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ブーン系空気作者の雑記&自作品まとめ かなりの頻度でクトゥルフも
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4:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:33:31 ID:JHeAhQN.0
34.人間行動学の算術はぐれ


何故か、鬱田がピクミンのようについてくる。

あれだけ言ってた割に、木偶になったゴミをすぐ見捨てるとは。
一体何をしたいのか、何を考えてるのかわかんねぇな。


( ´_ゝ`)「なーにー? 黙ってついてきて」

('A`;)「いやそのあの」

( ´_ゝ`)「用件言えよ」

('A`;)「……ごめん」

( ´_ゝ`)「謝るくらいなら最初から言うなよ」

('A`;)「でも……」

( ´_ゝ`)「あーもーウザってー」

5:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:34:37 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「鬱田は結局、何がしたいワケ? 仲裁役でもやりたいの?
      誰かと誰かの仲を取り持ちたいの? 殴られてみたいの?」

('A`;)「俺は……」

( ´_ゝ`)「高校の時に、お前みたいな仲裁役買って出る女子がいたけどさあ。
      碌に相手の言い分も聞かないで、手前で勝手に状況を判断して、
      悪くない奴にも『まず謝れ』って謝罪強要してぶち切れられてたぞ」

('A`)「そ、そういうのじゃ」

( ´_ゝ`)「同じようなモンだろが。俺はあいつに謝る事なんて何一つないし、
      仲良くしないといけない義理も道理も義務もない。強制すんな」

('A`;)「待って、話を」

( ´_ゝ`)「聞かない。聞いても苛立つだけだもーん」

鬱田を無視して診察に行こうとすると、先回りして塞がれた。
廊下が広いから、腕を広げても余裕で横から抜けれるが。

あんまり眉間を動かさない奴なのに、変に皺を寄せているからか、
今まで見てきた中で、これ以上ないくらい顔面が酷くなっている。

顔が醜い者は外を歩いてはならない法律があるあの州では、
確実に警官がすっ飛んでくるレベルだ。ヘイ、ブサイクメーン!

6:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:35:32 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「で、どうしたい?」

('A`;)「う……と、取りあえず、殴っても蹴ってもいいよ。
    まず落ち着いて。そしたら俺の話聞いてくれる?」

( ´_ゝ`)「ん? 痛めつけていいの?」

('A`;)「死なない範囲で」

( ´_ゝ`)「そうか、じゃ遠慮なく」

いきたいところだけど、普通に蹴ったら死にそうだ。
死なさず殺さず、いい感じに悶絶させるくらいの力でやりたい。

当たり前だ。誰が話なんざ聞くかヴォケ。寝言は気絶してから言えや。
これを小中高の頃にもやってたんなら、そら確実に嫌われるわ。


( ´_ゝ`)「殴られるのと蹴られるの、どっちがいい?」

('A`)「えっ?」

小首を傾げて鬱田を見ると、腕を広げたまま突っ立っている。
なんだろう。どてっ腹に蹴り入れろって意志表示?

7:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:37:19 ID:JHeAhQN.0
感覚を掴む為に、少し床を爪先で蹴る。……これくらいか。

流石に、鉄板入りの踵で蹴ったら駄目だろうな。
入れるなら爪先から。狙いは胃で行くとしよう。

ちょっとビビらせる為に、後ろに足を振り上げる。

途端に、体を震わせて目を見開く。守るも糞もねぇ。
虐められてたと聞く割に、攻撃動作に慣れてない。

肉体的じゃなく、精神的ないじめをやられてたのか?
ま、今は関係ないな。都合良く周囲に人もいないし、やれる。


( ´_ゝ`)「じゃ、行っくよー……んっ!?」

トリガラのどてっ腹目掛けて蹴ろうとしたところ、
横から割って入って来た足に攻撃を止められた。

舌打ちを漏らし、そちらを見ると。


( ´_ゝ`)    (^ω^ )

わお、内藤じゃん。

8:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:38:51 ID:JHeAhQN.0
この程度のダメージなんざ無効だろうに、大袈裟に痛がって、
その場で片足を抱えてジャンプし続ける内藤。転がしたろか。


(^ω^ )「あぁん痛ぁいんだおっお~う!」

( ´_ゝ`)「嘘こけ」

(^ω^ )「うん、僕は痛くないけど。鬱田にやったら大惨事だお?」

( ´_ゝ`)「マジ? これでも加減したんだけどなあ」

(^ω^ )「って言うかぁ。さっきの兄者さんってば、んもう!
      ガチな不良にしか見えなかったお! 僕怖いおっ!」

( ´_ゝ`)「キャラブレ過ぎてキモいぞ内藤」

('A`;)「……」

( ^ω^)「おっとっと、僕は決して鬱田の事を助けた訳じゃあないお。
      そこんとこ、勘違いしちゃいや~んお。僕だって殴りたいお。
      朝早くにクソ垂れるようなメール送りつけてきやがってお」

( ´_ゝ`)「何かしたの?」

ロ(^ω^ )「うっふん兄者見てくれお。このメールマジふざけてんんんn

( ´_ゝ`)ロ「落ち着けよ。発狂してるアヒャとか俺みたいになってんぞ」

鬱田に向き直って拳を鳴らす内藤を放っといて、渡された携帯を見る。
メール画面には、嫌がらせとしか思えない朝4時の着信。内容は……。

9:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:40:22 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「うっわぁ」

こら、内藤だってブチ切れるわ。

プライバシーもあるので詳しくは書かないが、内藤は両親との仲が良くない。
良くないどころじゃない。内藤曰く『奴らは親と言う生き物ではない』との事。

小学校の卒業式に出席しないのは、仕事優先として当然の摂理。
夫婦喧嘩の元は、自分の親権の押し付け合い。
どちらも子とは認識せず、物心ついてから家族で同居した経験皆無。
内藤は、中学校からずっとマンションで一人暮らし。
成人して絶縁を言い渡された翌日に、津波が全てを持ってってくれた。

うむ、嫌うどころか殺されてもおかしくはない糞親。
放任主義なんてもんじゃない。立派な虐待だ。

そんなのに向かって『家族と仲良くしたほうがいい』と勘違いした羅列が、
メールの件名を埋めている。しかも、本文1万字以上使ってるとかアホか。

色々な意味で、読む気も失せる。

今は両親と言う大元の原因であった膿を海に流して落ち着いたが、
それでも他人に触れられたくないトラウマに変わりはないだろう。

俺も糞親父と言う膿の海から出てストレスを減らせたが、
仲良くしろなんて暴言は聞きたくないし、言われたくない。

10:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:41:03 ID:JHeAhQN.0
幼少期から狂ったようにやらされた習い事の数々も、
人から見れば目をかけてやってると思われるんだろう。

俺は、折角の休日を潰されて散々だったがな。

窓の外から糞野郎の声を聞きながら、俺だけ勉強勉強。
恨みたくもなるさ。我が母も含めて、家族全員、な。

「俺よりも、成績が常に下から一桁の弟者をなんとかしなくては……」
と日常的に呟いていた癖に、勉学は俺を優先させるという頓珍漢。

殴られまくっても意地になって本を開かなくなった俺に飽きたのか、
高校受験辺りから放置され、とても楽だった。逆に、やる気も出た。

その頃には、糞野郎が勉強から逃げ回っていたみたいだが、俺は知らん。
むしろ親に「やっとかよ」としか言えなかった。糞野郎には「ザマミロカス」だ。

世間的に見て教育したほうがいい子供を見極めれたのはいいんだが……。
最下位を取得した輝く赤丸の数字を見て、ようやく目覚めたんだから遅いわ。

親から強制されて役に立った習い事なんて、それこそピアノぐらいしかない。
楽譜が読めるから、音楽の授業が楽、MIDIで遊ぶのが楽になった。そんだけ。

……これはまた、別の話で。


( ´_ゝ`)「ほい、内藤」

(^ω^# )「あぁん!?」

( ´_ゝ`)「俺にキレるなよ」

(^ω^# )「御尤もだお!」

11:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:42:24 ID:JHeAhQN.0
( #^ω^)「うっがー! 怒りが収まらないお! ムッカつくお!
      ボッコボコにしたいのを抑えてるんだお!?」

( ´_ゝ`)「あ、内藤が近くでブチ切れてるから、
      段々頭が冷えてきたかもしれない」

( ^ω^)「じゃあ僕もなんとか落ち着くお……」

( ´_ゝ`)「切り替え早いな」

それでも、肩で息をしている内藤。
鬱田も隙見て逃げりゃいいのに、まだ目の前にいる。


( ^ω^)「兄者の蹴り止めなきゃよかったぁあんおぉん。
      あんの糞親この手でぶっ殺せなかった後悔が、
      今ここに来て邪魔してるんおおおぐおおお!」

( ´_ゝ`)「精神科行けよ」

( ^ω^)「僕もとうとうキチガイの仲間入りかお……」

( ´_ゝ`)「古い人間だと、そっち系の認識の奴が多いけどさあ。
      今の世の中は、ストレスマッハな奴が行くとこだからな?」

( ^ω^)「でも僕には兄者とアヒャの間に割り込む筋肉なんてないお……」

12:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:44:13 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「殴ったら正気に戻るかい? 内藤さんよぉ」

(^ω^ )「やだ兄者さんったら」

( ´_ゝ`)「お前も用件さっさと言えよ……俺はこれから診察だ」

(^ω^ )「そうだったのかお。じゃあふざけてる時間はないおね」

( ´_ゝ`)「ふざけてたんかい」

(^ω^ )「蹴ったらそこでお終いになって、何も言えなくなるお?
      向こうが正論気取りで正義ぶって向かって来るなら、
      こっちもそれなりの言葉で迎えてやったらいいんだお」

( ´_ゝ`)「つまり?」

(^ω^ )「僕らも、言葉で毒男のトラウマを抉る」

('A`)「えっ……」

( ´_ゝ`)「本人の目の前でこんな話するのって、良いんか?」

(^ω^ )「問題ないお。僕は弟者の病室がある階のトイレで、
      毒男を親関係のトラウマでメタメタにしてやるとするお。、
      診察終わったら兄者も来るといいお。貸し出してやるお」

( ´_ゝ`)「物扱いか」

けどまあ、割とスッキリする提案なので乗る。
鬱田を庇う気持ちなんて、両生類の糞程もない。

13:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:45:04 ID:JHeAhQN.0
簡単に揚げれる足を揃えて突っかかって来るアホなんてさあ。
いじってナンボ、からかってナンボ、虐めてナンボだろ。

『虐められる方に問題がある』ってのは、
まさに鬱田のようなパターンを言うんだろう。

本人の口から小中高と虐められてきたと聞いたし、
俺はこのネタで揺さぶってやろう。自業自得だ。


( ´_ゝ`)「俺は行くわ、後でな」

( ^ω^)「何の診察だお?」

( ´_ゝ`)「泌尿器科」

( ^ω^)「性病かお……」

( ´_ゝ`)「なるかボケ。勃起障害だ」

( ^ω^)「それもそれでどうかと思うお。原因は何だお?」

( ´_ゝ`)「ストレス」

( ^ω^)「……頑張れお」

14:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:45:47 ID:JHeAhQN.0
内藤から心ないエールを受け取り、診察室へ向かう。


実は、EDを治す気はあまりない。

EDにより併発する前立腺関係のアレコレは勘弁してもらいたいが、
常時賢者モードとはまた違う、この状態を維持していきたいのだ。

これを患った全ての人が、俺のような状態になる訳ではないらしい。

他の患者曰く、頭で興奮はするが、股間にまでそれが届かないと。
背筋を走り抜けて股間にクる刺激が、首の辺りで止められる、と。
そんな言葉を頂いた。為になる知識ではないが、無いよりマシだ。

俺の場合は興奮も糞もなく、性欲自体が根こそぎ刈り取られているので、
そういった一般的な”強制性欲我慢病”のEDとはまたちょっと違うらしい。

悟りを開いてしまうと、虚脱感を伴う境地へ至れるが、この状態は違う。
ふっとエッチな物体が視界を掠めてしまっても、無反応でいられるのだ。

いや、無反応とはまた違うな。興奮しないでいられる。
猫やプリンやムカデを見ても、純粋な気持ちで愛でられる。

目撃してしまうと、脇目も振らずに突進してしまうのは変わらないが、
そこにあるのは眩しいくらいに健全で純朴な好意だ。独占したい。

15:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:46:40 ID:JHeAhQN.0
腹パンを見ても、嗜虐的な感情に任せて笑うだけだ。興奮はしない。
どうやら、リョナに対する感情は、性欲から生まれるものではないらしい。

多分、支配欲とか征服欲とか、その辺りではないだろうか?
専門家ではないので、詳しく説明する事は出来ない。


あと、エロ広告に対しての嫌悪感が、かなり強まった。
えっちなものを求めていない時に目に飛び込むと、苛立つ。

2chだの何だの、アングラな香りがする場所ではそんな広告が付き物だ。
携帯はあまり弄らないタイプだが、これで更に遠くなったと言える。

ついったも然り。取りあえず、下ネタを吐けば笑いを貰えると思ってるような、
皆から嫌われる下品な中年オヤジが多過ぎて遠退いた。引くわ、普通に。

パケット代もタダじゃないから、節約出来ていいんだけどね。
落ち着いたら、定額サービスもネットも解約してしまおう。

ついでに、好きなキャラの擬人化をうっかり見てしまうと、怒りが湧き、
目元が痙攣する回数も増えた。これはまた、別の機会に説明しよう。

16:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:47:57 ID:JHeAhQN.0
今回の議題は、何故俺に金的が効かなかったのか? である。

男としての致命的な弱点がカバーされたのは、とてつもなく良い。
しかし、普通なら痛みを感じる所が全くの無痛とは、心配しかない。

何かとても重大な病気を併発してしまったのではないか。
糞野郎の一撃で玉々の神経をやられてしまったのではないか。

疑問と不安は尽きない。


俺は医者に相談する事にした。

日記の誓約を破ってしまうのも知らずに。











~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

17:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:49:31 ID:JHeAhQN.0



18:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:50:39 ID:JHeAhQN.0



19:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:51:22 ID:JHeAhQN.0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~













( つ_ゝ;)「ふぐぐぅ」

失敗した。強制はないと思ったのに、これじゃ準強姦だ。

部屋を出ようとしたら、ドアの前で看護師が立ち塞がるとか。
そのまま別の部屋の診察台に連れてかれて……ふぉおおお。

最初は、普通に質問に答えてくれてると思ったのにぃいいいい。

金的がノーダメージなのも心因性のものじゃないか言ってたから、
てっきりいつもの精神科の診察へ回されると思ったら、思ったら、
ケツ穴に手を突っ込まれてドライされるとかないです恥死する。

しかも、イケメンなのが妙に悔し、い?

20:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:52:40 ID:JHeAhQN.0
んんっ? 違うな。

別に顔が整ってるのはいいんだ。
いいんだが、何と言えばいいのか。

汚いオッサンにどうこうされたかった訳じゃない。
脂ぎった、見るからに不潔な人間は勘弁だ。

そう。俺のケツを本格的に弄ったのが、年食ってる人なら良かった。
おじさんやおばさんレベルの人だったら、治療されてる気にもなる。

若いとかないよお。同年代は流石にないと思う悔しいでも感じちゃう。
流石は数々の尻をその手にかけた歴戦の勇者。格が違うぜ。

嫌悪感と拒絶による鳥肌乱舞で、時間はやたら掛かったけどね。
何の時間だって? オーガズムのだよ言わせんな恥ずかしい。

アナルセックスではケツの中全体を満遍なく開発するとの事。

今回は前立腺だけだ。なのでノーカン。
俺のシマじゃこれノーカンだから。

21:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:53:35 ID:JHeAhQN.0
ノーカン。のーかん。脳……姦?

そんな漢字に簡単に変換される自分の思考回路が嫌だ。
どうせなら、あのイケメンの灰色の味噌を掻き混ぜてやりたい。

上着を脱がされ、半袖で台にうつ伏せにされた屈辱は忘れない。
ケツだけ上げて待機する時点で、俺の心はボドボドだ。

指を突っ込まれた瞬間、強烈な吐き気が襲ってきたのも、
慣れない奴ならではと言うし、ここは一応我慢できる。

しかし、俺が生理的嫌悪感から鳥肌を大量生産した時、
「凄いねぇ~」とほざきながら俺の腕を 撫 で や が っ た。

ケツに入れてないほうの手で撫でるのは常識だから除外するとして、
ないわ。これはマジでない。この鳥肌の原因はさあ、お前だから。

凄いじゃねぇよ。俺の腕を撫でるくらいならさっさとやれよ。
過去のトラウマと恐怖と不安でチキン肌になったんだよ。

つーか、医者から聞いてねぇのか。
俺は人に気持ち悪く触られるのが大嫌いなんだよ!

涙ぐらいちょちょ切れるわ。部屋のスミスと仲良くなりたい。
担当の精神科医に訴えてやる。あの医者の顔は二度と見たくない。

そんなこんなで、三度目の正直は絶対に起こさないよう決意。
この事は、絶対に日記に書こう。忘れてはいけない。絶対に。

22:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:54:45 ID:JHeAhQN.0
(;´_ゝ`)「へっふぅ」

今日は感情面で大いに疲れた。
内藤には悪いが、病室で日記をまとめてから寝てしまおう。

それに、尻が落ち着かない。

自分でやった時は不注意による事故で激痛に悶えて死にかけたが、
今回は医療者なだけあって、広げられた穴以外にあまり痛みはない。

痛みがないのが逆に気になるのと、イかされた事実で、混乱する。
頭の中が落ち着かない。先程からテンションが上下運動しまくりです。

自分がどんな行動を起こすのか、自分でも判らない。
斜め上方向にアクロバット錐揉み飛行の上に着地どころじゃない。
地球の反対側からマントル抜けて岩盤削って真下から来そうだ。

落ち着けよ? 落ち着けよ俺。よーしイイ子、良い子だ。

そうだ。部屋にはプレゼントで貰ったぬいぐるみがある。
来たばかりで少し早めの仕事だが、癒させてもらおう。


アッパラパーな考えを脳内で展開していたら、病室到着。

さあ横になろう、とベッド下から布団を引っ張り出したら、
先に布団と一体化したアヒャが、ごろんと発掘された。

23:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:55:45 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「なにゆえ」

(  -∀-) スピピピ

( ´_ゝ`)「起きろ」

(  -∀-) クピピピ

( ´_ゝ`)「起きろコラ」

( ;-∀-)゙ ンゴッピィ

( ´_ゝ`)「殺すぞテメェ」

仕方ないな。こういうのは、強硬手段に出るしかない。

自分の肘の具合を確かめる。布団で衝撃は緩和されそうだが、いいか。
肘を横に突き出した姿勢で重力に体を任せ、アヒャの腹にエルボードロップ。


( ;゚д゚ )「プゴッホォ!?」

豚のような悲鳴が上がる。

24:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:56:59 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「そこ邪魔、スタンダップリーズ」

( ;゚∀゚ )「おほぉふ、すまん。寝ちまってた……」

( ´_ゝ`)「何でここで寝ようと思ったんだ」

汚れ布団には包まりたくない。

耳の先から足の先まで観察して、汚れているか確認する内に、
そう言えばこいつもイケメンだったと気付いた。気付いてしまった。
さっきのヘヴルン状態が、脳裏を華麗なムーンウォークで過ぎる。

あっれぇ? 今なら俺イケんじゃね? あんまり抵抗がない。

利益をくれれば、対価で体を明け渡していいかもと揺れるが、
その後の詳しい男同士の、アヒャとの性交を想像しようとすると、
同性に対する当然の嫌悪感と吐き気で強制ストッパーがかかる。

なぁんか俺、さっきやられた事でどっかの枷が壊れてますしぃ。

今の心中ならイケるかもしんない。
確かめてみる? 確かめてみちゃう。


(  ゚∀゚ )「また不眠が続いてたんだけど、何でかここで睡魔が」

三(*´_ゝ`)「うっひょーい!」

( ;゚∀゚ )「ワッツ!?」

25:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:57:54 ID:JHeAhQN.0
立ち上がりかけの不安定な姿勢のアヒャを布団に押し倒す。
勢いのまま馬乗りになり、右手を拝借。ケツまで持ってく。

うん、まだ大丈夫。大丈夫?
全然大丈夫じゃなかった。

アヒャの手が勝手に動いて俺の尻アナルを狙った瞬間、
寒気がケツから背中を駆け上がって、鳥肌の軌跡を残す。


(*´_ゝ`)「はーい無理でしたー!」

( ;゚∀゚ )「!?」

アヒャの手を本人の顔面へ向かって投げ、病室から走り去る。
背後から何か聞こえるが知らん。俺は今から聞こえない猿だ。

うひょぉお後の事なんかなんも知らねぇ! 知ったこっちゃねぇ!

人通りのない廊下を笑いながら走っていたら、内藤を発見。
テンションが急激に下がったので、徒歩へ移行して接近する。

26:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 02:58:37 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「よっ、内藤」

( ;^ω^)「こ、怖いからやめてくれお」

( ´_ゝ`)「何を?」

( ^ω^)「笑い声あげながら走ってた奴と目が合った瞬間、
      いきなり真顔になって自分のほうに歩いて来るとか」

( ´_ゝ`)「へー」

( ^ω^)「さっきの兄者だお」

( ´_ゝ`)「フーン」

( ^ω^)「怖かったお」

( ´_ゝ`)「すまん」

( ^ω^)「兄者じゃなかったら逃げてるお」

( ´_ゝ`)「すまん」

27:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:00:25 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「そういや内藤、よくこんなトコ通ったな」

( ^ω^)「偶々って怖いおね。僕は裏田がデイケア通い始めたから、
      煽り……揶揄しに行こうと思って、ここを通っただけだお」

( ´_ゝ`)「どっちも意味変わんねぇぞ。裏田は、ケア受けるほうで?」

( ^ω^)「兄者と同じ障害持ってるの発覚したんだってお」

( ´_ゝ`)「へー」

( ^ω^)「反応薄いおね」

( ´_ゝ`)「何を期待してんだ」

( ^ω^)「『同じ障害』で、もっと何かあるかと」

( ´_ゝ`)「こんなもんだよ。後でこれ日記にして、
      ショック受ける事が出来たら驚いとく」

( ^ω^)「変な奴だお。裏田も変ってか、ムカつく奴だったけどお」

( ´_ゝ`)「あんまり話してないからわかんね」

28:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:01:41 ID:JHeAhQN.0
( ^ω^)「うーん。演劇とか脚本とか、創作関係かお?
      僕はTRPGのほうでよく関わってたんだお」

( ´_ゝ`)「ジムの知り合いかと思った」

( ^ω^)「違ぇお。んで裏田、シナリオ運びが凄く上手いんだお。
      ダイスの邪神様に見染められても感動オチ繋げたり、
      ファンブりまくってもハッピーエンドに辿り着かせたり」

( ´_ゝ`)「いいKPじゃないか」

( ^ω^)「PLの心情も読んでくれるから凄い満足できるんだお。
      だから、居る時は大体TRPGのKP任されてたんだお」

( ´_ゝ`)「だろうな」

自分の作ったNPCを出して一人で会話を進める吟遊KPや、
俺のNPCTUEEEEEEEEEEしたい糞KPとは比べ物にならない。

サークルに一人は欲しい……っつーか、十数人は欲しいな。


( ^ω^)「ただ創作は上手くても、現実は滅茶糞だったんだおー」

( ´_ゝ`)「そうなのか?」

29:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:02:33 ID:JHeAhQN.0
( ^ω^)「卓の上だとPLの心情は汲み取れるのに、
      リアルな対人で発生する話は糞なんだお」

( ´_ゝ`)「よくいるだろ。他の事は凄く出来るのに、
      対人コミュニケーションが壊滅的な奴は」

( ^ω^)「よくいても困るお」

( ´_ゝ`)「そう?」

( ^ω^)「自分の興味がある物ゴリ押しで、人の話は聞かないわ、
      きつく注意した事も聞かないわ、マイペース崩さないわ」

( ´_ゝ`)「俺じゃん」

( ^ω^)「兄者のほうが興味ある物とダラけ優先な分まだマシだお」

( ´_ゝ`)「昔の俺知ってても?」

( ^ω^)「ノンストップで好きな事をマシンガンみたく喋まくったり、
      周りが言うの抑えてる言葉を躊躇いもなく言い放ったり、
      何回も同じ間違い繰り返しても人の忠告聞かなかったり」

( ´_ゝ`)「俺ね」

( ^ω^)「……僕も言っててそう思ったお。丸っきり昔の兄者だおね。
      魂の双子と言うよりは、裏田と兄者が同じ障害だからかお?」

( ´_ゝ`)「知らんよ」

30:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:03:29 ID:JHeAhQN.0
( ^ω^)「お前らって、生きにくい脳味噌してんおねー」

( ´_ゝ`)「内藤と俺とで交換する?」

( ^ω^)「はい話のレール戻りまーすお」

( ´_ゝ`)「おう」

( ^ω^)「こっちに帰って来てから裏田に彼女ができてたんだけど、
      『ついていけない』言われて逃げられたみたいなんだお」

( ´_ゝ`)「俺だって逃がす時に言わせる言葉は大体それだぞ」

( ^ω^)「はいスルー」

( ´_ゝ`)「おう」

( ^ω^)「去り際に残した書き置きに病院で診て貰えってのがあって、
      裏田ってば素直に色々と調べてもらったみたいなんだお」

( ´_ゝ`)「いいじゃん」

( ;^ω^)「別れ際の病院に診て貰えって、普通は挑発だお。
      ここで素直に従って病院に行く奴なんてのは……」

( ´_ゝ`)「俺だな」

31:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:04:36 ID:JHeAhQN.0
( ^ω^)「……あーなんかもういいお」

( ´_ゝ`)「要は、訓練受けにデイケア来たんだろ?」

( ^ω^)「うんお」

( ´_ゝ`)「良いじゃないか。自覚して、なんとかしようと努力してんだ。
      何でお前が煽りに行くんだ? 裏田に恨みでもあるのか?」

( ^ω^)「ネタ集め」

( ´_ゝ`)「成程」

( ^ω^)「兄者は何でここに? 診察は終わったのかお」

( ´_ゝ`)「俺か?」

( ^ω^)「おっお」

( ´_ゝ`)「俺は……」

( ^ω^)「……」

32:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:05:59 ID:JHeAhQN.0






( ´_ゝ`)「……いっひ」

( ;^ω^)「?」


(*´_ゝ`)「ヒヒっひゃははははwwwwwwww」

;^ω^)三「!?」


(*´_ゝ`)「アヒャからwwww聞いてwwwwwww」

;^ω^) 「お、おお」


(*´_ゝ`)「じゃあな内藤wwwwwwwwブブーンwwwwwww」


         __― __ _-  _ _
;^ω)     ニ _ ー ̄- _ =二_ - (*´_ゝ`)

33:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:07:08 ID:JHeAhQN.0
人類が皆無な通路を、飛行機みたいに両翼を広げて疾走。

「廊下は走っちゃいけません」の教えが頭から抜けていた俺は、
曲がり角で子供のような何者かとぶつかって、派手に転倒した。

後頭部に攻撃してきた床でのた打ち回りつつ相手を観察すると、
どうやら斉藤のようだ。こちらも俺と同じく床で転げ回っている。


(;・ ∀・)「ぐおー! チョー痛いんですけどおおお!」

(;´_ゝ`)「斉藤かテメェ! 廊下は走るなよ!」

( ・ ∀・)「兄者もな!」

( ´_ゝ`)「おうよ!」

痛みで正気に戻ったのはいいが、盛大に打ったのでまだ痛い。
お互いにorzの姿勢で頭を向き合い、なんとか会話する。


( ´_ゝ`)「斉藤はこんなとこで何やってんの?」

( ・ ∀・)「俺は……なんか、友達だと思ってた女の子に告白されて、
      最近落ち着かないからカウンセリング受けにここ来た」

( ´_ゝ`)「マジかよ」

34:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:08:13 ID:JHeAhQN.0
( ・ ∀・)「嫌な子じゃないんだよー。でも、そんな目で見られてたなんて、
      ちっとも思わなかったぜ。ずっと前から思ってたとか言われても、
      そんなん考えた事も無かったし、意識した事すらなかったよ」

( ´_ゝ`)「普通は同性の友人をそんな目で見ないだろうさ。
      斉藤もその格好になってから、面倒臭そうだな」


( ・ ∀・)「兄者はどうした」

( ´_ゝ`)「俺は……なんか、自分で煽っちまったホモから」


(;・ ∀・)「は?」

( ´_ゝ`)「逃げて来た」


( ・ ∀・)「……」

( ´_ゝ`)「……」


(*・ ∀・三・∀ ・*)「wwwwwwwwwwwwwwwwww」

(*´_ゝ`)「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

35:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:09:31 ID:JHeAhQN.0
斉藤の飛ぶ話には慣れているので、一々突っ込まない。


( ・ ∀・)「そういや母さんが最近気持ち悪いポエムにハマってるんだ!
      ここは兄者もキモいロミオメール送って、機嫌取ってくれ!」

( ´_ゝ`)「ロミオか」

ポエムなんて、すぐには思い付かないぜ。
ここは適当な百人一首から引用させてもらおう。

そうやって斉藤の携帯でメールを代打ちしていたら、
なんとアナグラムを発見してしまった。これは行ける!


( ´_ゝ`)「斉藤! これどうだ!?」

( ・ ∀・)「んん!?」

( ´_ゝ`)「このまま送信しようと思う」

( ・ ∀・)「”いつ見きとてか”……恋しかるらむ」

( ´_ゝ`)「”いつか君とて”」

( ・ ∀・)「……」

( ´_ゝ`)「……」

36:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:10:21 ID:JHeAhQN.0
(*・ ∀・)「ウェエェーイ!!」

(*´_ゝ`)「イッエェーイ!!」



だが、俺の首筋に股間を押し当てている斉藤は、まだ発狂中。
軽度の男性恐怖症だってのに、ノリのまま肩車しちまった。

ハイテンションで宇宙語を操りつつ、俺の頭をべしべし叩き続ける斉藤に、
今起きている現実に気付いてくれるなよと願いつつ、ゆっくり床に降ろす。


(*・ ∀・)「@wq+/dz,l:fbijdfs]fyjvrte?!!!」

( ´_ゝ`)「おい太陽系第三惑星地球人」

(*・ ∀・)「豊葦原之千秋長五百秋之水穂国!」

37:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:11:10 ID:JHeAhQN.0
まだ向こう側からの帰郷は不可能のようだ。
適当に相槌を打ちながら、階段を降りる。


( ´_ゝ`)「秋津島?」

(*・ ∀・)「NO! 師木島!」

( ´_ゝ`)「敷島」

(*・ ∀・)「大八洲国!」

( ´_ゝ`)「磯輪上秀真国か」

(*・ ∀・)「YES! 日出処」

( ´_ゝ`)「瑞穂」

( ・ ∀・)「大和」

( ´_ゝ`)「日本」

( ・ ∀・)「沈没」


('A`;)「な、何してるの二人とも」

38:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:12:47 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「あ? 鬱田って、内藤にトイレで制裁されて、
      とっくの昔に帰ってるんじゃなかったの?」

( ・ ∀・)「肉体言語?」

( ´_ゝ`)「はい斉藤が喋ると面倒臭くなるから黙ろう」

( ・ ∀・)「もっ」

('A`)「斉藤?」

( ・ ∀・)「そうだぞ!」

( ´_ゝ`)「話掛けやがって……」

('A`;)「ごめんなさい」

( ・ ∀・)「見ない内にまた痩せたな! その内ダシも出なくなるぞ!」

('A`)「え、あ? 斉藤と俺って話した事あったっけ……」

( ´_ゝ`)「あるぞ。お前から話掛けてたじゃん。
      学科唯一の女子だから頑張るって」

('A`)「……えっ?」

39:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:14:45 ID:JHeAhQN.0
(*・ ∀・)「途中で女の子っぽい服着るのやめたから、
      鬱田が判らなくなるのも無理ないなー!」

('A`)「え、えっ? 誰? 女子?」

(*・ ∀・)「フフーン」

('A`)「だって胸、ない……」

( ・ ∀・)

鬱田は俺達とベクトルの違う、救いようのないバカだわ。
今からコミュ力を高めるには、どこに押し込めたらいいんだろうな。

セクハラ加害者の更生プログラムでも勧めてみるか?


(#・ ∀・)「このセクハラ野郎!」

(゚A゚;)「ピッ!?」

(#・ ∀・)「このハゲ紫! 紫芋! 芋野郎! 野郎は死ね!」

(゚A゚;)「はっ、ははははい!」

- ニ 三 (#・ ∀・)「バーカ! チービ! 死ーね! トイレの邪教崇拝者!」

40:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:16:15 ID:JHeAhQN.0


('A`)「……」

( ´_ゝ`)「……」



('A`)「俺、あいつ女に見えなかっ」

( ´_ゝ`)「お前が悪い」


('A`)「いやでもパッと見」( ´_ゝ`)「お前が悪い」


(;'A`)「その( ´_ゝ`)「どう言い訳してもお前が悪いから」

41:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:17:38 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「女性と相対して、いきなり胸について言及。アホか。
      訴えられても仕方ないセクハラ行為の否を認めろ」

('A`)「セクハラになるの?」

( ´_ゝ`)「なるぞ。何だと思ってんだこのクズ」

コミュ障どころの話じゃねぇ。こんなんゴミ障だ。処分しろ。
こいつこそが広汎性発達障害なんじゃねぇのか? 重度の。

待てよ。流石にこれは、早計と言うよりも同じ障害者に失礼か。

数年前、引き篭もりに発達障害者がどれだけいるか調べた結果、
全体の半数にも満たない、四分の一って数字が出たからなあ。

コミュ障はコミュ障だ。それ以上でもそれ以下でもない。
犯罪者に転落する危険性は、一般人より高いけどな。


('A`)「本当に判らなかったんだ」

( ´_ゝ`)「判らなかったとしても、何で胸の指摘なんだよ」

('A`;)「……ごめん」

42:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:18:32 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)「お前はお前が痴漢で捕まったとしても擁護なんてしねぇし、
      セクハラで女から訴えられたら『いつかやると思ってました』
      とマスゴミに向かって言ってやるからな。忘れんなよ鬱田」

('A`;)「そ、そんなぁ」

だって、そこで鬱田を擁護したら、逆に俺が世間様に疑われますし?
ここは徹底的に叩いてやるのが、自分の身と鬱田の為だろう。

こいつの女性関係、いや、対人関係に対する学習能力の無さは、
折り紙付きどころか憑きモノがいそうな感じだからな。Tさん呼べ。


('A`;)「思い出せなくて悪いんだけど、斉藤って誰なの?
    一緒の学科でも全員の顔は覚えてなくて……」

( ´_ゝ`)「俺だって全員は覚えてねぇよ。つか、マジで忘れたのか?
      内藤が俺の嫁候補調べてリストアップした時あったじゃん」

('A`)「あ、うん」

( ´_ゝ`)「その、再従兄弟の斉藤」

('A`)「顔どんなんだったっけ」

43:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:19:40 ID:JHeAhQN.0
( ´_ゝ`)ロ「はい写メ」



('A`)「ぇ」



( ´_ゝ`)「从・∀・ノ!リ人<なのじゃ!」

('A`)「ぇ?」



( ´_ゝ`)「从・∀・ノ!リ人<スパデラのデータまた消えた」

('A`)「ぇっ」



( ´_ゝ`)「从・∀・ノ!リ人<男共が初っ端からメルアド聞いてきてウザい」

44:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:20:26 ID:JHeAhQN.0
(゚A゚;)「从・∀・ノ!リ人←!!??」


( ´_ゝ`)「从・∀・ノ!リ人<学科で女が自分一人だけとかワロタ」


(゚A゚;)「( ・ ∀・)←??????」


( ´_ゝ`)「( ・ ∀・)<女の格好すると色々メンドくなる事が判った。
             今日からこれで行くぜ! 男装デビューだ!」



45:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:21:11 ID:JHeAhQN.0
(゚A゚)「み、耳はどっから……?」



(゚A゚)

( ´_ゝ`)「ちなみに、親に言われても元に戻る気はないようだぜ。
      二年間ずっと、家族にも友人にも誰にも言えないくらいの、
      自分でも何で医者に伝えなかったのか判らないぐらいの、
      ふっかいトラウマあるみたいだから。下手につつくなよ?」

(゚A゚)

( ´_ゝ`)「wwwwwww」


(゚A。)

(*´_ゝ`)「wwwwwwwwwwww」


(゚A )...。

( *゚_ゝ゚)「wwwwwwwwwwwwwwww」

46:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:22:27 ID:JHeAhQN.0
三(#・ ∀・)「うおー! 兄者ー!」

(゚く_゚; )彡「背後からだとっ!?」

( ・ ∀・)「この階一周してきた」

ミ( ´_ゝ`)「マジかよスゲーな」

( ・ ∀・)「こんな奴ほっとこーぜ!」

( ´_ゝ`)「そうだな」

( ・ ∀・)「紫色はどっかの国でエロい色らしいし」

( ´_ゝ`)「何の話に飛んだ?」

( ・ ∀・)「さっきの話と言い、こいつもきっと危ない奴だ!」

( ´_ゝ`)「飛んでなかった」





(゚A ) 。

47:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:23:20 ID:JHeAhQN.0
鬱田が置き物と化していたので、放置する。

俺はさっきまで何をやらかそうとしていたのか、
どこへ行こうとしてたのか忘れてしまったので、
用も思い出せない俺は斉藤の後に着いて行く。

昨日から両親が共に出張で、家には誰もいないと言う。
作り置きの飯も消費したし、家政夫として一時的に雇用したい、と。

俺は、素直にその家へ雇われる事にした。どうせ一日だけだ。


( ・ ∀・)「着替えはずっと前に泊まってった時に忘れたのがあるから、
      その辺は心配しなくていいぞ! なかったら父さんの借りろ!」

( ´_ゝ`)「おー」

親のいない家に男一人、生物学上女一人でいいのか、
と突っ込みを入れる紳士諸兄らもいるかもしれない。

が、心配は杞憂だ。

斉藤は、妹か弟にしか思えないからな。
そんな存在に、一体どう欲情しろと。

俺がこうやって、今の状況を客観的に把握出来たのも、
貰ったノートに日記として書き起こして、ようやくだ。

日常に溶け込んだ違和感は、文字にしないと気付けない。

48:名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 03:24:15 ID:JHeAhQN.0
( ・ ∀・)「オムライスうめー」

( ´_ゝ`)「そうか」

( ・ ∀・)「兄者」

( ´_ゝ`)「ん?」

( ・ ∀・)「結婚しよう」


( ´_ゝ`)「不束者ですが、よろしく」

(*・ ∀・)「ふひゃひゃ!」





34.糸吉

拍手

PR
895:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:56:27 ID:h8GVwLGg0
33.建設的に生きるとか出来ないな



('A`)「あっ」

( ´_ゝ`)「お」

('A`;)「ひっ、久っ、久し振りっ」

( ´_ゝ`)「一週間かそこらで久し振りって言うっけ?」

('A`)「あ、えっえっと」

( ´_ゝ`)「立ったままだと邪魔になるから、取りあえず座れよ」

('A`;)「う、うん」

横に座らせたが、相手の顔を見て真面目に話すつもりはない。

こんだけ判り易く挙動不審になってる奴なんかは、
目を合わせようとしたところで悪化するだろうしな。
元々、俺も鬱田も人と目を合わせるのは嫌いだけど。

896:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:58:50 ID:h8GVwLGg0
我が母とアヒャと斉藤とメールしながら応対する。


('A`)「えー……と、なんでこんなところに?」

( ´_ゝ`)「あいつが胃カメラやってるから、その付き添い、だった。
      追い出されたから、母さんに連絡してから部屋に戻る」

('A`)「胃カメラって」

( ´_ゝ`)「鬱田は?」

('A`;)「えっと……謝りに」

( ´_ゝ`)「マジか、誰に?」

('A`)「あ、兄者に……」
   _,
( ´_ゝ`)「俺ぇ?」

ミ ('A`;) ヒッ

おっと、鬱田と俺の距離が増した。眉間の皺が良くなかったか。
揉み解しつつ、相手の挙動を観察する。

897:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:02:20 ID:h8GVwLGg0
:('A`;):「えと、えと」

知り合った直後の鬱田みたいな反応だ。痩せた子豚のよう。
何がこいつをそうさせてるのかは分からないが、懐かしい。


( ´_ゝ`)「鬱田が俺に謝らなきゃいけないような事したっけ」

('A`)「ほ、ほら、前の、弟者君との……」

( ´_ゝ`)「あれって終わったんじゃなかったの?」

('A`)「え? 許してくれたの?」

( ´_ゝ`)「許すも何も」

俺と鬱田の間には、育った環境に寄る考え方の違いがあり。

それは何かが事故らない限りどうあっても越えられない壁だから、
鬱田に理解してもらうのは無理だと知った。なので、どうでもいい。

口論したいのならば、地雷の上で反復横跳びするんじゃなく、
何か譲れない拘りとか、互いの対極に位置する好きなものとか、
そういったもので口論した方が後にも先にもいいんじゃないか?

そんな感じで伝えた。

898:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:03:28 ID:h8GVwLGg0
('A`;)「口論したかったって訳じゃ、いや、したかったんだけど。
    地雷を踏もうと思ってたんじゃなくて、地雷って知らなくて。
    ご、ごめん。あれはブーンから逃げる為の言い訳と言うか」

( ´_ゝ`)「あー、そっちの可能性も考えてたから言わんでもいいよ」

('A`;)「ごめん……」

( ´_ゝ`)「もう謝んなくていいって、いい加減ウザ」


('A`)

( ´_ゝ`)「じゃなくて、鬱陶し」


('A`)

(;´_ゝ`)「ああーっと、わ、煩わし」


('A`)

(;´_ゝ`)




( ´_ゝ`)「ウザいんで」

('A`)「諦めるなよ」

899:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:04:41 ID:h8GVwLGg0
( ´_ゝ`)「つーワケで、もうその話はいいわ」

('A`)「わ、分かった。ところで弟者君が胃カメラって何か病k」

( ´_ゝ`)「わざわざ地雷に踏み込むような話題は止そうぜ。
      寝ずに考えた鬱田へのカウンター試したくなるし」

('A`;)「寝ずに考えたカウンター……?」

( ´_ゝ`)「カウンターにならないかもしれないけどな。
      俺らに向かって『家族と仲良く』とかほざくなら、
      じゃあ鬱田自身は糞親父とどうなんだよって話」

('A`)「なってるよ」

( ´_ゝ`)「そうか。てか、今うっかり使っちまった」

('A`)「俺も内藤からお前らの起こした事件聞いてから、
    そういうの言われるかもって思ってたよ……」

( ´_ゝ`)「事がこんがらがる前に思って欲しかったぜ」

('A`;)「わ、悪い」

900:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:05:42 ID:h8GVwLGg0
('A`)「あと、内藤から聞いた事件について、ちょっと聞いてもいい?」

( ´_ゝ`)「物による」

('A`;)「えっと、骨折った折られたとか、刺した刺されたとか」

( ´_ゝ`)「俺は糞親父に骨折られた事はあるけど、あいつにはないぞ」

('A`)「えっ、そ、そうなの?」

( ´_ゝ`)「ああ。刺された事はあるけど、まだ刺した事はないしな。
      てかさ、いい加減この話題はちょっと……」

('A`)「まだって、そういう発言は」

( ´_ゝ`)「刺されて当然だと思わない? あんな奴。後ろから刺されて当然」

('A`;)「い、いや」

( ´_ゝ`)「でも誰も刺してくれないなら、俺が自分で刺してやるしかないだろ?
      それとも骨折るのはいいけど刺すのは非常識とか言っちゃう系?
      喧嘩の延長で殴り殺すのは仕方ないけど、刃物沙汰は駄目って?
      金盗られても物盗られても信用落とされても全部台無しにされても、
      家族だからやっぱり大事にしないとって上から目線で説教する?」

('A`;)「ちょ、ちょ、ちょ」

( ´_ゝ`)「お、すまん」

('A`;)「うん…………」

901:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:07:00 ID:h8GVwLGg0
('A`;)「昨日さ、ブーンはお前らの事、実は仲良いって言ってたよ……
    兄者はまあ、どうしようもないと思うけど、弟者はそうでもないって」

( ´_ゝ`)「はあ?」

('A`)「先の事を考えたら、仲良くしたほうがいいって思ったみたいだよ」

( ´_ゝ`)「そりゃ、俺から何とかして安全に金を盗ろうって思っただけだろ。
      俺は母さんの気が済んだら、さっさとどっか行くか施設入るし」

('A`)「家出るの?」

( ´_ゝ`)「普通は出るだろ、男なら」

('A`;)「耳が痛いな。でも、家を出るとしても、結局血が繋がってるのは、
    家族なのは変わりないんだしさ。出る前に少しは関係の改善

  _, 、_
( ´_ゝ`)゙

Σ{(゚A゚;)}「を゙ッ!?」

みなまできかずに、うつだのりょうかたをつかむ。

902:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:07:43 ID:h8GVwLGg0
( ´_ゝ`)「もし嫌いな奴が、金寄越せっつったら、鬱田は渡す?」

(゚A゚;)「え、えっ、えっ?」

( ´_ゝ )「渡す?」

('A`;)「わ、渡さない。渡したくない」

( ´_ゝ )「憎たらしい顔した奴が『鬱田って頼りになるなー金くれよ』
      って褒めてから金せびってきたら、渡しちゃったりする?」

('A`;)「しない」

( ´_ゝ )「殺したいくらい憎い奴が『俺ってお前がいないと生きてけないわ』
      って、言ったら、さ。鬱田は、昔を、水に流して、仲直り出来る?」

('A`;)「で、出来ない」

(   _ゝ )「今まであいつに金だけで750万くらい盗られたんだけどさあ。
      鬱田はそういうのって許せる? 盗られて仕方ないって思う?
      糞親父に言ったら、仕方ないって言いやがったんだよ。
      お前もそういうタイプか? 盗られたほうが悪いって奴か?
      部屋に鍵付けたら駄目、金庫も駄目、自分の口座も駄目。
      そうやって自己防衛しようと挙げた手段全部に駄目出しして、
      俺が自分で部屋に鍵つけたら、家を傷つけるなって殴るのか?
      危機意識が低いんだっつって、殴りかかってくる奴なのか?」

('A`;)「違う! 違う違う!」

903:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:08:26 ID:h8GVwLGg0
( # _ゝ )「お前が一番嫌いな奴が、この手で苦しめたい奴が、殺したい奴が。
      そんな奴が一番近くにいて、けど、周りは仲良くしろって口煩くて。
      何もかも分かってねえのに分かったフリして上から目線で偉ぶって。
      あいつの所業知ってて責め立てる奴も、俺が兄弟だって判った途端、
      『お兄ちゃんなんだから弟の面倒はちゃんと見てあげなさい』とか、
      『家族なんだから更生させろ』とか『兄なんだから手綱持て』とかさあ。
      マジふざけてんの? そういうのは親の役目だろ? 頭おかしいの?
      しかも、その糞親父も俺らの更生にハナから付き合わないんだぞ?
      小さい頃に離して育てたほうがいいって注意受けてたの丸無視して、
      部屋一緒にするとか、遠回しに殺し合えって意味だと思うだろうが。
      やっと一人部屋持てると思ったら、隣同士で窓伝いに移動できるしよ。
      あいつが俺の金盗ったから、あいつの部屋に行って取り返したのに、
      なあああんで怒られるのが俺なんだよ。やり返したら駄目なんだよ。
      ふざけてんのかふざけてんだよなあの家燃やすべきだよなやっぱ。
      ようやく遠くで一人暮らし出来ると、あいつと離れられると思ったら、
      一人暮らしの練習とかほざいて、糞野郎を送りつけてきやがって!
      練習させたいなら路上に放り出せよ! 何で俺に押し付けるんだよ!
      百歩譲って兄は弟の面倒を見るとしても、俺らは双子だっつの!
      俺が向こうより少しだけ早く、股からひり出て来ただけじゃねぇか!
      なんで同年代の奴の世話を俺がしなきゃなんねぇんだボケが死ね!
      つーかあいつの窃盗癖マジで治したいんなら金で解決すんなや!
      盗っても盗っても糞親父が弁償すっから治らねえんだよ馬鹿か!
      ああいや莫迦だったなそういや、馬にも鹿にも劣るマジもんだったわ。
      泥棒だの何だの言って殴る癖に、最終的にあいつの尻拭うからな。
      警察沙汰にして少年院に送りゃよかったのに、金でゴリ押しだもん。
      檻付きの病院にも入れねえで野放し、盗り放題とかどこの世紀末だ。
      しかも俺まで土下座行脚に付き合わされるとか、どんな拷問だよ。
      俺は何もしてねぇのに、何もしないのが悪いとかどういう了見だよ。
      あいつと一緒に、俺も何か盗めば良かったのか? 違うのか?
      何で四六時中おはようからおやすみまで監視しないといけねぇの?
      俺だけ限定的にそういう義務が発生してるの? バカじゃない?
      そもそも常に一緒にいるとか物理的に不可能なのを押し付けんな。

904:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:09:37 ID:h8GVwLGg0
      俺に責任とかあるわきゃねえだろ、あったとしても判り易く言えや。
      家族だからとか、兄弟だからとか、あいつと血が繋がってるからとか、
      何の関係があるんだよ。赤い繋がりあるだけの他人じゃねえか。
      俺に責任求める前に親に求めろや。頭も耳も目も膿んでんのか?
      そもそも責任だったら、奴を作った親が取るべきだろ、製造責任。
      何であいつの為に頭を地面に押さえ付けられないといけない訳ぇ?
      しかも、糞親父は俺が盗ったんだって終始勘違いしてましたしぃ。
      事が終わった後も勘違いしてすまなかったって謝罪貰ってませんよ。
      つーか、謝罪させようとした時に暴れたから泥棒確定とか何様?
      警察の誘導尋問? やってないけど『やりました』と嘘の証言しろと?
      言っとくけど、一番最初に殺人衝動で理性ぶっ千切らせたのは、
      あの時に俺の言い分なんか塵程も聞かずに殴った親父だかんな?
      自分の勘違いを人様の所為にして俺は悪くないとか死ぬべきだろ。
      まあ、全部の原因は糞野郎なんですけどねええええええええ!!
      結局、俺はあいつの頭下げた姿なんて見なかったんですけどお。
      盗まれた奴もあいつと一緒にいて止めてやってくれって何の事ぉ?
      ざっけんなよ、いつも通りにしてると『窃盗に走るのはお前の所為だ』
      仲良く見せかけたら『お前がそういう事を教えたんだろう馬鹿兄が』
      なぁんて言われんのにどうしたらいい? 納得するやり方教えろよカス。
      偉い人の前で取り繕う必要がある時くらい、流石に猫被るけどさあ」

:(゚A゚;):

( ´_ゝ`)「腹に一物据えて接してるのに、お前ら実は仲良いんだろと、か、あ」

:(゚A゚;):「……な、何?」

おっとっと、これを言ったら台無しだな。

905:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:10:57 ID:h8GVwLGg0
自分で自分の計画をしっちゃかめっちゃかにしてる自覚はあるが、
どれもこれも、簡単に俺を怒りの有頂天に叩きつける糞が悪い。

謙虚なナイトもびっくりするくらいの短気っぷりだ。9回以上殴る。


( ´_ゝ`)「いやあ、これは言う必要なかったな」

('A`;)「……?」

( ´_ゝ`)「ま、なんだ。一番大嫌いな奴が一生アナタに寄生します。
      自分から拳を振らない代わりに金を下さい養って下さい。
      これから一緒に仲良くしましょう、だから全てを水に流せ。
      ……つったら、鬱田はそれを全部許せたりしちゃう?」

('A`;)「相手のこれからの態度に寄るかな」

( ´_ゝ`)「えっ、ちょっと待って鬱田、俺の言葉聞いた?
      一生あなたの人生にぶら下がって邪魔します。
      何て抜かした奴の、これからの態度って何?」

('A`;)「あっ、ごめ、あの、放して、お願い」

( ´_ゝ`)「おおすまんすまん」

('A`;)「……ごめん」

( ´_ゝ`)「いいっての、つーか、あれぇ?」

906:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:12:31 ID:h8GVwLGg0
手から力を抜こうとしても、抜けない。
入れてる力を外側に向けようとしても変わらない。


('A`;)「兄者ごめん。そろそろ肩痛い……」

( ´_ゝ`)「っひ」

('A`;)「あの……」

( ´_ゝ`)「いひっひ」

(゚A゚;)「あ、あの……」

(*´_ゝ`)「冗談じゃなく手から力抜けないんだけどwwwww」

(゚A゚;)「えあ!?」

(*´_ゝ`)「手っがwwwwwwwwww動かないwwwwwwwww」

(゚A゚;)「うぇえ!?」

少しでもストレスを解消する為に、そのまま笑う。
通行人が大きく迂回して避けて行ったが、仕方ない。
そんな後ろ姿を見ても笑いが収まらないのだ。

907:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:13:57 ID:h8GVwLGg0









( 。´_ゝ`)「はー笑った」

('A`;)「……そうだね」

( ´_ゝ`)「なあ鬱田。頼むから俺の言葉を肯定して『はい』って言って?
      『うん』っつって。でないと解けない。手から力が抜けない」

('A`;)「は、はい?」

( ´_ゝ`)「疑問形じゃなくて。後半のイントネーション下げてもいいから。
      直接、口で伝えても鬱田は肯定しないだろうしさあ……
      頭の中で鬱田に質問繰り返すから、それに『はい』っつって」

('A`;)「どどどどういう」

( ´_ゝ`)「詳しく知らなくていいから、わからなくていいから。
      俺がお前の肩を脱臼させる前に、早く言って」

('A`;)「ひぁ、はぃ……」

908:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:22:21 ID:h8GVwLGg0
力が抜けると同時に、鬱田が俺の視界から消えた。

いつの間にか椅子から立ち上がって、鬱田を持ち上げていたらしい。
軽くて気付かなかった。マジで骨皮スネオだな。

携帯をいじろうとポケットに手を突っ込んで空振りする。
下に目をやると、開いたまんま落ちていた。


( ´_ゝ`)「うお、踏まれなくてよかっ」

(´<_` )「いぇーい、もーらい」

( ´_ゝ`)「あ」

(´<_` )「なんだよ相手アヒャかよ。ホモとかマジキメー」

否定はしない。実際にキモいしな。

糞ビッチとの罵倒は些か的外れではないかと思うが、
俺も実の兄弟がゲイに堕ちたとショックを受ければ、
そんな悪態の一つ二つは混乱して出るかもしれない。

身内に同性愛者がいるなんて、恥でしかないからな。
マイノリティを受け入れろと言われても『キモいので無理』
『気色悪いので駄目』『生理的にアウト』しか言えない。

909:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:27:56 ID:h8GVwLGg0
その前に、一つ訂正。


( ´_ゝ`)「俺はホモじゃねぇ」

(´<_` )「どうだか」

( ´_ゝ`)「男相手でもそういう下品な妄想が繰り広げれるのか」

(´<_` )「うるっせぇ、そんな妄想させたのどこのどいつだよ」

( ´_ゝ`)「内藤だろ。お前の程度が知れてるな」

(´<_`# )「だー! ムッカつく! つーかよお! この部屋の前で、
      わざわざ修羅場ってんなよ! 出れねーじゃん!」

( ´_ゝ`)「いや、終わってたなら出て来いよ」

(´<_`# )「出て行ける空気かアホ!」

罵倒と共に携帯が飛んで来たので受け止める。
ボタンを押したのか、我が母のメールに切り替わっている。

910:名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:42:31 ID:h8GVwLGg0
内容は、言質についての返信。

前提として、病院で性的に暇してる糞野郎の携帯には、
フィルターどころかネットが使えないようになってると。

ネットで調べなければデリヘルの番号も判らないので、
病室に女を呼ぶ事はないだろうと我が母は安心していた。

我が母ながら、危機感と言うより、学習能力のない女だ。
母親じゃなかったら、とっくに見捨ててどっか行ってる。

で、まあ、性的な事に使おうにも真新しい携帯。
保存していたハメ取り画像も、エロ絵もない。

なので、狂ったように俺にメールして時間を潰していたらしい。
返信一つもない、送りっ放しの状態で満足出来るとは……。

それで、返信が来たと思えば内容は糞野郎にとっての最悪。
激昂してメールを送ろうとしても、着信拒否で送り返される。

ここで『メールアドレスを変更して俺に送る』って発想がない辺り、
やっぱり程度が知れてると言うか。考える頭がないと言うか。

んで、ぶち切れたこいつは、怒りを性欲で発散させようと、
精神科付近でふらふらしてる女をナンパして捕獲。

快諾した女はメルアドを交換し、めでたくメル友。

と言う流れらしい。

912:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:47:00 ID:.JPUqVcY0
怒りを性欲で発散て、どうしようもない奴だな。

ストレスを色事で解消しようとする類の人間は、
総じて皆ゲスだと思っている。最悪の人種だ。

せめて、R18な創作くらいが限度だろう。閑話休題。


弟者がその女とのメールを止めるよう仕向けるか、
最低でも女が病室に入るのを阻止して欲しいらしい。

口約束でいいからそれをさせ、録音。言質とする、と。

……我が母には悪いが、これは利用させてもらおう。
糞バカに携帯を持たせるとデメリットのほうが大きいと、
いい加減知って貰わねばこっちの気力が持たない。

女が部屋まで押し掛けて来ないような奴なら、
清いメル友()のまま続行しているのを報告。

押し掛けて来るアバズレなら、都合がいい。

以前、頑張ってつけた執行猶予を、別の罪状でつけ直してやろう。
執行猶予を無罪放免と勘違いするような、無学のアホだからな。
その猶予も、知らん間に揉み消されて、学習させる機会はなかったし。

糞親父は、離婚した今でもこっちに手を伸ばす気があるのかどうか。
我が母は、どこまで俺とあいつの関係に危険視しているのかどうか。

色々と確かめれるいい案件だ。思わず笑みが毀れる。

913:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:47:50 ID:.JPUqVcY0
逆に、俺が檻にぶち込まれる破目になってもいい。

一人じゃ生きられないの言葉通り、出て来た暁には死体と対面したい。
もし死体になってくれてたら、線香くらいは供えてやろう。糞の上にな。


(´<_` )「オイ何考えてんだ兄者、さっさと押せよ」

( ´_ゝ`)「……車輪くらい自分で動かせ」

(´<_` )「やだよ胃カメラで疲れたのに。兄者が駄目なら、
      さっきからそこでガン見してる毒男でもいいぜ」

(;'A`)「え、俺?」

(´<_` )「そーそー」

('A`;)「兄者は押さないの?」

( ´_ゝ`)「鬱田、今度は意識して怪我させるけど、いいの?」

(゚A゚;)「だっ、駄目!」

(´<_` )「そういや名字呼びなのな、鬱田」

( ´_ゝ`)「どうでもいいだろ、そんな事」

914:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:49:29 ID:.JPUqVcY0
(´<_` )「毒男も毒男だな。こいつがキレた後に、
      また同じ話題持ち出そうとするとかよお」

(;'A`)「え? だって、仲直り……」

( ´_ゝ`)「こいつが擦り寄って来る時は、何か欲しい時だけだっつの。
      今度は何が欲しいんだ? 遠回しはウゼェからさっさと言え」

(´<_` )「じゃあ、お前のクリスマスプレゼント買う金ないから、
      プレゼント買う分の金寄越せ。釣りは返してやるよ」

考えるより先に、勝手に拳が糞野郎の顎を打ち抜いた。
携帯を握っていた手なので、ダメージが更に乗っているかもしれない。

かなり力が入ったのか、車椅子の背もたれ部分で頭がバウントして、
体全体が前に崩れ落ちる。そのまま停止。起き上がる気配はない。

横で見ていた通行人が、息を呑んで何処かに走って行った。
単純に逃げたのか、看護師でも呼んで来るのか、どっちでもいい。

ここで寝てりゃ、誰かがこいつを運ぶだろうし。
放置されてれば、いずれは起きて病室に戻るだろう。


にしても不愉快だ。計画変更。どさくさに紛れて、

915:名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:50:28 ID:.JPUqVcY0




刺そう。





















33.糸冬

拍手

837:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:18:43 ID:O1SgwSOs0
32.恨み言を吐くので対話はまたの機会に


内藤は、泣いてる鬱田を肩に担いで持って帰った。
ちなみに、今回ばかりは見舞い品はないようだ。

当たり前か。泣かされに来たようなもんだしな。

携帯に保存されたのはしょうもない映像と救えない言葉。
鬱田は、内藤に握られる弱味が日に日に増えてくな。
いつか死ぬぞ。情報社会的な意味で。


(´<_` )「あーやっと帰ったか、でも暇だわ」

( ´_ゝ`)「舌でも噛めよ」

(´<_` )「なんでだよ」

こんな奴から、一体何の言質を取ればいいのか。
さっきから我が母にかけているのに繋がらない。

会議か? それとも、また携帯を忘れてるのか。

838:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:20:43 ID:O1SgwSOs0
電話が無理なら、とメールを送っても返信が来ない。
糞野郎の他に籍云々の事についても聞きたいのに、なあ。

携帯のボタンを打つのも面倒臭くなってきた。
帰って来てから、まとめて口で聞くのは駄目なのか。

その場合、食事を作れとか言われそうだなあ。

仕事をして疲れて帰って来た側が、疲れた体で料理をするのはおかしい。
とは我が母の持論だ。確かに、家にいる側が作るべきなのは分かる。

そのお陰様で、こいつとルームシェアしてる時は刃物沙汰になった。

大学から疲れて帰って来て、寝転がって屁をするゴミに「飯作ってー」
なぁんて言われたら、ジャンピングニープレスくらい喰らわせたくなる。

別に、たった一日でそこまでキレたりはしない。
一ヶ月間、ちゃんと俺はあいつの分の飯も作り続けた。

しかし、家に知らない女を連れ込んで、勝手に俺の分まで食わせたり。
男友達を呼びまくって、俺に料理しろと命令して乱闘騒ぎになったり。
ちゃんと冷蔵庫にしまえと言ったのに、出しっ放しで腐らせて台無しにしたり。
それで「あめらせちまったからまた作って」とほざかれたら堪忍袋の緒も切れる。

キレて当然だろう。俺は学生であり、主夫じゃない。
最後のは包丁を装備して特攻した。と言っても、別に刺したワケじゃない。

839:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:21:53 ID:O1SgwSOs0
カーテンで簀巻きにしてやったフードクラッシャーをベッドに寝かせ、
それの背中に包丁を添えたまま、一晩懇々と説得し続けただけだ。

なんて優しい。
甘過ぎて反吐が出る行いだ。
刺し殺せばいいのに。

その行為でようやく料理する誓約を取り付けても、次の日に見た物体は、
インスタントラーメンにただの水を入れて「あれー?」と鳴いてる粕だった。

バカの事で糞親父にルームシェアを解消するよう連絡を入れても、
料理を作れるほうが作ればいいと言う投げやりな言葉しか出ない。

一人で自分の世話すらした事もないクズが。出来ないカスが。死ねばいい。
だから我が母に家を追い出された時、フランスパンを齧るしか脳がないのだ。
それに哀れみを覚えて優しい母が再構築しようとした挙句、浮気相手に愚痴。

糞戯けはどっちだ、この抜け作野郎。馬鹿は死ななきゃ治らない。
家無しになって、路上でホームレス狩りにあって死ねばいい。

孕ませた女の堕胎費を、俺の通帳から盗って行ったのを抗議しても、
弟なんだから面倒見ろと言った親父には薄い期待しかなかったがな。


(´<_` )「なー、クリスマスどうする?」

( ´_ゝ`)「……」

(´<_`; )「なーぉッフグェボッ!」

840:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:23:37 ID:O1SgwSOs0
ベッドの縁から飛び出た生首にチョップをして、布団を被る。
日光が布を透けて届くので、日記を書く分に不都合はない。


料理かぁ。料理ねぇ。

今の家はガスコンロだから怖いんだよなあ。火は怖い。炎は怖い。
熱いのは苦手だ。火傷も苦手。血が出ない、じくじく続くは痛みは苦手。

小さい頃のアルバムを見ても、花火を楽しんでいる俺の腰は引けている。
祖父が火事で死んだのと関係あるのかどうか定かではないが、苦手だ。
今ドキなキッチンにある、IHヒーターでないと料理する気が起きない。

それをアヒャに言ったら「任せろ!」と素早く親指を立てられたが、
あいつの脳内で一週間遊ぶ約束が別方向に進んでる気がする。
まあ、ヒーターなら料理できるから、少しくらいはいいんですけど。

料理っつっても、よくサバイバル生活をしている○口君よろしく、
煮る一択の男の料理だけどな! 炒める? 無理、油が弾ける。

前にネギと鳥肉を炒めていたら、ネギが爆発して天井に貼り付いた。
何を言ってるかわからねーと思うが、俺も何が起きたのか判らなかった。

そんなポルナレフ状態になって油断している時にまた色々爆発し、
熱々の鳥肉が顔面に襲いかかって来た。宇宙の法則が乱れる。


以来、ゴム手袋とマスク、ゴーグルと帽子を装備しないと炒め物が出来ない。

841:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:24:39 ID:O1SgwSOs0
だが、料理する度に重装備するのは面倒だ。
どうせなら顔面全部を覆うようなものが欲しい。

ライダー用フルフェイスヘルメットは、中に空気が篭るので却下。
銀行強盗が被るようなフルマスクも却下。簡単に燃えてしまう。
情けない出自の、ジャパニーズ製フレディ・クルーガーにはなりたくない。

ガスマスクだ。耐燃防備の丈夫なガスマスクが欲しい。
フライパンを持つダースベイダーはシュールだと思うが、
被るのは家でだけだ。人にお披露目するつもりはない。

ヘマして有毒なガスが発生してしまっても、ガスマスクを被っていれば大丈夫。
何かが爆発してヘッドショットを狙って来ても、ガスマスクを被っていれば大丈夫。

料理する際には絶対に必要な防具と言える。


(´<_`# )「こっ……このや」

(´<_`; )「もっ!?」

布団を捲られて眩しかったので、マクラカバーを剥いで被せた。
そのまま枕元に色々あるコードで袋の口の部分、首を縛る。


( ´_ゝ`)「おっ」

バランスを崩して倒れたが、途中でビンッとコードが張った。
床までコードが届かないので、中途半端に首が吊られている。

842:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:25:25 ID:O1SgwSOs0
さて、死ぬのかどうか。
行く末を見守る。

背中は微妙に浮いているが、腰は床についている。
救命用でもないから、そんなにキツくコードを結んでもいない。

こりゃ死なねぇな。

結び目に指をかけたら、簡単に解けられた。
カバーを持ったまま殴りかかってきたので受け止める。
病院生活で筋肉が落ちたのか、足を使えないからか、力は強くない。

いいね。力の差があると言うのは。余裕が生まれる。
これが優越感、いや、愉悦か。糞ざまあ。

相手の顔があからさまに悔しげだと、口の端も上がるってもんだ。

でも、今は日記が優先なので無視。   
これから俺は受診なのだ。       
最近、色々有り過ぎた事をまとめなければ。


(´<_`# )「クッソがぁ……この俺が珍しく、この俺がだぞ!?
      クリスマスにプレゼントしてやろうと思ったのに!」

( ´_ゝ`)「へー、すごい。その上から目線」

843:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:26:35 ID:O1SgwSOs0
プレゼントして”やろう”って、どこまでお貴族様なのやら。

貰って”あげる”の乞食様と同じくらい鬱陶しい。


(´<_`# )「ムカつくからさっさと言え! んでそこどけ!」

( ´_ゝ`)「ガスマスク」

(´<_`# )「はっ!?」

また拳を振り被ったので受け止めようと思ったら、空中で静止した。
受け止めようとした俺と、バカみたいに拳を掲げたチンパンジー。

まるで俺が何かしらの見えない力を行使したような光景だが、
別に、覚醒しちゃってスタンド能力が発現したとかは思わない。


(´<_`; )「あ、あぁ?」

( ´_ゝ`)「ガスマスク」

(´<_`; )「あ?」

844:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:28:09 ID:O1SgwSOs0
(´<_`; )「な、何に使うんだよ」

( ´_ゝ`)「料理」

(´<_` )「は?」

( ´_ゝ`)「料理」

(´<_`; )「は?」

どうやら日本語が通じないようなので、疑問符を無視。

あと日記に書く事は……今来た手紙かな。
俺としては、籍入れだけに関しては乗り気だ。
煩い連中を黙らせる事が出来るからな。

実際、障害者同士の結婚のメリットは何々だろう。
俺としては、自分以外の周囲の世間体としてしか受け止められない。

奴らは、勝手に婚姻届を出して、俺らを結婚させようとする膿家だ。
婚姻不受理届を出してそれを防いでいたら、今度は撤回しろと電話攻撃。
家まで押し掛けて来て結婚結婚と煩く暴れ、叩き出したら老人虐待と騒ぐ。

あんな一族、さっさと滅びればいい。名家でも何でもない。田舎の癌だ。

そんなダニ屋敷に折角来てくれた嫁に、子供産め産め精神口撃をして、
ストレスで不妊状態にさせ、ようやく子供が出来ても、いびって流産させる。

頭が狂っているんだろう。行動の全てが矛盾している。

845:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:29:45 ID:O1SgwSOs0
精神科に引き摺って行き更年期障害と診断されたが……最近その病名が、
年食った女性のキチガイに対する都合のいい言い訳になってる気がする。

更年期になった女性が全員、攻撃性の高いキチガイになるんだとしたら、
国がさっさと更年女性収容所なり、更年期の療養施設なり作ってるだろ。

話を戻して。攻撃性が高い上に別のものも併発しているから入院させたのに、
狂気は感染するのか、こっちの家への電話攻撃は減らない。むしろ、増えた。
電話会社に連絡して、そこからの電話を繋がらないように頼み、ようやくだ。
突撃したらどっかに押し込められるのが分かったのか、それ以降は静かだ。

一般的な、幸福な最期と見なされる。『家族に見守られて見取られる』
『畳みの上で大往生』を遂げたいなら、跡取りを大事にすべきだろうに。

自ら家を追い出されるような事をするとか、やっぱおかしいんだろうな。


んん、待てよ。良い事を思い付いたぞ。

嫁をいびってなくても、自分が優しくても、良い家族がいたとしても。
家族や孫に囲まれて逝きたいと願っても、そうはいかないのが現実だ。
天涯孤独の身ではそれも無理だろう。ホームレスの老人ならば尚更。

正直、ホームレスになるくらいなら素直に老人ホームへ入れと言いたい。
金が無くても住居が無くても、一応、受け入れるだけの施設はある。

その場合、一人用の個室ではなく、大部屋に大勢で押し込まれる事になるが、
飯も出て、屋根がある空間で布団を敷いて寝れるだけいいんじゃないか?

846:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:31:35 ID:O1SgwSOs0
それに、そこだと誰かに囲まれて逝ける。
囲まれて逝くと言う目標は達成できる。

もうさ、老い先短い人に唾を吐かない優しい人間なんかを集めて、
その団体に『今わの際の老人を見守り隊』とか適当に銘打って、
囲まれて逝きたい人向けのサービスとかにしたらいいんじゃね?

孤独死する老人を防ぎたい若人、囲まれて逝きたい老人。
ついでに、自分を善人アピールしたい偽善者。悪人。一般人。

勿論、ボランティア。遺族でもないのに金を集る奴は脅迫で逮捕。
目の前に餌をぶら下げて、いざって時にラインを越える奴かどうか、
これで犯罪者の寄り分けも出来てしまう。社会は少し浄化される。

これぞまさにWIN-WINの関係。全てに置いて、共に損は無し。
「老人の孤独死チョー可哀想」なんて口先だけの奴もこれで減るだろう。

結構いい考えじゃね?

日記にまとめた事を読み返しても、自分のなので異論は見つけられない。
一般の視点から見れば、おかしいと言われる箇所があるかも。

相談相手は……どうしよう。今のところ糞野郎しかいない。

ひたすらクッキーを貪り食っている。ヤケ食いか。

いいや。目の前に日記を差し出す。

847:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:33:02 ID:O1SgwSOs0
(´<_`. )「なん……これ」

( ´_ゝ`)「口元が汚ぇ、読め」

(´<_`∩)「えー面倒くさ」

などと言いつつ読んでいるので、別の日記を取り出す。

と、そこでアヒャの存在を思い出して気付いたが、
彼氏がいて妻がいる状況って、何だ。二股?

定義を調べると『二人の恋人と同時交際すること』だった。
片方が恋人ではないから、この場合は……不倫?

定義を調べると『一夫一婦制から逸脱した男女関係』だった。
微妙である。片方が女ではないので、もっと詳しく調べる。
そしたら『配偶者以外の異性と恋愛し、性交を行うこと』だった。

異性ではない。同性である。しかも、恋愛感情は俺にはない。
向こうにだけある。この場合はどうなるんだ。浮気か?

すると『異性交際において本命の恋人と交際関係を維持しながら、
無断で他の異性と交際すること』なんて出て来て、もう駄目だ。

あれかよ。傍から見れば、ゲイが自分の性癖を隠匿する為に、
一般女性やレズビアンと形だけの籍を入れるように映るのか。

848:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:34:17 ID:O1SgwSOs0
……うん。

どっちにしろ、浮気や不貞に似た行為は絶対にアウト。

両方に訊ねるか。後々起こる面倒を回避する為にも。


妻予定に送るメールに、
『もしかしたら彼氏ができそうなんだけど大丈夫か?』

一週間限定彼氏予定のメールに、
『親戚メンドいから仲良い奴と籍入れるけど大丈夫?』

と、送信。


( ´_ゝ`)「あー……」

文面から差が滲み出ている。仕方ない。
付き合いの長さも、性別の違いも、関係の違いもある。

つーか、経済的なメリットだけを考えれば、
どっちとも付き合うのが正解なんだよな。

籍相手とはお互い手帳持ちなので、税金の優遇が更に成される。
アヒャとは、将来的な暗さが見えない。金銭的な余裕がある。

849:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:35:07 ID:O1SgwSOs0
親の介入さえ無ければ、両方の関係を維持するのが安泰だ。

アヒャが、マンションの使用人として俺を正式に雇っちまえば、
アレな人を雇用してありがとうとアヒャの通帳に更に金が来る。
今は、良い人過ぎる社長に雇用されてるから無理だけど。

借りてる部屋の名義を俺にすれば、税金控除が更に可能だ。

外に出て、公共施設やデカい場所に入って使用する場合、
手帳を出して、アヒャを俺の保護者だと説明すれば、
二人分の代金をまとめて浮かせる事もできる。

法律的にグレーでもブラックでもなく、全て健全な真っ白だ。
保護者が家族である必要も、介護職員である必要もない。

俺と妻予定の手帳を重ね合わせれば、向かう所敵無しになる。
アヒャが俺との関係を汲んでくれれば……って、あれ。あれれ。


なんで、俺が、真面目に、アヒャとの将来を考えてんだ。


アホか。どうかしてる。自分の頬を打って、目を覚ます。

あいつは不眠で追いつめられてて、起きたまま悪い夢を見てるだけだ。
それに釣られて、俺も悪い夢を見てしまった。今のは忘れよう。

開いてるページ全体に大きくバッテンを書こうと斜線を引いて、
片方だけ引いて、止めた。もう一度、別の方向に考える。

850:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:37:25 ID:O1SgwSOs0
この文章を書いた俺は、人の思いを利用してるだけだ。
ただ自分が楽できる将来を、一人で考えただけだ。

よし、これをアヒャに見せよう。
幻滅してくれるかもしれない。

簡単に股開くビッチは嫌いっつってたし、金目当ての女も嫌いだろう。
財産目当ての寄生虫は、まず既成事実の子供を欲しがるからな。

例え一発で妊娠しなかったとしても、他の男で子供を作ってきて、
自分とお前とのクソガキだと喚く。DNA検査で逃げたらもう確定。

多分、あいつらはカッコウの遺伝子が混ざってる。
托卵がその動かぬ証拠。人間じゃないのだ。


(´<_`; )「おい……兄者……」

( ´_ゝ`)「あん?」

(´<_` )「いつアナニーしやがった」

( ´_ゝ`)「テメェどこ読んでやがる」

日記を取り戻して、ページを見る。
わお、俺の黒歴史じゃないか。

見たのが年中発情野郎だから良いが、この日記は持ち歩くの危険だな。
さっさと全ページ書き込んで、本棚の肥やしにしてしまったほうがいいか。

851:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:38:56 ID:O1SgwSOs0
(´<_` )「俺は尻じゃ全然だったのに……」

( ´_ゝ`)「言っとくけど、俺がやったのはお前のアナニーじゃねえ。
      医者に言われた前立腺マッサージだ。一緒にすんな」

(´<_` )「ケツでイけたんだろ、このド変態が。もう風呂に沈め」

( ´_ゝ`)「イってねぇよ。それにその言葉だと男の過半数は変態だ」

(´<_` )「アホか、初でイけるお前が変だっつってんだよ。
      そんなモンで神に選ばれんなや、さっさと辞退しろ」

( #´_ゝ`)「うるせぇ俺だってそんなん不本意に決まってんだろ。
      お前みたいな性欲旺盛な奴が選定されりゃいいのに。
      つーか、読ませようとしたのはそのページじゃねえ」

(´<_` )「老人囲んで見届けるって……普通に無理だろ。
      他人の死に際だぞ? 家族でもないのにキツいわ。
      この光景想像しても、邪教にしか考えられねーし」

( ´_ゝ`)「む、それもそうか」

『今わの際の老人を見守り隊』の案に、文章を付け足す。
”尚、他人の死に際なので、PTSDの可能性も視野に入れる事”

ただなあ。俺としては、人の死に慣れておいて損はないと思うんだよね。
そうなれば、いざ自分の番となった時に、恐怖は少ないだろうし。
扉を開けて、いきなり首吊り死体と御対面しても吐かないだろうし。

子供の情操教育にだって繋がるんじゃないか?

852:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:40:28 ID:O1SgwSOs0
今時の子供はゲームの所為でうんたらかんたら言う連中も、
老後に関わるこんな具体案を出されれば黙るかもしれない。

いや、冗談だ。

凄まじい数の異論が、拳を握って助走つけて来るのが目に見える。


(´<_` )「おっ前さ、あっちで世話したばーちゃん見殺しにしたって、
      帰ってから軽くショック受けて鬱んなってなかったっけ?
      んな事あったのにコレとか、マジどんだけ~って感じ」

( ´_ゝ`)「お前だって当日死体抱えて避難所来る程パニクってたろが。
      どう見ても死体です本当にありがとうございましたな物件なのに、
      生きてるって言い張ってた奴に言われたかねーよ。寝てろ」

(´<_` )「んだよ、波引いて、ついさっきまで俺と話してたんだからさぁ。
      普通は生きてるって思


 『イィーッヒッヒッヒッヒッヒwwwwwwwwwwww』


( ´_ゝ`)「おい」

(´<_` )「あ、俺の携帯だわ」

( ´_ゝ`)「オイ」

853:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:41:53 ID:O1SgwSOs0
『ヘェッフwwwヘェッフwwwwヘェッフッフッフッフッフブフブッフゥwwwww』


( ´_ゝ`)「母さんの笑い声着信にするとかマザコンきっも」

(´<_` )「はぁ? 百歩譲ってもマザコンじゃねーよウケ狙いだよ」

『フッヒッヒッヒッヒイッヒイイイヒヒwwwwヒアッフォwwww』


( ´_ゝ`)「何がウケるんだよ、ただ頭おかしい人の笑い声じゃんか」

(´<_` )「兄者に笑い声おかしいとか言われたくねーわ」

『ンッフww……ンッフゥwwww……だ、大ん丈夫ぅ、もう、も』


( ´_ゝ`)「いい加減出ろよ」

(´<_` )「もうちょっと」

『……も、大丈夫………ぅ……………………んブッフォ!』


( ´_ゝ`)「取れって」

(´<_` )「まだ」

854:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:43:03 ID:O1SgwSOs0
『フォッフォッフォwwwホオッホオッホオwwwwwヒエッヒエッヒエェィイwwwwwww』

『キッヒィ――――』 ピッ


( ´_ゝ`)「もしもし」

(´<_`# )「勝手に出るなよ!」

ここにはいない我が母がいたたまれなくなったから、代わりに出たのに。

舌を出して中指を立てると、モンキーよろしく興奮し出した。こいつ面白。
動物園に就職しろよ。あそこは食って寝て、交尾すりゃいいだけだ。


『あら、兄者なの?』

( ´_ゝ`)「うん」

『兄者の携帯に繋がらなかったから、弟者にかけたんだけど』

( ´_ゝ`)「ごめん、録音モードにしてた」

『そうだったの。弟者に言い忘れてたんだけど、今日胃カメラの予定だから、
 部屋を出て、ナースステーションの人を呼んで。連れてってもらえる筈よ』

( ´_ゝ`)「はーい」

855:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:44:03 ID:O1SgwSOs0
『弟者だと話聞けないだろうし、兄者も付いてってね』

( ´_ゝ`)「えぇー、そんくらい紙に書かせりゃいいじゃん」

『付いてってね』

( ´_ゝ`)「対価は」

『それじゃ』 プツッ

( ´_ゝ`)「あっ」

対価と言質について聞こうと思ってたのに。もういい、掛け直さない。
通信画面を抜けたところ、待ち受けが何故か俺で不快感は更に加速。

いそいそと食べ物をウンコに変換する奴を、待ち受けに設定し直す。
沈黙した携帯をベッドに投げつけたら、バウンドして奴の頭に落ちた。


(´<_`; )「イッテ……何の電話?」

( ´_ゝ`)「胃カメラやれってよ」

(´<_` )「っべーな、そういや、前にんな事聞いたような」

胃の中を調べる時に、事前に物食ってても大丈夫だったっけ?
駄目にしろ、行かなきゃならん事に変わりはないか。面倒くさ。
カメラが喉に詰まって、窒息死してくんねぇかな。

856:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:45:21 ID:O1SgwSOs0
(´<_` )「あーあ、兄者が地面に下ろしてくれたお陰で、
      車椅子に届かねーわ。こりゃ行けねーわー」

( ´_ゝ`)「粘液出して壁這ってけよ」

(´<_` )「鼻水しか出ねぇ」

なめくじの権化の前まで、車椅子を運んでやる。


(´<_` )「いや、ここまで来たなら乗せろよ」

ゴム手袋が欲しいところだが、無い物ねだりしてもしょうがない。
擬人化した粘体生物の腰を掴んで、持ち上げてやる。

落ちないよう服を反射で掴んだっぽいが、そんなに力は入ってない。
俺の行動が予想外だったのか、目を見開いてこっちを見ている。

いいねぇ。笑えるぜ、その顔。

アホ面晒したままのそいつを、車椅子の座席目掛けてバックドロップ。

車椅子と俺とオランウータン、全部からゴギゴギと嫌な音が響いたが、
これくらいどうって事はない。ダメージは向こうのほうが大きい。
こいつの間抜けな顔を見る為なら、背筋の痛みくらい安い代償だ。

857:名も無きAAのようです:2013/04/03(水) 08:46:15 ID:O1SgwSOs0
(´<_`# )「いっでぇ~~~~~マジでいってぇ、アホかクソが」

( ´_ゝ`)「阿呆なのか排泄物なのか統一しろよ」

(´<_`# )「うるせぇ糞ゴリラ」

結局ウンコに落ち着くのか。なんて考えて油断していた。

車椅子に備え付けられてあった松葉杖を手に装備して、
俺の股間に向かって容赦なくアルミの棒を打ちあげる。 
内股になって防御する暇もなく、金の玉にジャストミート。 
                          
反射的に膝から力が抜け、遅れて
鈍い衝撃が股ぐらから響、く


866:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:34:18 ID:QWC3U6Aw0






















が、

松葉杖による打撃の衝撃しか響かず、
覚悟していたゴールデンボールの痛みがない。

867:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:35:12 ID:QWC3U6Aw0
(  ゚_ゝ゚)「?」

{(゚<_゚; )}

何故か自身の股間を抑え込んで震えている加害者を措いて、
ベルトを緩め隙間を作り、ミートボールの様子を確かめて見る。

これといった外見の変化は無い。
もし、あったら大惨事です。

ベルトを戻して、チンポジを直すついでに、布越しに感触を確かめる。

触っても痛みはない。全然痛くない。むしろ、無痛ってゆーか?

手でゴム握ってる感触しかないとか、チョーヤバイ感じしかしないんですけどぉ?


混乱して、チャラくなっている思考回路を切る。

なんだろう。松葉杖が上手く玉を避けて、偶然股関節に当たっただけとか?
実は不感症も併発したとか? 衝撃が強過ぎて、神経が麻痺ってるとか?

全くわからん。医者に聞いたほうがいいな、これは。
普通は激痛に悶える筈なのに、何のシグナルもないとかヤバい。

いや待て、男の急所である金的の一つが無くなったと考えれば、
これは良いものなのかもしれない。ポジティブに考えよう。

868:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:36:00 ID:QWC3U6Aw0
あ、実は松葉杖が予想外に柔らかかったとか? 有り得ないけど。

一応、松葉杖の威力を確かめる為に手に持って見る。軽い。固い。
目の前で行儀よくお座りしていた猿の襟首を掴んで持ち上げて、
空いた股間を杖で打ち上げた。目が飛び出しそうなくらい開く。


 ゚(<゚_  )

一瞬痙攣して固まったそいつを車椅子に座らせると、ゆっくり体を前に倒していく。
謝罪のお辞儀かと思ったが、その体勢で股間を抑えると、微動だにしなくなった。

前傾姿勢になり過ぎた考える人みたいだ。一応、写メっとこう。
こいつが難しいものを考える時なんて、皆無に等しいが。


( ´_ゝ`)「あ、録音したままだった」

∠ ∠ ;)

( ´_ゝ`)「保存しとくか……」

∠ ∠  )

ピロリーン

おk。情けない姿、撮影完了。こいつと共有の知人に回してやる。
陰で後ろ指差されて、嗤われ続けろ。糞野郎が。

869:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:37:02 ID:QWC3U6Aw0
∠ ∠ #)「覚えてろよ糞兄貴……!」

( ´_ゝ`)「俺の台詞だボケ」

悪態を吐くまで回復したらしいが、姿勢を正す気はないらしい。

このままだと、車椅子を動かすのも儘ならなさそうなので、
優しい俺はナースステーションまで押して行く事にした。

周囲の人間にも、これで仲が改善されたと錯覚させれるだろう。


(´<_`#;)「こっの野郎……」

( ´_ゝ`)「もう蘇生したのか? 墓に戻れよ」

(´<_` ;)「くっそヤロー。金的で死ぬニュース見て笑ってたけど、
       バカに出来ねーわ。この痛さは死んでもおかしくねー」

( ´_ゝ`)「死ねばいいのに」

(´<_` )「溜め息と一緒に吐き出さないでくれない?
      何でか知らんけど今すげーショックだった」

( ´_ゝ`)「ふへっ」

870:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:38:02 ID:QWC3U6Aw0
( ´_ゝ`)「俺がお前に、生きててほしいって、考えると思うのか?」

(´<_` )「ま、思わねーよな。兄者が丸っきり俺みたいな奴だったら、
      俺も普通に殺しにかかってると思うわ。色々複雑だけど」

( ´_ゝ`)「なんだ……嫌に素直だな。殺されてくれるのか?」

(´<_` )「死ぬワケねーだろ。そうなったら殺されてでも道連れにしてやるよ」

( ´_ゝ`)「死体は動かねぇよ。一人で勝手に死んでくれ」

(´<_` )「嫌ですぅー」

( ´_ゝ`)「じゃあ俺の目の前から消えてくれ」

(´<_` )「誰が消えるかよ。纏わりついてやる」

( ´_ゝ`)「うぜぇ死ね」

(´<_` )「誰が死ぬか」

堂々巡りだ。面倒くっせぇ。

俺がこの調子だと、医者の話も素直に聞けそうにない。
なので、携帯を録音モードにし、ポケットに突っ込む。

871:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:38:48 ID:QWC3U6Aw0
(´<_` )「実際問題、兄者がいなくなったら生きてけねーしさぁ」

( ´_ゝ`)「マジかよ。なら暫く家に帰らないから、その間に」

(´<_`; )「バッカ、違ぇ。金銭的な問題でだよ」

( ´_ゝ`)「どっちにしろ、一人になったら死ぬ時点で兎の亜種だろ」

(´<_` )「誰が一人になったくらいで死……ぬな、俺。
      色々集れる相手がいないと生活できねーわ」

( ´_ゝ`)「そうなのか、死んでくれないか」

(´<_` )「いいよ、ムカつけよ。程良く悪だと安心して金取れるしさ」

( ´_ゝ`)「はあ?」

(´<_` )「安心してっつーか、罪悪感なく盗れるっつーの?」

( ´_ゝ`)「俺が優しくなったら、何も盗らなくなるのか?」

(´<_` )「意識して何か盗るのはなくなるだろ。多分。
      無意識に手が伸びるのはどうしようもねー」

( ´_ゝ`)「へえ。今日から頑張ってみようか」

872:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:39:28 ID:QWC3U6Aw0
(´<_`* )「あの兄者が、こんな俺に優しくぅ?
      無理に決まってんだろ無理無理ィ!」

( ´_ゝ`)「ふむ」

悔しいが正論だ。正論なのでムカつきはしない。
むしろ、そこで素直に出来たら俺じゃないしな。


(´<_` )「あれ? 怒んねーの」

( ´_ゝ`)「正論ですので」

(´<_` )「そこは怒れよ……」

( ´_ゝ`)「何で?」

(´<_` )「もうちょっと優しくしてくれたら俺だって、こう、色々さあ。
      マジメに仕事してやろうとか、思うかもしんないじゃん?」

( ´_ゝ`)「フーン」

(´<_` )「今の状態どうにかしたいから兄者も殺意に漲ってんだろ?
      なるべく争いを避けたい、何もかんもを話で解決させたい、
      腹立つくらいヘタレの日本人みたいな考え方に励もうぜ」

( ´_ゝ`)「嫌です」

873:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:40:38 ID:QWC3U6Aw0
(´<_` )「なんでだよー。穏便な、平和的解決をしようぜ。
      任侠映画でも武力解決は最後だっつってたし」

( ´_ゝ`)「やです」

(´<_` )「そんなに俺の血が見たいのか人殺し」

( ´_ゝ`)「そうですね」

(´<_` )「テメェ会話する気無くしやがったな……」

( ´_ゝ`)「ですね」

どっかがプッツリいったのか、急速に気が萎えて来ている。
もしかして金的か? 股間が全ての原因なのか?

唐突に心が凪いだ、と言えばいいのか。
我ながら安定しない心臓だ。常にこうならいいのに。

ただ、今なら何を言われてもキレる事はなさそうだ。
ここは出来るだけ疑問をぶつけておく。


( ´_ゝ`)「自分がいないと駄目とかよく言うけど、
      お前より先に死なれたらどうすんの?」

(´<_` )「そりゃ後追いするしかないだろ」

( ´_ゝ`)「何で?」

874:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:41:19 ID:QWC3U6Aw0
(´<_` )「よくよく考えてみ。こんだけおんぶに抱っこでさ、
      今更一人でとかやってけなくね? 無理じゃん」

( ´_ゝ`)「他に集れば」

(´<_` )「何事にも限度があるだろー。借りた金返さないと面倒だし。
      俺だって体重積載車って言うサイマーにはなりたくねーし」

( ´_ゝ`)「多重責務者」

(´<_` )「ああそれ」

( ´_ゝ`)「で?」

(´<_` )「で、も何も……借金したら、色々楽しめねーじゃん。
      ぶっちゃけ追われる生活じゃん? 取り立て屋とかさ」

( ´_ゝ`)「そうだな」

(´<_` )「そういう、楽できない生活なんか嫌に決まってんだろ。
      隣で、同じ面で同じ腹を痛める奴もいないってのに」

( ´_ゝ`)「そうか」

(´<_` )「何か言えよ」

( ´_ゝ`)「言ってるだろ」

875:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:42:15 ID:QWC3U6Aw0
つまりは、良心の呵責なく金を毟れる奴が欲しいと。
何か面倒事があった時は、俺ごと巻き込みたいと。

実に単純明快な理由だ。ある意味、聞くまでもなかったな。


(´<_` )「そういう訳で、兄者が死んだら俺も追って死にますぅ。
      楽しくない、苦しいだけ、お先真っ暗の生活とか嫌だわ」

( ´_ゝ`)「今から堅実に生きて貯金しろ」

(´<_` )「嫌だよ」

( ´_ゝ`)「何でだ?」

(´<_` )「若い内に遊ぶの。年食ってから楽してどうすんだよ」

( ´_ゝ`)「お前は年食った時に苦労したいのか?」

(´<_` )「年食っちまったら、ぜーんぶまとめて素直に諦めるっての。
      若い内でないと食うのも遊ぶのもヤるのも楽しめないじゃん?
      年食っちまったらさあ……歯は抜けるわ、体動かなくなるわ、
      チンコだって起たなくなるわで、なーんにも楽しめねーだろ」

( ´_ゝ`)「ふぅん」

刹那主義者とか、快楽主義者みたいな言い分だな。

876:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:43:01 ID:QWC3U6Aw0
厨二病発症して、主義を口に出して主張しないで素で言い切ってる分、
こっちのほうが大分質が悪い。こんな手合いはどうしたらいいのやら。


(´<_` )「全部やれる内にやりゃいいんだよ。セックスも酒も煙草も。
      なーんでみんな老後の心配するのかわからんわ。マジで」

( ´_ゝ`)「お前、主張してる事が矛盾してないか?
      年食った時に、苦労したくないからだろ。
      誰だって苦しい最期は嫌なんじゃないか」

(´<_` )「だーかーら、俺は自分が年食ったら全部諦めるの。
      若い頃にあれやればよかった、こうすればよかったって、
      そういう後悔したくないの。分かる? 理解できりゅ?」

( ´_ゝ`)「できりゅできりゅ」

(´<_` )「やべえムカつく」

( ´_ゝ`)「お前のその他人を考えない行動によって、
      周囲が被るだろう迷惑は一体何処に行く?」

(´<_` )「お前に言われたかねーんだけど」

( ´_ゝ`)「突っかかって来る奴以外には寛容だぞ。俺は」

(´<_` )「敵以外はどうでもいいの間違いだろ」

877:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:44:01 ID:QWC3U6Aw0
( ´_ゝ`)「無関心ではない。特に優しい老人が目の前にいた場合、
      優しくしたい。良い最期を迎えさせたい。そう思っているぞ」

(´<_` )「そんな事して何になるんだ」

( ´_ゝ`)「自分自身、そんな最期を迎えたくないから、
      他の老人に対してそうやってると分析した」

(´<_` )「はあ、訳わかんね」

( ´_ゝ`)「素人の自己分析だからな」

(´<_` )「そういう意味じゃねーよ」

( ´_ゝ`)「どういう意味だ」

(´<_` )「あー、いい。兄者のそういう考えって、
      俺にはわかんねーって思い知ってる」

( ´_ゝ`)「そうか」

確かに、話していると、会話が巡ってしまってキレる人がいるからな。
我が母とか、俺の母さんとか、自分の母親とか、母者とか。

878:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:44:59 ID:QWC3U6Aw0
最近も、洗濯物を家の中に干す時、洗濯物を入れてる籠をどこに置くのか。
と言ったものでお互いの主張が対立し、怒らせてしまった。

我が母が怒るポイントはよくわからなかったが、向こうのほうが常識人だし、
俺がおかしいんだろう。怒りは収まりそうにないので、俺が引いて終わった。
おかしい点が分からないまま終わってしまったのは、悔いではある。

我が母に怒りは持たない。持ち様がない。持たないようにしている。

日記に書いて字面に起こせばブチリとクるかもしれないが、
我が母も適応障害で、精神科の同じ先生に掛かっている現状。
間接的に伝わったらヤバいので、何も書かないようにしている。

弟者がメインのおかずを食べずに、勝手に飯を食い終わる事に関して。
無関係の俺に母の怒りが向けられても、日記に書かないようにしている。
こいつの飯を一ヵ月用意して判ったのは、どうにもならないって事だったしな。

家族全員嫌いなら逃げればいいじゃんと言われるかもしれないが、
台所で包丁を振るいながら「家出して外国に逃げても死ぬ気で探す」
と宣言されたので、大人しく家にいる。金のある奴からは逃げても無駄だ。

家庭板で何回か相談した事もあるが、親がそれなりの権力を有していたり、
結構な金を持っている場合、逃げるのは無理だから『あきらメロン』を出された。
俺はメロンが嫌いだ。臭いも味も受け付けない。ノーセンキューです。

閑話休題。閉話旧題。平和及第。

俺自身の色々な行動は、独特過ぎて通じないってのは思い知ってる。
理解させようとするだけ無駄。喋るのも無駄。何もかもが時間の無駄。
面倒を起こしたくない相手なら、こっちから引くのを高校の時に覚えた。

879:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:45:41 ID:QWC3U6Aw0
自分でも、おかしいと思う時は稀にある。

歯磨きの時に、一ヶ所で歯ブラシを往復する回数を5回固定にするのとか。
ハンガーは、決まった順番で棒にかけていないとちょっと頭に来るのとか。
俺の部屋の窓際に置いてある消臭剤は、横に倒しておかないと気になるのとか。
マウスを放置する時は、必ずマウスパッドの中央に固定して置くのとか。
飲み物を飲む時は、5回固定で飲み下さないと何か落ち着かないのとか。
タオルで体を拭く時は、折り畳んだままそれぞれ使う面を決めて拭くのとか。
枕元にある縫ぐるみを勝手にどかされると、見つかるまで動けないのとか。
その状態のまま丸一日放置されると、家に空き巣が入った状態になるのとか。

逆さまにして乾かしている牛乳パックは、非効率的だと判っていても、
倒れる危険性を考慮して、最初から横にしていないと腑に落ちない時とか。

雪掻きをしていて、小休憩を取ろうとその辺の雪藪にスコップを差した時、
スコップが勝手に傾くと、自業自得と思いながらも雪掻きする気を無くしてしまい、
その場にぶっ倒れて、雪が降って来るか、5分経過するまで拗ね続ける時とか。

ただの再現VTRなのに、自分でも何が気に触ったのか未だに分からないが、
沸点に来る表現があって、ブチ切れて居間を出て行ってしまったりした時とか。

(内容は、生まれつきの身体的な障害で虐められる女の子がヒッキーになってしまい、
それに腹を立てた母親が「もう学校行かないならいらないでしょ」と教科書を捨てる。
捨てるのを見た娘が「学校に行きたい」と叫んだところ、さっきまでヒスっていた母親が、
急に落ち着いて笑顔で女の子に話しかけると言う場面だった。感動のシーンらしい。
俺から見えて感じたものを書いたので、ムカつくように書いてしまったかもしれないが、
自分にはこうとしか見えなかった。嫌いなモノを普通に伝えれる書き方を教えてくれ)

うお、羅列すると尚更どうかしてるなコレ。神経質とはベクトルが違う。
まだありそうだ。今度、誰かに俺の変な行動でも聞いてみるか。

881:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:46:37 ID:QWC3U6Aw0
(´<_`; )「おい兄者、ナースステーション通り過ぎたぞ」

( ´_ゝ`)「おっと、悪い」

(´<_` )「もっと誠意を示してみろよ」

( ´_ゝ`)「どうやって?」

(´<_` )「詫びにクリスマスプレゼント寄越せや」

( ´_ゝ`)「何が欲しい?」

(´<_` )「えっ? あ……じゃ、じゃあ煙草」

( ´_ゝ`)「煙草か」

あれの臭いは苦手だ。服にも体にも染み付く。

けど、いい嫌がらせを思い付いたぞ。

クリスマスにぬか喜びをさせてやろう。

882:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:47:45 ID:QWC3U6Aw0
( ´_ゝ`)「ところで弟者、俺がお前に対して実行した嫌がらせ以外で、
      何か変に見えた行動ってある? 昔のでも何でもいいから」

(´<_` )「そんなん有り過ぎて困るわ」

( ´_ゝ`)「なら、入院前で」

(´<_` )「入院する前のは……兄者が腐った味噌汁を、
      庭の松の木にかけてた時。とうとう狂ったかと」

( ´_ゝ`)「ああ、あれか」

(´<_`; )「なんであんな事してたんだよ」

( ´_ゝ`)「なんとなく」
 _, 、_
(´<_` )「なんとなくぅ?」

( ´_ゝ`)「その時の自分に聞かないと詳しい事はわからんが、
      普通に捨てるのは勿体無いと思ったんじゃないか?」

(´<_`; )「ちょっと待てよ。腐った味噌汁を勿体無いって考えるのは、
      もう、突っ込みようがないからスルーすっけどさあ……
      それを何で松の木にやろうとか思うんだよ! アホか!」

( ´_ゝ`)「栄養になるとでも思ったんじゃない?」

実際、考えずに無意識の中で行った動きなので、何も覚えていない。
当時の自分に聞いても「何でだろう?」とか素面で返しそうだ。

883:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:49:00 ID:QWC3U6Aw0
ただ、家の外ではそんな事しない。普通に捨てる。
ついさっき羅列した事も、家の外ではしない。

気を抜いて、ほぼ無意識のまま自由に行動していいのは、
人の視線が届かない自分の領域内でだけと知っているのだ。


(´<_` )「何を誇らしげにしてんだよバカ」

( ´_ゝ`)「そう見えるか?」

(´<_` )「今の質問、あの自称デブとガリとホモ野郎にもやれや。
      日頃の恨みも込めて色々返される覚悟しとけ気狂い」

( ´_ゝ`)「するよ」

(´<_` )「後半の言葉に反応しろ」

( ´_ゝ`)「何の?」

(´<_`; )「もういい」

なんて会話をしてる内に、ナースステーション到着。
診察を受ける部屋まで案内してくれるらしい。
俺が迷ってる時に、よく先導してくれる看護師さんが付いた。

884:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:50:23 ID:QWC3U6Aw0
(´<_` )「胃カメラか……普通に終わればいいな」

( ´_ゝ`)「普通に終わると思うなよ」

(´<_`; )「何する気だよ」

胃カメラを胃に入れる前に飲む、あの薬品。
そう、バリウムをなんとかして噴出させたい。


( ´_ゝ`)「全力で笑わせてやる。覚悟するんだな」

(´<_` )「あ、ああ……」

|゚ノ ^∀^)「行きますよー」
   、_
(´<_` ;)「…………あ、あぁ?」

おお、狐につつまれるような表情って、こんな感じなのか?
ちょっと形容し難い顔をして、医者の前まで連れてかれたぞ。

885:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:52:25 ID:QWC3U6Aw0
( ´_ゝ`)      ( ;´_>`)


うーん。あいつ、こっちを極力見ないようにしてやがるな。

看護師と医者の背中側に回って、なんとか視界に入る。
幸い、二人共、患者しか目にしていないようだ。

これならイケる。

まず、中指を立てて挑発。
糞野郎の視線を、こっちに向かせる。

次いで、親指を下に振り降ろし、首をかっ切る仕草。
眉間に数本皺が寄る。

もう見ないようにしたいのか、一気にバリウムを口に含んだ。


                     ところで、全力のコマネチ。


  (;;゚;ж;゚;)´∴、゙;゛:.^ ヽ゚|


奴は正面にいた女性の看護師さんの顔面に向かって、
白濁とした薬品を口から噴射し、思い切りぶっかけた。

器官にも入ったのか、盛大に噎せている。ざまあみろ。

886:名も無きAAのようです:2013/04/04(木) 23:53:16 ID:QWC3U6Aw0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


|゚ノ#^∀^)「ここで待ってて下さいね」

(;´_ゝ`)「へぁい」

それを指差して笑っていたら、流石に怒られて退室させられた。

どうしよう。話聞けないぞ。せめて携帯置いてくるべきだった。

失敗したなあ……。あれ録画しときゃよかった。






32.糸冬


拍手

805: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 14:51:54 ID:13hhXkqo0
31.はぐれニート刑事過激派女叩き


(´<_` )「ゆうべは おたのしみでしたね」

( ´_ゝ`)「はい?」

(´<_`# )「とでも言うと思ったかこのビッチ!」

ギットギトのコールタールみたいな朝に、開口一番これか。
性的なベクトルにしか向かない頭が哀れで、嗤えてくるな。

俺がゲームで女キャラを操作している時にも『ビッチ』を筆頭に、
『クソ不二子』『腐ったマリーアントワ』『悪女』だの言われていた。

俺はてっきり、キャラクターに向けて言ってると思っていたんだが……。


おっと、俺の後ろを通った車椅子の爺ちゃんが、こちらを見ている。

なんでもないよ、お爺ちゃん、天寿を全うしてね! と投げキッス。

806: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 14:52:55 ID:13hhXkqo0
そうだ。

さっさと引け。

逃げろ。

二度と近付かないでくれ。

ここは刃物を携えた口裂け女が出没する危険区域だから。


( ´_ゝ`)「何だよスパム野郎」

(´<_` )「男の癖に処女卒業した奴に言われたかねーわ」

( ´_ゝ`)「お前ってさあ。本っ当に思考が汚い、
      下品な方向にしか行かないのな」

(´<_`# )「はぁあ!?」

┐( ´_ゝ`)┌「へいへいワロスワロス」

807: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 14:53:50 ID:13hhXkqo0
案の定突っかかって来た糞野郎を無視して、
部屋の隅に置かれたダンボール箱を開封。

おお、再従兄弟から一足早いクリスマスプレゼントか。
同封されてる手紙とは別に、パズル式の手紙もある。
組み立てて完成させないと読めないタイプの奴だ。

いいねえ。俺は好きだよ、こういうの。


(´<_` )「こっち向けオイ」

しかし、この部屋で組み立てるにはちょっとな。

糞野郎はまだ車椅子の付属品として生きているが、
外面を気にしなければ這って移動する事が可能だ。
物を投げられて、邪魔されないとも限らない。

どこか別の場所でやるとしたら、病院外だな。
患者でもないのに、この部屋以外に居座るのは迷惑。

家は、我が母が鍵をかけてったからなあ。
アヒャの部屋も、やっとクリーニングが為されている。

808: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 14:54:52 ID:13hhXkqo0
(´<_`# )「おいコラ人の話聞いてんのか!」

( ´_ゝ`)「……」

(´<_`# )「何か言えよ!」

( ´_ゝ`)゙「!」

゙(´<_`; )「!?」

いい方法を思い付いた。

このデカい蝿をベッドの下に蹴落として、
俺がベッドの上に行けばいいんじゃね?

思い立ったら即実行。

両脇の下に手を入れて、ベッドから降ろす。
病人には優しく。うん、実行できてるな。


(´<_`; )「ちょ、何すんだ」

( ´_ゝ`)「そこにいろ」

パズルを枕元に広げて、組み立て開始。

809: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 14:56:17 ID:13hhXkqo0
柄はウサ○ッチ。憎たらしい面してんなこの兎。
ひよこがキモい。なんで腹に唇があるんだ。
と、色々ツッコミを入れながらも完成。

内容は、

 『新年が近付くにつれ親戚連中のジジババが煩くなり始めたので、
  もしよければ籍だけでも入れて下さい。式は挙げない方向で』

的な。

実際にはもっと乱暴な言葉遣いだが、マイルドにしてこんな感じ。
うん、そりゃあ俺みたいな不良物件とくっつけられる訳だよね。

にしても、季節になるとやかましくなるって、蝉かあいつら。

本当に蝉みたく、一週間かそこらでぽっくり逝けばいいんだがな。
一定の冷却期間が過ぎれば、また思い出したように早く結婚嫁孫、
金相続家籍土地年親孝行ほんずなしの後継ぎめと非常にウザい。

俺らを出来損ないと罵る癖に、子供を残せと言う。矛盾している。
碌でなしのガキなんぞいないほうがマシだってのに、頭が膿んでる。
大体、離婚して親権は我が母に行ってるんだ。もう家とか関係ない。

基本的に爺さん婆さんには優しくしたいが、糞爺と糞婆は無理だ。
それでもハンデがある分、老人には手を出さないと誓っている。
地面に落ちた蝉みたくもがいていても、決して手を差し伸べない。

810: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 14:56:59 ID:13hhXkqo0
認知症になって、脳のリミッターが外れて、力が異常に強くなって、
成人男性3人を楽に振り解けるまでになってる怪物相手なら別だけど。


(´<_` )「やったーお菓子もーらい」

( ´_ゝ`)「あっ」

ダンボール箱を上に上げるの、忘れてた。


(´<_` )「何だよ恵んで欲しいか?」

( ´_ゝ`)「それ俺の台詞」

(´<_` )「このクッキー全部食ってやる」

( ´_ゝ`)「なんだクッキーか。じゃあいいや」

(´<_`; )「カントリーマアムだぞ?」

( ´_ゝ`)「何味?」

(´<_` )「普通の」

( ´_ゝ`)「じゃあいいや」

(´<_` )「えっ」

811: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 14:57:49 ID:13hhXkqo0
期間限定なら惜しんだが、普通の味ならいらん。
口の中が甘くなった時に備えての口直しもないしな。

黙々と稼働し始めた大便変換機をそのままにして、
ダンボールをベッドの上で引っ繰り返し、更に物色。


(*´_ゝ`)「わお」

口元に当たった時に良さそうな感触のするマフラー。

バブルバス用の入浴剤。限定生産のインド紅茶。

御当地限定のカップ麺に、古いカー○゙ィ四コマ本。

実に可愛らしいポケ○ン、プリンちゃんの縫ぐるみ。

いいね。文句はない。満足だ。
こっちからも、何か良い物を送らないといけないな。

そして何故か、我が母が入れたであろうメモがある。
『弟者から言質を取って来い』ってどういう事だ。
こいつ、今度は何やらかしてくれたんだ。

携帯を録音モードにする前に、贈り主にメールを送信。
どんなプレゼントがいいのか、ストレートに聞く。

812: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:00:10 ID:13hhXkqo0
そんなに気を使う仲でもないし、探り合う腹もない。
殴り合う顔面も拳もないので、これで大丈夫。
下手に失礼なものを送りつけて、相手の不興を買うよりはいい。


一度、こういう贈り物は何がいいのかわからなくて我が母に聞いたら、
『悩んだ時は、その相手が絶対に使うだろう生活必需品』と言った。

それを聞いた俺は、向こうの爺さんが『孫に生理が来た!』と、
赤飯を炊いていたのを思い出した。思い出してしまった。

あろう事か、思い出してしまったのである。

お察しのいい方は、ここで先のアホな展開が読めてしまうだろう。
俺は相手の子に、夜型生理用ナプキンを送りつけてしまった。

悪意も糞もない、無知の暴虐である。
鎖骨をグーで殴られて当たり前だ。

それに便乗したのかどうか、今となっては定かではないが、
糞野郎が追撃の生理用パンツを笑いながら送りつけた。
悪意だらけだった奴は、股間を足で蹴り上げられていた。

土下座して当たり前の大事である。

813: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:01:16 ID:13hhXkqo0
高校生にして、俺は人生で初めて地面に頭突きを繰り出した。
隣では脳天を押さえ付けられて、地面に求愛するクソがいた。

女性対しての経験を一気に積んだ、苦い思い出である。


(´<_` )「お~い兄者、今度ゲーム持って来てくれよゲーム」

( ´_ゝ`)「……ここゲーム禁止だろ」

(´<_` )「WiFi繋がるんだってよ、だからWiiとか持って来てよ」

( ´_ゝ`)「やだよ」

(´<_` )「俺が病院のベッドで日がな一日何してると思う?」

( ´_ゝ`)「そこのゴミ箱見りゃ分かるっつの」

(´<_` )「ちげーよコレ、花粉症だよ」

( ´_ゝ`)「てめーの鼻水はゲソの臭いがすんのか」

(´<_` )「イカ臭ぇワケあるかボケ、嗅げや」

( ´_ゝ`)「このゴミ箱のティッシュをお前の鼻穴に詰め込んで、
      内側から破裂させて、風通り良くしてやるよお?
      花粉症なんだろ? 喜んでさっさと広げろや、入れるぞ」

(´<_`; )「やめろ」

言質って何を取りゃいいんだ。もう全部犯罪予告でいいだろ。

814: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:03:25 ID:13hhXkqo0
推理小説やら、クライムノベルやら、刑事ドラマやら。

あれらに出演する、元々虐げられていた立場の犯人。

その長期に及ぶ殺人計画を実行する犯人の忍耐力は異常。

目の前にぶっ殺したい程に憎々しい奴がいんのに、
すぐに手を上げないその我慢強さを分けて欲しい。

「なんで我慢できないの? 家族でしょ?」ってほざく奴がよくいるけど、
その我慢出来なさを語っていれば、全員が全員途中で逃げ出す。
今は別の事を主点に置いているから、これはまたの機会にするとして。

俺がもう少し引っ込み思案で、臆病で、小心者で、
チキンハートなティーンだったら我慢できたのかな?

いや、これは我慢じゃないか。
やり返す度胸のない、ただのビビリ野郎だな。
だったら俺は、今の俺のほうが好きだ。

泥棒に追い銭をやるような事無かれ主義者は好きじゃない。

周囲の人間が事を起こすのを嫌がって、渋々空気を読んでるのに、
何も読めない俺が「うるせえよ」と勝手に首を突っ込んでいるとも言える。

知ってて首を突っ込んで、事態をハッキリさせようとする我が母と、
どっちがいいんだろうな。鶏共にとっては同じ事かもしれない。

815: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:04:32 ID:13hhXkqo0
ガラッ


( ^ω^)「おいすー」

( ´_ゝ`)「最近よく来るな」

(´<_` )「俺の部屋だぞ出てけ」

( ^ω^)「クックック、角張ったナメクジ風情が、
      這いつくばって足掻いてみるがいいお」

(´<_`# )「こんのクソデブ野郎……!」

( ´_ゝ`)「実際、暖房の節約だけが理由なの?」

( ^ω^)「ぶっちゃけると、両親の親族を名乗る奴らからの、
      ひっきりなしな電話攻撃が滅茶苦茶ウザいんだお」

( ´_ゝ`)「ああ、人が死ぬと、見知らぬ親族が湧くってアレね」

( ^ω^)「いつの世でも葬式に集る蝿は鬱陶しいお」

(´<_` )「メンタルにダメージ受けて痩せちまえ」

( ^ω^)「だが太る」

816: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:05:46 ID:13hhXkqo0
( ^ω^)「後は、僕が親戚の家から追い出したニートだお。
      爺さんが僕の住所教えやがったお陰で部屋バレして、
      アパートの近くに張り込まれてるんだお。ストーカーだお」

( ´_ゝ`)「誰だ?」

( ^ω^)「口だけなら僕らより確実に上のクズだお。女性の敵。
      ずっと働かないでν即にいてよく女叩きしてるんだお」

( ´_ゝ`)「一地域に必ず一人はいそうな奴だな……」

( *^ω^)「小さい頃にデブデブ言われてボッコにされた恨みがあるから、
      それをリアルで喋らせて録音して爺さん婆さんの前で流したお。
      傑作だったお~爺さんは赤くなるし、婆さんは青くなるしぃ~」

( ´_ゝ`)「家庭崩壊……してるか」

( ^ω^)「それでやっとあの忌々しいクソニート追い出せたお。
      ただ最後の情けなのか哀れみなのか分からないけど、
      ボロアパートの保証人になるとこが甘くてムカついたお。
      40越えてんだから、身一つで追い出せばいいのにお」

住む場所が無いと襲うんじゃ、と思ったが、
部屋があっても内藤に襲いかかってんな。

なんでこういうニートって、追い詰められないと行動出来ないんだろ。
しかも行動したとして、親殺しだの何だの、悪い方向のイメージが強い。

817: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:06:55 ID:13hhXkqo0
(´<_` )「追い出されるだけの何を言ったんだよ」

( ^ω^)「携帯に録音したまんまだお。聞くかお?」

( ´_ゝ`)「興味ある」

( ^ω^)「一応聞くけど、胸糞スレに乗るレベルの女叩きレスを、
      そのまま平気で喋るような人種だお? 大丈夫かお?」

(´<_` )「俺に言うの?」

( ´_ゝ`)「『産む機械』とかそんな系?」

( ^ω^)「なんつーか……マジで糞。下品にも程がある言い方だお。
      100人の女性がいたら、それぞれに100回ぶち殺されるお」

(´<_` )「そこまでとかスゲー興味ある」

( ^ω^)「取りあえず聞くかお。弟者、検温は大丈夫かお?」

(´<_` )「おう、ないぜ」


ピッ

( ^ν^)『は? チンコ専用ケースに人権なんざある訳ねぇだろ』

818: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:07:59 ID:13hhXkqo0
ッピ

( ´_ゝ`)

(´<_` )

( ^ω^)「これはジャブだお」

( ´_ゝ`)「初っ端から酷いな」

(´<_` )「俺でもここまでしねぇわ」

( ^ω^)「おっおー、ヤリチンの弟者君が意外だお」

(´<_` )「ハァア? バカかテメー。女の機嫌取らなきゃ、
      ベッドまで持ってってヤれるワケねーだろが」

( ^ω^)「女性扱いはしてる訳かお? 微妙なとこだけど」

( ´_ゝ`)「物扱いと生きた穴扱いってどっちがマシなんだ」

(´<_` )「俺が穴に見境ない奴みたいに言うのやめてくれる?」

( ^ω^)「どっちもどっちだお。次から止めずに流すお」


ピッ

819: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:09:07 ID:13hhXkqo0
( ^ν^)『腐った膣から腐った空気垂れ流してさあ、
      家ん中歩かねぇで欲しいわマジでクッセェ』

( ^ν^)『あのオリモノデブはよ死ねや』

( ^ν^)『デブ女は股から腐ってく』

( ^ν^)『女性占領車両とかふざけ過ぎだろJK。
      あんま調子乗らせんなや、ボケカスが』

( ^ν^)『は? 痴漢とかあるわきゃねー』

( ´_ゝ`)「うお、今のイラッとした」

( ^ω^)「まあまあ、最後まで」


( ^ν^)『ブスが痴漢とかバカ言ってんじゃねーよ。
      誰がこんなグロ豚触るかよwwwwwww』

( ´_ゝ`)「すっげぇ苛々する。物申したい」

( ^ω^)「殴り殺してもいいのよ」

( ´_ゝ`)「お前を?」

( ^ω^)「違う」

820: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:10:03 ID:13hhXkqo0
( ^ν^)『あのヒスババァうっぜ。働けとかウルセェ。
      テメーの紹介した会社がクソだったんだよ。
      俺に責任とか言う前に会社に言えやババァ』

( ^ν^)『マンコは生魚が腐った臭いする』

( ^ν^)『ケツ穴とまんまん近いとかきったねぇなあもう。
      道理でウンコの臭いがするわけだわ下痢便器。
      女ってマジ終わってんな、近寄らねーで欲しいわ』

(´<_` )「こんなんに寄ってくのなんて鬼女か婦警ぐらいだろ」

( ^ω^)「だおね」


( ^ν^)『犯罪者の8割が男ぉ? ざけんなソース出せや』

( ;^ν^)『え……マジか……』

( ^ν^)『この犯罪者産んだのだって女だろ、女が悪ぃ』

( ^ν^)『レイプされて中絶とかアホの極みプップーwwww
      股緩い女が悪いんだろwwwしっかり閉めとけや』

( ^ν^)『は? 女が誘惑したに決まってんだろバカか。
      でなきゃレイプなんざ起きねーんだよボケが』

821: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:11:34 ID:13hhXkqo0
( ^ν^)『女とか体売りゃ生きていけんだから楽だよな。
      あー俺も女に生まれさえすりゃなーあーあー』

( ^ν^)『は、ブス? 便所に尻だけ出して並べとけば?』

( ^ν^)『見るに堪えない顔なら、穴だけ壁から出しとけや』

(´<_` )「顔見えねーとヤる気出ないんだけど」

( ^ω^)「へいへい」

( ´_ゝ`)「ムッカつく」

( ^ω^)「人として当然だと思うお」


( ^ν^)『あのデブス豚うぜぇわ。謝ろうとしたのに電話出ねぇ。
      専業主婦の癖になめやがって中古糞便器の癖に。
      マジ専業とかニートと変わんねぇだろ、ざけんなし』

( ^ν^)『あいつ支持するわ。産む機械っつった奴。見所ある。
      やっぱ男女平等はキチガイ。日本を変えて欲しいね』

( ^ν^)『女は生きる価値なし、消えろ』


ッピ

822: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:13:15 ID:13hhXkqo0
(´<_`# )「ハアァアア!? ざっけんなボケなんだこいつ!」

( ^ω^)「おっと、一番女にだらしない奴が一番激怒した」

( ´_ゝ`)「だからだろ」

(´<_` )「つーか、こいつアホだろ。女生きてなきゃ人類全滅すんだろ」

( ^ω^)「女叩きの過激派は自分ごと否定してるのが世の常だお」

( ´_ゝ`)「専業主婦をニート扱いって、鬼女がキレるぞ」

( ^ω^)「そこらはずっと不毛な紛争地域だお。
      悪い方が明白な分、もっとタチ悪いお」

(´<_` )「いやーでもアレだな。一回も女と付き合った事ない童貞が、
      ネットの知識で知ったかぶって女叩いてると笑えんなコレ」

( ^ω^)「事実童貞だお」

(*´_ゝ`)「「わーウケるー(wwwwwwwwwww)」」(´<_`*)

( ^ω^)「お前ら……」

( ´_ゝ`)「俺はこんなに笑ってねぇよ。それに鬱田の前じゃ言わんよ」

(´<_` )「俺は言おうと思ってたのに」

823: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:14:58 ID:13hhXkqo0
( ´_ゝ`)「ってかさ、内藤がストーキングされてるとして、
      ここの部屋が割り出されて押し掛けられたら、
      こっちも色々と迷惑なんだが。どうしてくれる」

( ^ω^)「どうせ兄者の母さんが弾くお」

( ´_ゝ`)「内藤ごと弾かれた時は?」

( ^ω^)「毒男ん家に」

(´<_` )「どんだけ厚かましいんだ」

( ´_ゝ`)「あ、そういや鬱田との話どうなった?」

( ^ω^)「意外な返し方をされて平謝りされたお」
  _,
( ´_ゝ`)「意外ぃ?」

( ^ω^)「『俺……小中高って、ずっと友達いなかったからさ』
      『……そこらで、友達同士で口論してるの見ても』
      『そういう相手がいるんだって、羨ましかった……』」

(´<_` )「それどっかのぼっちまとめで同じようなの見た」

( ^ω^)「ぼっち大学スレとかよく巡回してたから、もしかしたら、
      違うスレに同じ事を投下したかもしれないって行ってたお」

(´<_` )「すげーガチぼっち、ネタじゃねえんだな」

824: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:15:58 ID:13hhXkqo0
( ^ω^)「んで、僕らの地雷踏みにじって口論しようとして、
      マジスンマセンシタァーッ! って感じで謝ったお」

( ´_ゝ`)「へー、じゃあ今度は鬱田の地雷踏みに行こうかな」

( ^ω^)「それはもう僕がやったからやめるお」

( ´_ゝ`)「先取りしやがって」

( ^ω^)「虐められてて女嫌いのケがあったから、これを聞かせた後に、
      『一般人から見たら毒男の書き込みも同じような物だお』って」

(´<_` )「つったら?」

( ^ω^)「その場で、すごい勢いで膝から崩れ落ちたお。
      核ってより、テポドン級の地雷だったみたいだお。
      あんなのと一緒にされるのは嫌だったんだおね」

( ´_ゝ`)「へー」

( ^ω^)「何か、童貞卒業したって言ってた時から微妙に調子乗り始めて、
      女sage発言増えたから、痛い目会う前にお灸を据えてやったお」

( ´_ゝ`)「いい事じゃん」

( ^ω^)「毒男の変な発言がうっかり向こうのカーチャンの耳に入っちゃって、
      友達付き合いが悪いって、僕らの所為にされちゃたまらんお」

825: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:17:05 ID:13hhXkqo0
(´<_` )「女sage発言って何だ」

( ^ω^)「無意識の見下しっつーのかお? 例を上げると、これだお。
      コンベに参加してくれた女性に、送る筈だったメールだお。
      ヤバ過ぎて止めて下書き状態だけど、気にしないでくれお」

( ´_ゝ`)「どれどれ」


 『~参加ありがとうございます。~ゲーム好きな女性なんかでも~

  やはり女性が作ったシナリオなので刺激がいまいち~~~~~

  キャラが男とは言え女性なのですから、優しい選択肢を選んで

  ~~飲み物の片付けですが、女性なのだから率先して片付けて

  ~~~~私は女性といって差別したりしないので安心して下さい』


(´<_` )「すっげ、嫌われるわコレ」

( ´_ゝ`)「あー無自覚でこれはちょっと」

( ^ω^)「だお? 文の変なとこがあったらもっと言うといいお」

(´<_` )「何で」

( ^ω^)「いいから言うお」

826: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:18:02 ID:13hhXkqo0
( ´_ゝ`)「うーん、女性、女性って文中に多過ぎて気持ち悪い。
      強調し過ぎじゃない? しかも普通に失礼な文書いてる」

(´<_` )「女だから片付けろって言われて、
      ムカつかない女なんかいなくね?」

( ^ω^)「ふむ」

( ´_ゝ`)「折角、同じ趣味持ってんのにさあ。それに対して、
      『ゲーム好きな女性”なんか”でも』はおかしいだろ」

(´<_` )「女だから優しい選択肢を選べって、こいつの都合だよな」

( ^ω^)「もっと」

( ´_ゝ`)「まだあ?」

(´<_` )「女が作った話だから刺激がないってフォローのつもり?
      マジキモ過ぎ。実は見下し過ぎていっつも俯いてんだろ」

( ´_ゝ`)「最後の一文も余計だなあ。こんだけ女、女、言っといて、
      女性だから差別しません安心してって矛盾もいいとこだよ」

( ^ω^)「うむうむ」

827: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:19:16 ID:13hhXkqo0
( ´_ゝ`)「まあ、この女に変なの押し付け過ぎ。後は全体的に」

(´<_` )「キモい」

( ´_ゝ`)「おい言葉繋げんな」

( ^ω^)「そういう事だお。毒男、入って来るお」


( ´_ゝ`)「えっ?」

(´<_`; )「マジ?」



ガララララ........







(;A;)

828: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:19:59 ID:13hhXkqo0
(;A;)「ううっ、ごめっ、ごめん」


(;A;)「俺、女の人に、失礼なの知らなくて」


(;A;)「まともに話した事ないから、扱い方が分からないもんだと……」


(;A;)「思……てた…………けど」

(´<_` )「けどぉ?」

(;A;)「こんなんだから……誰も話してくれなかったのかな……」

(´<_` )「……ハッwwwたりめーだろバカwwwwwwwww」

(;A;)「うっうっ……」

(´<_`* )「誰がこんなキモいモラハラ野郎と話したがるかよwwww」

(;A;)「うううぅ~~~~~」

m9(´<_`* )「wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


ρ(´<_`*;)「wwwエフッwwwwwwイフヘッフォww」

829: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:21:06 ID:13hhXkqo0
( ´_ゝ`)「これで良かったの?」

( ^ω^)「何だお」

( ´_ゝ`)「どどん波の格好のまま笑ってる奴は、
      生粋のいじめっ子だからいいとして」

( ^ω^)「プギャってると言えお」

( ´_ゝ`)「鬱田はこれからどうすんの?」

( ^ω^)「何回言っても、何回話しても、何っ回怒鳴っても
      あの文章が失礼だって分からなかったんだお」

( ´_ゝ`)「……口論したかったんじゃ?」

( ^ω^)「そのつもりはなくて、普通に言ってたみたいだお」

( ´_ゝ`)「なーんだ。鬱田も大概だな」

( ^ω^)「2人で話してても埒が開かなかったから、ここに来たお。
      3人ぐらいの言葉でボコらねぇと通じないと思ったんだお」

( ´_ゝ`)「泣いてるから、通じはしたんだろうな。多分」

( ^ω^)「これで通じなかったら、全文ネットに晒し上げしてるとこだお」

830: ◆T/D40qQ./Q:2013/03/29(金) 15:21:48 ID:13hhXkqo0
( ´_ゝ`)「けどさあ、アレでいいのか」

( ^ω^)「おっ?」


 (っA;)    b(´<_`* )


( ´_ゝ`)「DQNに絡まれてるようにしか見えなくね?」

( ^ω^)「兄者は毒男にちょっとムカムカしてたんだお?
      今の光景を見て、少しでもスッキリさせるお」

( ´_ゝ`)「おお、それもそうか。ありがとな」

( ^ω^)「お返しは昼ご飯を」

( ´_ゝ`)「じゃ、いつでも憂さ晴らしできるよう、録画するわ」

(;^ω^)「兄者も大概だお……」


っべ、録音したままだった。ま、いいか。




31.糸冬

拍手

630:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:36:03 ID:4UKkUBR20
30.溜め込んだクソとゲロに満ちた愛好


病院を出て5秒でキマってる男と遭遇した。

いつから病院前にジャンキーが徘徊する世紀末になったんだ。
俺が知らないだけで世の中はそんなに荒れていたのか?

実は新しく付いた設定で、世界は実は電子のプログラムで、
世界が5分前に産まれたとか言う仮説は本当だったのか?


( ;゚∀゚ )「ぼわぅああ~揺れる~地震だ~酔う~」

( ´_ゝ`)「足元は震度零の不動のコンクリだよ。
      揺れてんのはお前の脳みそだけだよ」

( ;゚∀゚ )「お゙ぉ゙ぉ……兄者……が、2人、だと……?
       どっどっちが弟者なんだか見分けつかねぇ」

( ´_ゝ`)「どっちも俺だよ、今度は何やったんだテメェ」

( ;゚∀゚ )「俺、は、オヴェエ……保険証の、再発行?
       だったっけか、それとかやってもらおうと」

( ´_ゝ`)「再発行は役所だっつの。てか違うって、何の薬だ」

631:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:37:25 ID:4UKkUBR20
( ;゚∀゚ )「薬? クスリ……ウォェッと、確か、konozamaじゃなくて、
       大丈夫なほうの、外国の、海外の輸入品だった気が」

( ´_ゝ`)「セウトじゃねぇよアウトだよ。灰じゃなくて黒だっつの。
      例え大丈夫だったとしても、その説明がファウルだよ」

( ;゚∀゚ )「俺のボールを受け止めてくれ……」

( ´_ゝ`)「うん会話不可能か。医者に診てもらおう。
      それが嫌だったら、おうちに帰ろう、な?」

( ;゚∀゚ )「うごごごご」

飯を買いに外に出たつもりが、こんなものを拾うとは。
つくづくツいてない。寒さと共に運も冷え込んだか。

看護師を呼ぶべきかどうか考えたが、その後が面倒臭い。
下手に動いて、こいつに敵対行動と捉えられても鬱陶しい。


( ;゚∀゚ )「吐きそう……揺らさないで……」

( ´_ゝ`)「どうしろってんだ」

( ;゚∀゚ )「おうちに帰ろう、う、う、ウゲェ」

( ´_ゝ`)「あそこにタクシーあるから、それ乗って帰っとけ」

632:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:39:35 ID:4UKkUBR20
( ;゚∀゚ )「うー、俺は、お前に話があったんだよ、確か。
       なんか大事っぽいような気がしてるもの……」

( ´_ゝ`)「お前、日本語があやふやになってんぞ。
      一緒に家に行ってやるから立ち上がれ」

( ;゚∀゚ )「そういや俺の部屋変わったんだ」

( ´_ゝ`)「またぁ? 一ヵ月も経ってねぇじゃん」

( ;゚∀゚ )「なんかゼンサイが来てバレたとかで、
       こっから引っ越せって連れてかれて」

( ´_ゝ`)「ぜん……ああ、前妻か。そっちもメンドイなあ」

( ;゚∀゚ )「だから今、X@*のとこに」

( ´_ゝ`)「地名言われても判らんわ。取りあえず、
      荷物取って来るからちょっと待ってろ」

( ;゚∀゚ )「揺れる前に戻って来てくれ……」

( ´_ゝ`)「携帯の緊急地震速報でも眺めてろ」

頭を冷やさせる為に、外に薬中を置いて病院に戻る。
幻覚でも見て雪でも食って体の中から冷ませばいい。

633:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:40:21 ID:4UKkUBR20
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


( ´_ゝ`)「うげぇ……」

毎度の扉を開ければ、俺の渡したエロ本で抜いてるゴミがいた。
まだ日は高い。病室の窓から入る光は雪で反射して眩しい。


(´<_` )「あれ? もう買って来たのか?」

( ´_ゝ`)「フッツーにオナってんじゃねぇよ昼だぞボケ死ね。
      この短時間で自慰しようって何で思うんだよ猿か」

(´<_` )「流れるように罵倒すんな。こまけぇこたぁいいんだよ」

( ´_ゝ`)「俺これからアヒャの家に行って来るわ」

(´<_` )「戻って来んのか?」

( ´_ゝ`)「知らね」

(´<_` )「母さんにここに泊まれって言われたんだろ。道草売るなよ」

( ´_ゝ`)「道草は食うもんだろ、売れねぇよそんなゴミ」

(´<_`; )「あ、油と間違えたんだよ!」

634:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:41:34 ID:4UKkUBR20
そうだ。

今度来た時に寝てたら、口の中に油を流し込んでやろう。
忘れない内に、携帯のメモ帳に思い付いた事を記しておく。

こいつの面倒を見ろと我が母から強制されてたワケじゃないし、
アヒャの面倒を見る為なんだから外泊しても許されるだろう。
何かある度に「友達は大事にしなさい」って言われてるしな。

緊縛特集のページを開いたまま喚くクズを無視して、鞄を持つ。


( ´_ゝ`)「じゃあな!」

自販機で余らせていた500mLのペットボトルを顔面に投げつける。
後は知らん。飲むなり捨てるなり手を洗うなり、好きにするがいい。

しかし、その様子を通りすがりの看護師さんに見られた。
タイミング悪ぃ。仲悪いと見られたかな? まあいいや。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

635:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:42:29 ID:4UKkUBR20
( ´_ゝ`)「おいアヒャ戻ったぞ。アイスマンになってないか?」

(  ゚∀゚ )「俺そんな太古の昔に生まれてないぜ」

( ´_ゝ`)「よし、正気に戻ったか」

( ;゚∀゚ )「自分で言うのもなんだが、少し怪しいわ」

( ´_ゝ`)「自覚できるだけマシじゃない? 受け答えできるんだったら、
      このまま病院行って医者にちょっと診て貰えよ。金ある?」

( ;゚∀゚ )「金あるけど診られたらヤバそうだからいいわ……」

って事は、思いっ切り違法な何かをやってるって事か。
つーか薬が抜けきってない状態だから、何も信用できねぇ。

このままだと俺も何かの幇助罪に入りそうだ。どうすっかなあ。
行けるとこまで逝くべきか、こいつをどうにかするべきか。

瞬時に、『殺す』なんて物騒な考えが浮かんだ頭を殴る。
いい加減にしろ俺。どうも物々しい方向に行ってるぞ。


( ´_ゝ`)「ん?」

そういや最近、思考回路は歯止めが無かった気がする。
今、ほぼ勝手に動いた右腕は良心が戻った証か?
だとしたら自制はそっちに任せて、これでよしとしよう。

636:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:43:18 ID:4UKkUBR20
( ´_ゝ`)「タクシーあそこにあるから行こうぜ。
      住所分からんから案内は頼んだ」

(  ゚∀゚ )「お、おう、ぅ?」

( ´_ゝ`)「どうした」

( ;゚∀゚ )「あ、歩けねぇ」

( ´_ゝ`)「は?」

( ;゚∀゚ )「足が言うこと聞かねえぇ……」

(;´_ゝ`)「ええ?」

( ;゚∀゚ )「おぶってくれ」

( ´_ゝ`)「いや……そこは普通、肩貸してくれじゃねぇの」

よく見ると、足がアル中患者の手羽先のように震えていた。
もう完璧にデンジャラスでブラック過ぎるドラッグ決定だろう。

いっそ家でも病院でもなく、警察に突き出した方がいいんじゃねぇか?

637:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:45:10 ID:4UKkUBR20
( ´_ゝ`)「お前ヤベェって、病院か警察行こうぜ」

( ;゚∀゚ )「あー、警察ならもう行った」

( ´_ゝ`)「え、前科持ち?」

( ;゚∀゚ )「違ーよ。睡眠薬飲んで深夜に外をうろついてたら、
       いつの間にか警官に取り囲まれて交番にいたんだ」

( ´_ゝ`)「なんで寝る準備してから外に出るんだバカ野郎」

( ;゚∀゚ )「違うって! 今度の眠剤、相性良過ぎなんだよ!
       寝るまでに何かしら普通に行動しちまって、
       その間の記憶も何でか吹っ飛ばさるんだよ!」

( ´_ゝ`)「それは空が落ちる予定がない限り相性良いとは言わない」

(  ゚∀゚ )「でもすごい寝れるんだ」

( ´_ゝ`)「その間、変な行動しても?」

(  ゚∀゚ )「デメリットばかりじゃないぜ。俺、昨日DQ買ったんだけどさ、
      中盤の街でセーブしたハズなのに、ラスボス手前まで来てて、
      しかもレベルが限界まで上がって伝説の武器まで揃えてた」

( ´_ゝ`)「それもメリットじゃねぇよ。ストーリーすっ飛ばしてどうすんだ」

638:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:46:25 ID:4UKkUBR20
( ´_ゝ`)「つーか俺が聞きたいのはそれじゃない。
      サツに捕まってそれからどうしたんだよ」

(  ゚∀゚ )「ヤバい薬飲んでると思われたみたいでさ。家まで来られて、
      その時に服用してた薬全部『検査します』って持ってかれた」

( ´_ゝ`)「結果は?」

(  ゚∀゚ )「モーマンタイ。無事に戻って来たぜ」

大問題だよ。検査って何を調べたんだ。
ファッキンポリ公。仕事しろや糞狗共が。


( ´_ゝ`)「で、その薬飲んでこうなってんの?」

(  ゚∀゚ )「ああ」

( ´_ゝ`)「記憶無ぇ間に犯罪起こしたらどうしようとか、
      少しはそういう心配でもしてみろよアホか」

( ;゚∀゚ )「や、だってこれスゲー気持ちよく寝れんだもん!」

( ´_ゝ`)「寝れる事が最優先かよ……まあいいや。
      足の震えも止まったろ。タクシー乗ろうぜ」

639:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:49:37 ID:4UKkUBR20
(  ゚∀゚ )「おんぶしてくれ」

( ´_ゝ`)「だが断る」

( ;゚∀゚ )「割と切実に肩を貸してほしい」

( ´_ゝ`)「それなら」

(  ゚∀゚ )「サンキュー!」

などとほざいておきながら、ほぼ全体重を預けて来るアヒャ。
肩を貸すって言うより、俺が右腕を持って引きずってるだけだ。

その辺の灰茶色の雪に放り投げてやろうか。


( ´_ゝ`)「そういや金ってどれくらいある?」

(  ゚∀゚ )「俺の尻ポケットに突っ込んでるから確認してくれ」

無造作に手を突っ込んだら、気持ち悪い声を出しやがったので、
ポケットの中から尻たぶを抓る。ついでに、札っぽいのを掴み取る。

どう見ても鼻かんだティッシュにしか見えない札と一緒に、
ポケットから元気な白いパケが転がり落ちて雪と同化した。

俺は何も見なかった、と目を逸らす。

640:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 03:50:47 ID:4UKkUBR20
( ;゚∀゚ )「おい痛かったぞ!」

( ´_ゝ`)「札くらい財布に入れろよ。なんで丸出しなんだ」

(  ゚∀゚ )「シカトか」

数枚の五千円札が、俺の手の中でグッシャグシャになっている。
会計で出されたら、ちょっと頬が引くつくレベルで皺々だ。


( ´_ゝ`)「タクシー案内しろよ。俺この札戻してるから」

(  ゚∀゚ )「分かった」

流石に、薬がどうのこうのなんて話はタクシーの中ではしない。
見知らぬ人間が聞いたら誤解されそう、いや、必ず誤解される。

アヒャも具合が悪いのか、眠いのか、全部なのか、口数が少ない。
今回のタクシーの運ちゃんも、必要以上に話掛けて来ない人だ。

俺は無言で札を直し続けた。
しっかし、何で五千円札ばっかりなんだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

641:名も無きAAのようです:2013/03/15(金) 04:55:54 ID:4UKkUBR20( ´_ゝ`)「おー結構高いマンションだな」

(  ゚∀゚ )「けど上じゃなくて下のほうだから安目だぜ?
      エレベーターから一番遠い角部屋だしな」

( ´_ゝ`)「いっつも角部屋取ってるよな」

(  ゚∀゚ )「俺、たまに煩いからな。俺も寝る時に煩いの苦手だし、
      角が調度いいわ。流石に最上階なんて取れねーしさ」

( ´_ゝ`)「確かに」

(  ゚∀゚ )「同意するなよ」

( ´_ゝ`)「お前、寝ると時々口の中で工事が始まるじゃねぇか。
      それを煩いと思えなけりゃ俺はただの聾唖だっつの」

(  ゚∀゚ )「……今度、どんだけ煩いのか録音してくれ」

(;´_ゝ`)「自分でやれよ。そんくらい」

どれくらい酷い音害なのか分かり易く例えると、隣で寝ていたら、
唐突に至近距離で道路の土木工事が始まると言えばいいだろうか。

正直言って、先に寝たとしても煩過ぎて起こされるレベル。
そんな音を発しながら健やかな寝顔を見せられた日には、
怒りが更なる進化を遂げて、殺意の波動に目覚めれる。

651:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:32:29 ID:5yKstxHY0
運ちゃんに形を整えた五千円札を渡して、マンション前に降り立つ。
全体的に汚れが少なく、駐車場も整備されている立派なマンションだ。


( ´_ゝ`)「で、何階?」

(  ゚∀゚ )b「2階のあそこ」

( ´_ゝ`)「本当に低いな」

(  ゚∀゚ )「ギリギリ窓から出れる位置だからいいんだよ」

( ´_ゝ`)「マンションでんな事すんなよ」

(  ゚∀゚ )「共同玄関がロック式だからって、油断はできねーよ?
      他の住人と一緒にさり気なく侵入して来る事もあるしな」

( ´_ゝ`)「どこのスネークだよ」

(  ゚∀゚ )「寒いからさっさと行こうぜ」

( ´_ゝ`)「ああ」

( ;゚∀゚ )「……それと、先に謝っておく。マジごめん」

( ´_ゝ`)「へ?」

652:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:33:20 ID:5yKstxHY0
清潔な印象の建物からは予想できない景色が目の前に広がる。

何だこのゴミ屋敷。何だこの異臭。何だこの淀んだ空気。
何故このどこでもドアはゴミ処理場に繋がってるんだ。


( ´_ゝ`)「嘘だと言えよバーニィ」

(  ゚∀゚ )「悲しいけどこれ現実なのよね」

( ´_ゝ`)「は?」

( ;゚∀゚ )「すみませんホントごめんなさい! 掃除します!」

( ´_ゝ`)「そうじゃなくて、お前、ここでずっと過ごしてたのか?」

(  ゚∀゚ )「いや、その辺を点々と」

( ´_ゝ`)「それで一ヵ月も経たずにこれだけ滅茶苦茶にできるとか、
      お前の散らかしっぷりは最早才能の域だよ。どっか行け」

(  ゚∀゚ )「シンガポールはやめてくれ」

( ´_ゝ`)「あそこならお前は死刑かもな」

確かに道路は綺麗だった。マーライオンはショボかった。
そして中華街は汚れていた。綺麗なのは広い表側だけだ。

653:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:34:16 ID:5yKstxHY0
それに人種が混じってるから言語も3種類あって分かり難い。


目的地までの道のりが分からず、現地で迷子になった時。

『徒歩強制されてるけど迷子になったんだからタクシーを使おうぜ』
とグループ内で意見がまとまり、楽をしようとしてタクシーに乗った時。

走っていたタクシーを手を振り上げて止め、皆で意気揚々と乗り込み、
運転手に話かけたら中国語で返された時のミスった感は忘れられない。

あのチャイニーズドライバーめ、英語が分からないフリしくさって、
目的地の周りを延々走り続けて料金値上げしやがって、許さん。

つーか最後の方、アヒャなんか中国語でジュミンア連呼してたぞ。
それを見てニヤニヤ笑ってたし、誤用のほうの確信犯だろアイツ。

もう二度と中国人は信用しない。


(  ゚∀゚ )「兄者、そろそろ降ろしても大丈夫だ」

( ´_ゝ`)「ん、ああ」

654:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:35:01 ID:5yKstxHY0
( ;゚∀゚ )「わりぃ、兄者にやっと会えたのと部屋に帰ったので、
       どっと疲れが来たわ……ちょっと寝ていいか?」

( ´_ゝ`)「何処で寝るんだよ。ベッド見当たらんわ」

(  ゚∀゚ )「一番デカい窓の下にあるぜ」

( ´_ゝ`)「ゴミステーションが家の中にあるようにしか見えない」

(  ゚∀゚ )「外じゃなく中にあるのが斬新だな、流石は匠の赤石」

( ´_ゝ`)「おめーの部屋だぞ、片付けろや」

(  ゚∀゚ )「俺の部屋だけど大切にできねぇわ……」

治外法権のゴミ捨て場の管理人をゴミ袋の上に捨て置き、
よくわからない何かが散乱する床を踏み荒らして奥に進む。


( ´_ゝ`)「うお」

辿り着いた風呂場では、浴槽の中の水が丸ごと凍っていた。

ここは氷点下か。中なのに外気温と同じか。
このままだと、水道管も凍結してる可能性があるぞ。

655:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:35:44 ID:5yKstxHY0
試しに軽く蛇口を捻る。水は出ない。

半分くらいまで捻る。まだ出ない。

蛇口を全開にする。雀の涙が出て来た。


( ´_ゝ`)「ここに人生の袋小路が顕現したな」

(  ゚∀゚ )「何、哲学的なこと言ってんだ」

( ´_ゝ`)「水道が凍結してるぞ」

( ;゚∀゚ )「マジで!?」

( ´_ゝ`)「完全にじゃねーけどな」

(  ゚∀゚ )「やっべー、マジべーわ、っべーわ」

( ´_ゝ`)「ミサワってる場合じゃねぇぞ。本気で洒落になんねぇ」

(  ゚∀゚ )「実を言うと台所のほうも凍ってた」

( ´_ゝ`)「詰んでんじゃんアホか」

(  ゚∀゚ )「こうなったら氷を食べて生きていこう」

656:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:36:32 ID:5yKstxHY0
( ´_ゝ`)「苦し紛れに風呂のボイラーと暖房焚けよ。
      もしかしたら氷溶けるかもしんないしさ」

(  ゚∀゚ )「溶けなかったらどうする?」

( ´_ゝ`)「そういう時こそ、ここら辺のホテルでも満喫でも泊まれよ」

(  ゚∀゚ )「ホテル、で思い出した」

( ´_ゝ`)「あ? 忘れ物?」

( ;゚∀゚ )「そんなんじゃない。俺でもこんな思い出し方、
       スッゲー嫌なんだけど、聞いてくれるか?」

( ´_ゝ`)「手ぇ動かしながら口動かせ。俺も片付けるから」

(  ゚∀゚ )「あ、ああ、あのさ、兄者、ちょっと付き合ってくれるか?」

( ´_ゝ`)「今やってんじゃねーか。もっと馬車馬の如く働けってか」

( ;゚∀゚ )「違う!そっちじゃない! 恋人的な意味で!」
  _, 、_
( ´_ゝ`)「……………はい?」

657:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:37:26 ID:5yKstxHY0
( ;゚∀゚ )「あークッソ言っちまった! でも冗談じゃねぇからな!
       俺も自分をおかしいとは思ってんだよ! マジで!」

( ´_ゝ`)「え? ああ、そうだな」

( #゚∀゚ )「兄者が俺を脱糞させて下の世話してくれた日がさあ!
       なんかずっと頭から離れねぇんだよ! ずっとなんだ!
       最初は恥過ぎてトラウマにでもなってんのかと思ったよ」

( ´_ゝ`)「それが黒歴史にならない奴のほうがおかしいわ」

(  ゚∀゚ )「また部屋変えられてさ。イライラしてオナってる時に、
      ふっとその日の事、うっかり思い出しちまってよお。
      不本意だけどお前でフィニッシュしちまったんだ……」

( ´_ゝ`)「言葉も出ねぇよ」

(  ゚∀゚ )「ぶっちゃけここ最近の俺さ、考え過ぎておかしいんだよ。
      ホモなったのかと思って色々と見てみたりしたんだけど、
      やっぱ男は駄目だった。キモい。生理的に無理だった」

( ´_ゝ`)「その台詞、俺が喋るとは思わねぇのかよ」

( ;゚∀゚ )「待ってくれ、話を全部聞いてから答えてくれ」

(;´_ゝ`)「もう答えは決まってるけどな……」

658:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:38:26 ID:5yKstxHY0
(  ゚∀゚ )「女が駄目になったとかじゃないんだ。エロ本見れば、
      普通に抜けるっちゃ抜ける。チンコも勃つ。興奮する」

( ´_ゝ`)「バイになったって事か?」

( ;゚∀゚ )「違うって、男はお前以外無理だっつの。ノーマルだろ?
       ただ何かずっと気になるんだ。頭ン中にずっとあんだよ。
       自分でも何で気になってるのかハッキリとわからねぇんだ」

( ´_ゝ`)「それを言うなら俺だって何で真冬の糞寒い日に、
      こんな腐海で告白されてんのか意味わかんねぇよ」

(  ゚∀゚ )「俺なり考えてった結果がさあ。多分なんだけどさあ?
      兄者が俺の糞を躊躇いもなく掃除しちまったからだと思う」

( ´_ゝ`)「相手がほぼ身動きできない状況にいたら、
      どうにかするのが普通だろうが。友達なら」

(  ゚∀゚ )「せめてちょっとくらいは嫌な顔してて欲しかったわ。
      あんな無表情で黙々と片付けられたら何か思うって」

( ´_ゝ`)「臭いが嫌過ぎて思わず無表情になったと考えろよ」

(  ゚∀゚ )「ああ、そう考えるべきか。いや、そう考えても……」

659:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:40:22 ID:5yKstxHY0
アヒャはゴミ山の上で悶えている。
まるで死に際のホームレスのようだ。


( ;゚∀゚ )「ああああやっぱそう考えても駄目だっ! クソがッ!!
       一回試しに付き合ってくれ。そして俺を幻滅させてくれ!」

( ´_ゝ`)「さっさと勝手に絶望してくれ」

(  ゚∀゚ )「兄者と会うまではスゲー心臓がドキバクしてたんだけどさ、
      いざこうして出会ったら、結構なんともねーんだもんよお。
      このまま付き合えば、頭の中のアホな夢も覚めると思ってる」

( ´_ゝ`)「現実は少女漫画じゃないからな」

(  ゚∀゚ )「俺さ、母親含めて酷い女にしか会った事ないからさ。
      男に夢見て、とち狂った変な方向に行ってんのかも」

( ´_ゝ`)「自分でそうやって冷静に考えれるのに、何故俺に暴露した?」

( ;゚∀゚ )「だから今の俺は兄者に夢見過ぎてるんだって!」

( ´_ゝ`)「だからその夢って何だよ」

(  ゚∀゚ )「なんつーか、俺の中で兄者が都合がいい奴になりかけてんだ。
      バカやっても軽く流してくれて、アホやってもケツ拭いてくれて、
      何やっても許してくれるんじゃねーかって言う、都合のいい夢」

660:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:42:19 ID:5yKstxHY0
(  ゚∀゚ )「このままだと近い内に、勝手に兄者に期待して、失望して、
       お前にバカみたいに八つ当たりすっかもしれねーんだよ」

( ´_ゝ`)「そりゃ迷惑な話だ」

( ;゚∀゚ )「んだよもうさっきから他人事みたいに!」

( ´_ゝ`)「他人事って言われてもなあ……」

現実感がない。危機も感じない。何が大変なのか判らない。
衝撃が強くて、一周回って感情が冷え込んでしまっている。

今日の出来事が全部「実はドッキリでした~」の説もあるにはあるが、
アヒャの頭が海外のクスリでヤられている今、狂ってる可能性が高い。

それに睡眠薬飲んでから寝るまで少し記憶が吹っ飛ぶっつってたし、
こんな暴露もあの日の出来事が捩じ曲がって記憶されてると思えば、
「ああこいつ可哀想に……」としか思わない。内心、楽しいけどな。

睡眠薬を飲むと、神経や思考などと言った色々なものが抑えられて、
ベッドでジッタンバッタンするくらいの黒歴史、吐気がするトラウマ、
普段は思ってもいないような事をくっちゃべってしまう人種もいる。

正気に戻った時との落差を想像すると笑えるな。
ボイスレコーダーで録音しときゃよかった。

もし、これがアヒャの本音なら悪夢だな。
程々に付き合ったら逃げよう。
内藤に話して新たなネタにしてもいい。

661:名も無きAAのようです:2013/03/18(月) 13:43:55 ID:5yKstxHY0
今からでも発言を引き出せば遅くはない、と肩に担いだままの鞄を探る。
そこにはなんと録音スイッチが入りっ放しのボイスレコーダーがあった。


( ´_ゝ`)「おお」

(  ゚∀゚ )「何か言ったか?」

( ´_ゝ`)「嫌だな、別にアヒャ死ねとか言ってないぜ」

( ;゚∀゚ )「俺もそうは聞こえなかったぜ!」

音を取り易いように、鞄から上着のポケットの中に入れる。
手はよくわからないネトネトで汚れてるが気にしない。
後で風呂でも借りよう。今は凍ってるけど。


( ´_ゝ`)「おい脱衣所は大分片付いたぞ」

(  ゚∀゚ )「あ、うん。俺の一大決心みたいな奴、聞いてた?」

( ´_ゝ`)「うん」

(  ゚∀゚ )「返答は如何に!?」

( ´_ゝ`)「無理」

671:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:39:52 ID:ZMmunEvY0
( ;゚∀゚ )「畜生!」

( ´_ゝ`)「普通はそうなるって」

(  ゚∀゚ )「お前、女に言い寄られた時に『じゃあ試しに一週間』って、
      まず一週間だけ遊んで当たり障りないように別れてただろ。
      何か変な行動起こして『ついて行けない』って言わせてさ!
      俺ともそうしろよ! まず一週間でいいから! 本当に頼む!」

( ´_ゝ`)「大体の女が、俺の地雷を土足で踏み抜いていってるだけだよ。
      アヒャは俺と一緒のマフラー巻いて、一週間裸相撲したいのか?」

( ;゚∀゚ )「そうじゃない。もっと真面目に!」

( ´_ゝ`)「お前、それ睡眠薬の副作用で発狂してるだけだってば。
      オナ禁して色事自粛してる時の欲情対象バーサクモード」

(  ゚∀゚ )「俺だって、何かの間違いだって思ってたっつってんだろ。
      ずっと考えてて、どうしようもねぇからぶち撒けたんだよ」

( ´_ゝ`)「それが間違いだっての、女にちゃんと欲情するんだろ?
      身近に穴あるから勘違いしてんだ。風俗行って抜けよ」

(  ゚∀゚ )「いや俺は」

( ´_ゝ`)「俺のは勘違いだっての。お前はホモでも何でもねぇよ。
      今このゴミ山崩してたら、グラビアの雪崩が起きたもん。
      しかも、ご丁寧にカピカピになった本の雪崩が。汚ぇ」

672:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:41:10 ID:ZMmunEvY0
(  ゚∀゚ )「俺はホモじゃない。その辺の掃除は俺がやるわ」

( ´_ゝ`)「なら俺、風呂場やっとく」

( ;゚∀゚ )「もう、なんか、すまんな」

( ´_ゝ`)「今度、何かしら奢れ」

(  ゚∀゚ )「奢るついでに、やっぱ付き合ってる気分にしてくんない?
      公衆の面前で腕組めとか、恋人繋ぎしろとか、キスとか、
      そういう事は望まないからさあ……こう、気分的に、何か」

( ´_ゝ`)「えーやだよ」

(  ゚∀゚ )「じゃ手っ取り早く、俺に嫌われるようなコトをしてくれ!」

( ´_ゝ`)「お前が彼女にされたくない行動って何だよ」

(  ゚∀゚ )「うーん『玄関開けて5秒でアハン』とかが嫌いだな。
      すぐ股開くようなケバい尻軽女はかなり好きじゃない」

( ´_ゝ`)「俺に化粧して股開けってか」

( ;゚∀゚ )「ちっが! そういう意味で言ったんじゃない!」

673:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:41:51 ID:ZMmunEvY0
( ´_ゝ`)「そういうのは無理だから」

(  ゚∀゚ )「ですよねー」

( ´_ゝ`)「ケツに何か突っ込むとかもう勘弁だ」

(  ゚∀゚ )「ま、誰だってそうだよな……」











(  ゚∀゚ )「……って、『もう』?」

( ´_ゝ`)「え?」

(  ゚∀゚ )「もう、何だ」

( ´_ゝ`)「あ」

674:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:42:34 ID:ZMmunEvY0
(;´_ゝ`)「座薬だよ座薬! 子供の頃、母さんに突っ込まれただろ?」

(  ゚∀゚ )「俺は母親に育ててもらってないな」

( ´_ゝ`)「そうだった」

(  ゚∀゚ )「『もう』って何だ。もしかして貫通済みなのか。非処女か。
      いつヤった。相手は誰だ。俺の知らない奴か知ってる奴k

( ´_ゝ`)「今までもこれからも未開通だよアホか死ね」

(  ゚∀゚ )「ごめん」

( ´_ゝ`)「じゃあそっち片付けてろよ」

(  ゚∀゚ )「ああ」



(  ゚∀゚ )



( ;゚∀゚ )「やっぱ気になる! 教えてくれ!」

( ´_ゝ`)「うっぜぇ」

675:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:44:28 ID:ZMmunEvY0
( ´_ゝ`)「お前知ってるだろ。俺、心因性の勃起不全だって」

(  ゚∀゚ )「一時的なインポなんだろ?」

( ´_ゝ`)「俺がわざと汚い言葉使うの避けたってのにテメェ」

( ;゚∀゚ )「すまん、それで?」

( ´_ゝ`)「医者から、薬以外にも色々治療法があるので、
      一回これをやってみて下さいって言われたんだ」

(  ゚∀゚ )「何を?」



( ´_ゝ`)「下らない事だけど2回言いました」

(  ゚∀゚ )

676:名も無きAAのようです:2013/03/20(水) 02:45:43 ID:ZMmunEvY0
(  ゚∀゚ )「今、目の前をぬるコぽっぷが通り過ぎて行った」

( ´_ゝ`)「幻覚だよ。前立腺の中の人だなんて者、存在しない。
      ちょっと通りますよ、が偶然通りすがっただけだろ」

(  ゚∀゚ )「あ、うん……」

( ´_ゝ`)「どこ見てるんだ」

(  ゚∀゚ )「よく分からないけど、ショックだった」

(;´_ゝ`)「言っておくけど自慰とも違うんだぞ? マッサージだって。
      変な方向に考えて解釈するのはやめてくれよ、マジで」

(  ゚∀゚ )「事前知識が前立腺マッサージ=アナニーの先入観しかない」

( ´_ゝ`)「言っておくけど、俺は無駄に顔の整ったイケメンの医者に、
      尻に手を突っ込まれるのが嫌だから『自分でやる』って
      選択肢を取ったんだからな? 俺の気持ちわかるだろ?」

(  ゚∀゚ )「ちょっと頭回す余裕ないわ」

( ´_ゝ`)「余裕なくても無理矢理捻じ込んでやる。
      ちょっと説明するから、そこに座れ」

(  ゚∀゚ )「はい」

拍手

589:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:59:28 ID:Tq2KJ/Rc0
29.普通の人はそんな事やらないですから



( ´_ゝ`)「そんな訳で来た」

(´<_` )「どんな訳だ」

( ^ω^)「お邪魔してるお」

(´<_` )「この筋肉ヒーター追い出してくれ」

( ´_ゝ`)「最近よく来るな」

( ^ω^)「部屋の暖房が勿体無くて」

(´<_` )「その体で寒いわけねーだろ」

( ^ω^)「寒いお。凍えちゃうんだお~」

(´<_` )「キモい上に暑苦しいとかウザさの極みだわ」

( ^ω^)「じゃあ何か冬にちなんで怖い話でもするお」

(´<_` )「この調子なんだよ何とかしてくれ」

( ´_ゝ`)「退屈しなくていいでちゅねー弟者くーん」

590:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:01:56 ID:Tq2KJ/Rc0
( ^ω^)「キッモ」

(´<_` )「うわムカつく」

( ´_ゝ`)「何だこの扱い」

( ^ω^)「ほらさっさと弟者が怖い話の先鋒やるお」

(´<_` )「あるわけねーだろ死ねボケ」

( ^ω^)「あるだろうがお。特に弟者の経験だったら」

(´<_` )「ねーってばよ」

( ^ω^)「『幽霊よりも生身の人間のほうがとても怖い』
      って体験の一つ二つあるだろ、ほらコレとかお」

内藤に指を差された。
何だこの扱い。

591:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:03:48 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「……あ、昔のやつ、一個思い出した」

( ´_ゝ`)「へー、あるのか」

( ^ω^)「ほほう、話すお」

俺も少し気になるので、ボイレコのスイッチを入れ、
何故か鞄に投入されていた日記と筆記用具も用意する。

何でこれがここにあるんだろう。
用意ってこれも用意したのか我が母よ。

中身は読まれたのかな?
まさか入院って中身読んでヤバいと思われたから?

まあ、いい。今は考えるのをやめておこう。
先に、日記に我が母との会話を忘れない内に記録しておく。

592:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:05:31 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「向こうに行って、兄者とルームシェアしなくなって、
      新しいアパートに引っ越し終わった時だったな」

( ^ω^)「ふんふん」

(´<_` )「貧乏学生が入るみたいな、ボロ臭いとこだったんだよ。
      俺は3階の角部屋取ったんだけど、すげー湿気だった」

( ^ω^)「ふん」

(´<_` )「ボロくても、一応エレベーターはついてたんだよね。
      けど扉のガラスとかガッタガタ、ボタンは取れ欠け。
      でも階段は面倒くせーし、エレベーター使ってたワケ」

( ^ω^)「ふんむ」

(´<_` )「バイト終わって女もいない夜だったんだよねー。
      いつも通りそのボッロいエレベーター使ったらさ、
      ガラスの向こうにナイフ持った人がいたんだよ」

( ^ω^)「女かお?」

(´<_` )「いや男」

( ^ω^)「おおう」

593:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:06:53 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「そのヤバい奴とバッチリ目が会っちゃってさあ……
      上がり始めた時だったから、乗り込まれはしなかったけど」

( ^ω^)「けど?」

(´<_` )「エレベーター越しでも届くくらいデカい声で笑いながら、
      隣の非常階段を駆け上がってく姿がこっちから見えた」

( ;^ω^)「普通に怖ぇお」

(´<_` )「エレベーターのほうが早かったから、
      そいつより先に部屋には入れたんだ」

( ^ω^)「刺されればよかったのにお」

(´<_` )「んなこと言うなよ、まだ続きあんだぜ」

( ^ω^)「おっ?」

(´<_` )「ボロい扉だから、男に突破されないとも限らないしな。
      軽くタンスでバリケード作って、鍵かけて寝たんだよ」

( ^ω^)「それでも寝れるだけ神経すげぇお」

(´<_` )「バイトで疲れてたんだよ、トドメにこれだし」

599:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 21:56:50 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「夜中に男が襲ってきたかお?」

(´<_` )「そこは普通に寝過ごせた」

( ^ω^)「なーんだ、つまらんお」

(´<_` )「つまんなくねーよ。部屋さ入って鍵かけた瞬間、
      ノブがすげー勢いでガチャガチャ回ったんだよ。
      もし後一歩遅かったらって背中に寒気走ったわ」

( ^ω^)「ぉお」

(´<_` )「それでバリケード作って寝たんだよ」

( ^ω^)「覗き窓から男の姿くらい確認できないのかお?」

(´<_` )「外に直接繋がってるタイプのアパートじゃねーから。
      新聞受けも覗き窓もねーし、チェーンもねーし無理」

( ^ω^)「ふむ」

(´<_` )「そんで普通に日ぃ昇ってー」

600:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 21:58:39 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「バリケードどかして廊下に出ようとしたら、
      ドアの隙間にナイフの刃が挟まってんだよ」

( ^ω^)「わぁお」

(´<_` )「んで武器として一応傘持ってドア開けたら、
      廊下に腕組んで仁王立ちの男がいたんだ」

( ^ω^)「ちょ」

(´<_` )「一夜明けての朝だぜ? まだ夢かと思ったわ。
      ナイフの柄だけそいつの手の中にあったし」

( ^ω^)「無事だったのかお?」

(´<_` )「ああ」

( ^ω^)「それでどうなったんだお」

(´<_` )「普通に横通り過ごした」

( ^ω^)「何故にだお」

(´<_` )「いや兄者だったし」
  _, 、_
( ^ω^)「お?」

601:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:00:07 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)φ゙ カキカキ


( ^ω^)「どういう事だお……」

(´<_` )「いつも通りの非日常的な」

( ^ω^)「死者の怨念とか、生きてる人間が一番ホラーじゃなくて、
      弟を狙う悪漢を倒した兄の美しい兄弟愛的な美談かお?」

(´<_` )「んなワケないだろ。俺と兄者しか出演者いねーよ」

( ^ω^)「どういうことだってばお」

(´<_` )「うーん、ホラーっぽく語るのってムズいな。
      ミスリードとかどんでん返し狙ったんだけど。
      エレベーターんトコの男とかも全部兄者だよ」

( ^ω^)「その語り口調でホラーは無理があるお、んで」


(^ω^ )「兄者はいつから都市伝説側になったんだお」

( ´_ゝ`)φ「……? ごめん、全然話聞いてなかった」

(^ω^ )「ふぁっきん」

602:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:01:23 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「向こう行ってからルームシェアやめた直後」

( ´_ゝ`)「あ? ああ……お前のきったねぇ置き土産あった日な」

( ^ω^)「そっちのいざこざは置いといて、えーと、兄者は、
      一晩ずっと立ったまま扉の前にいたのかお?」

( ´_ゝ`)「えーっと、何の話?」

(´<_` )「初めてナイフ取り出した夜」

( ´_ゝ`)「向こうの……うん、思い出した。あのボロ屋な。
      ドア開けられなかったから、ずっと待ってたな」

( ^ω^)「丸々一晩立ったまま、かお?」

( ´_ゝ`)「こいつのフリして大家に開けるよう頼もうとはしたぜ?
      でも大家寝てたんだよ。深夜だから仕方ないけどな」

( ^ω^)「それで朝まで待機かお。普通の人はそんな事できんお」

( ´_ゝ`)「ちゃんと衝撃で起きるようにドアのすぐ前で待ってたっつの」

(´<_` )「だからってさあー。ドアから一歩踏み出せば、
      事故チューするような位置にいるとかマジ勘弁」

603:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:02:17 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「待つお。前提すっ飛ばしてるお。訳がわからんお。
      兄者は、ずっと扉の前で待ってたんだおね?」

( ´_ゝ`)「そうだよ」

( ^ω^)「何時間くらいだお?」

( ´_ゝ`)「さあなあ……あの後、こいつに放置されてたから、
      隣人っぽい人が話しかけて来るまで固まってたし」

( ^ω^)「どっちにしろ、よくそんな事できるもんだお」

(´<_` )「どうせ立ったまま寝てたのキチ次元バージョンだろ。
      偉そうな奴の演説っぽいの強制的に聞かされた時も、
      それやって俺にどつかれるまで固まってたからな」

( ´_ゝ`)「せめて高次元とか言えや」

( ^ω^)「立ったまま寝る奴なら僕もたまにやるけど、
      兄者のは一体どうやってんだお?」

( ´_ゝ`)「寝てる訳じゃないから、俺は内藤の方がよくわかんねぇ」

( ^ω^)「そのままだお。立ったまま寝るだけだお。
      寝るんじゃないなら、兄者のは何々だお」

( ´_ゝ`)「あーそういう事ね」

604:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:03:14 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「何か体にぶつかったり、衝撃来るまで意識ぶっ飛ばしてるだけだよ。
      考え事とかしてて、意識が深い場所まで潜ると体が固まるだろ?
      怒り湧いてくる系統は逆に動きたくなるから事の種類にも寄るけど、
      ずっと考え事とかしてると、頭の中が真っ白になってくじゃん。
      それやってただけだよ。だから、内藤みたく寝てる訳じゃねぇ」

( ^ω^)「判らないと言う事が分かったお」

( ´_ゝ`)「なんでだよ」

(´<_` )「あ、俺、地味に助かってたわ。あそこのボロ屋、
      外開きのドアだったら兄者が起動してたんだな」

( ´_ゝ`)「起動とか言うなや」

(´<_` )「内開きでマジ助かったわー」

( ´_ゝ`)「驚いたついでに、俺にぶつかればよかったのに」

(´<_` )「目ぇガン開きで固まってればどっかイッてると思うだろうが。
      いくら何でも自分から地雷原に丸腰で行ったりしねぇよ」

( ´_ゝ`)「女の地雷原にはマッパでルパンダイブする癖に」

(´<_` )「女だからな」

( ^ω^)「あー」

605:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:04:15 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「つまり何だお。いつも通りの喧嘩かお?」

(´<_` )「向こうに行ってからの刃物沙汰はあれが最初だったから、
      かなりビビったけどな。尿意ないのに漏れそうになったぜ」

( ´_ゝ`)「小便漏らして社会的に死ねば良かったのに」

(´<_` )「誰が漏らすかボケ、漏れたらテメーに後始末押し付けてやんよ」

( ´_ゝ`)「お前自分で何言ってるか判ってんのか?」

( ^ω^)「あーあー、僕はそろそろ食堂で飯食うお」

( ´_ゝ`)「俺も」

(´<_` )「そこの逆三角は戻って来んな」

( ^ω^)「誰のことだお? 僕はただのピッツァだお」

(´<_` )「テメーがデブなら世の中の一般人はただの豚だ」

( ^ω^)「つまりお前は豚かお。やーい豚野郎、おっおー」

(´<_` #)「死ねこの…………うっわ何こいつムカつく、
      ガチムチに対する悪口全然思いつかねぇ!」

( ^ω^)「ふふんお」

606:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:05:02 ID:iV2IjsnU0
ガラッ ピシャ


( ´_ゝ`)「仲いいんだか、悪いんだか……」

( ^ω^)「おまそれ、僕がお前らに対して思ってる事だから。
      自分の発言がブーメランになってる事に気付けお」

( ´_ゝ`)「えー、どの辺がだよ」

( ^ω^)「それもブーメラン」

( ´_ゝ`)「内藤が俺らを『仲いいんだか』って思ってるとこ」

( ^ω^)「そっちかお。つーか、ボイレコ切れお」

( ´_ゝ`)「益になりそうだからこのまま録音しとく」

( ^ω^)「たまに兄者は難い言い方すんおねー」

( ´_ゝ`)「いきなり何だよ」

( ^ω^)「益とかパッと出て来ねーお」

( ´_ゝ`)「お前もサークルの奴らと変な議論してる時あったじゃん。
      似たようなモンだろ。それこそ突っ込まれたくないぜ」

607:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:05:56 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「別に『軽蔑』って言葉くらい話し言葉で使うのにおー。
      使う使わないであそこまでなるとは思わなかったお」

( ´_ゝ`)「ほらな」

( ^ω^)「それとこれとは話が別だお」

( ´_ゝ`)「つーか、俺はお前に話を聞こうとしてたんだけど」

( ^ω^)「ああ、なんだったっけお?」

( ´_ゝ`)「あいつとの……もういいや」

( ^ω^)「嫌いなモノが合致した時とか、突っかかって来た奴らとかには、
      物理も混ぜて左右からステレオで攻め立てるじゃないかお。
      あと咄嗟の行動がダブったりとか、耳掻く癖とかそういうのだお」

( ´_ゝ`)「覚えてんじゃねぇか」

( ^ω^)「おっお、あと爺さん婆さんには意外と優しいところも」

( ´_ゝ`)「そこまで人見てるとかきもい」

( ^ω^)「おめーが変なとこで無関心過ぎるってか、
      そっちから聞いたんだろうがお。奢れお」

608:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:06:37 ID:iV2IjsnU0
内藤は既に席についてメニューを広げている。
どうせまた見開きの1頁を制覇する気だろう。
前もそれをやって、新人のバイトを困らせていた。


( ´_ゝ`)「水でいいなら」

( ^ω^)「そういうのじゃないお」

( ´_ゝ`)「仕方ねぇな」

内藤から離れて、自販機まで飲み物を買いに行く。
自分と、内藤の分のペットボトルを買って戻った。


( ´_ゝ`)「ほらよ」

( ^ω^)「っべー、マジべーわ。これは想像してなかったお」

( ´_ゝ`)「あっはっは」

( ^ω^)「普通にいらねぇお。弟者に渡して来るといいお」

( ´_ゝ`)「え、やだ」

( ^ω^)「どうせ嫌がらせにしかならないから渡せお」

609:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:07:52 ID:iV2IjsnU0
水でも俺の金で買ったものだと思うと、渡すのが嫌だ。


( ´_ゝ`)「なんかやだ」

( ^ω^)「本当、変なトコで嫌がるおね。100円の水くらい、いいだろがお。
      前に糞たっかい花束を尿瓶に生けてったのはどこの誰だお?」

( ´_ゝ`)「あれバレてたのか」

( ^ω^)「僕も気付いてたけど、いつの間にか無くなってたお。
      看護婦さん辺りが片付けたんじゃないのかお?」

( ´_ゝ`)「って事は、あいつは気付いてないのか……つまんねぇな」

( ^ω^)「もっと存在をアピールできるとこに置けばよかったのにお」

( ´_ゝ`)「んな事したら、すぐにバレてつまんねぇと思ったんだよ」

( ^ω^)「どっちにしろ気付かれなかったお」

( ´_ゝ`)「あーあ、次どうしよっかなー。何かいい案ある?」

( ^ω^)「特に無いお」

( ´_ゝ`)「病院だから危ないモンは持って来れねぇしなー」

610:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:09:44 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「兄者は飯食いに来たんじゃないのかお?
      何も頼まないでダベってるだけかお」

( ´_ゝ`)「ちょっとねー」

( ^ω^)「また陰謀かお。今度は何企んでるんだお?」

( ´_ゝ`)「悪い事じゃねーよ。むしろ、いい事だよ」

( ^ω^)「兄者の善悪の基準が怪しいお」

( ´_ゝ`)「誰も怪我しないならいい事なんじゃないの?」

( ^ω^)「精神的か、物理的かで色々変わるお」

( ´_ゝ`)「そうか、難しいな……」

( ^ω^)「面倒臭い事じゃなくて、面白おかしい事なら大歓迎だお」

( ´_ゝ`)「じゃあ今すぐあいつの怪我を増やしてくれ」

( ^ω^)「殺人幇助はNG」

( ´_ゝ`)「ちぇっ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

611:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:10:58 ID:iV2IjsnU0
皿を高く積み上げつつある内藤を食堂に置いて、病室に戻った。

周りに人がいないか確かめて、ドアに耳を近付ける。
特に物音は聞こえないし、声もしない。
あの足じゃ逃げられる事はないだろうし、いいか。


ガラッ


Σ(゚<_゚ ; )「ひょっ!?」

( ´_ゝ`)「こりひょうたん島?」

(´<_`; )「何も見てないぜ俺は!」

( ´_ゝ`)「そう言うなら、膝の上に広げてる俺の日記くらい、
      どっかに隠すとか、せめて閉じるかぐらいしとけよ」

(´<_` )「あーあー、あー」

( ´_ゝ`)「御感想は?」

(´<_` )「なんかもういいや」

( ´_ゝ`)「そうか」

612:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:11:42 ID:iV2IjsnU0
ベッドの傍にあった椅子に座り、腕を組んで待つ。

向こうから何のアクションも無ければこっちから切り出すが、
さて、どうやって不自然じゃないように言ったモンか。


(´<_` )「兄者さあー」

切り出す必要はなかったか。


( ´_ゝ`)「何だ」

(´<_` )「鬱田って奴と、友達じゃねがったんか?」

( ´_ゝ`)「訛んな、釣られねーぞ」

(´<_` )「ふざけでもしねぇと衝撃紛らわせねぇよ」

( ´_ゝ`)「それにお前のこと書いてないのに何でショック受けるんだ」

(´<_` )「お前の価値観」

( ´_ゝ`)「人それぞれだろ、そんなん」

(´<_` )「人それぞれに認められるのは犯罪に掠ってねーのだけだろ。
      これどうやったってアウトじゃねーか。真っ黒もいいトコだよ」

613:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:12:32 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「お前には関係ないだろ? ……いや、関係あるのか。
      盾が減りますねぇ、残念でした。どうする弟者君」

(´<_`; )「盾にしたら俺に殺人罪擦り付ける気なんだろうが。
      こんなん読んだ後でそんな事やろうとは思わねーよ」

( ´_ゝ`)「そうかそうか」

よしよし、これはこれで成功。

日記見て止まるんなら、それでよし。
止まらないんなら、往けるとこまで行くだけだ。

実際、こいつが殺人罪やら何かの罪で捕まっても、
後から皺寄せが来るのって結局こっちだしなあ。

色々と擦り付ける罪と状況のパターンは考えたけれども、
その後の世間体のシミュレートがマイナスにしか行かない。
双子ってのは、どこまでいってもデメリットしかないな。

それに、塀の中にぶち込んでも、日本だとすぐに出て来る。
やっぱり、俺がこいつを遠い場所に送るしかないよなあ。

山の奥でも、海の底でも、床の下でも、腹の中でも、
例え近くても、見つからない場所なら何処でもいい。

614:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:14:06 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「お前にこんな殺人計画建てられてるって知ったら……
      鬱田はどう思うんだろなあ。メンタルかなり弱そうだしー。
      お前が友達だと思ってても、向こうからやめられんじゃね?」

( ´_ゝ`)「それならそれでいい」

(´<_` )「友達だと思ってないのか?」

( ´_ゝ`)「思ってるよ?」

(´<_` )「お前は友人の殺人計画、こんなに細かく立てるのかよ」

( ´_ゝ`)「それがどうしたんだよ。備えあって憂いなしだろ」

(´<_` )「はー……意味分かんねぇ」

( ´_ゝ`)「俺もお前の事なんざ分からんわ」

(´<_` )「どうせサイコ野郎の考えなんかわかんねーよな。
      あーあ、宇宙人に聞こうとした俺がバカだったわ」

( ´_ゝ`)「言っておくけど、お前の窃盗癖と節操無さも、
      一般から見ればキチガイと同じなんだからな」

(´<_` )「わーってるよンな事」

615:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:15:56 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「そういや、兄者は何でここ来たんだ?」

( ´_ゝ`)「宗教の勧誘から逃げるのと、節電の為に、
      ここに泊まれって言われたから一泊だけ」

(´<_` )「フーン」

( ´_ゝ`)「んで母さんがお前に携帯渡せってさ」

(´<_` )「おっ、サンキュ」

( ´_ゝ`)「女とどうにかなったら、今度こそ引き千切るってよ」

(´<_`; )「な、何をだよ……あ、いや、言わないでくれ」

( ´_ゝ`)「なんで自分自身の性欲すら我慢できない動物が、
      人間として生活してんのか不思議だわ。猿だろ」

(´<_` )「猿に失礼だ」

( ´_ゝ`)「じゃあダニ」

(´<_` )「生物としてのランクダウンどころじゃねーぞ、それ」

( ´_ゝ`)「どうでもいいわ。さっさと便器とどうにかなって、
      ダニまみれのくせぇタコ部屋に押し込まれちまえ」

616:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:19:33 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「嫌ですー。入りませーん」

( ´_ゝ`)「あと『見舞いに来たすごく具合の悪そうな奴』を教えろ」

(´<_` )「スルーかよ。俺あいつの名前知らないんだけど」

( ´_ゝ`)「外見でいいから教えろっつってんだよ」

(´<_` )「なんか赤いのだよ。軽く兄者と同じ感じがしたな。
      ヤク中みたいだったぜ。目の焦点もあってねーし」

( ´_ゝ`)「分かったわ。あいつね。何か言ってた?」

(´<_` )「なんでヤク中でヒットするんだよおかしいだろ……
      『俺は真実の愛を見つけた』とか軽くラリってた。
      待ってるとか言ってたけど、場所は言ってないな」

( ´_ゝ`)「……マンドクセ」

(´<_` )「何でそんなのと友達やってんだ」

( ´_ゝ`)「友達ってそういうのじゃねぇの?」

(´<_` )「どういうのだよ」

617:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:22:39 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「たまに殴りたくなっても、寒気がしても、
      なんだかんだで一緒に居る、みたいな」

(´<_` )「そりゃ腐れ縁ってやつだろ」

( ´_ゝ`)「ああ、そっちか」

(´<_` )「腐れ縁でも、相手をぶっ殺そうなんて考えないけどな」

( ´_ゝ`)「友達と肉壁にしたり、車パクって置いて逃げたり、
      囮にしたりするお前だけには言われたくねぇなあ」

(´<_` )「実行してないだけのお前に言われたくねぇよ」

( ´_ゝ`)「うっせぇ」

冷静な俺の一部が、どっちもどっちだと囁いている。

鬱陶しかったので自分の側頭部を殴ったら、
目を見開いたあいつがこっちを見ていた。

いいねぇ、好きだよそういう顔は。



29.糸冬


拍手

576:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:47:32 ID:Tq2KJ/Rc0
28.母親と冬と氷の意志伝播が出来ました



ξ゚⊿゚)ξ「兄者ー、私ちょっと明日明後日帰らないわ」

( ´_ゝ`)「出張?」

ξ゚⊿゚)ξ「みたいなモンかしらね。それで、暖房勿体無いから、
      この家の電気全部消して、ブレーカー落として行くわ」

( ´_ゝ`)「鳥とかハムスターどうすんの?」

ξ゚⊿゚)ξ「4匹貰い手が見つかったから、そこに預けるわ」

( ´_ゝ`)「13匹も一気に預けて大丈夫なのか」

ξ゚⊿゚)ξ「ジャンの多頭飼いしてみたかったんだって。
      それに元々キンクマ飼ってたから大丈夫よ」

( ´_ゝ`)「そか、ならいいや」

ξ゚⊿゚)ξ「鳥は隣のお婆ちゃんに預けるわ」

577:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:48:23 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「俺はどうすりゃいいの?」

ξ゚⊿゚)ξ「漫画喫茶で寝泊まりしてみたいって言ってたじゃない。
      お金あげるから、一回試しに泊まってみてみなさいよ」

( ´_ゝ`)「えー」

ξ゚⊿゚)ξ「ホラ荷物はもうまとめたわよ」

( ´_ゝ`)「は? いつの間に」

ξ゚⊿゚)ξ「洗濯するのはいいけど干しっぱなしで畳まないじゃない。
      そっから着替え用に3日分くらい取って鞄に入れたわ」

( ´_ゝ`)「あそこに放置してた服、あいつのなんだけど……」

ξ゚⊿゚)ξ「へっ?」

( ´_ゝ`)「自分のはちゃんと箪笥に入れてるよ」

ξ゚⊿゚)ξ「あーでも大丈夫でしょ。サイズ一緒じゃないアンタら」

( ´_ゝ`)「嫌だよ。服燃やされた時、あいつの服代わりに着てたら、
      チーマーに勘違いされた上に、内藤に写メられまくった」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、北国にもいたのね」

578:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:49:21 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「それに病気が移ったらヤダ」

ξ゚⊿゚)ξ「洗濯したから大丈夫でしょ」

( ´_ゝ`)「それでも」

ξ;゚⊿゚)ξ「もー、変なとこで気にするんだからー。
       一緒に洗濯したならどっちにしろ同じ事よ」

( ´_ゝ`)「俺まで泌尿器科に行かせたいのかよ、母さん。
      それにあいつと俺の服、一緒に洗った事ないぜ」

ξ゚⊿゚)ξ「うっそ、今まで知らなかったわ」

( ´_ゝ`)「聞かれた事なかったから」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、私と弟者の服は一緒に回してるわよね」

( ´_ゝ`)「うん」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

( ´_ゝ`)「?」

ξ゚⊿゚)ξ「……うん、まあ、仕方ないわね。そういう気遣い。
      今は説明する時間ないから、さっさと鞄持って」

579:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:50:23 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「せめて下着ぐらい自分の持たせてくんない?」

ξ゚⊿゚)ξ「だったらさっさと自分のタンスから持ってきなさい。
      手突っ込んで鷲掴みにしたままほら車に行った行った」

( ´_ゝ`)「あーもうそんな急かすなよー」

ξ゚⊿゚)ξ「さっさと家出ないと面倒臭い親戚と鉢合わせるわ」

( ´_ゝ`)「何でそんな急いでるの?」

ξ゚⊿゚)ξ「車の中で説明するから、ほら! ほら!」

(;´_ゝ`)「あ゙ー」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


( ´_ゝ`)「で、面倒臭い親戚って誰?」

ξ゚⊿゚)ξ「新興宗教っぽいのにハマっちゃった男」

( ´_ゝ`)「うわぁ」

580:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:51:29 ID:Tq2KJ/Rc0
ξ゚⊿゚)ξ「今度勧誘に来たら警察に通報してやるって言ったのに、
      また車出してこっちに向かったってメールがあったの」

( ´_ゝ`)「実際に通報できんの?」

ξ゚⊿゚)ξ「出来るわ。宗教の勧誘を断ったのに、また来たら、
      それだけで警察に通報できるのよ。知っときなさい」

( ´_ゝ`)「へええ」

ξ゚⊿゚)ξ「これで窓でもぶっ壊されたら塀の中に入れてやるわ」

( ´_ゝ`)「わあ頼もしい」

ξ゚⊿゚)ξ「ふふん、女だって強くなくちゃ生きてけないのよ」

( ´_ゝ`)「うん知ってる」

そうでなきゃ、40越えて離婚して、思い切って家を出て、
面倒臭いキチガイと糞野郎の親権取ったりしないよなあ。

役所の怠慢を訴える文書を作成して県の上層部に叩きつけたり、
その文書を取り下げてくれと上からお願いの手紙が来た時に、
『この手紙マスコミに売ってやろうかしら』ってぼそりと呟いたり。

精神だけでなく、口も手も目も耳も筆も充分に強い。
離婚直前の糞親父と我が母の言い争いも、母の圧勝だった。

581:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:52:09 ID:Tq2KJ/Rc0
口喧嘩では勝てないからと糞親父が話す前に部屋から退出し、
机の前で正座し続ける我が母の事実上の不戦勝となった。

あの瞬間、自分の中で父は弟に並ぶ最下層まで落ちた。

過去に我が母の浮気を疑って一方的にぶち切れた事があるのに、
いざ自分の浮気を責められたらこれとは、情けないにも程がある。
『疑われるような事をしたお前が悪い』なんつったのはどの口だ。
俺は良くてお前は駄目とか亭主関白でも何でもない。ただの屑だ。

一度悪い面を知ると、記憶している過去の行動の見方も変わる。

もう駄目だな。幼少期に記憶していた父の輝きは消え失せた。
糞親父がもっと年を経って弱ったら、いつか殴り殺してやろう。
元の家にいる婆ちゃんが逝くのを待って、放火するのもいい。

火くらい着ければ地方新聞の一面くらい飾れるだろ。
そっから芋ずる式に悪事が出てくればもっといい。

報道は止められたりするかなあ。
ホテル経営者もいるから、金で揉み消されるかなあ。

やらずに後悔するより、やって後悔しろとの言葉もあるし、
やっぱりここは一度チャレンj


ξ゚⊿゚)ξ「兄者~」

582:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:52:59 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「は~い」

ξ゚⊿゚)ξ「今すごく悪い顔してたわ」

( ´_ゝ`)「はーい……よく分かるね、そういうの」

ξ゚⊿゚)ξ「刑事ドラマの犯人役みたいな顔してたわよ、今」

( ´_ゝ`)「マジ? すごいな俺」

ξ;゚⊿゚)ξ「何がすごいのかわからないけど犯罪ならやめなさい」

( ´_ゝ`)「はーい、ところで何処に向かってんの?」

ξ゚⊿゚)ξ「弟者のいる病院」

( ´_ゝ`)「見舞い?」

ξ゚⊿゚)ξ「いや、アンタを置きに」

( ; ゚_ゝ゚)「へぇあ!?」

ξ゚⊿゚)ξ「何ウル○ラマンみたいな声出してんのよ。
      一泊なら大丈夫。食堂にご飯もあるじゃない。
      そこで携帯使って泊まれる漫喫見つけなさい」

583:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:53:53 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「決定事項?」

ξ゚⊿゚)ξ「可決事項」

( ´_ゝ`)「食堂を使用した形跡として、レシートの提出も求められたりする?」

ξ゚⊿゚)ξ「あらいいわね」

(;´_ゝ`)「うがぐぐ」

ξ゚⊿゚)ξ「ぶっちゃけもっかいアンタを検査入院させたいんだけどねえ。
      色々と親戚が面倒なのよ。弟者を入院させたの私が原因だし」

( ´_ゝ`)「俺が検査目的で入院しても、母さんのせいになるって事?」

ξ゚⊿゚)ξ「そう」

( ´_ゝ`)「母さんも一緒に入院したらいいんじゃないの」

ξ;゚∀゚)ξ「何言ってるのアンタwww仕事があるから無理よ。
       これでも会社にかなり大目に見てもらってるの!」

( ´_ゝ`)「そっか」

ξ゚⊿゚)ξ「それに弟者に携帯届けてもらいたいしね」

584:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:54:48 ID:Tq2KJ/Rc0
( ´_ゝ`)「あいつに携帯持たせんの? また女だらけになるよ?」

ξ゚⊿゚)ξ「今度そんな事したら、耳ごとピアス引き千切って、
      知人のタコ部屋に押し込めるって言ってやったわ」

( ´_ゝ`)「普通の人なら効果あるかもしれないけどさあ……。
      あいつだよ? 女とば前にしてそれで止まれんの?」

ξ゚⊿゚)ξ「そうなのよねぇ。一生タコ部屋には入れないけど、
      足の骨折が治ったら一ヵ月くらいは入れる予定よ」

( ´_ゝ`)「あ、思い出したんだけどさ」

ξ゚⊿゚)ξ「何かしら」

( ´_ゝ`)「あそこまで、こう……あれが強いなら、さ。
      試しに女性ホルモン打ってみたらどうかな?」

ξ゚⊿゚)ξ「女性ホルモン?」

( ´_ゝ`)「うん」

ξ゚⊿゚)ξ「打ったらどうなるの?」

( ´_ゝ`)「強過ぎる男性ホルモンが抑えられる。個人差あるけど。
      だから、少しは女を前にしても下衆い考えで動かなく

585:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:55:30 ID:Tq2KJ/Rc0
(  ´_ゝ)「なれば、いいなあ……」

ξ;゚⊿゚)ξ「希望的観測ね」

( ´_ゝ`)「打たれた事ないから、実際どうなるのかわからんし」

ξ゚⊿゚)ξ「そりゃそうよ。でもいいわねぇ。先生と話してみるわ」

( ´_ゝ`)「入院中にやったほうがいいよ」

ξ゚⊿゚)ξ「どうして?」

( ´_ゝ`)「ホルモンバランスが一時的に崩れて、精神不安定になる。
      それで鬱になったり怒りっぽくなったりする可能性があるから、
      病院にいる今やったほうがいいよ。すぐ医者が対応できる」

ξ゚⊿゚)ξ「珍しいわねぇー本当。兄者がそこまで弟者のこと考えて、
      いい方に向かわせようとするなんて津波が来るのかしら」

( ´_ゝ`)「そう聞こえる?」

ξ゚⊿゚)ξ「違うの?」

( ´_ゝ`)「……いや、すごくその通りだよ! 合ってるよ!
      俺ってばすごくあいつのこと心配してるよホラ!」

ξ゚⊿゚)ξ「その振り上げてる両手には何も見えないわ……」

586:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:56:10 ID:Tq2KJ/Rc0
実際の所、もう女関係の面倒事に関わりたくないから、なんだけどな。
それが心配してると見られるなら、もっと言い方変えりゃよかった。

病院でホルモン打つってのも、逆方向への考えがあっての事です。
精神不安定で鬱になってるなら、自殺してもおかしくないよね?

もしそれで失敗しても、『鬱になった弟を心配する兄』
ってのが演出できる項目で増えるからな。役得役得。
俺自身と体が予定通りに動けるかは、また別として。


ξ゚⊿゚)ξ「そう言えば、鬱田君から伝言があったわ。
      弟者の病室に兄者の友達が来てたって」

( ´_ゝ`)「何それ」

ξ゚⊿゚)ξ「わからないわ、弟者が鬱田君に頼んだみたい。
      『すごく具合の悪そうな奴が見舞いに来た』って」

( ´_ゝ`)「それ伝言ゲームと同じ症状が起こってない?
      最初の言伝と内容が食い違ってたりしない?」

ξ゚⊿゚)ξ「頼まれただけだから私にもわからないわ。
      見てた弟者からアンタが直接聞きなさいよ」

( ´_ゝ`)「へーい」

587:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:57:28 ID:Tq2KJ/Rc0
ξ゚⊿゚)ξ「あとねぇ、そろそろ車の免許取ったら?」

( ´_ゝ`)「轢き殺してもいいなら」

ξ゚⊿゚)ξ「免許取らないでね」

( ´_ゝ`)「うん」





28.糸冬


拍手


532:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:22:40 ID:iH7GEoA20
('A`)「そういやさ」

( ´_ゝ`)「んあ?」

('A`)「弟者には持ってかないの?」

( ´_ゝ`)「は?」

('A`)「病院食ばっかりだと、飽きるんじゃないかな」

( ´_ゝ`)「それとこれと何が関係あるんだよ」

('A`;)「や、最近仲良さそうに見えたから」

(#´_ゝ`)「はあ!?」

テーブルから身を乗り出しかけて、座る。
いかんいかん。ここは冷静に。平常心。


('A`;)「ごめん、そう見えたから……」

あいつをぶっ殺した時、疑われないようにするには、
ここで『関係が改善されてる』事を肯定したほうがいい。

いいのは判るが、素直に肯定はできない。

533:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:23:42 ID:iH7GEoA20
あんな反応を見せてからでは遅いのは判るが、
駄目元でフォローして鬱田の心証を変えよう。


( ´_ゝ`)「そう見えるかもね。あいつも怪我人だからな。
      出来るだけ優しくしようと一応心掛けてるよ」

('A`;)「そっか。怪我すると優しくは出来るんだね」

( ´_ゝ`)「そうですね」

('A`)「一応、牛丼買っていったらど

( ´_ゝ`)「そうします」

('A`;)「……」

( ´_ゝ`)「俺は普通の牛丼にする。鬱田は?」

('A`)「牛丼と、豚丼で」

( ´_ゝ`)「分かった」

持ち帰り用を頼んだところ、まだ時間がかかるとのこと。
紅生姜をつまみつつ、さっきまで食ってた席で待つ。

534:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:26:22 ID:iH7GEoA20
('A`)「兄者と弟者の関係って、珍しいよね」

( ´_ゝ`)「またその話題か」

('A`;)「いや、実際珍しいから言ってるんだよ」

こめかみの辺りがひくつく。
なんでまたこの話題を繰り返すんだ。
今度こそ手を出されたいのか。出したほうがいいのか。


( ´_ゝ`)「どこが?」

('A`)「ここまで仲悪いなんて、そうそういないんじゃないかな」

それは確かにそうだろうと、自分でも思う。
けど、それが何だって言うんだ。


( ´_ゝ`)「仲悪いのと良いのなんて半々くらいで存在するだろ」

('A`)「双子で仲悪いなんて珍しいんじゃないかな」

535:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:29:35 ID:iH7GEoA20
頭の奥が少し熱くなる。怒りを我慢しようとして、逆に顔が笑顔になる。
これの所為で何度も誤解された事があるけど、治す目処は立ってない。


( ´_ゝ`)「珍しいって何を基準にしての話だ?」

('A`)「よく見る双子とかって仲いいじゃん。だからさ」

( ´_ゝ`)「それを俺らに当て嵌めた場合、何で珍しくなるんだ?」

('A`)「だから、仲良いはずなのに、仲悪いのが」

頭の奥で糸が切れる音が、耳に響いた。


(  _ゝ )「……何で、鬱田はそう思うのかな?」

('A`)「だって、双子って普通は仲良いじゃないか」

熱くなると同時に、昔の出来事が目の前を過ぎ去って行く。
場面はころころ変わる。中学、習い事、社交場、倉の中。

536:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:30:26 ID:iH7GEoA20
(# _ゝ )「普通って何だ? 鬱田の言う普通って」

('A`)「え」

(# _ゝ )「俺ら以外に見た事ある双子か?」

('A`;)「いや、双子は兄者達しか見たことないよ」

(# _ゝ )「じゃあなんだ。創作か? 伝記か? 映画か?
      全部が全部、双子がそうだと思ってんのか?」

喉元まで込み上がってくる、競り上がる何かを我慢しようとして、
左手の甲に爪を立てる。痛ければ痛いほうがいいのに、痛くない。

('A`;)「そうは思ってない、そうは思ってないよ」

(# _ゝ )「じゃあなんでそんな事言った? 俺はちゃんと聞いたぞ。
      なんで双子だと特別なんだ? 同時に産まれただけだ。
      普通の兄弟とどこがどう違うんだ? 俺には分からない。
      なんで双子だと仲が良い事になるんだ? 分かんねぇ。
      ああクッソ、マジでわかんねぇ。誰だよ最初に双子は
      絶対に仲がいいとか変な偏見植え付けた奴はゴミか
      兄弟仲が悪いなんてのが普通に転がってんのに何で
      双子仲は良いなんてのが通ってるんだよおかしいだろ」

手の甲から痛み届かない事に腹が立つ。
爪で軽く皮膚を毟っても痛くない。痛くない。痛くない。

540:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:04:47 ID:xpWgH/QY0
(# _ゝ )「『双子なのに仲悪いなんて珍しいわね』じゃねぇんだよクソがァ……
       テメェは世の中の兄弟姉妹が全て仲良いとでも思ってんのかボケ。
       だとしたらお花畑だな。余程平和に生きてきたんだろうなあホント。
       全部の兄弟仲が良いと思ってない奴も何で『双子は例外』なんだよ。
       双子だからって特別仲が良いみたいに何で言うんだよ思考停止か。
       『弟さんなのに可愛くないの?』だってぇ? 顔面割られてぇのか。
       自分と似たような顔が可愛いとマジで思うんならとんだナルだな。
       同じ年に産まれたのに何でこっちがあいつの世話焼かされるんだ。
       何で俺が『頼れるお兄ちゃん』やんなきゃなんねぇんだよゴミ野郎。
       年が離れた兄弟ならともかく同い年でそりゃねぇよクソボケカスが。
       お前の周囲半径5kmの常識がこっちに通用すると思うなよ情弱が。
       クソババァの眼前に糞仲悪ぃ双子5組くらい整列させてやるよブス。
       全員双子だからって理由で変な押し付け喰らってるのばかりだ。
       それでも認めねぇなら目の前であいつぶっ殺すしかねぇよなあ?
       『双子で兄弟が嫌いなんておかしいわ』って言うお前がおかしいわ。
       何がおかしいんだよ何を持って正しいとしてるんだよぶっ殺すぞ。
       マッドな奴の実験目的に世界中から双子が集められてさーあ。
       双子同士で殺し合うバトルロワイヤルが開催されるってんなら、
       世間一般の認識を改める為に俺は喜び勇んで参加してやるぜ。
       ああ勿論優勝狙いに決まっ

('A`;)「ストップ! ストップ落ち着いて!」

(  _ゝ )「おっとすまん」

('A`;)「なんかごめん……」

(  _ゝ`)「と言う訳でこの話題は止めてくれ」

541:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:05:49 ID:xpWgH/QY0
ストップの言葉で録音していた事を思い出し、頭が冷えた。
机の下に貼り付けていた携帯を取って、尻ポケットに突っ込む。


('A`)「取りあえず水を」

( ´_ゝ`)「止めておこう。力加減間違えて、コップ割るかもしれない」

('A`)「力が抜ける方向で? 力が入る方向で?」

( ´_ゝ`)「力が入り過ぎる方向で」

('A`)「分かった。やめよう」


会計をして、持ち帰り用の牛丼を受け取る。気分が悪い。

すぐにでも袋ごと雪の上に叩きつけたいとこだが、
食べ物を粗末にするのは良くない。勿体無いからだ。
家に帰って俺が食べてしまおう。我が母にやるのもいい。

一瞬、鬱田に持たせようかとも考えたが、母一人に子一人、
牛丼2つ豚丼1つで譲り合いが発生したら面倒そうなのでやめた。

542:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:07:23 ID:xpWgH/QY0
折角、前々から考えていた計画に必要な状況が最適化されてるのに、
肝心の俺に忍耐がない所為で、いまいち進展したと感じられない。

譲れない事に関するこだわりの強さが俺の症状特有のものだとしても、
これだけはなんとかしたい。でないと、俺は檻の中に直行監禁プレイだ。

入るとしたらどっちだろう。
実刑がつくか、キチガイ無罪で病院か。


( ´_ゝ`)「精神病院かなー……刑務所かなー……」

('A`)「なんか言った?」

( ´_ゝ`)「なんでも」

尻ポケットに入れた携帯を取り出し、画面を開く。

『録音が終了しました。保存しますか? はい/いいえ』

勿論YES。SDカードにもデータをコピーする。

しかし、鬱田の初体験告白の次に、俺の怨嗟が仕込まれたこれ。
割と内容が混沌としている気がするな。客観的にどうなんだ。

543:名も無きAAのようです:2013/03/04(月) 00:09:00 ID:xpWgH/QY0
悪用する気はないから、日記に文章化した後は、
HDDの中で眠る事になるから大丈夫だと思うが。


('A`)「そういやさ、俺、弟者君と割と仲良くやれそう」

( ´_ゝ`)「え、いきなり何……宣戦布告?」

('A`;)「お前がいきなりどうした」

( ´_ゝ`)「いや、あいつの味方とか……」

そこまで言い掛けて、色々出かかった言葉を飲み込む。


( ´_ゝ`)「まあ、お前友達少ないから、あんなのでも、
      ああ言うのでも増えるだけいいのかもな」

('A`)「辛辣な言葉だな」

辛辣にもなるさ。


( ´_ゝ`)「鬱田さあ。昔あいつにあんだけ巻き込まれたり、
      舐められてたってのに、今更よく『仲良くなれそう』
      とか言えるな。DQNは苦手じゃなかったのか?」

550:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:00:04 ID:yiRFOqHk0
('A`)「前に話してみたけど想像より酷くなかったから、
    金と女の人が絡まないなら大丈夫かと思って」

( ´_ゝ`)「俺のいないとこで何かあったらフォローできねぇよ?」

('A`;)「うん、それは……なんとか逃げる」

( ´_ゝ`)「フーン」

正直言って、鬱田の押しの弱さだと、何かあった時に冤罪になる。
主に女性関係の面倒事と窃盗の擦り付けだ。借りパクもある。

女に切りつけられでもすればなんとか正当防衛に持ち込めるが、
こいつの体の弱さだと刺されたショックで心停止して死にそうだ。


('A`)「弟者君、割と良い奴だと思うから大丈夫なんじゃないかな」

( ´_ゝ`)「ごめん、俺に喧嘩を売ってるならすぐに買うから。
      そういうのは面と向かってちゃんと俺に言ってくれ」

('A`;)「何でそうなるの!?」

( ´_ゝ`)「え、俺はてっきりあいつと喧嘩になった時、
      俺とあいつの拳の前に立ち塞がるのかと」

('A`;)「話が飛び過ぎだよ!」

551:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:01:09 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「どの辺?」

('A`)「俺が弟者を良い奴って言ったのが、何故宣戦布告に」

( ´_ゝ`)「屑を良い奴とかほざくの、同じ類友しかいねぇもん」

('A`;)「そりゃ、素行的な面では良い奴とは全く思ってないよ」

( ´_ゝ`)「なら何で『良い奴』なんて」

('A`)「一回だけ病室に二人きりでいたけど何もされなかったんだ。
    うん。意外と何もされなかったし、悪態吐かれなかったし」

( ´_ゝ`)「で?」

('A`)「え?」

( ´_ゝ`)「だから、それで?」

('A`)「え、えっと……それで、実は良い奴、じゃ、じゃなくて、
   身内認定入った人にはちょっと優しいのかな、なんて」

( ´_ゝ`)「あー確かに、不良って仲間認定すると、
      すげぇ馴れ馴れしく近寄って来るよな」

('A`)「う、うん」

552:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:02:08 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「それで?」

('A`;)「……もしかして、怒ってる?」

( ´_ゝ`)「怒ってないよ。ただ気に入らない。後、すっげぇ疑問」

('A`)「気に入らないって……」

( ´_ゝ`)「仲良くなれそうって理由が理解できん」

('A`;)「うん。俺も兄者と話しながら色々その事考えてたら、
    何でそんな風に思ってたのか分からなくなってきたよ」

( ´_ゝ`)「そっか」

('A`)「何だろ。いつもは出会い頭に悪口の一つ二つ貰ってたけど、
    見舞いに行った時はそれが無かったからかな。た、多分」

( ´_ゝ`)「映画版ジャ○アン現象かよ」

常日頃から理不尽な暴力を周囲に振り撒いているにも関わらず、
映画で味方を庇ったりちょっと活躍しただけで良い奴認定を貰う。

そんなズル臭い立ち位置にいる発達障害児。ジャイ○ン。

553:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:03:20 ID:yiRFOqHk0
いつも悪い奴が、少しだけ善行をやると良い奴に見えてしまう。
そんな現象が世の中にはあるらしい。俺には余り解らない。

悪い事ばっかしてる奴がちょっと良い事したくらいで、何をそんなに。
としか思えない。大体『いつも』と『少し』の部分で釣り合ってない。
最初から前提条件が破綻している。天秤の矛盾もいいとこだ。
善行より悪行が多い時点で、良い奴でもなんでもないじゃないか。

自分の仲間にだけ情に熱い不良。自分の家族にだけ優しいヤクザ。
自分の飼い犬だけを可愛がるマフィア。全部が全部理解出来ない。
それらを見て、どうして『実は優しい奴』などとほざけるのか。

マイナスとプラスをかけ合わせてもマイナスにしかならないのは、
数学的にも証明されている。と言うか、義務教育の中で学ぶ。

善行と悪行は別物だ。犯罪を犯したら前科が付く。
それが善行で取り消される事はない。一生纏わり憑く。
法律的にも、きちんと整備されている事だ。

もし、悪行を受けた被害者に対して、償いと言う名の善行をして、
それを被害者自身が認めて罪を許すのならプラマイゼロになる。

被害者以外に善行を働いたって、プラスになる訳がない。


('A`)「考えて見たけど、やっぱ前よりは優しい気がする」

( ´_ゝ`)「へー」

554:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:04:36 ID:yiRFOqHk0
例え、例え話をしよう。AとBとCがいた。それぞれ他人である。
AはBから非道な行いで金を巻き上げたが、Cには恵みを与えた。

さて、どうなる。

Bが借金持ちとか、Cが乞食とか、面倒臭い設定はなしだ。
純粋に、ABCそれぞれを一般人として見る。

AがCに対して優しくしているところを見たBは、何を思う?

自分が受けた非道も忘れて『実は優しい奴』なんて思うのか?

別の誰かに優しくしている加害者Aを被害者Bが見たら、
『何で俺の金は盗ったのに、あいつには恵んでるんだ』
とか思って、恨みを深める事になるんじゃないか?


( ´_ゝ`)「優しいって、どんな風に?」

('A`;)「その……そんなに、悪態吐かれないし」

( ´_ゝ`)「ふへ」

たった一回、悪口を言われなかっただけで?
いつもされてた事を、されなかったぐらいで?

555:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:06:29 ID:yiRFOqHk0
……鬱田って、実は結構おかしいんじゃないかな。
あんなに言っときながら、結構軽く受け流してたとか?
俺とは別の方向に、感覚が麻痺してるっつーか。

待てよ。だとしたら、どっちもおかしいんじゃないか。

一般人は、糞をしながら便所飯する経験はない。
その点で行けば、鬱田はパンピーではない。

頭部MRI検査で出た結果を見た医者に軽く笑われながら、
『脳波がちょっと異常』なんて言われた俺はお察し下さいだ。

情報が足りない。判断材料が少ない。
どうしようもないな、後で色々な奴に聞いて回るか。
こっからの会話も携帯で記録しとこう。ボイス録音モードON。


( ´_ゝ`)「つまり、鬱田は、いつも何かしてくる奴が、
      その日に限って何もして来なかったから、
      良い意味で期待を裏切ってくれたから、
      あいつの事を勘違いしたんだよな?」

('A`;)「勘違いっつか、ギャップかな」

( ´_ゝ`)「ギャップ……ああ、うん、成程ね」

556:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:07:26 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「アレだよ。普段すっげぇ凶暴な犬猫が少し弱っててさ、
      しおらしくなってるのに『こいつ実は優しいんじゃね?』
      的なギャップを感じてちょっと勘違いしてるだけだよ」

('A`;)「言われてみれば、それもあるかもしれないけど」

( ´_ゝ`)「けど?」

('A`)「やっぱり、ちょっとは仲良くしたいなあ……」

( ´_ゝ`)「……は」

駄目だ。鬱田の考えが全く分からない。
ここはもうストレートに聞くしかないのか。


( ´_ゝ`)「フツーに疑問なんだけど、何であいつみたいな危ない奴と、
      わざわざ仲良くなろうとしてんの? マジで意味わからんわ」

('A`)「兄者の弟だし……」

( ´_ゝ`)「俺の?」

友人の弟と仲良くする。
それは必要な事なんだろうか。

557:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:08:17 ID:yiRFOqHk0
人間関係を円滑に保つのは生活する上で大事かもしれないが、
わざわざDQNと手を組んで周囲の印象を下げるのは如何な物か。

まあ、友人の兄弟仲が良い場合なら、仲良くなるのもいいだろう。
兄弟仲が悪い場合、且つ両方とも親しくなってしまった場合にはどうする?
鬱田みたいな優柔不断な奴は、兄弟間で板挟みになるだけじゃないだろうか。

いや、大事な事を失念してた。

体の弱い鬱田なら、あんなのを敵に回したくはないんじゃないか?

やたら消極的で臆病で小心者で保身に走るガラスハートな鬱田君なら、
病院のベッドでマスかいてるだろう糞野郎の拳には殴られたくないのか。

だから、そんなにも親しくなろうとしてる?


('A`)「兄者、そろそろバスが来るよ」

( ´_ゝ`)「あー、うん」

もしそうなら、あんまり突っ込んで聞いちゃいけない課題だな。
人のコンプレックスに繋がる企み事は突いちゃいけないって、
世話になり続けてそろそろ八年近くなる病院の先生が言ってた。

558:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:09:09 ID:yiRFOqHk0
しっかしなあ、鬱田とあいつが仲良くなるのは、
いまいち、なんと言うか、こう、いただけないな。

奴に脅されるか、純粋に向こう側に着いてスパイされたらと思うと、
俺はもう一生鬱田を信用出来ない。余裕で拳も出せてしまう。


( ´_ゝ`)「あのさー鬱田」

('A`)「何?」

( ´_ゝ`)「俺の弟だから、あいつと仲良くなろうとしてんの?」

('A`)「うん、いい機会だからね」

( ´_ゝ`)「そっかー、俺とあいつの喧嘩に巻き込まれたらどうする?」

('A`;)「巻き込まれても……大丈夫なんじゃない?
    弟者も流石に、何もしてない奴は殴らないだろ」

は、アレを見といてそんな事が言えるなんて、鬱田も大概だな。

殴りはしないが、盾にはするぞ。
しかも、それで盾が刺されても何も言わない。
謝罪すらしないで、一直線に逃げ出す。

ソレを見といて、なぁーにが『殴られない』だ。
それ以外の事は余裕でされるっての。

559:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:10:25 ID:yiRFOqHk0
鬱憤が溜まるって、こういうのかな?
言いたい事を全部飲み込んで、息を吐く。

伝えようにも、今は時間がない。
バスん中で言える事じゃない。
次があれば、次にしよう。


( ´_ゝ`)「あー、うーん、そー」

('A`)「え、あ、どうした兄者」

( ´_ゝ`)「なんでもなーい。何か色々面倒臭くなった」

('A`)「ちょ、バス来るぞ、どこ行くんだ」

( ´_ゝ`)「歩いて帰るわ」

('A`;)「え、待って待って、もうバス見えたって」

( ´_ゝ`)「いーよ歩く。あと、あいつと仲良くなるなら、
      俺に殴られる覚悟しといたほうがいーよー」

('A`)「え」

( ´_ゝ`)「じゃあの」

560:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:11:32 ID:yiRFOqHk0
携帯の録音を終了して保存。
ついでにタクシーも呼ぶ。

あいつと一緒にいても、怪我をしないって甘い見通しが出来るとは、
鬱田も平和に慣れ切った日本人っつーか、危機感がないと言うか。

あああああああイラつく。腹立つ。苛々する。腸が煮え繰り返る。

このままだと自分の腕を掻き毟りそうなので、脳内に鬱田を置く。
そして、さっき飲み込んだ言葉を虚像に向かって吐き出す。








 「へえ……お前、そんな事言えるんだ」

そ、そんな事って。

 「いいよ、いいよ。うん。別にいい。よし、決めた!
  次に喧嘩する時は、盛大に巻き込んでやるよ」

なんでそうなるんだよ!

561:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:12:25 ID:yiRFOqHk0
 「そうなるだろ。俺が何かしなくても、巻き込まれるって。
  俺の友人だから、いい盾になると思うんじゃない? あいつ」

兄者は俺を殴るのか?

 「殴るよ。邪魔だもん。殴られたくなかったら、逃げればいい」

……。

 「向こうでアレに巻き込まれといて、あんな事が言えるなんて、
  巻き込み具合が足りなかったんだよね? 怪我無かったし」

自分が何言ってんのか分かってんのか?

 「知ってるよ。俺ってば、すっごい自己チュー。面倒臭いね」

知ってる。

 「あいつは、自分の女関係にも平気で人を巻き込むよ。
  一回、刃物持った女に追われてるのに偶然会っただろ。
  あいつ、友達Nの周り回って障害物にして逃げてたけど、
  ブチ切れた女がそのNを刺しただろ。容赦なく、深くさ。
  それを見たクズ、真っ先に逃げただろ。友達置いてさあ」

……。

562:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:13:15 ID:yiRFOqHk0
鬱田の考えが想像できんとこは、どうにも答えさせらんねぇな。


(=゚ω゚)ノ「イヨーゥ。あんちゃん何処までだい?」

( ´_ゝ`)「@X%/」

(=゚ω゚)ノ「遠いな! 電車使わねぇのかい?」

( ´_ゝ`)「駅まで歩くのも面倒なんでお願いします」

財布の中身を確認して、一息。
椅子に体を沈めて、また頭の中へ。





 「それ見ても、思い出しても、鬱田は怪我しないって言える?
  確かにあいつ自身に殴られはしないかもよ。でも怪我はする。
  あいつ、『流石に自分の友人の事は殴らないだろ』とか考えて、
  俺との喧嘩の時、鬱田を盾にしようとするんじゃねぇの?」

俺を殴れるのか?

 「殴れるよ。その時、向こうの味方してたら更に力が入るね。
  それに、友人を盾に使えるって思われるのが気に食わない。
  その程度で、俺が止まると思われてんのが気に入らない」

563:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:14:11 ID:yiRFOqHk0
 「それぐらいで俺を御せると思ってんのがムカつく。
  それぐらいで俺を制せると思われてんのに腹立つ。
  あいつに関してだけは、絶対に譲らない。絶対にだ。
  盾が関係ない他人でもだ。母さんでもだ。許さねぇ」

自分の言葉、訂正できる余裕、ある?

 「今の俺には無い。まあ、薬飲んで落ち着いた時の俺にでも、
  もう一回言ってみてくれ。もしかしたら、気が変わるかもな」

寝起き狙いか。

 「あとさ、鬱田」



 「俺さ、あいつをぶっ殺すのをお前が邪魔したとして、
  その時は遠慮なく、お前ごとぶっ殺せるんだぜ。
  嘘じゃねぇよ。良心の呵責なんて、全然ないんだ。
  事が過ぎ去ってから、自分でもビックリするくらいにな」

……それって、どういう意味?

 「どういう意味って? そのままだけど」

それを、伝えた意味。

564:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:15:09 ID:yiRFOqHk0
 「注意とかー警告とかー自虐とかー?」

……。

 「あの糞野郎、あいつを擁護するような事を言う奴らは敵だ。
  だから遠慮なく殴れるし、手加減しないし、後悔もしない」

……。

 「原因が別にあったり、そもそも勘違いだった場合を除いて、
  俺は一度嫌いになった人間の価値を引っ繰り返せない。
  粘着質で、恨みがずっとずっと残るんだ。時間で風化しない」

…。

 「医者のお墨付きだぜ。冗談じゃなく舐めないほうがいい。
  治せない。癒せない。どうしようもないものだって言われた。
  本当に忘れないんだ。いつだって覚えてて記憶の表層にあるんだ。
  小さい頃にヒスってる母さんから言われた『気持ち悪い』って言葉も、
  癇癪起こした糞親父の『親は神だと思え』って言葉も忘れてない」



 「『時間が解決してくれる』っての、俺が一番嫌いな言葉なんだ。
  俺の場合は、逆に時間が経過して恨みが凝り固まるだけなんだ。
  忘れられない。忘れないんだ。忘れられないんだ。忘れたくても。」

565:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:18:58 ID:yiRFOqHk0
 「だから、俺に恨まれるような事だけは、頼むからしてくれるなよ?
  友達とか、母親とか、世話になった人とか、そういうの関係ない。
  あいつを守る人種に、壁になった時点で、そんなの関係ないから」


ブチッ


(=゚ω゚)ノ「イヨ~ゥ、着いたよあんちゃん」

( ´_ゝ`)「は~い」

用済みになった鬱田を消して、いつも通りの真っ暗闇な脳内へ。
途中で三半規管的な意味とは別に酔ったが、脳内なので問題ない。


( ´_ゝ`)「お~いい夕焼け」

外は橙色に明るい。
綺麗なオレンジ色だ。
夕日は好きだ。

初めて俺が自分の世界から出て外界を知覚した時もそうだった。
夢から覚めたみたいで何もかもが辛かったけど、夕日は綺麗だった。

もう一度、この世に産まれたと言い替えてもいい。
体だけ先に産まれた俺に、ようやく精神が生まれたとも言える。

566:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:26:28 ID:yiRFOqHk0
( ´_ゝ`)「きも」

ポエミィチックで気持ち悪いな。死ね俺。
さっさと家に入って、雪を払う。


取りあえず、今日は鬱田の事を日記に書くか。

弟者が鬱田を盾にして、俺がうっかり殴り殺してしまった時、
その時の事をシミュレートして、なんとか打開策を打ってみよう。

確か、鬱田は母親と血が繋がってなかったな。
そこら辺に当てつければ、殺してもなんとかなりそうだ。

母親側に友好的な親族がいたらどうすっかなあ。
我が母ともメールのやり取りをしているようだし、
交友関係は良い方なのか。顔も広かったりする?

全部をあいつに擦り付ける方が単純で簡単そうだが、
こっちにはメリットもデメリットもでかい手帳があるしな。

自分の言う事が全て虚言にされて、発狂中にやった事にされたら厄介だ。

568:名も無きAAのようです:2013/03/06(水) 23:32:42 ID:yiRFOqHk0
だとしたら、鬱田の親父辺りの線にするか?

パチンカスサイマーの情報しかないが、これだけでクズと分かる。
金の無心を断られたとか、私怨の所為にして、でっち上げるか。
煙草、賭博、借金と来たらクスリもいけそうだな。

つーか鬱田を殺すなら、母親も殺したほうが早いのか?
一番強く喚く奴がいなくなるなら、終わりも早まりそうだ。

幸いにも、鬱田の母に家を紹介したのは我が母だ。
言えば、家くらい上がらせてもらえそうだな。
今度遊びに行った時、適当に間取りを写メって来るか。



27.糸冬


拍手

495:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:29:18 ID:jGL0Va7A0
27.気付けの朝焼け、爛れた夕暮れ



クソ固い瓶の蓋をようやく開けられたような月曜日の早朝に、
携帯の着信音で起こされた。着メロは交響曲第九番。通称第九。


(# _ゝ )「あァ゙? んだよもー」

社畜があくせく働いて、学生が自殺なんかを思い浮かべている日に、
そんな時間に怠惰を貪るのがいいのだ。週の始まりの日だからこそ。

2chで月曜日の朝が来たのを盛大に嘆くレスをニヤニヤ眺めながら、
ベッドに転がって漫画を読んだり、ゲーム機をいじるのが楽しいのだ。
実際は、自分が土日出勤なので月曜日から休みなだけだが。

冬期は畑に雪が積もるので畑の手伝いもない。
まさに半ニート生活。理想である。ずっとこうしていたい。

496:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:31:08 ID:jGL0Va7A0
( ´_ゝ`)「あ? 鬱田か」

メールの差出人にはディプレーションライスフィールドとある。

よく携帯を勝手に見やがる奴に対する、ちょっとした対抗策だ。
静香ちゃんならサイレントアロマ、一君ならファーストで登録する。
一度、奴がロックを打ち破りやがったので、2重に警戒をしている。

ロックを解除する為に、俺がIDを取得する時によく使われている数字、
拘っているような数を組み合わせて、とにかく打ち込んでみたらしい。

どんだけだよ。その執念を他へ回せ。
俺には自分の携帯を見せない癖に。


( ´_ゝ`)「なんだこの添付……」

動画だったのでDLして再生する。
内容はハムスターを握っている様子だった。

自宅で量産されたハムスターを一匹水槽と共にあげたのだが、
どうやら元気に育っているらしい。育ち過ぎて太っている気もする。

たれ○んだ化している事に関して、特に突っ込むつもりはない。
俺としては、ハムスターなんかの短い寿命で変に食事制限をして
糞を頬袋に溜め込ませるくらいなら沢山食事させてもいいと思う。

497:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:34:51 ID:jGL0Va7A0
本に書いてある通りじゃない飼い方なのは、言われるまでもなく判っている。

けど、夫と仕事の都合で別居生活をしている叔母にハムスターをやり、
その叔母がハムスターを亡くして号泣しているのを慰める為に吐いた、


 『そのハムスターは、きっと幸せだったと俺は思うよ。
  叔母さんに贅沢させてもらって、うちのよりいい生活してたって。
  お菓子とか果物とか野菜とか、いつもケースに入ってたじゃん。
  巣もトイレもいつも綺麗にしてもらってたし、可愛がってたよね。
  仕事に行くのにも一緒でさ、ハムスターも楽しかったと思うよ。
  叔母さんに沢山可愛がられて、絶対によかったってば』


なぁんて誤魔化しと出鱈目と陳腐過ぎて鼓膜が弾けるような、
バッレバレな嘘と欺瞞を込めた慰めが自分の耳に残ってる。

本当は駄目だ。何もかも駄目だ。
飼育の仕方としては正しくない。

しかし、それが頭ん中で反響し過ぎて、段々と理想論になりつつある。

デブハム可愛い。もっちもっちしてる。
何この雪見大福。握り心地最高。

499:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:36:07 ID:jGL0Va7A0
待て待て思考が脱線した。

さっきまで何してたんだっけ。
そうだ、叔母とハムスターの話だ。


ハムスターにとって巣は最重要だ。寝場所意外にも色々使う。
身を隠す場所として、餌の貯蓄場として、子を育てる場所として。
そこを毎回掃除と言う名目で引っ掻き回されると、ストレスが溜まる。
彼らだってストレスで太ったり痩せたりハゲたりするデリケートな生物だ。

ハムスターを連れ歩くなんて以ての外だ。ストレスがマッハで死ねる。
叔母の取った連れ歩き方は、キャリーケースのキの文字も無かった。
敢えて言うならキ印の持ち方をしていた。生き物ではなく玩具扱い。
手縫いの布にハムを入れて、それを上着のポケットに突っ込む。
そのまま自転車で仕事場へGO。そりゃあ、いつかは落ちるさ。
ファスナーも何もないポッケに、ただ入れてただけだもの。

人の食べる食べ物もお菓子も合成食品もたっぷり上げていた。
食いたそうにしてたからじゃねぇよ。やっちゃいけねぇんだよ。
だから体重管理も糞もなかったんだよ。そりゃあ太るわ。
生き物にとって自重を支えられないのは死活問題だ。


でも、叔母は可愛がっていた。自分なりに。死ねば泣くほどに。

けど自分は、それが免罪符になるとは思っていない。

500:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:37:10 ID:jGL0Va7A0
俺としてはただハムスターの死骸を目の前で泣く叔母をどうにかする為に、
これからも付き合いのある親戚として不和無く過ごす為に慰めただけだ。

叔母は『自転車で仕事場へ行く時にハムを布袋に入れてポッケに突っ込む』
と言う行動だけは後悔しているようだった。反省もしていたのかもしれない。
俺は叔母自身ではないので、本人の心境は判らない。言葉でそう判断しただけだ。

つーか、それで後悔しないほうがおかしい。
何せそれで可愛いペットが死んだんだ。

俺本心としては『自業自得だクソババア』と罵倒したかった。
が、理性と家族付き合いと客観性と世間体と人間性が邪魔をした。
これがネットなら匿名で色々言えるのに、リアルの辛い所はこれである。


慰めでは、言葉の一つ一つをいい方向に否定しただけだ。
野生では味わえない食物、つまりは人工のお菓子。
ハムスター用のスナック。ハムスター用の遊具。

そう言った人間視点から娯楽と思われると物を肯定した。
野生ではそれが味わえないのだから、叔母にそれを『味合わせてもらった』
そのハムスターはとても幸運だった、飼われてよかったとほざきまくったのだ。
傲慢過ぎる物言いだが、叔母はそれで泣き止んだので、うん、いいんだろう。

自分の慰めが相手のハートに響いて泣き止んだ。
と言うのを頭から信じてる訳ではない。可能性の一つだ。
もしかしたら、俺の言葉に呆れてと言う可能性もある。

501:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:38:01 ID:jGL0Va7A0
そもそも俺は人の感情が上手く汲み取れない。
だから、叔母の哀しみをよく分かっていたのかと言われるとそうではない。

お前の脳の作りは生まれつきそんなんだと言われればそこでお終いだが、
経験と訓練とケアを積んで、なんとかまともに近くなったと自負している。

しかし、周りから見ればそうではない、KYな時もあるらしい。
主に内藤視点からの助言である。もしくは説教。もしくは罵倒。


ある時、会議で新人相手に自分の意見を強く言っているように見えた人がいたので、
窘めつつもうちょっと落ち着いて優しく言えよと発言したら殴りかかられた事がある。
俺から見て怒っている事は判らなかったのだが、周囲は怒っていると判っていた。

周りは、あいつの怒りが鎮火してから新人を慰めてやろうと思っていたらしいが、
俺がそこに横槍と言う爆弾投下、一気に着火し、怒りを乗せた唸る拳がこっちに。
みたいな感じだったらしい。俺は全く分からなかった。最初から最後まで。

俺視点から言ってしまえば、鎮火も糞もなくあそこは助けるべきだったと思う。
新規参入者が少ない業界では、新人は大事にするものと言っておきながら、
終わったらフォローしよう、だから今は耐えてくれなんて虫が良いにも程がある。

極めつけに、原因はバカの逆上だ。
新人にシステムの穴を指摘されたからって、いきなりブチ切れて、
先輩風吹かせて極論振りかざし、挙句「これだから女は」なんて。
明らかにおかしい。同じ男の俺でもおかしいと感じる。女は悪くない。

どうやってもそいつが悪い。

502:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:40:13 ID:jGL0Va7A0
拳自体は難なく避けれた。

後ろに大きく腕ごと後退し、「私これから貴方を殴りますよ」なんて、
全身全霊を持って表現されたら、避けないほうがおかしいだろう。

場合によっては、正当防衛の理由なり、恐怖で体が固まって動かなかったなり、
殴られたかった等で殴られる人がいるかもしれないが、そこはそこである。

話が飛んだ。

育成能力のないベテランは、ただのゴミだ。
ベテランを自称するには、多少の育成能力が求められる。
育てるどころか、新人を追い出そうとまでするとなると、ただの害だ。

結果、老害より新人の方が大事と言う事でそいつは出禁となった。
可能性ある新人と、クズの老害じゃあ価値が知れてる。
しかし、新人はそれが原因で、二度とそこに足を運ぶ事はなかった。

当たり前である。別に強制ではなく、趣味の集まりなのだ。
嫌な思いをした場所に、自ら行こうとするほうが訳が解らない。
嫌と言えば、ピピピピピピピピピピピピピピピピ、と目覚しが五月蠅い。

時計を殴り飛ばして音を止める。洗濯かごにシュートされた。
この時計は古いのか、最近スイッチを押しても止まってくれない。
何かで強い衝撃を与えないと止まってくれないのだ。

残念ながら、我が母から思い出の品だからと分解許可は降りないので、
こうして毎日事故に見せかけて砕けてくれないかと拳に希う日々である。

503:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:41:06 ID:jGL0Va7A0
そろそろ起きるか。

  ,  _  _  。
∠(  う )~゚「ふぁあああ」

でかい欠伸をかまして目を擦る。
携帯を確認すると光っていた。
あの色はメール着信か。


( ´_ゝ`)「ん?」

2件目のメール。鬱田から、「朝早くにごめん」との謝罪。
すっかり忘れてた。いや、頭から飛び去っていた。

飛び去ると言えば鳥小屋の奴らが……


( ´_ゝ`)「あー」

駄目だな。寝起きだからか思考があっちこっちに飛ぶ。
枕に顔を押し付けて、鼻がゴキゴキ鳴るまで擦り付ける。

少し頭が整理された所で、鬱田に「おきた」とだけ返信。

漢字変換する気力はない。しなくても意味は伝わる。
メールって返信するのもすげぇ面倒臭い時あるよな。

504:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:42:01 ID:jGL0Va7A0
すぐにメールが返って来た。反応が早いな鬱田。
携帯電話開いて、メール画面で待機でもしてたのか。


( ´_ゝ`)「えーと?」

内容は風俗での初体験を誰かに吐き出したい旨と、
昼飯を鬱田が奢る事、それを話す場所について。

自分の持ち合わせ金額では高い店は無理なので、
吐き出し場所は吉○家が希望、いや予定との事。

もうとっくの昔に忘れているのかと思いきや、長岡に引きずられ、
ちょっとイリーガルな感じの泡風呂に行った話は覚えていたのか。

ここはむしろ、俺が昼食代を準備する場面だろう。
あの時、長岡から助けずに餌にしちまったしな。

それにしても、


(*´_ゝ`)「○野家って初めて行くなー」

思えば宮城の仮住まいが決まった頃に、糞親父から直々に手渡された、
『入ってはいけない店リスト』に載せられてしまったので入れなかった店だ。

505:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:42:46 ID:jGL0Va7A0
紙にはパチンコ店や居酒屋、風俗店、質屋、賭博場などが並ぶ中、
いくつかの飲食店も何故かリストアップされていた。基準は知らない。

吉野○とは、自分が常々行ってみたいと思っていた店である。
有名な吉野家コピペの店であり、数々の話でネタにされる場所である。
よくCMに入ったり、紅生姜食い放題と俺の気を引きまくってくれた店だ。

だが、親父からは店に行くのを禁止されていた。理由は判らない。
コピペ通り殺伐とした場所だからなのかもしれないと当時は思ったが、
ガラス越しでは店のアンダーグラウンドなふいんき(ry も分からない。

宮城へ移った時に、これでようやく行けると含み笑いをしたものだが、
その次の日に、糞野郎が禁止リストのパチ屋に突入してくれていた。

俺が知るより先に、糞親父からその事で叱責の電話。
止めなかった俺も同罪だそうだが、そんなん知るか。
つーかテメェ、何故それを知ってる。どうやって知った。

後から知った事だが、糞親父は専門機関に依頼したそうだ。
『離れた地域での息子達の素行を細かく調べてほしい』と。
わざわざ興信所へ依頼したそうだ。探偵などではない。興信所である。
どんだけ本気なんだ。ってか、調べて何をする気だったんだ。

今となってはバツサンと浮気して開き直るクズ親父のみぞ知る。


……やっべぇ、また思考が脱線した。

506:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:43:33 ID:jGL0Va7A0
余計な思考を挟むまいとしても、単語から思い浮かべてしまう。

ストレスでぶっつんぶっつん切れてた時代よりマシにはなったが、
元々の脳ミソの作りのお陰で、我が脳内は落ち着く事がない。

今日は早めに行動だな、さっさと着替えて念願の吉野家に向かおう。
バスも調度出る。今はいい時間だ。
これを逃すと、街へ着くのは3時間後になる。

東京で、分単位で来るバスにはマジでビビった。
更に、その全てのバスに人がギュウギュウ詰めなのにも。







~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ピッピッピッ プルルップルルッ


('A`;)『兄者! 今どこ居んだよ!』

( ´_ゝ`)「迷った」

507:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:44:37 ID:jGL0Va7A0
('A`;)『病院の正面入り口から出て右に曲がればコンビニあったろ。
    そこの信号をまた右に曲がれば見えて来るんだってば!』

( ´_ゝ`)「ありがとう。鬱田の説明は、きっと判り易いんだと思う」

('A`)『褒めても何も出ねーぞ?』

( ´_ゝ`)「でも迷った」

('A`)『実は貶してるのか』

( ´_ゝ`)「コンビニってファミ○じゃないよね?」

('A`)『違う。ローソン』

( ´_ゝ`)「そうか。俺は何処にいると思う?」

('A`)『俺に聞くなよ、つか地元だろ』

( ´_ゝ`)「俺、こういうの、毎日行かないと地理覚えられないんだよね。
      昼と夕方と夜でまた道が全然違って見えるし、季節でも変わる。
      ぶっちゃけ建物一つ消えるだけでそれまでの道が判らなくなる」

('A`)『重傷じゃねーか』

( ´_ゝ`)「3Dのゲームでは迷わないのに、不思議だぜ」

508:名も無きAAのようです:2013/03/01(金) 18:45:45 ID:jGL0Va7A0
('A`)『どうすんだよ、俺はもう店の前にいるんだけど……』

( ´_ゝ`)「病院の前で俺が鬱田を待つ案はどうだ?」

('A`)『俺の負担が倍増しだな』

( ´_ゝ`)「昼飯奢るぜ」

('A`)『カーチャンへの持ち帰りも追加で』

( ´_ゝ`)「おう」


ブツッ


よし、一段落。いやあ、一時はどうなるかと思ったぜ。
鬱田の負担が倍増しどころか、累乗になったのはキニシナーイ。

さっき毎日行かないと道を覚えられないと言ったが、
ぶっちゃけ人の顔も毎日見ないと覚えられない。

記憶に染み付く程に印象が強ければいいんだがな。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

518:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:08:42 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「遅いぞ鬱田~」

('A`)「ふざけてんのか?」

( ´_ゝ`)「怒りで体暖まった?」

('A`)「ふざけてんのか」

( ´_ゝ`)「イントネーションが変わっただけで、言葉が何も変わってないぞ」

('A`)「いいやもう、寒い。一旦どっか入ろう」

( ´_ゝ`)「なら病院の食堂で食いながら話したらいいんじゃない?」

('A`;)「バカ! 病院でこんな話出来るか!」

( ´_ゝ`)「吉野家では出来る話なのか……」

('A`)「……家族連れがいたら出来ないかな」

( ´_ゝ`)「そういう配慮はあるのね」

('A`)「予想外みたいな言い方すんな」

吹雪で荒れる外で立ち話していても、何も始まらない。
取りあえず、俺らは近くのコンビニに入った。

519:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:09:46 ID:iH7GEoA20
('A`)「なんか暖かい飲み物買ってくわ」

( ´_ゝ`)「そうだなー、じゃあ俺はタクシーでも呼んでるわ」

('A`)「ああ…………………あぁ?」

( ´_ゝ`)「ん?」

('A`)「兄者、何で吉野家までタクシーで来なかったんだ」

( ´_ゝ`)「あ」


('A`)


( ´_ゝ`)






結果的に、俺達は無事吉野家へ辿り着いた。
タクシー台は無論、俺持ちである。

520:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:10:50 ID:iH7GEoA20


( ´_ゝ`)「へぇーここが吉野家」

('A`)「もしかして初?」

( ´_ゝ`)「うん、ただ想像してたよりも普通だな」

流石に、コピペ通りとまで想像してはいない。

店内は無音じゃなく、ちゃんとしたBGMが流れている。
客同士が飯を食いながら、互いにガンつけあってもいない。
コップが割れたり、皿が飛んだり、血飛沫が弾けたりもしない。

普通の定食屋のような雰囲気だ。


('A`)「どんな場所だと思ってたんだよ……」

( ´_ゝ`)「ほら、あの吉野家コピペ」

('A`)「ないから、少なくともあれは数年前のだから」

( ´_ゝ`)「それもそうだな」

規制が激しくなった今は、店内でそんな事は出来ないだろう。

521:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:11:39 ID:iH7GEoA20
全国チェーンどころか海を越えて国外に行ってるようだし、
ソマリアやヨハネスブルグでもない限りそうはならないか。

違うな。

ソマリアやヨハネスの場合は、出される肉が人肉なのか。
あそこだと、本当にありそうで面白い。


('A`)「何さっきから難しい顔したり笑ったりしてるんだよ」

( ´_ゝ`)「んー? あー、ただの思い出し笑いだ。気にすんな」

('A`)「早く店員来る前にメニュー決めとけ」

( ´_ゝ`)「鬱田はもう決めたのか?」

('A`)「もう決めた。この定食のセット」

( ´_ゝ`)「毎回早いよなーメニュー決め」

('A`)「そりゃな。俺、店員呼び出しボタンが無い店だと、
    大声出したり、手を振り上げて店員呼んだり、
    そういうの恥ずかしくてちょっと出来ないからな」

( ´_ゝ`)「恥ずかしいって何がだ、それくらいやれよ」

522:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:12:31 ID:iH7GEoA20
('A`)「そんな訳で早く決めるんだ兄者」

( ´_ゝ`)「鬱田が呼ばなくても、俺が呼ぶのに……いいや。
      この豚丼と、うな重と、サンマ定食ってのにする」

('A`)「食えんの?」

( ´_ゝ`)「朝飯抜いてきたから」

('A`)「よく食うなあ」

( ´_ゝ`)「それ内藤に言え」

('A`;)「うん、なんか、いつもは内藤の量が凄過ぎて、
    兄者もそれなりに食えるって印象がなかったわ」

( ´_ゝ`)「3kgの肉を余裕で食えるフードファイターと比べないでくれ」

メニューは結局、鬱田がどもりながら全て頼んだ。

異性相手だけじゃなく、同性でもアウトなのか。
鬱田のセーフの基準は一体何で判定されているんだろう。

523:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:13:16 ID:iH7GEoA20
食事が運ばれて来るまで、内藤が地域から全国的なフードファイターになり、
TV出演して、インタビューされた場合の未来予想図を話しながら過ごす。
結果は、マスゴミ嫌いの内藤がカメラを叩き割ると言う論が出て終わった。


( ´_ゝ`)「わーい、俺のが先に来た」

('A`)「なんか寄越せ」

( ´_ゝ`)「はい」

('A`)「漬物……」

( ´_ゝ`)「この場合、何もやらないのといらない物をあげるの、
      どっちが正しいの? 何が欲しいか言ってくれよ」

('A`)「出来ればそのうなぎが欲しい」

( ´_ゝ`)「嫌だ」

('A`)「うなぎの皮」

( ´_ゝ`)「いいよ」

ペリペリと小気味良く肉から剥がれず、ぐちょぐちょと剥がす。

その皮を、漬物を入れた皿に置いて鬱田のほうへ押したら、
鬱田は何故か眉間に少し皺を入れて、微妙な表情をしていた。

524:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:13:58 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「あんまり長いのは勘弁」

('A`)「店に着いたところ、くらいからでいい?」

( ´_ゝ`)「いいよー」

机の下で、こっそり携帯のボイス録音機能をONにする。


('A`)「店に着いて、長岡、俺を置いてさっさと先に頼んでさ」

( ´_ゝ`)「3Pしたかったのか」

('A`;)「違うよ!」

( ´_ゝ`)「なーんだ」

('A`)「その後、顔は普通だけど、空気が怖い人が来て、
   『こちらは初めてですか?』って聞かれたんだ」

( ´_ゝ`)「キョドってりゃ初めてだと思うだろうなあ」

('A`;)「うん、それで時間決めとか嬢の指名とか時間とか、
    色々聞かれた時に余計に応えて金取られたわ……」

( ´_ゝ`)「余計にって?」

525:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:15:06 ID:iH7GEoA20
('A`)「テンパって『はい、それでお願いします』しか言えなくなってて、
   気がついた時にはアナルファックOKの最長コースになってた」

( ´_ゝ`)「アホだろ」

('A`;)「否定しないよ……」

( ´_ゝ`)「嬢くらい指定したよな?」

('A`;)「指が震えてたし、写真もよく見れてなかったから、
    誰を指名したのか覚えてない。名前も覚えてない」

( ´_ゝ`)「鬱田……」

バカだなあと思いつつ、少し哀れにも思う。
長引くようなら、このまま夕食も奢ろうか。


('A`)「でも顔は可愛かったよ」

( ´_ゝ`)「よかったじゃん」

('A`)「案内された部屋も意外と綺麗だった。
   カラオケの部屋にベッド置いた感じ」

( ´_ゝ`)「へええ」

526:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:16:02 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「って事は、イリーガルでもなんでもなくて、
      結構いい店紹介したんじゃない? 長岡」

('A`)「俺もそう思う。それで嬢とのセックルなんだけど

( ´_ゝ`)「ちょっと待った」

('A`)「ん?」

(;´_ゝ`)「初体験の内容まで話すのか?」

('A`)「俺の話を聞いてくれるんじゃなかったのか」

(;´_ゝ`)「聞くとは言ったけどさあ……」

これを聞いたら、俺は8人の男の初体験を知ってる事になる。

なんで話すんだ? 恥がないのか? これはセーフなのか?
長岡や諸本、赤石とか糞野郎がアホだった訳じゃないのか?
もしかして、男は自分の初体験を友人に告白するのが普通なのか?
一般ステータスとして、俺も誰かに話すべきなんだろうか?

それこそ、便所の落書きにでもぶち撒けたらいいんじゃなかろうか。


( ´_ゝ`)「まあ、聞くと言ったからには聞くよ……」

527:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:16:52 ID:iH7GEoA20
('A`)「尻OKでやっちゃったから、嬢は尻突き出してきてさ」

( ´_ゝ`)「うん」

('A`)「『ローションはそこの戸棚にありますよ』って言われて、
   今更前のほうでお願いしますなんて言える勇気なくて、
   そのまま指にローション垂らして尻に入れたんだ」

( ´_ゝ`)「尻OKなだけで普通のもOKなんだから、
      マn、前で初体験しときゃよかったのに」

('A`)「そこら辺は後悔してもし足りない」

( ´_ゝ`)「それで?」

('A`;)「尻穴の力加減なんて全然分かんないから、
    切れ痔とかにさせたらいくら取られるか怖くて、
    とにかく力入れないようにゆっくりやってた」

( ´_ゝ`)「ほう」

('A`)「事務的な挨拶だろうけど、『上手ですね』
    って言われた時は嬉しかったわ……」

( ´_ゝ`)「ああいう店って、嬢を乱暴に扱う手合いも多いって聞いたぜ。
      ゆっくりやってたから優しくされてると思ったんじゃない?」

('A`)「そうなのか、ああ、成程……」

528:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:18:38 ID:iH7GEoA20
('A`)「でも、その時点でもう時間が半分しかなくて」

( ´_ゝ`)「どんだけ時間かけてんだ」

('A`)「1時間半で受付したから、45分くらい」

( ´_ゝ`)「わお」

('A`)「それで嬢に『舐めてみますか』って言われて舐めたり」

( ´_ゝ`)「よくその後に腹ぶっ壊さなかったな」

('A`)「ローションと石鹸の匂いしかしなかったよ」

( ´_ゝ`)「お味は?」

('A`)「ちょっと苦かった」

( ´_ゝ`)「腸液でも垂れてきてたんじゃないの」

('A`)「やめて」

529:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:19:25 ID:iH7GEoA20
('A`)「残り時間30分くらいのとこで、嬢にようやく
   『入れてもいいんですよ』って言われてさ」

( ´_ゝ`)「そういうのって嬢が言うんじゃなく、
      こっちから言うもんじゃねぇの?」

('A`)「俺もそう思ったけど、タイミングが分かんなくて……」

( ´_ゝ`)「初だしなあ。しかも尻か、濃いなお前の初体験」

('A`)「だよな。それで尻に俺の入れようとしたんだけど、
   ローションですげー滑って、時間が押してるのもあって、
   角度も合わなくて焦りまくって尻に全然入らなくって」

(;´_ゝ`)「落ち着けよ」

('A`)「嬢にも同じようなこと言われた」

( ´_ゝ`)「あー」

('A`)「ようやく入ったってなっても、ヤってる途中で抜けたりで、
    結局一回も出さないまま時間になって、全部終わった」

( ´_ゝ`)「散々だな」

('A`)「嫌ではなかったよ。すごく惜しいと思ってるだけさ」

530:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:20:07 ID:iH7GEoA20
('A`)「そして2万5千払って店を出ました。終わり」

( ´_ゝ`)「うん、頑張った」

('A`)「兄者はこんな話聞きながらよく飯食えるな」

( ´_ゝ`)「俺が飯を食えなくなるのはゲロ系の話題だよ。
      例え、ギャグでもゲロだけはマジで駄目だ」

('A`)「そんなにゲロゲロ言ってる癖に、箸は進んでるようですが」

( ´_ゝ`)「自分で言う分にはいい。でも想像させないでね」

('A`)「俺が今ここで吐いたらどうなる?」

( ´_ゝ`)「その吐瀉物にお前の顔面押し付けてやんよ」

('A`)「すみませんでした」

531:名も無きAAのようです:2013/03/03(日) 22:21:05 ID:iH7GEoA20
( ´_ゝ`)「話も聞き終わったから、鬱田が食い終わったら店出るか」

('A`)「カーチャンに牛丼持ち帰りたい」

( ´_ゝ`)「いいよ、俺の奢りだから好きなだけ頼め」

('A`)「なら牛丼10個」

( ´_ゝ`)「持ち運べるならな」

('A`)「すみません」

(;´_ゝ`)「別に怒ってる訳じゃあ」

('A`;)「ごめん、こっちも本気で謝った訳じゃ」

(;´_ゝ`)「……」

('A`;)「……」


( ´_ゝ`)

('A`)

拍手


451:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:13:49 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「僕が導入部分を喋るから、食べながら聞けお。
      弟者もいることだし、難しいのは抜きで進めるお」

('A`)「はい」

(´<_` )「はいはい」

と返事をしつつ、二人の手がケーキの箱に向かって伸びた。
今は口直し出来るものが存在しないので、俺は伸ばさない。


 【3人は廃屋の入り口で笑いながらケーキを食んでいた。
  そこに、ボロ布を纏った一人の男が現れる。どうする?】


( ^ω^)「ではケーキ食ってない兄者から行動」

( ´_ゝ`)「廃屋への通路を開けつつ、バイトの後ろに下がる。
      ついでに男に向かって目星とか出来る?」

(´<_`. )「目星って何」

( ´_ゝ`)「よく見る事だよ」

(.'A`)「アバウトだけど大体合ってるってのが、もうね」

452:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:15:50 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「TRPGはフィーリングも大事だお」

( ´_ゝ`)「マジかよ俺一大事じゃん」

( ^ω^)「頑張って共感能力を高めろお」


【兄者の目星:初期値25→20 成功】

【ボロ布の下は、小奇麗なスーツを着ている事が判った】


( ´_ゝ`)「フーン、男との距離と、靴の汚れ具合は?」

( ^ω^)「靴には土が付着してるお、長い時間歩いたんじゃないかお?
      男との距離は今1D3でダイス振って決めるお……2mだおね」

( ´_ゝ`)「ほうほう」

(´<_` )「そんな事聞いてどうすんだよ」

( ´_ゝ`)「うっせぇ壁は黙ってろ」

(´<_` )「オイコラ」

453:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:17:00 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「では次にケーキ食ってる毒男と弟者」


【男は、二人の食べているケーキを物欲しそうに見つめている】


('x`;)「んむもももふ」

( ^ω^)「飲み込んでから発言しろお」

(´<_` )「じゃあケーキを男に向かって投げる」

( ^ω^)「リアルマン確定、なら投擲技能で振れお」

(´<_` )「え、これも技能なの? 2mしか離れてないんだよな?」

( ^ω^)「人が遠くの物に当てるには、それなりの技術が必要だお。
      とは言え2mだし、プラス補正してやるからダイス振れお」

(´<_` )「へーい……3」

( ^ω^)「サイコロで振ればそりゃクリティカルさもなるわな」


( #^ω^)「ってアホかあ!」

( ´_ゝ`)「内藤の方言出た、珍しい」

454:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:18:50 ID:/T9zBJ7c0
('A`)「俺は初めて聞いた」

( ´_ゝ`)「よかったじゃん」

( ^ω^)「外野は放って、こっちで振るんだお」

(´<_` )「何この細かいの」

( ^ω^)「はよロールするお」

(´<_` )「へいへい……えーと」


【弟者の投擲:初期値+補正50→97 ファンブル】


('A`;)「ふぁ、ファンブった」

(´<_` )「えっ」

(;´_ゝ`)「ちょ」

( ^ω^)「ふむ、ならば」


 【男に向かってケーキを投げつけようと勢いよく振り上げた腕は、
  後ろにいたヤクザの顔に当たった。その衝撃で、ケーキは落ちる】

455:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:19:47 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「技能:パンチ扱いとして、弟者ダメージロールどうぞ」

(#´_ゝ`)「ふっざけんな!」

(゚<_゚; )「うおっなんでこっちに殴りかかって来るんだよ!」

( ^ω^)「兄者が回避ロールに成功したら、なしとするお」

(#´_ゝ`)「全力で回避!」

(゚<_゚; )「俺もリアルで回避ロール振りたい!」

( ^ω^)「ふふ、ロールの意味が分かってきたんだおね。
      初心者の成長ってすごく微笑ましく感じるお」

(゚<_゚ #;)「そんな場合か!」

('A`;)「ケーキは!? 地面に落ちたって言ってないよね?」

( ^ω^)「毒男、お前はまた変なとこで……」

('A`;)「勿体無いじゃん! 落下中なら掴みに行く!」

( ^ω^)「あ、うん、ならDEX*5のロールに成功したらキャッチ」

456:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:21:13 ID:/T9zBJ7c0
ギャーギャー


( ^ω^)「4人しかいないのに、まさしくてんやわんやだお……」


【兄者の回避:50→2 クリティカル】


(*´_ゝ`)「やったクリったー! 反撃! 反撃!」

( ^ω^)「ファンブル攻撃の回避だから、反撃はなしだお」

( ´_ゝ`)「クソが」

( ^ω^)「リアルで反撃しとけお」

( ´_ゝ`)「よっしゃ」

(´<_`; )「やめろ!」

457:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:21:56 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「では次に毒男どうぞ」


【毒男のDEX*5:55→78 失敗】


('A`)「なん……だと……」

( ^ω^)「……ちょっと可哀想だから、地面に落ちたんじゃなく、
      毒男の頭の上にベショッと落ちた事にしてあげるお」

('A`)「すごい、全然嬉しくない」

( ^ω^)「それ程でも」

( ´_ゝ`)「大丈夫だ鬱田、リアルでのケーキは、
      地面じゃなくこいつの胃袋に落ちたぞ」

(´<_`; )「いでででで、もう頭にアイアンクローすんのやめて」

('A`)「釈然としない」

( ^ω^)「兄者の分のケーキでも食って機嫌治せお」

458:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:22:53 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「では」


 【3人の唐突な狂乱を見た男は、探索者らを白い目で見る。
  それでも、医者の頭の上にあるケーキが気になるようだ】


(´<_` )「んなに腹減ってんのかそいつ」

( ´_ゝ`)「鬱田がそいつに向かって頭ごと差し出せばいいんじゃね?」

('A`)「そんなに回復要員を消したいのか」

( ´_ゝ`)「だったら鬱田が地面に向かって技能:頭突きで攻撃、
      その反動で頭の上のケーキを男に飛ばすとかどうよ」

( ^ω^)「その場合、投擲技能もロールしないといけないお」

('A`)「お前ら」

(´<_` )「なんで普通に鬱田の頭に落ちた汚いケーキを、
      知らねぇ男に食わせる流れになってんだよ」

( ^ω^)「ノリだお、ノリ」

( ´_ゝ`)「え……割と本気で考えたのに……」

459:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:23:45 ID:/T9zBJ7c0
(´<_` )「つーか男だらけでむっせー空間だよなあ。
      こういうのに女キャラは出ないの?」

( ^ω^)「仕方ねーから同時進行するかお」


 【男の物欲しそうな視線に応えるかどうか話している探索者らの耳に、
  廃屋の中から悲鳴が聞こえた。入口付近にいたので全員自動成功】


('A`;)「状況が悪化した!」

(´<_` )「自動成功って?」

( ´_ゝ`)「あぁ゙? ダイス振らなくても自動で成功するんだよ」

(´<_` )「そのままだな」

( ^ω^)「そこの兄弟は危機感を持て、特に経験者」

( ´_ゝ`)「もう、こいつと一緒にTRPGってだけで諦めてるわ」

( ^ω^)「ドンマイ(笑)」

460:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:24:30 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「では、どうするかお? 話し合って決めるといいお。
      男の視線に対応するか、女の悲鳴に対応するか」

( ´_ゝ`)「分断は不味いよな、どっちにしろヤバい事が待ってるし。
      取りあえず俺と医者は一緒に行動だな、守るぜ鬱田」

(´<_` )「俺は?」

( ´_ゝ`)「お前の行かないほうに俺が行く」

(´<_` )「意地でもテメーに憑いてってやる」

('A`)「うーん、わざわざ別れなくてもいいんじゃないかな?
    3人だから、別れるとなると必ず孤立するキャラが出る」

( ´_ゝ`)「男女のどっちか見捨てるって事か?」

(´<_` )「男いらねーよ。見捨てるならそっちにしようぜ」

( ^ω^)「見捨てる場合は、それぞれがお察しの通りだお。
      男は探索者達がいなくなったの見て、場に放置された物を食う。
      女は悲鳴を上げる事になった原因に、廃屋の中で惨殺されるお」

('A`)「男がケーキ食った後は……」

( ^ω^)「お察しの通り」

('A`;)「うーん」

461:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:25:46 ID:/T9zBJ7c0
( ´_ゝ`)「ケーキごと持って行けばいいじゃん。
      そしたら男も付いて来て、盾が増える」

(´<_` )「そこまで腹減った奴なら、ケーキ持ってる奴が
      そいつに後ろから襲われんじゃねーのー?」

( ´_ゝ`)「なら最初の時点で俺らに向かって来るだろ」

(´<_` )「む」

('A`)「話の中のケーキは残ってるの?」

( ^ω^)「毒男の頭の上と、箱の中に一つだけ」

('A`;)「ううむ」

( ^ω^)「ケーキだけで成人男性3人の腹が膨れるとは思わないし、
      ついでに何か一人一つずつ持って来てる事にしてもいいお」

( ´_ゝ`)「林檎」

(´<_` )「酒」

(;'A`)「移動方法が車だったら飲酒は危ないよ」

(´<_` )「じゃあポカリ」

( ^ω^)「食べ物って限定するの忘れてたお。まあいいけど」

462:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:26:47 ID:/T9zBJ7c0
( ´_ゝ`)「酒だったら廃屋燃やせるじゃねーか。
      どうせなら火炎瓶も作れる酒にしようぜ」

(´<_` )「そういう兄者はなんで林檎なんだよ」

( ´_ゝ`)「リアルで目の前にあったから、なんとなく。それに、
      林檎を投げたら小石くらいのダメージにならない?」

(´<_` )「デカくて固いのだと小石どころじゃないだろ」

( ^ω^)「うーん、許可するお」

('A`)「俺は………………焼き鳥で」

( ^ω^)「すごい迷ったおね」

('A`)「いざとなったら焼き鳥の串で戦う」

(´<_` )「相手の腹筋にしかダメージ与えれねーよ」

('A`)「それでも闘う」

463:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:27:43 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「さーて、死ぬ準備は出来たかお?」

( ´_ゝ`)「は? 食べ物の準備が死ぬ準備なの?」

(´<_` )「マジで最期の晩餐だったのか」

( ^ω^)「3人の探索者が最初から携帯してる武器は、
      ヤクザが拳銃とナイフ、アルバイターが警棒、
      毒男がメスと注射器でいいおね?」

('A`)「注射器って武器だったっけ」

( ´_ゝ`)「空気注射で人殺せる」

(´<_` )「眼にでも刺して脳ミソまで貫通させれば?」

('A`)「やだ怖い、俺じゃそんな使い方は思い付かない」

( ^ω^)「そろそろ残るか行くか決めてくれお」

(´<_` )「女」

( ´_ゝ`)「食い物持って、女の悲鳴が聞こえたとこに行く」

('A`)「左に同じ」

464:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:28:37 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「追跡は……全員初期値だおね。うん。うーん。
      悲鳴が大きかったから場所を特定できたって事にするお」


 【それぞれの食べ物を持って、3人が廃屋の階段を駆け上がる。
  探索者らの後ろから男も付いて来ているようだが、どうする?】


( ´_ゝ`)「シカト」

(´<_` )「後ろから襲われないかちょっと気にかけとこ」

( ^ω^)「おっ、弟者いい判断だお」

(´<_` )「……マジで襲われるの?」

( ^ω^)「いやいや、クトゥルフTRPGではこの先生きのこる為に、
      不審な人物や物体は気にかけておいて損はないんだお」

('A`)「無駄に怪しい場所とかを気にし過ぎて、
    直視してSAN値削られる時もあるけどな」

(´<_` )「SAN値?」

( ^ω^)「それ最初にすごく説明したんだけどおおおおおお」

465:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:30:19 ID:/T9zBJ7c0
(´<_` )「おい兄者」

( ´_ゝ`)「なんだよ」

(´<_` )「SAN値って何」

( ´_ゝ`)「残ってる正気の値だよ」

(´<_` )「へええ、じゃあ兄者ゼロだな」

( ´_ゝ`)「言ったな、今度お見舞いに針仕込んであげる」

(´<_`; )「やめろ!」

( ^ω^)「はいはい、では」


 【探索者らは、悲鳴が聞こえた部屋の前に辿り着いた。
  立ち止った事で、後ろにいた男が君達に追いつく。
  男はどうやら小声でぼそぼそと喋っているようだ】


('A`)「俺は鍵開け持ってないから聞き耳する」

( ´_ゝ`)「俺も持ってねーから聞き耳」

(´<_` )「んー……なら俺は目の前のドアに鍵開けか」

466:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:31:17 ID:/T9zBJ7c0
【兄者の聞き耳:初期値25→90 失敗】

【毒男の聞き耳:50→79 失敗】

【弟者の鍵開け:60→81 失敗】


( ^ω^)「全員出目がデケえお」

('A`;)「グダグダになる予感……」

( ´_ゝ`)「もうとっくにグッダグダだよ」

(´<_` )「どうすんの」

( ^ω^)「全員ファンブルは出してないから、
      それぞれ再トライしても大丈夫だお」

('A`)「待て、部屋にいる女性はどうなってるんだ?」

( ^ω^)「さあ? 部屋の向こうから聞こえる音はないお」

('A`;)「まさかもう」

(´<_` )「えー間に合わなかったのかよー」

467:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:32:43 ID:/T9zBJ7c0
( ^ω^)「流石にもう死にましたってなるとアレだから、
      こっちはこっちで女性のダメージロールするお」

('A`)「死んではないのか」

( ^ω^)「これから死ぬかもしれないお」

( ´_ゝ`)「聞き耳初期値だから、次に失敗したら、
      すぐに扉を破れる準備しときたい」

( ^ω^)「組み付き最高値なのにどうすんだお?」

( ´_ゝ`)「ドアに組み付き」

( ^ω^)「オイ」

( ´_ゝ`)「引き戸とか詳しい説明しなかったじゃんか。
      ドアの出っ張りの部分持って、こう、持ち上げて外す」

( ^ω^)「却下」

( ´_ゝ`)「ならドアノブに組み付き」

( ^ω^)「永久に入れなくなる可能性があるお」

( ´_ゝ`)「仕方ねえキックと武道の準備しとく」

( ^ω^)「兄者も聞き耳くらい振っていいお」

468:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:33:36 ID:/T9zBJ7c0
【兄者の聞き耳:初期値25→58 失敗】

【毒男の聞き耳:50→88 失敗】

【弟者の鍵開け:60→69 失敗】


( ^ω^)「これは」

('A`)「もう駄目かもわからんね」

( ´_ゝ`)「蹴り開けるわ、お前も一緒にやれ」

(´<_` )「そういうの出来んのか」

( ^ω^)「二人が扉に与えたダメージを総合して、
      扉の耐久力を越えれば破れるとするお」

('A`)「扉の耐久力っていくつ?」

( ^ω^)「今2D6*2で決めるお」

('A`)「小さい数来て……」


【GM:扉の耐久力2D6*2→16】

469:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:34:29 ID:/T9zBJ7c0
('A`)「微妙にデカい……」

( ^ω^)「こんなとこでも出目が」

(´<_` )「にでぃーろくかけるにって何だよ」

( ^ω^)「最初の数がダイスを振る回数、Dはダイス、
      その次が振るダイスの種類とでも思えお」

(´<_` )「じゃあサイコロを2回振れって事か、英語みたいだな」

( ^ω^)「訳ワカメ」

( ´_ゝ`)「逆から読んで文にするのがそれっぽいって事だろ。
      そんなどうでもいい事より女のダメージロールは?」

( ^ω^)「このままだと話が進まなそうだからナシにするお」

(´<_` )「後ろの男はどうなってんの」

( ^ω^)「あ、忘れてた」


 【男は、3人が起こすそれぞれの奇行を黙って見ている。
  たまに、視線が食べ物のほうへと向いているようだ】

470:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:36:45 ID:/T9zBJ7c0
(´<_` )「男はブレねーな」

( ^ω^)「まあお」

( ´_ゝ`)「ドア蹴っ飛ばしていい?」

( ^ω^)「いいお」

('A`)「俺どうしよう、後ろの男に何かしたいんだけど」

( ^ω^)「出目が酷いから今度はファンブルやってもおかしくないお」

( ´_ゝ`)「鬱田って焼き鳥何本持ってきたんだ?」

('A`)「決めてなかった。1人2本食うつもりだったとして、
    合計6本持って来てたって事にしといてもいい?」

( ^ω^)「おっけーだお」

('A`)「男に一本手渡してみたい」

( ^ω^)「分かったお」

471:名も無きAAのようです:2013/02/24(日) 20:38:42 ID:/T9zBJ7c0
( ´_ゝ`)「串は危ないから肉だけ地面に落としたら?」

(´<_` )「地面に落ちたの食えってか」

( ´_ゝ`)「鬱田の頭の上のケーキを食いたそうにするなら、
      地面に落ちた焼き鳥くらいは余裕で食うだろ」

(´<_` )「そういう意味で言ったんじゃねーよ」

( ´_ゝ`)「どういう意味だよ」

( ^ω^)「はいはい人の心が判らない奴は置いといて、
      鬱田は本当に焼き鳥手渡しでいいのかお?」

('A`;)「2本の串から肉を外して、ハンカチとかに乗せて渡す」

( ^ω^)「ふむ、わかったお」


 【医者はハンカチに乗せた焼き鳥の肉を男に手渡した】


( ^ω^)「次は二人のキック+武道」

476:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:32:15 ID:caP.a.JA0
( ´_ゝ`)「俺の靴、ヤクザ的に安全靴って事にしてくれない?
      サイズ小さいしダメボないからちょっと不安なんだ」

( ^ω^)「許可するお、安全靴の耐久力は12だお」

( ´_ゝ`)「ドア攻撃すると減る?」

( ^ω^)「うーん、足に攻撃くらった時のみにしておくお」

(´<_` )「ダメボって何」

( ´_ゝ`)「ダメージボーナス」

(´<_` )「それ何」

( ´_ゝ`)「さっきからうっせぇなあ、何々だよ」

(´<_` )「お前の企みが成功したんだよ、喜べ」

( ´_ゝ`)「STRとSIZ足して2で割ったのが、素手攻撃に付加される」

(´<_` )「スルーかよ」

( ^ω^)「はいさっさと振れ」

477:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:33:14 ID:caP.a.JA0
ヽ(´<_` )「待って待って! それなら俺もジャンプしてキック」

( ^ω^)「うーん、いいお。成功したら1D6足すお」

(´<_` )「よくわからんけどダメ増えたならいいや」


【兄者のキック:60→60 成功
【兄者の武道(立ち技系):89→71 成功】

【弟者の跳躍:77→56 成功】
【弟者のキック:89→81 成功】
【弟者の武道:69→66 成功】


( ^ω^)「笑えるぐらい出目の全部が高いお。
      割と技能に振ってるから助かったお」

('A`)「不吉だなあ」

( ´_ゝ`)「それよりこの100面ダイス使うのやめない?」

(´<_` )「止まるのにスゲー時間かかるしな」

( ^ω^)「なら今から10面ダイス2個にするかお」

478:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:34:38 ID:caP.a.JA0
( ´_ゝ`)「つーかこのセッション、出目高いままずっと走るのか?
      低い数字が出たのは、俺が最初に振ったのだけだぞ」

( ^ω^)「その時はその時で、潔く諦めるとするお。
      ダメージロールするお。扉は回避しないお」

(´<_` )「してたまるか」

( ^ω^)「ではメンドくさいダメージ計算~。
      安全靴って1D6+1だったかお?」

( ´_ゝ`)「わかんねえ」

( ^ω^)「探すのも面倒だしこれでいいお……」


【兄者のキック+武道+安全靴:3D6+2→15】

【弟者の跳躍+キック+武道:3D6→11】


( ^ω^)「今回誰もダメージボーナスなくて簡単でよかったお」

('A`)「俺マイナスなんだけど……」

( ^ω^)「闘わずに逃げろお」

479:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:35:40 ID:caP.a.JA0
( ^ω^)「まず扉だおね」


 【ヤクザとアルバイターの放った強烈な蹴りにより、
  蝶番が弾け飛び、扉は轟音を立てて床に倒れた】


('A`)「部屋の中に目星する」

( ^ω^)「その前に男の行動だお」


 【男は医者の渡したハンカチごと焼き鳥を貪っている】


( ´_ゝ`)「喉に詰まる」

(´<_` )「そうだけどそこじゃねーよ」

( ^ω^)「詰まらせた様子はないおね」

('A`;)「あれ? マズったかな」

(´<_` )「そういや何で渡したんだ?」

('A`)「男の小声の聞き取りに失敗したから推測でしかないけど、
    食べ物を物欲しそうに見てるんだから『その食べ物をくれ』
    だと思ってさ。それ無視して攻撃されるのも嫌だし……」

480:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:36:50 ID:caP.a.JA0
( ^ω^)「一応当たってはいるお。今だから言うけど、
      男が欲しかったのは毒男の頭の上の物だお」

( ´_ゝ`)「道中ずっとケーキ頭の上に乗っけたまま来てたんだっけ」

(´<_` )「図にするとすごくシュールだな」

('A`;)「ティッシュで頭の上のケーキ取るわ……」

( ^ω^)「取ってどうするお?」

('A`)「男は食いたそうにしてる?」

( ^ω^)「まだ焼き鳥とハンカチを食べてるおね。
      食べ終わったらまた食べ物を欲しがるお」

( ´_ゝ`)「そのティッシュさ、偶然装って床に落とせばよくない?
      部屋の中の敵から逃げないといけないかもしれんし、
      その時に敵の足止めになるようにすればいいじゃん」

('A`)「クズい」

(´<_` )「俺もこの先生きのこりたいから同意」

('A`)「えー、うーん。偶然を装うのに何かロールって必要?」

( ;^ω^)「普通にティッシュで頭の上からはたき落とせばいいお」

481:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:37:34 ID:caP.a.JA0
( ^ω^)「では部屋の中」


 【部屋の隅には、女性が腕から血を流して座り込んでいる。
  その視線は部屋の中央に『浮いたナイフ』に向けられている】


(´<_` )「浮いてるって、糸で吊ってるとかじゃなくて?」

( ^ω^)「何もないお。浮いてるお」

(´<_` )「磁石とか」

( ^ω^)「不可思議な力で浮いてるお」

(´<_` )「マジックソードか」

( ^ω^)「う、ん? そんな物だおね」

( ´_ゝ`)「女ってそろそろ死にそう?」

( ^ω^)「血を流しているけど、量はそれほどでもないお」

(´<_` )「応急手当しとくわ」

( ^ω^)「初期値でかお」

482:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:38:16 ID:caP.a.JA0
( ´_ゝ`)「俺も応急手当なんて持ってねーし、部屋に目星」

( ^ω^)「目星するまでもなく汚いベッドルームだお」

( ´_ゝ`)「お前ダイス結果考えるの面倒になってきたな」

( ^ω^)「出目高いから常にファンブル結果考えないといけないとなると、
      アドリブも糞もなくなるんだお。ファンブルは確かに面白いけど、
      こうも失敗とファンブル続いたら、話は詰まるだけだお……」

( ´_ゝ`)「俺はもう最初から諦めてるよ」

( ^ω^)「僕は割と最初からやる気はないお」

('A`;)「えー」

(  ´_ゝ)「だって、さあ?」

(´<_` )「なんで俺を見る」

( ´_ゝ`)「ねえ?」

('A`)「俺に話を振らないでくれ」

483:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:39:04 ID:caP.a.JA0
( ^ω^)「そろそろナイフとの戦闘に移るけど、
      各自準備は大丈夫かお? 特に毒男」

('A`)「俺、部屋に入らないで男の相手しとく」

( ^ω^)「了解だお。では兄弟、戦闘に入る前に何かあるかお?」

(´<_` )「透明人間がナイフ持ってるって線はないん?」

( ^ω^)「ないお。浮いてるお」

( ´_ゝ`)「ベッドルームだったら布団あるよな?
      その布団を腕に巻きつけてナイフに備える」

( ^ω^)「おっけーだお、弟者は?」

(´<_` )「あ、女で思い出したんだけどさ」

( ^ω^)「なんだお?」

(´<_` )「前の説明の時にAPPが高ければ高い程、
      相手に言う事聞かせられるってあったよな」

( ^ω^)「どんな恐ろしい解釈だお。確かに、
      やりようによってはそれもあるけれど」

484:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:40:18 ID:caP.a.JA0
(´<_` )「こういう危険な場所で、うっかり恋しちゃう症状って、
      何効果って言うんだったっけ? ちゃんとあったよな」

( ´_ゝ`)「吊り橋効果」

(´<_`* )「そう! それそれ! それやりたい!」

( ^ω^)「一応聞くお。誰に?」

(´<_` )「女に」

( ^ω^)「うーん、APP*5のロールに成功したらいけるお」

(´<_` )「それの成功確率上げたいから、兄者も一緒に」

( ´_ゝ`)「へっ?」

( ^ω^)「は?」

(´<_` )「ほら顔で女にゴリ押ししようぜ」

( ^ω^)「もう好きにしてくれお」

('A`)「シナリオ崩壊の予感」

485:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:41:31 ID:caP.a.JA0
( ^ω^)「兄者と弟者のAPPを足して、それに5をかけるお。
      それに成功したら女は恋したような感覚に陥るお」

( ´_ゝ`)「自動成功じゃね?」

( ^ω^)「5は盛り過ぎだおね。3にするお」

(´<_` )「99だな」

( ^ω^)「やっぱ2で」

(´<_` )「モテない奴の僻みが辛いぜ」

( ^ω^)「世の中に自動成功なんてないお」

(´<_,` )「兄者と歩いてたら逆ナンされた事あるぜ。
      何もしてないのに向こうから来るってのは、
      自動成功であってんじゃないのー?」

( ^ω^)「世の中は理不尽に満ちているお」

( ´_ゝ`)「あれって絡まれてたんじゃなかったのか……」


【兄弟の合計APP*2:66→51 成功】

486:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:42:39 ID:caP.a.JA0
('A`)「うわぁ、成功しちゃった……」

( ´_ゝ`)「もうどうでもいい」

(´<_` )「よっしゃ!」

( ^ω^)「えー、ではその女性は吊り橋効果により、
      クズ二人に恋心のようなものを抱きますお」

(´<_` )「兄者3Pしようぜ!」

( ´_ゝ`)「俺は前がいいな」

(´<_` )「俺は突っ込めるならどこでも」

( ^ω^)「言っておくけど、NPCは全部僕がやるんだお?」

(´<_` )「それはそれで面白いだろ」

( ´_ゝ`)「そういやここベッドルームだったな」

( ^ω^)「お前ら僕の喘ぎ声そんなに聞きたいのかお」

487:名も無きAAのようです:2013/02/25(月) 12:44:09 ID:caP.a.JA0
('A`)「なんかもう駄目だコレ」

( ^ω^)「だおね」

('A`)「ボイレコのスイッチ切るわ」

( ^ω^)「おう」


ブツッ








26.糸冬


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