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まとめサイトが結構消えているようなので、現行の糞野郎が拾えた分はこのブログでまとめます。
あとは3年分の溜まった拍手とか追い追い消化していく。
10年も経ったし調度良いだろうと思って恋われたいようですのネタバレも投下しました。
エゴサまだ作品について引っかかるから驚きだよ。嬉しいです。
ブーンはファイナルに移住したいけど規制で書き込めない。
あとは拍手で糞野郎について異常に突っ込まれてるのですがタコ部屋に突っ込まれたのは自分じゃないゾ。
あと糞野郎はのんふぃくもふぃくしょんも入り乱れてるので虚実混合。
元にした人物も知り合いの狂人を3人くらい融合合体させて生まれたものなので、完全な現実準拠という訳ではない。作品の都合で女→男として描写してるのもあるゾ。
リクエスト消化品でめちゃくそホモ臭くなりそうなのは棚に投下します。
というか意識してホモ書くの初めてだぞ。何事も経験だけど。
あとは3年分の溜まった拍手とか追い追い消化していく。
10年も経ったし調度良いだろうと思って恋われたいようですのネタバレも投下しました。
エゴサまだ作品について引っかかるから驚きだよ。嬉しいです。
ブーンはファイナルに移住したいけど規制で書き込めない。
あとは拍手で糞野郎について異常に突っ込まれてるのですがタコ部屋に突っ込まれたのは自分じゃないゾ。
あと糞野郎はのんふぃくもふぃくしょんも入り乱れてるので虚実混合。
元にした人物も知り合いの狂人を3人くらい融合合体させて生まれたものなので、完全な現実準拠という訳ではない。作品の都合で女→男として描写してるのもあるゾ。
リクエスト消化品でめちゃくそホモ臭くなりそうなのは棚に投下します。
というか意識してホモ書くの初めてだぞ。何事も経験だけど。
糞野郎の投下分をまとめました
他にまとめ先が消えてる物はまた後日まとめるのでRSS汚します
今VIPに総合スレ立ってないんですね
ファイナル規制解除の言伝を誰かに頼もうと思ったけど伝える場所がねえ!
シベリアに書き込んでみたが流れが長ゆっくりで次の書き込みが半年後だとしても驚かない。
したらばのAAズレは以下のもので修正してます
https://qiita.com/scrpgil/items/ebd493a7adf6ba170ac4
使用しているブラウザがchromeなので他ブラウザでのズレは分からない
スマホの場合はASSが作動してくれたりしないんだろうか
ぶんてながまだ稼働中で驚いたんですが、今でもちらほら更新してるブログとかあって嬉しみを感じた
他にまとめ先が消えてる物はまた後日まとめるのでRSS汚します
今VIPに総合スレ立ってないんですね
ファイナル規制解除の言伝を誰かに頼もうと思ったけど伝える場所がねえ!
シベリアに書き込んでみたが流れが長ゆっくりで次の書き込みが半年後だとしても驚かない。
したらばのAAズレは以下のもので修正してます
https://qiita.com/scrpgil/items/ebd493a7adf6ba170ac4
使用しているブラウザがchromeなので他ブラウザでのズレは分からない
スマホの場合はASSが作動してくれたりしないんだろうか
ぶんてながまだ稼働中で驚いたんですが、今でもちらほら更新してるブログとかあって嬉しみを感じた
458: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 00:04:25 ID:rixhaq6U0
リハビリ
駅裏の路地でホームレスが話している。
でかい台風が来るのが『ラッキー』だと。
震災時の配給目当てか? と思ったが、会話は予想より上を行った。
「ありったけの毛布と段ボール集めて空きビル籠るべ」
「んだんだ。台風さえ来ればメシ食いながら南さ行げる」
「ブルーシート用意したば。これとそれとば交換しでけ」
「それとばけ」
「ん」
「台風こぢまでちゃんと来てけねがなー」
クソ田舎のクソ方言のクソ訛りが酷い。総じてクソ。
459: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 00:17:59 ID:rixhaq6U0
東京弁に翻訳ついでに箇条書きにまとめて、ついでに足りない部分を細くすると、
・台風来てる間は空きビルに籠ろう
・寒いから毛布と段ボールを用意しよう
・水対策にブルーシートも用意した
・災害があったらメシも配ってくれるしラッキーだぜ
・それ食いながら、避難所にお邪魔しつつ南下しよう!
・なんせそろそろ冬が来るしな! 南に行かないと死ぬ!
と言う事だ。
最後のやり取りは何かの取引である。
「それとばけ」とは、「それ」という何かを差す言葉。
「とば」接続語。「け」寄越して下さい。に分類される。
津軽弁の「け」は厄介で、
それを「くれ」、これを「食え」、あっちに「行け」だの前後の文章で激しく意味が全く異なる。
日本語とは違う独自の言語として、継ぐ者のいない消滅危機言語に指定されても驚かない。
なんで本州と地続きなのに、これだけ言語の壁があるんだ?
ブルーフォレスト爆発しろ。台風で吹き飛んで千葉の隣辺りにワープしろ。
(´<_` )「はー……家無ぇ奴ら、ゴキブリ並の生命力だな」
そして俺は、何でコイツと出歩いてるんだろう。
今すぐ突発的で局地的な竜巻とか発生して、こいつだけ上空に巻き上げられてくんないかな。
460: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 00:30:46 ID:rixhaq6U0
( ´_ゝ`)「だからこのクッソ寒いド田舎でも生きていけるんだろ」
(´<_` )「納得した……そういや、今ので思い出したんだけどさ」
( ´_ゝ`)「何? 金貸してとかなら人目も憚らず殴るぞ
(´<_` )「違う違う。東京って、ホームレスが凍死したニュースが流れるんだぜ」
( ´_ゝ`)「へえ、すごいな」
東京ほど建物が集まってると、暖を取る場所も沢山あるから凍死体が出にくいのか。
やっぱ珍しいものってニュースになるんだな。
凍傷も凍死体もそこまで騒ぎ立てるものじゃないから分からん。
461: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 00:36:56 ID:rixhaq6U0
こっちだと、ホームレスは越冬に失敗するとよく凍って死んでるしな。
春に雪の下から死体が見つかる事もある。
それが認知症の徘徊老人かホームレスかは調べてみないとよく分からない。
ボケてんのに行動力あり過ぎて扱いに困ってる老人がいたら、北に引っ越してくればいいよ。
勝手にドア開けて出てくのを見送って、てきとーに警察に連絡して、探すフリしたら、
春にはその辺の雪の下から冷凍されて出てくる。
長々と治療費をかける情がないなら、さっくり葬式代だけ払ってお別れすんのオススメ。
(´<_` )「お前も、死体と間違われてブルーシートかけられてた事なかったっけ?」
( ´_ゝ`)「よくそんな昔の事を覚えてるな。あれは死体に間違われたんじゃなく、
飛んできたブルーシートが調度良く俺のとこで引っかかっただけだろ」
(´<_` )「死体に間違われた方が面白いだろ」
( ´_ゝ`)「面白さ優先して現実を改変するな」
462: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 00:48:57 ID:rixhaq6U0
うーん。やっぱり違和感があると言うか、落ち着かない。
据わりが悪い。宙に浮く感じとはまた違う。
納得いかないと言えばいいか、すっきりしない、はっきりしない。
ここはもう本人に聞いてみるしかあるまい。
( ´_ゝ`)「お前さあ……よく俺と普通に話せるよな」
(´<_` )「あ、何? また何か兄者のキゲンに触っちゃいました? 短気が過ぎる~」
( ´_ゝ`)「うるせえ煽ってくんな。そうじゃなくて、俺お前に結構やべー事したなって自覚あるんだけど、
よく普通に隣歩いて、こう……普通に、前みたいに話せるよな。俺なら警戒して無理だ」
(´<_` )「めっずらしい。兄者が誰かの視点に立って考えてる。今回の台風は直撃だな」
( ´_ゝ`)「真面目に返せよ。俺が真面目に言ってんだから」
(´<_` )「俺がこう言えばコイツはこう返してくれるだろうって言う、謎の自信なんなの?
クソムカつくから俺に対して発揮されるその目線やめろや」
( ´_ゝ`)「うーん」
472: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 08:08:24 ID:rixhaq6U0
上手い伝え方がないか言葉を考えていると、先にクソが口を開いた。
(´<_` )「俺も普通にしてるワケじゃねーよ。お前と会うまですげー怖かったし」
( ´_ゝ`)「へえ」
(´<_` )「でもなー。何も考えてないような顔でボケっと公園の時計見上げてるお前見たらさ。
ぐちゃぐちゃ考えてた自分が無茶苦茶バカらしくなって、いつもみたいに話しかけた」
( ´_ゝ`)「そっか」
(´<_` )「よくよく考えなくても、今まで腕とか脚とかボキボキ骨折してたしな。
俺も兄者の手と鎖骨と肋骨ヤった事あるし、次は俺の首くらい取りに来るよな」
( ´_ゝ`)「死んでたかもしれないのに?」
(´<_` )「今生きてんだからいーじゃん。それに……」
( ´_ゝ`)「それに?」
463: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 01:02:55 ID:rixhaq6U0
(´<_` )「内藤、あいつがさ。一人で見舞いに来たんだけど」
( ´_ゝ`)「もう嫌な予感しかしない」
(´<_` )「俺を殺した場合、兄者がどんな罪に問われて、どんな人生を送るのか……
『最悪』の末路の詳細を長々と語ってくれた。まあスッとするよな、そこで」
( ´_ゝ`)「あのゴミカス……」
きっと内藤の事だから、マスゴミや底辺雑誌の取材やパパラッチに追われる俺を、
面白おかしく生々しく感情を交えて饒舌に悲劇的に語りやがったんだろう。
あいつの事だから、弟者の些細な質問にも詳しく答えているに違いない。
知識を補足すれば、それだけ光景を綿密に想像できる。クソ野郎はさぞ満足した事だろう。
弟の入院生活の良い暇つぶしになってくれたようだ。今度会う時はくさやを土産にしてやる。
(´<_` )「今回の台風はきっと死者出るな」
( ´_ゝ`)「だろうな」
(´<_` )「珍しく兄者が俺の事を気にしてるし」
( ´_ゝ`)「気にしてる……って言い方は少し語弊があるな。心配はしてないぞ?
単純に、よくあんな事されて隣歩けるなって。危機意識欠如した珍獣見てる気分」
(´<_` )「俺は珍獣か」
464: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 01:07:23 ID:rixhaq6U0
( ´_ゝ`)「ああスッキリした。さっきからモヤモヤしてたんだ。
こいつナニ考えて俺の隣歩いてんだろって」
(´<_` )「俺も俺の首やっといて顔色一つ変えずに隣歩いてるコイツやべーなって考えてた」
( ´_ゝ`)「例えば俺が内藤の首をヤったら少しは気にするけど、お前だしな」
(´<_`; )「す、少しなんだ……」
あれ? また言葉を間違えたかもしれない。訂正するのも面倒だからしないが。
(´<_` )「そーいえば、また話変わるんだけどさ」
( ´_ゝ`)「今度は何だ」
(´<_` )「またんきとのケッコンどうすんの?」
( ´_ゝ`)「ああ、それな」
465: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 01:21:27 ID:rixhaq6U0
年を経る事で近付いた現実、それはまたんきとの結婚。
田舎だと、式を上げなければ結婚した事にはならない、みたいな空気があるので、
俺とまたんきは紙面上で結婚しているが、周囲の認識上では結婚していない。
正直、性欲は汚いものだと思っているので、またんきとあれこれするのは無理だ。
決してまたんきに魅力がないとは言わない。だがそれとは別問題で不可能だ。
大切と思った相手には性欲が向かない。湧かない。ヤけない。で大犯三箇条。
そもそもまたんきは『そういう相手』じゃない。
俺が性欲をぶつけるのは弟者にヤリ捨てられた女とかそういうの。
あと、またんきと結婚すると犯罪ができない。これが一番の問題である。
結婚した相手が犯罪者になれば、向こう側の家も大騒動だろう。
母さんが死んだら弟者に向ける殺意から手加減をなくそうと常日頃から考えていた。
年を取れば失うものはなくなると人は言う。祖父母も死に、親も死ねば、後はこの身一つ。
現に、年食ってからダンプカーで憎い人間の家に突っ込んだ爺さんがいる。行動力の見本だ。
つまり、俺達の喧嘩は年を経てからが本番だと思っていた。
またんきと結婚式を挙げると迷惑をかけてしまう相手ができてしまうので、弟者を殺せない。
という事を素直に弟者へ伝えてみた。
466: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 01:24:46 ID:rixhaq6U0
(´<_`; )「頼む! またんきと結婚式してくれ! 全力で応援するから!」
( ´_ゝ`)「現金な奴だなあ」
(´<_`# )「手前の命がかかってりゃ誰でもそうなるわ! クソ! クソ野郎! クソしか言えねえ!
なんで俺の兄貴はこんなガチキチなんだ! 俺がヤリチンだからか!?
ヤリチンとマジキチは吊り合わねーだろ! バランスを考えろ! 人生クソゲー!」
( ´_ゝ`)「今スッゲー下らない事を思いついたんだけど我慢できないから言うわ。
俺がまたんきと結婚したら『またんきどいて! そいつ殺せない!』が現実になる」
(´<_`; )「予想の数憶倍くだらなくてビックリしてる……」
( ´_ゝ`)「落ち着いてくれて何よりだ」
台風が来てるからか、弟者のテンションの乱高下が激しい。
不謹慎だが、俺も災害があるとテンションがおかしくなるので少し分かる。
467: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 01:40:27 ID:rixhaq6U0
( ´_ゝ`)「結婚……結構かあ。結婚しない方が俺的にいいんだよなあ……」
(´<_` )「してくれ。俺の為に」
( ´_ゝ`)「お前の為と考えるだけで結婚する気がガンガン減るよね」
結婚式で思い出したが、そう言えばパートナーシップの話もあったな。
恋愛ではなく、税金の関係で良かったら俺とシップ組まないかという取引だ。
またんきと結婚しなかったら、が前提条件に入ってるので保留にしていた。
お互いの収入を見て、手帳の税金控除がどこまでかかるかと真剣に話し合いをしたからか、
相手は結構乗り気である。部屋まで用意してくれたようだが、先走りが過ぎる。アホかと。
俺の代わりを探そうにも、同じ等級の手帳持ちで扶養控除目的で籍入れだけ目当ての人間は、無理難題が過ぎる。
相談する相手もいないので胸の内に秘めてきたが、今日は暇だ。
都合の良い事に、横に話し相手もいる。
(´<_` )「え、何、そんなに睨み付けて」
( ´_ゝ`)「……」
今日のテンションの弟者にこの話をぶつけたら面白い反応を返してくれそうだ。
(´<_` )「お前……お前、知ってるぞ。こういう時は碌な話題が出てこない。
またなんか悪企みでもしてんだろ……分かってんだからな…・・・・」
クソがそれなりに学習している。
468: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 02:00:11 ID:rixhaq6U0
( ´_ゝ`)「なあ、パートナーシップって言葉知ってるか?」
(´<_` )「何それ。ヨットの相乗り?」
( ´_ゝ`)「そう来るか。分からないなら調べてみろ。俺その予定があるんだよね」
弟者がスマホを取り出して、歩きスマホの構えになった。
注意はしない。どうせ人はいない。こんなクソ田舎だ。
歩いてるのは俺達だけで、立ってるのは電柱ぐらい。
(´<_` )「ん、んー……?」
( ´_ゝ`)「検索結果出たか?」
(´<_` )「難しい言葉で書かれてて分からない……が、これは……?」
熟読し始めたので放置。
弟者の目の前に電柱が迫ってきたが、面白いので指摘しない。
469: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 02:06:09 ID:rixhaq6U0
ガィン! ゴン!
( ´_ゝ`)「フッ」
案の定、正面から電柱にぶつかった。
倒れた拍子に道路の縁石に後頭部をぶつけるオマケつき。
しばらく腹を抱えて呵呵大笑していたが、弟者が起き上がってこないので死んだかと覗き込む。
( ´_ゝ`)「あ、生きてた」
( ゚<_゚ )「ぱぅあ……」
いや死んでるなコレは。
( ´_ゝ`)「大丈夫? 人の言葉話せる?」
(゚<_゚ )「カッ……コォオ………エンッ」
( ´_ゝ`)「駄目そうだな」
(゚<_゚ )「アイテダレ?」
仕方がないので、服の襟首を掴んで家まで引きずる。
十万円もしたというコートが家に着く頃にはどうなっているのか、見ものだな。
糸冬
リハビリ
駅裏の路地でホームレスが話している。
でかい台風が来るのが『ラッキー』だと。
震災時の配給目当てか? と思ったが、会話は予想より上を行った。
「ありったけの毛布と段ボール集めて空きビル籠るべ」
「んだんだ。台風さえ来ればメシ食いながら南さ行げる」
「ブルーシート用意したば。これとそれとば交換しでけ」
「それとばけ」
「ん」
「台風こぢまでちゃんと来てけねがなー」
クソ田舎のクソ方言のクソ訛りが酷い。総じてクソ。
459: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 00:17:59 ID:rixhaq6U0
東京弁に翻訳ついでに箇条書きにまとめて、ついでに足りない部分を細くすると、
・台風来てる間は空きビルに籠ろう
・寒いから毛布と段ボールを用意しよう
・水対策にブルーシートも用意した
・災害があったらメシも配ってくれるしラッキーだぜ
・それ食いながら、避難所にお邪魔しつつ南下しよう!
・なんせそろそろ冬が来るしな! 南に行かないと死ぬ!
と言う事だ。
最後のやり取りは何かの取引である。
「それとばけ」とは、「それ」という何かを差す言葉。
「とば」接続語。「け」寄越して下さい。に分類される。
津軽弁の「け」は厄介で、
それを「くれ」、これを「食え」、あっちに「行け」だの前後の文章で激しく意味が全く異なる。
日本語とは違う独自の言語として、継ぐ者のいない消滅危機言語に指定されても驚かない。
なんで本州と地続きなのに、これだけ言語の壁があるんだ?
ブルーフォレスト爆発しろ。台風で吹き飛んで千葉の隣辺りにワープしろ。
(´<_` )「はー……家無ぇ奴ら、ゴキブリ並の生命力だな」
そして俺は、何でコイツと出歩いてるんだろう。
今すぐ突発的で局地的な竜巻とか発生して、こいつだけ上空に巻き上げられてくんないかな。
460: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 00:30:46 ID:rixhaq6U0
( ´_ゝ`)「だからこのクッソ寒いド田舎でも生きていけるんだろ」
(´<_` )「納得した……そういや、今ので思い出したんだけどさ」
( ´_ゝ`)「何? 金貸してとかなら人目も憚らず殴るぞ
(´<_` )「違う違う。東京って、ホームレスが凍死したニュースが流れるんだぜ」
( ´_ゝ`)「へえ、すごいな」
東京ほど建物が集まってると、暖を取る場所も沢山あるから凍死体が出にくいのか。
やっぱ珍しいものってニュースになるんだな。
凍傷も凍死体もそこまで騒ぎ立てるものじゃないから分からん。
461: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 00:36:56 ID:rixhaq6U0
こっちだと、ホームレスは越冬に失敗するとよく凍って死んでるしな。
春に雪の下から死体が見つかる事もある。
それが認知症の徘徊老人かホームレスかは調べてみないとよく分からない。
ボケてんのに行動力あり過ぎて扱いに困ってる老人がいたら、北に引っ越してくればいいよ。
勝手にドア開けて出てくのを見送って、てきとーに警察に連絡して、探すフリしたら、
春にはその辺の雪の下から冷凍されて出てくる。
長々と治療費をかける情がないなら、さっくり葬式代だけ払ってお別れすんのオススメ。
(´<_` )「お前も、死体と間違われてブルーシートかけられてた事なかったっけ?」
( ´_ゝ`)「よくそんな昔の事を覚えてるな。あれは死体に間違われたんじゃなく、
飛んできたブルーシートが調度良く俺のとこで引っかかっただけだろ」
(´<_` )「死体に間違われた方が面白いだろ」
( ´_ゝ`)「面白さ優先して現実を改変するな」
462: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 00:48:57 ID:rixhaq6U0
うーん。やっぱり違和感があると言うか、落ち着かない。
据わりが悪い。宙に浮く感じとはまた違う。
納得いかないと言えばいいか、すっきりしない、はっきりしない。
ここはもう本人に聞いてみるしかあるまい。
( ´_ゝ`)「お前さあ……よく俺と普通に話せるよな」
(´<_` )「あ、何? また何か兄者のキゲンに触っちゃいました? 短気が過ぎる~」
( ´_ゝ`)「うるせえ煽ってくんな。そうじゃなくて、俺お前に結構やべー事したなって自覚あるんだけど、
よく普通に隣歩いて、こう……普通に、前みたいに話せるよな。俺なら警戒して無理だ」
(´<_` )「めっずらしい。兄者が誰かの視点に立って考えてる。今回の台風は直撃だな」
( ´_ゝ`)「真面目に返せよ。俺が真面目に言ってんだから」
(´<_` )「俺がこう言えばコイツはこう返してくれるだろうって言う、謎の自信なんなの?
クソムカつくから俺に対して発揮されるその目線やめろや」
( ´_ゝ`)「うーん」
472: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 08:08:24 ID:rixhaq6U0
上手い伝え方がないか言葉を考えていると、先にクソが口を開いた。
(´<_` )「俺も普通にしてるワケじゃねーよ。お前と会うまですげー怖かったし」
( ´_ゝ`)「へえ」
(´<_` )「でもなー。何も考えてないような顔でボケっと公園の時計見上げてるお前見たらさ。
ぐちゃぐちゃ考えてた自分が無茶苦茶バカらしくなって、いつもみたいに話しかけた」
( ´_ゝ`)「そっか」
(´<_` )「よくよく考えなくても、今まで腕とか脚とかボキボキ骨折してたしな。
俺も兄者の手と鎖骨と肋骨ヤった事あるし、次は俺の首くらい取りに来るよな」
( ´_ゝ`)「死んでたかもしれないのに?」
(´<_` )「今生きてんだからいーじゃん。それに……」
( ´_ゝ`)「それに?」
463: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 01:02:55 ID:rixhaq6U0
(´<_` )「内藤、あいつがさ。一人で見舞いに来たんだけど」
( ´_ゝ`)「もう嫌な予感しかしない」
(´<_` )「俺を殺した場合、兄者がどんな罪に問われて、どんな人生を送るのか……
『最悪』の末路の詳細を長々と語ってくれた。まあスッとするよな、そこで」
( ´_ゝ`)「あのゴミカス……」
きっと内藤の事だから、マスゴミや底辺雑誌の取材やパパラッチに追われる俺を、
面白おかしく生々しく感情を交えて饒舌に悲劇的に語りやがったんだろう。
あいつの事だから、弟者の些細な質問にも詳しく答えているに違いない。
知識を補足すれば、それだけ光景を綿密に想像できる。クソ野郎はさぞ満足した事だろう。
弟の入院生活の良い暇つぶしになってくれたようだ。今度会う時はくさやを土産にしてやる。
(´<_` )「今回の台風はきっと死者出るな」
( ´_ゝ`)「だろうな」
(´<_` )「珍しく兄者が俺の事を気にしてるし」
( ´_ゝ`)「気にしてる……って言い方は少し語弊があるな。心配はしてないぞ?
単純に、よくあんな事されて隣歩けるなって。危機意識欠如した珍獣見てる気分」
(´<_` )「俺は珍獣か」
464: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 01:07:23 ID:rixhaq6U0
( ´_ゝ`)「ああスッキリした。さっきからモヤモヤしてたんだ。
こいつナニ考えて俺の隣歩いてんだろって」
(´<_` )「俺も俺の首やっといて顔色一つ変えずに隣歩いてるコイツやべーなって考えてた」
( ´_ゝ`)「例えば俺が内藤の首をヤったら少しは気にするけど、お前だしな」
(´<_`; )「す、少しなんだ……」
あれ? また言葉を間違えたかもしれない。訂正するのも面倒だからしないが。
(´<_` )「そーいえば、また話変わるんだけどさ」
( ´_ゝ`)「今度は何だ」
(´<_` )「またんきとのケッコンどうすんの?」
( ´_ゝ`)「ああ、それな」
465: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 01:21:27 ID:rixhaq6U0
年を経る事で近付いた現実、それはまたんきとの結婚。
田舎だと、式を上げなければ結婚した事にはならない、みたいな空気があるので、
俺とまたんきは紙面上で結婚しているが、周囲の認識上では結婚していない。
正直、性欲は汚いものだと思っているので、またんきとあれこれするのは無理だ。
決してまたんきに魅力がないとは言わない。だがそれとは別問題で不可能だ。
大切と思った相手には性欲が向かない。湧かない。ヤけない。で大犯三箇条。
そもそもまたんきは『そういう相手』じゃない。
俺が性欲をぶつけるのは弟者にヤリ捨てられた女とかそういうの。
あと、またんきと結婚すると犯罪ができない。これが一番の問題である。
結婚した相手が犯罪者になれば、向こう側の家も大騒動だろう。
母さんが死んだら弟者に向ける殺意から手加減をなくそうと常日頃から考えていた。
年を取れば失うものはなくなると人は言う。祖父母も死に、親も死ねば、後はこの身一つ。
現に、年食ってからダンプカーで憎い人間の家に突っ込んだ爺さんがいる。行動力の見本だ。
つまり、俺達の喧嘩は年を経てからが本番だと思っていた。
またんきと結婚式を挙げると迷惑をかけてしまう相手ができてしまうので、弟者を殺せない。
という事を素直に弟者へ伝えてみた。
466: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 01:24:46 ID:rixhaq6U0
(´<_`; )「頼む! またんきと結婚式してくれ! 全力で応援するから!」
( ´_ゝ`)「現金な奴だなあ」
(´<_`# )「手前の命がかかってりゃ誰でもそうなるわ! クソ! クソ野郎! クソしか言えねえ!
なんで俺の兄貴はこんなガチキチなんだ! 俺がヤリチンだからか!?
ヤリチンとマジキチは吊り合わねーだろ! バランスを考えろ! 人生クソゲー!」
( ´_ゝ`)「今スッゲー下らない事を思いついたんだけど我慢できないから言うわ。
俺がまたんきと結婚したら『またんきどいて! そいつ殺せない!』が現実になる」
(´<_`; )「予想の数憶倍くだらなくてビックリしてる……」
( ´_ゝ`)「落ち着いてくれて何よりだ」
台風が来てるからか、弟者のテンションの乱高下が激しい。
不謹慎だが、俺も災害があるとテンションがおかしくなるので少し分かる。
467: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 01:40:27 ID:rixhaq6U0
( ´_ゝ`)「結婚……結構かあ。結婚しない方が俺的にいいんだよなあ……」
(´<_` )「してくれ。俺の為に」
( ´_ゝ`)「お前の為と考えるだけで結婚する気がガンガン減るよね」
結婚式で思い出したが、そう言えばパートナーシップの話もあったな。
恋愛ではなく、税金の関係で良かったら俺とシップ組まないかという取引だ。
またんきと結婚しなかったら、が前提条件に入ってるので保留にしていた。
お互いの収入を見て、手帳の税金控除がどこまでかかるかと真剣に話し合いをしたからか、
相手は結構乗り気である。部屋まで用意してくれたようだが、先走りが過ぎる。アホかと。
俺の代わりを探そうにも、同じ等級の手帳持ちで扶養控除目的で籍入れだけ目当ての人間は、無理難題が過ぎる。
相談する相手もいないので胸の内に秘めてきたが、今日は暇だ。
都合の良い事に、横に話し相手もいる。
(´<_` )「え、何、そんなに睨み付けて」
( ´_ゝ`)「……」
今日のテンションの弟者にこの話をぶつけたら面白い反応を返してくれそうだ。
(´<_` )「お前……お前、知ってるぞ。こういう時は碌な話題が出てこない。
またなんか悪企みでもしてんだろ……分かってんだからな…・・・・」
クソがそれなりに学習している。
468: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 02:00:11 ID:rixhaq6U0
( ´_ゝ`)「なあ、パートナーシップって言葉知ってるか?」
(´<_` )「何それ。ヨットの相乗り?」
( ´_ゝ`)「そう来るか。分からないなら調べてみろ。俺その予定があるんだよね」
弟者がスマホを取り出して、歩きスマホの構えになった。
注意はしない。どうせ人はいない。こんなクソ田舎だ。
歩いてるのは俺達だけで、立ってるのは電柱ぐらい。
(´<_` )「ん、んー……?」
( ´_ゝ`)「検索結果出たか?」
(´<_` )「難しい言葉で書かれてて分からない……が、これは……?」
熟読し始めたので放置。
弟者の目の前に電柱が迫ってきたが、面白いので指摘しない。
469: ◆T/D40qQ./Q :2019/10/19(土) 02:06:09 ID:rixhaq6U0
ガィン! ゴン!
( ´_ゝ`)「フッ」
案の定、正面から電柱にぶつかった。
倒れた拍子に道路の縁石に後頭部をぶつけるオマケつき。
しばらく腹を抱えて呵呵大笑していたが、弟者が起き上がってこないので死んだかと覗き込む。
( ´_ゝ`)「あ、生きてた」
( ゚<_゚ )「ぱぅあ……」
いや死んでるなコレは。
( ´_ゝ`)「大丈夫? 人の言葉話せる?」
(゚<_゚ )「カッ……コォオ………エンッ」
( ´_ゝ`)「駄目そうだな」
(゚<_゚ )「アイテダレ?」
仕方がないので、服の襟首を掴んで家まで引きずる。
十万円もしたというコートが家に着く頃にはどうなっているのか、見ものだな。
糸冬
388: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 22:58:00 ID:g.hlV5qs0
40. 『サブタイトル末尾』
赤石との関係が大変拗れたが、それ以外は何事もなく日々が過ぎる。
そもそも、周囲が決して平凡や普通とは言えない人間ばかりだ。
この程度、とは決して言えないが、このくらいの拗れなら許容出来る。
最初から絡まって使えなかった釣り糸が更にグチャグチャ絡まったところで、
それをどうにかしようとは思わない。ゴミ箱への関心が高まるくらいか。
しかし、教材に載ってるような一般人には、何処に行ったら会えるのか。
母親に弟を刺した事が露見したが「いつかはやると思っていた」と、
まるでマスゴミ記者への取材テンプレのようなコメントを貰った。
追加で「今までやらなかったのが不思議なくらい」とのお言葉。
母さんがこういうって事は、ブレーキをかける必要なんてなかったのかな?
俺もだけど、確かに弟者は迷惑しか振り撒いてないからね。殺していいかな?
ξ゚⊿゚)ξ「何があろうと殺すのは駄目よ、殺したほうが面倒じゃない場合でもね」
( ´_ゝ`)「アッハイ」
殺すのは駄目だった。残念だ。本当に。
正直、流石 弟者が死んだショックで母さんが心を壊さないのであれば、
あいつを殺す手段なんて選ばないんだがなぁ。駄目なら仕方ない。
389: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:00:10 ID:g.hlV5qs0
聖なる夜の前日は我々の母の誕生日だ。
ケーキは買ってきたが、プレゼントは何にしようか。
……多分、我が母への一番へのプレゼントは、俺達の完全なる自立だ。
俺の攻撃性と異常なまでの殺意がなくなり、
弟者の窃盗症と異常なまでの性欲がなくなり、
大会社で働いて家計に負担をかけない事が唯一の……
それを夜通し考え続けていたら母への申し訳なさが富士山を超えて宇宙に届き
実現する事象への難しさと弟の更生と俺自身への自己評価が地獄堕ちした挙句
世界の端の暗き深淵へと到達し睡魔に襲われた俺は夢の階段を力無く降りた。
wwwヘ√レvv~─―────
つまり、ベッドで考えている内にいつの間にか寝た。
そして、無事に母の誕生日は過ぎ、クリスマスになる。
ξ゚⊿゚)ξ「いやー飲み会あって帰って来れなかったわ」
( ´_ゝ`)「飲み会あったなら連絡して……」
ξ゚⊿゚)ξ「したわよ。でもアンタの携帯繋がらなかったのよ」
( ´_ゝ`)「あっ」
ξ゚⊿゚)ξ「私お腹一杯だから、ケーキは弟者にでもやんなさい」
( ´_ゝ`)「まだ豚に食わせたほうがマシなんですけど」
390: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:02:01 ID:g.hlV5qs0
高いケーキを豚にやるのは流石にやめろ。
一生懸命作ったかもしれない職人さんも可哀想でしょ。
確かに、と俺は思った。母親の言葉は正論である。
豚は豚だが、弟者は一応人間だ。何しろ言葉を話す。
しかし、この高いケーキを弟者なんかにやらなくてはならないとは。
安いパイなら顔面シュート待ったなしだが、高いケーキは勿体ない。
けど、この高いケーキを弟者なんかに(ry
堂々巡りのまま、病院へ辿り着いた。
( ´_ゝ`)「そんな訳で、一応ケーキ持ってきたが、食わせたくない」
(´<_` )「どうしたいんだよクソビッチが」
( ´_ゝ`)「赤石と会った翌日だと、俺の呼称が毎回そうなるよな」
(´<_` )「やめて欲しいなら赤石と会うなよ」
( ´_ゝ`)「お前にビッチ呼ばわりされたところで、
特にダメージもないからどうでもいい」
(´<_` #)「こっ……この……!」
391: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:04:03 ID:g.hlV5qs0
( *´_ゝ`)「そうだ!」
(´<_` )「あ?」
( ´_ゝ`)「いい嫌がらせ思いついたぜ」
(´<_` )「おい」
こいつの目の前でケーキ貪り食って、悔しがる顔を見てやろう。
そう意気込んでケーキの箱を開ければ、満面の生クリーム。
成程、クリスマスならではの雪景色を白いクリームで表現したんですね。
側面まで綺麗に塗りたくられちゃってもう、俺の食欲は激減です。
甘味はあんまり得意じゃないんです。
生クリームに関しては大嫌いなんすよ。
口に入れた瞬間、マーライオンするレベルで嫌いなんですよ。
フォークを何処に突き刺そうか迷って弟者を見れば、腹の立つ無表情だった。
心の底から心を読みたい。今だけでいいから。サトリになりたい。
漫画だったら、きっと勝手な主人公の推測が当たってる状況だ。
392: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:05:19 ID:g.hlV5qs0
どうせ食えないんだろうと思ってるのか。
そのケーキ寄越せよと思ってるのか。
奴め無駄な事をと思ってるのか。
意地汚い奴だと思ってるのか。
糞野郎限定のサトリになりたい。
(´<_` )「結局くれるのか」
(il´_ゝ`)「甘過ぎる臭いとかずっと嗅いでると、吐き気してくるんだよ」
(´<_` )「俺は甘いの好きだからいいけど」
( ´_ゝ`)「よくワンホールいけるよな……糖尿病になって死ね」
(´<_`; )「……まさかこのケーキに何か入ってるんじゃ」
( ´_ゝ`)「いや、それはただの高いケーキだ」
(´<_` ) ホッ
393: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:08:56 ID:g.hlV5qs0
( ´_ゝ`)「ちょっと待て、お前『糖尿病』って何なのか知ってるのか?」
(´<_` )「病気だろ? なんか体に毒が溜まるやつ」
( ´_ゝ`)「どうやってなる病気とか知ってるのか?」
(´<_` )「全然」
( ´_ゝ`)「どんな症状を起こすものかは分かる?」
(´<_` )「えーと……ションベンが甘くなるんだろ?
実際、確かめた奴でもいんのかね」
( ´_ゝ`)「どんな漢字使ってるのか分かってる?」
(´<_` )「全く」
( ´_ゝ`)「何が原因かは」
(´<_` )「知るわけないだろ俺が」
この後、滅茶苦茶講義した。
394: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:10:17 ID:g.hlV5qs0
401: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 00:52:59 ID:zSljVb2M0
長い説明の末、一方的な嵐が吹き荒れた講義後。
何で俺はこんな事をしているんだと我に返った。
性病テロリストが糖尿病にかかって、色々な合併症を引き起こして、
失明して歩行困難になって苦しんで死ぬならそれでいいじゃないか。
それで俺が疑われるでもなし、裁かれるでもなし、いい事尽くめだ。
……教えたのは失敗だったかもしれないが、弟が恥晒すよりはいいか。
無知が母さんに露見したら、どうせ俺が教えろとか言われるんだろうし。
こいつがアホな言葉を発する度に、俺の知能まで低いと思われるし。
それを少しは回避出来たと思えば、まあ……。
(´<_` )「暴れてちょっとは落ち着いたか?」
( ´_ゝ`)「暴れてないだろ」
(´<_`; )「人に殴りかかっておいて『暴れてない』……?」
おっと、脊髄反射で否定してしまった。
402: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 00:54:56 ID:zSljVb2M0
(´<_` )「兄者は本当に、読めないっつか、何考えてっかわかんねっつか。
良い教師やってるかと思ったら、何でもないとこで突然キレるよな。
お前の沸点ってどこにあんの? 全然わかんねぇ。地雷どこだよ。
兄貴が先生やってたらマジでモンペごと殴り殺しそうで頼もしいよ」
( ´_ゝ`)「心から殴りたいと思わせ、実行に移させるのは大体お前だけだよ」
(´<_` )「大体って言い方だと、俺以外にもいるようだな」
( ´_ゝ`)「俺の目の前で堂々と不倫を肯定する意見を述べる人間は、
老若男女問わず泣くまで殴りたく……いや殺したくなる」
(´<_` )「糞親父とか?」
( ´_ゝ`)「そいつにだけは手が早いとか言われたくないね。
本能を理性で抑えられないヒト以下の癖して」
(´<_` )「今はそっちに殺意が傾いてるのか、助かったぜ」
( ´_ゝ`)「そこで『助かった』とほざけるお前の思考回路を焼きたい」
403: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 00:56:57 ID:zSljVb2M0
そうして一息つき、クリスマスに一体何をやってるんだと呆れ、
母さんの誕生日をないがしろにした罪悪感に苛まれ、
八つ当たり気味にしたのが弟者への罵倒だった。
折角の聖夜にこんな病室で一人でとかマジプギャwwwとかしてた気がする。
やたらハイテンションになってしまったので、何を言ったかは詳しく覚えていない。
弟者の友人や、二股されているとは知らない彼女達に醜聞を広めようとして、
当時やっていたツイッタにうっかりアカウントを間違えて誤爆した事しか覚えてない。
本当はリアル関係の垢に落とそうとしたのに、思い切り趣味の垢にやってしまった。
奪い取って初めて使用したスマホだった事もあり、
操作の仕方がわからなく、写真も削除出来てない。
ギリギリ人が写ってないのが幸いか。
いやでも知人が見たらバレるわコレ。
もう、それなりに年数経過してるし大丈夫か?
内藤あたりに嗅ぎつけられていないことを願おう。
404: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 00:58:11 ID:zSljVb2M0
その後、パスワードも登録したメルアドも忘却の彼方へ去ってしまった。
あれが皆の記憶から同じように忘却の彼方へ旅立つのを願おう。
だから、お気に入り登録だのログ保存だの勘弁しろ下さい。
以来、そのSNSとは疎遠になってしまった。
けれど、いい頃合いだったのかもしれない。
俺とこいつの価値観は違う、あのままリアルの赤裸々暴露を続けていたら、
その内ヒートアップして、田舎者丸出し、顔モロ出しの写メを投稿しかねない。
何故かは知らないが、顔面に勝手な自信を持ってるナルシストの事だ、絶対にやる。
サングラスかけて、よくわからないポーズを取って、変に陰影をつけて、
キメ顔( )自撮り写メなんてものがネットに上がった日には、日には……
(´<_` )「どうした、顔青いぞ。兄者は元からだが」
(li´_ゝ`)「ああ……何でもない。お前のせいだよ」
(´<_` )「そうか」
弟者は俺の内心も知らずに、ケーキを貪っている。
いつもの事だ。
405: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 01:00:20 ID:zSljVb2M0
(´<_` )「ケーキ食い終わってから言うのも何だけど、
俺じゃなく内藤にやるって手もあったよな」
( ´_ゝ`)「内藤は家族じゃない」
(´<_` )「へぇあ?」
( ´_ゝ`)「それは母さんに買ったケーキだから。家族宛のケーキ。
今の家にいる人と動物は家族だが、内藤は家族じゃない」
(´<_` )「ああ、そういう……へえ、俺家族なんだ?」
( ´_ゝ`)「そうだな」
(´<_` )「人の範囲に入ってる?」
( ´_ゝ`)「人の範疇だよ」
406: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 01:01:39 ID:zSljVb2M0
(´<_` )「もし、俺が動物だったら優しくできたりする?」
( ´_ゝ`)「処分するのに躊躇がなくなる程度だ。法律の壁もない」
(´<_`; )「うわ人間で良かった……」
( ´_ゝ`)「お前もよくよく話が飛ぶよな」
(´<_` )「兄者は動物に優しいじゃん? ワンチャンあるかと」
( ´_ゝ`)「俺が実験動物技術者資格持ちだと忘れているようだな」
(´<_` )「そういやそうだった……自分のハムスターとか可愛がるわりに、
訳分からん資格持ってるよなお前。しかもアレルギー持ちなのに」
( ´_ゝ`)「実験動物と愛玩動物は切り離して考えるぞ。
ペットは自分のだが、実験動物は違うだろう。
そもそも公私混同する奴は取れないぞこの資格」
407: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 01:03:24 ID:zSljVb2M0
( ´_ゝ`)「アレルギーについては実際に酷いから否定せんが」
(´<_` )「実行したから知ってる」
( ´_ゝ`)「そうだな。俺の食べ物に犬の毛を混入させたもんな、お前」
(´<_` )「あれ、実は窒息死狙いだったんだけどー、テレビは宛にならんわ。
せめて呼吸困難になったらいいやって思ったのに、それもねーし。
でも、喋らない兄者は新鮮だったから、それはそれでよかったよ。
それ自体は良かったんだよ。口煩くねーし、静かだったから良かった。
よかったが、喋れないからって肉体言語に訴え過ぎ。原始人かよ」
( ´_ゝ`)「だったら書いてる間にどっか行くなよ。
わざわざホワイトボードまで買ったのに」
(´<_` )「何でわざわざ買いに行くんだよ。地面に書けよ」
408: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 01:07:25 ID:zSljVb2M0
(´<_` )「兄貴の出す拳は全部『良いパンチ』だからな」
( ´_ゝ`)「俺を殺す気で陥れた奴に手加減できるわけないだろ」
(´<_` )「しろよ。家じゃなくて病院の中だったろ」
( ´_ゝ`)「それがどうした」
(´<_` )「もう駄目だ。俺と兄者は永遠に分かり合えない」
( ´_ゝ`)「今更かよ」
(´<_` )「性癖からして兄者のは理解しがたいし」
( ´_ゝ`)「え?」
(´<_` )「世界十大危険性癖……」
( ´_ゝ`)「待て」
(´<_` )「人に欲情し切れないとか」
( ´_ゝ`)「どこで知った」
409: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 01:10:00 ID:zSljVb2M0
(´<_` )「本当はクソデカいヤスデ飼う為に、一人暮らししようとしてたとか」
( ´_ゝ`)「おい母さんには絶対言うな」
(´<_,` )「言わねーよ」
笑いながら言われても信じられない。どうしよう殺そうかな。
(´<_` )「心の声出てるぞ」
( ´_ゝ`)「つい」
40.糸冬
40. 『サブタイトル末尾』
赤石との関係が大変拗れたが、それ以外は何事もなく日々が過ぎる。
そもそも、周囲が決して平凡や普通とは言えない人間ばかりだ。
この程度、とは決して言えないが、このくらいの拗れなら許容出来る。
最初から絡まって使えなかった釣り糸が更にグチャグチャ絡まったところで、
それをどうにかしようとは思わない。ゴミ箱への関心が高まるくらいか。
しかし、教材に載ってるような一般人には、何処に行ったら会えるのか。
母親に弟を刺した事が露見したが「いつかはやると思っていた」と、
まるでマスゴミ記者への取材テンプレのようなコメントを貰った。
追加で「今までやらなかったのが不思議なくらい」とのお言葉。
母さんがこういうって事は、ブレーキをかける必要なんてなかったのかな?
俺もだけど、確かに弟者は迷惑しか振り撒いてないからね。殺していいかな?
ξ゚⊿゚)ξ「何があろうと殺すのは駄目よ、殺したほうが面倒じゃない場合でもね」
( ´_ゝ`)「アッハイ」
殺すのは駄目だった。残念だ。本当に。
正直、流石 弟者が死んだショックで母さんが心を壊さないのであれば、
あいつを殺す手段なんて選ばないんだがなぁ。駄目なら仕方ない。
389: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:00:10 ID:g.hlV5qs0
聖なる夜の前日は我々の母の誕生日だ。
ケーキは買ってきたが、プレゼントは何にしようか。
……多分、我が母への一番へのプレゼントは、俺達の完全なる自立だ。
俺の攻撃性と異常なまでの殺意がなくなり、
弟者の窃盗症と異常なまでの性欲がなくなり、
大会社で働いて家計に負担をかけない事が唯一の……
それを夜通し考え続けていたら母への申し訳なさが富士山を超えて宇宙に届き
実現する事象への難しさと弟の更生と俺自身への自己評価が地獄堕ちした挙句
世界の端の暗き深淵へと到達し睡魔に襲われた俺は夢の階段を力無く降りた。
wwwヘ√レvv~─―────
つまり、ベッドで考えている内にいつの間にか寝た。
そして、無事に母の誕生日は過ぎ、クリスマスになる。
ξ゚⊿゚)ξ「いやー飲み会あって帰って来れなかったわ」
( ´_ゝ`)「飲み会あったなら連絡して……」
ξ゚⊿゚)ξ「したわよ。でもアンタの携帯繋がらなかったのよ」
( ´_ゝ`)「あっ」
ξ゚⊿゚)ξ「私お腹一杯だから、ケーキは弟者にでもやんなさい」
( ´_ゝ`)「まだ豚に食わせたほうがマシなんですけど」
390: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:02:01 ID:g.hlV5qs0
高いケーキを豚にやるのは流石にやめろ。
一生懸命作ったかもしれない職人さんも可哀想でしょ。
確かに、と俺は思った。母親の言葉は正論である。
豚は豚だが、弟者は一応人間だ。何しろ言葉を話す。
しかし、この高いケーキを弟者なんかにやらなくてはならないとは。
安いパイなら顔面シュート待ったなしだが、高いケーキは勿体ない。
けど、この高いケーキを弟者なんかに(ry
堂々巡りのまま、病院へ辿り着いた。
( ´_ゝ`)「そんな訳で、一応ケーキ持ってきたが、食わせたくない」
(´<_` )「どうしたいんだよクソビッチが」
( ´_ゝ`)「赤石と会った翌日だと、俺の呼称が毎回そうなるよな」
(´<_` )「やめて欲しいなら赤石と会うなよ」
( ´_ゝ`)「お前にビッチ呼ばわりされたところで、
特にダメージもないからどうでもいい」
(´<_` #)「こっ……この……!」
391: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:04:03 ID:g.hlV5qs0
( *´_ゝ`)「そうだ!」
(´<_` )「あ?」
( ´_ゝ`)「いい嫌がらせ思いついたぜ」
(´<_` )「おい」
こいつの目の前でケーキ貪り食って、悔しがる顔を見てやろう。
そう意気込んでケーキの箱を開ければ、満面の生クリーム。
成程、クリスマスならではの雪景色を白いクリームで表現したんですね。
側面まで綺麗に塗りたくられちゃってもう、俺の食欲は激減です。
甘味はあんまり得意じゃないんです。
生クリームに関しては大嫌いなんすよ。
口に入れた瞬間、マーライオンするレベルで嫌いなんですよ。
フォークを何処に突き刺そうか迷って弟者を見れば、腹の立つ無表情だった。
心の底から心を読みたい。今だけでいいから。サトリになりたい。
漫画だったら、きっと勝手な主人公の推測が当たってる状況だ。
392: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:05:19 ID:g.hlV5qs0
どうせ食えないんだろうと思ってるのか。
そのケーキ寄越せよと思ってるのか。
奴め無駄な事をと思ってるのか。
意地汚い奴だと思ってるのか。
糞野郎限定のサトリになりたい。
(´<_` )「結局くれるのか」
(il´_ゝ`)「甘過ぎる臭いとかずっと嗅いでると、吐き気してくるんだよ」
(´<_` )「俺は甘いの好きだからいいけど」
( ´_ゝ`)「よくワンホールいけるよな……糖尿病になって死ね」
(´<_`; )「……まさかこのケーキに何か入ってるんじゃ」
( ´_ゝ`)「いや、それはただの高いケーキだ」
(´<_` ) ホッ
393: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:08:56 ID:g.hlV5qs0
( ´_ゝ`)「ちょっと待て、お前『糖尿病』って何なのか知ってるのか?」
(´<_` )「病気だろ? なんか体に毒が溜まるやつ」
( ´_ゝ`)「どうやってなる病気とか知ってるのか?」
(´<_` )「全然」
( ´_ゝ`)「どんな症状を起こすものかは分かる?」
(´<_` )「えーと……ションベンが甘くなるんだろ?
実際、確かめた奴でもいんのかね」
( ´_ゝ`)「どんな漢字使ってるのか分かってる?」
(´<_` )「全く」
( ´_ゝ`)「何が原因かは」
(´<_` )「知るわけないだろ俺が」
この後、滅茶苦茶講義した。
394: ◆T/D40qQ./Q :2015/09/30(水) 23:10:17 ID:g.hlV5qs0
401: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 00:52:59 ID:zSljVb2M0
長い説明の末、一方的な嵐が吹き荒れた講義後。
何で俺はこんな事をしているんだと我に返った。
性病テロリストが糖尿病にかかって、色々な合併症を引き起こして、
失明して歩行困難になって苦しんで死ぬならそれでいいじゃないか。
それで俺が疑われるでもなし、裁かれるでもなし、いい事尽くめだ。
……教えたのは失敗だったかもしれないが、弟が恥晒すよりはいいか。
無知が母さんに露見したら、どうせ俺が教えろとか言われるんだろうし。
こいつがアホな言葉を発する度に、俺の知能まで低いと思われるし。
それを少しは回避出来たと思えば、まあ……。
(´<_` )「暴れてちょっとは落ち着いたか?」
( ´_ゝ`)「暴れてないだろ」
(´<_`; )「人に殴りかかっておいて『暴れてない』……?」
おっと、脊髄反射で否定してしまった。
402: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 00:54:56 ID:zSljVb2M0
(´<_` )「兄者は本当に、読めないっつか、何考えてっかわかんねっつか。
良い教師やってるかと思ったら、何でもないとこで突然キレるよな。
お前の沸点ってどこにあんの? 全然わかんねぇ。地雷どこだよ。
兄貴が先生やってたらマジでモンペごと殴り殺しそうで頼もしいよ」
( ´_ゝ`)「心から殴りたいと思わせ、実行に移させるのは大体お前だけだよ」
(´<_` )「大体って言い方だと、俺以外にもいるようだな」
( ´_ゝ`)「俺の目の前で堂々と不倫を肯定する意見を述べる人間は、
老若男女問わず泣くまで殴りたく……いや殺したくなる」
(´<_` )「糞親父とか?」
( ´_ゝ`)「そいつにだけは手が早いとか言われたくないね。
本能を理性で抑えられないヒト以下の癖して」
(´<_` )「今はそっちに殺意が傾いてるのか、助かったぜ」
( ´_ゝ`)「そこで『助かった』とほざけるお前の思考回路を焼きたい」
403: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 00:56:57 ID:zSljVb2M0
そうして一息つき、クリスマスに一体何をやってるんだと呆れ、
母さんの誕生日をないがしろにした罪悪感に苛まれ、
八つ当たり気味にしたのが弟者への罵倒だった。
折角の聖夜にこんな病室で一人でとかマジプギャwwwとかしてた気がする。
やたらハイテンションになってしまったので、何を言ったかは詳しく覚えていない。
弟者の友人や、二股されているとは知らない彼女達に醜聞を広めようとして、
当時やっていたツイッタにうっかりアカウントを間違えて誤爆した事しか覚えてない。
本当はリアル関係の垢に落とそうとしたのに、思い切り趣味の垢にやってしまった。
奪い取って初めて使用したスマホだった事もあり、
操作の仕方がわからなく、写真も削除出来てない。
ギリギリ人が写ってないのが幸いか。
いやでも知人が見たらバレるわコレ。
もう、それなりに年数経過してるし大丈夫か?
内藤あたりに嗅ぎつけられていないことを願おう。
404: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 00:58:11 ID:zSljVb2M0
その後、パスワードも登録したメルアドも忘却の彼方へ去ってしまった。
あれが皆の記憶から同じように忘却の彼方へ旅立つのを願おう。
だから、お気に入り登録だのログ保存だの勘弁しろ下さい。
以来、そのSNSとは疎遠になってしまった。
けれど、いい頃合いだったのかもしれない。
俺とこいつの価値観は違う、あのままリアルの赤裸々暴露を続けていたら、
その内ヒートアップして、田舎者丸出し、顔モロ出しの写メを投稿しかねない。
何故かは知らないが、顔面に勝手な自信を持ってるナルシストの事だ、絶対にやる。
サングラスかけて、よくわからないポーズを取って、変に陰影をつけて、
キメ顔( )自撮り写メなんてものがネットに上がった日には、日には……
(´<_` )「どうした、顔青いぞ。兄者は元からだが」
(li´_ゝ`)「ああ……何でもない。お前のせいだよ」
(´<_` )「そうか」
弟者は俺の内心も知らずに、ケーキを貪っている。
いつもの事だ。
405: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 01:00:20 ID:zSljVb2M0
(´<_` )「ケーキ食い終わってから言うのも何だけど、
俺じゃなく内藤にやるって手もあったよな」
( ´_ゝ`)「内藤は家族じゃない」
(´<_` )「へぇあ?」
( ´_ゝ`)「それは母さんに買ったケーキだから。家族宛のケーキ。
今の家にいる人と動物は家族だが、内藤は家族じゃない」
(´<_` )「ああ、そういう……へえ、俺家族なんだ?」
( ´_ゝ`)「そうだな」
(´<_` )「人の範囲に入ってる?」
( ´_ゝ`)「人の範疇だよ」
406: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 01:01:39 ID:zSljVb2M0
(´<_` )「もし、俺が動物だったら優しくできたりする?」
( ´_ゝ`)「処分するのに躊躇がなくなる程度だ。法律の壁もない」
(´<_`; )「うわ人間で良かった……」
( ´_ゝ`)「お前もよくよく話が飛ぶよな」
(´<_` )「兄者は動物に優しいじゃん? ワンチャンあるかと」
( ´_ゝ`)「俺が実験動物技術者資格持ちだと忘れているようだな」
(´<_` )「そういやそうだった……自分のハムスターとか可愛がるわりに、
訳分からん資格持ってるよなお前。しかもアレルギー持ちなのに」
( ´_ゝ`)「実験動物と愛玩動物は切り離して考えるぞ。
ペットは自分のだが、実験動物は違うだろう。
そもそも公私混同する奴は取れないぞこの資格」
407: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 01:03:24 ID:zSljVb2M0
( ´_ゝ`)「アレルギーについては実際に酷いから否定せんが」
(´<_` )「実行したから知ってる」
( ´_ゝ`)「そうだな。俺の食べ物に犬の毛を混入させたもんな、お前」
(´<_` )「あれ、実は窒息死狙いだったんだけどー、テレビは宛にならんわ。
せめて呼吸困難になったらいいやって思ったのに、それもねーし。
でも、喋らない兄者は新鮮だったから、それはそれでよかったよ。
それ自体は良かったんだよ。口煩くねーし、静かだったから良かった。
よかったが、喋れないからって肉体言語に訴え過ぎ。原始人かよ」
( ´_ゝ`)「だったら書いてる間にどっか行くなよ。
わざわざホワイトボードまで買ったのに」
(´<_` )「何でわざわざ買いに行くんだよ。地面に書けよ」
408: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 01:07:25 ID:zSljVb2M0
(´<_` )「兄貴の出す拳は全部『良いパンチ』だからな」
( ´_ゝ`)「俺を殺す気で陥れた奴に手加減できるわけないだろ」
(´<_` )「しろよ。家じゃなくて病院の中だったろ」
( ´_ゝ`)「それがどうした」
(´<_` )「もう駄目だ。俺と兄者は永遠に分かり合えない」
( ´_ゝ`)「今更かよ」
(´<_` )「性癖からして兄者のは理解しがたいし」
( ´_ゝ`)「え?」
(´<_` )「世界十大危険性癖……」
( ´_ゝ`)「待て」
(´<_` )「人に欲情し切れないとか」
( ´_ゝ`)「どこで知った」
409: ◆T/D40qQ./Q :2015/11/29(日) 01:10:00 ID:zSljVb2M0
(´<_` )「本当はクソデカいヤスデ飼う為に、一人暮らししようとしてたとか」
( ´_ゝ`)「おい母さんには絶対言うな」
(´<_,` )「言わねーよ」
笑いながら言われても信じられない。どうしよう殺そうかな。
(´<_` )「心の声出てるぞ」
( ´_ゝ`)「つい」
40.糸冬
363: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:35:09 ID:MsfxELuk0
39.日常を生きる
寒さを凌ぐ為に、駄目元で赤石を訪ねる。
あらゆる意味で駄目な気しかしないが、アポなし来訪を許容し、
予約なしの宿泊を許可してくれる友人は内藤と赤石の二人しかいない。
そんな赤石邸の部屋の扉を開ける前に、宿の主人に出迎えられた。
声をかけてもいないし、ノックもしてない、事前に連絡もしていない。
なのに、扉の前に来た瞬間、向こうから歓待された。
監視カメラか盗聴器か。危機感を抱く。
( ゚∀゚ )「よお兄者! なんだか久しぶりだな」
(;´_ゝ`)「そ、そうか? 一か月も経ってないぞ」
そう、これは偶然だ。偶然に決まっている。
ちょっとタイミングが、がっちりフィットしただけなんだ。
きっと、今からゴミでも出しに行くんだろう。もう昼だけど。
364: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:36:58 ID:MsfxELuk0
普通に部屋に入ろうとしていたのに、腕を引かれて部屋に連れ込まれそうになった。
入るつもりだった。入るつもりではあったけど、強制されると反射的に抵抗してしまう。
強引に体を捻じって腕を解く。ターンではない。
しかし、傍から見れば男同士の社交ダンスだ。
( ;゚∀゚ )「あ、あれ? 入らねえのか?」
( ´_ゝ`)「入る……つもりで……来たが……」
自分から進んで入るのと、強制連行収容はかなり違う。
あと掴まれた部分が地味に痛い。どんだけ力込めてんだよ。
薬のせいで筋肉のリミッターが解除されてるのか、無意識なのか。
どちらにしろ拒否一択だ。部屋に入る選択肢は消えた。
( ;゚∀゚ )「ここで話すのも何だから! 部屋で話したいだけなんだ!
決して兄者を害しようとか! そんな! ないから! 絶対!」
( ´_ゝ`)「そこまで力強く否定するなら信じよう。部屋には入らないがな。
寒くもないから、ここで話せよ。長話じゃないんだろ?」
頭を抱えながら、あーうー唸り始める赤石。
考え事をしているのか、薬が切れたのか、ゾンビ化し始めるのか。
365: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:37:56 ID:MsfxELuk0
( ゚∀゚ )「その……前に俺がバカやったじゃん? 一週間付き合おうとか」
( ´_ゝ`)「おっ、もしかして症状が軽くなったのか? ようやく目が覚めたか?
男に走ったとかいう話が田舎で飛び交えば村八分待ったなしだぞ。
広がる前でよかったな。内藤には記録されてるが、俺なら忘れてやるぞ」
( ゚∀゚ )「え?」
( ´_ゝ`)「え?」
( ;゚∀゚ )「……俺は、そっちの都合も考えずに『一週間付き合おう』って、
勢いで言っちまったのを謝罪したかったんだ……です、けど。
まだ諦めきれないし、母親のせいで女は信じれないんだよ」
( ;´_ゝ`)「ああ……そう……頼むから早く目を覚ましてくれよ。外聞的に考えて。
俺はゲイじゃないし、バイセクシャルでもない。ただのリョナラーだ。
それと一週間って、とっくの昔に過ぎ去ってるだろ。まさか延長か?」
( ゚∀゚ )「そうじゃない。そうじゃなくて、『一週間』ってのを『七日間』にしたい」
赤石の話を要約すると「七回デートに付き合ってくれ」というものだった。
まだ正気に返ってはくれないらしい。どうやったら穏便に元の関係に戻れるんだ。
と言いますか、脱糞処理ってそんなに好感度上がるん?
普通は、人に脱糞したとこ見られたら、恥で死ねるんじゃないの?
何なの? 赤石はスカトロ趣味でもあんの? 馬鹿なの? 不潔なのは大嫌いなんですけど?
主治医の意見書にわざわざ”不潔への恐怖”って書かれるくらい汚いのはヤなんですけど?
攻略難易度が高い。赤石の親父さん、早く息子の狂行を止めてくれ。
それとも、全部知ってて放置してるのか。存在自体が不透明だ。
366: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:39:14 ID:MsfxELuk0
兎にも角にも、赤石のマンションから無事に逃げ切った。
効果はあるかわからないけど、神社仏閣に赤石が正気になるよう祈ろう。
それか、赤石の好意の対象が弟者に移るよう願うか。
もし実際にそうなったら、きっと俺だけが楽しい。
.
.
.
母親が胃潰瘍になりそうな妄想をしていたから罰が下ったのか、
赤石が後ろから着いて来てる事に気づけなかった。クソが。
( ;゚∀゚ )「なあ兄者この後ちょっと時間あるか!?
時間あるなら折角だし俺とでっ、でででーt」
( il´_ゝ`)「頼むから、そこ普通に『遊びに行かないか』って誘えよ」
( ゚∀゚ )「いいのか?」
( ´_ゝ`)「ちょっと待った。かなり考えさせろ」
( ;゚∀゚ )「お、おおう……」
367: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:40:03 ID:MsfxELuk0
デートだの逢引きだの、ふざけた言葉は全て無視。
言葉を変えるから駄目なんだ、普通に遊びに行くだけと考えればいい。
遊びに行くにしても、二人きりになる場所は避けよう。
決して醜聞を出してはならない。未来の俺と赤石と斎藤の為だ。
紙の上だけとは言え、俺と斎藤は一応夫婦だ。飛び火は防がねば。
赤石がやたらしたがっている恋人らしい行いも却下。
荷が重い。思いも重い。赤石のバックも重すぎる。ついでに俺も。
後はメリットか。
( ´_ゝ`)「今から赤石と『遊びに行く』のは、一回分と考えていいか?」
( ゚∀゚ )「おおともよ!」
上々。もう今日は半日もない。
苦行が短い時間で済むなら何も言う事はない。
( ´_ゝ`)「流石に夜まで遊びに付き合えってのはないよな?
母さんは仕事忙しいし、あのアホは入院してるから」
( ゚∀゚ )「こっちも駄目元で言ったから気にすんな。無理はしなくていいぜ」
368: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:41:16 ID:MsfxELuk0
じゃあ早速! と手を握ってきたので振り解いた。
勢いをつけすぎて、一方通行の道路標識に手を強打する。
腐りかけだったのか、ゆっくりと車道に倒れていき、百合のように折れた。
( ´_ゝ`)「街中でそういう事はやめてくれないか」
( ;゚∀゚ )「やっぱ駄目か」
( ´_ゝ`)「俺が了承すると思ったのか」
( ゚∀゚ )「人目が気になるのか?」
( ´_ゝ`)「そりゃな」
( ゚∀゚ )「なら人目の少ないとこに行こうぜ!」
やっべ墓穴掘った。埋めねば。
( ;´_ゝ`)「そんなに手を繋ぎたいならせめて深夜にしてくれないか。
暗けりゃ(多分)繋いでる手も(きっと)見えないだろうし」
( *゚∀゚ )「そうか!」
369: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:42:46 ID:MsfxELuk0
掘った墓穴に赤石を埋めればよかった。
人目のつかないところで、いっそ赤石を殺ればいいんだ。
そんな危険な考えが頭を掠める。いかんいかん。
( ´_ゝ`)「ところで遊びに行く宛はあるのか?」
( ゚∀゚ )「無難に映画館デートを」
( ´_ゝ`)「デート言うな」
( ゚∀゚ )「それと記念写真」
( ´_ゝ`)「黒歴史にしかならないぞ。良くて自分への戒めだ」
( ゚∀゚ )「あと名前呼びに戻してほしい」
( ´_ゝ`)「はあ? 何言って……」
( ゚∀゚ )「無自覚?」
370: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:44:09 ID:MsfxELuk0
( ´_ゝ`)「…………」
( ゚∀゚ )「赤石って呼んでんぜ」
_, 、_
( ´_ゝ`)「……いつから?」
( ゚∀゚ )「わからねえが、兄者も俺を意識してるって事だよな!」
( ´_ゝ`)「うん、同性から『付き合おう』って言われて意識しない人間はいないから。
考えない人間がいたら、そいつは勘違いしてるか、知恵遅れか、動物だ」
( ゚∀゚ )「難しいことはいい! 気軽に名前呼びに戻していいんだぜ!」
( ´_ゝ`)「んー……ん、そうだな。気が治ったらな」
その後、見に行った映画は全く興味を惹かれなかったので、別の事を考えていた。
内藤、鬱田、斎藤。弟者の取り巻きも苗字で覚えている。
またんきは場所と状況により使い分けているから少し違うが、
俺は基本的に人の事を苗字で覚えて、呼んでいる。
むしろ何で今まで、赤石をアヒャと呼んでいたのか。
371: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:45:09 ID:MsfxELuk0
赤石の手が俺の手に伸びてきたので、思考中断。
横を見れば、赤石は映画を見続けている。
何をどう思っているかはよくわからない。
元々肌が赤い種族だから、怒りも照れもよくわからない。
まあ、会場の端っこの席だし。
俺達の後ろに人はいないし。
映画はクッソつまんねえし。
このまま寝よう。うん。おやすみ。
372: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:46:46 ID:MsfxELuk0.
( ゚∀゚ )「映画面白かった?」
( ´_ゝ`)「途中から寝てた」
( ゚∀゚ )「何しに映画館来たんだ」
( ´_ゝ`)「1500円払って寝に来た」
( ;゚∀゚ )「……もしかして怒ってる?」
( ´_ゝ`)「いいや」
( ;゚∀゚ )「すまん」
( ´_ゝ`)「何で謝るんだ」
( ;゚∀゚ )「いやあ、金払わせてつまらん映画見せちまって……」
( ´_ゝ`)「アヒャには怒ってないぞ。内藤達と来る時も、俺寝てるし」
373: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:48:13 ID:MsfxELuk0
( ゚∀゚ )「本当に何しに来てんだよ」
( ´_ゝ`)「寒くてうるさい場所に寝に来てるんだよ」
それから上映してる映画を赤石の奢りで片っ端から見て行ったが、
殆ど内容は頭に入って来なかった。爆音の睡眠学習は無意味だったようだ。
最後のほうになると、赤石もいびきをかいて寝ていた。
映画を見ている客も、俺達とおっさん一人しかいない。
しかもそのおっさんは、映画を見ながらシコっていた。
どうせ金を払って寝るなら、ネカフェにでも行って寝た方がよかった。
おっさんは映画を見る金でソープに行けば良かったんだ。汚ぇモン見せやがって。
( ゚∀゚ )「もう映画はやめよう」
( ´_ゝ`)「賛成、イカ臭い」
( ゚∀゚ )「無駄に時間使っちまったし、さっさと記念写真を撮ろう!」
( ´_ゝ`)「これからゲーセン行く? 閉まってるんじゃないか?」
( ゚∀゚ )「え?」
( ´_ゝ`)「へ?」
374: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:49:39 ID:MsfxELuk0
( ´_ゝ`)「記念写真ってプリクラじゃないのか?」
( ゚∀゚ )「スマホで撮るだけだぜ。兄者って変なとこで女っぽいな」
( ´_ゝ`)「異論しかない」
( ゚∀゚ )「普通の男は母親と一緒に入浴剤選ぶの手伝わねぇって!」
( ´_ゝ`)「風呂に色々入れるのが好きなだけだっつの。
スマホでいいならもうここでさっさと撮ろうぜ」
( ゚∀゚ )「景色いいとこで撮りたいんだよー」
( ´_ゝ`)「時間ないし眠いし歩くのダルいしもう無理。
ここで撮らないなら次に回せばいいじゃん」
( ゚∀゚ )「次は次でちゃんと撮るぞ。うん。まあ今はここでいいか」
( ´_ゝ`)「確認しておくけど、その写真をネットに流すのはやめろよ」
( ;゚∀゚ )「しないって!」
( ´_ゝ`)「フェイス本もツイッタもミクソも全部アウトだかんな」
( ゚∀゚ )「しないしない。ネットに繋げてない俺のPCに保存するだけだ」
それはそれで不安しかない。
375: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:50:44 ID:MsfxELuk0
不安を置き去りに、赤石からポーズ指定が入る。近すぎない?
それから赤石がスマホをいじくって、タイマーシャッターでぱしゃり。
( ゚∀゚ )「もっと笑顔で」
( ´_ゝ`)「精一杯の笑顔です、それ」
( ゚∀゚ )「刑事ドラマに出てくるゲスい下っ端ヤクザの面だぞ、これ」
やけに具体的な罵倒を胸に、もう一度。
( ゚∀゚ )「さっきよりはいいな」
( ´_ゝ`)「勘弁してくれ」
( ゚∀゚ )「上手く取れたら兄者の携帯にも送るから」
( ´_ゝ`)「いらねえ。つか、俺の携帯壊れてるけど?」
( ;゚∀゚ )「はぁあ? マジか。どうりで全然繋がらないと……」
あ、でも弟者にこの写メ送るのはいいかも。
あいつ赤石のこと嫌ってるし、嫌がらせに調度いい。
そう思えば、笑顔も作れる気がしてきた。
376: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:51:46 ID:MsfxELuk0
( ´_ゝ`)「写メはさ、弟者の携帯に送ってくんね?」
( ゚∀゚ )「分かった」
自分なりに、最高の笑顔でパシャっと。
赤石に見せてもらえば、中々の出来。
うん、この状況でこの笑顔は、良い感じに誤解してくれそうだ。
性欲に支配されてる脳味噌で、思いもよらない邪推をしてくれるだろう。
( ゚∀゚ )「弟者のメルアドは?」
( ´_ゝ`)「今は確か、あー『兄者殺す』」
( ;゚∀゚ )「……は? えっと、もう一回頼む」
( ´_ゝ`)「アルファベットで『兄者殺す』ってそのまま打てよ」
( ゚∀゚ )「これで本当に届くのか?」
( ´_ゝ`)「直行便だよ」
( ゚∀゚ )「そういや兄者のメルアドは『弟者死ね』だったな」
377: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:52:49 ID:MsfxELuk0
メールを送ってしばらくして、赤石にはメボムが届けられた。
件名は空。本文には『赤石ぶっ殺す』と一言。
着信拒否をしても別のアドレスから来るので、
赤石はスマホをもう一台取り出した。
( ´_ゝ`)「何台持ってんの?」
( ゚∀゚ )「父親との連絡用と、俺個人の仕事用とー。
あとプライベート用に三台あるぜ!」
( ´_ゝ`)「持ちすぎ」
( ゚∀゚ )「一台やろうか?」
( ´_ゝ`)「流石に受け取らない」
メボムの爆撃が続けられているスマホなら、尚更。
その後、ぶらぶらし過ぎて遅くなり、田舎へのバスがなくなったので、
久しぶりにネカフェにお泊りした。何故か赤石も一緒についてきた。
当たり前だが、部屋は別々に取った。
378: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:53:36 ID:MsfxELuk0
後日、俺はデートという概念の複雑さを知った。
39.糸冬
39.日常を生きる
寒さを凌ぐ為に、駄目元で赤石を訪ねる。
あらゆる意味で駄目な気しかしないが、アポなし来訪を許容し、
予約なしの宿泊を許可してくれる友人は内藤と赤石の二人しかいない。
そんな赤石邸の部屋の扉を開ける前に、宿の主人に出迎えられた。
声をかけてもいないし、ノックもしてない、事前に連絡もしていない。
なのに、扉の前に来た瞬間、向こうから歓待された。
監視カメラか盗聴器か。危機感を抱く。
( ゚∀゚ )「よお兄者! なんだか久しぶりだな」
(;´_ゝ`)「そ、そうか? 一か月も経ってないぞ」
そう、これは偶然だ。偶然に決まっている。
ちょっとタイミングが、がっちりフィットしただけなんだ。
きっと、今からゴミでも出しに行くんだろう。もう昼だけど。
364: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:36:58 ID:MsfxELuk0
普通に部屋に入ろうとしていたのに、腕を引かれて部屋に連れ込まれそうになった。
入るつもりだった。入るつもりではあったけど、強制されると反射的に抵抗してしまう。
強引に体を捻じって腕を解く。ターンではない。
しかし、傍から見れば男同士の社交ダンスだ。
( ;゚∀゚ )「あ、あれ? 入らねえのか?」
( ´_ゝ`)「入る……つもりで……来たが……」
自分から進んで入るのと、強制連行収容はかなり違う。
あと掴まれた部分が地味に痛い。どんだけ力込めてんだよ。
薬のせいで筋肉のリミッターが解除されてるのか、無意識なのか。
どちらにしろ拒否一択だ。部屋に入る選択肢は消えた。
( ;゚∀゚ )「ここで話すのも何だから! 部屋で話したいだけなんだ!
決して兄者を害しようとか! そんな! ないから! 絶対!」
( ´_ゝ`)「そこまで力強く否定するなら信じよう。部屋には入らないがな。
寒くもないから、ここで話せよ。長話じゃないんだろ?」
頭を抱えながら、あーうー唸り始める赤石。
考え事をしているのか、薬が切れたのか、ゾンビ化し始めるのか。
365: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:37:56 ID:MsfxELuk0
( ゚∀゚ )「その……前に俺がバカやったじゃん? 一週間付き合おうとか」
( ´_ゝ`)「おっ、もしかして症状が軽くなったのか? ようやく目が覚めたか?
男に走ったとかいう話が田舎で飛び交えば村八分待ったなしだぞ。
広がる前でよかったな。内藤には記録されてるが、俺なら忘れてやるぞ」
( ゚∀゚ )「え?」
( ´_ゝ`)「え?」
( ;゚∀゚ )「……俺は、そっちの都合も考えずに『一週間付き合おう』って、
勢いで言っちまったのを謝罪したかったんだ……です、けど。
まだ諦めきれないし、母親のせいで女は信じれないんだよ」
( ;´_ゝ`)「ああ……そう……頼むから早く目を覚ましてくれよ。外聞的に考えて。
俺はゲイじゃないし、バイセクシャルでもない。ただのリョナラーだ。
それと一週間って、とっくの昔に過ぎ去ってるだろ。まさか延長か?」
( ゚∀゚ )「そうじゃない。そうじゃなくて、『一週間』ってのを『七日間』にしたい」
赤石の話を要約すると「七回デートに付き合ってくれ」というものだった。
まだ正気に返ってはくれないらしい。どうやったら穏便に元の関係に戻れるんだ。
と言いますか、脱糞処理ってそんなに好感度上がるん?
普通は、人に脱糞したとこ見られたら、恥で死ねるんじゃないの?
何なの? 赤石はスカトロ趣味でもあんの? 馬鹿なの? 不潔なのは大嫌いなんですけど?
主治医の意見書にわざわざ”不潔への恐怖”って書かれるくらい汚いのはヤなんですけど?
攻略難易度が高い。赤石の親父さん、早く息子の狂行を止めてくれ。
それとも、全部知ってて放置してるのか。存在自体が不透明だ。
366: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:39:14 ID:MsfxELuk0
兎にも角にも、赤石のマンションから無事に逃げ切った。
効果はあるかわからないけど、神社仏閣に赤石が正気になるよう祈ろう。
それか、赤石の好意の対象が弟者に移るよう願うか。
もし実際にそうなったら、きっと俺だけが楽しい。
.
.
.
母親が胃潰瘍になりそうな妄想をしていたから罰が下ったのか、
赤石が後ろから着いて来てる事に気づけなかった。クソが。
( ;゚∀゚ )「なあ兄者この後ちょっと時間あるか!?
時間あるなら折角だし俺とでっ、でででーt」
( il´_ゝ`)「頼むから、そこ普通に『遊びに行かないか』って誘えよ」
( ゚∀゚ )「いいのか?」
( ´_ゝ`)「ちょっと待った。かなり考えさせろ」
( ;゚∀゚ )「お、おおう……」
367: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:40:03 ID:MsfxELuk0
デートだの逢引きだの、ふざけた言葉は全て無視。
言葉を変えるから駄目なんだ、普通に遊びに行くだけと考えればいい。
遊びに行くにしても、二人きりになる場所は避けよう。
決して醜聞を出してはならない。未来の俺と赤石と斎藤の為だ。
紙の上だけとは言え、俺と斎藤は一応夫婦だ。飛び火は防がねば。
赤石がやたらしたがっている恋人らしい行いも却下。
荷が重い。思いも重い。赤石のバックも重すぎる。ついでに俺も。
後はメリットか。
( ´_ゝ`)「今から赤石と『遊びに行く』のは、一回分と考えていいか?」
( ゚∀゚ )「おおともよ!」
上々。もう今日は半日もない。
苦行が短い時間で済むなら何も言う事はない。
( ´_ゝ`)「流石に夜まで遊びに付き合えってのはないよな?
母さんは仕事忙しいし、あのアホは入院してるから」
( ゚∀゚ )「こっちも駄目元で言ったから気にすんな。無理はしなくていいぜ」
368: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:41:16 ID:MsfxELuk0
じゃあ早速! と手を握ってきたので振り解いた。
勢いをつけすぎて、一方通行の道路標識に手を強打する。
腐りかけだったのか、ゆっくりと車道に倒れていき、百合のように折れた。
( ´_ゝ`)「街中でそういう事はやめてくれないか」
( ;゚∀゚ )「やっぱ駄目か」
( ´_ゝ`)「俺が了承すると思ったのか」
( ゚∀゚ )「人目が気になるのか?」
( ´_ゝ`)「そりゃな」
( ゚∀゚ )「なら人目の少ないとこに行こうぜ!」
やっべ墓穴掘った。埋めねば。
( ;´_ゝ`)「そんなに手を繋ぎたいならせめて深夜にしてくれないか。
暗けりゃ(多分)繋いでる手も(きっと)見えないだろうし」
( *゚∀゚ )「そうか!」
369: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:42:46 ID:MsfxELuk0
掘った墓穴に赤石を埋めればよかった。
人目のつかないところで、いっそ赤石を殺ればいいんだ。
そんな危険な考えが頭を掠める。いかんいかん。
( ´_ゝ`)「ところで遊びに行く宛はあるのか?」
( ゚∀゚ )「無難に映画館デートを」
( ´_ゝ`)「デート言うな」
( ゚∀゚ )「それと記念写真」
( ´_ゝ`)「黒歴史にしかならないぞ。良くて自分への戒めだ」
( ゚∀゚ )「あと名前呼びに戻してほしい」
( ´_ゝ`)「はあ? 何言って……」
( ゚∀゚ )「無自覚?」
370: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:44:09 ID:MsfxELuk0
( ´_ゝ`)「…………」
( ゚∀゚ )「赤石って呼んでんぜ」
_, 、_
( ´_ゝ`)「……いつから?」
( ゚∀゚ )「わからねえが、兄者も俺を意識してるって事だよな!」
( ´_ゝ`)「うん、同性から『付き合おう』って言われて意識しない人間はいないから。
考えない人間がいたら、そいつは勘違いしてるか、知恵遅れか、動物だ」
( ゚∀゚ )「難しいことはいい! 気軽に名前呼びに戻していいんだぜ!」
( ´_ゝ`)「んー……ん、そうだな。気が治ったらな」
その後、見に行った映画は全く興味を惹かれなかったので、別の事を考えていた。
内藤、鬱田、斎藤。弟者の取り巻きも苗字で覚えている。
またんきは場所と状況により使い分けているから少し違うが、
俺は基本的に人の事を苗字で覚えて、呼んでいる。
むしろ何で今まで、赤石をアヒャと呼んでいたのか。
371: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:45:09 ID:MsfxELuk0
赤石の手が俺の手に伸びてきたので、思考中断。
横を見れば、赤石は映画を見続けている。
何をどう思っているかはよくわからない。
元々肌が赤い種族だから、怒りも照れもよくわからない。
まあ、会場の端っこの席だし。
俺達の後ろに人はいないし。
映画はクッソつまんねえし。
このまま寝よう。うん。おやすみ。
372: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:46:46 ID:MsfxELuk0.
( ゚∀゚ )「映画面白かった?」
( ´_ゝ`)「途中から寝てた」
( ゚∀゚ )「何しに映画館来たんだ」
( ´_ゝ`)「1500円払って寝に来た」
( ;゚∀゚ )「……もしかして怒ってる?」
( ´_ゝ`)「いいや」
( ;゚∀゚ )「すまん」
( ´_ゝ`)「何で謝るんだ」
( ;゚∀゚ )「いやあ、金払わせてつまらん映画見せちまって……」
( ´_ゝ`)「アヒャには怒ってないぞ。内藤達と来る時も、俺寝てるし」
373: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:48:13 ID:MsfxELuk0
( ゚∀゚ )「本当に何しに来てんだよ」
( ´_ゝ`)「寒くてうるさい場所に寝に来てるんだよ」
それから上映してる映画を赤石の奢りで片っ端から見て行ったが、
殆ど内容は頭に入って来なかった。爆音の睡眠学習は無意味だったようだ。
最後のほうになると、赤石もいびきをかいて寝ていた。
映画を見ている客も、俺達とおっさん一人しかいない。
しかもそのおっさんは、映画を見ながらシコっていた。
どうせ金を払って寝るなら、ネカフェにでも行って寝た方がよかった。
おっさんは映画を見る金でソープに行けば良かったんだ。汚ぇモン見せやがって。
( ゚∀゚ )「もう映画はやめよう」
( ´_ゝ`)「賛成、イカ臭い」
( ゚∀゚ )「無駄に時間使っちまったし、さっさと記念写真を撮ろう!」
( ´_ゝ`)「これからゲーセン行く? 閉まってるんじゃないか?」
( ゚∀゚ )「え?」
( ´_ゝ`)「へ?」
374: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:49:39 ID:MsfxELuk0
( ´_ゝ`)「記念写真ってプリクラじゃないのか?」
( ゚∀゚ )「スマホで撮るだけだぜ。兄者って変なとこで女っぽいな」
( ´_ゝ`)「異論しかない」
( ゚∀゚ )「普通の男は母親と一緒に入浴剤選ぶの手伝わねぇって!」
( ´_ゝ`)「風呂に色々入れるのが好きなだけだっつの。
スマホでいいならもうここでさっさと撮ろうぜ」
( ゚∀゚ )「景色いいとこで撮りたいんだよー」
( ´_ゝ`)「時間ないし眠いし歩くのダルいしもう無理。
ここで撮らないなら次に回せばいいじゃん」
( ゚∀゚ )「次は次でちゃんと撮るぞ。うん。まあ今はここでいいか」
( ´_ゝ`)「確認しておくけど、その写真をネットに流すのはやめろよ」
( ;゚∀゚ )「しないって!」
( ´_ゝ`)「フェイス本もツイッタもミクソも全部アウトだかんな」
( ゚∀゚ )「しないしない。ネットに繋げてない俺のPCに保存するだけだ」
それはそれで不安しかない。
375: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:50:44 ID:MsfxELuk0
不安を置き去りに、赤石からポーズ指定が入る。近すぎない?
それから赤石がスマホをいじくって、タイマーシャッターでぱしゃり。
( ゚∀゚ )「もっと笑顔で」
( ´_ゝ`)「精一杯の笑顔です、それ」
( ゚∀゚ )「刑事ドラマに出てくるゲスい下っ端ヤクザの面だぞ、これ」
やけに具体的な罵倒を胸に、もう一度。
( ゚∀゚ )「さっきよりはいいな」
( ´_ゝ`)「勘弁してくれ」
( ゚∀゚ )「上手く取れたら兄者の携帯にも送るから」
( ´_ゝ`)「いらねえ。つか、俺の携帯壊れてるけど?」
( ;゚∀゚ )「はぁあ? マジか。どうりで全然繋がらないと……」
あ、でも弟者にこの写メ送るのはいいかも。
あいつ赤石のこと嫌ってるし、嫌がらせに調度いい。
そう思えば、笑顔も作れる気がしてきた。
376: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:51:46 ID:MsfxELuk0
( ´_ゝ`)「写メはさ、弟者の携帯に送ってくんね?」
( ゚∀゚ )「分かった」
自分なりに、最高の笑顔でパシャっと。
赤石に見せてもらえば、中々の出来。
うん、この状況でこの笑顔は、良い感じに誤解してくれそうだ。
性欲に支配されてる脳味噌で、思いもよらない邪推をしてくれるだろう。
( ゚∀゚ )「弟者のメルアドは?」
( ´_ゝ`)「今は確か、あー『兄者殺す』」
( ;゚∀゚ )「……は? えっと、もう一回頼む」
( ´_ゝ`)「アルファベットで『兄者殺す』ってそのまま打てよ」
( ゚∀゚ )「これで本当に届くのか?」
( ´_ゝ`)「直行便だよ」
( ゚∀゚ )「そういや兄者のメルアドは『弟者死ね』だったな」
377: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:52:49 ID:MsfxELuk0
メールを送ってしばらくして、赤石にはメボムが届けられた。
件名は空。本文には『赤石ぶっ殺す』と一言。
着信拒否をしても別のアドレスから来るので、
赤石はスマホをもう一台取り出した。
( ´_ゝ`)「何台持ってんの?」
( ゚∀゚ )「父親との連絡用と、俺個人の仕事用とー。
あとプライベート用に三台あるぜ!」
( ´_ゝ`)「持ちすぎ」
( ゚∀゚ )「一台やろうか?」
( ´_ゝ`)「流石に受け取らない」
メボムの爆撃が続けられているスマホなら、尚更。
その後、ぶらぶらし過ぎて遅くなり、田舎へのバスがなくなったので、
久しぶりにネカフェにお泊りした。何故か赤石も一緒についてきた。
当たり前だが、部屋は別々に取った。
378: ◆T/D40qQ./Q:2015/08/10(月) 01:53:36 ID:MsfxELuk0
後日、俺はデートという概念の複雑さを知った。
39.糸冬
342: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:25:50 ID:ik6gQ.Sk0
38.暇を刺す
少し暗くなったからと言って、内藤が酒を出してきた。
しかし、外は真昼間だ。快晴だ。
太陽の光が雪に反射して、とても眩しい。
だから多分、俺たちの間に流れる空気がという意味だろう。
( ^ω^)「まあまあ飲むお」
( ´_ゝ`)「やだよ昼間っから」
( ^ω^)「そう言わず」
( ´_ゝ`)「ビールとか炭酸系は無理」
( ^ω^)「生意気な。何がお望みだお」
( ´_ゝ`)「ワインか果実系のリキュールがいい。
あと、割る為の炭酸水とレモンと……」
( ^ω^)、「ペッ、アヒャに買ってもらえお」
(;´_ゝ`)「おい何で唾吐いた。ここお前の部屋だぞ」
( ^ω^)「やっばお、ついノリで」
343: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:27:02 ID:ik6gQ.Sk0
結局、内藤だけが酒をかっくらった頃、事件は起きた。
いきなり、彼女がいる御身分の癖に「何故自分はモテないのか」と言う内藤。
鬱田辺りが即座に敵に回る話題を振ってきた内藤は、確実に酔っていた。
( ^ω^)「僕って、体に関しては完璧だおね。見ろおこの筋肉」
( ´_ゝ`)「そうだな。ジャニ好きには毛嫌いされる体だな」
( ^ω^)「性格はどうにもならないとして、他に足りないものって何だろうお」
( ´_ゝ`)「自覚あったんだ。つーか、足し算だけじゃなく引き算で考えてみろよ」
(^ω^ )「引き算?」
( ´_ゝ`)「ようは『足りない物』を逆に作るんだよ。弱みを自分で作るって事。
駄目駄目な奴に惹かれる女もいるんだって、母さんが言ってたぞ。
そういう女は救えねぇとも言ってたべ。近づくな゙っても……」
って、やべえうっかり自然と訛りが出そうになった。
飲んでないのに、酒気の魔力は恐ろしい。
344: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:28:02 ID:ik6gQ.Sk0
( ^ω^)「弱味かお。あまりそういうのは好かないお。
僕はいつでも誰かの強者でありたいお」
(;´_ゝ`)(良かった気づいてない)
( ^ω^)「足し算がいいお」
( ´_ゝ`)「じゃあ金持ちにでもなれよ」
( ^ω^)「それは無理だお。外見で何かないかお?」
( ´_ゝ`)「これ以上、お前の外見で足す所なんて、なぁ」
( ^ω^)「今度は足の筋肉でもつけよっかおっお」
( ´_ゝ`)「筋肉から離れろ筋肉バカ。そうだ、整形とかどうよ?」
( ^ω^)「嫌だお」
( ´_ゝ`)「何でよ」
( ^ω^)、「結構、僕の顔ってイケてると思うんだお。恰好良くはないけど、
安心感を抱かせる顔立ちって言うのかお? 警戒されにくいんだお。
この体の筋肉に見合う顔に整形するのは、僕も一回考えた事あるお。
345: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:28:51 ID:ik6gQ.Sk0
( ^ω^) でも、そうすると僕は世紀末世界でしか生きていけなくなっちゃうんだお。
腹筋がバキバキなら顔もバキバキにしないと吊り合いは取れないからお。
今の服装にバキみたいな顔をしてたら、いくら何でもアンバランス過ぎるお。
けど、今の顔なら服を着ればタダのピザに見えるから、かなり重宝するんだお。
となるとやっぱり僕はこの顔のままのほうが大分イケてるしぃ、実際今の彼女もそ
------------------------------ (ry ------------------------------
( ´_ゝ`)「………」
( ´_ゝ`)
( ´_ゝ`) zz...
(^ω^ )「おーい兄者? 聞いてるかお?」
(;´_ゝ`)「ウェ!? アッハイ、聞いてました。きっと」
予想外の長文が飛来して思考停止した挙句、睡魔が侵入しかけていた。
しかし、内藤って結構なナルシストだったんだな。
筋肉だけだと思っていたが、まさか自分の顔にそこまでの自信があったとは。
レコーダーで録音しとけばよかった。内藤に対する良い脅しの材料になったろうに。
346: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:29:40 ID:ik6gQ.Sk0
(^ω^ )「兄者は正直どう思うお?」
( ´_ゝ`)「え、何が?」
(^ω^ )「僕に足りないものだお」
( ´_ゝ`)「そうだなあ……」
俺としては、肉体は百点中千点満点だ。
筋肉ってのは憧れる。力はあって損はない。
それ以外での駄目な箇所となれば……
( ´_ゝ`) (^ω^ )
_, 、_
( ´_ゝ`)「んんん」
( ´_ゝ`)ノ (^ω^ )
( ´_ゝ`)ノ「顔を」
347: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:30:42 ID:ik6gQ.Sk0
近くにあった手拭いで、内藤の顔を巻く。
( *´_ゝ`)「うん! 覆面レスラーみたいで中々なんじゃないか?」
つ三三三)「殺す」
(;´_ゝ`)「やめろよ、語尾が外れてんぞ」
つ三ミヾω^ )「殺すお」
(;´_ゝ`)「落ち着け内藤。隠匿する事でプラスされるものもあるんだ。
例えば、借金がある事を隠したり、若ハゲをカツラで誤魔化したり、
わざとフードを深く被って目が軽く見えるか見えないかの位置にし」
(^ω^ )「ぶっ飛ばす」
348: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:32:09 ID:ik6gQ.Sk0
( ´_ゝ`)「ふぅ」
仕方がないので逃げて来た。
部屋を飛び出しても追って来る素振りを見せなかった事から、
きっと今の内藤の思考回路は野生動物のようになっているのだろう。
つまり、縄張りに踏み込まず、必要以上に刺激しなければ大丈夫。
肉食系原人から嘲笑系現代人に戻ってくれるまでは、離れるとしよう。
避難先は決まっていない。
病院は今は無理。家も無理。鬱田は論外。斎藤に迷惑はかけれない。
財布は忘れたから宿も無理。公園も冬は無理だ。凍死ワンチャンあるぜ。
( ´_ゝ`)「どうすべ」
349: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:33:27 ID:ik6gQ.Sk0
最終的な候補はある。あるにはあるが、今現在着拒している相手だからマズい。
それもこれも相手の所為だ。強いて言うなら病気が悪い。統合失調症が全ての原因だ。
病気が悪いと分かっていても、不快なものは不快だし、怖いものは怖い。
着拒したのは、ここ最近の発狂ぶりが凄まじかったからとしか言い様がない。
なんというか、ネット上にはまともなレスをしていた奴が段々狂っていく読み物や、
実際に統失を発症してしまい発狂していく日記やブログがあったりする。
それのリアルタイムメール版と言えば分かりやすいんだろうか。
携帯を一日放置したらメールが100通以上溜まっていて、メボムかと思ったら、
件名と本文が個別にちゃんと違う、たった一人から届いたメールとか、もうね。
それに内容が、内容がマジで、俺の声が頭からするとかどういう事だよ俺が聞きたい。
(;´_ゝ`)「……」
恐る恐るメールの拒否を解く。間をおかずに一件受信。怖い。
人間相手にここまで恐怖したのは初めてだ。お前が初めてだぞ赤石。
糞親父相手にだって、怒りを覚えても恐怖した事はなかった。
しかも、熊を相手にしたような命の危機とは違う、得体の知れない別の何かだ。
何なんだこれは。俺は何に怯えているんだ。この恐怖の原因は何々だ。
駄目だワケわかんない怖いメンヘラとかお花畑とか不思議ちゃんってレベルじゃない。
350: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:35:48 ID:ik6gQ.Sk0
ネットで統失に追っかけられて家族と家に粘着された体験談とか、
実際に統失に目をつけられた場合の実例が乗った本とか読み漁ったが、
正直これといった対処法がないというのもキツい。キツ過ぎる。
物理攻撃の効かない、殴れない幽霊の次くらいにキツい。
(;´_ゝ`)「だいじょうぶだよな……きっと。
顔を合わせればなんとかなるはず」
なんとかなる。
なんとかならないと困る。
なんとかならなかった場合どうなるのか。
どうなるのか、想像できない。
ちょっとこの先が気になってきた。思えば未知の世界だ。
頭に響く俺の声が何を言っているのかも気になる。
いいや、襲い掛かってきたら殴ればいいだけだし、当たって砕けろ。
もし、いざとなったら部屋に火でも何でも着ければいい。
351: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:37:10 ID:ik6gQ.Sk0
念の為、家に帰って、機種変して使わなくなった携帯を取ってくる。
それを石畳に叩きつけて、踏みつけて壊す。
( ´_ゝ`)「よし」
いい感じに電源だけ入るようになった。画面は完全に壊れている。
もしメールの事について聞かれたら、適当にこれを出そう。
財布も無しに壊れた携帯持ってうろついてるとか変人以外の何物でもないから、
今日は家で留守にしてもらうけどな。今は俺の机の中に入れとこ。
そう思って引き出しを引いたら、過去に作った色々な『念の為』がゴロリした。
(;´_ゝ`)「わあ」
ここに壊れた携帯を入れたら、この場面をお題に物語が一つ書けそうだ。
何にも知らない一般人がうっかり見たら、息呑んで後退るんじゃないか。
352: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:38:54 ID:ik6gQ.Sk0
あっ、なんか弟が俺を気狂い扱いする一端を垣間見た気がする。
38.糸冬
38.暇を刺す
少し暗くなったからと言って、内藤が酒を出してきた。
しかし、外は真昼間だ。快晴だ。
太陽の光が雪に反射して、とても眩しい。
だから多分、俺たちの間に流れる空気がという意味だろう。
( ^ω^)「まあまあ飲むお」
( ´_ゝ`)「やだよ昼間っから」
( ^ω^)「そう言わず」
( ´_ゝ`)「ビールとか炭酸系は無理」
( ^ω^)「生意気な。何がお望みだお」
( ´_ゝ`)「ワインか果実系のリキュールがいい。
あと、割る為の炭酸水とレモンと……」
( ^ω^)、「ペッ、アヒャに買ってもらえお」
(;´_ゝ`)「おい何で唾吐いた。ここお前の部屋だぞ」
( ^ω^)「やっばお、ついノリで」
343: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:27:02 ID:ik6gQ.Sk0
結局、内藤だけが酒をかっくらった頃、事件は起きた。
いきなり、彼女がいる御身分の癖に「何故自分はモテないのか」と言う内藤。
鬱田辺りが即座に敵に回る話題を振ってきた内藤は、確実に酔っていた。
( ^ω^)「僕って、体に関しては完璧だおね。見ろおこの筋肉」
( ´_ゝ`)「そうだな。ジャニ好きには毛嫌いされる体だな」
( ^ω^)「性格はどうにもならないとして、他に足りないものって何だろうお」
( ´_ゝ`)「自覚あったんだ。つーか、足し算だけじゃなく引き算で考えてみろよ」
(^ω^ )「引き算?」
( ´_ゝ`)「ようは『足りない物』を逆に作るんだよ。弱みを自分で作るって事。
駄目駄目な奴に惹かれる女もいるんだって、母さんが言ってたぞ。
そういう女は救えねぇとも言ってたべ。近づくな゙っても……」
って、やべえうっかり自然と訛りが出そうになった。
飲んでないのに、酒気の魔力は恐ろしい。
344: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:28:02 ID:ik6gQ.Sk0
( ^ω^)「弱味かお。あまりそういうのは好かないお。
僕はいつでも誰かの強者でありたいお」
(;´_ゝ`)(良かった気づいてない)
( ^ω^)「足し算がいいお」
( ´_ゝ`)「じゃあ金持ちにでもなれよ」
( ^ω^)「それは無理だお。外見で何かないかお?」
( ´_ゝ`)「これ以上、お前の外見で足す所なんて、なぁ」
( ^ω^)「今度は足の筋肉でもつけよっかおっお」
( ´_ゝ`)「筋肉から離れろ筋肉バカ。そうだ、整形とかどうよ?」
( ^ω^)「嫌だお」
( ´_ゝ`)「何でよ」
( ^ω^)、「結構、僕の顔ってイケてると思うんだお。恰好良くはないけど、
安心感を抱かせる顔立ちって言うのかお? 警戒されにくいんだお。
この体の筋肉に見合う顔に整形するのは、僕も一回考えた事あるお。
345: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:28:51 ID:ik6gQ.Sk0
( ^ω^) でも、そうすると僕は世紀末世界でしか生きていけなくなっちゃうんだお。
腹筋がバキバキなら顔もバキバキにしないと吊り合いは取れないからお。
今の服装にバキみたいな顔をしてたら、いくら何でもアンバランス過ぎるお。
けど、今の顔なら服を着ればタダのピザに見えるから、かなり重宝するんだお。
となるとやっぱり僕はこの顔のままのほうが大分イケてるしぃ、実際今の彼女もそ
------------------------------ (ry ------------------------------
( ´_ゝ`)「………」
( ´_ゝ`)
( ´_ゝ`) zz...
(^ω^ )「おーい兄者? 聞いてるかお?」
(;´_ゝ`)「ウェ!? アッハイ、聞いてました。きっと」
予想外の長文が飛来して思考停止した挙句、睡魔が侵入しかけていた。
しかし、内藤って結構なナルシストだったんだな。
筋肉だけだと思っていたが、まさか自分の顔にそこまでの自信があったとは。
レコーダーで録音しとけばよかった。内藤に対する良い脅しの材料になったろうに。
346: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:29:40 ID:ik6gQ.Sk0
(^ω^ )「兄者は正直どう思うお?」
( ´_ゝ`)「え、何が?」
(^ω^ )「僕に足りないものだお」
( ´_ゝ`)「そうだなあ……」
俺としては、肉体は百点中千点満点だ。
筋肉ってのは憧れる。力はあって損はない。
それ以外での駄目な箇所となれば……
( ´_ゝ`) (^ω^ )
_, 、_
( ´_ゝ`)「んんん」
( ´_ゝ`)ノ (^ω^ )
( ´_ゝ`)ノ「顔を」
347: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:30:42 ID:ik6gQ.Sk0
近くにあった手拭いで、内藤の顔を巻く。
( *´_ゝ`)「うん! 覆面レスラーみたいで中々なんじゃないか?」
つ三三三)「殺す」
(;´_ゝ`)「やめろよ、語尾が外れてんぞ」
つ三ミヾω^ )「殺すお」
(;´_ゝ`)「落ち着け内藤。隠匿する事でプラスされるものもあるんだ。
例えば、借金がある事を隠したり、若ハゲをカツラで誤魔化したり、
わざとフードを深く被って目が軽く見えるか見えないかの位置にし」
(^ω^ )「ぶっ飛ばす」
348: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:32:09 ID:ik6gQ.Sk0
( ´_ゝ`)「ふぅ」
仕方がないので逃げて来た。
部屋を飛び出しても追って来る素振りを見せなかった事から、
きっと今の内藤の思考回路は野生動物のようになっているのだろう。
つまり、縄張りに踏み込まず、必要以上に刺激しなければ大丈夫。
肉食系原人から嘲笑系現代人に戻ってくれるまでは、離れるとしよう。
避難先は決まっていない。
病院は今は無理。家も無理。鬱田は論外。斎藤に迷惑はかけれない。
財布は忘れたから宿も無理。公園も冬は無理だ。凍死ワンチャンあるぜ。
( ´_ゝ`)「どうすべ」
349: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:33:27 ID:ik6gQ.Sk0
最終的な候補はある。あるにはあるが、今現在着拒している相手だからマズい。
それもこれも相手の所為だ。強いて言うなら病気が悪い。統合失調症が全ての原因だ。
病気が悪いと分かっていても、不快なものは不快だし、怖いものは怖い。
着拒したのは、ここ最近の発狂ぶりが凄まじかったからとしか言い様がない。
なんというか、ネット上にはまともなレスをしていた奴が段々狂っていく読み物や、
実際に統失を発症してしまい発狂していく日記やブログがあったりする。
それのリアルタイムメール版と言えば分かりやすいんだろうか。
携帯を一日放置したらメールが100通以上溜まっていて、メボムかと思ったら、
件名と本文が個別にちゃんと違う、たった一人から届いたメールとか、もうね。
それに内容が、内容がマジで、俺の声が頭からするとかどういう事だよ俺が聞きたい。
(;´_ゝ`)「……」
恐る恐るメールの拒否を解く。間をおかずに一件受信。怖い。
人間相手にここまで恐怖したのは初めてだ。お前が初めてだぞ赤石。
糞親父相手にだって、怒りを覚えても恐怖した事はなかった。
しかも、熊を相手にしたような命の危機とは違う、得体の知れない別の何かだ。
何なんだこれは。俺は何に怯えているんだ。この恐怖の原因は何々だ。
駄目だワケわかんない怖いメンヘラとかお花畑とか不思議ちゃんってレベルじゃない。
350: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:35:48 ID:ik6gQ.Sk0
ネットで統失に追っかけられて家族と家に粘着された体験談とか、
実際に統失に目をつけられた場合の実例が乗った本とか読み漁ったが、
正直これといった対処法がないというのもキツい。キツ過ぎる。
物理攻撃の効かない、殴れない幽霊の次くらいにキツい。
(;´_ゝ`)「だいじょうぶだよな……きっと。
顔を合わせればなんとかなるはず」
なんとかなる。
なんとかならないと困る。
なんとかならなかった場合どうなるのか。
どうなるのか、想像できない。
ちょっとこの先が気になってきた。思えば未知の世界だ。
頭に響く俺の声が何を言っているのかも気になる。
いいや、襲い掛かってきたら殴ればいいだけだし、当たって砕けろ。
もし、いざとなったら部屋に火でも何でも着ければいい。
351: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:37:10 ID:ik6gQ.Sk0
念の為、家に帰って、機種変して使わなくなった携帯を取ってくる。
それを石畳に叩きつけて、踏みつけて壊す。
( ´_ゝ`)「よし」
いい感じに電源だけ入るようになった。画面は完全に壊れている。
もしメールの事について聞かれたら、適当にこれを出そう。
財布も無しに壊れた携帯持ってうろついてるとか変人以外の何物でもないから、
今日は家で留守にしてもらうけどな。今は俺の机の中に入れとこ。
そう思って引き出しを引いたら、過去に作った色々な『念の為』がゴロリした。
(;´_ゝ`)「わあ」
ここに壊れた携帯を入れたら、この場面をお題に物語が一つ書けそうだ。
何にも知らない一般人がうっかり見たら、息呑んで後退るんじゃないか。
352: ◆T/D40qQ./Q:2015/05/18(月) 23:38:54 ID:ik6gQ.Sk0
あっ、なんか弟が俺を気狂い扱いする一端を垣間見た気がする。
38.糸冬
310: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:12:10 ID:WvmyfKKI0
37.そんな優しさ、持ち合わせちゃいないが
内藤の家での一泊は、特に何もなかった。
家を追い出された元ニートのニュが不法侵入を試みたらしいが、
防犯設備に引っ掛かり、警察へ連行されていったくらいだ。
日常と化しているらしく、内藤の電話一本で終了。実に平和。
しかし、日常と化しているくらいなら相応の罪も溜まってるだろうに。
( ^ω^)「平和って何だったっけかお」
( ´_ゝ`)「何も起きない日常」
( ^ω^)「最初から日常が崩れている場合はどうなるんだお?」
( ´_ゝ`)「人生ハードモード続行」
( ^ω^)「親のセックスからリセットしてえ」
311: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:13:06 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「さっきの奴さ、何で逮捕されないの? 何回も来てんだろ?
そろそろ不法侵入でぶち込めるんじゃねぇの?」
( ^ω^)「身内から前科者を出したくない奴らが逮捕の邪魔してるお」
( ´_ゝ`)「ああ、そういうのか」
( ^ω^)「しかも被害者が僕だからシカトされてるんだお」
( ´_ゝ`)「そういうのか……」
( ^ω^)「その分、迷惑料は受け取ってるんだおっお」
( ´_ゝ`)「なら問題ないな」
( ^ω^)「けど来る時間帯が深夜だから、我慢の限界も近いお。
サイレン聞けば毎回大人しくなるけど、しつっこいんだお」
( ´_ゝ`)「まあまあ、サイレンぐらいでビビるなら問題ないだろ」
312: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:14:07 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「もう年だし家族もいねぇからって、失う物がないのを自覚して。
トラックとか重機に乗って玉砕覚悟で家に突っ込んでくるような、
おっそろしい爺ちゃん婆ちゃんよりかはやりやすいって」
( ^ω^)「何故ジジババがそのような行為に走るお」
( ´_ゝ`)「糞親父になんかされた……その復讐だろうよ」
( ^ω^)「あ、やっぱり何か悪いコトしてたのかお? 親父さん」
( ´_ゝ`)「確定はできないが、何人か殺ってる気がする。
あと軽微な犯罪としては、相撲賭博は確定」
( ^ω^)「人を殺しそうな奴には見えるけどお、
ギャンブルやるようには見えないお?」
( ´_ゝ`)「開催する側って事だよ。言わせんな危なっかしい」
( ^ω^)「ふむ、通報したお」
( ´_ゝ`)「今度会う時は地面の下か、またな内藤」
( ^ω^)「冗談だお。やめろ携帯を返せクズ」
313: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:14:53 ID:WvmyfKKI0
(;´_ゝ`)「ぶっ飛ばさなくたっていいじゃないか……」
( ^ω^)「割と本気で僕の携帯握りしめてたおね?
でなきゃ画面にこんなヒビ入らないおね?」
( ´_ゝ`)「ああ無意識の内に」
_, 、_
( ^ω^)「ったくお。そんなに捕まる事を怖がってる癖に、
よく殺人計画なんて建てるおね。確実に逮捕されるお」
( ´_ゝ`)「殺す前に捕まっちゃうのが一番嫌なんだよ。
全部終わった後にしくじって捕まるならまだしも」
( ^ω^)「……ふぅん?」
314: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:15:40 ID:WvmyfKKI0
( ^ω^)「捕まらない方法は何か考えてるのかお?」
( ´_ゝ`)「当初の予定では、殺った後アメリカかメキシコか……
そこらの日本人街にでも潜伏する予定だったんだがな」
( ^ω^)「ほほぉ、ほぉ」
( ´_ゝ`)「外国での居住地を探してるって事実だけ母さんにバレたらしくて、
『地球の裏側に行ってもジャングルの奥に行っても見つけ出す』って」
( ^ω^)「ヤンデレ系かお」
( ´_ゝ`)「……両肩に食い込んだ爪の跡が残るぐらい鷲掴みにされて、
目ぇ合わせながら言われた。流石にちょっと怖かった」
( ^ω^)「ヤンデレ系だったお」
( ´_ゝ`)「それ嫌な言葉だなあ。病み方にも色々な重さがあるだろうに、
ヤンデレって一言に集約されると安っぽくなって嫌いだ」
( ^ω^)「いきなり話題を変えるなお。気になるところがあったとしても」
( ´_ゝ`)「すまん」
315: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:16:39 ID:WvmyfKKI0
( ^ω^)「しかし、あれだおね。弟者の変な執着は母親譲りと見たお」
( ´_ゝ`)「何の執着?」
( ^ω^)「さあ、この世に安息の地はないんだお。病院行くお」
( ´_ゝ`)「何どれあいつの女に対する執着の事?」
( ^ω^)「そいつから直接聞くがいいお」
( ´_ゝ`)「警察っぽいのがいたら、俺は逃げるからな!」
( ^ω^)「はいはいお、ほらガラッガラのバス来たお」
貸し切りバスに乗り込んだ直後、弟者からメールが来た。
『件名:最近なんかあった?』
本文はなし。
316: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:17:50 ID:WvmyfKKI0
昨日、衝撃的だったものを敢えて、強いて上げるならば、
丑三つ時にフヒフヒ笑いながらキーボードを叩いてる筋肉達磨だ。
深夜に何やってんのかと覗いてみれば、なんと言うか……。
SNSやTwitterを日頃から巡回して、炎上させる火種を探している内藤は、
俺やアヒャとはまた違った、尖った方向に気が狂っていると確信した。
いつもノートに書いてるような日記形式の文体でメール返信。
しばらくして、弟者からの返答。
『件名:違う
本文:そういうのじゃない』
どういうのだ。
つか内藤が無理に携帯の画面を覗き込んでくる所為で、
鼻息が首筋に当たって気持ち悪い。キモい。キショい。
317: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:27:23 ID:WvmyfKKI0
(^ω^; )「昨日の今日で、なに……ゆえ……そんな、
日常みたいなやり取りが出来るんだお貴様ら……」
( ´_ゝ`)「口調がおかしいぞ内藤」
(^ω^ )「お前らがおかしいお」
( ´_ゝ`)「そうか? 俺の時も同じようなモンだったぞ。
あいつが俺の足にボウガンぶっ放してくれた翌日も」
(^ω^ )「……今とは逆の立場で?」
( ´_ゝ`)「そう。今とは逆の立場で。一晩離れれば大体落ち着く」
(^ω^ )「おかしいお。悔しいビクンビクン殺してやるぅとかないのかお?」
( ´_ゝ`)「悔しいが、あの時は俺の油断が一番の原因だからなぁ。
夜店での射的も下手糞だったから、どうせ当てられないだろうと、
そう思って距離取ってたら……危うく頭に矢が刺さるとこだった」
ミ( ^ω^)「油断してたんだおね」
(#´_ゝ`)「あー、今考えれば、下手糞に見えるよう演技してただけなのかもしれないな。
思えばあの年は近くでやる祭りには全部誘われて行ったし……くっそぉ。
わざわざ金かけてまで演技するとかクソが。射的の代金払ったの俺だけど」
(;^ω^)「普段から相手を騙し合う兄弟関係とか怖いお……
改めて、お前らの血族でなくて良かったと思うお」
318: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:29:28 ID:WvmyfKKI0
( ^ω^)「でも、弟者の誘いに乗るんだおね。それも全部」
( ´_ゝ`)「その時の気分に寄る」
( ^ω^)「兄さん気分の時に乗るのかお?」
( ´_ゝ`)「一般的な感覚で、あいつを弟と認識した事はない。
むしろ俺が弟と思ってるのはまたんきのほうだ」
( ^ω^)「それお前の嫁ェ」
( ´_ゝ`)「紙の上だけだ。性欲なんて抱いた事もない」
( ^ω^)「弟者も可哀想だおね」
( ´_ゝ`)「……本当に? そう思うか? あいつを?」
(;^ω^)「いきなりマジトーンになるのやめろお。
お前も同情されるの真っ平の癖にお」
( ´_ゝ`)「む、なら説明しろ」
( ^ω^)「弟者のほうは、一応弟者なりに兄者の事を兄貴だと思ってるっぽいんだお」
319: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:30:38 ID:WvmyfKKI0
( ^ω^)「だからー、片方がちゃんと兄弟だと思ってるのに、
もう片方は兄弟だと思ってないとか可哀想だと思ったんだお」
( ´_ゝ`)「兄貴扱いって、何? 責任の押し付け所って意味?
賠償請求先って意味? 代わりに女に刺されろって事?」
( ^ω^)「やっべこれ兄者の地雷だったお。ストップ」
( ´_ゝ`)「しない。いいかよく聞け俺は」
( ^ω^)「聞かないお。逆に兄者に質問するお。
兄者は弟者の事を弟だと思った事はあるお?」
( ´_ゝ`)「一般的な兄弟認識じゃなく、俺なりの感覚でなら、まぁ……」
( ^ω^)「それ聞きたいお」
( ´_ゝ`)「露骨に話逸らそうとしやがって」
( ^ω^)「兄者がさっき言いかけた主張は聞き飽きたお。さあ言うお」
録音しようとする内藤から携帯を取り上げて、俺なりの”弟”について考えてみる。
320: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:31:48 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「俺の感覚での双子の弟……いや弟と言うよりは、
俺の意思を離れた、制御できない劣化分身……?
とにかくやっぱり殲滅すべき敵に変わりはないなぁ」
( ^ω^)「だからその認識はおかしいってばお。
本当なら全国の双子を調べる必要があるお」
( ´_ゝ`)「理由は違えど、俺ら以外にも片割れ殺したがってる双子はいるさ。
ただ表に出ないだけで、その辺にいるっての。知らないだけだ」
( ^ω^)「ソース寄越せお」
( ´_ゝ`)「お前も知ってる素直姉妹」
(;^ω^)「ウッソマジかお」
( ´_ゝ`)「本人に聞いて来い。そして女同士の陰惨とした殺し合いに巻き込まれろ」
( ^ω^)「お前らだけでお腹いっぱいだお」
うっぷっぷーなんて息を吐く内藤の腹を殴ってやりたい。
どうせ拳が跳ね返されるだけだろうが。
321: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:32:40 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「あと一つ、違う理由でもあいつを殺すしかないって思ってる」
( ^ω^)「兄として?」
( ´_ゝ`)「んんん」
どうだろう。ギリギリ一般人の範囲内じゃなかろうか。
よく父親がニートの息子を殺した事件が報道されたりするが、
多分、感覚としてはそのニートの息子の父親に近いだろう。
( ´_ゝ`)「俺なりに、自己中心的な理由じゃなく、あいつの為に、兄としてなら」
( ^ω^)「言ってみろお」
( ´_ゝ`)「あいつは、人より性欲が強くて、貞操観念のブレーキが効き辛いだろ?」
( ^ω^)「だおね」
( ´_ゝ`)「今は俺がいるから、俺に責任が分散されて来てるが……」
322: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:33:31 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「将来、俺がいなくなった時、それで苦労すると断定できる。
こうなるだろうってあやふやなものじゃない。断定できる」
( ^ω^)「確定だおね」
( ´_ゝ`)「あいつは俺と違って無理矢理勉強机に座らせられる事もなかった。
母さんは法律に強いし、人脈が広いから今はなんとかなってるが、
あいつは六法全書なんて開いた事も手に取った事もない」
( ^ω^)「教育方針の格差が酷いお」
( ´_ゝ`)「今から勉強させようにも、あいつの頭に入る訳がない。
障害者の認定は下ってないから役場で後見人もつけれない。
借金なんかしたら、糞親父は簡単にあいつを切り捨てるだろう。
もう既に半分勘当されたような状態だし、助けてはもらえまいよ」
( ^ω^)「うむ……」
( ´_ゝ`)「現在進行形で、女共に恨まれているんだ。
色んなものから逃げ続ける生活になるだろう」
( ^ω^)「まあ……だおね」
( ´_ゝ`)「だから殺すしかないんだ」
( ^ω^)
( ^ω^)
( ^ω^)
( ゚ω゚)「はい?」
323: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:34:47 ID:WvmyfKKI0
( ゚ω゚)「今、僕、何か聞き逃したかお?」
( ´_ゝ`)「知らん。兎に角、あいつの将来は真っ暗闇だ。
今が絶頂期で、後はもう落ちていくしかない」
(;^ω^)「そっ、そうだおね」
( ´_ゝ`)「それに、このまま野放しにしておけば、人様に多大な迷惑をかける。
窃盗症も治らないし、下半身も緩い、サボリたがりで、欲望に弱い。
フォローしてくれる人がいる今が一番なんだよ、こういう奴は」
( ^ω^)「……」
( ´_ゝ`)「かなり質の悪い、犯罪の片棒担ぐような友人達はいるらしいが、
そんなのが将来助けになるとは思えない……むしろ足を引っ張る」
( ^ω^)「ふむ」
( ´_ゝ`)「だから、俺なりに、兄としてあいつの将来を考えて、
これから起こる全部の責任を全て取るとしたら」
324: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:36:46 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「今の内に、殺してやるのが、一番なんだよ。……そうだろう?
事件を起こしてしまう前に、いなくなったほうが名前も汚れない」
( ^ω^)「殺さないって選択肢は?」
( ´_ゝ`)「選択肢は……」
内藤の質問に、頭の中で、俺自身の本音がこだまする。
それに言い返せない兄としての、俺の情けなさよ。
嘘でも『ある』と言えない、みっともなさよ。
( ´_ゝ`)「……ふ、へっ」
自分自身に嗤われている気がした。
37.糸冬
37.そんな優しさ、持ち合わせちゃいないが
内藤の家での一泊は、特に何もなかった。
家を追い出された元ニートのニュが不法侵入を試みたらしいが、
防犯設備に引っ掛かり、警察へ連行されていったくらいだ。
日常と化しているらしく、内藤の電話一本で終了。実に平和。
しかし、日常と化しているくらいなら相応の罪も溜まってるだろうに。
( ^ω^)「平和って何だったっけかお」
( ´_ゝ`)「何も起きない日常」
( ^ω^)「最初から日常が崩れている場合はどうなるんだお?」
( ´_ゝ`)「人生ハードモード続行」
( ^ω^)「親のセックスからリセットしてえ」
311: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:13:06 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「さっきの奴さ、何で逮捕されないの? 何回も来てんだろ?
そろそろ不法侵入でぶち込めるんじゃねぇの?」
( ^ω^)「身内から前科者を出したくない奴らが逮捕の邪魔してるお」
( ´_ゝ`)「ああ、そういうのか」
( ^ω^)「しかも被害者が僕だからシカトされてるんだお」
( ´_ゝ`)「そういうのか……」
( ^ω^)「その分、迷惑料は受け取ってるんだおっお」
( ´_ゝ`)「なら問題ないな」
( ^ω^)「けど来る時間帯が深夜だから、我慢の限界も近いお。
サイレン聞けば毎回大人しくなるけど、しつっこいんだお」
( ´_ゝ`)「まあまあ、サイレンぐらいでビビるなら問題ないだろ」
312: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:14:07 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「もう年だし家族もいねぇからって、失う物がないのを自覚して。
トラックとか重機に乗って玉砕覚悟で家に突っ込んでくるような、
おっそろしい爺ちゃん婆ちゃんよりかはやりやすいって」
( ^ω^)「何故ジジババがそのような行為に走るお」
( ´_ゝ`)「糞親父になんかされた……その復讐だろうよ」
( ^ω^)「あ、やっぱり何か悪いコトしてたのかお? 親父さん」
( ´_ゝ`)「確定はできないが、何人か殺ってる気がする。
あと軽微な犯罪としては、相撲賭博は確定」
( ^ω^)「人を殺しそうな奴には見えるけどお、
ギャンブルやるようには見えないお?」
( ´_ゝ`)「開催する側って事だよ。言わせんな危なっかしい」
( ^ω^)「ふむ、通報したお」
( ´_ゝ`)「今度会う時は地面の下か、またな内藤」
( ^ω^)「冗談だお。やめろ携帯を返せクズ」
313: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:14:53 ID:WvmyfKKI0
(;´_ゝ`)「ぶっ飛ばさなくたっていいじゃないか……」
( ^ω^)「割と本気で僕の携帯握りしめてたおね?
でなきゃ画面にこんなヒビ入らないおね?」
( ´_ゝ`)「ああ無意識の内に」
_, 、_
( ^ω^)「ったくお。そんなに捕まる事を怖がってる癖に、
よく殺人計画なんて建てるおね。確実に逮捕されるお」
( ´_ゝ`)「殺す前に捕まっちゃうのが一番嫌なんだよ。
全部終わった後にしくじって捕まるならまだしも」
( ^ω^)「……ふぅん?」
314: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:15:40 ID:WvmyfKKI0
( ^ω^)「捕まらない方法は何か考えてるのかお?」
( ´_ゝ`)「当初の予定では、殺った後アメリカかメキシコか……
そこらの日本人街にでも潜伏する予定だったんだがな」
( ^ω^)「ほほぉ、ほぉ」
( ´_ゝ`)「外国での居住地を探してるって事実だけ母さんにバレたらしくて、
『地球の裏側に行ってもジャングルの奥に行っても見つけ出す』って」
( ^ω^)「ヤンデレ系かお」
( ´_ゝ`)「……両肩に食い込んだ爪の跡が残るぐらい鷲掴みにされて、
目ぇ合わせながら言われた。流石にちょっと怖かった」
( ^ω^)「ヤンデレ系だったお」
( ´_ゝ`)「それ嫌な言葉だなあ。病み方にも色々な重さがあるだろうに、
ヤンデレって一言に集約されると安っぽくなって嫌いだ」
( ^ω^)「いきなり話題を変えるなお。気になるところがあったとしても」
( ´_ゝ`)「すまん」
315: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:16:39 ID:WvmyfKKI0
( ^ω^)「しかし、あれだおね。弟者の変な執着は母親譲りと見たお」
( ´_ゝ`)「何の執着?」
( ^ω^)「さあ、この世に安息の地はないんだお。病院行くお」
( ´_ゝ`)「何どれあいつの女に対する執着の事?」
( ^ω^)「そいつから直接聞くがいいお」
( ´_ゝ`)「警察っぽいのがいたら、俺は逃げるからな!」
( ^ω^)「はいはいお、ほらガラッガラのバス来たお」
貸し切りバスに乗り込んだ直後、弟者からメールが来た。
『件名:最近なんかあった?』
本文はなし。
316: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:17:50 ID:WvmyfKKI0
昨日、衝撃的だったものを敢えて、強いて上げるならば、
丑三つ時にフヒフヒ笑いながらキーボードを叩いてる筋肉達磨だ。
深夜に何やってんのかと覗いてみれば、なんと言うか……。
SNSやTwitterを日頃から巡回して、炎上させる火種を探している内藤は、
俺やアヒャとはまた違った、尖った方向に気が狂っていると確信した。
いつもノートに書いてるような日記形式の文体でメール返信。
しばらくして、弟者からの返答。
『件名:違う
本文:そういうのじゃない』
どういうのだ。
つか内藤が無理に携帯の画面を覗き込んでくる所為で、
鼻息が首筋に当たって気持ち悪い。キモい。キショい。
317: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:27:23 ID:WvmyfKKI0
(^ω^; )「昨日の今日で、なに……ゆえ……そんな、
日常みたいなやり取りが出来るんだお貴様ら……」
( ´_ゝ`)「口調がおかしいぞ内藤」
(^ω^ )「お前らがおかしいお」
( ´_ゝ`)「そうか? 俺の時も同じようなモンだったぞ。
あいつが俺の足にボウガンぶっ放してくれた翌日も」
(^ω^ )「……今とは逆の立場で?」
( ´_ゝ`)「そう。今とは逆の立場で。一晩離れれば大体落ち着く」
(^ω^ )「おかしいお。悔しいビクンビクン殺してやるぅとかないのかお?」
( ´_ゝ`)「悔しいが、あの時は俺の油断が一番の原因だからなぁ。
夜店での射的も下手糞だったから、どうせ当てられないだろうと、
そう思って距離取ってたら……危うく頭に矢が刺さるとこだった」
ミ( ^ω^)「油断してたんだおね」
(#´_ゝ`)「あー、今考えれば、下手糞に見えるよう演技してただけなのかもしれないな。
思えばあの年は近くでやる祭りには全部誘われて行ったし……くっそぉ。
わざわざ金かけてまで演技するとかクソが。射的の代金払ったの俺だけど」
(;^ω^)「普段から相手を騙し合う兄弟関係とか怖いお……
改めて、お前らの血族でなくて良かったと思うお」
318: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:29:28 ID:WvmyfKKI0
( ^ω^)「でも、弟者の誘いに乗るんだおね。それも全部」
( ´_ゝ`)「その時の気分に寄る」
( ^ω^)「兄さん気分の時に乗るのかお?」
( ´_ゝ`)「一般的な感覚で、あいつを弟と認識した事はない。
むしろ俺が弟と思ってるのはまたんきのほうだ」
( ^ω^)「それお前の嫁ェ」
( ´_ゝ`)「紙の上だけだ。性欲なんて抱いた事もない」
( ^ω^)「弟者も可哀想だおね」
( ´_ゝ`)「……本当に? そう思うか? あいつを?」
(;^ω^)「いきなりマジトーンになるのやめろお。
お前も同情されるの真っ平の癖にお」
( ´_ゝ`)「む、なら説明しろ」
( ^ω^)「弟者のほうは、一応弟者なりに兄者の事を兄貴だと思ってるっぽいんだお」
319: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:30:38 ID:WvmyfKKI0
( ^ω^)「だからー、片方がちゃんと兄弟だと思ってるのに、
もう片方は兄弟だと思ってないとか可哀想だと思ったんだお」
( ´_ゝ`)「兄貴扱いって、何? 責任の押し付け所って意味?
賠償請求先って意味? 代わりに女に刺されろって事?」
( ^ω^)「やっべこれ兄者の地雷だったお。ストップ」
( ´_ゝ`)「しない。いいかよく聞け俺は」
( ^ω^)「聞かないお。逆に兄者に質問するお。
兄者は弟者の事を弟だと思った事はあるお?」
( ´_ゝ`)「一般的な兄弟認識じゃなく、俺なりの感覚でなら、まぁ……」
( ^ω^)「それ聞きたいお」
( ´_ゝ`)「露骨に話逸らそうとしやがって」
( ^ω^)「兄者がさっき言いかけた主張は聞き飽きたお。さあ言うお」
録音しようとする内藤から携帯を取り上げて、俺なりの”弟”について考えてみる。
320: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:31:48 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「俺の感覚での双子の弟……いや弟と言うよりは、
俺の意思を離れた、制御できない劣化分身……?
とにかくやっぱり殲滅すべき敵に変わりはないなぁ」
( ^ω^)「だからその認識はおかしいってばお。
本当なら全国の双子を調べる必要があるお」
( ´_ゝ`)「理由は違えど、俺ら以外にも片割れ殺したがってる双子はいるさ。
ただ表に出ないだけで、その辺にいるっての。知らないだけだ」
( ^ω^)「ソース寄越せお」
( ´_ゝ`)「お前も知ってる素直姉妹」
(;^ω^)「ウッソマジかお」
( ´_ゝ`)「本人に聞いて来い。そして女同士の陰惨とした殺し合いに巻き込まれろ」
( ^ω^)「お前らだけでお腹いっぱいだお」
うっぷっぷーなんて息を吐く内藤の腹を殴ってやりたい。
どうせ拳が跳ね返されるだけだろうが。
321: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:32:40 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「あと一つ、違う理由でもあいつを殺すしかないって思ってる」
( ^ω^)「兄として?」
( ´_ゝ`)「んんん」
どうだろう。ギリギリ一般人の範囲内じゃなかろうか。
よく父親がニートの息子を殺した事件が報道されたりするが、
多分、感覚としてはそのニートの息子の父親に近いだろう。
( ´_ゝ`)「俺なりに、自己中心的な理由じゃなく、あいつの為に、兄としてなら」
( ^ω^)「言ってみろお」
( ´_ゝ`)「あいつは、人より性欲が強くて、貞操観念のブレーキが効き辛いだろ?」
( ^ω^)「だおね」
( ´_ゝ`)「今は俺がいるから、俺に責任が分散されて来てるが……」
322: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:33:31 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「将来、俺がいなくなった時、それで苦労すると断定できる。
こうなるだろうってあやふやなものじゃない。断定できる」
( ^ω^)「確定だおね」
( ´_ゝ`)「あいつは俺と違って無理矢理勉強机に座らせられる事もなかった。
母さんは法律に強いし、人脈が広いから今はなんとかなってるが、
あいつは六法全書なんて開いた事も手に取った事もない」
( ^ω^)「教育方針の格差が酷いお」
( ´_ゝ`)「今から勉強させようにも、あいつの頭に入る訳がない。
障害者の認定は下ってないから役場で後見人もつけれない。
借金なんかしたら、糞親父は簡単にあいつを切り捨てるだろう。
もう既に半分勘当されたような状態だし、助けてはもらえまいよ」
( ^ω^)「うむ……」
( ´_ゝ`)「現在進行形で、女共に恨まれているんだ。
色んなものから逃げ続ける生活になるだろう」
( ^ω^)「まあ……だおね」
( ´_ゝ`)「だから殺すしかないんだ」
( ^ω^)
( ^ω^)
( ^ω^)
( ゚ω゚)「はい?」
323: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:34:47 ID:WvmyfKKI0
( ゚ω゚)「今、僕、何か聞き逃したかお?」
( ´_ゝ`)「知らん。兎に角、あいつの将来は真っ暗闇だ。
今が絶頂期で、後はもう落ちていくしかない」
(;^ω^)「そっ、そうだおね」
( ´_ゝ`)「それに、このまま野放しにしておけば、人様に多大な迷惑をかける。
窃盗症も治らないし、下半身も緩い、サボリたがりで、欲望に弱い。
フォローしてくれる人がいる今が一番なんだよ、こういう奴は」
( ^ω^)「……」
( ´_ゝ`)「かなり質の悪い、犯罪の片棒担ぐような友人達はいるらしいが、
そんなのが将来助けになるとは思えない……むしろ足を引っ張る」
( ^ω^)「ふむ」
( ´_ゝ`)「だから、俺なりに、兄としてあいつの将来を考えて、
これから起こる全部の責任を全て取るとしたら」
324: ◆T/D40qQ./Q:2014/12/29(月) 02:36:46 ID:WvmyfKKI0
( ´_ゝ`)「今の内に、殺してやるのが、一番なんだよ。……そうだろう?
事件を起こしてしまう前に、いなくなったほうが名前も汚れない」
( ^ω^)「殺さないって選択肢は?」
( ´_ゝ`)「選択肢は……」
内藤の質問に、頭の中で、俺自身の本音がこだまする。
それに言い返せない兄としての、俺の情けなさよ。
嘘でも『ある』と言えない、みっともなさよ。
( ´_ゝ`)「……ふ、へっ」
自分自身に嗤われている気がした。
37.糸冬
264: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:37:18 ID:I1xTw.SI0
36.糞食う虫もすきずき
( ´_ゝ`)「酷い夢を見た気がする」
(´<_` )「俺、昨日メッチャ酷い夜過ごしたんですけど?
お陰で俺もヒッドい悪夢見ちゃったんですけどお?」
( ´_ゝ`)「廃棄物が動いてる……まだ夢の中か……」
(´<_` )「俺の足が動いたら、その顔踏み抜いてやるよ」
昨日の夜、糞野郎に対する計画性の無い殺人衝動は出し切ったと思ったのに。
いざ目の前にしてみると「弱ってる今がチャンスだ」と後押しする感覚がウザい。
前みたいに、我を忘れて目の前が真っ暗になる憎悪よりは大分マシだが。
265: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:38:46 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「朝からガンつけんのやめてくんない?」
( ´_ゝ`)「なら消えろ」
(´<_` )「いやむり」
寝起きにこいつの顔が目の前に存在するのは辛い。
良い夢を見た後の余韻を台無しにしてくれるし、
悪い夢を見た後は不快感を増大させてくれる。
つまりどうあがいても腹立たしいんです。
本当にありがとうございました。
( ´_ゝ`)「ところで、部屋に誰も来てないのか?」
(´<_` )「来てねーよ」
( ´_ゝ`)「ふぅん? なんでだろうな」
266: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:41:52 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「本当に誰も来なかった?」
(´<_` )「来てねーよ。俺の傷の手当てもまだだよ」
べろりと捲った病衣の下には、血が止まった刺し傷。
致命傷一歩手前まで刺したつもりなのに、元気に見える。
( ´_ゝ`)「手当ていらなくね?」
(´<_` )「いる。バイ菌入るわ」
( ´_ゝ`)「お前自身がバイ菌だろ」
(´<_`# )「んだとテメ( ´_ゝ`)「はい黙れ、下顎砕くぞ」
うるさいので下顎を掴んで黙らせる。
肉体の修復力が異常な家系だからか、腹の傷はもう治りかけているようだ。
ここは元凶の遺伝子提供元を恨むべきか、有難く思うべきか。
267: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:48:52 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「成功したら警察が面倒いし、母さんも発狂するだろうし……どうすべ。
でも、生かしておいたら確実に感染性の性病テロが発生するだろうし。
お前の所為で泣く女も確実に増えるだろうし、俺に迷惑もかかるし。
死なずに済んで良かったのかな……死んだほうが良かったかな」
喜べばいいのか、落ち込めばいいのか。
まだ複雑だ。
ごちゃまぜになった胸が気持ち悪い。
なんか、とても沢山叫びたい。
家でたまにシャウトしてる母親が羨ましい。
俺も叫びたい。
けど、大の男が手加減無しに吼えたら、猟銃担いだマタギが来そうで出来ない。
しかも、ここは病院だ。
叫び声にビックリした患者さんがショックで逝ってしまわれたら、目も当てられない。
葛藤が腕を伝って手に響く。力が入る。ミシミシ軋む音が聞こえる。
何かを潰す瞬間の、気持ち良い感触がする。手の中で物が変形する、
( ゚_ゝ゚)「イッづぁ!」
268: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:50:29 ID:I1xTw.SI0
痛みを感じて、反射的に手を引く。
手首から出血がある。爪を立てられたようだ。
(´< `;il)「ふぇえ……あご砕けるかと思ったよぉ……」
~
( ´_ゝ`)「余裕だなクソ」
(´< `;il)「おく、奥歯が、すごいグラついてるんですけど?」
~
( ´_ゝ`)「俺じゃない」
(´<_`# )「お前しかいねーよ!」
( ´_ゝ`)「そうだな」
(´<_` )「……何? さっきからテンション安定してねーけど、何なの?」
( ´_ゝ`)「さあ?」
(´<_` )「考えがダダ漏れになったかと思えば、人やめてゴリラになるわ。
ゴリラ化して暴れんのかと思ったら、脈絡もなく沈みやがって。
寝て起きて、俺が元気にしてた事がそんなにショックだった?」
( ´_ゝ`)「いや」
確かに安定はしてない。
胸の中に嵐が吹き荒れ高波が荒ぶっているかと思えば、
いきなり波風一つない穏やかな真昼の海が広がったりする。
今は、ゴリラ扱いされても微塵も気にならない。
269: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:51:33 ID:I1xTw.SI0
それと、殺せなかったことをそこまで惜しんじゃいない。
最初から期待はしていなかった。死んでくれたらいいなあ、ぐらいだ。
失望はしてない。残念には思ってない。落ち込んでなんかないんだからね。
だって、死んだら死んだで周囲への対応が面倒だもの。
( ´_ゝ`)「ナースコール押せる? 出来ないなら俺が押そうか?」
(´<_`; )「えっと、何企んでます?」
( ´_ゝ`)「何も考えてないよ。脊髄反射トークだよ。逆に聞くけど、
お前は常にあらゆる事象を考えながら喋ってるのか?」
(´<_`; )「命の危険を感じる時は、割と」
( ´_ゝ`)「そうか。俺は自分でもよくわからない」
(´<_`; )「微妙な優しさは何の伏線なんですか? 全然わかんないんです。
ぶっちゃけ怖いんで何考えてるか喋ってくれると有難いです」
( ´_ゝ`)「いつもの弟者とはちょっと違うな」
(´<_` )「お前の様子がおかしいから、こっちもおかしくなってんだよ」
271: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:53:58 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「じゃあ、しゃがめば警戒解ける?」※
(´<_` )「ここはスカイリムじゃねーんだぞ。現実世界の病院だ。
しゃがんだくらいで俺の目から逃げれるワケないだろ」
( ´_ゝ`)「現実と混同してないよ。スクワットしながらナイフで切り付ければ、
敵に15倍ダメージ入るとか信じてないから。安心していいよ」
(´<_` )「スクワット戦法なんかされたら顔筋壊れるわ。
喧嘩の時とか、殺し合いする時はすんなよ」
( ´_ゝ`)「しないよ、冗談だ」
(´<_` )「どの箇所が冗談なのか本気でわかんないんですけど」
※スカイリムで隠密プレイを極めると、敵前でスクワットしながらナイフ振るだけで倒せる。
並み居る強敵もこれでほぼ楽勝。通称スクワット戦法。亜種にスクワット窃盗術がある。
272: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:55:10 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「これ以上、歯ぁ折ったりしない?」
( ´_ゝ`)「しないよ」
(´<_` )「人の皮被った糞ゴリラ兄貴の所為で、
奥歯が今にも抜けそうなんだけど?」
( ´_ゝ`)「手術して生やせばいいよ」
(´<_` )「えっ、そんなのあるの?」
( ´_ゝ`)「あるけどお前は無理かな」
(´<_` )「どっちだよ」
( ´_ゝ`)「もう何もかもメンドいからググって」
(´<_` )「話を投げるにも程があるだろクソ兄貴。どうしたんだ。
キチガイがふわっふわになってもおかしいだけだぜ」
今は大丈夫。俺は平静を保っている。
刺して、怪我して、血を流して、弱った弟者が目の前にいる。
その事実だけで安心出来る。とても心地好い気分だ。
この状態も、あと何分持つか解らないが。
( ´_ゝ`)「知ってる。後少ししたら多分戻るよ……」
(´<_` )「やっぱナシでお願いします。しばらくそのまんまで」
( ´_ゝ`)「俺に言わないで」
273: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:56:46 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「あ、つーかヤバイ。喋ってたら奥歯のグラつき酷くなった」
( ´_ゝ`)「抜ける?」
(´<_`; )「抜けそう」
( ´_ゝ`)「どうする?」
(´<_` )「こうなったら抜くしかないだろ……はあ」
( ´_ゝ`)「手伝おうか?」
(´<_` )「やめろ。お前が俺を不意打ちで殺す未来しか見えない」
( ´_ゝ`)「そうだな。俺もお前の体温を感じた瞬間に殺意を取り戻して、
喉をフィストでファックしながら窒息死させるかもしれない」
(´<_`; )「その怖い発想はどこからくるの」
( ´_ゝ`)「遺伝子? もしくは長年の苦渋」
(´<_` )「退いても媚びても省みてもどうにもならなそうだな」
274: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:58:12 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「俺だけ歯抜けとか不公平だから、兄者も抜けよ」
( ´_ゝ`)「やだ」
(´<_`; )「や、やだって……やだじゃないだろそこは! 子供かよ!」
( ´_ゝ`)「精神年齢計ってみたら、揺れ幅がすごかったわ。
永遠の中二14歳から、年老いて達観した60歳まで」
(´<_` )「嘘吐け、下限は5歳くらいだ」
( ´_ゝ`)「それはないだろ」
(´<_` )「あるぞ」
( ´_ゝ`)「あるのか……」
(´<_` )「つか、こんな話してる場合じゃねえ。俺の歯は」
( ´_ゝ`)「母さんに手術頼んでみたら?」
(´<_` )「いけると思う?」
( ´_ゝ`)「駄目だと思う」
275: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:59:41 ID:I1xTw.SI0
(´<_`; )「もーおーどうすんのぉおおお」
( ´_ゝ`)「どうせタコ部屋逝ったらぶん殴られついでに2、3本なくなるさ。
抜け歯の先払いしたと思って、諦めればいいんじゃね?」
(´<_`; )「待って待って、俺がタコ部屋に逝くのは決定事項なの?」
( ´_ゝ`)「次に女連れ込んだらアウトって母さんに言われたろう。
退院したら鈍った体にリハビリも兼ねてタコ部屋決定」
(´<_`; )「タコ部屋ってタコ殴りされる為の部屋じゃないよな?」
( ´_ゝ`)「お前のその発想を母さんに伝えといてやるよ。
部屋に入ったらジョーク用意して待ってるかもね」
(´<_`;il)「うわ……自業自得過ぎて泣きそう」
( ´_ゝ`)「わあキモイ。写メっていい?」
(´<_` )「涙引っ込んだ」
( ´_ゝ`)「まだ撮ってないんすけど」
どうせなら血涙でも流させてやろうかとポケットから手を出して、踏み止まった。
自分でも神経おかしいんじゃないかとしか思えない攻撃的思考が復活。
どうやら、頭ふわふわぱっぱらぱータイムは終わりのようです。
しっかし、こうして自分を取り戻して振り返ってみると、本当に不思議だ。
医者からは遠回しに『脳波がちょっと異常』としか聞けていない。
俺の脳味噌の神経回路は、一体どういう繋がり方をしているんだろう。
276: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:02:45 ID:Lo7fc1bE0
(´<_` )「永久歯ってもう生えないんだっけ?」
( ´_ゝ`)「生えない」
(´<_` )「親父って生えてきてなかった?」
( ´_ゝ`)「生えて来たように見える事例は報告されてるけど。
あの化け物なら本当に生やしてそうだな。自力で」
(´<_` )「俺も生えさせれないかな」
( ´_ゝ`)「自分の遺伝子を信じれば?」
俺らは、MPと書いてはマッスルポイントと読ませる化け物を親に持つ。
精神面を肥溜めに捨てて、物理だけに極振りしたようなこの家系。
生半可な傷では死なぬ。治らない傷も何故か治る。ソースは今までの人生。
二十数年続く人生の中、数々の殺し合いや闇討ちを経験してきたが、
277: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:03:32 ID:Lo7fc1bE0
家族全員、しぶとくのうのうと生きている。
死んだ父方の祖父も、火事じゃなかったら生きてた。
ただの家屋の崩落だったら、間違いなく生還してる。
化け物に関しては、生まれつき大事な首の骨が一つ足りないのに、元気に生きている。
普通なら生まれる途中で首を折って死んだりする筈だったのに、生きている。
特に運動しなくても常にムキムキだし、手足はまるで丸太のような太さだし、
どこを殴ってもゴムタイヤを殴った感触しかしないし、もうクリーチャーでいい。
最近、糞親父がミスタチオン関連筋肉肥大症、
もしくはそれに近い症状の可能性が浮上してきて、
人間ではない線が濃厚になってきた。
あれが実は神話生物と言われても驚かない。
それでもいずれは、殺すか、殺す一歩手前ぐらいには追い詰めたいけどな。
浮気や不貞は駄目とか弟者に説教しておきながら、
いざ自分がやったら開き直るゴミは死ぬべき。
278: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:05:24 ID:Lo7fc1bE0
あんな父親の背中しか見てないから、俺も弟者もこのザマだ。
( ´_ゝ`)「あれだ。ちょっと干からびて死んでみてくれ」
(´<_`; )「なんでだよ!」
ベッド上の起き上がり小法師と付き合ってる暇はない。
今の状況はとてもではないが落ち着けない。
頭を飛ばしてる場合なんかじゃなかった。
状況を確認する為に、荷物を回収して廊下に出る。
後ろから「看護婦呼んでー!」と鳴き声が聞こえる。
最近のサルは芸達者だ。人の声真似までするなんて。
279: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:07:23 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「掃除されてんな」
昨日の痕跡があまり見当たらない。人も集まってない。
ドアについた傷はそのままだったが、ゴミは綺麗に片づけられている。
ここまで来たのに、何で部屋に入らなかったんだ?
昨日の録音を再生しながらメモしつつ、頭の中を整理する。
推測その1
・糞野郎のナースコールには気づいていない。
・近くの部屋からのコールを受けて、騒動跡のみ掃除されて終わった。
推測その2
・糞野郎のナースコールには気づいている。
・夜中の騒動についてのコールだと思っていた為、部屋には入ってきていない。
推測その3
・コールには気づいているが、それよりも重大な事件が発生したor
めでたく迷惑患者リスト入りした為、今は後回しにされている。
羅列してみたが、2と3が苦しい。1だろうか。
280: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:09:06 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「ううむ」
考えても仕方ない。情報を集めよう。
ナースステーションの近くの椅子に座って、聞き耳を立てる。
ここは早起きの爺ちゃん婆ちゃんの憩いの場でもあるからな。
老人を見ながら目と耳の癒しを確保。
優しそうな年配の方って安心するんだよ。
仲良さそうな老夫婦なら、もう最高だね。
縁側でお茶飲んでまったりする絵は日本のテンプレの一つだけど、
あれは描かれている人物が老人じゃないといまいち和み要素がない。
年老いた人が絵の中にいるからこそいいのだと俺は信じている。
自分でも分からないが、10年近く世話になってる担当医の説明曰く、
『老人に対して過剰な関心を抱く』のは俺のこだわりの一つらしい。
老人へ対する庇護欲や保護欲とでも言えばいいんだろうか。
俺は気にしていなかったが、周りには異常に見える程らしい。
”らしい”が多いのは、俺自身がまだ納得していないからだ。
老いてる者が気になるのは、人間として当たり前の心理じゃないのかね。
先が短い人達に、せめて良い最期だけはと思うのは当然じゃないのかね。
281: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:12:38 ID:Lo7fc1bE0
今から赤ん坊を量産したって高齢化社会は確定してしまっているんだし、
老人を追いやる先を作るんじゃなくて、社会に組み込む努力をしようぜ。
まず、田舎は高齢化してしまっているんだから、もっと老人を表に出そう。
店員だって、若い姉ちゃんよりも優しそうな婆ちゃんのほうがいいわ。
若けりゃいいってモンじゃねえ。土産屋以外にも老人店員を配置しよう。
こう、ちょっと悲壮な雰囲気が漂ってるお婆ちゃんが店員だったら、
財布の紐も心の涙腺も緩む。いらない物だって思わず買ってしまう。
地域活性化にはやはり老人達の協力が
( ´_ゝ`)「……今日は思考脱線するなぁ」
例外として、SIRENの屍人よろしく鎌振り上げて襲ってくる老人は撃退する。
282: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:13:38 ID:Lo7fc1bE0
取りあえず、技能聞き耳。判定成功。
ザワザワザワ
『聞きました? 昨日、不審者が病院に入り込んだんですって』
『やだ怖い。看護師さん達が忙しそうにしてるのはそのせい?』
『そうみたい。しかも! その不審者に、乱暴された子がいたんですって。
その子はここの精神科の患者で、警察も事情聴取に来てるみたいよ』
『不審者は誰だったんですの? ここの患者ならちょっと怖いわね』
『見舞客のフリして、昼間に正面から堂々と入ったんですって!
夜になるまでこの病棟のどこかに隠れていたらしいわよ!』
『あらあらまあまあ。怖いわあ』
『それでその隠れてた場所は……』
283: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:14:26 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「やだ怖い」
思ったより大事になっている。
これは逃げるが勝ちか、それとも留まったほうが怪しまれないか……。
( ´_ゝ`)「おっと」
色々考える前に、足は病院の裏口へ。
本能も理性も今は逃げろと言ってるし、逃げよう。
弟者には連絡しなくていいや。
母親にも今は連絡しない。
あのビッチとDV野郎のやらかした事件に全部隠れてしまえりゃいいんだが、
俺もしっかり刺してしまっているので、変に疑いをかけられる可能性がある。
弟者はもう言い逃れ出来ないぐらいに関与してしまっている。
腹の刺し傷含めて、想像を超える面倒が襲い掛かるに違いない。
逃げるには、糞親父の世話になるか我が母に庇ってもらうしかないだろう。
……昔から、あいつを殺そうとしたり、致命傷を与えた時によくあったけど。
なんでこうも、予想だにしない乱入者が計画を引っ掻き回してくれるんだろうか。
俺は何か悪いモノにでも憑かれてんの?
目的が絶対に達成できない呪いでもかけられてんの?
284: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:15:23 ID:Lo7fc1bE0
病院から出て正面玄関を見ると、報道関係車が救急車の邪魔になっていた。
阿呆だな。どうしようもない。マスゴミならもっと回りの事を考えろよ。無理か。
ちょっと観察していたい気もしたが、籠る場所を探そう。
容疑者として立候補してしまったら怖いもんね。
( ´_ゝ`)「どこさ逃げんべ」
隠れ家候補地としては、内藤と接待と赤石しかない。
他の奴らは素行が悪いので変な疑いがかかりそうだ。
上記3人も、素行が完全に白かと問われれば黒と答えるしかないが。
斎藤や号刀みたいな『いい子』の家にも行けないだろう。
まず親が不味い。いい子が育つ家だけあって、親が。
( ´_ゝ`)「どこさ逃げんべ……」
俺の親は、どこまでこれに介入しようとするんだろう。
それとも、あのビッチとDV男の両親がなんとかするだろうか。
285: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:16:26 ID:Lo7fc1bE0
なあんもわかんねえなあ。
なあんにもおきねえなあ。
( ´_ゝ`)「あー」
何もなさ過ぎて、明日には普段通りの日常が来そうだ。
病院が俺らを無視しているのか静観してるのか知らないが、
シカトぶっこいてくれるなら、藪に入らず素通りするのが正解だよな。
つーか、来るわコレ。
確実に。到来確定だわ。
何の変哲もない日常が俺を待ってるぜ。
あんなに心配してたさっきまでの自分が、心底馬鹿々しい。
どうせこっちから警察に出向いても、何もねぇわ。
286: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:18:16 ID:Lo7fc1bE0
俺が何かやっても、弟がなんかしても、糞鶏がやらかしても、
身内のアレ、家族のごたごただからと取り合ってくれなかった。
新聞を飾れる傷害事件を起こしても、殺人未遂にあっても、
未成年だから、痴情の縺れがどうたらで取り合ってくれなかった。
足にボーガン刺さった被害者が交番に駆け込んでも、取り合わない。
家に連絡一つ寄越してそれっきり。平然としてやがった。有り得ない。
家庭板のテンプレのような対応をしても駄目だった。駄目だった。
( ´_ゝ`)「うん、よし。普通に過ごそう」
そうと決まれば行動は早い。
ジャストタイミングでメールを寄越してきた内藤の家にでも遊びに行こう。
どうせ向こうもこっちの話を聞きたがってるだろうし、調度いいや。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
288: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:23:30 ID:Lo7fc1bE0
( ^ω^)「今までの話を統合した結果」
( ´_ゝ`)「はい」
( ^ω^)「気に入らない男を刺して」
( ^ω^)「キチガイに連れ去られる女を見捨てて」
( ^ω^)「健やかに寝たと」
( ´_ゝ`)「補足すべきところがあり過ぎてもういいや」
( ^ω^)「んで」
( ^ω^)「朝起きて『やべえ』と思ったけど」
( ^ω^)「なんやかんや考えたらそうでもない事に気付き」
( ^ω^)「僕んちに遊びに来たと言うんだおね?」
( ´_ゝ`)「そうだな」
289: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:25:42 ID:Lo7fc1bE0
( ^ω^)「このサイコクズちゃんめ」
( ´_ゝ`)「全てをその一言で済ますお前は流石だぜ」
( ^ω^)「今日は病院込みそうだから、明日行くお。
兄者はここに泊まってけばいいお」
( ´_ゝ`)「やったー」
( ^ω^)「飯作んの兄者な」
( ´_ゝ`)「やだー」
36.糸冬
36.糞食う虫もすきずき
( ´_ゝ`)「酷い夢を見た気がする」
(´<_` )「俺、昨日メッチャ酷い夜過ごしたんですけど?
お陰で俺もヒッドい悪夢見ちゃったんですけどお?」
( ´_ゝ`)「廃棄物が動いてる……まだ夢の中か……」
(´<_` )「俺の足が動いたら、その顔踏み抜いてやるよ」
昨日の夜、糞野郎に対する計画性の無い殺人衝動は出し切ったと思ったのに。
いざ目の前にしてみると「弱ってる今がチャンスだ」と後押しする感覚がウザい。
前みたいに、我を忘れて目の前が真っ暗になる憎悪よりは大分マシだが。
265: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:38:46 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「朝からガンつけんのやめてくんない?」
( ´_ゝ`)「なら消えろ」
(´<_` )「いやむり」
寝起きにこいつの顔が目の前に存在するのは辛い。
良い夢を見た後の余韻を台無しにしてくれるし、
悪い夢を見た後は不快感を増大させてくれる。
つまりどうあがいても腹立たしいんです。
本当にありがとうございました。
( ´_ゝ`)「ところで、部屋に誰も来てないのか?」
(´<_` )「来てねーよ」
( ´_ゝ`)「ふぅん? なんでだろうな」
266: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:41:52 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「本当に誰も来なかった?」
(´<_` )「来てねーよ。俺の傷の手当てもまだだよ」
べろりと捲った病衣の下には、血が止まった刺し傷。
致命傷一歩手前まで刺したつもりなのに、元気に見える。
( ´_ゝ`)「手当ていらなくね?」
(´<_` )「いる。バイ菌入るわ」
( ´_ゝ`)「お前自身がバイ菌だろ」
(´<_`# )「んだとテメ( ´_ゝ`)「はい黙れ、下顎砕くぞ」
うるさいので下顎を掴んで黙らせる。
肉体の修復力が異常な家系だからか、腹の傷はもう治りかけているようだ。
ここは元凶の遺伝子提供元を恨むべきか、有難く思うべきか。
267: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:48:52 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「成功したら警察が面倒いし、母さんも発狂するだろうし……どうすべ。
でも、生かしておいたら確実に感染性の性病テロが発生するだろうし。
お前の所為で泣く女も確実に増えるだろうし、俺に迷惑もかかるし。
死なずに済んで良かったのかな……死んだほうが良かったかな」
喜べばいいのか、落ち込めばいいのか。
まだ複雑だ。
ごちゃまぜになった胸が気持ち悪い。
なんか、とても沢山叫びたい。
家でたまにシャウトしてる母親が羨ましい。
俺も叫びたい。
けど、大の男が手加減無しに吼えたら、猟銃担いだマタギが来そうで出来ない。
しかも、ここは病院だ。
叫び声にビックリした患者さんがショックで逝ってしまわれたら、目も当てられない。
葛藤が腕を伝って手に響く。力が入る。ミシミシ軋む音が聞こえる。
何かを潰す瞬間の、気持ち良い感触がする。手の中で物が変形する、
( ゚_ゝ゚)「イッづぁ!」
268: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:50:29 ID:I1xTw.SI0
痛みを感じて、反射的に手を引く。
手首から出血がある。爪を立てられたようだ。
(´< `;il)「ふぇえ……あご砕けるかと思ったよぉ……」
~
( ´_ゝ`)「余裕だなクソ」
(´< `;il)「おく、奥歯が、すごいグラついてるんですけど?」
~
( ´_ゝ`)「俺じゃない」
(´<_`# )「お前しかいねーよ!」
( ´_ゝ`)「そうだな」
(´<_` )「……何? さっきからテンション安定してねーけど、何なの?」
( ´_ゝ`)「さあ?」
(´<_` )「考えがダダ漏れになったかと思えば、人やめてゴリラになるわ。
ゴリラ化して暴れんのかと思ったら、脈絡もなく沈みやがって。
寝て起きて、俺が元気にしてた事がそんなにショックだった?」
( ´_ゝ`)「いや」
確かに安定はしてない。
胸の中に嵐が吹き荒れ高波が荒ぶっているかと思えば、
いきなり波風一つない穏やかな真昼の海が広がったりする。
今は、ゴリラ扱いされても微塵も気にならない。
269: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:51:33 ID:I1xTw.SI0
それと、殺せなかったことをそこまで惜しんじゃいない。
最初から期待はしていなかった。死んでくれたらいいなあ、ぐらいだ。
失望はしてない。残念には思ってない。落ち込んでなんかないんだからね。
だって、死んだら死んだで周囲への対応が面倒だもの。
( ´_ゝ`)「ナースコール押せる? 出来ないなら俺が押そうか?」
(´<_`; )「えっと、何企んでます?」
( ´_ゝ`)「何も考えてないよ。脊髄反射トークだよ。逆に聞くけど、
お前は常にあらゆる事象を考えながら喋ってるのか?」
(´<_`; )「命の危険を感じる時は、割と」
( ´_ゝ`)「そうか。俺は自分でもよくわからない」
(´<_`; )「微妙な優しさは何の伏線なんですか? 全然わかんないんです。
ぶっちゃけ怖いんで何考えてるか喋ってくれると有難いです」
( ´_ゝ`)「いつもの弟者とはちょっと違うな」
(´<_` )「お前の様子がおかしいから、こっちもおかしくなってんだよ」
271: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:53:58 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「じゃあ、しゃがめば警戒解ける?」※
(´<_` )「ここはスカイリムじゃねーんだぞ。現実世界の病院だ。
しゃがんだくらいで俺の目から逃げれるワケないだろ」
( ´_ゝ`)「現実と混同してないよ。スクワットしながらナイフで切り付ければ、
敵に15倍ダメージ入るとか信じてないから。安心していいよ」
(´<_` )「スクワット戦法なんかされたら顔筋壊れるわ。
喧嘩の時とか、殺し合いする時はすんなよ」
( ´_ゝ`)「しないよ、冗談だ」
(´<_` )「どの箇所が冗談なのか本気でわかんないんですけど」
※スカイリムで隠密プレイを極めると、敵前でスクワットしながらナイフ振るだけで倒せる。
並み居る強敵もこれでほぼ楽勝。通称スクワット戦法。亜種にスクワット窃盗術がある。
272: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:55:10 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「これ以上、歯ぁ折ったりしない?」
( ´_ゝ`)「しないよ」
(´<_` )「人の皮被った糞ゴリラ兄貴の所為で、
奥歯が今にも抜けそうなんだけど?」
( ´_ゝ`)「手術して生やせばいいよ」
(´<_` )「えっ、そんなのあるの?」
( ´_ゝ`)「あるけどお前は無理かな」
(´<_` )「どっちだよ」
( ´_ゝ`)「もう何もかもメンドいからググって」
(´<_` )「話を投げるにも程があるだろクソ兄貴。どうしたんだ。
キチガイがふわっふわになってもおかしいだけだぜ」
今は大丈夫。俺は平静を保っている。
刺して、怪我して、血を流して、弱った弟者が目の前にいる。
その事実だけで安心出来る。とても心地好い気分だ。
この状態も、あと何分持つか解らないが。
( ´_ゝ`)「知ってる。後少ししたら多分戻るよ……」
(´<_` )「やっぱナシでお願いします。しばらくそのまんまで」
( ´_ゝ`)「俺に言わないで」
273: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:56:46 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「あ、つーかヤバイ。喋ってたら奥歯のグラつき酷くなった」
( ´_ゝ`)「抜ける?」
(´<_`; )「抜けそう」
( ´_ゝ`)「どうする?」
(´<_` )「こうなったら抜くしかないだろ……はあ」
( ´_ゝ`)「手伝おうか?」
(´<_` )「やめろ。お前が俺を不意打ちで殺す未来しか見えない」
( ´_ゝ`)「そうだな。俺もお前の体温を感じた瞬間に殺意を取り戻して、
喉をフィストでファックしながら窒息死させるかもしれない」
(´<_`; )「その怖い発想はどこからくるの」
( ´_ゝ`)「遺伝子? もしくは長年の苦渋」
(´<_` )「退いても媚びても省みてもどうにもならなそうだな」
274: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:58:12 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「俺だけ歯抜けとか不公平だから、兄者も抜けよ」
( ´_ゝ`)「やだ」
(´<_`; )「や、やだって……やだじゃないだろそこは! 子供かよ!」
( ´_ゝ`)「精神年齢計ってみたら、揺れ幅がすごかったわ。
永遠の中二14歳から、年老いて達観した60歳まで」
(´<_` )「嘘吐け、下限は5歳くらいだ」
( ´_ゝ`)「それはないだろ」
(´<_` )「あるぞ」
( ´_ゝ`)「あるのか……」
(´<_` )「つか、こんな話してる場合じゃねえ。俺の歯は」
( ´_ゝ`)「母さんに手術頼んでみたら?」
(´<_` )「いけると思う?」
( ´_ゝ`)「駄目だと思う」
275: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:59:41 ID:I1xTw.SI0
(´<_`; )「もーおーどうすんのぉおおお」
( ´_ゝ`)「どうせタコ部屋逝ったらぶん殴られついでに2、3本なくなるさ。
抜け歯の先払いしたと思って、諦めればいいんじゃね?」
(´<_`; )「待って待って、俺がタコ部屋に逝くのは決定事項なの?」
( ´_ゝ`)「次に女連れ込んだらアウトって母さんに言われたろう。
退院したら鈍った体にリハビリも兼ねてタコ部屋決定」
(´<_`; )「タコ部屋ってタコ殴りされる為の部屋じゃないよな?」
( ´_ゝ`)「お前のその発想を母さんに伝えといてやるよ。
部屋に入ったらジョーク用意して待ってるかもね」
(´<_`;il)「うわ……自業自得過ぎて泣きそう」
( ´_ゝ`)「わあキモイ。写メっていい?」
(´<_` )「涙引っ込んだ」
( ´_ゝ`)「まだ撮ってないんすけど」
どうせなら血涙でも流させてやろうかとポケットから手を出して、踏み止まった。
自分でも神経おかしいんじゃないかとしか思えない攻撃的思考が復活。
どうやら、頭ふわふわぱっぱらぱータイムは終わりのようです。
しっかし、こうして自分を取り戻して振り返ってみると、本当に不思議だ。
医者からは遠回しに『脳波がちょっと異常』としか聞けていない。
俺の脳味噌の神経回路は、一体どういう繋がり方をしているんだろう。
276: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:02:45 ID:Lo7fc1bE0
(´<_` )「永久歯ってもう生えないんだっけ?」
( ´_ゝ`)「生えない」
(´<_` )「親父って生えてきてなかった?」
( ´_ゝ`)「生えて来たように見える事例は報告されてるけど。
あの化け物なら本当に生やしてそうだな。自力で」
(´<_` )「俺も生えさせれないかな」
( ´_ゝ`)「自分の遺伝子を信じれば?」
俺らは、MPと書いてはマッスルポイントと読ませる化け物を親に持つ。
精神面を肥溜めに捨てて、物理だけに極振りしたようなこの家系。
生半可な傷では死なぬ。治らない傷も何故か治る。ソースは今までの人生。
二十数年続く人生の中、数々の殺し合いや闇討ちを経験してきたが、
277: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:03:32 ID:Lo7fc1bE0
家族全員、しぶとくのうのうと生きている。
死んだ父方の祖父も、火事じゃなかったら生きてた。
ただの家屋の崩落だったら、間違いなく生還してる。
化け物に関しては、生まれつき大事な首の骨が一つ足りないのに、元気に生きている。
普通なら生まれる途中で首を折って死んだりする筈だったのに、生きている。
特に運動しなくても常にムキムキだし、手足はまるで丸太のような太さだし、
どこを殴ってもゴムタイヤを殴った感触しかしないし、もうクリーチャーでいい。
最近、糞親父がミスタチオン関連筋肉肥大症、
もしくはそれに近い症状の可能性が浮上してきて、
人間ではない線が濃厚になってきた。
あれが実は神話生物と言われても驚かない。
それでもいずれは、殺すか、殺す一歩手前ぐらいには追い詰めたいけどな。
浮気や不貞は駄目とか弟者に説教しておきながら、
いざ自分がやったら開き直るゴミは死ぬべき。
278: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:05:24 ID:Lo7fc1bE0
あんな父親の背中しか見てないから、俺も弟者もこのザマだ。
( ´_ゝ`)「あれだ。ちょっと干からびて死んでみてくれ」
(´<_`; )「なんでだよ!」
ベッド上の起き上がり小法師と付き合ってる暇はない。
今の状況はとてもではないが落ち着けない。
頭を飛ばしてる場合なんかじゃなかった。
状況を確認する為に、荷物を回収して廊下に出る。
後ろから「看護婦呼んでー!」と鳴き声が聞こえる。
最近のサルは芸達者だ。人の声真似までするなんて。
279: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:07:23 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「掃除されてんな」
昨日の痕跡があまり見当たらない。人も集まってない。
ドアについた傷はそのままだったが、ゴミは綺麗に片づけられている。
ここまで来たのに、何で部屋に入らなかったんだ?
昨日の録音を再生しながらメモしつつ、頭の中を整理する。
推測その1
・糞野郎のナースコールには気づいていない。
・近くの部屋からのコールを受けて、騒動跡のみ掃除されて終わった。
推測その2
・糞野郎のナースコールには気づいている。
・夜中の騒動についてのコールだと思っていた為、部屋には入ってきていない。
推測その3
・コールには気づいているが、それよりも重大な事件が発生したor
めでたく迷惑患者リスト入りした為、今は後回しにされている。
羅列してみたが、2と3が苦しい。1だろうか。
280: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:09:06 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「ううむ」
考えても仕方ない。情報を集めよう。
ナースステーションの近くの椅子に座って、聞き耳を立てる。
ここは早起きの爺ちゃん婆ちゃんの憩いの場でもあるからな。
老人を見ながら目と耳の癒しを確保。
優しそうな年配の方って安心するんだよ。
仲良さそうな老夫婦なら、もう最高だね。
縁側でお茶飲んでまったりする絵は日本のテンプレの一つだけど、
あれは描かれている人物が老人じゃないといまいち和み要素がない。
年老いた人が絵の中にいるからこそいいのだと俺は信じている。
自分でも分からないが、10年近く世話になってる担当医の説明曰く、
『老人に対して過剰な関心を抱く』のは俺のこだわりの一つらしい。
老人へ対する庇護欲や保護欲とでも言えばいいんだろうか。
俺は気にしていなかったが、周りには異常に見える程らしい。
”らしい”が多いのは、俺自身がまだ納得していないからだ。
老いてる者が気になるのは、人間として当たり前の心理じゃないのかね。
先が短い人達に、せめて良い最期だけはと思うのは当然じゃないのかね。
281: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:12:38 ID:Lo7fc1bE0
今から赤ん坊を量産したって高齢化社会は確定してしまっているんだし、
老人を追いやる先を作るんじゃなくて、社会に組み込む努力をしようぜ。
まず、田舎は高齢化してしまっているんだから、もっと老人を表に出そう。
店員だって、若い姉ちゃんよりも優しそうな婆ちゃんのほうがいいわ。
若けりゃいいってモンじゃねえ。土産屋以外にも老人店員を配置しよう。
こう、ちょっと悲壮な雰囲気が漂ってるお婆ちゃんが店員だったら、
財布の紐も心の涙腺も緩む。いらない物だって思わず買ってしまう。
地域活性化にはやはり老人達の協力が
( ´_ゝ`)「……今日は思考脱線するなぁ」
例外として、SIRENの屍人よろしく鎌振り上げて襲ってくる老人は撃退する。
282: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:13:38 ID:Lo7fc1bE0
取りあえず、技能聞き耳。判定成功。
ザワザワザワ
『聞きました? 昨日、不審者が病院に入り込んだんですって』
『やだ怖い。看護師さん達が忙しそうにしてるのはそのせい?』
『そうみたい。しかも! その不審者に、乱暴された子がいたんですって。
その子はここの精神科の患者で、警察も事情聴取に来てるみたいよ』
『不審者は誰だったんですの? ここの患者ならちょっと怖いわね』
『見舞客のフリして、昼間に正面から堂々と入ったんですって!
夜になるまでこの病棟のどこかに隠れていたらしいわよ!』
『あらあらまあまあ。怖いわあ』
『それでその隠れてた場所は……』
283: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:14:26 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「やだ怖い」
思ったより大事になっている。
これは逃げるが勝ちか、それとも留まったほうが怪しまれないか……。
( ´_ゝ`)「おっと」
色々考える前に、足は病院の裏口へ。
本能も理性も今は逃げろと言ってるし、逃げよう。
弟者には連絡しなくていいや。
母親にも今は連絡しない。
あのビッチとDV野郎のやらかした事件に全部隠れてしまえりゃいいんだが、
俺もしっかり刺してしまっているので、変に疑いをかけられる可能性がある。
弟者はもう言い逃れ出来ないぐらいに関与してしまっている。
腹の刺し傷含めて、想像を超える面倒が襲い掛かるに違いない。
逃げるには、糞親父の世話になるか我が母に庇ってもらうしかないだろう。
……昔から、あいつを殺そうとしたり、致命傷を与えた時によくあったけど。
なんでこうも、予想だにしない乱入者が計画を引っ掻き回してくれるんだろうか。
俺は何か悪いモノにでも憑かれてんの?
目的が絶対に達成できない呪いでもかけられてんの?
284: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:15:23 ID:Lo7fc1bE0
病院から出て正面玄関を見ると、報道関係車が救急車の邪魔になっていた。
阿呆だな。どうしようもない。マスゴミならもっと回りの事を考えろよ。無理か。
ちょっと観察していたい気もしたが、籠る場所を探そう。
容疑者として立候補してしまったら怖いもんね。
( ´_ゝ`)「どこさ逃げんべ」
隠れ家候補地としては、内藤と接待と赤石しかない。
他の奴らは素行が悪いので変な疑いがかかりそうだ。
上記3人も、素行が完全に白かと問われれば黒と答えるしかないが。
斎藤や号刀みたいな『いい子』の家にも行けないだろう。
まず親が不味い。いい子が育つ家だけあって、親が。
( ´_ゝ`)「どこさ逃げんべ……」
俺の親は、どこまでこれに介入しようとするんだろう。
それとも、あのビッチとDV男の両親がなんとかするだろうか。
285: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:16:26 ID:Lo7fc1bE0
なあんもわかんねえなあ。
なあんにもおきねえなあ。
( ´_ゝ`)「あー」
何もなさ過ぎて、明日には普段通りの日常が来そうだ。
病院が俺らを無視しているのか静観してるのか知らないが、
シカトぶっこいてくれるなら、藪に入らず素通りするのが正解だよな。
つーか、来るわコレ。
確実に。到来確定だわ。
何の変哲もない日常が俺を待ってるぜ。
あんなに心配してたさっきまでの自分が、心底馬鹿々しい。
どうせこっちから警察に出向いても、何もねぇわ。
286: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:18:16 ID:Lo7fc1bE0
俺が何かやっても、弟がなんかしても、糞鶏がやらかしても、
身内のアレ、家族のごたごただからと取り合ってくれなかった。
新聞を飾れる傷害事件を起こしても、殺人未遂にあっても、
未成年だから、痴情の縺れがどうたらで取り合ってくれなかった。
足にボーガン刺さった被害者が交番に駆け込んでも、取り合わない。
家に連絡一つ寄越してそれっきり。平然としてやがった。有り得ない。
家庭板のテンプレのような対応をしても駄目だった。駄目だった。
( ´_ゝ`)「うん、よし。普通に過ごそう」
そうと決まれば行動は早い。
ジャストタイミングでメールを寄越してきた内藤の家にでも遊びに行こう。
どうせ向こうもこっちの話を聞きたがってるだろうし、調度いいや。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
288: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:23:30 ID:Lo7fc1bE0
( ^ω^)「今までの話を統合した結果」
( ´_ゝ`)「はい」
( ^ω^)「気に入らない男を刺して」
( ^ω^)「キチガイに連れ去られる女を見捨てて」
( ^ω^)「健やかに寝たと」
( ´_ゝ`)「補足すべきところがあり過ぎてもういいや」
( ^ω^)「んで」
( ^ω^)「朝起きて『やべえ』と思ったけど」
( ^ω^)「なんやかんや考えたらそうでもない事に気付き」
( ^ω^)「僕んちに遊びに来たと言うんだおね?」
( ´_ゝ`)「そうだな」
289: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:25:42 ID:Lo7fc1bE0
( ^ω^)「このサイコクズちゃんめ」
( ´_ゝ`)「全てをその一言で済ますお前は流石だぜ」
( ^ω^)「今日は病院込みそうだから、明日行くお。
兄者はここに泊まってけばいいお」
( ´_ゝ`)「やったー」
( ^ω^)「飯作んの兄者な」
( ´_ゝ`)「やだー」
36.糸冬
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