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SAN値低めで御送りします
ブーン系空気作者の雑記&自作品まとめ かなりの頻度でクトゥルフも
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630:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:36:03 ID:4UKkUBR20
30.溜め込んだクソとゲロに満ちた愛好


病院を出て5秒でキマってる男と遭遇した。

いつから病院前にジャンキーが徘徊する世紀末になったんだ。
俺が知らないだけで世の中はそんなに荒れていたのか?

実は新しく付いた設定で、世界は実は電子のプログラムで、
世界が5分前に産まれたとか言う仮説は本当だったのか?


( ;゚∀゚ )「ぼわぅああ~揺れる~地震だ~酔う~」

( ´_ゝ`)「足元は震度零の不動のコンクリだよ。
      揺れてんのはお前の脳みそだけだよ」

( ;゚∀゚ )「お゙ぉ゙ぉ……兄者……が、2人、だと……?
       どっどっちが弟者なんだか見分けつかねぇ」

( ´_ゝ`)「どっちも俺だよ、今度は何やったんだテメェ」

( ;゚∀゚ )「俺、は、オヴェエ……保険証の、再発行?
       だったっけか、それとかやってもらおうと」

( ´_ゝ`)「再発行は役所だっつの。てか違うって、何の薬だ」

631:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:37:25 ID:4UKkUBR20
( ;゚∀゚ )「薬? クスリ……ウォェッと、確か、konozamaじゃなくて、
       大丈夫なほうの、外国の、海外の輸入品だった気が」

( ´_ゝ`)「セウトじゃねぇよアウトだよ。灰じゃなくて黒だっつの。
      例え大丈夫だったとしても、その説明がファウルだよ」

( ;゚∀゚ )「俺のボールを受け止めてくれ……」

( ´_ゝ`)「うん会話不可能か。医者に診てもらおう。
      それが嫌だったら、おうちに帰ろう、な?」

( ;゚∀゚ )「うごごごご」

飯を買いに外に出たつもりが、こんなものを拾うとは。
つくづくツいてない。寒さと共に運も冷え込んだか。

看護師を呼ぶべきかどうか考えたが、その後が面倒臭い。
下手に動いて、こいつに敵対行動と捉えられても鬱陶しい。


( ;゚∀゚ )「吐きそう……揺らさないで……」

( ´_ゝ`)「どうしろってんだ」

( ;゚∀゚ )「おうちに帰ろう、う、う、ウゲェ」

( ´_ゝ`)「あそこにタクシーあるから、それ乗って帰っとけ」

632:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:39:35 ID:4UKkUBR20
( ;゚∀゚ )「うー、俺は、お前に話があったんだよ、確か。
       なんか大事っぽいような気がしてるもの……」

( ´_ゝ`)「お前、日本語があやふやになってんぞ。
      一緒に家に行ってやるから立ち上がれ」

( ;゚∀゚ )「そういや俺の部屋変わったんだ」

( ´_ゝ`)「またぁ? 一ヵ月も経ってねぇじゃん」

( ;゚∀゚ )「なんかゼンサイが来てバレたとかで、
       こっから引っ越せって連れてかれて」

( ´_ゝ`)「ぜん……ああ、前妻か。そっちもメンドイなあ」

( ;゚∀゚ )「だから今、X@*のとこに」

( ´_ゝ`)「地名言われても判らんわ。取りあえず、
      荷物取って来るからちょっと待ってろ」

( ;゚∀゚ )「揺れる前に戻って来てくれ……」

( ´_ゝ`)「携帯の緊急地震速報でも眺めてろ」

頭を冷やさせる為に、外に薬中を置いて病院に戻る。
幻覚でも見て雪でも食って体の中から冷ませばいい。

633:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:40:21 ID:4UKkUBR20
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


( ´_ゝ`)「うげぇ……」

毎度の扉を開ければ、俺の渡したエロ本で抜いてるゴミがいた。
まだ日は高い。病室の窓から入る光は雪で反射して眩しい。


(´<_` )「あれ? もう買って来たのか?」

( ´_ゝ`)「フッツーにオナってんじゃねぇよ昼だぞボケ死ね。
      この短時間で自慰しようって何で思うんだよ猿か」

(´<_` )「流れるように罵倒すんな。こまけぇこたぁいいんだよ」

( ´_ゝ`)「俺これからアヒャの家に行って来るわ」

(´<_` )「戻って来んのか?」

( ´_ゝ`)「知らね」

(´<_` )「母さんにここに泊まれって言われたんだろ。道草売るなよ」

( ´_ゝ`)「道草は食うもんだろ、売れねぇよそんなゴミ」

(´<_`; )「あ、油と間違えたんだよ!」

634:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:41:34 ID:4UKkUBR20
そうだ。

今度来た時に寝てたら、口の中に油を流し込んでやろう。
忘れない内に、携帯のメモ帳に思い付いた事を記しておく。

こいつの面倒を見ろと我が母から強制されてたワケじゃないし、
アヒャの面倒を見る為なんだから外泊しても許されるだろう。
何かある度に「友達は大事にしなさい」って言われてるしな。

緊縛特集のページを開いたまま喚くクズを無視して、鞄を持つ。


( ´_ゝ`)「じゃあな!」

自販機で余らせていた500mLのペットボトルを顔面に投げつける。
後は知らん。飲むなり捨てるなり手を洗うなり、好きにするがいい。

しかし、その様子を通りすがりの看護師さんに見られた。
タイミング悪ぃ。仲悪いと見られたかな? まあいいや。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

635:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:42:29 ID:4UKkUBR20
( ´_ゝ`)「おいアヒャ戻ったぞ。アイスマンになってないか?」

(  ゚∀゚ )「俺そんな太古の昔に生まれてないぜ」

( ´_ゝ`)「よし、正気に戻ったか」

( ;゚∀゚ )「自分で言うのもなんだが、少し怪しいわ」

( ´_ゝ`)「自覚できるだけマシじゃない? 受け答えできるんだったら、
      このまま病院行って医者にちょっと診て貰えよ。金ある?」

( ;゚∀゚ )「金あるけど診られたらヤバそうだからいいわ……」

って事は、思いっ切り違法な何かをやってるって事か。
つーか薬が抜けきってない状態だから、何も信用できねぇ。

このままだと俺も何かの幇助罪に入りそうだ。どうすっかなあ。
行けるとこまで逝くべきか、こいつをどうにかするべきか。

瞬時に、『殺す』なんて物騒な考えが浮かんだ頭を殴る。
いい加減にしろ俺。どうも物々しい方向に行ってるぞ。


( ´_ゝ`)「ん?」

そういや最近、思考回路は歯止めが無かった気がする。
今、ほぼ勝手に動いた右腕は良心が戻った証か?
だとしたら自制はそっちに任せて、これでよしとしよう。

636:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:43:18 ID:4UKkUBR20
( ´_ゝ`)「タクシーあそこにあるから行こうぜ。
      住所分からんから案内は頼んだ」

(  ゚∀゚ )「お、おう、ぅ?」

( ´_ゝ`)「どうした」

( ;゚∀゚ )「あ、歩けねぇ」

( ´_ゝ`)「は?」

( ;゚∀゚ )「足が言うこと聞かねえぇ……」

(;´_ゝ`)「ええ?」

( ;゚∀゚ )「おぶってくれ」

( ´_ゝ`)「いや……そこは普通、肩貸してくれじゃねぇの」

よく見ると、足がアル中患者の手羽先のように震えていた。
もう完璧にデンジャラスでブラック過ぎるドラッグ決定だろう。

いっそ家でも病院でもなく、警察に突き出した方がいいんじゃねぇか?

637:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:45:10 ID:4UKkUBR20
( ´_ゝ`)「お前ヤベェって、病院か警察行こうぜ」

( ;゚∀゚ )「あー、警察ならもう行った」

( ´_ゝ`)「え、前科持ち?」

( ;゚∀゚ )「違ーよ。睡眠薬飲んで深夜に外をうろついてたら、
       いつの間にか警官に取り囲まれて交番にいたんだ」

( ´_ゝ`)「なんで寝る準備してから外に出るんだバカ野郎」

( ;゚∀゚ )「違うって! 今度の眠剤、相性良過ぎなんだよ!
       寝るまでに何かしら普通に行動しちまって、
       その間の記憶も何でか吹っ飛ばさるんだよ!」

( ´_ゝ`)「それは空が落ちる予定がない限り相性良いとは言わない」

(  ゚∀゚ )「でもすごい寝れるんだ」

( ´_ゝ`)「その間、変な行動しても?」

(  ゚∀゚ )「デメリットばかりじゃないぜ。俺、昨日DQ買ったんだけどさ、
      中盤の街でセーブしたハズなのに、ラスボス手前まで来てて、
      しかもレベルが限界まで上がって伝説の武器まで揃えてた」

( ´_ゝ`)「それもメリットじゃねぇよ。ストーリーすっ飛ばしてどうすんだ」

638:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:46:25 ID:4UKkUBR20
( ´_ゝ`)「つーか俺が聞きたいのはそれじゃない。
      サツに捕まってそれからどうしたんだよ」

(  ゚∀゚ )「ヤバい薬飲んでると思われたみたいでさ。家まで来られて、
      その時に服用してた薬全部『検査します』って持ってかれた」

( ´_ゝ`)「結果は?」

(  ゚∀゚ )「モーマンタイ。無事に戻って来たぜ」

大問題だよ。検査って何を調べたんだ。
ファッキンポリ公。仕事しろや糞狗共が。


( ´_ゝ`)「で、その薬飲んでこうなってんの?」

(  ゚∀゚ )「ああ」

( ´_ゝ`)「記憶無ぇ間に犯罪起こしたらどうしようとか、
      少しはそういう心配でもしてみろよアホか」

( ;゚∀゚ )「や、だってこれスゲー気持ちよく寝れんだもん!」

( ´_ゝ`)「寝れる事が最優先かよ……まあいいや。
      足の震えも止まったろ。タクシー乗ろうぜ」

639:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:49:37 ID:4UKkUBR20
(  ゚∀゚ )「おんぶしてくれ」

( ´_ゝ`)「だが断る」

( ;゚∀゚ )「割と切実に肩を貸してほしい」

( ´_ゝ`)「それなら」

(  ゚∀゚ )「サンキュー!」

などとほざいておきながら、ほぼ全体重を預けて来るアヒャ。
肩を貸すって言うより、俺が右腕を持って引きずってるだけだ。

その辺の灰茶色の雪に放り投げてやろうか。


( ´_ゝ`)「そういや金ってどれくらいある?」

(  ゚∀゚ )「俺の尻ポケットに突っ込んでるから確認してくれ」

無造作に手を突っ込んだら、気持ち悪い声を出しやがったので、
ポケットの中から尻たぶを抓る。ついでに、札っぽいのを掴み取る。

どう見ても鼻かんだティッシュにしか見えない札と一緒に、
ポケットから元気な白いパケが転がり落ちて雪と同化した。

俺は何も見なかった、と目を逸らす。

640:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:50:47 ID:4UKkUBR20
( ;゚∀゚ )「おい痛かったぞ!」

( ´_ゝ`)「札くらい財布に入れろよ。なんで丸出しなんだ」

(  ゚∀゚ )「シカトか」

数枚の五千円札が、俺の手の中でグッシャグシャになっている。
会計で出されたら、ちょっと頬が引くつくレベルで皺々だ。


( ´_ゝ`)「タクシー案内しろよ。俺この札戻してるから」

(  ゚∀゚ )「分かった」

流石に、薬がどうのこうのなんて話はタクシーの中ではしない。
見知らぬ人間が聞いたら誤解されそう、いや、必ず誤解される。

アヒャも具合が悪いのか、眠いのか、全部なのか、口数が少ない。
今回のタクシーの運ちゃんも、必要以上に話掛けて来ない人だ。

俺は無言で札を直し続けた。
しっかし、何で五千円札ばっかりなんだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

641:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 04:55:54 ID:4UKkUBR20( ´_ゝ`)「おー結構高いマンションだな」

(  ゚∀゚ )「けど上じゃなくて下のほうだから安目だぜ?
      エレベーターから一番遠い角部屋だしな」

( ´_ゝ`)「いっつも角部屋取ってるよな」

(  ゚∀゚ )「俺、たまに煩いからな。俺も寝る時に煩いの苦手だし、
      角が調度いいわ。流石に最上階なんて取れねーしさ」

( ´_ゝ`)「確かに」

(  ゚∀゚ )「同意するなよ」

( ´_ゝ`)「お前、寝ると時々口の中で工事が始まるじゃねぇか。
      それを煩いと思えなけりゃ俺はただの聾唖だっつの」

(  ゚∀゚ )「……今度、どんだけ煩いのか録音してくれ」

(;´_ゝ`)「自分でやれよ。そんくらい」

どれくらい酷い音害なのか分かり易く例えると、隣で寝ていたら、
唐突に至近距離で道路の土木工事が始まると言えばいいだろうか。

正直言って、先に寝たとしても煩過ぎて起こされるレベル。
そんな音を発しながら健やかな寝顔を見せられた日には、
怒りが更なる進化を遂げて、殺意の波動に目覚めれる。

651:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:32:29 ID:5yKstxHY0
運ちゃんに形を整えた五千円札を渡して、マンション前に降り立つ。
全体的に汚れが少なく、駐車場も整備されている立派なマンションだ。


( ´_ゝ`)「で、何階?」

(  ゚∀゚ )b「2階のあそこ」

( ´_ゝ`)「本当に低いな」

(  ゚∀゚ )「ギリギリ窓から出れる位置だからいいんだよ」

( ´_ゝ`)「マンションでんな事すんなよ」

(  ゚∀゚ )「共同玄関がロック式だからって、油断はできねーよ?
      他の住人と一緒にさり気なく侵入して来る事もあるしな」

( ´_ゝ`)「どこのスネークだよ」

(  ゚∀゚ )「寒いからさっさと行こうぜ」

( ´_ゝ`)「ああ」

( ;゚∀゚ )「……それと、先に謝っておく。マジごめん」

( ´_ゝ`)「へ?」

652:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:33:20 ID:5yKstxHY0
清潔な印象の建物からは予想できない景色が目の前に広がる。

何だこのゴミ屋敷。何だこの異臭。何だこの淀んだ空気。
何故このどこでもドアはゴミ処理場に繋がってるんだ。


( ´_ゝ`)「嘘だと言えよバーニィ」

(  ゚∀゚ )「悲しいけどこれ現実なのよね」

( ´_ゝ`)「は?」

( ;゚∀゚ )「すみませんホントごめんなさい! 掃除します!」

( ´_ゝ`)「そうじゃなくて、お前、ここでずっと過ごしてたのか?」

(  ゚∀゚ )「いや、その辺を点々と」

( ´_ゝ`)「それで一ヵ月も経たずにこれだけ滅茶苦茶にできるとか、
      お前の散らかしっぷりは最早才能の域だよ。どっか行け」

(  ゚∀゚ )「シンガポールはやめてくれ」

( ´_ゝ`)「あそこならお前は死刑かもな」

確かに道路は綺麗だった。マーライオンはショボかった。
そして中華街は汚れていた。綺麗なのは広い表側だけだ。

653:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:34:16 ID:5yKstxHY0
それに人種が混じってるから言語も3種類あって分かり難い。


目的地までの道のりが分からず、現地で迷子になった時。

『徒歩強制されてるけど迷子になったんだからタクシーを使おうぜ』
とグループ内で意見がまとまり、楽をしようとしてタクシーに乗った時。

走っていたタクシーを手を振り上げて止め、皆で意気揚々と乗り込み、
運転手に話かけたら中国語で返された時のミスった感は忘れられない。

あのチャイニーズドライバーめ、英語が分からないフリしくさって、
目的地の周りを延々走り続けて料金値上げしやがって、許さん。

つーか最後の方、アヒャなんか中国語でジュミンア連呼してたぞ。
それを見てニヤニヤ笑ってたし、誤用のほうの確信犯だろアイツ。

もう二度と中国人は信用しない。


(  ゚∀゚ )「兄者、そろそろ降ろしても大丈夫だ」

( ´_ゝ`)「ん、ああ」

654:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:35:01 ID:5yKstxHY0
( ;゚∀゚ )「わりぃ、兄者にやっと会えたのと部屋に帰ったので、
       どっと疲れが来たわ……ちょっと寝ていいか?」

( ´_ゝ`)「何処で寝るんだよ。ベッド見当たらんわ」

(  ゚∀゚ )「一番デカい窓の下にあるぜ」

( ´_ゝ`)「ゴミステーションが家の中にあるようにしか見えない」

(  ゚∀゚ )「外じゃなく中にあるのが斬新だな、流石は匠の赤石」

( ´_ゝ`)「おめーの部屋だぞ、片付けろや」

(  ゚∀゚ )「俺の部屋だけど大切にできねぇわ……」

治外法権のゴミ捨て場の管理人をゴミ袋の上に捨て置き、
よくわからない何かが散乱する床を踏み荒らして奥に進む。


( ´_ゝ`)「うお」

辿り着いた風呂場では、浴槽の中の水が丸ごと凍っていた。

ここは氷点下か。中なのに外気温と同じか。
このままだと、水道管も凍結してる可能性があるぞ。

655:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:35:44 ID:5yKstxHY0
試しに軽く蛇口を捻る。水は出ない。

半分くらいまで捻る。まだ出ない。

蛇口を全開にする。雀の涙が出て来た。


( ´_ゝ`)「ここに人生の袋小路が顕現したな」

(  ゚∀゚ )「何、哲学的なこと言ってんだ」

( ´_ゝ`)「水道が凍結してるぞ」

( ;゚∀゚ )「マジで!?」

( ´_ゝ`)「完全にじゃねーけどな」

(  ゚∀゚ )「やっべー、マジべーわ、っべーわ」

( ´_ゝ`)「ミサワってる場合じゃねぇぞ。本気で洒落になんねぇ」

(  ゚∀゚ )「実を言うと台所のほうも凍ってた」

( ´_ゝ`)「詰んでんじゃんアホか」

(  ゚∀゚ )「こうなったら氷を食べて生きていこう」

656:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:36:32 ID:5yKstxHY0
( ´_ゝ`)「苦し紛れに風呂のボイラーと暖房焚けよ。
      もしかしたら氷溶けるかもしんないしさ」

(  ゚∀゚ )「溶けなかったらどうする?」

( ´_ゝ`)「そういう時こそ、ここら辺のホテルでも満喫でも泊まれよ」

(  ゚∀゚ )「ホテル、で思い出した」

( ´_ゝ`)「あ? 忘れ物?」

( ;゚∀゚ )「そんなんじゃない。俺でもこんな思い出し方、
       スッゲー嫌なんだけど、聞いてくれるか?」

( ´_ゝ`)「手ぇ動かしながら口動かせ。俺も片付けるから」

(  ゚∀゚ )「あ、ああ、あのさ、兄者、ちょっと付き合ってくれるか?」

( ´_ゝ`)「今やってんじゃねーか。もっと馬車馬の如く働けってか」

( ;゚∀゚ )「違う!そっちじゃない! 恋人的な意味で!」
  _, 、_
( ´_ゝ`)「……………はい?」

657:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:37:26 ID:5yKstxHY0
( ;゚∀゚ )「あークッソ言っちまった! でも冗談じゃねぇからな!
       俺も自分をおかしいとは思ってんだよ! マジで!」

( ´_ゝ`)「え? ああ、そうだな」

( #゚∀゚ )「兄者が俺を脱糞させて下の世話してくれた日がさあ!
       なんかずっと頭から離れねぇんだよ! ずっとなんだ!
       最初は恥過ぎてトラウマにでもなってんのかと思ったよ」

( ´_ゝ`)「それが黒歴史にならない奴のほうがおかしいわ」

(  ゚∀゚ )「また部屋変えられてさ。イライラしてオナってる時に、
      ふっとその日の事、うっかり思い出しちまってよお。
      不本意だけどお前でフィニッシュしちまったんだ……」

( ´_ゝ`)「言葉も出ねぇよ」

(  ゚∀゚ )「ぶっちゃけここ最近の俺さ、考え過ぎておかしいんだよ。
      ホモなったのかと思って色々と見てみたりしたんだけど、
      やっぱ男は駄目だった。キモい。生理的に無理だった」

( ´_ゝ`)「その台詞、俺が喋るとは思わねぇのかよ」

( ;゚∀゚ )「待ってくれ、話を全部聞いてから答えてくれ」

(;´_ゝ`)「もう答えは決まってるけどな……」

658:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:38:26 ID:5yKstxHY0
(  ゚∀゚ )「女が駄目になったとかじゃないんだ。エロ本見れば、
      普通に抜けるっちゃ抜ける。チンコも勃つ。興奮する」

( ´_ゝ`)「バイになったって事か?」

( ;゚∀゚ )「違うって、男はお前以外無理だっつの。ノーマルだろ?
       ただ何かずっと気になるんだ。頭ン中にずっとあんだよ。
       自分でも何で気になってるのかハッキリとわからねぇんだ」

( ´_ゝ`)「それを言うなら俺だって何で真冬の糞寒い日に、
      こんな腐海で告白されてんのか意味わかんねぇよ」

(  ゚∀゚ )「俺なり考えてった結果がさあ。多分なんだけどさあ?
      兄者が俺の糞を躊躇いもなく掃除しちまったからだと思う」

( ´_ゝ`)「相手がほぼ身動きできない状況にいたら、
      どうにかするのが普通だろうが。友達なら」

(  ゚∀゚ )「せめてちょっとくらいは嫌な顔してて欲しかったわ。
      あんな無表情で黙々と片付けられたら何か思うって」

( ´_ゝ`)「臭いが嫌過ぎて思わず無表情になったと考えろよ」

(  ゚∀゚ )「ああ、そう考えるべきか。いや、そう考えても……」

659:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:40:22 ID:5yKstxHY0
アヒャはゴミ山の上で悶えている。
まるで死に際のホームレスのようだ。


( ;゚∀゚ )「ああああやっぱそう考えても駄目だっ! クソがッ!!
       一回試しに付き合ってくれ。そして俺を幻滅させてくれ!」

( ´_ゝ`)「さっさと勝手に絶望してくれ」

(  ゚∀゚ )「兄者と会うまではスゲー心臓がドキバクしてたんだけどさ、
      いざこうして出会ったら、結構なんともねーんだもんよお。
      このまま付き合えば、頭の中のアホな夢も覚めると思ってる」

( ´_ゝ`)「現実は少女漫画じゃないからな」

(  ゚∀゚ )「俺さ、母親含めて酷い女にしか会った事ないからさ。
      男に夢見て、とち狂った変な方向に行ってんのかも」

( ´_ゝ`)「自分でそうやって冷静に考えれるのに、何故俺に暴露した?」

( ;゚∀゚ )「だから今の俺は兄者に夢見過ぎてるんだって!」

( ´_ゝ`)「だからその夢って何だよ」

(  ゚∀゚ )「なんつーか、俺の中で兄者が都合がいい奴になりかけてんだ。
      バカやっても軽く流してくれて、アホやってもケツ拭いてくれて、
      何やっても許してくれるんじゃねーかって言う、都合のいい夢」

660:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:42:19 ID:5yKstxHY0
(  ゚∀゚ )「このままだと近い内に、勝手に兄者に期待して、失望して、
       お前にバカみたいに八つ当たりすっかもしれねーんだよ」

( ´_ゝ`)「そりゃ迷惑な話だ」

( ;゚∀゚ )「んだよもうさっきから他人事みたいに!」

( ´_ゝ`)「他人事って言われてもなあ……」

現実感がない。危機も感じない。何が大変なのか判らない。
衝撃が強くて、一周回って感情が冷え込んでしまっている。

今日の出来事が全部「実はドッキリでした~」の説もあるにはあるが、
アヒャの頭が海外のクスリでヤられている今、狂ってる可能性が高い。

それに睡眠薬飲んでから寝るまで少し記憶が吹っ飛ぶっつってたし、
こんな暴露もあの日の出来事が捩じ曲がって記憶されてると思えば、
「ああこいつ可哀想に……」としか思わない。内心、楽しいけどな。

睡眠薬を飲むと、神経や思考などと言った色々なものが抑えられて、
ベッドでジッタンバッタンするくらいの黒歴史、吐気がするトラウマ、
普段は思ってもいないような事をくっちゃべってしまう人種もいる。

正気に戻った時との落差を想像すると笑えるな。
ボイスレコーダーで録音しときゃよかった。

もし、これがアヒャの本音なら悪夢だな。
程々に付き合ったら逃げよう。
内藤に話して新たなネタにしてもいい。

661:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:43:55 ID:5yKstxHY0
今からでも発言を引き出せば遅くはない、と肩に担いだままの鞄を探る。
そこにはなんと録音スイッチが入りっ放しのボイスレコーダーがあった。


( ´_ゝ`)「おお」

(  ゚∀゚ )「何か言ったか?」

( ´_ゝ`)「嫌だな、別にアヒャ死ねとか言ってないぜ」

( ;゚∀゚ )「俺もそうは聞こえなかったぜ!」

音を取り易いように、鞄から上着のポケットの中に入れる。
手はよくわからないネトネトで汚れてるが気にしない。
後で風呂でも借りよう。今は凍ってるけど。


( ´_ゝ`)「おい脱衣所は大分片付いたぞ」

(  ゚∀゚ )「あ、うん。俺の一大決心みたいな奴、聞いてた?」

( ´_ゝ`)「うん」

(  ゚∀゚ )「返答は如何に!?」

( ´_ゝ`)「無理」

671:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:39:52 ID:ZMmunEvY0
( ;゚∀゚ )「畜生!」

( ´_ゝ`)「普通はそうなるって」

(  ゚∀゚ )「お前、女に言い寄られた時に『じゃあ試しに一週間』って、
      まず一週間だけ遊んで当たり障りないように別れてただろ。
      何か変な行動起こして『ついて行けない』って言わせてさ!
      俺ともそうしろよ! まず一週間でいいから! 本当に頼む!」

( ´_ゝ`)「大体の女が、俺の地雷を土足で踏み抜いていってるだけだよ。
      アヒャは俺と一緒のマフラー巻いて、一週間裸相撲したいのか?」

( ;゚∀゚ )「そうじゃない。もっと真面目に!」

( ´_ゝ`)「お前、それ睡眠薬の副作用で発狂してるだけだってば。
      オナ禁して色事自粛してる時の欲情対象バーサクモード」

(  ゚∀゚ )「俺だって、何かの間違いだって思ってたっつってんだろ。
      ずっと考えてて、どうしようもねぇからぶち撒けたんだよ」

( ´_ゝ`)「それが間違いだっての、女にちゃんと欲情するんだろ?
      身近に穴あるから勘違いしてんだ。風俗行って抜けよ」

(  ゚∀゚ )「いや俺は」

( ´_ゝ`)「俺のは勘違いだっての。お前はホモでも何でもねぇよ。
      今このゴミ山崩してたら、グラビアの雪崩が起きたもん。
      しかも、ご丁寧にカピカピになった本の雪崩が。汚ぇ」

672:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:41:10 ID:ZMmunEvY0
(  ゚∀゚ )「俺はホモじゃない。その辺の掃除は俺がやるわ」

( ´_ゝ`)「なら俺、風呂場やっとく」

( ;゚∀゚ )「もう、なんか、すまんな」

( ´_ゝ`)「今度、何かしら奢れ」

(  ゚∀゚ )「奢るついでに、やっぱ付き合ってる気分にしてくんない?
      公衆の面前で腕組めとか、恋人繋ぎしろとか、キスとか、
      そういう事は望まないからさあ……こう、気分的に、何か」

( ´_ゝ`)「えーやだよ」

(  ゚∀゚ )「じゃ手っ取り早く、俺に嫌われるようなコトをしてくれ!」

( ´_ゝ`)「お前が彼女にされたくない行動って何だよ」

(  ゚∀゚ )「うーん『玄関開けて5秒でアハン』とかが嫌いだな。
      すぐ股開くようなケバい尻軽女はかなり好きじゃない」

( ´_ゝ`)「俺に化粧して股開けってか」

( ;゚∀゚ )「ちっが! そういう意味で言ったんじゃない!」

673:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:41:51 ID:ZMmunEvY0
( ´_ゝ`)「そういうのは無理だから」

(  ゚∀゚ )「ですよねー」

( ´_ゝ`)「ケツに何か突っ込むとかもう勘弁だ」

(  ゚∀゚ )「ま、誰だってそうだよな……」











(  ゚∀゚ )「……って、『もう』?」

( ´_ゝ`)「え?」

(  ゚∀゚ )「もう、何だ」

( ´_ゝ`)「あ」

674:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:42:34 ID:ZMmunEvY0
(;´_ゝ`)「座薬だよ座薬! 子供の頃、母さんに突っ込まれただろ?」

(  ゚∀゚ )「俺は母親に育ててもらってないな」

( ´_ゝ`)「そうだった」

(  ゚∀゚ )「『もう』って何だ。もしかして貫通済みなのか。非処女か。
      いつヤった。相手は誰だ。俺の知らない奴か知ってる奴k

( ´_ゝ`)「今までもこれからも未開通だよアホか死ね」

(  ゚∀゚ )「ごめん」

( ´_ゝ`)「じゃあそっち片付けてろよ」

(  ゚∀゚ )「ああ」



(  ゚∀゚ )



( ;゚∀゚ )「やっぱ気になる! 教えてくれ!」

( ´_ゝ`)「うっぜぇ」

675:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:44:28 ID:ZMmunEvY0
( ´_ゝ`)「お前知ってるだろ。俺、心因性の勃起不全だって」

(  ゚∀゚ )「一時的なインポなんだろ?」

( ´_ゝ`)「俺がわざと汚い言葉使うの避けたってのにテメェ」

( ;゚∀゚ )「すまん、それで?」

( ´_ゝ`)「医者から、薬以外にも色々治療法があるので、
      一回これをやってみて下さいって言われたんだ」

(  ゚∀゚ )「何を?」



( ´_ゝ`)「下らない事だけど2回言いました」

(  ゚∀゚ )

676:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:45:43 ID:ZMmunEvY0
(  ゚∀゚ )「今、目の前をぬるコぽっぷが通り過ぎて行った」

( ´_ゝ`)「幻覚だよ。前立腺の中の人だなんて者、存在しない。
      ちょっと通りますよ、が偶然通りすがっただけだろ」

(  ゚∀゚ )「あ、うん……」

( ´_ゝ`)「どこ見てるんだ」

(  ゚∀゚ )「よく分からないけど、ショックだった」

(;´_ゝ`)「言っておくけど自慰とも違うんだぞ? マッサージだって。
      変な方向に考えて解釈するのはやめてくれよ、マジで」

(  ゚∀゚ )「事前知識が前立腺マッサージ=アナニーの先入観しかない」

( ´_ゝ`)「言っておくけど、俺は無駄に顔の整ったイケメンの医者に、
      尻に手を突っ込まれるのが嫌だから『自分でやる』って
      選択肢を取ったんだからな? 俺の気持ちわかるだろ?」

(  ゚∀゚ )「ちょっと頭回す余裕ないわ」

( ´_ゝ`)「余裕なくても無理矢理捻じ込んでやる。
      ちょっと説明するから、そこに座れ」

(  ゚∀゚ )「はい」

拍手

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589:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:59:28 ID:Tq2KJ/Rc0
29.普通の人はそんな事やらないですから



( ´_ゝ`)「そんな訳で来た」

(´<_` )「どんな訳だ」

( ^ω^)「お邪魔してるお」

(´<_` )「この筋肉ヒーター追い出してくれ」

( ´_ゝ`)「最近よく来るな」

( ^ω^)「部屋の暖房が勿体無くて」

(´<_` )「その体で寒いわけねーだろ」

( ^ω^)「寒いお。凍えちゃうんだお~」

(´<_` )「キモい上に暑苦しいとかウザさの極みだわ」

( ^ω^)「じゃあ何か冬にちなんで怖い話でもするお」

(´<_` )「この調子なんだよ何とかしてくれ」

( ´_ゝ`)「退屈しなくていいでちゅねー弟者くーん」

590:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:01:56 ID:Tq2KJ/Rc0
( ^ω^)「キッモ」

(´<_` )「うわムカつく」

( ´_ゝ`)「何だこの扱い」

( ^ω^)「ほらさっさと弟者が怖い話の先鋒やるお」

(´<_` )「あるわけねーだろ死ねボケ」

( ^ω^)「あるだろうがお。特に弟者の経験だったら」

(´<_` )「ねーってばよ」

( ^ω^)「『幽霊よりも生身の人間のほうがとても怖い』
      って体験の一つ二つあるだろ、ほらコレとかお」

内藤に指を差された。
何だこの扱い。

591:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:03:48 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「……あ、昔のやつ、一個思い出した」

( ´_ゝ`)「へー、あるのか」

( ^ω^)「ほほう、話すお」

俺も少し気になるので、ボイレコのスイッチを入れ、
何故か鞄に投入されていた日記と筆記用具も用意する。

何でこれがここにあるんだろう。
用意ってこれも用意したのか我が母よ。

中身は読まれたのかな?
まさか入院って中身読んでヤバいと思われたから?

まあ、いい。今は考えるのをやめておこう。
先に、日記に我が母との会話を忘れない内に記録しておく。

592:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:05:31 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「向こうに行って、兄者とルームシェアしなくなって、
      新しいアパートに引っ越し終わった時だったな」

( ^ω^)「ふんふん」

(´<_` )「貧乏学生が入るみたいな、ボロ臭いとこだったんだよ。
      俺は3階の角部屋取ったんだけど、すげー湿気だった」

( ^ω^)「ふん」

(´<_` )「ボロくても、一応エレベーターはついてたんだよね。
      けど扉のガラスとかガッタガタ、ボタンは取れ欠け。
      でも階段は面倒くせーし、エレベーター使ってたワケ」

( ^ω^)「ふんむ」

(´<_` )「バイト終わって女もいない夜だったんだよねー。
      いつも通りそのボッロいエレベーター使ったらさ、
      ガラスの向こうにナイフ持った人がいたんだよ」

( ^ω^)「女かお?」

(´<_` )「いや男」

( ^ω^)「おおう」

593:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:06:53 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「そのヤバい奴とバッチリ目が会っちゃってさあ……
      上がり始めた時だったから、乗り込まれはしなかったけど」

( ^ω^)「けど?」

(´<_` )「エレベーター越しでも届くくらいデカい声で笑いながら、
      隣の非常階段を駆け上がってく姿がこっちから見えた」

( ;^ω^)「普通に怖ぇお」

(´<_` )「エレベーターのほうが早かったから、
      そいつより先に部屋には入れたんだ」

( ^ω^)「刺されればよかったのにお」

(´<_` )「んなこと言うなよ、まだ続きあんだぜ」

( ^ω^)「おっ?」

(´<_` )「ボロい扉だから、男に突破されないとも限らないしな。
      軽くタンスでバリケード作って、鍵かけて寝たんだよ」

( ^ω^)「それでも寝れるだけ神経すげぇお」

(´<_` )「バイトで疲れてたんだよ、トドメにこれだし」

599:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 21:56:50 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「夜中に男が襲ってきたかお?」

(´<_` )「そこは普通に寝過ごせた」

( ^ω^)「なーんだ、つまらんお」

(´<_` )「つまんなくねーよ。部屋さ入って鍵かけた瞬間、
      ノブがすげー勢いでガチャガチャ回ったんだよ。
      もし後一歩遅かったらって背中に寒気走ったわ」

( ^ω^)「ぉお」

(´<_` )「それでバリケード作って寝たんだよ」

( ^ω^)「覗き窓から男の姿くらい確認できないのかお?」

(´<_` )「外に直接繋がってるタイプのアパートじゃねーから。
      新聞受けも覗き窓もねーし、チェーンもねーし無理」

( ^ω^)「ふむ」

(´<_` )「そんで普通に日ぃ昇ってー」

600:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 21:58:39 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「バリケードどかして廊下に出ようとしたら、
      ドアの隙間にナイフの刃が挟まってんだよ」

( ^ω^)「わぁお」

(´<_` )「んで武器として一応傘持ってドア開けたら、
      廊下に腕組んで仁王立ちの男がいたんだ」

( ^ω^)「ちょ」

(´<_` )「一夜明けての朝だぜ? まだ夢かと思ったわ。
      ナイフの柄だけそいつの手の中にあったし」

( ^ω^)「無事だったのかお?」

(´<_` )「ああ」

( ^ω^)「それでどうなったんだお」

(´<_` )「普通に横通り過ごした」

( ^ω^)「何故にだお」

(´<_` )「いや兄者だったし」
  _, 、_
( ^ω^)「お?」

601:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:00:07 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)φ゙ カキカキ


( ^ω^)「どういう事だお……」

(´<_` )「いつも通りの非日常的な」

( ^ω^)「死者の怨念とか、生きてる人間が一番ホラーじゃなくて、
      弟を狙う悪漢を倒した兄の美しい兄弟愛的な美談かお?」

(´<_` )「んなワケないだろ。俺と兄者しか出演者いねーよ」

( ^ω^)「どういうことだってばお」

(´<_` )「うーん、ホラーっぽく語るのってムズいな。
      ミスリードとかどんでん返し狙ったんだけど。
      エレベーターんトコの男とかも全部兄者だよ」

( ^ω^)「その語り口調でホラーは無理があるお、んで」


(^ω^ )「兄者はいつから都市伝説側になったんだお」

( ´_ゝ`)φ「……? ごめん、全然話聞いてなかった」

(^ω^ )「ふぁっきん」

602:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:01:23 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「向こう行ってからルームシェアやめた直後」

( ´_ゝ`)「あ? ああ……お前のきったねぇ置き土産あった日な」

( ^ω^)「そっちのいざこざは置いといて、えーと、兄者は、
      一晩ずっと立ったまま扉の前にいたのかお?」

( ´_ゝ`)「えーっと、何の話?」

(´<_` )「初めてナイフ取り出した夜」

( ´_ゝ`)「向こうの……うん、思い出した。あのボロ屋な。
      ドア開けられなかったから、ずっと待ってたな」

( ^ω^)「丸々一晩立ったまま、かお?」

( ´_ゝ`)「こいつのフリして大家に開けるよう頼もうとはしたぜ?
      でも大家寝てたんだよ。深夜だから仕方ないけどな」

( ^ω^)「それで朝まで待機かお。普通の人はそんな事できんお」

( ´_ゝ`)「ちゃんと衝撃で起きるようにドアのすぐ前で待ってたっつの」

(´<_` )「だからってさあー。ドアから一歩踏み出せば、
      事故チューするような位置にいるとかマジ勘弁」

603:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:02:17 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「待つお。前提すっ飛ばしてるお。訳がわからんお。
      兄者は、ずっと扉の前で待ってたんだおね?」

( ´_ゝ`)「そうだよ」

( ^ω^)「何時間くらいだお?」

( ´_ゝ`)「さあなあ……あの後、こいつに放置されてたから、
      隣人っぽい人が話しかけて来るまで固まってたし」

( ^ω^)「どっちにしろ、よくそんな事できるもんだお」

(´<_` )「どうせ立ったまま寝てたのキチ次元バージョンだろ。
      偉そうな奴の演説っぽいの強制的に聞かされた時も、
      それやって俺にどつかれるまで固まってたからな」

( ´_ゝ`)「せめて高次元とか言えや」

( ^ω^)「立ったまま寝る奴なら僕もたまにやるけど、
      兄者のは一体どうやってんだお?」

( ´_ゝ`)「寝てる訳じゃないから、俺は内藤の方がよくわかんねぇ」

( ^ω^)「そのままだお。立ったまま寝るだけだお。
      寝るんじゃないなら、兄者のは何々だお」

( ´_ゝ`)「あーそういう事ね」

604:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:03:14 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「何か体にぶつかったり、衝撃来るまで意識ぶっ飛ばしてるだけだよ。
      考え事とかしてて、意識が深い場所まで潜ると体が固まるだろ?
      怒り湧いてくる系統は逆に動きたくなるから事の種類にも寄るけど、
      ずっと考え事とかしてると、頭の中が真っ白になってくじゃん。
      それやってただけだよ。だから、内藤みたく寝てる訳じゃねぇ」

( ^ω^)「判らないと言う事が分かったお」

( ´_ゝ`)「なんでだよ」

(´<_` )「あ、俺、地味に助かってたわ。あそこのボロ屋、
      外開きのドアだったら兄者が起動してたんだな」

( ´_ゝ`)「起動とか言うなや」

(´<_` )「内開きでマジ助かったわー」

( ´_ゝ`)「驚いたついでに、俺にぶつかればよかったのに」

(´<_` )「目ぇガン開きで固まってればどっかイッてると思うだろうが。
      いくら何でも自分から地雷原に丸腰で行ったりしねぇよ」

( ´_ゝ`)「女の地雷原にはマッパでルパンダイブする癖に」

(´<_` )「女だからな」

( ^ω^)「あー」

605:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:04:15 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「つまり何だお。いつも通りの喧嘩かお?」

(´<_` )「向こうに行ってからの刃物沙汰はあれが最初だったから、
      かなりビビったけどな。尿意ないのに漏れそうになったぜ」

( ´_ゝ`)「小便漏らして社会的に死ねば良かったのに」

(´<_` )「誰が漏らすかボケ、漏れたらテメーに後始末押し付けてやんよ」

( ´_ゝ`)「お前自分で何言ってるか判ってんのか?」

( ^ω^)「あーあー、僕はそろそろ食堂で飯食うお」

( ´_ゝ`)「俺も」

(´<_` )「そこの逆三角は戻って来んな」

( ^ω^)「誰のことだお? 僕はただのピッツァだお」

(´<_` )「テメーがデブなら世の中の一般人はただの豚だ」

( ^ω^)「つまりお前は豚かお。やーい豚野郎、おっおー」

(´<_` #)「死ねこの…………うっわ何こいつムカつく、
      ガチムチに対する悪口全然思いつかねぇ!」

( ^ω^)「ふふんお」

606:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:05:02 ID:iV2IjsnU0
ガラッ ピシャ


( ´_ゝ`)「仲いいんだか、悪いんだか……」

( ^ω^)「おまそれ、僕がお前らに対して思ってる事だから。
      自分の発言がブーメランになってる事に気付けお」

( ´_ゝ`)「えー、どの辺がだよ」

( ^ω^)「それもブーメラン」

( ´_ゝ`)「内藤が俺らを『仲いいんだか』って思ってるとこ」

( ^ω^)「そっちかお。つーか、ボイレコ切れお」

( ´_ゝ`)「益になりそうだからこのまま録音しとく」

( ^ω^)「たまに兄者は難い言い方すんおねー」

( ´_ゝ`)「いきなり何だよ」

( ^ω^)「益とかパッと出て来ねーお」

( ´_ゝ`)「お前もサークルの奴らと変な議論してる時あったじゃん。
      似たようなモンだろ。それこそ突っ込まれたくないぜ」

607:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:05:56 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「別に『軽蔑』って言葉くらい話し言葉で使うのにおー。
      使う使わないであそこまでなるとは思わなかったお」

( ´_ゝ`)「ほらな」

( ^ω^)「それとこれとは話が別だお」

( ´_ゝ`)「つーか、俺はお前に話を聞こうとしてたんだけど」

( ^ω^)「ああ、なんだったっけお?」

( ´_ゝ`)「あいつとの……もういいや」

( ^ω^)「嫌いなモノが合致した時とか、突っかかって来た奴らとかには、
      物理も混ぜて左右からステレオで攻め立てるじゃないかお。
      あと咄嗟の行動がダブったりとか、耳掻く癖とかそういうのだお」

( ´_ゝ`)「覚えてんじゃねぇか」

( ^ω^)「おっお、あと爺さん婆さんには意外と優しいところも」

( ´_ゝ`)「そこまで人見てるとかきもい」

( ^ω^)「おめーが変なとこで無関心過ぎるってか、
      そっちから聞いたんだろうがお。奢れお」

608:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:06:37 ID:iV2IjsnU0
内藤は既に席についてメニューを広げている。
どうせまた見開きの1頁を制覇する気だろう。
前もそれをやって、新人のバイトを困らせていた。


( ´_ゝ`)「水でいいなら」

( ^ω^)「そういうのじゃないお」

( ´_ゝ`)「仕方ねぇな」

内藤から離れて、自販機まで飲み物を買いに行く。
自分と、内藤の分のペットボトルを買って戻った。


( ´_ゝ`)「ほらよ」

( ^ω^)「っべー、マジべーわ。これは想像してなかったお」

( ´_ゝ`)「あっはっは」

( ^ω^)「普通にいらねぇお。弟者に渡して来るといいお」

( ´_ゝ`)「え、やだ」

( ^ω^)「どうせ嫌がらせにしかならないから渡せお」

609:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:07:52 ID:iV2IjsnU0
水でも俺の金で買ったものだと思うと、渡すのが嫌だ。


( ´_ゝ`)「なんかやだ」

( ^ω^)「本当、変なトコで嫌がるおね。100円の水くらい、いいだろがお。
      前に糞たっかい花束を尿瓶に生けてったのはどこの誰だお?」

( ´_ゝ`)「あれバレてたのか」

( ^ω^)「僕も気付いてたけど、いつの間にか無くなってたお。
      看護婦さん辺りが片付けたんじゃないのかお?」

( ´_ゝ`)「って事は、あいつは気付いてないのか……つまんねぇな」

( ^ω^)「もっと存在をアピールできるとこに置けばよかったのにお」

( ´_ゝ`)「んな事したら、すぐにバレてつまんねぇと思ったんだよ」

( ^ω^)「どっちにしろ気付かれなかったお」

( ´_ゝ`)「あーあ、次どうしよっかなー。何かいい案ある?」

( ^ω^)「特に無いお」

( ´_ゝ`)「病院だから危ないモンは持って来れねぇしなー」

610:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:09:44 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「兄者は飯食いに来たんじゃないのかお?
      何も頼まないでダベってるだけかお」

( ´_ゝ`)「ちょっとねー」

( ^ω^)「また陰謀かお。今度は何企んでるんだお?」

( ´_ゝ`)「悪い事じゃねーよ。むしろ、いい事だよ」

( ^ω^)「兄者の善悪の基準が怪しいお」

( ´_ゝ`)「誰も怪我しないならいい事なんじゃないの?」

( ^ω^)「精神的か、物理的かで色々変わるお」

( ´_ゝ`)「そうか、難しいな……」

( ^ω^)「面倒臭い事じゃなくて、面白おかしい事なら大歓迎だお」

( ´_ゝ`)「じゃあ今すぐあいつの怪我を増やしてくれ」

( ^ω^)「殺人幇助はNG」

( ´_ゝ`)「ちぇっ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

611:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:10:58 ID:iV2IjsnU0
皿を高く積み上げつつある内藤を食堂に置いて、病室に戻った。

周りに人がいないか確かめて、ドアに耳を近付ける。
特に物音は聞こえないし、声もしない。
あの足じゃ逃げられる事はないだろうし、いいか。


ガラッ


Σ(゚<_゚ ; )「ひょっ!?」

( ´_ゝ`)「こりひょうたん島?」

(´<_`; )「何も見てないぜ俺は!」

( ´_ゝ`)「そう言うなら、膝の上に広げてる俺の日記くらい、
      どっかに隠すとか、せめて閉じるかぐらいしとけよ」

(´<_` )「あーあー、あー」

( ´_ゝ`)「御感想は?」

(´<_` )「なんかもういいや」

( ´_ゝ`)「そうか」

612:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:11:42 ID:iV2IjsnU0
ベッドの傍にあった椅子に座り、腕を組んで待つ。

向こうから何のアクションも無ければこっちから切り出すが、
さて、どうやって不自然じゃないように言ったモンか。


(´<_` )「兄者さあー」

切り出す必要はなかったか。


( ´_ゝ`)「何だ」

(´<_` )「鬱田って奴と、友達じゃねがったんか?」

( ´_ゝ`)「訛んな、釣られねーぞ」

(´<_` )「ふざけでもしねぇと衝撃紛らわせねぇよ」

( ´_ゝ`)「それにお前のこと書いてないのに何でショック受けるんだ」

(´<_` )「お前の価値観」

( ´_ゝ`)「人それぞれだろ、そんなん」

(´<_` )「人それぞれに認められるのは犯罪に掠ってねーのだけだろ。
      これどうやったってアウトじゃねーか。真っ黒もいいトコだよ」

613:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:12:32 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「お前には関係ないだろ? ……いや、関係あるのか。
      盾が減りますねぇ、残念でした。どうする弟者君」

(´<_`; )「盾にしたら俺に殺人罪擦り付ける気なんだろうが。
      こんなん読んだ後でそんな事やろうとは思わねーよ」

( ´_ゝ`)「そうかそうか」

よしよし、これはこれで成功。

日記見て止まるんなら、それでよし。
止まらないんなら、往けるとこまで行くだけだ。

実際、こいつが殺人罪やら何かの罪で捕まっても、
後から皺寄せが来るのって結局こっちだしなあ。

色々と擦り付ける罪と状況のパターンは考えたけれども、
その後の世間体のシミュレートがマイナスにしか行かない。
双子ってのは、どこまでいってもデメリットしかないな。

それに、塀の中にぶち込んでも、日本だとすぐに出て来る。
やっぱり、俺がこいつを遠い場所に送るしかないよなあ。

山の奥でも、海の底でも、床の下でも、腹の中でも、
例え近くても、見つからない場所なら何処でもいい。

614:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:14:06 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「お前にこんな殺人計画建てられてるって知ったら……
      鬱田はどう思うんだろなあ。メンタルかなり弱そうだしー。
      お前が友達だと思ってても、向こうからやめられんじゃね?」

( ´_ゝ`)「それならそれでいい」

(´<_` )「友達だと思ってないのか?」

( ´_ゝ`)「思ってるよ?」

(´<_` )「お前は友人の殺人計画、こんなに細かく立てるのかよ」

( ´_ゝ`)「それがどうしたんだよ。備えあって憂いなしだろ」

(´<_` )「はー……意味分かんねぇ」

( ´_ゝ`)「俺もお前の事なんざ分からんわ」

(´<_` )「どうせサイコ野郎の考えなんかわかんねーよな。
      あーあ、宇宙人に聞こうとした俺がバカだったわ」

( ´_ゝ`)「言っておくけど、お前の窃盗癖と節操無さも、
      一般から見ればキチガイと同じなんだからな」

(´<_` )「わーってるよンな事」

615:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:15:56 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「そういや、兄者は何でここ来たんだ?」

( ´_ゝ`)「宗教の勧誘から逃げるのと、節電の為に、
      ここに泊まれって言われたから一泊だけ」

(´<_` )「フーン」

( ´_ゝ`)「んで母さんがお前に携帯渡せってさ」

(´<_` )「おっ、サンキュ」

( ´_ゝ`)「女とどうにかなったら、今度こそ引き千切るってよ」

(´<_`; )「な、何をだよ……あ、いや、言わないでくれ」

( ´_ゝ`)「なんで自分自身の性欲すら我慢できない動物が、
      人間として生活してんのか不思議だわ。猿だろ」

(´<_` )「猿に失礼だ」

( ´_ゝ`)「じゃあダニ」

(´<_` )「生物としてのランクダウンどころじゃねーぞ、それ」

( ´_ゝ`)「どうでもいいわ。さっさと便器とどうにかなって、
      ダニまみれのくせぇタコ部屋に押し込まれちまえ」

616:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:19:33 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「嫌ですー。入りませーん」

( ´_ゝ`)「あと『見舞いに来たすごく具合の悪そうな奴』を教えろ」

(´<_` )「スルーかよ。俺あいつの名前知らないんだけど」

( ´_ゝ`)「外見でいいから教えろっつってんだよ」

(´<_` )「なんか赤いのだよ。軽く兄者と同じ感じがしたな。
      ヤク中みたいだったぜ。目の焦点もあってねーし」

( ´_ゝ`)「分かったわ。あいつね。何か言ってた?」

(´<_` )「なんでヤク中でヒットするんだよおかしいだろ……
      『俺は真実の愛を見つけた』とか軽くラリってた。
      待ってるとか言ってたけど、場所は言ってないな」

( ´_ゝ`)「……マンドクセ」

(´<_` )「何でそんなのと友達やってんだ」

( ´_ゝ`)「友達ってそういうのじゃねぇの?」

(´<_` )「どういうのだよ」

617:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:22:39 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「たまに殴りたくなっても、寒気がしても、
      なんだかんだで一緒に居る、みたいな」

(´<_` )「そりゃ腐れ縁ってやつだろ」

( ´_ゝ`)「ああ、そっちか」

(´<_` )「腐れ縁でも、相手をぶっ殺そうなんて考えないけどな」

( ´_ゝ`)「友達と肉壁にしたり、車パクって置いて逃げたり、
      囮にしたりするお前だけには言われたくねぇなあ」

(´<_` )「実行してないだけのお前に言われたくねぇよ」

( ´_ゝ`)「うっせぇ」

冷静な俺の一部が、どっちもどっちだと囁いている。

鬱陶しかったので自分の側頭部を殴ったら、
目を見開いたあいつがこっちを見ていた。

いいねぇ、好きだよそういう顔は。



29.糸冬


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576:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:47:32 ID:Tq2KJ/Rc0
28.母親と冬と氷の意志伝播が出来ました



ξ゚⊿゚)ξ「兄者ー、私ちょっと明日明後日帰らないわ」

( ´_ゝ`)「出張?」

ξ゚⊿゚)ξ「みたいなモンかしらね。それで、暖房勿体無いから、
      この家の電気全部消して、ブレーカー落として行くわ」

( ´_ゝ`)「鳥とかハムスターどうすんの?」

ξ゚⊿゚)ξ「4匹貰い手が見つかったから、そこに預けるわ」

( ´_ゝ`)「13匹も一気に預けて大丈夫なのか」

ξ゚⊿゚)ξ「ジャンの多頭飼いしてみたかったんだって。
      それに元々キンクマ飼ってたから大丈夫よ」

( ´_ゝ`)「そか、ならいいや」

ξ゚⊿゚)ξ「鳥は隣のお婆ちゃんに預けるわ」

577:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:48:23 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「俺はどうすりゃいいの?」

ξ゚⊿゚)ξ「漫画喫茶で寝泊まりしてみたいって言ってたじゃない。
      お金あげるから、一回試しに泊まってみてみなさいよ」

( ´_ゝ`)「えー」

ξ゚⊿゚)ξ「ホラ荷物はもうまとめたわよ」

( ´_ゝ`)「は? いつの間に」

ξ゚⊿゚)ξ「洗濯するのはいいけど干しっぱなしで畳まないじゃない。
      そっから着替え用に3日分くらい取って鞄に入れたわ」

( ´_ゝ`)「あそこに放置してた服、あいつのなんだけど……」

ξ゚⊿゚)ξ「へっ?」

( ´_ゝ`)「自分のはちゃんと箪笥に入れてるよ」

ξ゚⊿゚)ξ「あーでも大丈夫でしょ。サイズ一緒じゃないアンタら」

( ´_ゝ`)「嫌だよ。服燃やされた時、あいつの服代わりに着てたら、
      チーマーに勘違いされた上に、内藤に写メられまくった」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、北国にもいたのね」

578:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:49:21 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「それに病気が移ったらヤダ」

ξ゚⊿゚)ξ「洗濯したから大丈夫でしょ」

( ´_ゝ`)「それでも」

ξ;゚⊿゚)ξ「もー、変なとこで気にするんだからー。
       一緒に洗濯したならどっちにしろ同じ事よ」

( ´_ゝ`)「俺まで泌尿器科に行かせたいのかよ、母さん。
      それにあいつと俺の服、一緒に洗った事ないぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「うっそ、今まで知らなかったわ」

( ´_ゝ`)「聞かれた事なかったから」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、私と弟者の服は一緒に回してるわよね」

( ´_ゝ`)「うん」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

( ´_ゝ`)「?」

ξ゚⊿゚)ξ「……うん、まあ、仕方ないわね。そういう気遣い。
      今は説明する時間ないから、さっさと鞄持って」

579:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:50:23 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「せめて下着ぐらい自分の持たせてくんない?」

ξ゚⊿゚)ξ「だったらさっさと自分のタンスから持ってきなさい。
      手突っ込んで鷲掴みにしたままほら車に行った行った」

( ´_ゝ`)「あーもうそんな急かすなよー」

ξ゚⊿゚)ξ「さっさと家出ないと面倒臭い親戚と鉢合わせるわ」

( ´_ゝ`)「何でそんな急いでるの?」

ξ゚⊿゚)ξ「車の中で説明するから、ほら! ほら!」

(;´_ゝ`)「あ゙ー」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


( ´_ゝ`)「で、面倒臭い親戚って誰?」

ξ゚⊿゚)ξ「新興宗教っぽいのにハマっちゃった男」

( ´_ゝ`)「うわぁ」

580:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:51:29 ID:Tq2KJ/Rc0
ξ゚⊿゚)ξ「今度勧誘に来たら警察に通報してやるって言ったのに、
      また車出してこっちに向かったってメールがあったの」

( ´_ゝ`)「実際に通報できんの?」

ξ゚⊿゚)ξ「出来るわ。宗教の勧誘を断ったのに、また来たら、
      それだけで警察に通報できるのよ。知っときなさい」

( ´_ゝ`)「へええ」

ξ゚⊿゚)ξ「これで窓でもぶっ壊されたら塀の中に入れてやるわ」

( ´_ゝ`)「わあ頼もしい」

ξ゚⊿゚)ξ「ふふん、女だって強くなくちゃ生きてけないのよ」

( ´_ゝ`)「うん知ってる」

そうでなきゃ、40越えて離婚して、思い切って家を出て、
面倒臭いキチガイと糞野郎の親権取ったりしないよなあ。

役所の怠慢を訴える文書を作成して県の上層部に叩きつけたり、
その文書を取り下げてくれと上からお願いの手紙が来た時に、
『この手紙マスコミに売ってやろうかしら』ってぼそりと呟いたり。

精神だけでなく、口も手も目も耳も筆も充分に強い。
離婚直前の糞親父と我が母の言い争いも、母の圧勝だった。

581:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:52:09 ID:Tq2KJ/Rc0
口喧嘩では勝てないからと糞親父が話す前に部屋から退出し、
机の前で正座し続ける我が母の事実上の不戦勝となった。

あの瞬間、自分の中で父は弟に並ぶ最下層まで落ちた。

過去に我が母の浮気を疑って一方的にぶち切れた事があるのに、
いざ自分の浮気を責められたらこれとは、情けないにも程がある。
『疑われるような事をしたお前が悪い』なんつったのはどの口だ。
俺は良くてお前は駄目とか亭主関白でも何でもない。ただの屑だ。

一度悪い面を知ると、記憶している過去の行動の見方も変わる。

もう駄目だな。幼少期に記憶していた父の輝きは消え失せた。
糞親父がもっと年を経って弱ったら、いつか殴り殺してやろう。
元の家にいる婆ちゃんが逝くのを待って、放火するのもいい。

火くらい着ければ地方新聞の一面くらい飾れるだろ。
そっから芋ずる式に悪事が出てくればもっといい。

報道は止められたりするかなあ。
ホテル経営者もいるから、金で揉み消されるかなあ。

やらずに後悔するより、やって後悔しろとの言葉もあるし、
やっぱりここは一度チャレンj


ξ゚⊿゚)ξ「兄者~」

582:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:52:59 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「は~い」

ξ゚⊿゚)ξ「今すごく悪い顔してたわ」

( ´_ゝ`)「はーい……よく分かるね、そういうの」

ξ゚⊿゚)ξ「刑事ドラマの犯人役みたいな顔してたわよ、今」

( ´_ゝ`)「マジ? すごいな俺」

ξ;゚⊿゚)ξ「何がすごいのかわからないけど犯罪ならやめなさい」

( ´_ゝ`)「はーい、ところで何処に向かってんの?」

ξ゚⊿゚)ξ「弟者のいる病院」

( ´_ゝ`)「見舞い?」

ξ゚⊿゚)ξ「いや、アンタを置きに」

( ; ゚_ゝ゚)「へぇあ!?」

ξ゚⊿゚)ξ「何ウル○ラマンみたいな声出してんのよ。
      一泊なら大丈夫。食堂にご飯もあるじゃない。
      そこで携帯使って泊まれる漫喫見つけなさい」

583:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:53:53 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「決定事項?」

ξ゚⊿゚)ξ「可決事項」

( ´_ゝ`)「食堂を使用した形跡として、レシートの提出も求められたりする?」

ξ゚⊿゚)ξ「あらいいわね」

(;´_ゝ`)「うがぐぐ」

ξ゚⊿゚)ξ「ぶっちゃけもっかいアンタを検査入院させたいんだけどねえ。
      色々と親戚が面倒なのよ。弟者を入院させたの私が原因だし」

( ´_ゝ`)「俺が検査目的で入院しても、母さんのせいになるって事?」

ξ゚⊿゚)ξ「そう」

( ´_ゝ`)「母さんも一緒に入院したらいいんじゃないの」

ξ;゚∀゚)ξ「何言ってるのアンタwww仕事があるから無理よ。
       これでも会社にかなり大目に見てもらってるの!」

( ´_ゝ`)「そっか」

ξ゚⊿゚)ξ「それに弟者に携帯届けてもらいたいしね」

584:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:54:48 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「あいつに携帯持たせんの? また女だらけになるよ?」

ξ゚⊿゚)ξ「今度そんな事したら、耳ごとピアス引き千切って、
      知人のタコ部屋に押し込めるって言ってやったわ」

( ´_ゝ`)「普通の人なら効果あるかもしれないけどさあ……。
      あいつだよ? 女とば前にしてそれで止まれんの?」

ξ゚⊿゚)ξ「そうなのよねぇ。一生タコ部屋には入れないけど、
      足の骨折が治ったら一ヵ月くらいは入れる予定よ」

( ´_ゝ`)「あ、思い出したんだけどさ」

ξ゚⊿゚)ξ「何かしら」

( ´_ゝ`)「あそこまで、こう……あれが強いなら、さ。
      試しに女性ホルモン打ってみたらどうかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「女性ホルモン?」

( ´_ゝ`)「うん」

ξ゚⊿゚)ξ「打ったらどうなるの?」

( ´_ゝ`)「強過ぎる男性ホルモンが抑えられる。個人差あるけど。
      だから、少しは女を前にしても下衆い考えで動かなく

585:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:55:30 ID:Tq2KJ/Rc0
(  ´_ゝ)「なれば、いいなあ……」

ξ;゚⊿゚)ξ「希望的観測ね」

( ´_ゝ`)「打たれた事ないから、実際どうなるのかわからんし」

ξ゚⊿゚)ξ「そりゃそうよ。でもいいわねぇ。先生と話してみるわ」

( ´_ゝ`)「入院中にやったほうがいいよ」

ξ゚⊿゚)ξ「どうして?」

( ´_ゝ`)「ホルモンバランスが一時的に崩れて、精神不安定になる。
      それで鬱になったり怒りっぽくなったりする可能性があるから、
      病院にいる今やったほうがいいよ。すぐ医者が対応できる」

ξ゚⊿゚)ξ「珍しいわねぇー本当。兄者がそこまで弟者のこと考えて、
      いい方に向かわせようとするなんて津波が来るのかしら」

( ´_ゝ`)「そう聞こえる?」

ξ゚⊿゚)ξ「違うの?」

( ´_ゝ`)「……いや、すごくその通りだよ! 合ってるよ!
      俺ってばすごくあいつのこと心配してるよホラ!」

ξ゚⊿゚)ξ「その振り上げてる両手には何も見えないわ……」

586:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:56:10 ID:Tq2KJ/Rc0
実際の所、もう女関係の面倒事に関わりたくないから、なんだけどな。
それが心配してると見られるなら、もっと言い方変えりゃよかった。

病院でホルモン打つってのも、逆方向への考えがあっての事です。
精神不安定で鬱になってるなら、自殺してもおかしくないよね?

もしそれで失敗しても、『鬱になった弟を心配する兄』
ってのが演出できる項目で増えるからな。役得役得。
俺自身と体が予定通りに動けるかは、また別として。


ξ゚⊿゚)ξ「そう言えば、鬱田君から伝言があったわ。
      弟者の病室に兄者の友達が来てたって」

( ´_ゝ`)「何それ」

ξ゚⊿゚)ξ「わからないわ、弟者が鬱田君に頼んだみたい。
      『すごく具合の悪そうな奴が見舞いに来た』って」

( ´_ゝ`)「それ伝言ゲームと同じ症状が起こってない?
      最初の言伝と内容が食い違ってたりしない?」

ξ゚⊿゚)ξ「頼まれただけだから私にもわからないわ。
      見てた弟者からアンタが直接聞きなさいよ」

( ´_ゝ`)「へーい」

587:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:57:28 ID:Tq2KJ/Rc0
ξ゚⊿゚)ξ「あとねぇ、そろそろ車の免許取ったら?」

( ´_ゝ`)「轢き殺してもいいなら」

ξ゚⊿゚)ξ「免許取らないでね」

( ´_ゝ`)「うん」





28.糸冬


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登場した神話生物と、登場人物の神話技能補足的なメモ。
クトゥルフ知らない人にも簡単に解説しながらまとめ。ラストのバレもあるので注意。
初投下から10年も経ったので、当時伏字にしていた箇所のレスを抽出してバレするのは別記事で。

拍手でつつかれた箇所を主に書いてます
追記に格納するので見たくない方はブラウザバック

書くきっかけになったのがCall of Cthulhu : Dark Corner of the Earthというゲーム
steamのリンクをここに貼っておくので興味のある方は是非。
日本語対応されていない上に操作性が快適とは言いにくいが、安くなっているので永遠にオススメです。
人外との混血になりたい、神話的事象に巻き込まれたい、イス人さんの父性に触れたい方にどうぞ。


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532:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:22:40 ID:iH7GEoA20
('A`)「そういやさ」

( ´_ゝ`)「んあ?」

('A`)「弟者には持ってかないの?」

( ´_ゝ`)「は?」

('A`)「病院食ばっかりだと、飽きるんじゃないかな」

( ´_ゝ`)「それとこれと何が関係あるんだよ」

('A`;)「や、最近仲良さそうに見えたから」

(#´_ゝ`)「はあ!?」

テーブルから身を乗り出しかけて、座る。
いかんいかん。ここは冷静に。平常心。


('A`;)「ごめん、そう見えたから……」

あいつをぶっ殺した時、疑われないようにするには、
ここで『関係が改善されてる』事を肯定したほうがいい。

いいのは判るが、素直に肯定はできない。

533:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:23:42 ID:iH7GEoA20
あんな反応を見せてからでは遅いのは判るが、
駄目元でフォローして鬱田の心証を変えよう。


( ´_ゝ`)「そう見えるかもね。あいつも怪我人だからな。
      出来るだけ優しくしようと一応心掛けてるよ」

('A`;)「そっか。怪我すると優しくは出来るんだね」

( ´_ゝ`)「そうですね」

('A`)「一応、牛丼買っていったらど

( ´_ゝ`)「そうします」

('A`;)「……」

( ´_ゝ`)「俺は普通の牛丼にする。鬱田は?」

('A`)「牛丼と、豚丼で」

( ´_ゝ`)「分かった」

持ち帰り用を頼んだところ、まだ時間がかかるとのこと。
紅生姜をつまみつつ、さっきまで食ってた席で待つ。

534:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:26:22 ID:iH7GEoA20
('A`)「兄者と弟者の関係って、珍しいよね」

( ´_ゝ`)「またその話題か」

('A`;)「いや、実際珍しいから言ってるんだよ」

こめかみの辺りがひくつく。
なんでまたこの話題を繰り返すんだ。
今度こそ手を出されたいのか。出したほうがいいのか。


( ´_ゝ`)「どこが?」

('A`)「ここまで仲悪いなんて、そうそういないんじゃないかな」

それは確かにそうだろうと、自分でも思う。
けど、それが何だって言うんだ。


( ´_ゝ`)「仲悪いのと良いのなんて半々くらいで存在するだろ」

('A`)「双子で仲悪いなんて珍しいんじゃないかな」

535:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:29:35 ID:iH7GEoA20
頭の奥が少し熱くなる。怒りを我慢しようとして、逆に顔が笑顔になる。
これの所為で何度も誤解された事があるけど、治す目処は立ってない。


( ´_ゝ`)「珍しいって何を基準にしての話だ?」

('A`)「よく見る双子とかって仲いいじゃん。だからさ」

( ´_ゝ`)「それを俺らに当て嵌めた場合、何で珍しくなるんだ?」

('A`)「だから、仲良いはずなのに、仲悪いのが」

頭の奥で糸が切れる音が、耳に響いた。


(  _ゝ )「……何で、鬱田はそう思うのかな?」

('A`)「だって、双子って普通は仲良いじゃないか」

熱くなると同時に、昔の出来事が目の前を過ぎ去って行く。
場面はころころ変わる。中学、習い事、社交場、倉の中。

536:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:30:26 ID:iH7GEoA20
(# _ゝ )「普通って何だ? 鬱田の言う普通って」

('A`)「え」

(# _ゝ )「俺ら以外に見た事ある双子か?」

('A`;)「いや、双子は兄者達しか見たことないよ」

(# _ゝ )「じゃあなんだ。創作か? 伝記か? 映画か?
      全部が全部、双子がそうだと思ってんのか?」

喉元まで込み上がってくる、競り上がる何かを我慢しようとして、
左手の甲に爪を立てる。痛ければ痛いほうがいいのに、痛くない。

('A`;)「そうは思ってない、そうは思ってないよ」

(# _ゝ )「じゃあなんでそんな事言った? 俺はちゃんと聞いたぞ。
      なんで双子だと特別なんだ? 同時に産まれただけだ。
      普通の兄弟とどこがどう違うんだ? 俺には分からない。
      なんで双子だと仲が良い事になるんだ? 分かんねぇ。
      ああクッソ、マジでわかんねぇ。誰だよ最初に双子は
      絶対に仲がいいとか変な偏見植え付けた奴はゴミか
      兄弟仲が悪いなんてのが普通に転がってんのに何で
      双子仲は良いなんてのが通ってるんだよおかしいだろ」

手の甲から痛み届かない事に腹が立つ。
爪で軽く皮膚を毟っても痛くない。痛くない。痛くない。

540:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:04:47 ID:xpWgH/QY0
(# _ゝ )「『双子なのに仲悪いなんて珍しいわね』じゃねぇんだよクソがァ……
       テメェは世の中の兄弟姉妹が全て仲良いとでも思ってんのかボケ。
       だとしたらお花畑だな。余程平和に生きてきたんだろうなあホント。
       全部の兄弟仲が良いと思ってない奴も何で『双子は例外』なんだよ。
       双子だからって特別仲が良いみたいに何で言うんだよ思考停止か。
       『弟さんなのに可愛くないの?』だってぇ? 顔面割られてぇのか。
       自分と似たような顔が可愛いとマジで思うんならとんだナルだな。
       同じ年に産まれたのに何でこっちがあいつの世話焼かされるんだ。
       何で俺が『頼れるお兄ちゃん』やんなきゃなんねぇんだよゴミ野郎。
       年が離れた兄弟ならともかく同い年でそりゃねぇよクソボケカスが。
       お前の周囲半径5kmの常識がこっちに通用すると思うなよ情弱が。
       クソババァの眼前に糞仲悪ぃ双子5組くらい整列させてやるよブス。
       全員双子だからって理由で変な押し付け喰らってるのばかりだ。
       それでも認めねぇなら目の前であいつぶっ殺すしかねぇよなあ?
       『双子で兄弟が嫌いなんておかしいわ』って言うお前がおかしいわ。
       何がおかしいんだよ何を持って正しいとしてるんだよぶっ殺すぞ。
       マッドな奴の実験目的に世界中から双子が集められてさーあ。
       双子同士で殺し合うバトルロワイヤルが開催されるってんなら、
       世間一般の認識を改める為に俺は喜び勇んで参加してやるぜ。
       ああ勿論優勝狙いに決まっ

('A`;)「ストップ! ストップ落ち着いて!」

(  _ゝ )「おっとすまん」

('A`;)「なんかごめん……」

(  _ゝ`)「と言う訳でこの話題は止めてくれ」

541:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:05:49 ID:xpWgH/QY0
ストップの言葉で録音していた事を思い出し、頭が冷えた。
机の下に貼り付けていた携帯を取って、尻ポケットに突っ込む。


('A`)「取りあえず水を」

( ´_ゝ`)「止めておこう。力加減間違えて、コップ割るかもしれない」

('A`)「力が抜ける方向で? 力が入る方向で?」

( ´_ゝ`)「力が入り過ぎる方向で」

('A`)「分かった。やめよう」


会計をして、持ち帰り用の牛丼を受け取る。気分が悪い。

すぐにでも袋ごと雪の上に叩きつけたいとこだが、
食べ物を粗末にするのは良くない。勿体無いからだ。
家に帰って俺が食べてしまおう。我が母にやるのもいい。

一瞬、鬱田に持たせようかとも考えたが、母一人に子一人、
牛丼2つ豚丼1つで譲り合いが発生したら面倒そうなのでやめた。

542:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:07:23 ID:xpWgH/QY0
折角、前々から考えていた計画に必要な状況が最適化されてるのに、
肝心の俺に忍耐がない所為で、いまいち進展したと感じられない。

譲れない事に関するこだわりの強さが俺の症状特有のものだとしても、
これだけはなんとかしたい。でないと、俺は檻の中に直行監禁プレイだ。

入るとしたらどっちだろう。
実刑がつくか、キチガイ無罪で病院か。


( ´_ゝ`)「精神病院かなー……刑務所かなー……」

('A`)「なんか言った?」

( ´_ゝ`)「なんでも」

尻ポケットに入れた携帯を取り出し、画面を開く。

『録音が終了しました。保存しますか? はい/いいえ』

勿論YES。SDカードにもデータをコピーする。

しかし、鬱田の初体験告白の次に、俺の怨嗟が仕込まれたこれ。
割と内容が混沌としている気がするな。客観的にどうなんだ。

543:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:09:00 ID:xpWgH/QY0
悪用する気はないから、日記に文章化した後は、
HDDの中で眠る事になるから大丈夫だと思うが。


('A`)「そういやさ、俺、弟者君と割と仲良くやれそう」

( ´_ゝ`)「え、いきなり何……宣戦布告?」

('A`;)「お前がいきなりどうした」

( ´_ゝ`)「いや、あいつの味方とか……」

そこまで言い掛けて、色々出かかった言葉を飲み込む。


( ´_ゝ`)「まあ、お前友達少ないから、あんなのでも、
      ああ言うのでも増えるだけいいのかもな」

('A`)「辛辣な言葉だな」

辛辣にもなるさ。


( ´_ゝ`)「鬱田さあ。昔あいつにあんだけ巻き込まれたり、
      舐められてたってのに、今更よく『仲良くなれそう』
      とか言えるな。DQNは苦手じゃなかったのか?」

550:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:00:04 ID:yiRFOqHk0
('A`)「前に話してみたけど想像より酷くなかったから、
    金と女の人が絡まないなら大丈夫かと思って」

( ´_ゝ`)「俺のいないとこで何かあったらフォローできねぇよ?」

('A`;)「うん、それは……なんとか逃げる」

( ´_ゝ`)「フーン」

正直言って、鬱田の押しの弱さだと、何かあった時に冤罪になる。
主に女性関係の面倒事と窃盗の擦り付けだ。借りパクもある。

女に切りつけられでもすればなんとか正当防衛に持ち込めるが、
こいつの体の弱さだと刺されたショックで心停止して死にそうだ。


('A`)「弟者君、割と良い奴だと思うから大丈夫なんじゃないかな」

( ´_ゝ`)「ごめん、俺に喧嘩を売ってるならすぐに買うから。
      そういうのは面と向かってちゃんと俺に言ってくれ」

('A`;)「何でそうなるの!?」

( ´_ゝ`)「え、俺はてっきりあいつと喧嘩になった時、
      俺とあいつの拳の前に立ち塞がるのかと」

('A`;)「話が飛び過ぎだよ!」

551:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:01:09 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「どの辺?」

('A`)「俺が弟者を良い奴って言ったのが、何故宣戦布告に」

( ´_ゝ`)「屑を良い奴とかほざくの、同じ類友しかいねぇもん」

('A`;)「そりゃ、素行的な面では良い奴とは全く思ってないよ」

( ´_ゝ`)「なら何で『良い奴』なんて」

('A`)「一回だけ病室に二人きりでいたけど何もされなかったんだ。
    うん。意外と何もされなかったし、悪態吐かれなかったし」

( ´_ゝ`)「で?」

('A`)「え?」

( ´_ゝ`)「だから、それで?」

('A`)「え、えっと……それで、実は良い奴、じゃ、じゃなくて、
   身内認定入った人にはちょっと優しいのかな、なんて」

( ´_ゝ`)「あー確かに、不良って仲間認定すると、
      すげぇ馴れ馴れしく近寄って来るよな」

('A`)「う、うん」

552:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:02:08 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「それで?」

('A`;)「……もしかして、怒ってる?」

( ´_ゝ`)「怒ってないよ。ただ気に入らない。後、すっげぇ疑問」

('A`)「気に入らないって……」

( ´_ゝ`)「仲良くなれそうって理由が理解できん」

('A`;)「うん。俺も兄者と話しながら色々その事考えてたら、
    何でそんな風に思ってたのか分からなくなってきたよ」

( ´_ゝ`)「そっか」

('A`)「何だろ。いつもは出会い頭に悪口の一つ二つ貰ってたけど、
    見舞いに行った時はそれが無かったからかな。た、多分」

( ´_ゝ`)「映画版ジャ○アン現象かよ」

常日頃から理不尽な暴力を周囲に振り撒いているにも関わらず、
映画で味方を庇ったりちょっと活躍しただけで良い奴認定を貰う。

そんなズル臭い立ち位置にいる発達障害児。ジャイ○ン。

553:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:03:20 ID:yiRFOqHk0
いつも悪い奴が、少しだけ善行をやると良い奴に見えてしまう。
そんな現象が世の中にはあるらしい。俺には余り解らない。

悪い事ばっかしてる奴がちょっと良い事したくらいで、何をそんなに。
としか思えない。大体『いつも』と『少し』の部分で釣り合ってない。
最初から前提条件が破綻している。天秤の矛盾もいいとこだ。
善行より悪行が多い時点で、良い奴でもなんでもないじゃないか。

自分の仲間にだけ情に熱い不良。自分の家族にだけ優しいヤクザ。
自分の飼い犬だけを可愛がるマフィア。全部が全部理解出来ない。
それらを見て、どうして『実は優しい奴』などとほざけるのか。

マイナスとプラスをかけ合わせてもマイナスにしかならないのは、
数学的にも証明されている。と言うか、義務教育の中で学ぶ。

善行と悪行は別物だ。犯罪を犯したら前科が付く。
それが善行で取り消される事はない。一生纏わり憑く。
法律的にも、きちんと整備されている事だ。

もし、悪行を受けた被害者に対して、償いと言う名の善行をして、
それを被害者自身が認めて罪を許すのならプラマイゼロになる。

被害者以外に善行を働いたって、プラスになる訳がない。


('A`)「考えて見たけど、やっぱ前よりは優しい気がする」

( ´_ゝ`)「へー」

554:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:04:36 ID:yiRFOqHk0
例え、例え話をしよう。AとBとCがいた。それぞれ他人である。
AはBから非道な行いで金を巻き上げたが、Cには恵みを与えた。

さて、どうなる。

Bが借金持ちとか、Cが乞食とか、面倒臭い設定はなしだ。
純粋に、ABCそれぞれを一般人として見る。

AがCに対して優しくしているところを見たBは、何を思う?

自分が受けた非道も忘れて『実は優しい奴』なんて思うのか?

別の誰かに優しくしている加害者Aを被害者Bが見たら、
『何で俺の金は盗ったのに、あいつには恵んでるんだ』
とか思って、恨みを深める事になるんじゃないか?


( ´_ゝ`)「優しいって、どんな風に?」

('A`;)「その……そんなに、悪態吐かれないし」

( ´_ゝ`)「ふへ」

たった一回、悪口を言われなかっただけで?
いつもされてた事を、されなかったぐらいで?

555:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:06:29 ID:yiRFOqHk0
……鬱田って、実は結構おかしいんじゃないかな。
あんなに言っときながら、結構軽く受け流してたとか?
俺とは別の方向に、感覚が麻痺してるっつーか。

待てよ。だとしたら、どっちもおかしいんじゃないか。

一般人は、糞をしながら便所飯する経験はない。
その点で行けば、鬱田はパンピーではない。

頭部MRI検査で出た結果を見た医者に軽く笑われながら、
『脳波がちょっと異常』なんて言われた俺はお察し下さいだ。

情報が足りない。判断材料が少ない。
どうしようもないな、後で色々な奴に聞いて回るか。
こっからの会話も携帯で記録しとこう。ボイス録音モードON。


( ´_ゝ`)「つまり、鬱田は、いつも何かしてくる奴が、
      その日に限って何もして来なかったから、
      良い意味で期待を裏切ってくれたから、
      あいつの事を勘違いしたんだよな?」

('A`;)「勘違いっつか、ギャップかな」

( ´_ゝ`)「ギャップ……ああ、うん、成程ね」

556:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:07:26 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「アレだよ。普段すっげぇ凶暴な犬猫が少し弱っててさ、
      しおらしくなってるのに『こいつ実は優しいんじゃね?』
      的なギャップを感じてちょっと勘違いしてるだけだよ」

('A`;)「言われてみれば、それもあるかもしれないけど」

( ´_ゝ`)「けど?」

('A`)「やっぱり、ちょっとは仲良くしたいなあ……」

( ´_ゝ`)「……は」

駄目だ。鬱田の考えが全く分からない。
ここはもうストレートに聞くしかないのか。


( ´_ゝ`)「フツーに疑問なんだけど、何であいつみたいな危ない奴と、
      わざわざ仲良くなろうとしてんの? マジで意味わからんわ」

('A`)「兄者の弟だし……」

( ´_ゝ`)「俺の?」

友人の弟と仲良くする。
それは必要な事なんだろうか。

557:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:08:17 ID:yiRFOqHk0
人間関係を円滑に保つのは生活する上で大事かもしれないが、
わざわざDQNと手を組んで周囲の印象を下げるのは如何な物か。

まあ、友人の兄弟仲が良い場合なら、仲良くなるのもいいだろう。
兄弟仲が悪い場合、且つ両方とも親しくなってしまった場合にはどうする?
鬱田みたいな優柔不断な奴は、兄弟間で板挟みになるだけじゃないだろうか。

いや、大事な事を失念してた。

体の弱い鬱田なら、あんなのを敵に回したくはないんじゃないか?

やたら消極的で臆病で小心者で保身に走るガラスハートな鬱田君なら、
病院のベッドでマスかいてるだろう糞野郎の拳には殴られたくないのか。

だから、そんなにも親しくなろうとしてる?


('A`)「兄者、そろそろバスが来るよ」

( ´_ゝ`)「あー、うん」

もしそうなら、あんまり突っ込んで聞いちゃいけない課題だな。
人のコンプレックスに繋がる企み事は突いちゃいけないって、
世話になり続けてそろそろ八年近くなる病院の先生が言ってた。

558:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:09:09 ID:yiRFOqHk0
しっかしなあ、鬱田とあいつが仲良くなるのは、
いまいち、なんと言うか、こう、いただけないな。

奴に脅されるか、純粋に向こう側に着いてスパイされたらと思うと、
俺はもう一生鬱田を信用出来ない。余裕で拳も出せてしまう。


( ´_ゝ`)「あのさー鬱田」

('A`)「何?」

( ´_ゝ`)「俺の弟だから、あいつと仲良くなろうとしてんの?」

('A`)「うん、いい機会だからね」

( ´_ゝ`)「そっかー、俺とあいつの喧嘩に巻き込まれたらどうする?」

('A`;)「巻き込まれても……大丈夫なんじゃない?
    弟者も流石に、何もしてない奴は殴らないだろ」

は、アレを見といてそんな事が言えるなんて、鬱田も大概だな。

殴りはしないが、盾にはするぞ。
しかも、それで盾が刺されても何も言わない。
謝罪すらしないで、一直線に逃げ出す。

ソレを見といて、なぁーにが『殴られない』だ。
それ以外の事は余裕でされるっての。

559:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:10:25 ID:yiRFOqHk0
鬱憤が溜まるって、こういうのかな?
言いたい事を全部飲み込んで、息を吐く。

伝えようにも、今は時間がない。
バスん中で言える事じゃない。
次があれば、次にしよう。


( ´_ゝ`)「あー、うーん、そー」

('A`)「え、あ、どうした兄者」

( ´_ゝ`)「なんでもなーい。何か色々面倒臭くなった」

('A`)「ちょ、バス来るぞ、どこ行くんだ」

( ´_ゝ`)「歩いて帰るわ」

('A`;)「え、待って待って、もうバス見えたって」

( ´_ゝ`)「いーよ歩く。あと、あいつと仲良くなるなら、
      俺に殴られる覚悟しといたほうがいーよー」

('A`)「え」

( ´_ゝ`)「じゃあの」

560:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:11:32 ID:yiRFOqHk0
携帯の録音を終了して保存。
ついでにタクシーも呼ぶ。

あいつと一緒にいても、怪我をしないって甘い見通しが出来るとは、
鬱田も平和に慣れ切った日本人っつーか、危機感がないと言うか。

あああああああイラつく。腹立つ。苛々する。腸が煮え繰り返る。

このままだと自分の腕を掻き毟りそうなので、脳内に鬱田を置く。
そして、さっき飲み込んだ言葉を虚像に向かって吐き出す。








 「へえ……お前、そんな事言えるんだ」

そ、そんな事って。

 「いいよ、いいよ。うん。別にいい。よし、決めた!
  次に喧嘩する時は、盛大に巻き込んでやるよ」

なんでそうなるんだよ!

561:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:12:25 ID:yiRFOqHk0
 「そうなるだろ。俺が何かしなくても、巻き込まれるって。
  俺の友人だから、いい盾になると思うんじゃない? あいつ」

兄者は俺を殴るのか?

 「殴るよ。邪魔だもん。殴られたくなかったら、逃げればいい」

……。

 「向こうでアレに巻き込まれといて、あんな事が言えるなんて、
  巻き込み具合が足りなかったんだよね? 怪我無かったし」

自分が何言ってんのか分かってんのか?

 「知ってるよ。俺ってば、すっごい自己チュー。面倒臭いね」

知ってる。

 「あいつは、自分の女関係にも平気で人を巻き込むよ。
  一回、刃物持った女に追われてるのに偶然会っただろ。
  あいつ、友達Nの周り回って障害物にして逃げてたけど、
  ブチ切れた女がそのNを刺しただろ。容赦なく、深くさ。
  それを見たクズ、真っ先に逃げただろ。友達置いてさあ」

……。

562:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:13:15 ID:yiRFOqHk0
鬱田の考えが想像できんとこは、どうにも答えさせらんねぇな。


(=゚ω゚)ノ「イヨーゥ。あんちゃん何処までだい?」

( ´_ゝ`)「@X%/」

(=゚ω゚)ノ「遠いな! 電車使わねぇのかい?」

( ´_ゝ`)「駅まで歩くのも面倒なんでお願いします」

財布の中身を確認して、一息。
椅子に体を沈めて、また頭の中へ。





 「それ見ても、思い出しても、鬱田は怪我しないって言える?
  確かにあいつ自身に殴られはしないかもよ。でも怪我はする。
  あいつ、『流石に自分の友人の事は殴らないだろ』とか考えて、
  俺との喧嘩の時、鬱田を盾にしようとするんじゃねぇの?」

俺を殴れるのか?

 「殴れるよ。その時、向こうの味方してたら更に力が入るね。
  それに、友人を盾に使えるって思われるのが気に食わない。
  その程度で、俺が止まると思われてんのが気に入らない」

563:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:14:11 ID:yiRFOqHk0
 「それぐらいで俺を御せると思ってんのがムカつく。
  それぐらいで俺を制せると思われてんのに腹立つ。
  あいつに関してだけは、絶対に譲らない。絶対にだ。
  盾が関係ない他人でもだ。母さんでもだ。許さねぇ」

自分の言葉、訂正できる余裕、ある?

 「今の俺には無い。まあ、薬飲んで落ち着いた時の俺にでも、
  もう一回言ってみてくれ。もしかしたら、気が変わるかもな」

寝起き狙いか。

 「あとさ、鬱田」



 「俺さ、あいつをぶっ殺すのをお前が邪魔したとして、
  その時は遠慮なく、お前ごとぶっ殺せるんだぜ。
  嘘じゃねぇよ。良心の呵責なんて、全然ないんだ。
  事が過ぎ去ってから、自分でもビックリするくらいにな」

……それって、どういう意味?

 「どういう意味って? そのままだけど」

それを、伝えた意味。

564:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:15:09 ID:yiRFOqHk0
 「注意とかー警告とかー自虐とかー?」

……。

 「あの糞野郎、あいつを擁護するような事を言う奴らは敵だ。
  だから遠慮なく殴れるし、手加減しないし、後悔もしない」

……。

 「原因が別にあったり、そもそも勘違いだった場合を除いて、
  俺は一度嫌いになった人間の価値を引っ繰り返せない。
  粘着質で、恨みがずっとずっと残るんだ。時間で風化しない」

…。

 「医者のお墨付きだぜ。冗談じゃなく舐めないほうがいい。
  治せない。癒せない。どうしようもないものだって言われた。
  本当に忘れないんだ。いつだって覚えてて記憶の表層にあるんだ。
  小さい頃にヒスってる母さんから言われた『気持ち悪い』って言葉も、
  癇癪起こした糞親父の『親は神だと思え』って言葉も忘れてない」



 「『時間が解決してくれる』っての、俺が一番嫌いな言葉なんだ。
  俺の場合は、逆に時間が経過して恨みが凝り固まるだけなんだ。
  忘れられない。忘れないんだ。忘れられないんだ。忘れたくても。」

565:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:18:58 ID:yiRFOqHk0
 「だから、俺に恨まれるような事だけは、頼むからしてくれるなよ?
  友達とか、母親とか、世話になった人とか、そういうの関係ない。
  あいつを守る人種に、壁になった時点で、そんなの関係ないから」


ブチッ


(=゚ω゚)ノ「イヨ~ゥ、着いたよあんちゃん」

( ´_ゝ`)「は~い」

用済みになった鬱田を消して、いつも通りの真っ暗闇な脳内へ。
途中で三半規管的な意味とは別に酔ったが、脳内なので問題ない。


( ´_ゝ`)「お~いい夕焼け」

外は橙色に明るい。
綺麗なオレンジ色だ。
夕日は好きだ。

初めて俺が自分の世界から出て外界を知覚した時もそうだった。
夢から覚めたみたいで何もかもが辛かったけど、夕日は綺麗だった。

もう一度、この世に産まれたと言い替えてもいい。
体だけ先に産まれた俺に、ようやく精神が生まれたとも言える。

566:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:26:28 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「きも」

ポエミィチックで気持ち悪いな。死ね俺。
さっさと家に入って、雪を払う。


取りあえず、今日は鬱田の事を日記に書くか。

弟者が鬱田を盾にして、俺がうっかり殴り殺してしまった時、
その時の事をシミュレートして、なんとか打開策を打ってみよう。

確か、鬱田は母親と血が繋がってなかったな。
そこら辺に当てつければ、殺してもなんとかなりそうだ。

母親側に友好的な親族がいたらどうすっかなあ。
我が母ともメールのやり取りをしているようだし、
交友関係は良い方なのか。顔も広かったりする?

全部をあいつに擦り付ける方が単純で簡単そうだが、
こっちにはメリットもデメリットもでかい手帳があるしな。

自分の言う事が全て虚言にされて、発狂中にやった事にされたら厄介だ。

568:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:32:42 ID:yiRFOqHk0
だとしたら、鬱田の親父辺りの線にするか?

パチンカスサイマーの情報しかないが、これだけでクズと分かる。
金の無心を断られたとか、私怨の所為にして、でっち上げるか。
煙草、賭博、借金と来たらクスリもいけそうだな。

つーか鬱田を殺すなら、母親も殺したほうが早いのか?
一番強く喚く奴がいなくなるなら、終わりも早まりそうだ。

幸いにも、鬱田の母に家を紹介したのは我が母だ。
言えば、家くらい上がらせてもらえそうだな。
今度遊びに行った時、適当に間取りを写メって来るか。



27.糸冬


拍手

495:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:29:18 ID:jGL0Va7A0
27.気付けの朝焼け、爛れた夕暮れ



クソ固い瓶の蓋をようやく開けられたような月曜日の早朝に、
携帯の着信音で起こされた。着メロは交響曲第九番。通称第九。


(# _ゝ )「あァ゙? んだよもー」

社畜があくせく働いて、学生が自殺なんかを思い浮かべている日に、
そんな時間に怠惰を貪るのがいいのだ。週の始まりの日だからこそ。

2chで月曜日の朝が来たのを盛大に嘆くレスをニヤニヤ眺めながら、
ベッドに転がって漫画を読んだり、ゲーム機をいじるのが楽しいのだ。
実際は、自分が土日出勤なので月曜日から休みなだけだが。

冬期は畑に雪が積もるので畑の手伝いもない。
まさに半ニート生活。理想である。ずっとこうしていたい。

496:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:31:08 ID:jGL0Va7A0
( ´_ゝ`)「あ? 鬱田か」

メールの差出人にはディプレーションライスフィールドとある。

よく携帯を勝手に見やがる奴に対する、ちょっとした対抗策だ。
静香ちゃんならサイレントアロマ、一君ならファーストで登録する。
一度、奴がロックを打ち破りやがったので、2重に警戒をしている。

ロックを解除する為に、俺がIDを取得する時によく使われている数字、
拘っているような数を組み合わせて、とにかく打ち込んでみたらしい。

どんだけだよ。その執念を他へ回せ。
俺には自分の携帯を見せない癖に。


( ´_ゝ`)「なんだこの添付……」

動画だったのでDLして再生する。
内容はハムスターを握っている様子だった。

自宅で量産されたハムスターを一匹水槽と共にあげたのだが、
どうやら元気に育っているらしい。育ち過ぎて太っている気もする。

たれ○んだ化している事に関して、特に突っ込むつもりはない。
俺としては、ハムスターなんかの短い寿命で変に食事制限をして
糞を頬袋に溜め込ませるくらいなら沢山食事させてもいいと思う。

497:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:34:51 ID:jGL0Va7A0
本に書いてある通りじゃない飼い方なのは、言われるまでもなく判っている。

けど、夫と仕事の都合で別居生活をしている叔母にハムスターをやり、
その叔母がハムスターを亡くして号泣しているのを慰める為に吐いた、


 『そのハムスターは、きっと幸せだったと俺は思うよ。
  叔母さんに贅沢させてもらって、うちのよりいい生活してたって。
  お菓子とか果物とか野菜とか、いつもケースに入ってたじゃん。
  巣もトイレもいつも綺麗にしてもらってたし、可愛がってたよね。
  仕事に行くのにも一緒でさ、ハムスターも楽しかったと思うよ。
  叔母さんに沢山可愛がられて、絶対によかったってば』


なぁんて誤魔化しと出鱈目と陳腐過ぎて鼓膜が弾けるような、
バッレバレな嘘と欺瞞を込めた慰めが自分の耳に残ってる。

本当は駄目だ。何もかも駄目だ。
飼育の仕方としては正しくない。

しかし、それが頭ん中で反響し過ぎて、段々と理想論になりつつある。

デブハム可愛い。もっちもっちしてる。
何この雪見大福。握り心地最高。

499:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:36:07 ID:jGL0Va7A0
待て待て思考が脱線した。

さっきまで何してたんだっけ。
そうだ、叔母とハムスターの話だ。


ハムスターにとって巣は最重要だ。寝場所意外にも色々使う。
身を隠す場所として、餌の貯蓄場として、子を育てる場所として。
そこを毎回掃除と言う名目で引っ掻き回されると、ストレスが溜まる。
彼らだってストレスで太ったり痩せたりハゲたりするデリケートな生物だ。

ハムスターを連れ歩くなんて以ての外だ。ストレスがマッハで死ねる。
叔母の取った連れ歩き方は、キャリーケースのキの文字も無かった。
敢えて言うならキ印の持ち方をしていた。生き物ではなく玩具扱い。
手縫いの布にハムを入れて、それを上着のポケットに突っ込む。
そのまま自転車で仕事場へGO。そりゃあ、いつかは落ちるさ。
ファスナーも何もないポッケに、ただ入れてただけだもの。

人の食べる食べ物もお菓子も合成食品もたっぷり上げていた。
食いたそうにしてたからじゃねぇよ。やっちゃいけねぇんだよ。
だから体重管理も糞もなかったんだよ。そりゃあ太るわ。
生き物にとって自重を支えられないのは死活問題だ。


でも、叔母は可愛がっていた。自分なりに。死ねば泣くほどに。

けど自分は、それが免罪符になるとは思っていない。

500:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:37:10 ID:jGL0Va7A0
俺としてはただハムスターの死骸を目の前で泣く叔母をどうにかする為に、
これからも付き合いのある親戚として不和無く過ごす為に慰めただけだ。

叔母は『自転車で仕事場へ行く時にハムを布袋に入れてポッケに突っ込む』
と言う行動だけは後悔しているようだった。反省もしていたのかもしれない。
俺は叔母自身ではないので、本人の心境は判らない。言葉でそう判断しただけだ。

つーか、それで後悔しないほうがおかしい。
何せそれで可愛いペットが死んだんだ。

俺本心としては『自業自得だクソババア』と罵倒したかった。
が、理性と家族付き合いと客観性と世間体と人間性が邪魔をした。
これがネットなら匿名で色々言えるのに、リアルの辛い所はこれである。


慰めでは、言葉の一つ一つをいい方向に否定しただけだ。
野生では味わえない食物、つまりは人工のお菓子。
ハムスター用のスナック。ハムスター用の遊具。

そう言った人間視点から娯楽と思われると物を肯定した。
野生ではそれが味わえないのだから、叔母にそれを『味合わせてもらった』
そのハムスターはとても幸運だった、飼われてよかったとほざきまくったのだ。
傲慢過ぎる物言いだが、叔母はそれで泣き止んだので、うん、いいんだろう。

自分の慰めが相手のハートに響いて泣き止んだ。
と言うのを頭から信じてる訳ではない。可能性の一つだ。
もしかしたら、俺の言葉に呆れてと言う可能性もある。

501:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:38:01 ID:jGL0Va7A0
そもそも俺は人の感情が上手く汲み取れない。
だから、叔母の哀しみをよく分かっていたのかと言われるとそうではない。

お前の脳の作りは生まれつきそんなんだと言われればそこでお終いだが、
経験と訓練とケアを積んで、なんとかまともに近くなったと自負している。

しかし、周りから見ればそうではない、KYな時もあるらしい。
主に内藤視点からの助言である。もしくは説教。もしくは罵倒。


ある時、会議で新人相手に自分の意見を強く言っているように見えた人がいたので、
窘めつつもうちょっと落ち着いて優しく言えよと発言したら殴りかかられた事がある。
俺から見て怒っている事は判らなかったのだが、周囲は怒っていると判っていた。

周りは、あいつの怒りが鎮火してから新人を慰めてやろうと思っていたらしいが、
俺がそこに横槍と言う爆弾投下、一気に着火し、怒りを乗せた唸る拳がこっちに。
みたいな感じだったらしい。俺は全く分からなかった。最初から最後まで。

俺視点から言ってしまえば、鎮火も糞もなくあそこは助けるべきだったと思う。
新規参入者が少ない業界では、新人は大事にするものと言っておきながら、
終わったらフォローしよう、だから今は耐えてくれなんて虫が良いにも程がある。

極めつけに、原因はバカの逆上だ。
新人にシステムの穴を指摘されたからって、いきなりブチ切れて、
先輩風吹かせて極論振りかざし、挙句「これだから女は」なんて。
明らかにおかしい。同じ男の俺でもおかしいと感じる。女は悪くない。

どうやってもそいつが悪い。

502:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:40:13 ID:jGL0Va7A0
拳自体は難なく避けれた。

後ろに大きく腕ごと後退し、「私これから貴方を殴りますよ」なんて、
全身全霊を持って表現されたら、避けないほうがおかしいだろう。

場合によっては、正当防衛の理由なり、恐怖で体が固まって動かなかったなり、
殴られたかった等で殴られる人がいるかもしれないが、そこはそこである。

話が飛んだ。

育成能力のないベテランは、ただのゴミだ。
ベテランを自称するには、多少の育成能力が求められる。
育てるどころか、新人を追い出そうとまでするとなると、ただの害だ。

結果、老害より新人の方が大事と言う事でそいつは出禁となった。
可能性ある新人と、クズの老害じゃあ価値が知れてる。
しかし、新人はそれが原因で、二度とそこに足を運ぶ事はなかった。

当たり前である。別に強制ではなく、趣味の集まりなのだ。
嫌な思いをした場所に、自ら行こうとするほうが訳が解らない。
嫌と言えば、ピピピピピピピピピピピピピピピピ、と目覚しが五月蠅い。

時計を殴り飛ばして音を止める。洗濯かごにシュートされた。
この時計は古いのか、最近スイッチを押しても止まってくれない。
何かで強い衝撃を与えないと止まってくれないのだ。

残念ながら、我が母から思い出の品だからと分解許可は降りないので、
こうして毎日事故に見せかけて砕けてくれないかと拳に希う日々である。

503:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:41:06 ID:jGL0Va7A0
そろそろ起きるか。

  ,  _  _  。
∠(  う )~゚「ふぁあああ」

でかい欠伸をかまして目を擦る。
携帯を確認すると光っていた。
あの色はメール着信か。


( ´_ゝ`)「ん?」

2件目のメール。鬱田から、「朝早くにごめん」との謝罪。
すっかり忘れてた。いや、頭から飛び去っていた。

飛び去ると言えば鳥小屋の奴らが……


( ´_ゝ`)「あー」

駄目だな。寝起きだからか思考があっちこっちに飛ぶ。
枕に顔を押し付けて、鼻がゴキゴキ鳴るまで擦り付ける。

少し頭が整理された所で、鬱田に「おきた」とだけ返信。

漢字変換する気力はない。しなくても意味は伝わる。
メールって返信するのもすげぇ面倒臭い時あるよな。

504:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:42:01 ID:jGL0Va7A0
すぐにメールが返って来た。反応が早いな鬱田。
携帯電話開いて、メール画面で待機でもしてたのか。


( ´_ゝ`)「えーと?」

内容は風俗での初体験を誰かに吐き出したい旨と、
昼飯を鬱田が奢る事、それを話す場所について。

自分の持ち合わせ金額では高い店は無理なので、
吐き出し場所は吉○家が希望、いや予定との事。

もうとっくの昔に忘れているのかと思いきや、長岡に引きずられ、
ちょっとイリーガルな感じの泡風呂に行った話は覚えていたのか。

ここはむしろ、俺が昼食代を準備する場面だろう。
あの時、長岡から助けずに餌にしちまったしな。

それにしても、


(*´_ゝ`)「○野家って初めて行くなー」

思えば宮城の仮住まいが決まった頃に、糞親父から直々に手渡された、
『入ってはいけない店リスト』に載せられてしまったので入れなかった店だ。

505:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:42:46 ID:jGL0Va7A0
紙にはパチンコ店や居酒屋、風俗店、質屋、賭博場などが並ぶ中、
いくつかの飲食店も何故かリストアップされていた。基準は知らない。

吉野○とは、自分が常々行ってみたいと思っていた店である。
有名な吉野家コピペの店であり、数々の話でネタにされる場所である。
よくCMに入ったり、紅生姜食い放題と俺の気を引きまくってくれた店だ。

だが、親父からは店に行くのを禁止されていた。理由は判らない。
コピペ通り殺伐とした場所だからなのかもしれないと当時は思ったが、
ガラス越しでは店のアンダーグラウンドなふいんき(ry も分からない。

宮城へ移った時に、これでようやく行けると含み笑いをしたものだが、
その次の日に、糞野郎が禁止リストのパチ屋に突入してくれていた。

俺が知るより先に、糞親父からその事で叱責の電話。
止めなかった俺も同罪だそうだが、そんなん知るか。
つーかテメェ、何故それを知ってる。どうやって知った。

後から知った事だが、糞親父は専門機関に依頼したそうだ。
『離れた地域での息子達の素行を細かく調べてほしい』と。
わざわざ興信所へ依頼したそうだ。探偵などではない。興信所である。
どんだけ本気なんだ。ってか、調べて何をする気だったんだ。

今となってはバツサンと浮気して開き直るクズ親父のみぞ知る。


……やっべぇ、また思考が脱線した。

506:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:43:33 ID:jGL0Va7A0
余計な思考を挟むまいとしても、単語から思い浮かべてしまう。

ストレスでぶっつんぶっつん切れてた時代よりマシにはなったが、
元々の脳ミソの作りのお陰で、我が脳内は落ち着く事がない。

今日は早めに行動だな、さっさと着替えて念願の吉野家に向かおう。
バスも調度出る。今はいい時間だ。
これを逃すと、街へ着くのは3時間後になる。

東京で、分単位で来るバスにはマジでビビった。
更に、その全てのバスに人がギュウギュウ詰めなのにも。







~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ピッピッピッ プルルップルルッ


('A`;)『兄者! 今どこ居んだよ!』

( ´_ゝ`)「迷った」

507:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:44:37 ID:jGL0Va7A0
('A`;)『病院の正面入り口から出て右に曲がればコンビニあったろ。
    そこの信号をまた右に曲がれば見えて来るんだってば!』

( ´_ゝ`)「ありがとう。鬱田の説明は、きっと判り易いんだと思う」

('A`)『褒めても何も出ねーぞ?』

( ´_ゝ`)「でも迷った」

('A`)『実は貶してるのか』

( ´_ゝ`)「コンビニってファミ○じゃないよね?」

('A`)『違う。ローソン』

( ´_ゝ`)「そうか。俺は何処にいると思う?」

('A`)『俺に聞くなよ、つか地元だろ』

( ´_ゝ`)「俺、こういうの、毎日行かないと地理覚えられないんだよね。
      昼と夕方と夜でまた道が全然違って見えるし、季節でも変わる。
      ぶっちゃけ建物一つ消えるだけでそれまでの道が判らなくなる」

('A`)『重傷じゃねーか』

( ´_ゝ`)「3Dのゲームでは迷わないのに、不思議だぜ」

508:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:45:45 ID:jGL0Va7A0
('A`)『どうすんだよ、俺はもう店の前にいるんだけど……』

( ´_ゝ`)「病院の前で俺が鬱田を待つ案はどうだ?」

('A`)『俺の負担が倍増しだな』

( ´_ゝ`)「昼飯奢るぜ」

('A`)『カーチャンへの持ち帰りも追加で』

( ´_ゝ`)「おう」


ブツッ


よし、一段落。いやあ、一時はどうなるかと思ったぜ。
鬱田の負担が倍増しどころか、累乗になったのはキニシナーイ。

さっき毎日行かないと道を覚えられないと言ったが、
ぶっちゃけ人の顔も毎日見ないと覚えられない。

記憶に染み付く程に印象が強ければいいんだがな。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

518:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:08:42 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「遅いぞ鬱田~」

('A`)「ふざけてんのか?」

( ´_ゝ`)「怒りで体暖まった?」

('A`)「ふざけてんのか」

( ´_ゝ`)「イントネーションが変わっただけで、言葉が何も変わってないぞ」

('A`)「いいやもう、寒い。一旦どっか入ろう」

( ´_ゝ`)「なら病院の食堂で食いながら話したらいいんじゃない?」

('A`;)「バカ! 病院でこんな話出来るか!」

( ´_ゝ`)「吉野家では出来る話なのか……」

('A`)「……家族連れがいたら出来ないかな」

( ´_ゝ`)「そういう配慮はあるのね」

('A`)「予想外みたいな言い方すんな」

吹雪で荒れる外で立ち話していても、何も始まらない。
取りあえず、俺らは近くのコンビニに入った。

519:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:09:46 ID:iH7GEoA20
('A`)「なんか暖かい飲み物買ってくわ」

( ´_ゝ`)「そうだなー、じゃあ俺はタクシーでも呼んでるわ」

('A`)「ああ…………………あぁ?」

( ´_ゝ`)「ん?」

('A`)「兄者、何で吉野家までタクシーで来なかったんだ」

( ´_ゝ`)「あ」


('A`)


( ´_ゝ`)






結果的に、俺達は無事吉野家へ辿り着いた。
タクシー台は無論、俺持ちである。

520:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:10:50 ID:iH7GEoA20


( ´_ゝ`)「へぇーここが吉野家」

('A`)「もしかして初?」

( ´_ゝ`)「うん、ただ想像してたよりも普通だな」

流石に、コピペ通りとまで想像してはいない。

店内は無音じゃなく、ちゃんとしたBGMが流れている。
客同士が飯を食いながら、互いにガンつけあってもいない。
コップが割れたり、皿が飛んだり、血飛沫が弾けたりもしない。

普通の定食屋のような雰囲気だ。


('A`)「どんな場所だと思ってたんだよ……」

( ´_ゝ`)「ほら、あの吉野家コピペ」

('A`)「ないから、少なくともあれは数年前のだから」

( ´_ゝ`)「それもそうだな」

規制が激しくなった今は、店内でそんな事は出来ないだろう。

521:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:11:39 ID:iH7GEoA20
全国チェーンどころか海を越えて国外に行ってるようだし、
ソマリアやヨハネスブルグでもない限りそうはならないか。

違うな。

ソマリアやヨハネスの場合は、出される肉が人肉なのか。
あそこだと、本当にありそうで面白い。


('A`)「何さっきから難しい顔したり笑ったりしてるんだよ」

( ´_ゝ`)「んー? あー、ただの思い出し笑いだ。気にすんな」

('A`)「早く店員来る前にメニュー決めとけ」

( ´_ゝ`)「鬱田はもう決めたのか?」

('A`)「もう決めた。この定食のセット」

( ´_ゝ`)「毎回早いよなーメニュー決め」

('A`)「そりゃな。俺、店員呼び出しボタンが無い店だと、
    大声出したり、手を振り上げて店員呼んだり、
    そういうの恥ずかしくてちょっと出来ないからな」

( ´_ゝ`)「恥ずかしいって何がだ、それくらいやれよ」

522:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:12:31 ID:iH7GEoA20
('A`)「そんな訳で早く決めるんだ兄者」

( ´_ゝ`)「鬱田が呼ばなくても、俺が呼ぶのに……いいや。
      この豚丼と、うな重と、サンマ定食ってのにする」

('A`)「食えんの?」

( ´_ゝ`)「朝飯抜いてきたから」

('A`)「よく食うなあ」

( ´_ゝ`)「それ内藤に言え」

('A`;)「うん、なんか、いつもは内藤の量が凄過ぎて、
    兄者もそれなりに食えるって印象がなかったわ」

( ´_ゝ`)「3kgの肉を余裕で食えるフードファイターと比べないでくれ」

メニューは結局、鬱田がどもりながら全て頼んだ。

異性相手だけじゃなく、同性でもアウトなのか。
鬱田のセーフの基準は一体何で判定されているんだろう。

523:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:13:16 ID:iH7GEoA20
食事が運ばれて来るまで、内藤が地域から全国的なフードファイターになり、
TV出演して、インタビューされた場合の未来予想図を話しながら過ごす。
結果は、マスゴミ嫌いの内藤がカメラを叩き割ると言う論が出て終わった。


( ´_ゝ`)「わーい、俺のが先に来た」

('A`)「なんか寄越せ」

( ´_ゝ`)「はい」

('A`)「漬物……」

( ´_ゝ`)「この場合、何もやらないのといらない物をあげるの、
      どっちが正しいの? 何が欲しいか言ってくれよ」

('A`)「出来ればそのうなぎが欲しい」

( ´_ゝ`)「嫌だ」

('A`)「うなぎの皮」

( ´_ゝ`)「いいよ」

ペリペリと小気味良く肉から剥がれず、ぐちょぐちょと剥がす。

その皮を、漬物を入れた皿に置いて鬱田のほうへ押したら、
鬱田は何故か眉間に少し皺を入れて、微妙な表情をしていた。

524:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:13:58 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「あんまり長いのは勘弁」

('A`)「店に着いたところ、くらいからでいい?」

( ´_ゝ`)「いいよー」

机の下で、こっそり携帯のボイス録音機能をONにする。


('A`)「店に着いて、長岡、俺を置いてさっさと先に頼んでさ」

( ´_ゝ`)「3Pしたかったのか」

('A`;)「違うよ!」

( ´_ゝ`)「なーんだ」

('A`)「その後、顔は普通だけど、空気が怖い人が来て、
   『こちらは初めてですか?』って聞かれたんだ」

( ´_ゝ`)「キョドってりゃ初めてだと思うだろうなあ」

('A`;)「うん、それで時間決めとか嬢の指名とか時間とか、
    色々聞かれた時に余計に応えて金取られたわ……」

( ´_ゝ`)「余計にって?」

525:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:15:06 ID:iH7GEoA20
('A`)「テンパって『はい、それでお願いします』しか言えなくなってて、
   気がついた時にはアナルファックOKの最長コースになってた」

( ´_ゝ`)「アホだろ」

('A`;)「否定しないよ……」

( ´_ゝ`)「嬢くらい指定したよな?」

('A`;)「指が震えてたし、写真もよく見れてなかったから、
    誰を指名したのか覚えてない。名前も覚えてない」

( ´_ゝ`)「鬱田……」

バカだなあと思いつつ、少し哀れにも思う。
長引くようなら、このまま夕食も奢ろうか。


('A`)「でも顔は可愛かったよ」

( ´_ゝ`)「よかったじゃん」

('A`)「案内された部屋も意外と綺麗だった。
   カラオケの部屋にベッド置いた感じ」

( ´_ゝ`)「へええ」

526:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:16:02 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「って事は、イリーガルでもなんでもなくて、
      結構いい店紹介したんじゃない? 長岡」

('A`)「俺もそう思う。それで嬢とのセックルなんだけど

( ´_ゝ`)「ちょっと待った」

('A`)「ん?」

(;´_ゝ`)「初体験の内容まで話すのか?」

('A`)「俺の話を聞いてくれるんじゃなかったのか」

(;´_ゝ`)「聞くとは言ったけどさあ……」

これを聞いたら、俺は8人の男の初体験を知ってる事になる。

なんで話すんだ? 恥がないのか? これはセーフなのか?
長岡や諸本、赤石とか糞野郎がアホだった訳じゃないのか?
もしかして、男は自分の初体験を友人に告白するのが普通なのか?
一般ステータスとして、俺も誰かに話すべきなんだろうか?

それこそ、便所の落書きにでもぶち撒けたらいいんじゃなかろうか。


( ´_ゝ`)「まあ、聞くと言ったからには聞くよ……」

527:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:16:52 ID:iH7GEoA20
('A`)「尻OKでやっちゃったから、嬢は尻突き出してきてさ」

( ´_ゝ`)「うん」

('A`)「『ローションはそこの戸棚にありますよ』って言われて、
   今更前のほうでお願いしますなんて言える勇気なくて、
   そのまま指にローション垂らして尻に入れたんだ」

( ´_ゝ`)「尻OKなだけで普通のもOKなんだから、
      マn、前で初体験しときゃよかったのに」

('A`)「そこら辺は後悔してもし足りない」

( ´_ゝ`)「それで?」

('A`;)「尻穴の力加減なんて全然分かんないから、
    切れ痔とかにさせたらいくら取られるか怖くて、
    とにかく力入れないようにゆっくりやってた」

( ´_ゝ`)「ほう」

('A`)「事務的な挨拶だろうけど、『上手ですね』
    って言われた時は嬉しかったわ……」

( ´_ゝ`)「ああいう店って、嬢を乱暴に扱う手合いも多いって聞いたぜ。
      ゆっくりやってたから優しくされてると思ったんじゃない?」

('A`)「そうなのか、ああ、成程……」

528:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:18:38 ID:iH7GEoA20
('A`)「でも、その時点でもう時間が半分しかなくて」

( ´_ゝ`)「どんだけ時間かけてんだ」

('A`)「1時間半で受付したから、45分くらい」

( ´_ゝ`)「わお」

('A`)「それで嬢に『舐めてみますか』って言われて舐めたり」

( ´_ゝ`)「よくその後に腹ぶっ壊さなかったな」

('A`)「ローションと石鹸の匂いしかしなかったよ」

( ´_ゝ`)「お味は?」

('A`)「ちょっと苦かった」

( ´_ゝ`)「腸液でも垂れてきてたんじゃないの」

('A`)「やめて」

529:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:19:25 ID:iH7GEoA20
('A`)「残り時間30分くらいのとこで、嬢にようやく
   『入れてもいいんですよ』って言われてさ」

( ´_ゝ`)「そういうのって嬢が言うんじゃなく、
      こっちから言うもんじゃねぇの?」

('A`)「俺もそう思ったけど、タイミングが分かんなくて……」

( ´_ゝ`)「初だしなあ。しかも尻か、濃いなお前の初体験」

('A`)「だよな。それで尻に俺の入れようとしたんだけど、
   ローションですげー滑って、時間が押してるのもあって、
   角度も合わなくて焦りまくって尻に全然入らなくって」

(;´_ゝ`)「落ち着けよ」

('A`)「嬢にも同じようなこと言われた」

( ´_ゝ`)「あー」

('A`)「ようやく入ったってなっても、ヤってる途中で抜けたりで、
    結局一回も出さないまま時間になって、全部終わった」

( ´_ゝ`)「散々だな」

('A`)「嫌ではなかったよ。すごく惜しいと思ってるだけさ」

530:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:20:07 ID:iH7GEoA20
('A`)「そして2万5千払って店を出ました。終わり」

( ´_ゝ`)「うん、頑張った」

('A`)「兄者はこんな話聞きながらよく飯食えるな」

( ´_ゝ`)「俺が飯を食えなくなるのはゲロ系の話題だよ。
      例え、ギャグでもゲロだけはマジで駄目だ」

('A`)「そんなにゲロゲロ言ってる癖に、箸は進んでるようですが」

( ´_ゝ`)「自分で言う分にはいい。でも想像させないでね」

('A`)「俺が今ここで吐いたらどうなる?」

( ´_ゝ`)「その吐瀉物にお前の顔面押し付けてやんよ」

('A`)「すみませんでした」

531:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:21:05 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「話も聞き終わったから、鬱田が食い終わったら店出るか」

('A`)「カーチャンに牛丼持ち帰りたい」

( ´_ゝ`)「いいよ、俺の奢りだから好きなだけ頼め」

('A`)「なら牛丼10個」

( ´_ゝ`)「持ち運べるならな」

('A`)「すみません」

(;´_ゝ`)「別に怒ってる訳じゃあ」

('A`;)「ごめん、こっちも本気で謝った訳じゃ」

(;´_ゝ`)「……」

('A`;)「……」


( ´_ゝ`)

('A`)

拍手


451:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:13:49 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「僕が導入部分を喋るから、食べながら聞けお。
      弟者もいることだし、難しいのは抜きで進めるお」

('A`)「はい」

(´<_` )「はいはい」

と返事をしつつ、二人の手がケーキの箱に向かって伸びた。
今は口直し出来るものが存在しないので、俺は伸ばさない。


 【3人は廃屋の入り口で笑いながらケーキを食んでいた。
  そこに、ボロ布を纏った一人の男が現れる。どうする?】


( ^ω^)「ではケーキ食ってない兄者から行動」

( ´_ゝ`)「廃屋への通路を開けつつ、バイトの後ろに下がる。
      ついでに男に向かって目星とか出来る?」

(´<_`. )「目星って何」

( ´_ゝ`)「よく見る事だよ」

(.'A`)「アバウトだけど大体合ってるってのが、もうね」

452:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:15:50 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「TRPGはフィーリングも大事だお」

( ´_ゝ`)「マジかよ俺一大事じゃん」

( ^ω^)「頑張って共感能力を高めろお」


【兄者の目星:初期値25→20 成功】

【ボロ布の下は、小奇麗なスーツを着ている事が判った】


( ´_ゝ`)「フーン、男との距離と、靴の汚れ具合は?」

( ^ω^)「靴には土が付着してるお、長い時間歩いたんじゃないかお?
      男との距離は今1D3でダイス振って決めるお……2mだおね」

( ´_ゝ`)「ほうほう」

(´<_` )「そんな事聞いてどうすんだよ」

( ´_ゝ`)「うっせぇ壁は黙ってろ」

(´<_` )「オイコラ」

453:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:17:00 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「では次にケーキ食ってる毒男と弟者」


【男は、二人の食べているケーキを物欲しそうに見つめている】


('x`;)「んむもももふ」

( ^ω^)「飲み込んでから発言しろお」

(´<_` )「じゃあケーキを男に向かって投げる」

( ^ω^)「リアルマン確定、なら投擲技能で振れお」

(´<_` )「え、これも技能なの? 2mしか離れてないんだよな?」

( ^ω^)「人が遠くの物に当てるには、それなりの技術が必要だお。
      とは言え2mだし、プラス補正してやるからダイス振れお」

(´<_` )「へーい……3」

( ^ω^)「サイコロで振ればそりゃクリティカルさもなるわな」


( #^ω^)「ってアホかあ!」

( ´_ゝ`)「内藤の方言出た、珍しい」

454:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:18:50 ID:/T9zBJ7c0
('A`)「俺は初めて聞いた」

( ´_ゝ`)「よかったじゃん」

( ^ω^)「外野は放って、こっちで振るんだお」

(´<_` )「何この細かいの」

( ^ω^)「はよロールするお」

(´<_` )「へいへい……えーと」


【弟者の投擲:初期値+補正50→97 ファンブル】


('A`;)「ふぁ、ファンブった」

(´<_` )「えっ」

(;´_ゝ`)「ちょ」

( ^ω^)「ふむ、ならば」


 【男に向かってケーキを投げつけようと勢いよく振り上げた腕は、
  後ろにいたヤクザの顔に当たった。その衝撃で、ケーキは落ちる】

455:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:19:47 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「技能:パンチ扱いとして、弟者ダメージロールどうぞ」

(#´_ゝ`)「ふっざけんな!」

(゚<_゚; )「うおっなんでこっちに殴りかかって来るんだよ!」

( ^ω^)「兄者が回避ロールに成功したら、なしとするお」

(#´_ゝ`)「全力で回避!」

(゚<_゚; )「俺もリアルで回避ロール振りたい!」

( ^ω^)「ふふ、ロールの意味が分かってきたんだおね。
      初心者の成長ってすごく微笑ましく感じるお」

(゚<_゚ #;)「そんな場合か!」

('A`;)「ケーキは!? 地面に落ちたって言ってないよね?」

( ^ω^)「毒男、お前はまた変なとこで……」

('A`;)「勿体無いじゃん! 落下中なら掴みに行く!」

( ^ω^)「あ、うん、ならDEX*5のロールに成功したらキャッチ」

456:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:21:13 ID:/T9zBJ7c0
ギャーギャー


( ^ω^)「4人しかいないのに、まさしくてんやわんやだお……」


【兄者の回避:50→2 クリティカル】


(*´_ゝ`)「やったクリったー! 反撃! 反撃!」

( ^ω^)「ファンブル攻撃の回避だから、反撃はなしだお」

( ´_ゝ`)「クソが」

( ^ω^)「リアルで反撃しとけお」

( ´_ゝ`)「よっしゃ」

(´<_`; )「やめろ!」

457:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:21:56 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「では次に毒男どうぞ」


【毒男のDEX*5:55→78 失敗】


('A`)「なん……だと……」

( ^ω^)「……ちょっと可哀想だから、地面に落ちたんじゃなく、
      毒男の頭の上にベショッと落ちた事にしてあげるお」

('A`)「すごい、全然嬉しくない」

( ^ω^)「それ程でも」

( ´_ゝ`)「大丈夫だ鬱田、リアルでのケーキは、
      地面じゃなくこいつの胃袋に落ちたぞ」

(´<_`; )「いでででで、もう頭にアイアンクローすんのやめて」

('A`)「釈然としない」

( ^ω^)「兄者の分のケーキでも食って機嫌治せお」

458:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:22:53 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「では」


 【3人の唐突な狂乱を見た男は、探索者らを白い目で見る。
  それでも、医者の頭の上にあるケーキが気になるようだ】


(´<_` )「んなに腹減ってんのかそいつ」

( ´_ゝ`)「鬱田がそいつに向かって頭ごと差し出せばいいんじゃね?」

('A`)「そんなに回復要員を消したいのか」

( ´_ゝ`)「だったら鬱田が地面に向かって技能:頭突きで攻撃、
      その反動で頭の上のケーキを男に飛ばすとかどうよ」

( ^ω^)「その場合、投擲技能もロールしないといけないお」

('A`)「お前ら」

(´<_` )「なんで普通に鬱田の頭に落ちた汚いケーキを、
      知らねぇ男に食わせる流れになってんだよ」

( ^ω^)「ノリだお、ノリ」

( ´_ゝ`)「え……割と本気で考えたのに……」

459:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:23:45 ID:/T9zBJ7c0
(´<_` )「つーか男だらけでむっせー空間だよなあ。
      こういうのに女キャラは出ないの?」

( ^ω^)「仕方ねーから同時進行するかお」


 【男の物欲しそうな視線に応えるかどうか話している探索者らの耳に、
  廃屋の中から悲鳴が聞こえた。入口付近にいたので全員自動成功】


('A`;)「状況が悪化した!」

(´<_` )「自動成功って?」

( ´_ゝ`)「あぁ゙? ダイス振らなくても自動で成功するんだよ」

(´<_` )「そのままだな」

( ^ω^)「そこの兄弟は危機感を持て、特に経験者」

( ´_ゝ`)「もう、こいつと一緒にTRPGってだけで諦めてるわ」

( ^ω^)「ドンマイ(笑)」

460:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:24:30 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「では、どうするかお? 話し合って決めるといいお。
      男の視線に対応するか、女の悲鳴に対応するか」

( ´_ゝ`)「分断は不味いよな、どっちにしろヤバい事が待ってるし。
      取りあえず俺と医者は一緒に行動だな、守るぜ鬱田」

(´<_` )「俺は?」

( ´_ゝ`)「お前の行かないほうに俺が行く」

(´<_` )「意地でもテメーに憑いてってやる」

('A`)「うーん、わざわざ別れなくてもいいんじゃないかな?
    3人だから、別れるとなると必ず孤立するキャラが出る」

( ´_ゝ`)「男女のどっちか見捨てるって事か?」

(´<_` )「男いらねーよ。見捨てるならそっちにしようぜ」

( ^ω^)「見捨てる場合は、それぞれがお察しの通りだお。
      男は探索者達がいなくなったの見て、場に放置された物を食う。
      女は悲鳴を上げる事になった原因に、廃屋の中で惨殺されるお」

('A`)「男がケーキ食った後は……」

( ^ω^)「お察しの通り」

('A`;)「うーん」

461:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:25:46 ID:/T9zBJ7c0
( ´_ゝ`)「ケーキごと持って行けばいいじゃん。
      そしたら男も付いて来て、盾が増える」

(´<_` )「そこまで腹減った奴なら、ケーキ持ってる奴が
      そいつに後ろから襲われんじゃねーのー?」

( ´_ゝ`)「なら最初の時点で俺らに向かって来るだろ」

(´<_` )「む」

('A`)「話の中のケーキは残ってるの?」

( ^ω^)「毒男の頭の上と、箱の中に一つだけ」

('A`;)「ううむ」

( ^ω^)「ケーキだけで成人男性3人の腹が膨れるとは思わないし、
      ついでに何か一人一つずつ持って来てる事にしてもいいお」

( ´_ゝ`)「林檎」

(´<_` )「酒」

(;'A`)「移動方法が車だったら飲酒は危ないよ」

(´<_` )「じゃあポカリ」

( ^ω^)「食べ物って限定するの忘れてたお。まあいいけど」

462:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:26:47 ID:/T9zBJ7c0
( ´_ゝ`)「酒だったら廃屋燃やせるじゃねーか。
      どうせなら火炎瓶も作れる酒にしようぜ」

(´<_` )「そういう兄者はなんで林檎なんだよ」

( ´_ゝ`)「リアルで目の前にあったから、なんとなく。それに、
      林檎を投げたら小石くらいのダメージにならない?」

(´<_` )「デカくて固いのだと小石どころじゃないだろ」

( ^ω^)「うーん、許可するお」

('A`)「俺は………………焼き鳥で」

( ^ω^)「すごい迷ったおね」

('A`)「いざとなったら焼き鳥の串で戦う」

(´<_` )「相手の腹筋にしかダメージ与えれねーよ」

('A`)「それでも闘う」

463:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:27:43 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「さーて、死ぬ準備は出来たかお?」

( ´_ゝ`)「は? 食べ物の準備が死ぬ準備なの?」

(´<_` )「マジで最期の晩餐だったのか」

( ^ω^)「3人の探索者が最初から携帯してる武器は、
      ヤクザが拳銃とナイフ、アルバイターが警棒、
      毒男がメスと注射器でいいおね?」

('A`)「注射器って武器だったっけ」

( ´_ゝ`)「空気注射で人殺せる」

(´<_` )「眼にでも刺して脳ミソまで貫通させれば?」

('A`)「やだ怖い、俺じゃそんな使い方は思い付かない」

( ^ω^)「そろそろ残るか行くか決めてくれお」

(´<_` )「女」

( ´_ゝ`)「食い物持って、女の悲鳴が聞こえたとこに行く」

('A`)「左に同じ」

464:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:28:37 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「追跡は……全員初期値だおね。うん。うーん。
      悲鳴が大きかったから場所を特定できたって事にするお」


 【それぞれの食べ物を持って、3人が廃屋の階段を駆け上がる。
  探索者らの後ろから男も付いて来ているようだが、どうする?】


( ´_ゝ`)「シカト」

(´<_` )「後ろから襲われないかちょっと気にかけとこ」

( ^ω^)「おっ、弟者いい判断だお」

(´<_` )「……マジで襲われるの?」

( ^ω^)「いやいや、クトゥルフTRPGではこの先生きのこる為に、
      不審な人物や物体は気にかけておいて損はないんだお」

('A`)「無駄に怪しい場所とかを気にし過ぎて、
    直視してSAN値削られる時もあるけどな」

(´<_` )「SAN値?」

( ^ω^)「それ最初にすごく説明したんだけどおおおおおお」

465:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:30:19 ID:/T9zBJ7c0
(´<_` )「おい兄者」

( ´_ゝ`)「なんだよ」

(´<_` )「SAN値って何」

( ´_ゝ`)「残ってる正気の値だよ」

(´<_` )「へええ、じゃあ兄者ゼロだな」

( ´_ゝ`)「言ったな、今度お見舞いに針仕込んであげる」

(´<_`; )「やめろ!」

( ^ω^)「はいはい、では」


 【探索者らは、悲鳴が聞こえた部屋の前に辿り着いた。
  立ち止った事で、後ろにいた男が君達に追いつく。
  男はどうやら小声でぼそぼそと喋っているようだ】


('A`)「俺は鍵開け持ってないから聞き耳する」

( ´_ゝ`)「俺も持ってねーから聞き耳」

(´<_` )「んー……なら俺は目の前のドアに鍵開けか」

466:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:31:17 ID:/T9zBJ7c0
【兄者の聞き耳:初期値25→90 失敗】

【毒男の聞き耳:50→79 失敗】

【弟者の鍵開け:60→81 失敗】


( ^ω^)「全員出目がデケえお」

('A`;)「グダグダになる予感……」

( ´_ゝ`)「もうとっくにグッダグダだよ」

(´<_` )「どうすんの」

( ^ω^)「全員ファンブルは出してないから、
      それぞれ再トライしても大丈夫だお」

('A`)「待て、部屋にいる女性はどうなってるんだ?」

( ^ω^)「さあ? 部屋の向こうから聞こえる音はないお」

('A`;)「まさかもう」

(´<_` )「えー間に合わなかったのかよー」

467:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:32:43 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「流石にもう死にましたってなるとアレだから、
      こっちはこっちで女性のダメージロールするお」

('A`)「死んではないのか」

( ^ω^)「これから死ぬかもしれないお」

( ´_ゝ`)「聞き耳初期値だから、次に失敗したら、
      すぐに扉を破れる準備しときたい」

( ^ω^)「組み付き最高値なのにどうすんだお?」

( ´_ゝ`)「ドアに組み付き」

( ^ω^)「オイ」

( ´_ゝ`)「引き戸とか詳しい説明しなかったじゃんか。
      ドアの出っ張りの部分持って、こう、持ち上げて外す」

( ^ω^)「却下」

( ´_ゝ`)「ならドアノブに組み付き」

( ^ω^)「永久に入れなくなる可能性があるお」

( ´_ゝ`)「仕方ねえキックと武道の準備しとく」

( ^ω^)「兄者も聞き耳くらい振っていいお」

468:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:33:36 ID:/T9zBJ7c0
【兄者の聞き耳:初期値25→58 失敗】

【毒男の聞き耳:50→88 失敗】

【弟者の鍵開け:60→69 失敗】


( ^ω^)「これは」

('A`)「もう駄目かもわからんね」

( ´_ゝ`)「蹴り開けるわ、お前も一緒にやれ」

(´<_` )「そういうの出来んのか」

( ^ω^)「二人が扉に与えたダメージを総合して、
      扉の耐久力を越えれば破れるとするお」

('A`)「扉の耐久力っていくつ?」

( ^ω^)「今2D6*2で決めるお」

('A`)「小さい数来て……」


【GM:扉の耐久力2D6*2→16】

469:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:34:29 ID:/T9zBJ7c0
('A`)「微妙にデカい……」

( ^ω^)「こんなとこでも出目が」

(´<_` )「にでぃーろくかけるにって何だよ」

( ^ω^)「最初の数がダイスを振る回数、Dはダイス、
      その次が振るダイスの種類とでも思えお」

(´<_` )「じゃあサイコロを2回振れって事か、英語みたいだな」

( ^ω^)「訳ワカメ」

( ´_ゝ`)「逆から読んで文にするのがそれっぽいって事だろ。
      そんなどうでもいい事より女のダメージロールは?」

( ^ω^)「このままだと話が進まなそうだからナシにするお」

(´<_` )「後ろの男はどうなってんの」

( ^ω^)「あ、忘れてた」


 【男は、3人が起こすそれぞれの奇行を黙って見ている。
  たまに、視線が食べ物のほうへと向いているようだ】

470:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:36:45 ID:/T9zBJ7c0
(´<_` )「男はブレねーな」

( ^ω^)「まあお」

( ´_ゝ`)「ドア蹴っ飛ばしていい?」

( ^ω^)「いいお」

('A`)「俺どうしよう、後ろの男に何かしたいんだけど」

( ^ω^)「出目が酷いから今度はファンブルやってもおかしくないお」

( ´_ゝ`)「鬱田って焼き鳥何本持ってきたんだ?」

('A`)「決めてなかった。1人2本食うつもりだったとして、
    合計6本持って来てたって事にしといてもいい?」

( ^ω^)「おっけーだお」

('A`)「男に一本手渡してみたい」

( ^ω^)「分かったお」

471:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:38:42 ID:/T9zBJ7c0
( ´_ゝ`)「串は危ないから肉だけ地面に落としたら?」

(´<_` )「地面に落ちたの食えってか」

( ´_ゝ`)「鬱田の頭の上のケーキを食いたそうにするなら、
      地面に落ちた焼き鳥くらいは余裕で食うだろ」

(´<_` )「そういう意味で言ったんじゃねーよ」

( ´_ゝ`)「どういう意味だよ」

( ^ω^)「はいはい人の心が判らない奴は置いといて、
      鬱田は本当に焼き鳥手渡しでいいのかお?」

('A`;)「2本の串から肉を外して、ハンカチとかに乗せて渡す」

( ^ω^)「ふむ、わかったお」


 【医者はハンカチに乗せた焼き鳥の肉を男に手渡した】


( ^ω^)「次は二人のキック+武道」

476:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:32:15 ID:caP.a.JA0
( ´_ゝ`)「俺の靴、ヤクザ的に安全靴って事にしてくれない?
      サイズ小さいしダメボないからちょっと不安なんだ」

( ^ω^)「許可するお、安全靴の耐久力は12だお」

( ´_ゝ`)「ドア攻撃すると減る?」

( ^ω^)「うーん、足に攻撃くらった時のみにしておくお」

(´<_` )「ダメボって何」

( ´_ゝ`)「ダメージボーナス」

(´<_` )「それ何」

( ´_ゝ`)「さっきからうっせぇなあ、何々だよ」

(´<_` )「お前の企みが成功したんだよ、喜べ」

( ´_ゝ`)「STRとSIZ足して2で割ったのが、素手攻撃に付加される」

(´<_` )「スルーかよ」

( ^ω^)「はいさっさと振れ」

477:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:33:14 ID:caP.a.JA0
ヽ(´<_` )「待って待って! それなら俺もジャンプしてキック」

( ^ω^)「うーん、いいお。成功したら1D6足すお」

(´<_` )「よくわからんけどダメ増えたならいいや」


【兄者のキック:60→60 成功
【兄者の武道(立ち技系):89→71 成功】

【弟者の跳躍:77→56 成功】
【弟者のキック:89→81 成功】
【弟者の武道:69→66 成功】


( ^ω^)「笑えるぐらい出目の全部が高いお。
      割と技能に振ってるから助かったお」

('A`)「不吉だなあ」

( ´_ゝ`)「それよりこの100面ダイス使うのやめない?」

(´<_` )「止まるのにスゲー時間かかるしな」

( ^ω^)「なら今から10面ダイス2個にするかお」

478:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:34:38 ID:caP.a.JA0
( ´_ゝ`)「つーかこのセッション、出目高いままずっと走るのか?
      低い数字が出たのは、俺が最初に振ったのだけだぞ」

( ^ω^)「その時はその時で、潔く諦めるとするお。
      ダメージロールするお。扉は回避しないお」

(´<_` )「してたまるか」

( ^ω^)「ではメンドくさいダメージ計算~。
      安全靴って1D6+1だったかお?」

( ´_ゝ`)「わかんねえ」

( ^ω^)「探すのも面倒だしこれでいいお……」


【兄者のキック+武道+安全靴:3D6+2→15】

【弟者の跳躍+キック+武道:3D6→11】


( ^ω^)「今回誰もダメージボーナスなくて簡単でよかったお」

('A`)「俺マイナスなんだけど……」

( ^ω^)「闘わずに逃げろお」

479:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:35:40 ID:caP.a.JA0
( ^ω^)「まず扉だおね」


 【ヤクザとアルバイターの放った強烈な蹴りにより、
  蝶番が弾け飛び、扉は轟音を立てて床に倒れた】


('A`)「部屋の中に目星する」

( ^ω^)「その前に男の行動だお」


 【男は医者の渡したハンカチごと焼き鳥を貪っている】


( ´_ゝ`)「喉に詰まる」

(´<_` )「そうだけどそこじゃねーよ」

( ^ω^)「詰まらせた様子はないおね」

('A`;)「あれ? マズったかな」

(´<_` )「そういや何で渡したんだ?」

('A`)「男の小声の聞き取りに失敗したから推測でしかないけど、
    食べ物を物欲しそうに見てるんだから『その食べ物をくれ』
    だと思ってさ。それ無視して攻撃されるのも嫌だし……」

480:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:36:50 ID:caP.a.JA0
( ^ω^)「一応当たってはいるお。今だから言うけど、
      男が欲しかったのは毒男の頭の上の物だお」

( ´_ゝ`)「道中ずっとケーキ頭の上に乗っけたまま来てたんだっけ」

(´<_` )「図にするとすごくシュールだな」

('A`;)「ティッシュで頭の上のケーキ取るわ……」

( ^ω^)「取ってどうするお?」

('A`)「男は食いたそうにしてる?」

( ^ω^)「まだ焼き鳥とハンカチを食べてるおね。
      食べ終わったらまた食べ物を欲しがるお」

( ´_ゝ`)「そのティッシュさ、偶然装って床に落とせばよくない?
      部屋の中の敵から逃げないといけないかもしれんし、
      その時に敵の足止めになるようにすればいいじゃん」

('A`)「クズい」

(´<_` )「俺もこの先生きのこりたいから同意」

('A`)「えー、うーん。偶然を装うのに何かロールって必要?」

( ;^ω^)「普通にティッシュで頭の上からはたき落とせばいいお」

481:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:37:34 ID:caP.a.JA0
( ^ω^)「では部屋の中」


 【部屋の隅には、女性が腕から血を流して座り込んでいる。
  その視線は部屋の中央に『浮いたナイフ』に向けられている】


(´<_` )「浮いてるって、糸で吊ってるとかじゃなくて?」

( ^ω^)「何もないお。浮いてるお」

(´<_` )「磁石とか」

( ^ω^)「不可思議な力で浮いてるお」

(´<_` )「マジックソードか」

( ^ω^)「う、ん? そんな物だおね」

( ´_ゝ`)「女ってそろそろ死にそう?」

( ^ω^)「血を流しているけど、量はそれほどでもないお」

(´<_` )「応急手当しとくわ」

( ^ω^)「初期値でかお」

482:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:38:16 ID:caP.a.JA0
( ´_ゝ`)「俺も応急手当なんて持ってねーし、部屋に目星」

( ^ω^)「目星するまでもなく汚いベッドルームだお」

( ´_ゝ`)「お前ダイス結果考えるの面倒になってきたな」

( ^ω^)「出目高いから常にファンブル結果考えないといけないとなると、
      アドリブも糞もなくなるんだお。ファンブルは確かに面白いけど、
      こうも失敗とファンブル続いたら、話は詰まるだけだお……」

( ´_ゝ`)「俺はもう最初から諦めてるよ」

( ^ω^)「僕は割と最初からやる気はないお」

('A`;)「えー」

(  ´_ゝ)「だって、さあ?」

(´<_` )「なんで俺を見る」

( ´_ゝ`)「ねえ?」

('A`)「俺に話を振らないでくれ」

483:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:39:04 ID:caP.a.JA0
( ^ω^)「そろそろナイフとの戦闘に移るけど、
      各自準備は大丈夫かお? 特に毒男」

('A`)「俺、部屋に入らないで男の相手しとく」

( ^ω^)「了解だお。では兄弟、戦闘に入る前に何かあるかお?」

(´<_` )「透明人間がナイフ持ってるって線はないん?」

( ^ω^)「ないお。浮いてるお」

( ´_ゝ`)「ベッドルームだったら布団あるよな?
      その布団を腕に巻きつけてナイフに備える」

( ^ω^)「おっけーだお、弟者は?」

(´<_` )「あ、女で思い出したんだけどさ」

( ^ω^)「なんだお?」

(´<_` )「前の説明の時にAPPが高ければ高い程、
      相手に言う事聞かせられるってあったよな」

( ^ω^)「どんな恐ろしい解釈だお。確かに、
      やりようによってはそれもあるけれど」

484:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:40:18 ID:caP.a.JA0
(´<_` )「こういう危険な場所で、うっかり恋しちゃう症状って、
      何効果って言うんだったっけ? ちゃんとあったよな」

( ´_ゝ`)「吊り橋効果」

(´<_`* )「そう! それそれ! それやりたい!」

( ^ω^)「一応聞くお。誰に?」

(´<_` )「女に」

( ^ω^)「うーん、APP*5のロールに成功したらいけるお」

(´<_` )「それの成功確率上げたいから、兄者も一緒に」

( ´_ゝ`)「へっ?」

( ^ω^)「は?」

(´<_` )「ほら顔で女にゴリ押ししようぜ」

( ^ω^)「もう好きにしてくれお」

('A`)「シナリオ崩壊の予感」

485:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:41:31 ID:caP.a.JA0
( ^ω^)「兄者と弟者のAPPを足して、それに5をかけるお。
      それに成功したら女は恋したような感覚に陥るお」

( ´_ゝ`)「自動成功じゃね?」

( ^ω^)「5は盛り過ぎだおね。3にするお」

(´<_` )「99だな」

( ^ω^)「やっぱ2で」

(´<_` )「モテない奴の僻みが辛いぜ」

( ^ω^)「世の中に自動成功なんてないお」

(´<_,` )「兄者と歩いてたら逆ナンされた事あるぜ。
      何もしてないのに向こうから来るってのは、
      自動成功であってんじゃないのー?」

( ^ω^)「世の中は理不尽に満ちているお」

( ´_ゝ`)「あれって絡まれてたんじゃなかったのか……」


【兄弟の合計APP*2:66→51 成功】

486:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:42:39 ID:caP.a.JA0
('A`)「うわぁ、成功しちゃった……」

( ´_ゝ`)「もうどうでもいい」

(´<_` )「よっしゃ!」

( ^ω^)「えー、ではその女性は吊り橋効果により、
      クズ二人に恋心のようなものを抱きますお」

(´<_` )「兄者3Pしようぜ!」

( ´_ゝ`)「俺は前がいいな」

(´<_` )「俺は突っ込めるならどこでも」

( ^ω^)「言っておくけど、NPCは全部僕がやるんだお?」

(´<_` )「それはそれで面白いだろ」

( ´_ゝ`)「そういやここベッドルームだったな」

( ^ω^)「お前ら僕の喘ぎ声そんなに聞きたいのかお」

487:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:44:09 ID:caP.a.JA0
('A`)「なんかもう駄目だコレ」

( ^ω^)「だおね」

('A`)「ボイレコのスイッチ切るわ」

( ^ω^)「おう」


ブツッ








26.糸冬


拍手

415:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:18:44 ID:fCGs63cw0
26.はみ出し者共の老いらく



生臭い。魚類臭さじゃなく獣肉の臭さ。
流石にこんな悪臭の中で眠れはしない。

眠れる奴は鼻が麻痺してる奴か、鼻が無い奴だ。
悪臭の中で眠る趣味のない俺は、目を開ける。


( ´_ゝ`) パチッ


(^ω^ )「ぐーてんたーく」


 (  ´_ゝ) (ω^  )


目覚めた瞬間、男友達の顔面どアップがあった場合、
脊髄反射で殴り飛ばしても許されると俺は思うんだ。

416:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:20:23 ID:fCGs63cw0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

417:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:21:10 ID:fCGs63cw0
ベッドから起き上がらずに、周囲を見渡す。
下に落ちてたゴミは、素直に下の布団で腐っていた。


( ´_ゝ`)「それで、何しに来たんだって?」

('A`;)「ここの病院、ゲーム機の持ち込み禁止って聞いたからさ。
    代わりって言っちゃなんだけど、TRPGで遊ぼうと思って」

鞄からずるっと分厚い本を取り出す鬱田。鞄が目に見えてへこむ。

寄りによって、初心者にパラノイア原本とクトゥルフのルルブである。
厚い本と活字に拒否反応がある底辺の眉間に、無言で皺が寄った。

こいつに布教なんてできるわけがないのに、何考えてんだ?

 _, 、_
(´<_` )「これなんなん?」

('A`)「ルールブック」

(´<_`; )「どんなゲームだよ……」

( ^ω^)「斜め読みっつーか流し読みでいいお」

つっても読む訳がない。どうする気なんだ。

418:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:21:57 ID:fCGs63cw0
( ´_ゝ`)「説明してる間、寝てていい?」

('A`)「出来れば兄者にはずっと起きててほしいかな。
    あと、このセッションは録音するつもりなんだ」

( ´_ゝ`)「えっマジ?」

('A`)「うんマジ。俺らならともかく弟者……君、みたいな人って、
    どんなプレイすんのかなって興味湧いて、今後の研究の
    参考資料になればいいと思ってボイレコ用意してきた」

( ´_ゝ`)「こいつでなくても、その辺にいるじゃん」

('A`;)「変に絡まれて金取られたら怖い」

( ´_ゝ`)「それもそうか」

道端にうんこ座りしてる奴らにこんな事を話しかけても、
一笑に伏されてカツアゲに持ち込まれて終わりだろうな。
攻撃できない状態にあるこの獣は、いい研究対象になる。


(´<_` )「参加料貰えるの?」

( ^ω^)「やらねーお」

('A`)「クリアした時用にお菓子は持ってきたけど……」

419:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:22:39 ID:fCGs63cw0
(´<_` )「えーマンドクセ、何かの勉強でもないのに、
      こんな分厚い本とか絶対読む気しねー」

('A`)「あ、読まなくていいよ。概要だけ説明する」

( ^ω^)「電気使わないロープレだと思えばいいお」

(´<_` )「わからん」

('A`)「はいキャラシ」

(´<_` )「なんコレ」

('A`)「はい」

( ´_ゝ`)「ほーい」

先にダイスとシートだけ受け取って、自分のキャラを作成する。
どうせ後から面倒になった奴に絡まれて、時間が押すだろうしな。

大体の説明は、二人に任せてしまおう。
覚える気のない奴に、物を教えるのは酷く疲れる。
ちまちまと横から口を挟みながらダイスを振った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

420:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:23:31 ID:fCGs63cw0
(´<_` )「ダイスで全部決めるってのだけは分かった」

( ^ω^)「今までの僕の説明は全部どこに消えたんだお」

(´<_` )「この紙にダイス振って出た数字書けばいいんだよな?」

( ^ω^)「それ以外に、何か覚えてないかお?
      特にダイスの出目に関する事で、何か」

( ´_ゝ`)「ゴネ得」

(´<_` )「出目が悪けりゃゴネれば得する」

( ^ω^)「させねぇ、お前ら二人はアグレッシブに殺しに行くお」

(´<_` )「ひでぇ」

( ´_ゝ`)「殺意高めで来るの?」

( ^ω^)「邪神ぶつけてやんお」

(´<_` )「えー倒せねーじゃん」

421:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:24:55 ID:fCGs63cw0
( ´_ゝ`)「あれ、内藤がKP?」

(´<_` )「きーぱー? ゴールキーパー?」

( ^ω^)「本当に話聞いてないおね……TRPGの進行役の事を、
      KP(キーパー)って言うんだお。こんなの相手に毒男が
      強めに出れるわけないし、僕がKP肩代わりしてやるお」

(´<_` )「お前を倒せばいいのか」

( ^ω^)「聞けお」

( ´_ゝ`)「あ、実際そんなに間違ってなくね?」
  _, 、_
( ^ω^)「お?」

( ´_ゝ`)「倒せない敵っつか、強敵が出た時とかは、
      KPにリアル言いくるめとかする訳だしさ」

( ^ω^)「確かに間違ってないお」

( ´_ゝ`)「敵NPCに攻撃宣言するよりKPに精神攻撃したほうが早いし」

( ^ω^)「訂正を要求するお」

(´<_` )「内藤にダイレクトアタックすればいい訳か」

( ^ω^)「やめろ」

422:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:26:16 ID:fCGs63cw0
(´<_` )「結局どうすりゃいいんだよ」

( ´_ゝ`)「だからさー『目の前に鍵の掛かったドアがあります。
      それを開けますか、開けませんか?』っつーのを、
      繰り返して話を進めていくのがこのゲームだっての」

(´<_` )「ドア破るって選択肢は?」

( ´_ゝ`)「できるよ、攻撃技能の何かでダイス降れば」

(´<_` )「へー出来るのか」

( ^ω^)「怪しいと思うNPCをいきなり蹴っ飛ばす事も可能だお。
      味方だった場合はそれ相応のペナルティが来るけどお」

(´<_` )「フォールアウトみたいなモンか」

( ^ω^)「お、言われてみれば」

(´<_` )「スカイリムみたいに結婚も可能?」

( ^ω^)「ホラー物で恋愛フラグは死亡フラグに変わるから、
      その辺はあまり乱立させないで行こうと思ってるお」

( ´_ゝ`)「別によくね? そのフラグをNPCに擦り付ければいいじゃん」

( ^ω^)「清々しい程のクズプレイだお」

423:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:27:45 ID:fCGs63cw0
( ´_ゝ`)「クズくないとこの先生きのこれる気がしない」

( ^ω^)「悪人は制裁するお」

(´<_` )「じゃあヒーローやってみっか」

( ^ω^)「僕は良い人が理不尽に死ぬホラーが好きだお」

(´<_`; )「どっちにしろぶっ殺されんじゃん」

( ´_ゝ`)「なら中堅で、凡人?」

( ^ω^)「一般人はモブとして巻き込み滅殺」

('A`;)「要は殺したいのね」

( ^ω^)「途中でキャラクターシートを一枚も消費しないクトゥルーは、
      ホラーじゃねぇと僕は思ってるお。人死にが起きてこそだお」

( ´_ゝ`)「わあ」

(´<_` )「つか内藤が進行するなら俺ら勝てないし」

424:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:28:50 ID:fCGs63cw0
( ^ω^)「その辺は安心するお。ファンブルしない限り、
      積極的にダメージロールはしない方向で行くお」

( ´_ゝ`)「ああ、ファンブルやったら死を覚悟しろって事か」

(´<_` )「ファンブルって何」

( ´_ゝ`)「……俺に聞いてんの?」

(´<_` )「他に誰がいるんだよ」

( ´_ゝ`)「致命的失敗」

(´<_`# )「はあ!?」

('A`;)「お、弟者君、ファンブルは致命的失敗であってるよ」

(´<_` )「あ、そうなのか」

( ´_ゝ`)「……」

425:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:30:15 ID:fCGs63cw0
( ^ω^)「弟者が話を殆ど聞いてない事が判った今は、
      さっさとこのダイス振ってキャラ作るがいいお。
      このままだと日が暮れても終わりそうにないお」

(´<_` )「わー紙見てもわかんねー」

( ^ω^)「もう出た数を順に書いてけお」

(´<_` )「なんだこのCONとかAPPとかPOWって」

( ^ω^)「振り出しよりも前に戻っただと……」

(´<_` )「STRとかINTはなんとなく力と知識ってわかるけど、
      他んトコ全然わかんね。おい日本語で書いてくれ」

( ´_ゝ`)「また俺?」

(´<_` )「他に誰がやるんだよ」

( ´_ゝ`)「別に……いいけどさ」

紙とペンを受け取って、略称英語の横に訳を書いて行く。

少し高校の頃を思い出した。
向かい合わせに座らされて強制的に勉強させられてる時、
よくしつこく鬱陶しく腹立たしく問題の答えを聞かれたっけ。

426:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:32:36 ID:fCGs63cw0
最初はあいつの益になる事なんてしてやるものかと無視したが、
対面の方で全力で笑わせようとしてきやがって、ウザかったから、
俺が相手のノートやプリントの隅に答えを書いたんだった。

まあ、高校以外では対面の席にすら着かせなかったからな。


( ´_ゝ`)「ほらよ」

(´<_` )「サンキュ」

(^ω^ )「……」

(;´_ゝ`)「んだよ、顔近ぇぞ」

(^ω^ )「や、僕はてっきり、その紙で鼻先をシュッとか、
      そのペンを手にぶっ刺すのかと思ってたから」

('A`;)「発想が怖い」

(´<_` )「兄者だったら鼻先で済まさねーよ。
      ガチで眼球狙って来るぞ、マジで」

( ´_ゝ`)「お前らそんなに実現されたいか」

427:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:34:10 ID:fCGs63cw0
( ^ω^)「ぶっちゃけ、素直に書くとは思ってなかったお」

(´<_` )「ああ俺も」

( ^ω^)「紙が破かれるとか考えないのかお」

(´<_` )「拒否ると思ってた」

( ^ω^)「拒絶のされ方を考えろお」

(´<_` )「なんでそんなこと考えなくちゃいけないんだよ」


('A`)「兄者、この状況に何か一言」

( ´_ゝ`)「んー?」

('A`)「あの二人、その内ぶつかりそうだから」

( ´_ゝ`)「そうなん? じゃあ」

428:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:37:21 ID:fCGs63cw0
( ´_ゝ`)「えぇと、俺としては、今すぐ答えを教えてやったのは、
      小さい頃からの俺の陰湿な企みの積み重ねだよ。
      自分では何一つ考えず、すぐ問題の解答を人に求め、
      面倒な事や嫌な仕事を対人関係に諍いが起きないように
      上手く人に押し付ける事すら覚えず、要領も頭も悪く、
      お先真っ暗な駄目人間街道を突っ走る下半身直結野郎。
      そんなクズになってくれて本当にありがたいよ。弟者」

(゚<_゚  )

(^ω^ )

('A`;)「えっ?」

( ´_ゝ`)「へ?」

(´<_`; )「マジかよ、あの時から妙に優しいと思ったら、
      そんなこと企んでやがったのか……」

(^ω^ )「兄者マックロクロスケだお~」

('A`;)「そういう言葉は望んでなかった……」

( ´_ゝ`)「あっれぇ?」

俺としては口から滑り出た出任せもいいとこだったんだけど、
この状況だと真実になるのか。面白いから訂正はしないが。

429:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:38:45 ID:fCGs63cw0
その後、なんだかんだでキャラ作成終了。
初心者がいるので、今回は取得技能に制限なし。
俺はチビのムキムキで教養のないイケメンになった。

ダイスの女神様によって出た特徴的な数値を抜粋すると、
高いのはSTR(筋力) 17、CON(タフさ) 15、APP(魅力) 17、
低いのがSIZ(体格) 7、EDU(教養) 9、となってしまった。

これはどう見ても戦闘、肉壁要員だな。
ゴミを庇うのは有り得ないから、鬱田しか守らないが。


('A`)「うん、まあ、その」

( ^ω^)「冗談はここまでにして、始めるかお」

( ´_ゝ`)「やっとか」

( ^ω^)「誰の所為だと……あ、兄者の所為ではないおね」

(´<_` )「俺だな」

( ^ω^)「どうせ無駄だから反省は求めないお」

('A`)「誘ったのこっちだしね」

( ^ω^)「もうやりながら覚えて行けばいいお」

430:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:39:55 ID:fCGs63cw0
( ´_ゝ`)「んじゃ、そろそろ録音スタート?」

('A`)「もうしてる」

(;´_ゝ`)「マジで」

( ^ω^)「ああ、僕が殴られて後ろに吹っ飛んだついでに、
      機械にぶつかって衝撃で録音スイッチが入ったお」

(;´_ゝ`)「マジか」


('A`)「シナリオは?」

( ^ω^)「適当に、『悪霊の家』と『もっと食べたい』を合わせるお」

(´<_` )「どういうのだそれ」

( ^ω^)「初めての奴には説明しようがないお」

('A`)「スプラッタホラーな感じだよ」

(´<_` )「クトルーって全部ホラーじゃねーの」

(;'A`)「うーんと……」

( ^ω^)「説明しようがないってばお」

431:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:42:38 ID:fCGs63cw0
( ^ω^)「僕らが来てから、無駄に一時間も過ごしたお!
      もうこうなったら話の展開も急ピッチで行くお!」

( ´_ゝ`)「俺らがついて行ける程度にね」

( ^ω^)「まずは作成した探索者の自己紹介、どうぞだお!」

(´<_` )「誰から?」

( ´_ゝ`)「なら時計回りで俺から」

( ^ω^)「カモンベイベ」

( ´_ゝ`)「チビで脳筋のイケメン。成人。職業はヤの人。
      性格とかロールプレイ面倒だから俺と同じで。
      特技は登攀、組み付き、武道の立ち技系」

('A`)「そういう言い方をするなら、俺は頭デッかちで、
    ガリガリでヒョロくて精神薄弱でブサメンの

( ^ω^)「自虐はそこまでにするお」

('A`)「お前のその言葉、俺に対する慰めでもなんでもなくて、
    純粋に心にダイレクトアタックかましてくれたんですが」

( ^ω^)「おっと、すまんお。続けて続けて」

面白半分で鬱田のダメージロールを1D100で振ったら、
9回くらい連続でショック死できる数字が出た。
これは流石に可哀想だからやめておこう。

432:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:44:24 ID:fCGs63cw0
('A`)「えー……ブサメンです。成人。職業は医者。
    特技は精神分析、応急手当、説得、パンチ」

( ´_ゝ`)「ステータス的に見てヒーラーなのはわかるよ。
      ただ、説得中に拳が一緒に出る未来が見える」

(´<_` )「せっとくかっこぶつり……兄者がよくやってるな」

( ´_ゝ`)「やってやろうか?」

(´<_` )「今はやめろ」

('A`)「ロールプレイは今回やらない方向で行くよ」

( ^ω^)「キャラ付け考えるのって面倒だものね」

( ´_ゝ`)「変に愛着湧かせると、死ねなくなるしな」

( ^ω^)「死ぬの前提で進めるなお」

( ´_ゝ`)「いやいやいや、前にすげぇ面倒な奴がいたじゃん。
      死にたくなくてKPに高圧的になるどころか号泣した奴」

( ^ω^)「ああ、そういや大学でそんな事もあったおね……
      あれはファンブル連発し過ぎてどうしようもなかったお」

433:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:45:30 ID:fCGs63cw0
(´<_` )「全然話についてけねーんだけど」

( ^ω^)「おっと、ごめんお」

(´<_` )「そういやお前ら大学ってどうなったん?」

( ´_ゝ`)「震災来てから休学してたのに糞親父が浮気しやがって、
      離婚や家督相続でゴタゴタしてる間に金の払いが遅れて、
      いつの間にか大学中退してたぜ。本当やってらんねぇ」

( ^ω^)「両親死んだから辞めざるをえなくなったお」

('A`)「俺は休学してから転校……って脱線してる」

( ^ω^)「積もる話は後にして、弟者さっさとどうぞだお」

(´<_` )「うーい、俺は身長が高いガリのイケメンだな。
      大人でアルバイター。お先真っ暗で笑えるーぅ。
      んでもって特技は蹴りと、忍び歩きと……」

( ^ω^)「どうしたお」

(´<_` )「漢字が読めねえ」

( ^ω^)「オイ」

434:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:47:32 ID:fCGs63cw0
(´<_` )「これ何て読むんだ?」

( ´_ゝ`)「何でわざわざ向かいの俺に聞くんだテメェ。
      隣に座ってる鬱田か内藤にでも聞けや」

(´<_` )「うるっせ教えろ」

( ´_ゝ`)δ「跳躍、やーいバーカ」

(´<_` )「それってどういう意味だ」

( ゚A゚)

( ;^ω^) oh...

( ´_ゝ`)δ「俺のハンドサイン? 漢字の意味?」

(´<_` )「そんな指どうでもいい。漢字」

( ´_ゝ`)「お前、分からないのにその技能取ったのか」

(´<_` )「なんか強そうじゃん?」

435:名も無きAAのようです:2013/02/21(木) 20:48:21 ID:fCGs63cw0
( ´_ゝ`)「跳躍ってただのジャンプだぞ」

(´<_` )「えーマジ? 飛ぶだけ?」

( ´_ゝ`)「飛ぶだけ。電気式のゲームじゃねえんだし、
      使おうと思えば好きな所で好きに使えるだろ。
      お前のその頭じゃあ、色々と無理そうだけどな」

(´<_` )「言ってろ」

( ^ω^)「ここだと思った時に跳躍使うって宣言すればいいお」

(´<_` )「だったら跳躍でジャンプしてから蹴りで兄者にライダーキック」

( ^ω^)「いくらなんでも無茶振りし過ぎるのはシカトするお」

(´<_` )「どケチ」


('A`;)「兄者は心配にならないの?」

( ´_ゝ`)「何が」

('A`;)「弟の学力」

( ´_ゝ`)「んなモン、数学の”素数”を”素敵”と読み間違えて、
      前衛的な解答提出してからとっくに見切ってるわ」

445:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:06:41 ID:/T9zBJ7c0
( ;^ω^)「IQの問題は置いといて、シナリオ始めるお」

('A`)「導入はどんな感じ?」

( ^ω^)「やる気のない初心者もいるから、サクッと行くお。
      だからアレンジも大分多くなると先に言っとくお」

(´<_` )「なんか食いたい」

( ^ω^)「始めようとした途端これかお……」

(´<_` )「お見舞いの食い物ぐらい出せコラ」

(;'A`)「じゃあ、クリアした時用の賞品を半分」

ごそごそと鞄を漁って、ラグ○オのロゴがついた箱を取り出す。
へこんでるように見えたのに、どうなってるんだ鬱田の鞄。


(´<_` )「ケーキか」

( ´_ゝ`)「こっちを賞品用に残しといたほうがよくね?」

('A`)「早めに食べないと悪くなるから……」

最初にクリアした時用っつってたのに。まあいいか。

446:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:08:22 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「ちゃんと人数分あるお~」

('A`)「好きなの持ってって」

( ^ω^)「調度いいから、導入もおやつ時からにするお」

( ´_ゝ`)「お、いいんじゃない?」

( ^ω^)「えーと、じゃあお」

 【場所は八甲○山の麓にある、寂れた廃屋。
  3人はその近くで三時のおやつを楽しんでいた】

( ^ω^)「で、どうだお?」

( ´_ゝ`)「突っ込み待ちが露骨過ぎるぜ」

('A`)「八○田山雪中行軍でも挑発しに行ってんのか」

(´<_` )「あそこ昼でも見えるって噂あったからスゲー期待して、
      兄者引っ張って行ったのに、観光客しかいなかったぜ」

( ´_ゝ`)「そうだなあ。軍人のコスプレしてる人が普通に写真撮ってたり、
      夏の終わりって季節もあって、山自体は全然怖くなかったな」

(´<_` )「ちげーよそれモノホンじゃねーか俺見てねーよ教えろボケ」

447:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:09:31 ID:/T9zBJ7c0
( ´_ゝ`)「あんなハッキリした幽霊いるかボケ。
      幽霊なら幽霊らしく、素直に霞んでろ」

( ^ω^)「おい脱線した話進めんなお」

( ´_ゝ`)「あ、すまん」

( ^ω^)「では再開」

('A`;)「いやおかしくない? ブーンの話も」

( ^ω^)「どの辺が?」

('A`)「全体的に」

( ^ω^)「アバウトだお」

('A`)「まず人間関係から、次に場所、時間、ケーキ」

( ^ω^)「テンプレだと学生時代からの知り合いだけど、
      それじゃ普通過ぎてつまらんし、どうすっかお」

('A`;)「王道と言う名のテンプレにしとけばいいのに」

448:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:10:23 ID:/T9zBJ7c0
(´<_` )「医者とヤクザとアルバイトの関係か……分かった。
      俺がなんかでヘマやったから山に連れてかれて、
      これから埋められるんだな、医者は実は闇医者と」

( ´_ゝ`)「へー……」

( ^ω^)「中々いいおね。ケーキは最期の晩餐だお。
      食べ終わったら、早速埋めるとするかお」

(´<_` )「やめろ」

( ^ω^)「窒息のダメージロール振れお」

(´<_` )「やめろって」

( ^ω^)「冗談だお」

(´<_`; )「なら俺にダイス渡すなよ」

('A`;)「……」

( ^ω^)「他にないならこのまま進めるお、いいかお?」

449:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:11:32 ID:/T9zBJ7c0
( ´_ゝ`)ノ「ハイハイ俺も考えたぞ! 廃屋で過去に自殺した女がいて、
       その女に喧嘩売る為に3人でこんな場所でケーキ食ってる。
       動機はブチ切れた幽霊が出て来て心霊写真を撮れないか。
       アルバイターは借金してて圧迫から逃れる為、酒に逃げた。
       結果としてアル中になってしまい、彼は病院に通う事になる。
       それを担当する主治医の医者、鬱田。借金取りのヤクザ、俺。
       意気投合してしまったのは、居酒屋でたまたま3人が出会い、
       それぞれの愚痴や不満をダベってる内にいつの間にか悪友化。
       全ての原因は酒。酒に始まり酒に終わる。どうよ俺の話!」
 _, 、_
(´<_` )「はぁあ?」

('A`;)「そっちのほうがどうかと」

( ^ω^)「採用」

(゚<_゚; )「「マジで!?」」(゚A゚;) ( ´_ゝ`)「マジで?」

( ^ω^)「弟者のより、兄者のほうが協力体制を敷きやすいお」

('A`)「そういう理由か、成程」

(´<_` )「えー、いいだろヤクザが脅して従わせるとかで」

( ^ω^)「ンな事にしたら兄者が本気で殺しに来るから、
      クトゥルフじゃなくてパラノイアになっちまうお」

450:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:12:50 ID:/T9zBJ7c0
( ´_ゝ`)「大丈夫、殺しはしない」

('A`)「おお」

( ^ω^)「あら意外」

( ´_ゝ`)「肉壁は多いほうがいいもんね」

('A`)「おお……」

( ^ω^)「通常運行だったお」

(´<_` )「こいつがこうじゃなかったら、何か企んでる時か、
      何かが原因で人格ぶっ壊れてる時だけだっつの」

( ^ω^)「それもそれでどうかと思うお」

('A` )「人格崩壊しないと優しくならないのか」

( ´_ゝ`)「なんだその視線」

('A`;)「いや別に」

( #^ω^)「あーもう、進まないから兄者の設定で強引に進めるお」


→後編

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拍手

391:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:38:17 ID:/Sp4eqjE0
25.波動ベクトルが行き着く場末感って



最近の、怒涛の見舞い(?)ラッシュも控えめになった。

糞関係の男友達が何故か一人も来ないところを見て、
林檎を剥きつつ一人含み笑いをするのも飽きて来た。

鬱田はこっちから連絡するのもアレなので、
相手からのメール待ち、出方待ちとしている。

しかしあれだ。笑いを堪えているせいで、
林檎が上手く剥けない。ナイフが滑る。


(´<_`# )「お前、それで笑い堪えてるつもりじゃねーよな」

(;*´_ゝ`)「えっふぇ? 何が」

392:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:40:27 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「さっきまで体丸めて腹抱えて床転げ回って、
      死に損ないの虫みてーに痙攣しててさあ」

( ´_ゝ`)「俺そんなに笑ったっけ」

(´<_`; )「笑ったっつの、いきなり何の脈絡もなく」

( ´_ゝ`)「覚えてねえ」

(´<_` )「さっきからそのふじ全然むけてねーだろが、
      なんなの? まだ皮だらけなんですけど?
      仮性包茎ってか真性包茎のレベルだぞ」

( ´_ゝ`)「まずはテメーのを輪切りにすっぞコラ。
      このナイフ慣れないから滑るんだよ」

(´<_` )「林檎むいてくれるってとこまではスゲー……こう、
      感動してたのに、散々じゃねーか、どうしてくれんだ」

( ´_ゝ`)「何がだよ」

(´<_` )「俺のお前への期待だよ」

( ´_ゝ`)「ウジにでも喰わせとけ」

393:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:41:11 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`# )「もういいわ、俺がやる」

( ´_ゝ`)「へいよ」

剥きかけの林檎にナイフをドズッと刺して、クソに手渡す。

顔を見ると、口元が引き攣っていた。
どうせなら手にぶっ刺しときゃよかったな。


(´<_` )「あ……なんか俺、さっきまで麻痺してたわ。
      なんで兄者に普通にナイフ持たせてたんだろ」

( ´_ゝ`)「喧嘩してねえから油断してたんじゃね?」

(´<_` )「それもあるけどそれだけじゃねーよ、まあいいや」

無言で林檎を剥き始めるのを見て、林檎に何か注射しとくべきか、
ナイフの刃の部分に何か塗りつけておくべきだったかと思案する。

クソッタレな何もかもをさっさと終わらせたいんだったら、
林檎を剥くより相手の皮膚でも削いだほうがいいのは判る。

つーか、さっきまでよくある介護風景の真似をしようとしてたんだよね。
病人のいるベッド脇で、林檎を剥いたり、林檎を擂ったりするアレ。

394:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:41:54 ID:/Sp4eqjE0
弟を甲斐甲斐しく世話する心優しい兄を演出しようと、
近くの無人店から一袋4個100円の林檎まで買って、
家からこいつのナイフまで持って来て用意したのにさ。


(´<_`; )「な、なんだよ。そんなに見んじゃねーよ」

( ´_ゝ`)「……いや」

なんで病人が自分で林檎剥いてんだろ。

あのナイフの柄は木製なんだから、どうせなら、
彫刻刀でウンコとでも彫ってやればよかったな。


(´<_` )「なんでずっと手元見てんだよ」

( ´_ゝ`)「いや」

なんだろう。何となく渡しちまった。早計だった。
手元が空いてしまったので携帯を取り出すが、
特にこれといってやる事もやりたい事もない。


(´<_` )「そんな見られるとやりにくいんですけど」

( ´_ゝ`)「いや」

395:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:43:43 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「俺の話聞いてる?」

( ´_ゝ`)「右から左」

(´<_`# )「お前の耳から豆腐が出るのか」

( ´_ゝ`)「はあ?」

(´<_` )「なんだっけ、バカ豆腐とか言う諺……」

( ´_ゝ`)「馬耳東風」

(´<_` )「ばじとうふう?」

( ´_ゝ`)「馬、耳、東、風、な」

(´<_` )「…………」

( ´,_ゝ`) プッ




゙(´<_` ) ショリショリ

( ´_ゝ`)゙ ピッピッ

396:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:45:12 ID:/Sp4eqjE0
5分後。

林檎を丸々一個剥き終えて、そのまま齧り付く猿。
丸かじりするなら、皮を剥いた意味ないんじゃないの。


(´<_` )「あーなんか虚しくなってきた」

( ´_ゝ`)「足吊ってる器具の位置、高くするの手伝おうか?
      そのままだと、ちょっと首には届かないだろ?」

(´<_` )「迷わずぶっ殺そうとすんな」

( ´_ゝ`)「虚しいんだろ? 生きる意味を見出せないんだろ?
      主に俺の精神の為に早く死ねよクソボケカスが」

(´<_` )「なんでここまで罵倒されなきゃいけねーんだよ」

( ´_ゝ`)「テメーの日頃の行いだクズ」

(´<_` )「最近はずっとベッドの上だっつの」

( ´_ゝ`)「ずっとベッドの上にいても俺から変わらず
      こんな扱いを受け続けるってどんな気分?」

(´<_` )「怪我が治ったら倍返し」

( ´_ゝ`)「やっぱ殺してやる」

397:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:45:59 ID:/Sp4eqjE0
ここは個室、手負いの相手に逃げ場はない。
まだ車椅子移動の上に、出入り口は俺の背後だ。
ぶん殴ってやろうと拳を振り上げて立ち上がる、が。


(´<_`; )「なんだよ、やんのか? やんのか?」

( ´_ゝ`)「あー……」

ここで殴ったら、優しい兄(藁)も糞もカスもなくなるな。
いやでも、なんか偉い人が叱る事も優しさだっつってた。
一発だ。一発だけなら許される。一発だけなら誤射になる。


(´<_`; )「俺は怪我人だぞ! 手加減はしろよ!」

手加減は無理だ。どうやったって全力になる。


(#´_ゝ`)「ふぎぎぎ」

(´<_` )「握った拳の隙間から血が見えるんですけど……」

殴りたい気持ちを、拳を握り締めて押さえ込む。
切ってない爪が手の平に刺さったが、これくらい。

398:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:47:05 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`; )「病院でわざわざ怪我してんじゃねーよ!
      もうナースコール押すからな! いいな!」

( ´_ゝ`)「押すんじゃねーよ」

取りあえず、怒りの原因を視界からシャットアウト。

さっきまで目に映っていた景色を頭の中に転写して、
ベッドの上にいた奴を頭の中で落ち着くまで殴り続ける。


(´<_`; )「なんで構えたまま静止してるの?
      力溜めてんの? 怖いんですけど」

( # _ゝ)「あ゙ぁ?」

ヾ(´<_`; )「その手、下ろして。ゆっくり座って、そうそう」

目を瞑ったまま椅子の上で姿勢を正す。

出入口、椅子、ベッド、窓と一直線に並んでいるので、
椅子に座ってると太陽の光がマトモに目に入った。

あー冬の昼の日射しは眩しいな。瞼の上からでもガンガン来る。
これで空気が暖かけりゃ昼寝に最高なんだけどなー。

399:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:48:20 ID:/Sp4eqjE0
そうだ。寝よう。
ベッドなら目の前にあるじゃないか。

布団はベッド下にあるから日に当たる事はないが、
ベッドの上ならさっきからカンカン照りになっている。

昨日、電話で長岡の風俗体験レポートを深夜に3時間報告され、
あんまり睡眠を取れていない。夢も夢精できない悪淫夢を見た。


( ´_ゝ`)「ちょっと端に寄れお前」

(´<_` )「はい?」

すっとぼけている内にナイフを取り上げ、遠くに置く。
天井から吊り下げている邪魔な足を場外に落とす。


(´<_`; )「うお何すんだ!」

靴を脱いでベッドに上がる。布団を奪う。枕も奪う。


(´<_`; )「おま!?」

( ´_ゝ`)「どけ早く」

400:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:49:06 ID:/Sp4eqjE0
同じ場所で寝るくらいなら、今はもう大丈夫だ。多分。

初めての泊まりの日、ギプスで固めた足をガン見しながら、
「こいつは怪我人こいつは怪我人こいつは怪我人こいつは」
と口の中で数百回唱えて強く自己暗示をかけたからな。

途中で、こいつの女友達()らしき奴も見舞いに来たが、
息を飲んだような悲鳴をあげてすぐに逃げ帰って行った。
キチ行為は意外といい修羅場回避手段かもしれない。
お陰でベッド下から針を突き刺そうなんて衝動も我慢できた。

ふとした拍子、無意識の隙間に拳が出ることも少なくなった。
渡そうとした見舞い品を、顔面に投げつける事もなくなった。
あいつの好きな本を目の前で真っ二つにする事もなくなった。

「おかわり」と弟から手渡された椀に飯をよそおうとして、
ナシュラルに足元のゴミ箱に白米をシュートしてしまい、
意味もわからずおかしくなって狂ったように笑っていたら、
いつの間にか精神科の診察室に体が搬送された事も、
あれ以降は、一応、ない。

うん、あれは酷かったな。拘束されるなんて初めての経験。
ベッドにベルトでギッチギチに縛り付けられるなんて経験。

抜く時の想像で空想の女相手にやることは多いが、
まさか現実で自分自身がされる立場になるとは。

思考脱線。

401:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:50:01 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`; )「何する気だ! 何かするのか!?」

( ´_ゝ`)「寝る」

(´<_` )「へ」

( ´_ゝ`)「眠る」

(´<_` )「は?」

( ´_ゝ`)「おやすみ」

ガラス越しとはいえ、冬の刺すような日射しはきつい。
なので、布団を頭まで被って団子虫状態になる。

光は軽減されていい感じだ。
尚、カーテン引けよとの突っ込みは受け付けない。

生ゴミのほうを向けば顔に日が当たることはないが、
そんなのは例え死んでも狂ってもごめん被る。

402:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:52:00 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「何してんの兄者」

( ´_ゝ`)「寝るんだよ」

血で汚れないように、タオルで手を縛る。
最後に、枕に乗せる頭の位置を微調整。
なんか抱くものが欲しいけどここは我慢。

よし、寝よう。


(´<_`; )「やっべぇ、ギプス重っ」

(´<_`; )「ちょ、兄者、ちょっと手ぇ貸し」

(´<_`; )「おち、落ちる、落ち、るっ!」


ドサゴゴッ


背後で、ギプスの重さに耐え切れず何かが落ちる音がした。
ベッド下には布団もあるから、そっちで寝るのも大丈夫だろ。

403:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:52:57 ID:/Sp4eqjE0
(´<_`# )「そこで寝ていいから手ぇ貸せこのアホウ」
     。
(  _ゝ)゚「下の布団で寝ろよ……」

(´<_`# )「俺のベッドだぞ」
     。
(  _ゝ)゚「病院のだよ……」

(´<_` )「検温の時どーすんだ」
     。
(  _ゝ)゚「今日はもう来ない……」

(´<_` )「マジか。あ、でも午後に毒男が来るってよ」
     。
( ; _ゝ)「……マジ?」

(´<_` )「マジ」

うーんメンドクセェ。
つか、なんで来るんだ。
知らんかった。

404:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:53:39 ID:/Sp4eqjE0
ま、さしたる問題はないな。
ここで寝てりゃ適度に何か勘違いしてくれるかもしれん。

その時、今ベッド下の男として都市伝説化してる奴が、
自力でベッドに戻ってようが戻れていまいが関係ない。

前者なら仲良くなったとアピール出来るかもしれないし、
後者なら今まで通りの仲違いだと思うかもしれない。

寝てても、内藤が付属品で来れば、勝手に起こすだろうしな。


(´<_` )「寝るのか?」

(  _ゝ)「ねる」

日射しで温まった布団がイイ感じだ。

こいつさえ俺の現実からいなくなれば、
この温もりを心から享受できるのになあ。

405:名も無きAAのようです:2013/02/16(土) 15:54:27 ID:/Sp4eqjE0
(´<_` )「はー今年のクリスマスは病院か……」

(  _ゝ)「ざまあ」

(´<_` )「もう俺の女寝取んなよ」

(  _ゝ)「するかボケ」




25.糸冬


拍手

371:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:34:28 ID:yxrgcnaE0
24.恥ずかしいから一緒に風俗行こうぜっ

  _
( ゚∀゚)「な?」

( ´_ゝ`)「は?」
  _
( ゚∀゚)「やっぱ無理?」

(;´_ゝ`)「え、は? いやいやいや」

唐突過ぎて理解が追い付かない。
いや、理解はできるけど頭と口が追い付かない。

見舞いに来たとほざきながら、何でこんな話をしてんだ。
いや、病人にこんな話をしないだけマシなのか?


( ´_ゝ`)「何? つまりどういう事?」
  _
( ゚∀゚)「だからさー……」

372:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:35:15 ID:yxrgcnaE0  _
( ゚∀゚)「風俗に一人で行くのって恥ずかしいじゃん?」

( ´_ゝ`)「はず……恥ずかしいモンだったっけ? 風俗って。
      むしろ友人に見られないよう一人で行くモンじゃね?」
  _
( ゚∀゚)「だからさ、誰か一緒に行ってくれる奴を探してんだよ」

( ´_ゝ`)「俺の話を聞け」
  _
( ゚∀゚)「兄者一緒に行かねぇ?」

( ´_ゝ`)「行かねぇ」
  _
( ゚∀゚)「なんだよもー付き合い悪ぃなー」

( ´_ゝ`)「長岡、お前そんな感じで何人くらい誘った?」
  _
( ゚∀゚)「お前で6人目かな」

( ´_ゝ`)「そこまでの人数に誘いかけといて、全員に断ら
  _
( ゚∀゚)「そうだ! 兄者! お前に童貞の友達いねえ?」

(;´_ゝ`)「話聞けよーもー」

373:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:36:54 ID:yxrgcnaE0
('A`)「おーい兄者、バスまだだから中で待ったら」
  _
( ゚∀゚)

( ´_ゝ`)

('A`;)「ど、う……だ……?」

( ´_ゝ`)「おお鬱田」
  _
( ゚∀゚)「童貞そうな顔だな、誰だ?」

( ´_ゝ`)「初対面でやめろ。鬱田、友人」
  _
( ゚∀゚)「ほほう」

('A`;)「ど、どうも。鬱田 毒男です。よろしく……」
  _
( ゚∀゚)「俺、ジョルジュ 長岡。よろしくな」

( ´_ゝ`)「見舞いに来たって嘘もここまで来ると清々しいな」
  _
( ゚∀゚)「ん?」

( ´_ゝ`)「何でも」

375:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:39:47 ID:yxrgcnaE0  _
( ゚∀゚)「早速だけどさ、童貞捨てに行かね?」

(゚A゚;)「はい?!」

( ´_ゝ`)「おいおい説明しろよ長岡、いきなり過ぎて
      わからなくて目ぇ見開いちまってんじゃん」
  _
( ゚∀゚)「っとさ、俺風俗一緒に行く奴探してんだよね。
     お前一緒に行かね?兄者に断られてさあ」

('A`)「え?」

( ´_ゝ`)「そりゃ断るわ」
  _
( ゚∀゚)「一緒に行こうぜ! 童貞っぽそうだし、
     初セックル記念に俺が奢ってやるよ!」

( ´_ゝ`)「その言い方やめろっての」

376:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:41:29 ID:yxrgcnaE0
('A`)「なんで童貞って見抜かれてんの?」

( ´_ゝ`)「お前の顔立ちで……」


('A`)

(;´_ゝ`)「うわすまん! ほら服装がこじゃれてなくて」


('A`)

(;´_ゝ`)「いやごめん! 鬱田の雰囲気って童貞っぽ」


('A`)

(;´_ゝ`)「これも違う! 未経験っぽい第一印象……」


('A`)

( ;゚_ゝ゚)「うわ駄目だコレ! フォローしようとすればするほど、
      逆にドツボにハマって行く! どうすりゃいいんだ!」

377:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:43:22 ID:yxrgcnaE0
('A`)「兄者のお陰でそろそろ悟りの境地へ行けそうだわ」
  _
( ゚∀゚)「兄者もう喋らなけりゃいいんじゃね?」

( ´_ゝ`)「そうだな」

('A`)「俺の心はもう存分に傷ついた」
  _
( ゚∀゚)「よし、行こうぜ毒男」

('A`)「えっ」
  _
( ゚∀゚)「安心しな、損はさせねぇ」

('A`)「俺が行くのは確定なんですかジョルジュさん」
  _
( ゚∀゚)「当たり前だろ」

('A`)「えっ」

378:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:44:41 ID:yxrgcnaE0
( ´_ゝ`)「鬱田は初めてなんだからお前が先導しろよ。
      こうイリーガルな感じの店に連れてってやれ」
  _
( ゚∀゚)「おうともよ」

('A`)「え? ちょっと、待って」
  _
( ゚∀゚)「さあ初体験だ!」

('A`;)「ちょっ! まっ! 兄者!」

( ´_ゝ`)ノシ
  _
( ゚∀゚)「さっき喋らなけりゃいいっつったからな。
     代わりに手ぇ振って激励してやれよ」

( ´_ゝ`)ノシ

('A`#)「兄者ぁああああああぁぁぁぁ.......」

ダダこねる糞餓鬼を連れてくような光景だ。
実際の立場は性格からして逆だろうに、体格って不憫だな。

379:名も無きAAのようです:2013/02/12(火) 09:45:37 ID:yxrgcnaE0
( ´_ゝ`)「鬱田……スケープゴートありがとう」

街中へ消えて行く鬱田に敬礼をする。

取りあえず、終わったら店での感想を聞こう。

喜んでいたらそのまま流す。
怒っていたら昼飯でも奢ろう。

うん、そうしとこう。




24.糸冬


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