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264: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:37:18 ID:I1xTw.SI0
36.糞食う虫もすきずき
( ´_ゝ`)「酷い夢を見た気がする」
(´<_` )「俺、昨日メッチャ酷い夜過ごしたんですけど?
お陰で俺もヒッドい悪夢見ちゃったんですけどお?」
( ´_ゝ`)「廃棄物が動いてる……まだ夢の中か……」
(´<_` )「俺の足が動いたら、その顔踏み抜いてやるよ」
昨日の夜、糞野郎に対する計画性の無い殺人衝動は出し切ったと思ったのに。
いざ目の前にしてみると「弱ってる今がチャンスだ」と後押しする感覚がウザい。
前みたいに、我を忘れて目の前が真っ暗になる憎悪よりは大分マシだが。
265: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:38:46 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「朝からガンつけんのやめてくんない?」
( ´_ゝ`)「なら消えろ」
(´<_` )「いやむり」
寝起きにこいつの顔が目の前に存在するのは辛い。
良い夢を見た後の余韻を台無しにしてくれるし、
悪い夢を見た後は不快感を増大させてくれる。
つまりどうあがいても腹立たしいんです。
本当にありがとうございました。
( ´_ゝ`)「ところで、部屋に誰も来てないのか?」
(´<_` )「来てねーよ」
( ´_ゝ`)「ふぅん? なんでだろうな」
266: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:41:52 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「本当に誰も来なかった?」
(´<_` )「来てねーよ。俺の傷の手当てもまだだよ」
べろりと捲った病衣の下には、血が止まった刺し傷。
致命傷一歩手前まで刺したつもりなのに、元気に見える。
( ´_ゝ`)「手当ていらなくね?」
(´<_` )「いる。バイ菌入るわ」
( ´_ゝ`)「お前自身がバイ菌だろ」
(´<_`# )「んだとテメ( ´_ゝ`)「はい黙れ、下顎砕くぞ」
うるさいので下顎を掴んで黙らせる。
肉体の修復力が異常な家系だからか、腹の傷はもう治りかけているようだ。
ここは元凶の遺伝子提供元を恨むべきか、有難く思うべきか。
267: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:48:52 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「成功したら警察が面倒いし、母さんも発狂するだろうし……どうすべ。
でも、生かしておいたら確実に感染性の性病テロが発生するだろうし。
お前の所為で泣く女も確実に増えるだろうし、俺に迷惑もかかるし。
死なずに済んで良かったのかな……死んだほうが良かったかな」
喜べばいいのか、落ち込めばいいのか。
まだ複雑だ。
ごちゃまぜになった胸が気持ち悪い。
なんか、とても沢山叫びたい。
家でたまにシャウトしてる母親が羨ましい。
俺も叫びたい。
けど、大の男が手加減無しに吼えたら、猟銃担いだマタギが来そうで出来ない。
しかも、ここは病院だ。
叫び声にビックリした患者さんがショックで逝ってしまわれたら、目も当てられない。
葛藤が腕を伝って手に響く。力が入る。ミシミシ軋む音が聞こえる。
何かを潰す瞬間の、気持ち良い感触がする。手の中で物が変形する、
( ゚_ゝ゚)「イッづぁ!」
268: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:50:29 ID:I1xTw.SI0
痛みを感じて、反射的に手を引く。
手首から出血がある。爪を立てられたようだ。
(´< `;il)「ふぇえ……あご砕けるかと思ったよぉ……」
~
( ´_ゝ`)「余裕だなクソ」
(´< `;il)「おく、奥歯が、すごいグラついてるんですけど?」
~
( ´_ゝ`)「俺じゃない」
(´<_`# )「お前しかいねーよ!」
( ´_ゝ`)「そうだな」
(´<_` )「……何? さっきからテンション安定してねーけど、何なの?」
( ´_ゝ`)「さあ?」
(´<_` )「考えがダダ漏れになったかと思えば、人やめてゴリラになるわ。
ゴリラ化して暴れんのかと思ったら、脈絡もなく沈みやがって。
寝て起きて、俺が元気にしてた事がそんなにショックだった?」
( ´_ゝ`)「いや」
確かに安定はしてない。
胸の中に嵐が吹き荒れ高波が荒ぶっているかと思えば、
いきなり波風一つない穏やかな真昼の海が広がったりする。
今は、ゴリラ扱いされても微塵も気にならない。
269: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:51:33 ID:I1xTw.SI0
それと、殺せなかったことをそこまで惜しんじゃいない。
最初から期待はしていなかった。死んでくれたらいいなあ、ぐらいだ。
失望はしてない。残念には思ってない。落ち込んでなんかないんだからね。
だって、死んだら死んだで周囲への対応が面倒だもの。
( ´_ゝ`)「ナースコール押せる? 出来ないなら俺が押そうか?」
(´<_`; )「えっと、何企んでます?」
( ´_ゝ`)「何も考えてないよ。脊髄反射トークだよ。逆に聞くけど、
お前は常にあらゆる事象を考えながら喋ってるのか?」
(´<_`; )「命の危険を感じる時は、割と」
( ´_ゝ`)「そうか。俺は自分でもよくわからない」
(´<_`; )「微妙な優しさは何の伏線なんですか? 全然わかんないんです。
ぶっちゃけ怖いんで何考えてるか喋ってくれると有難いです」
( ´_ゝ`)「いつもの弟者とはちょっと違うな」
(´<_` )「お前の様子がおかしいから、こっちもおかしくなってんだよ」
271: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:53:58 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「じゃあ、しゃがめば警戒解ける?」※
(´<_` )「ここはスカイリムじゃねーんだぞ。現実世界の病院だ。
しゃがんだくらいで俺の目から逃げれるワケないだろ」
( ´_ゝ`)「現実と混同してないよ。スクワットしながらナイフで切り付ければ、
敵に15倍ダメージ入るとか信じてないから。安心していいよ」
(´<_` )「スクワット戦法なんかされたら顔筋壊れるわ。
喧嘩の時とか、殺し合いする時はすんなよ」
( ´_ゝ`)「しないよ、冗談だ」
(´<_` )「どの箇所が冗談なのか本気でわかんないんですけど」
※スカイリムで隠密プレイを極めると、敵前でスクワットしながらナイフ振るだけで倒せる。
並み居る強敵もこれでほぼ楽勝。通称スクワット戦法。亜種にスクワット窃盗術がある。
272: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:55:10 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「これ以上、歯ぁ折ったりしない?」
( ´_ゝ`)「しないよ」
(´<_` )「人の皮被った糞ゴリラ兄貴の所為で、
奥歯が今にも抜けそうなんだけど?」
( ´_ゝ`)「手術して生やせばいいよ」
(´<_` )「えっ、そんなのあるの?」
( ´_ゝ`)「あるけどお前は無理かな」
(´<_` )「どっちだよ」
( ´_ゝ`)「もう何もかもメンドいからググって」
(´<_` )「話を投げるにも程があるだろクソ兄貴。どうしたんだ。
キチガイがふわっふわになってもおかしいだけだぜ」
今は大丈夫。俺は平静を保っている。
刺して、怪我して、血を流して、弱った弟者が目の前にいる。
その事実だけで安心出来る。とても心地好い気分だ。
この状態も、あと何分持つか解らないが。
( ´_ゝ`)「知ってる。後少ししたら多分戻るよ……」
(´<_` )「やっぱナシでお願いします。しばらくそのまんまで」
( ´_ゝ`)「俺に言わないで」
273: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:56:46 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「あ、つーかヤバイ。喋ってたら奥歯のグラつき酷くなった」
( ´_ゝ`)「抜ける?」
(´<_`; )「抜けそう」
( ´_ゝ`)「どうする?」
(´<_` )「こうなったら抜くしかないだろ……はあ」
( ´_ゝ`)「手伝おうか?」
(´<_` )「やめろ。お前が俺を不意打ちで殺す未来しか見えない」
( ´_ゝ`)「そうだな。俺もお前の体温を感じた瞬間に殺意を取り戻して、
喉をフィストでファックしながら窒息死させるかもしれない」
(´<_`; )「その怖い発想はどこからくるの」
( ´_ゝ`)「遺伝子? もしくは長年の苦渋」
(´<_` )「退いても媚びても省みてもどうにもならなそうだな」
274: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:58:12 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「俺だけ歯抜けとか不公平だから、兄者も抜けよ」
( ´_ゝ`)「やだ」
(´<_`; )「や、やだって……やだじゃないだろそこは! 子供かよ!」
( ´_ゝ`)「精神年齢計ってみたら、揺れ幅がすごかったわ。
永遠の中二14歳から、年老いて達観した60歳まで」
(´<_` )「嘘吐け、下限は5歳くらいだ」
( ´_ゝ`)「それはないだろ」
(´<_` )「あるぞ」
( ´_ゝ`)「あるのか……」
(´<_` )「つか、こんな話してる場合じゃねえ。俺の歯は」
( ´_ゝ`)「母さんに手術頼んでみたら?」
(´<_` )「いけると思う?」
( ´_ゝ`)「駄目だと思う」
275: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:59:41 ID:I1xTw.SI0
(´<_`; )「もーおーどうすんのぉおおお」
( ´_ゝ`)「どうせタコ部屋逝ったらぶん殴られついでに2、3本なくなるさ。
抜け歯の先払いしたと思って、諦めればいいんじゃね?」
(´<_`; )「待って待って、俺がタコ部屋に逝くのは決定事項なの?」
( ´_ゝ`)「次に女連れ込んだらアウトって母さんに言われたろう。
退院したら鈍った体にリハビリも兼ねてタコ部屋決定」
(´<_`; )「タコ部屋ってタコ殴りされる為の部屋じゃないよな?」
( ´_ゝ`)「お前のその発想を母さんに伝えといてやるよ。
部屋に入ったらジョーク用意して待ってるかもね」
(´<_`;il)「うわ……自業自得過ぎて泣きそう」
( ´_ゝ`)「わあキモイ。写メっていい?」
(´<_` )「涙引っ込んだ」
( ´_ゝ`)「まだ撮ってないんすけど」
どうせなら血涙でも流させてやろうかとポケットから手を出して、踏み止まった。
自分でも神経おかしいんじゃないかとしか思えない攻撃的思考が復活。
どうやら、頭ふわふわぱっぱらぱータイムは終わりのようです。
しっかし、こうして自分を取り戻して振り返ってみると、本当に不思議だ。
医者からは遠回しに『脳波がちょっと異常』としか聞けていない。
俺の脳味噌の神経回路は、一体どういう繋がり方をしているんだろう。
276: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:02:45 ID:Lo7fc1bE0
(´<_` )「永久歯ってもう生えないんだっけ?」
( ´_ゝ`)「生えない」
(´<_` )「親父って生えてきてなかった?」
( ´_ゝ`)「生えて来たように見える事例は報告されてるけど。
あの化け物なら本当に生やしてそうだな。自力で」
(´<_` )「俺も生えさせれないかな」
( ´_ゝ`)「自分の遺伝子を信じれば?」
俺らは、MPと書いてはマッスルポイントと読ませる化け物を親に持つ。
精神面を肥溜めに捨てて、物理だけに極振りしたようなこの家系。
生半可な傷では死なぬ。治らない傷も何故か治る。ソースは今までの人生。
二十数年続く人生の中、数々の殺し合いや闇討ちを経験してきたが、
277: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:03:32 ID:Lo7fc1bE0
家族全員、しぶとくのうのうと生きている。
死んだ父方の祖父も、火事じゃなかったら生きてた。
ただの家屋の崩落だったら、間違いなく生還してる。
化け物に関しては、生まれつき大事な首の骨が一つ足りないのに、元気に生きている。
普通なら生まれる途中で首を折って死んだりする筈だったのに、生きている。
特に運動しなくても常にムキムキだし、手足はまるで丸太のような太さだし、
どこを殴ってもゴムタイヤを殴った感触しかしないし、もうクリーチャーでいい。
最近、糞親父がミスタチオン関連筋肉肥大症、
もしくはそれに近い症状の可能性が浮上してきて、
人間ではない線が濃厚になってきた。
あれが実は神話生物と言われても驚かない。
それでもいずれは、殺すか、殺す一歩手前ぐらいには追い詰めたいけどな。
浮気や不貞は駄目とか弟者に説教しておきながら、
いざ自分がやったら開き直るゴミは死ぬべき。
278: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:05:24 ID:Lo7fc1bE0
あんな父親の背中しか見てないから、俺も弟者もこのザマだ。
( ´_ゝ`)「あれだ。ちょっと干からびて死んでみてくれ」
(´<_`; )「なんでだよ!」
ベッド上の起き上がり小法師と付き合ってる暇はない。
今の状況はとてもではないが落ち着けない。
頭を飛ばしてる場合なんかじゃなかった。
状況を確認する為に、荷物を回収して廊下に出る。
後ろから「看護婦呼んでー!」と鳴き声が聞こえる。
最近のサルは芸達者だ。人の声真似までするなんて。
279: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:07:23 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「掃除されてんな」
昨日の痕跡があまり見当たらない。人も集まってない。
ドアについた傷はそのままだったが、ゴミは綺麗に片づけられている。
ここまで来たのに、何で部屋に入らなかったんだ?
昨日の録音を再生しながらメモしつつ、頭の中を整理する。
推測その1
・糞野郎のナースコールには気づいていない。
・近くの部屋からのコールを受けて、騒動跡のみ掃除されて終わった。
推測その2
・糞野郎のナースコールには気づいている。
・夜中の騒動についてのコールだと思っていた為、部屋には入ってきていない。
推測その3
・コールには気づいているが、それよりも重大な事件が発生したor
めでたく迷惑患者リスト入りした為、今は後回しにされている。
羅列してみたが、2と3が苦しい。1だろうか。
280: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:09:06 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「ううむ」
考えても仕方ない。情報を集めよう。
ナースステーションの近くの椅子に座って、聞き耳を立てる。
ここは早起きの爺ちゃん婆ちゃんの憩いの場でもあるからな。
老人を見ながら目と耳の癒しを確保。
優しそうな年配の方って安心するんだよ。
仲良さそうな老夫婦なら、もう最高だね。
縁側でお茶飲んでまったりする絵は日本のテンプレの一つだけど、
あれは描かれている人物が老人じゃないといまいち和み要素がない。
年老いた人が絵の中にいるからこそいいのだと俺は信じている。
自分でも分からないが、10年近く世話になってる担当医の説明曰く、
『老人に対して過剰な関心を抱く』のは俺のこだわりの一つらしい。
老人へ対する庇護欲や保護欲とでも言えばいいんだろうか。
俺は気にしていなかったが、周りには異常に見える程らしい。
”らしい”が多いのは、俺自身がまだ納得していないからだ。
老いてる者が気になるのは、人間として当たり前の心理じゃないのかね。
先が短い人達に、せめて良い最期だけはと思うのは当然じゃないのかね。
281: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:12:38 ID:Lo7fc1bE0
今から赤ん坊を量産したって高齢化社会は確定してしまっているんだし、
老人を追いやる先を作るんじゃなくて、社会に組み込む努力をしようぜ。
まず、田舎は高齢化してしまっているんだから、もっと老人を表に出そう。
店員だって、若い姉ちゃんよりも優しそうな婆ちゃんのほうがいいわ。
若けりゃいいってモンじゃねえ。土産屋以外にも老人店員を配置しよう。
こう、ちょっと悲壮な雰囲気が漂ってるお婆ちゃんが店員だったら、
財布の紐も心の涙腺も緩む。いらない物だって思わず買ってしまう。
地域活性化にはやはり老人達の協力が
( ´_ゝ`)「……今日は思考脱線するなぁ」
例外として、SIRENの屍人よろしく鎌振り上げて襲ってくる老人は撃退する。
282: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:13:38 ID:Lo7fc1bE0
取りあえず、技能聞き耳。判定成功。
ザワザワザワ
『聞きました? 昨日、不審者が病院に入り込んだんですって』
『やだ怖い。看護師さん達が忙しそうにしてるのはそのせい?』
『そうみたい。しかも! その不審者に、乱暴された子がいたんですって。
その子はここの精神科の患者で、警察も事情聴取に来てるみたいよ』
『不審者は誰だったんですの? ここの患者ならちょっと怖いわね』
『見舞客のフリして、昼間に正面から堂々と入ったんですって!
夜になるまでこの病棟のどこかに隠れていたらしいわよ!』
『あらあらまあまあ。怖いわあ』
『それでその隠れてた場所は……』
283: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:14:26 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「やだ怖い」
思ったより大事になっている。
これは逃げるが勝ちか、それとも留まったほうが怪しまれないか……。
( ´_ゝ`)「おっと」
色々考える前に、足は病院の裏口へ。
本能も理性も今は逃げろと言ってるし、逃げよう。
弟者には連絡しなくていいや。
母親にも今は連絡しない。
あのビッチとDV野郎のやらかした事件に全部隠れてしまえりゃいいんだが、
俺もしっかり刺してしまっているので、変に疑いをかけられる可能性がある。
弟者はもう言い逃れ出来ないぐらいに関与してしまっている。
腹の刺し傷含めて、想像を超える面倒が襲い掛かるに違いない。
逃げるには、糞親父の世話になるか我が母に庇ってもらうしかないだろう。
……昔から、あいつを殺そうとしたり、致命傷を与えた時によくあったけど。
なんでこうも、予想だにしない乱入者が計画を引っ掻き回してくれるんだろうか。
俺は何か悪いモノにでも憑かれてんの?
目的が絶対に達成できない呪いでもかけられてんの?
284: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:15:23 ID:Lo7fc1bE0
病院から出て正面玄関を見ると、報道関係車が救急車の邪魔になっていた。
阿呆だな。どうしようもない。マスゴミならもっと回りの事を考えろよ。無理か。
ちょっと観察していたい気もしたが、籠る場所を探そう。
容疑者として立候補してしまったら怖いもんね。
( ´_ゝ`)「どこさ逃げんべ」
隠れ家候補地としては、内藤と接待と赤石しかない。
他の奴らは素行が悪いので変な疑いがかかりそうだ。
上記3人も、素行が完全に白かと問われれば黒と答えるしかないが。
斎藤や号刀みたいな『いい子』の家にも行けないだろう。
まず親が不味い。いい子が育つ家だけあって、親が。
( ´_ゝ`)「どこさ逃げんべ……」
俺の親は、どこまでこれに介入しようとするんだろう。
それとも、あのビッチとDV男の両親がなんとかするだろうか。
285: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:16:26 ID:Lo7fc1bE0
なあんもわかんねえなあ。
なあんにもおきねえなあ。
( ´_ゝ`)「あー」
何もなさ過ぎて、明日には普段通りの日常が来そうだ。
病院が俺らを無視しているのか静観してるのか知らないが、
シカトぶっこいてくれるなら、藪に入らず素通りするのが正解だよな。
つーか、来るわコレ。
確実に。到来確定だわ。
何の変哲もない日常が俺を待ってるぜ。
あんなに心配してたさっきまでの自分が、心底馬鹿々しい。
どうせこっちから警察に出向いても、何もねぇわ。
286: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:18:16 ID:Lo7fc1bE0
俺が何かやっても、弟がなんかしても、糞鶏がやらかしても、
身内のアレ、家族のごたごただからと取り合ってくれなかった。
新聞を飾れる傷害事件を起こしても、殺人未遂にあっても、
未成年だから、痴情の縺れがどうたらで取り合ってくれなかった。
足にボーガン刺さった被害者が交番に駆け込んでも、取り合わない。
家に連絡一つ寄越してそれっきり。平然としてやがった。有り得ない。
家庭板のテンプレのような対応をしても駄目だった。駄目だった。
( ´_ゝ`)「うん、よし。普通に過ごそう」
そうと決まれば行動は早い。
ジャストタイミングでメールを寄越してきた内藤の家にでも遊びに行こう。
どうせ向こうもこっちの話を聞きたがってるだろうし、調度いいや。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
288: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:23:30 ID:Lo7fc1bE0
( ^ω^)「今までの話を統合した結果」
( ´_ゝ`)「はい」
( ^ω^)「気に入らない男を刺して」
( ^ω^)「キチガイに連れ去られる女を見捨てて」
( ^ω^)「健やかに寝たと」
( ´_ゝ`)「補足すべきところがあり過ぎてもういいや」
( ^ω^)「んで」
( ^ω^)「朝起きて『やべえ』と思ったけど」
( ^ω^)「なんやかんや考えたらそうでもない事に気付き」
( ^ω^)「僕んちに遊びに来たと言うんだおね?」
( ´_ゝ`)「そうだな」
289: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:25:42 ID:Lo7fc1bE0
( ^ω^)「このサイコクズちゃんめ」
( ´_ゝ`)「全てをその一言で済ますお前は流石だぜ」
( ^ω^)「今日は病院込みそうだから、明日行くお。
兄者はここに泊まってけばいいお」
( ´_ゝ`)「やったー」
( ^ω^)「飯作んの兄者な」
( ´_ゝ`)「やだー」
36.糸冬
36.糞食う虫もすきずき
( ´_ゝ`)「酷い夢を見た気がする」
(´<_` )「俺、昨日メッチャ酷い夜過ごしたんですけど?
お陰で俺もヒッドい悪夢見ちゃったんですけどお?」
( ´_ゝ`)「廃棄物が動いてる……まだ夢の中か……」
(´<_` )「俺の足が動いたら、その顔踏み抜いてやるよ」
昨日の夜、糞野郎に対する計画性の無い殺人衝動は出し切ったと思ったのに。
いざ目の前にしてみると「弱ってる今がチャンスだ」と後押しする感覚がウザい。
前みたいに、我を忘れて目の前が真っ暗になる憎悪よりは大分マシだが。
265: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:38:46 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「朝からガンつけんのやめてくんない?」
( ´_ゝ`)「なら消えろ」
(´<_` )「いやむり」
寝起きにこいつの顔が目の前に存在するのは辛い。
良い夢を見た後の余韻を台無しにしてくれるし、
悪い夢を見た後は不快感を増大させてくれる。
つまりどうあがいても腹立たしいんです。
本当にありがとうございました。
( ´_ゝ`)「ところで、部屋に誰も来てないのか?」
(´<_` )「来てねーよ」
( ´_ゝ`)「ふぅん? なんでだろうな」
266: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:41:52 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「本当に誰も来なかった?」
(´<_` )「来てねーよ。俺の傷の手当てもまだだよ」
べろりと捲った病衣の下には、血が止まった刺し傷。
致命傷一歩手前まで刺したつもりなのに、元気に見える。
( ´_ゝ`)「手当ていらなくね?」
(´<_` )「いる。バイ菌入るわ」
( ´_ゝ`)「お前自身がバイ菌だろ」
(´<_`# )「んだとテメ( ´_ゝ`)「はい黙れ、下顎砕くぞ」
うるさいので下顎を掴んで黙らせる。
肉体の修復力が異常な家系だからか、腹の傷はもう治りかけているようだ。
ここは元凶の遺伝子提供元を恨むべきか、有難く思うべきか。
267: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:48:52 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「成功したら警察が面倒いし、母さんも発狂するだろうし……どうすべ。
でも、生かしておいたら確実に感染性の性病テロが発生するだろうし。
お前の所為で泣く女も確実に増えるだろうし、俺に迷惑もかかるし。
死なずに済んで良かったのかな……死んだほうが良かったかな」
喜べばいいのか、落ち込めばいいのか。
まだ複雑だ。
ごちゃまぜになった胸が気持ち悪い。
なんか、とても沢山叫びたい。
家でたまにシャウトしてる母親が羨ましい。
俺も叫びたい。
けど、大の男が手加減無しに吼えたら、猟銃担いだマタギが来そうで出来ない。
しかも、ここは病院だ。
叫び声にビックリした患者さんがショックで逝ってしまわれたら、目も当てられない。
葛藤が腕を伝って手に響く。力が入る。ミシミシ軋む音が聞こえる。
何かを潰す瞬間の、気持ち良い感触がする。手の中で物が変形する、
( ゚_ゝ゚)「イッづぁ!」
268: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:50:29 ID:I1xTw.SI0
痛みを感じて、反射的に手を引く。
手首から出血がある。爪を立てられたようだ。
(´< `;il)「ふぇえ……あご砕けるかと思ったよぉ……」
~
( ´_ゝ`)「余裕だなクソ」
(´< `;il)「おく、奥歯が、すごいグラついてるんですけど?」
~
( ´_ゝ`)「俺じゃない」
(´<_`# )「お前しかいねーよ!」
( ´_ゝ`)「そうだな」
(´<_` )「……何? さっきからテンション安定してねーけど、何なの?」
( ´_ゝ`)「さあ?」
(´<_` )「考えがダダ漏れになったかと思えば、人やめてゴリラになるわ。
ゴリラ化して暴れんのかと思ったら、脈絡もなく沈みやがって。
寝て起きて、俺が元気にしてた事がそんなにショックだった?」
( ´_ゝ`)「いや」
確かに安定はしてない。
胸の中に嵐が吹き荒れ高波が荒ぶっているかと思えば、
いきなり波風一つない穏やかな真昼の海が広がったりする。
今は、ゴリラ扱いされても微塵も気にならない。
269: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:51:33 ID:I1xTw.SI0
それと、殺せなかったことをそこまで惜しんじゃいない。
最初から期待はしていなかった。死んでくれたらいいなあ、ぐらいだ。
失望はしてない。残念には思ってない。落ち込んでなんかないんだからね。
だって、死んだら死んだで周囲への対応が面倒だもの。
( ´_ゝ`)「ナースコール押せる? 出来ないなら俺が押そうか?」
(´<_`; )「えっと、何企んでます?」
( ´_ゝ`)「何も考えてないよ。脊髄反射トークだよ。逆に聞くけど、
お前は常にあらゆる事象を考えながら喋ってるのか?」
(´<_`; )「命の危険を感じる時は、割と」
( ´_ゝ`)「そうか。俺は自分でもよくわからない」
(´<_`; )「微妙な優しさは何の伏線なんですか? 全然わかんないんです。
ぶっちゃけ怖いんで何考えてるか喋ってくれると有難いです」
( ´_ゝ`)「いつもの弟者とはちょっと違うな」
(´<_` )「お前の様子がおかしいから、こっちもおかしくなってんだよ」
271: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:53:58 ID:I1xTw.SI0
( ´_ゝ`)「じゃあ、しゃがめば警戒解ける?」※
(´<_` )「ここはスカイリムじゃねーんだぞ。現実世界の病院だ。
しゃがんだくらいで俺の目から逃げれるワケないだろ」
( ´_ゝ`)「現実と混同してないよ。スクワットしながらナイフで切り付ければ、
敵に15倍ダメージ入るとか信じてないから。安心していいよ」
(´<_` )「スクワット戦法なんかされたら顔筋壊れるわ。
喧嘩の時とか、殺し合いする時はすんなよ」
( ´_ゝ`)「しないよ、冗談だ」
(´<_` )「どの箇所が冗談なのか本気でわかんないんですけど」
※スカイリムで隠密プレイを極めると、敵前でスクワットしながらナイフ振るだけで倒せる。
並み居る強敵もこれでほぼ楽勝。通称スクワット戦法。亜種にスクワット窃盗術がある。
272: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:55:10 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「これ以上、歯ぁ折ったりしない?」
( ´_ゝ`)「しないよ」
(´<_` )「人の皮被った糞ゴリラ兄貴の所為で、
奥歯が今にも抜けそうなんだけど?」
( ´_ゝ`)「手術して生やせばいいよ」
(´<_` )「えっ、そんなのあるの?」
( ´_ゝ`)「あるけどお前は無理かな」
(´<_` )「どっちだよ」
( ´_ゝ`)「もう何もかもメンドいからググって」
(´<_` )「話を投げるにも程があるだろクソ兄貴。どうしたんだ。
キチガイがふわっふわになってもおかしいだけだぜ」
今は大丈夫。俺は平静を保っている。
刺して、怪我して、血を流して、弱った弟者が目の前にいる。
その事実だけで安心出来る。とても心地好い気分だ。
この状態も、あと何分持つか解らないが。
( ´_ゝ`)「知ってる。後少ししたら多分戻るよ……」
(´<_` )「やっぱナシでお願いします。しばらくそのまんまで」
( ´_ゝ`)「俺に言わないで」
273: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:56:46 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「あ、つーかヤバイ。喋ってたら奥歯のグラつき酷くなった」
( ´_ゝ`)「抜ける?」
(´<_`; )「抜けそう」
( ´_ゝ`)「どうする?」
(´<_` )「こうなったら抜くしかないだろ……はあ」
( ´_ゝ`)「手伝おうか?」
(´<_` )「やめろ。お前が俺を不意打ちで殺す未来しか見えない」
( ´_ゝ`)「そうだな。俺もお前の体温を感じた瞬間に殺意を取り戻して、
喉をフィストでファックしながら窒息死させるかもしれない」
(´<_`; )「その怖い発想はどこからくるの」
( ´_ゝ`)「遺伝子? もしくは長年の苦渋」
(´<_` )「退いても媚びても省みてもどうにもならなそうだな」
274: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:58:12 ID:I1xTw.SI0
(´<_` )「俺だけ歯抜けとか不公平だから、兄者も抜けよ」
( ´_ゝ`)「やだ」
(´<_`; )「や、やだって……やだじゃないだろそこは! 子供かよ!」
( ´_ゝ`)「精神年齢計ってみたら、揺れ幅がすごかったわ。
永遠の中二14歳から、年老いて達観した60歳まで」
(´<_` )「嘘吐け、下限は5歳くらいだ」
( ´_ゝ`)「それはないだろ」
(´<_` )「あるぞ」
( ´_ゝ`)「あるのか……」
(´<_` )「つか、こんな話してる場合じゃねえ。俺の歯は」
( ´_ゝ`)「母さんに手術頼んでみたら?」
(´<_` )「いけると思う?」
( ´_ゝ`)「駄目だと思う」
275: ◆T/D40qQ./Q:2014/04/30(水) 23:59:41 ID:I1xTw.SI0
(´<_`; )「もーおーどうすんのぉおおお」
( ´_ゝ`)「どうせタコ部屋逝ったらぶん殴られついでに2、3本なくなるさ。
抜け歯の先払いしたと思って、諦めればいいんじゃね?」
(´<_`; )「待って待って、俺がタコ部屋に逝くのは決定事項なの?」
( ´_ゝ`)「次に女連れ込んだらアウトって母さんに言われたろう。
退院したら鈍った体にリハビリも兼ねてタコ部屋決定」
(´<_`; )「タコ部屋ってタコ殴りされる為の部屋じゃないよな?」
( ´_ゝ`)「お前のその発想を母さんに伝えといてやるよ。
部屋に入ったらジョーク用意して待ってるかもね」
(´<_`;il)「うわ……自業自得過ぎて泣きそう」
( ´_ゝ`)「わあキモイ。写メっていい?」
(´<_` )「涙引っ込んだ」
( ´_ゝ`)「まだ撮ってないんすけど」
どうせなら血涙でも流させてやろうかとポケットから手を出して、踏み止まった。
自分でも神経おかしいんじゃないかとしか思えない攻撃的思考が復活。
どうやら、頭ふわふわぱっぱらぱータイムは終わりのようです。
しっかし、こうして自分を取り戻して振り返ってみると、本当に不思議だ。
医者からは遠回しに『脳波がちょっと異常』としか聞けていない。
俺の脳味噌の神経回路は、一体どういう繋がり方をしているんだろう。
276: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:02:45 ID:Lo7fc1bE0
(´<_` )「永久歯ってもう生えないんだっけ?」
( ´_ゝ`)「生えない」
(´<_` )「親父って生えてきてなかった?」
( ´_ゝ`)「生えて来たように見える事例は報告されてるけど。
あの化け物なら本当に生やしてそうだな。自力で」
(´<_` )「俺も生えさせれないかな」
( ´_ゝ`)「自分の遺伝子を信じれば?」
俺らは、MPと書いてはマッスルポイントと読ませる化け物を親に持つ。
精神面を肥溜めに捨てて、物理だけに極振りしたようなこの家系。
生半可な傷では死なぬ。治らない傷も何故か治る。ソースは今までの人生。
二十数年続く人生の中、数々の殺し合いや闇討ちを経験してきたが、
277: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:03:32 ID:Lo7fc1bE0
家族全員、しぶとくのうのうと生きている。
死んだ父方の祖父も、火事じゃなかったら生きてた。
ただの家屋の崩落だったら、間違いなく生還してる。
化け物に関しては、生まれつき大事な首の骨が一つ足りないのに、元気に生きている。
普通なら生まれる途中で首を折って死んだりする筈だったのに、生きている。
特に運動しなくても常にムキムキだし、手足はまるで丸太のような太さだし、
どこを殴ってもゴムタイヤを殴った感触しかしないし、もうクリーチャーでいい。
最近、糞親父がミスタチオン関連筋肉肥大症、
もしくはそれに近い症状の可能性が浮上してきて、
人間ではない線が濃厚になってきた。
あれが実は神話生物と言われても驚かない。
それでもいずれは、殺すか、殺す一歩手前ぐらいには追い詰めたいけどな。
浮気や不貞は駄目とか弟者に説教しておきながら、
いざ自分がやったら開き直るゴミは死ぬべき。
278: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:05:24 ID:Lo7fc1bE0
あんな父親の背中しか見てないから、俺も弟者もこのザマだ。
( ´_ゝ`)「あれだ。ちょっと干からびて死んでみてくれ」
(´<_`; )「なんでだよ!」
ベッド上の起き上がり小法師と付き合ってる暇はない。
今の状況はとてもではないが落ち着けない。
頭を飛ばしてる場合なんかじゃなかった。
状況を確認する為に、荷物を回収して廊下に出る。
後ろから「看護婦呼んでー!」と鳴き声が聞こえる。
最近のサルは芸達者だ。人の声真似までするなんて。
279: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:07:23 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「掃除されてんな」
昨日の痕跡があまり見当たらない。人も集まってない。
ドアについた傷はそのままだったが、ゴミは綺麗に片づけられている。
ここまで来たのに、何で部屋に入らなかったんだ?
昨日の録音を再生しながらメモしつつ、頭の中を整理する。
推測その1
・糞野郎のナースコールには気づいていない。
・近くの部屋からのコールを受けて、騒動跡のみ掃除されて終わった。
推測その2
・糞野郎のナースコールには気づいている。
・夜中の騒動についてのコールだと思っていた為、部屋には入ってきていない。
推測その3
・コールには気づいているが、それよりも重大な事件が発生したor
めでたく迷惑患者リスト入りした為、今は後回しにされている。
羅列してみたが、2と3が苦しい。1だろうか。
280: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:09:06 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「ううむ」
考えても仕方ない。情報を集めよう。
ナースステーションの近くの椅子に座って、聞き耳を立てる。
ここは早起きの爺ちゃん婆ちゃんの憩いの場でもあるからな。
老人を見ながら目と耳の癒しを確保。
優しそうな年配の方って安心するんだよ。
仲良さそうな老夫婦なら、もう最高だね。
縁側でお茶飲んでまったりする絵は日本のテンプレの一つだけど、
あれは描かれている人物が老人じゃないといまいち和み要素がない。
年老いた人が絵の中にいるからこそいいのだと俺は信じている。
自分でも分からないが、10年近く世話になってる担当医の説明曰く、
『老人に対して過剰な関心を抱く』のは俺のこだわりの一つらしい。
老人へ対する庇護欲や保護欲とでも言えばいいんだろうか。
俺は気にしていなかったが、周りには異常に見える程らしい。
”らしい”が多いのは、俺自身がまだ納得していないからだ。
老いてる者が気になるのは、人間として当たり前の心理じゃないのかね。
先が短い人達に、せめて良い最期だけはと思うのは当然じゃないのかね。
281: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:12:38 ID:Lo7fc1bE0
今から赤ん坊を量産したって高齢化社会は確定してしまっているんだし、
老人を追いやる先を作るんじゃなくて、社会に組み込む努力をしようぜ。
まず、田舎は高齢化してしまっているんだから、もっと老人を表に出そう。
店員だって、若い姉ちゃんよりも優しそうな婆ちゃんのほうがいいわ。
若けりゃいいってモンじゃねえ。土産屋以外にも老人店員を配置しよう。
こう、ちょっと悲壮な雰囲気が漂ってるお婆ちゃんが店員だったら、
財布の紐も心の涙腺も緩む。いらない物だって思わず買ってしまう。
地域活性化にはやはり老人達の協力が
( ´_ゝ`)「……今日は思考脱線するなぁ」
例外として、SIRENの屍人よろしく鎌振り上げて襲ってくる老人は撃退する。
282: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:13:38 ID:Lo7fc1bE0
取りあえず、技能聞き耳。判定成功。
ザワザワザワ
『聞きました? 昨日、不審者が病院に入り込んだんですって』
『やだ怖い。看護師さん達が忙しそうにしてるのはそのせい?』
『そうみたい。しかも! その不審者に、乱暴された子がいたんですって。
その子はここの精神科の患者で、警察も事情聴取に来てるみたいよ』
『不審者は誰だったんですの? ここの患者ならちょっと怖いわね』
『見舞客のフリして、昼間に正面から堂々と入ったんですって!
夜になるまでこの病棟のどこかに隠れていたらしいわよ!』
『あらあらまあまあ。怖いわあ』
『それでその隠れてた場所は……』
283: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:14:26 ID:Lo7fc1bE0
( ´_ゝ`)「やだ怖い」
思ったより大事になっている。
これは逃げるが勝ちか、それとも留まったほうが怪しまれないか……。
( ´_ゝ`)「おっと」
色々考える前に、足は病院の裏口へ。
本能も理性も今は逃げろと言ってるし、逃げよう。
弟者には連絡しなくていいや。
母親にも今は連絡しない。
あのビッチとDV野郎のやらかした事件に全部隠れてしまえりゃいいんだが、
俺もしっかり刺してしまっているので、変に疑いをかけられる可能性がある。
弟者はもう言い逃れ出来ないぐらいに関与してしまっている。
腹の刺し傷含めて、想像を超える面倒が襲い掛かるに違いない。
逃げるには、糞親父の世話になるか我が母に庇ってもらうしかないだろう。
……昔から、あいつを殺そうとしたり、致命傷を与えた時によくあったけど。
なんでこうも、予想だにしない乱入者が計画を引っ掻き回してくれるんだろうか。
俺は何か悪いモノにでも憑かれてんの?
目的が絶対に達成できない呪いでもかけられてんの?
284: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:15:23 ID:Lo7fc1bE0
病院から出て正面玄関を見ると、報道関係車が救急車の邪魔になっていた。
阿呆だな。どうしようもない。マスゴミならもっと回りの事を考えろよ。無理か。
ちょっと観察していたい気もしたが、籠る場所を探そう。
容疑者として立候補してしまったら怖いもんね。
( ´_ゝ`)「どこさ逃げんべ」
隠れ家候補地としては、内藤と接待と赤石しかない。
他の奴らは素行が悪いので変な疑いがかかりそうだ。
上記3人も、素行が完全に白かと問われれば黒と答えるしかないが。
斎藤や号刀みたいな『いい子』の家にも行けないだろう。
まず親が不味い。いい子が育つ家だけあって、親が。
( ´_ゝ`)「どこさ逃げんべ……」
俺の親は、どこまでこれに介入しようとするんだろう。
それとも、あのビッチとDV男の両親がなんとかするだろうか。
285: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:16:26 ID:Lo7fc1bE0
なあんもわかんねえなあ。
なあんにもおきねえなあ。
( ´_ゝ`)「あー」
何もなさ過ぎて、明日には普段通りの日常が来そうだ。
病院が俺らを無視しているのか静観してるのか知らないが、
シカトぶっこいてくれるなら、藪に入らず素通りするのが正解だよな。
つーか、来るわコレ。
確実に。到来確定だわ。
何の変哲もない日常が俺を待ってるぜ。
あんなに心配してたさっきまでの自分が、心底馬鹿々しい。
どうせこっちから警察に出向いても、何もねぇわ。
286: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:18:16 ID:Lo7fc1bE0
俺が何かやっても、弟がなんかしても、糞鶏がやらかしても、
身内のアレ、家族のごたごただからと取り合ってくれなかった。
新聞を飾れる傷害事件を起こしても、殺人未遂にあっても、
未成年だから、痴情の縺れがどうたらで取り合ってくれなかった。
足にボーガン刺さった被害者が交番に駆け込んでも、取り合わない。
家に連絡一つ寄越してそれっきり。平然としてやがった。有り得ない。
家庭板のテンプレのような対応をしても駄目だった。駄目だった。
( ´_ゝ`)「うん、よし。普通に過ごそう」
そうと決まれば行動は早い。
ジャストタイミングでメールを寄越してきた内藤の家にでも遊びに行こう。
どうせ向こうもこっちの話を聞きたがってるだろうし、調度いいや。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
288: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:23:30 ID:Lo7fc1bE0
( ^ω^)「今までの話を統合した結果」
( ´_ゝ`)「はい」
( ^ω^)「気に入らない男を刺して」
( ^ω^)「キチガイに連れ去られる女を見捨てて」
( ^ω^)「健やかに寝たと」
( ´_ゝ`)「補足すべきところがあり過ぎてもういいや」
( ^ω^)「んで」
( ^ω^)「朝起きて『やべえ』と思ったけど」
( ^ω^)「なんやかんや考えたらそうでもない事に気付き」
( ^ω^)「僕んちに遊びに来たと言うんだおね?」
( ´_ゝ`)「そうだな」
289: ◆T/D40qQ./Q:2014/05/01(木) 00:25:42 ID:Lo7fc1bE0
( ^ω^)「このサイコクズちゃんめ」
( ´_ゝ`)「全てをその一言で済ますお前は流石だぜ」
( ^ω^)「今日は病院込みそうだから、明日行くお。
兄者はここに泊まってけばいいお」
( ´_ゝ`)「やったー」
( ^ω^)「飯作んの兄者な」
( ´_ゝ`)「やだー」
36.糸冬
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