

('A`)「その後、顔は普通だけど、空気が怖い人が来て、
   『こちらは初めてですか?』って聞かれたんだ」

( ´_ゝ`)「キョドってりゃ初めてだと思うだろうなあ」

('A`;)「うん、それで時間決めとか嬢の指名とか時間とか、
    色々聞かれた時に余計に応えて金取られたわ……」

( ´_ゝ`)「余計にって?」

525:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:15:06 ID:iH7GEoA20
('A`)「テンパって『はい、それでお願いします』しか言えなくなってて、
   気がついた時にはアナルファックOKの最長コースになってた」

( ´_ゝ`)「アホだろ」

('A`;)「否定しないよ……」

( ´_ゝ`)「嬢くらい指定したよな?」

('A`;)「指が震えてたし、写真もよく見れてなかったから、
    誰を指名したのか覚えてない。名前も覚えてない」

( ´_ゝ`)「鬱田……」

バカだなあと思いつつ、少し哀れにも思う。
長引くようなら、このまま夕食も奢ろうか。


('A`)「でも顔は可愛かったよ」

( ´_ゝ`)「よかったじゃん」

('A`)「案内された部屋も意外と綺麗だった。
   カラオケの部屋にベッド置いた感じ」

( ´_ゝ`)「へええ」

526:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:16:02 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「って事は、イリーガルでもなんでもなくて、
      結構いい店紹介したんじゃない? 長岡」

('A`)「俺もそう思う。それで嬢とのセックルなんだけど

( ´_ゝ`)「ちょっと待った」

('A`)「ん?」

(;´_ゝ`)「初体験の内容まで話すのか?」

('A`)「俺の話を聞いてくれるんじゃなかったのか」

(;´_ゝ`)「聞くとは言ったけどさあ……」

これを聞いたら、俺は8人の男の初体験を知ってる事になる。

なんで話すんだ? 恥がないのか? これはセーフなのか?
長岡や諸本、赤石とか糞野郎がアホだった訳じゃないのか?
もしかして、男は自分の初体験を友人に告白するのが普通なのか?
一般ステータスとして、俺も誰かに話すべきなんだろうか?

それこそ、便所の落書きにでもぶち撒けたらいいんじゃなかろうか。


( ´_ゝ`)「まあ、聞くと言ったからには聞くよ……」

527:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:16:52 ID:iH7GEoA20
('A`)「尻OKでやっちゃったから、嬢は尻突き出してきてさ」

( ´_ゝ`)「うん」

('A`)「『ローションはそこの戸棚にありますよ』って言われて、
   今更前のほうでお願いしますなんて言える勇気なくて、
   そのまま指にローション垂らして尻に入れたんだ」

( ´_ゝ`)「尻OKなだけで普通のもOKなんだから、
      マn、前で初体験しときゃよかったのに」

('A`)「そこら辺は後悔してもし足りない」

( ´_ゝ`)「それで?」

('A`;)「尻穴の力加減なんて全然分かんないから、
    切れ痔とかにさせたらいくら取られるか怖くて、
    とにかく力入れないようにゆっくりやってた」

( ´_ゝ`)「ほう」

('A`)「事務的な挨拶だろうけど、『上手ですね』
    って言われた時は嬉しかったわ……」

( ´_ゝ`)「ああいう店って、嬢を乱暴に扱う手合いも多いって聞いたぜ。
      ゆっくりやってたから優しくされてると思ったんじゃない?」

('A`)「そうなのか、ああ、成程……」

528:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:18:38 ID:iH7GEoA20
('A`)「でも、その時点でもう時間が半分しかなくて」

( ´_ゝ`)「どんだけ時間かけてんだ」

('A`)「1時間半で受付したから、45分くらい」

( ´_ゝ`)「わお」

('A`)「それで嬢に『舐めてみますか』って言われて舐めたり」

( ´_ゝ`)「よくその後に腹ぶっ壊さなかったな」

('A`)「ローションと石鹸の匂いしかしなかったよ」

( ´_ゝ`)「お味は?」

('A`)「ちょっと苦かった」

( ´_ゝ`)「腸液でも垂れてきてたんじゃないの」

('A`)「やめて」

529:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:19:25 ID:iH7GEoA20
('A`)「残り時間30分くらいのとこで、嬢にようやく
   『入れてもいいんですよ』って言われてさ」

( ´_ゝ`)「そういうのって嬢が言うんじゃなく、
      こっちから言うもんじゃねぇの?」

('A`)「俺もそう思ったけど、タイミングが分かんなくて……」

( ´_ゝ`)「初だしなあ。しかも尻か、濃いなお前の初体験」

('A`)「だよな。それで尻に俺の入れようとしたんだけど、
   ローションですげー滑って、時間が押してるのもあって、
   角度も合わなくて焦りまくって尻に全然入らなくって」

(;´_ゝ`)「落ち着けよ」

('A`)「嬢にも同じようなこと言われた」

( ´_ゝ`)「あー」

('A`)「ようやく入ったってなっても、ヤってる途中で抜けたりで、
    結局一回も出さないまま時間になって、全部終わった」

( ´_ゝ`)「散々だな」

('A`)「嫌ではなかったよ。すごく惜しいと思ってるだけさ」

530:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:20:07 ID:iH7GEoA20
('A`)「そして2万5千払って店を出ました。終わり」

( ´_ゝ`)「うん、頑張った」

('A`)「兄者はこんな話聞きながらよく飯食えるな」

( ´_ゝ`)「俺が飯を食えなくなるのはゲロ系の話題だよ。
      例え、ギャグでもゲロだけはマジで駄目だ」

('A`)「そんなにゲロゲロ言ってる癖に、箸は進んでるようですが」

( ´_ゝ`)「自分で言う分にはいい。でも想像させないでね」

('A`)「俺が今ここで吐いたらどうなる?」

( ´_ゝ`)「その吐瀉物にお前の顔面押し付けてやんよ」

('A`)「すみませんでした」

531:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:21:05 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「話も聞き終わったから、鬱田が食い終わったら店出るか」

('A`)「カーチャンに牛丼持ち帰りたい」

( ´_ゝ`)「いいよ、俺の奢りだから好きなだけ頼め」

('A`)「なら牛丼10個」

( ´_ゝ`)「持ち運べるならな」

('A`)「すみません」

(;´_ゝ`)「別に怒ってる訳じゃあ」

('A`;)「ごめん、こっちも本気で謝った訳じゃ」

(;´_ゝ`)「……」

('A`;)「……」


( ´_ゝ`)

('A`)

拍手

PR
この記事にコメントする
NAME : 
TITLE : 
COLOR : 
MAIL ADDRESS : 
URL : 
COMMENT : 
PASSWORD : 
<< 27後半 HOME >>
忍者ブログ | [PR]
shinobi.jp