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589:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 02:59:28 ID:Tq2KJ/Rc0
29.普通の人はそんな事やらないですから
( ´_ゝ`)「そんな訳で来た」
(´<_` )「どんな訳だ」
( ^ω^)「お邪魔してるお」
(´<_` )「この筋肉ヒーター追い出してくれ」
( ´_ゝ`)「最近よく来るな」
( ^ω^)「部屋の暖房が勿体無くて」
(´<_` )「その体で寒いわけねーだろ」
( ^ω^)「寒いお。凍えちゃうんだお~」
(´<_` )「キモい上に暑苦しいとかウザさの極みだわ」
( ^ω^)「じゃあ何か冬にちなんで怖い話でもするお」
(´<_` )「この調子なんだよ何とかしてくれ」
( ´_ゝ`)「退屈しなくていいでちゅねー弟者くーん」
590:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:01:56 ID:Tq2KJ/Rc0
( ^ω^)「キッモ」
(´<_` )「うわムカつく」
( ´_ゝ`)「何だこの扱い」
( ^ω^)「ほらさっさと弟者が怖い話の先鋒やるお」
(´<_` )「あるわけねーだろ死ねボケ」
( ^ω^)「あるだろうがお。特に弟者の経験だったら」
(´<_` )「ねーってばよ」
( ^ω^)「『幽霊よりも生身の人間のほうがとても怖い』
って体験の一つ二つあるだろ、ほらコレとかお」
内藤に指を差された。
何だこの扱い。
591:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:03:48 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「……あ、昔のやつ、一個思い出した」
( ´_ゝ`)「へー、あるのか」
( ^ω^)「ほほう、話すお」
俺も少し気になるので、ボイレコのスイッチを入れ、
何故か鞄に投入されていた日記と筆記用具も用意する。
何でこれがここにあるんだろう。
用意ってこれも用意したのか我が母よ。
中身は読まれたのかな?
まさか入院って中身読んでヤバいと思われたから?
まあ、いい。今は考えるのをやめておこう。
先に、日記に我が母との会話を忘れない内に記録しておく。
592:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:05:31 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「向こうに行って、兄者とルームシェアしなくなって、
新しいアパートに引っ越し終わった時だったな」
( ^ω^)「ふんふん」
(´<_` )「貧乏学生が入るみたいな、ボロ臭いとこだったんだよ。
俺は3階の角部屋取ったんだけど、すげー湿気だった」
( ^ω^)「ふん」
(´<_` )「ボロくても、一応エレベーターはついてたんだよね。
けど扉のガラスとかガッタガタ、ボタンは取れ欠け。
でも階段は面倒くせーし、エレベーター使ってたワケ」
( ^ω^)「ふんむ」
(´<_` )「バイト終わって女もいない夜だったんだよねー。
いつも通りそのボッロいエレベーター使ったらさ、
ガラスの向こうにナイフ持った人がいたんだよ」
( ^ω^)「女かお?」
(´<_` )「いや男」
( ^ω^)「おおう」
593:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:06:53 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「そのヤバい奴とバッチリ目が会っちゃってさあ……
上がり始めた時だったから、乗り込まれはしなかったけど」
( ^ω^)「けど?」
(´<_` )「エレベーター越しでも届くくらいデカい声で笑いながら、
隣の非常階段を駆け上がってく姿がこっちから見えた」
( ;^ω^)「普通に怖ぇお」
(´<_` )「エレベーターのほうが早かったから、
そいつより先に部屋には入れたんだ」
( ^ω^)「刺されればよかったのにお」
(´<_` )「んなこと言うなよ、まだ続きあんだぜ」
( ^ω^)「おっ?」
(´<_` )「ボロい扉だから、男に突破されないとも限らないしな。
軽くタンスでバリケード作って、鍵かけて寝たんだよ」
( ^ω^)「それでも寝れるだけ神経すげぇお」
(´<_` )「バイトで疲れてたんだよ、トドメにこれだし」
599:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 21:56:50 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「夜中に男が襲ってきたかお?」
(´<_` )「そこは普通に寝過ごせた」
( ^ω^)「なーんだ、つまらんお」
(´<_` )「つまんなくねーよ。部屋さ入って鍵かけた瞬間、
ノブがすげー勢いでガチャガチャ回ったんだよ。
もし後一歩遅かったらって背中に寒気走ったわ」
( ^ω^)「ぉお」
(´<_` )「それでバリケード作って寝たんだよ」
( ^ω^)「覗き窓から男の姿くらい確認できないのかお?」
(´<_` )「外に直接繋がってるタイプのアパートじゃねーから。
新聞受けも覗き窓もねーし、チェーンもねーし無理」
( ^ω^)「ふむ」
(´<_` )「そんで普通に日ぃ昇ってー」
600:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 21:58:39 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「バリケードどかして廊下に出ようとしたら、
ドアの隙間にナイフの刃が挟まってんだよ」
( ^ω^)「わぁお」
(´<_` )「んで武器として一応傘持ってドア開けたら、
廊下に腕組んで仁王立ちの男がいたんだ」
( ^ω^)「ちょ」
(´<_` )「一夜明けての朝だぜ? まだ夢かと思ったわ。
ナイフの柄だけそいつの手の中にあったし」
( ^ω^)「無事だったのかお?」
(´<_` )「ああ」
( ^ω^)「それでどうなったんだお」
(´<_` )「普通に横通り過ごした」
( ^ω^)「何故にだお」
(´<_` )「いや兄者だったし」
_, 、_
( ^ω^)「お?」
601:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:00:07 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)φ゙ カキカキ
( ^ω^)「どういう事だお……」
(´<_` )「いつも通りの非日常的な」
( ^ω^)「死者の怨念とか、生きてる人間が一番ホラーじゃなくて、
弟を狙う悪漢を倒した兄の美しい兄弟愛的な美談かお?」
(´<_` )「んなワケないだろ。俺と兄者しか出演者いねーよ」
( ^ω^)「どういうことだってばお」
(´<_` )「うーん、ホラーっぽく語るのってムズいな。
ミスリードとかどんでん返し狙ったんだけど。
エレベーターんトコの男とかも全部兄者だよ」
( ^ω^)「その語り口調でホラーは無理があるお、んで」
(^ω^ )「兄者はいつから都市伝説側になったんだお」
( ´_ゝ`)φ「……? ごめん、全然話聞いてなかった」
(^ω^ )「ふぁっきん」
602:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:01:23 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「向こう行ってからルームシェアやめた直後」
( ´_ゝ`)「あ? ああ……お前のきったねぇ置き土産あった日な」
( ^ω^)「そっちのいざこざは置いといて、えーと、兄者は、
一晩ずっと立ったまま扉の前にいたのかお?」
( ´_ゝ`)「えーっと、何の話?」
(´<_` )「初めてナイフ取り出した夜」
( ´_ゝ`)「向こうの……うん、思い出した。あのボロ屋な。
ドア開けられなかったから、ずっと待ってたな」
( ^ω^)「丸々一晩立ったまま、かお?」
( ´_ゝ`)「こいつのフリして大家に開けるよう頼もうとはしたぜ?
でも大家寝てたんだよ。深夜だから仕方ないけどな」
( ^ω^)「それで朝まで待機かお。普通の人はそんな事できんお」
( ´_ゝ`)「ちゃんと衝撃で起きるようにドアのすぐ前で待ってたっつの」
(´<_` )「だからってさあー。ドアから一歩踏み出せば、
事故チューするような位置にいるとかマジ勘弁」
603:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:02:17 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「待つお。前提すっ飛ばしてるお。訳がわからんお。
兄者は、ずっと扉の前で待ってたんだおね?」
( ´_ゝ`)「そうだよ」
( ^ω^)「何時間くらいだお?」
( ´_ゝ`)「さあなあ……あの後、こいつに放置されてたから、
隣人っぽい人が話しかけて来るまで固まってたし」
( ^ω^)「どっちにしろ、よくそんな事できるもんだお」
(´<_` )「どうせ立ったまま寝てたのキチ次元バージョンだろ。
偉そうな奴の演説っぽいの強制的に聞かされた時も、
それやって俺にどつかれるまで固まってたからな」
( ´_ゝ`)「せめて高次元とか言えや」
( ^ω^)「立ったまま寝る奴なら僕もたまにやるけど、
兄者のは一体どうやってんだお?」
( ´_ゝ`)「寝てる訳じゃないから、俺は内藤の方がよくわかんねぇ」
( ^ω^)「そのままだお。立ったまま寝るだけだお。
寝るんじゃないなら、兄者のは何々だお」
( ´_ゝ`)「あーそういう事ね」
604:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:03:14 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「何か体にぶつかったり、衝撃来るまで意識ぶっ飛ばしてるだけだよ。
考え事とかしてて、意識が深い場所まで潜ると体が固まるだろ?
怒り湧いてくる系統は逆に動きたくなるから事の種類にも寄るけど、
ずっと考え事とかしてると、頭の中が真っ白になってくじゃん。
それやってただけだよ。だから、内藤みたく寝てる訳じゃねぇ」
( ^ω^)「判らないと言う事が分かったお」
( ´_ゝ`)「なんでだよ」
(´<_` )「あ、俺、地味に助かってたわ。あそこのボロ屋、
外開きのドアだったら兄者が起動してたんだな」
( ´_ゝ`)「起動とか言うなや」
(´<_` )「内開きでマジ助かったわー」
( ´_ゝ`)「驚いたついでに、俺にぶつかればよかったのに」
(´<_` )「目ぇガン開きで固まってればどっかイッてると思うだろうが。
いくら何でも自分から地雷原に丸腰で行ったりしねぇよ」
( ´_ゝ`)「女の地雷原にはマッパでルパンダイブする癖に」
(´<_` )「女だからな」
( ^ω^)「あー」
605:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:04:15 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「つまり何だお。いつも通りの喧嘩かお?」
(´<_` )「向こうに行ってからの刃物沙汰はあれが最初だったから、
かなりビビったけどな。尿意ないのに漏れそうになったぜ」
( ´_ゝ`)「小便漏らして社会的に死ねば良かったのに」
(´<_` )「誰が漏らすかボケ、漏れたらテメーに後始末押し付けてやんよ」
( ´_ゝ`)「お前自分で何言ってるか判ってんのか?」
( ^ω^)「あーあー、僕はそろそろ食堂で飯食うお」
( ´_ゝ`)「俺も」
(´<_` )「そこの逆三角は戻って来んな」
( ^ω^)「誰のことだお? 僕はただのピッツァだお」
(´<_` )「テメーがデブなら世の中の一般人はただの豚だ」
( ^ω^)「つまりお前は豚かお。やーい豚野郎、おっおー」
(´<_` #)「死ねこの…………うっわ何こいつムカつく、
ガチムチに対する悪口全然思いつかねぇ!」
( ^ω^)「ふふんお」
606:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:05:02 ID:iV2IjsnU0
ガラッ ピシャ
( ´_ゝ`)「仲いいんだか、悪いんだか……」
( ^ω^)「おまそれ、僕がお前らに対して思ってる事だから。
自分の発言がブーメランになってる事に気付けお」
( ´_ゝ`)「えー、どの辺がだよ」
( ^ω^)「それもブーメラン」
( ´_ゝ`)「内藤が俺らを『仲いいんだか』って思ってるとこ」
( ^ω^)「そっちかお。つーか、ボイレコ切れお」
( ´_ゝ`)「益になりそうだからこのまま録音しとく」
( ^ω^)「たまに兄者は難い言い方すんおねー」
( ´_ゝ`)「いきなり何だよ」
( ^ω^)「益とかパッと出て来ねーお」
( ´_ゝ`)「お前もサークルの奴らと変な議論してる時あったじゃん。
似たようなモンだろ。それこそ突っ込まれたくないぜ」
607:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:05:56 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「別に『軽蔑』って言葉くらい話し言葉で使うのにおー。
使う使わないであそこまでなるとは思わなかったお」
( ´_ゝ`)「ほらな」
( ^ω^)「それとこれとは話が別だお」
( ´_ゝ`)「つーか、俺はお前に話を聞こうとしてたんだけど」
( ^ω^)「ああ、なんだったっけお?」
( ´_ゝ`)「あいつとの……もういいや」
( ^ω^)「嫌いなモノが合致した時とか、突っかかって来た奴らとかには、
物理も混ぜて左右からステレオで攻め立てるじゃないかお。
あと咄嗟の行動がダブったりとか、耳掻く癖とかそういうのだお」
( ´_ゝ`)「覚えてんじゃねぇか」
( ^ω^)「おっお、あと爺さん婆さんには意外と優しいところも」
( ´_ゝ`)「そこまで人見てるとかきもい」
( ^ω^)「おめーが変なとこで無関心過ぎるってか、
そっちから聞いたんだろうがお。奢れお」
608:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:06:37 ID:iV2IjsnU0
内藤は既に席についてメニューを広げている。
どうせまた見開きの1頁を制覇する気だろう。
前もそれをやって、新人のバイトを困らせていた。
( ´_ゝ`)「水でいいなら」
( ^ω^)「そういうのじゃないお」
( ´_ゝ`)「仕方ねぇな」
内藤から離れて、自販機まで飲み物を買いに行く。
自分と、内藤の分のペットボトルを買って戻った。
( ´_ゝ`)「ほらよ」
( ^ω^)「っべー、マジべーわ。これは想像してなかったお」
( ´_ゝ`)「あっはっは」
( ^ω^)「普通にいらねぇお。弟者に渡して来るといいお」
( ´_ゝ`)「え、やだ」
( ^ω^)「どうせ嫌がらせにしかならないから渡せお」
609:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:07:52 ID:iV2IjsnU0
水でも俺の金で買ったものだと思うと、渡すのが嫌だ。
( ´_ゝ`)「なんかやだ」
( ^ω^)「本当、変なトコで嫌がるおね。100円の水くらい、いいだろがお。
前に糞たっかい花束を尿瓶に生けてったのはどこの誰だお?」
( ´_ゝ`)「あれバレてたのか」
( ^ω^)「僕も気付いてたけど、いつの間にか無くなってたお。
看護婦さん辺りが片付けたんじゃないのかお?」
( ´_ゝ`)「って事は、あいつは気付いてないのか……つまんねぇな」
( ^ω^)「もっと存在をアピールできるとこに置けばよかったのにお」
( ´_ゝ`)「んな事したら、すぐにバレてつまんねぇと思ったんだよ」
( ^ω^)「どっちにしろ気付かれなかったお」
( ´_ゝ`)「あーあ、次どうしよっかなー。何かいい案ある?」
( ^ω^)「特に無いお」
( ´_ゝ`)「病院だから危ないモンは持って来れねぇしなー」
610:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:09:44 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「兄者は飯食いに来たんじゃないのかお?
何も頼まないでダベってるだけかお」
( ´_ゝ`)「ちょっとねー」
( ^ω^)「また陰謀かお。今度は何企んでるんだお?」
( ´_ゝ`)「悪い事じゃねーよ。むしろ、いい事だよ」
( ^ω^)「兄者の善悪の基準が怪しいお」
( ´_ゝ`)「誰も怪我しないならいい事なんじゃないの?」
( ^ω^)「精神的か、物理的かで色々変わるお」
( ´_ゝ`)「そうか、難しいな……」
( ^ω^)「面倒臭い事じゃなくて、面白おかしい事なら大歓迎だお」
( ´_ゝ`)「じゃあ今すぐあいつの怪我を増やしてくれ」
( ^ω^)「殺人幇助はNG」
( ´_ゝ`)「ちぇっ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
611:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:10:58 ID:iV2IjsnU0
皿を高く積み上げつつある内藤を食堂に置いて、病室に戻った。
周りに人がいないか確かめて、ドアに耳を近付ける。
特に物音は聞こえないし、声もしない。
あの足じゃ逃げられる事はないだろうし、いいか。
ガラッ
Σ(゚<_゚ ; )「ひょっ!?」
( ´_ゝ`)「こりひょうたん島?」
(´<_`; )「何も見てないぜ俺は!」
( ´_ゝ`)「そう言うなら、膝の上に広げてる俺の日記くらい、
どっかに隠すとか、せめて閉じるかぐらいしとけよ」
(´<_` )「あーあー、あー」
( ´_ゝ`)「御感想は?」
(´<_` )「なんかもういいや」
( ´_ゝ`)「そうか」
612:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:11:42 ID:iV2IjsnU0
ベッドの傍にあった椅子に座り、腕を組んで待つ。
向こうから何のアクションも無ければこっちから切り出すが、
さて、どうやって不自然じゃないように言ったモンか。
(´<_` )「兄者さあー」
切り出す必要はなかったか。
( ´_ゝ`)「何だ」
(´<_` )「鬱田って奴と、友達じゃねがったんか?」
( ´_ゝ`)「訛んな、釣られねーぞ」
(´<_` )「ふざけでもしねぇと衝撃紛らわせねぇよ」
( ´_ゝ`)「それにお前のこと書いてないのに何でショック受けるんだ」
(´<_` )「お前の価値観」
( ´_ゝ`)「人それぞれだろ、そんなん」
(´<_` )「人それぞれに認められるのは犯罪に掠ってねーのだけだろ。
これどうやったってアウトじゃねーか。真っ黒もいいトコだよ」
613:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:12:32 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「お前には関係ないだろ? ……いや、関係あるのか。
盾が減りますねぇ、残念でした。どうする弟者君」
(´<_`; )「盾にしたら俺に殺人罪擦り付ける気なんだろうが。
こんなん読んだ後でそんな事やろうとは思わねーよ」
( ´_ゝ`)「そうかそうか」
よしよし、これはこれで成功。
日記見て止まるんなら、それでよし。
止まらないんなら、往けるとこまで行くだけだ。
実際、こいつが殺人罪やら何かの罪で捕まっても、
後から皺寄せが来るのって結局こっちだしなあ。
色々と擦り付ける罪と状況のパターンは考えたけれども、
その後の世間体のシミュレートがマイナスにしか行かない。
双子ってのは、どこまでいってもデメリットしかないな。
それに、塀の中にぶち込んでも、日本だとすぐに出て来る。
やっぱり、俺がこいつを遠い場所に送るしかないよなあ。
山の奥でも、海の底でも、床の下でも、腹の中でも、
例え近くても、見つからない場所なら何処でもいい。
614:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:14:06 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「お前にこんな殺人計画建てられてるって知ったら……
鬱田はどう思うんだろなあ。メンタルかなり弱そうだしー。
お前が友達だと思ってても、向こうからやめられんじゃね?」
( ´_ゝ`)「それならそれでいい」
(´<_` )「友達だと思ってないのか?」
( ´_ゝ`)「思ってるよ?」
(´<_` )「お前は友人の殺人計画、こんなに細かく立てるのかよ」
( ´_ゝ`)「それがどうしたんだよ。備えあって憂いなしだろ」
(´<_` )「はー……意味分かんねぇ」
( ´_ゝ`)「俺もお前の事なんざ分からんわ」
(´<_` )「どうせサイコ野郎の考えなんかわかんねーよな。
あーあ、宇宙人に聞こうとした俺がバカだったわ」
( ´_ゝ`)「言っておくけど、お前の窃盗癖と節操無さも、
一般から見ればキチガイと同じなんだからな」
(´<_` )「わーってるよンな事」
615:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:15:56 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「そういや、兄者は何でここ来たんだ?」
( ´_ゝ`)「宗教の勧誘から逃げるのと、節電の為に、
ここに泊まれって言われたから一泊だけ」
(´<_` )「フーン」
( ´_ゝ`)「んで母さんがお前に携帯渡せってさ」
(´<_` )「おっ、サンキュ」
( ´_ゝ`)「女とどうにかなったら、今度こそ引き千切るってよ」
(´<_`; )「な、何をだよ……あ、いや、言わないでくれ」
( ´_ゝ`)「なんで自分自身の性欲すら我慢できない動物が、
人間として生活してんのか不思議だわ。猿だろ」
(´<_` )「猿に失礼だ」
( ´_ゝ`)「じゃあダニ」
(´<_` )「生物としてのランクダウンどころじゃねーぞ、それ」
( ´_ゝ`)「どうでもいいわ。さっさと便器とどうにかなって、
ダニまみれのくせぇタコ部屋に押し込まれちまえ」
616:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:19:33 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「嫌ですー。入りませーん」
( ´_ゝ`)「あと『見舞いに来たすごく具合の悪そうな奴』を教えろ」
(´<_` )「スルーかよ。俺あいつの名前知らないんだけど」
( ´_ゝ`)「外見でいいから教えろっつってんだよ」
(´<_` )「なんか赤いのだよ。軽く兄者と同じ感じがしたな。
ヤク中みたいだったぜ。目の焦点もあってねーし」
( ´_ゝ`)「分かったわ。あいつね。何か言ってた?」
(´<_` )「なんでヤク中でヒットするんだよおかしいだろ……
『俺は真実の愛を見つけた』とか軽くラリってた。
待ってるとか言ってたけど、場所は言ってないな」
( ´_ゝ`)「……マンドクセ」
(´<_` )「何でそんなのと友達やってんだ」
( ´_ゝ`)「友達ってそういうのじゃねぇの?」
(´<_` )「どういうのだよ」
617:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:22:39 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「たまに殴りたくなっても、寒気がしても、
なんだかんだで一緒に居る、みたいな」
(´<_` )「そりゃ腐れ縁ってやつだろ」
( ´_ゝ`)「ああ、そっちか」
(´<_` )「腐れ縁でも、相手をぶっ殺そうなんて考えないけどな」
( ´_ゝ`)「友達と肉壁にしたり、車パクって置いて逃げたり、
囮にしたりするお前だけには言われたくねぇなあ」
(´<_` )「実行してないだけのお前に言われたくねぇよ」
( ´_ゝ`)「うっせぇ」
冷静な俺の一部が、どっちもどっちだと囁いている。
鬱陶しかったので自分の側頭部を殴ったら、
目を見開いたあいつがこっちを見ていた。
いいねぇ、好きだよそういう顔は。
29.糸冬
29.普通の人はそんな事やらないですから
( ´_ゝ`)「そんな訳で来た」
(´<_` )「どんな訳だ」
( ^ω^)「お邪魔してるお」
(´<_` )「この筋肉ヒーター追い出してくれ」
( ´_ゝ`)「最近よく来るな」
( ^ω^)「部屋の暖房が勿体無くて」
(´<_` )「その体で寒いわけねーだろ」
( ^ω^)「寒いお。凍えちゃうんだお~」
(´<_` )「キモい上に暑苦しいとかウザさの極みだわ」
( ^ω^)「じゃあ何か冬にちなんで怖い話でもするお」
(´<_` )「この調子なんだよ何とかしてくれ」
( ´_ゝ`)「退屈しなくていいでちゅねー弟者くーん」
590:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:01:56 ID:Tq2KJ/Rc0
( ^ω^)「キッモ」
(´<_` )「うわムカつく」
( ´_ゝ`)「何だこの扱い」
( ^ω^)「ほらさっさと弟者が怖い話の先鋒やるお」
(´<_` )「あるわけねーだろ死ねボケ」
( ^ω^)「あるだろうがお。特に弟者の経験だったら」
(´<_` )「ねーってばよ」
( ^ω^)「『幽霊よりも生身の人間のほうがとても怖い』
って体験の一つ二つあるだろ、ほらコレとかお」
内藤に指を差された。
何だこの扱い。
591:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:03:48 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「……あ、昔のやつ、一個思い出した」
( ´_ゝ`)「へー、あるのか」
( ^ω^)「ほほう、話すお」
俺も少し気になるので、ボイレコのスイッチを入れ、
何故か鞄に投入されていた日記と筆記用具も用意する。
何でこれがここにあるんだろう。
用意ってこれも用意したのか我が母よ。
中身は読まれたのかな?
まさか入院って中身読んでヤバいと思われたから?
まあ、いい。今は考えるのをやめておこう。
先に、日記に我が母との会話を忘れない内に記録しておく。
592:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:05:31 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「向こうに行って、兄者とルームシェアしなくなって、
新しいアパートに引っ越し終わった時だったな」
( ^ω^)「ふんふん」
(´<_` )「貧乏学生が入るみたいな、ボロ臭いとこだったんだよ。
俺は3階の角部屋取ったんだけど、すげー湿気だった」
( ^ω^)「ふん」
(´<_` )「ボロくても、一応エレベーターはついてたんだよね。
けど扉のガラスとかガッタガタ、ボタンは取れ欠け。
でも階段は面倒くせーし、エレベーター使ってたワケ」
( ^ω^)「ふんむ」
(´<_` )「バイト終わって女もいない夜だったんだよねー。
いつも通りそのボッロいエレベーター使ったらさ、
ガラスの向こうにナイフ持った人がいたんだよ」
( ^ω^)「女かお?」
(´<_` )「いや男」
( ^ω^)「おおう」
593:名も無きAAのようです:2013/03/08(金) 03:06:53 ID:Tq2KJ/Rc0
(´<_` )「そのヤバい奴とバッチリ目が会っちゃってさあ……
上がり始めた時だったから、乗り込まれはしなかったけど」
( ^ω^)「けど?」
(´<_` )「エレベーター越しでも届くくらいデカい声で笑いながら、
隣の非常階段を駆け上がってく姿がこっちから見えた」
( ;^ω^)「普通に怖ぇお」
(´<_` )「エレベーターのほうが早かったから、
そいつより先に部屋には入れたんだ」
( ^ω^)「刺されればよかったのにお」
(´<_` )「んなこと言うなよ、まだ続きあんだぜ」
( ^ω^)「おっ?」
(´<_` )「ボロい扉だから、男に突破されないとも限らないしな。
軽くタンスでバリケード作って、鍵かけて寝たんだよ」
( ^ω^)「それでも寝れるだけ神経すげぇお」
(´<_` )「バイトで疲れてたんだよ、トドメにこれだし」
599:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 21:56:50 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「夜中に男が襲ってきたかお?」
(´<_` )「そこは普通に寝過ごせた」
( ^ω^)「なーんだ、つまらんお」
(´<_` )「つまんなくねーよ。部屋さ入って鍵かけた瞬間、
ノブがすげー勢いでガチャガチャ回ったんだよ。
もし後一歩遅かったらって背中に寒気走ったわ」
( ^ω^)「ぉお」
(´<_` )「それでバリケード作って寝たんだよ」
( ^ω^)「覗き窓から男の姿くらい確認できないのかお?」
(´<_` )「外に直接繋がってるタイプのアパートじゃねーから。
新聞受けも覗き窓もねーし、チェーンもねーし無理」
( ^ω^)「ふむ」
(´<_` )「そんで普通に日ぃ昇ってー」
600:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 21:58:39 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「バリケードどかして廊下に出ようとしたら、
ドアの隙間にナイフの刃が挟まってんだよ」
( ^ω^)「わぁお」
(´<_` )「んで武器として一応傘持ってドア開けたら、
廊下に腕組んで仁王立ちの男がいたんだ」
( ^ω^)「ちょ」
(´<_` )「一夜明けての朝だぜ? まだ夢かと思ったわ。
ナイフの柄だけそいつの手の中にあったし」
( ^ω^)「無事だったのかお?」
(´<_` )「ああ」
( ^ω^)「それでどうなったんだお」
(´<_` )「普通に横通り過ごした」
( ^ω^)「何故にだお」
(´<_` )「いや兄者だったし」
_, 、_
( ^ω^)「お?」
601:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:00:07 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)φ゙ カキカキ
( ^ω^)「どういう事だお……」
(´<_` )「いつも通りの非日常的な」
( ^ω^)「死者の怨念とか、生きてる人間が一番ホラーじゃなくて、
弟を狙う悪漢を倒した兄の美しい兄弟愛的な美談かお?」
(´<_` )「んなワケないだろ。俺と兄者しか出演者いねーよ」
( ^ω^)「どういうことだってばお」
(´<_` )「うーん、ホラーっぽく語るのってムズいな。
ミスリードとかどんでん返し狙ったんだけど。
エレベーターんトコの男とかも全部兄者だよ」
( ^ω^)「その語り口調でホラーは無理があるお、んで」
(^ω^ )「兄者はいつから都市伝説側になったんだお」
( ´_ゝ`)φ「……? ごめん、全然話聞いてなかった」
(^ω^ )「ふぁっきん」
602:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:01:23 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「向こう行ってからルームシェアやめた直後」
( ´_ゝ`)「あ? ああ……お前のきったねぇ置き土産あった日な」
( ^ω^)「そっちのいざこざは置いといて、えーと、兄者は、
一晩ずっと立ったまま扉の前にいたのかお?」
( ´_ゝ`)「えーっと、何の話?」
(´<_` )「初めてナイフ取り出した夜」
( ´_ゝ`)「向こうの……うん、思い出した。あのボロ屋な。
ドア開けられなかったから、ずっと待ってたな」
( ^ω^)「丸々一晩立ったまま、かお?」
( ´_ゝ`)「こいつのフリして大家に開けるよう頼もうとはしたぜ?
でも大家寝てたんだよ。深夜だから仕方ないけどな」
( ^ω^)「それで朝まで待機かお。普通の人はそんな事できんお」
( ´_ゝ`)「ちゃんと衝撃で起きるようにドアのすぐ前で待ってたっつの」
(´<_` )「だからってさあー。ドアから一歩踏み出せば、
事故チューするような位置にいるとかマジ勘弁」
603:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:02:17 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「待つお。前提すっ飛ばしてるお。訳がわからんお。
兄者は、ずっと扉の前で待ってたんだおね?」
( ´_ゝ`)「そうだよ」
( ^ω^)「何時間くらいだお?」
( ´_ゝ`)「さあなあ……あの後、こいつに放置されてたから、
隣人っぽい人が話しかけて来るまで固まってたし」
( ^ω^)「どっちにしろ、よくそんな事できるもんだお」
(´<_` )「どうせ立ったまま寝てたのキチ次元バージョンだろ。
偉そうな奴の演説っぽいの強制的に聞かされた時も、
それやって俺にどつかれるまで固まってたからな」
( ´_ゝ`)「せめて高次元とか言えや」
( ^ω^)「立ったまま寝る奴なら僕もたまにやるけど、
兄者のは一体どうやってんだお?」
( ´_ゝ`)「寝てる訳じゃないから、俺は内藤の方がよくわかんねぇ」
( ^ω^)「そのままだお。立ったまま寝るだけだお。
寝るんじゃないなら、兄者のは何々だお」
( ´_ゝ`)「あーそういう事ね」
604:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:03:14 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「何か体にぶつかったり、衝撃来るまで意識ぶっ飛ばしてるだけだよ。
考え事とかしてて、意識が深い場所まで潜ると体が固まるだろ?
怒り湧いてくる系統は逆に動きたくなるから事の種類にも寄るけど、
ずっと考え事とかしてると、頭の中が真っ白になってくじゃん。
それやってただけだよ。だから、内藤みたく寝てる訳じゃねぇ」
( ^ω^)「判らないと言う事が分かったお」
( ´_ゝ`)「なんでだよ」
(´<_` )「あ、俺、地味に助かってたわ。あそこのボロ屋、
外開きのドアだったら兄者が起動してたんだな」
( ´_ゝ`)「起動とか言うなや」
(´<_` )「内開きでマジ助かったわー」
( ´_ゝ`)「驚いたついでに、俺にぶつかればよかったのに」
(´<_` )「目ぇガン開きで固まってればどっかイッてると思うだろうが。
いくら何でも自分から地雷原に丸腰で行ったりしねぇよ」
( ´_ゝ`)「女の地雷原にはマッパでルパンダイブする癖に」
(´<_` )「女だからな」
( ^ω^)「あー」
605:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:04:15 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「つまり何だお。いつも通りの喧嘩かお?」
(´<_` )「向こうに行ってからの刃物沙汰はあれが最初だったから、
かなりビビったけどな。尿意ないのに漏れそうになったぜ」
( ´_ゝ`)「小便漏らして社会的に死ねば良かったのに」
(´<_` )「誰が漏らすかボケ、漏れたらテメーに後始末押し付けてやんよ」
( ´_ゝ`)「お前自分で何言ってるか判ってんのか?」
( ^ω^)「あーあー、僕はそろそろ食堂で飯食うお」
( ´_ゝ`)「俺も」
(´<_` )「そこの逆三角は戻って来んな」
( ^ω^)「誰のことだお? 僕はただのピッツァだお」
(´<_` )「テメーがデブなら世の中の一般人はただの豚だ」
( ^ω^)「つまりお前は豚かお。やーい豚野郎、おっおー」
(´<_` #)「死ねこの…………うっわ何こいつムカつく、
ガチムチに対する悪口全然思いつかねぇ!」
( ^ω^)「ふふんお」
606:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:05:02 ID:iV2IjsnU0
ガラッ ピシャ
( ´_ゝ`)「仲いいんだか、悪いんだか……」
( ^ω^)「おまそれ、僕がお前らに対して思ってる事だから。
自分の発言がブーメランになってる事に気付けお」
( ´_ゝ`)「えー、どの辺がだよ」
( ^ω^)「それもブーメラン」
( ´_ゝ`)「内藤が俺らを『仲いいんだか』って思ってるとこ」
( ^ω^)「そっちかお。つーか、ボイレコ切れお」
( ´_ゝ`)「益になりそうだからこのまま録音しとく」
( ^ω^)「たまに兄者は難い言い方すんおねー」
( ´_ゝ`)「いきなり何だよ」
( ^ω^)「益とかパッと出て来ねーお」
( ´_ゝ`)「お前もサークルの奴らと変な議論してる時あったじゃん。
似たようなモンだろ。それこそ突っ込まれたくないぜ」
607:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:05:56 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「別に『軽蔑』って言葉くらい話し言葉で使うのにおー。
使う使わないであそこまでなるとは思わなかったお」
( ´_ゝ`)「ほらな」
( ^ω^)「それとこれとは話が別だお」
( ´_ゝ`)「つーか、俺はお前に話を聞こうとしてたんだけど」
( ^ω^)「ああ、なんだったっけお?」
( ´_ゝ`)「あいつとの……もういいや」
( ^ω^)「嫌いなモノが合致した時とか、突っかかって来た奴らとかには、
物理も混ぜて左右からステレオで攻め立てるじゃないかお。
あと咄嗟の行動がダブったりとか、耳掻く癖とかそういうのだお」
( ´_ゝ`)「覚えてんじゃねぇか」
( ^ω^)「おっお、あと爺さん婆さんには意外と優しいところも」
( ´_ゝ`)「そこまで人見てるとかきもい」
( ^ω^)「おめーが変なとこで無関心過ぎるってか、
そっちから聞いたんだろうがお。奢れお」
608:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:06:37 ID:iV2IjsnU0
内藤は既に席についてメニューを広げている。
どうせまた見開きの1頁を制覇する気だろう。
前もそれをやって、新人のバイトを困らせていた。
( ´_ゝ`)「水でいいなら」
( ^ω^)「そういうのじゃないお」
( ´_ゝ`)「仕方ねぇな」
内藤から離れて、自販機まで飲み物を買いに行く。
自分と、内藤の分のペットボトルを買って戻った。
( ´_ゝ`)「ほらよ」
( ^ω^)「っべー、マジべーわ。これは想像してなかったお」
( ´_ゝ`)「あっはっは」
( ^ω^)「普通にいらねぇお。弟者に渡して来るといいお」
( ´_ゝ`)「え、やだ」
( ^ω^)「どうせ嫌がらせにしかならないから渡せお」
609:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:07:52 ID:iV2IjsnU0
水でも俺の金で買ったものだと思うと、渡すのが嫌だ。
( ´_ゝ`)「なんかやだ」
( ^ω^)「本当、変なトコで嫌がるおね。100円の水くらい、いいだろがお。
前に糞たっかい花束を尿瓶に生けてったのはどこの誰だお?」
( ´_ゝ`)「あれバレてたのか」
( ^ω^)「僕も気付いてたけど、いつの間にか無くなってたお。
看護婦さん辺りが片付けたんじゃないのかお?」
( ´_ゝ`)「って事は、あいつは気付いてないのか……つまんねぇな」
( ^ω^)「もっと存在をアピールできるとこに置けばよかったのにお」
( ´_ゝ`)「んな事したら、すぐにバレてつまんねぇと思ったんだよ」
( ^ω^)「どっちにしろ気付かれなかったお」
( ´_ゝ`)「あーあ、次どうしよっかなー。何かいい案ある?」
( ^ω^)「特に無いお」
( ´_ゝ`)「病院だから危ないモンは持って来れねぇしなー」
610:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:09:44 ID:iV2IjsnU0
( ^ω^)「兄者は飯食いに来たんじゃないのかお?
何も頼まないでダベってるだけかお」
( ´_ゝ`)「ちょっとねー」
( ^ω^)「また陰謀かお。今度は何企んでるんだお?」
( ´_ゝ`)「悪い事じゃねーよ。むしろ、いい事だよ」
( ^ω^)「兄者の善悪の基準が怪しいお」
( ´_ゝ`)「誰も怪我しないならいい事なんじゃないの?」
( ^ω^)「精神的か、物理的かで色々変わるお」
( ´_ゝ`)「そうか、難しいな……」
( ^ω^)「面倒臭い事じゃなくて、面白おかしい事なら大歓迎だお」
( ´_ゝ`)「じゃあ今すぐあいつの怪我を増やしてくれ」
( ^ω^)「殺人幇助はNG」
( ´_ゝ`)「ちぇっ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
611:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:10:58 ID:iV2IjsnU0
皿を高く積み上げつつある内藤を食堂に置いて、病室に戻った。
周りに人がいないか確かめて、ドアに耳を近付ける。
特に物音は聞こえないし、声もしない。
あの足じゃ逃げられる事はないだろうし、いいか。
ガラッ
Σ(゚<_゚ ; )「ひょっ!?」
( ´_ゝ`)「こりひょうたん島?」
(´<_`; )「何も見てないぜ俺は!」
( ´_ゝ`)「そう言うなら、膝の上に広げてる俺の日記くらい、
どっかに隠すとか、せめて閉じるかぐらいしとけよ」
(´<_` )「あーあー、あー」
( ´_ゝ`)「御感想は?」
(´<_` )「なんかもういいや」
( ´_ゝ`)「そうか」
612:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:11:42 ID:iV2IjsnU0
ベッドの傍にあった椅子に座り、腕を組んで待つ。
向こうから何のアクションも無ければこっちから切り出すが、
さて、どうやって不自然じゃないように言ったモンか。
(´<_` )「兄者さあー」
切り出す必要はなかったか。
( ´_ゝ`)「何だ」
(´<_` )「鬱田って奴と、友達じゃねがったんか?」
( ´_ゝ`)「訛んな、釣られねーぞ」
(´<_` )「ふざけでもしねぇと衝撃紛らわせねぇよ」
( ´_ゝ`)「それにお前のこと書いてないのに何でショック受けるんだ」
(´<_` )「お前の価値観」
( ´_ゝ`)「人それぞれだろ、そんなん」
(´<_` )「人それぞれに認められるのは犯罪に掠ってねーのだけだろ。
これどうやったってアウトじゃねーか。真っ黒もいいトコだよ」
613:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:12:32 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「お前には関係ないだろ? ……いや、関係あるのか。
盾が減りますねぇ、残念でした。どうする弟者君」
(´<_`; )「盾にしたら俺に殺人罪擦り付ける気なんだろうが。
こんなん読んだ後でそんな事やろうとは思わねーよ」
( ´_ゝ`)「そうかそうか」
よしよし、これはこれで成功。
日記見て止まるんなら、それでよし。
止まらないんなら、往けるとこまで行くだけだ。
実際、こいつが殺人罪やら何かの罪で捕まっても、
後から皺寄せが来るのって結局こっちだしなあ。
色々と擦り付ける罪と状況のパターンは考えたけれども、
その後の世間体のシミュレートがマイナスにしか行かない。
双子ってのは、どこまでいってもデメリットしかないな。
それに、塀の中にぶち込んでも、日本だとすぐに出て来る。
やっぱり、俺がこいつを遠い場所に送るしかないよなあ。
山の奥でも、海の底でも、床の下でも、腹の中でも、
例え近くても、見つからない場所なら何処でもいい。
614:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:14:06 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「お前にこんな殺人計画建てられてるって知ったら……
鬱田はどう思うんだろなあ。メンタルかなり弱そうだしー。
お前が友達だと思ってても、向こうからやめられんじゃね?」
( ´_ゝ`)「それならそれでいい」
(´<_` )「友達だと思ってないのか?」
( ´_ゝ`)「思ってるよ?」
(´<_` )「お前は友人の殺人計画、こんなに細かく立てるのかよ」
( ´_ゝ`)「それがどうしたんだよ。備えあって憂いなしだろ」
(´<_` )「はー……意味分かんねぇ」
( ´_ゝ`)「俺もお前の事なんざ分からんわ」
(´<_` )「どうせサイコ野郎の考えなんかわかんねーよな。
あーあ、宇宙人に聞こうとした俺がバカだったわ」
( ´_ゝ`)「言っておくけど、お前の窃盗癖と節操無さも、
一般から見ればキチガイと同じなんだからな」
(´<_` )「わーってるよンな事」
615:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:15:56 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「そういや、兄者は何でここ来たんだ?」
( ´_ゝ`)「宗教の勧誘から逃げるのと、節電の為に、
ここに泊まれって言われたから一泊だけ」
(´<_` )「フーン」
( ´_ゝ`)「んで母さんがお前に携帯渡せってさ」
(´<_` )「おっ、サンキュ」
( ´_ゝ`)「女とどうにかなったら、今度こそ引き千切るってよ」
(´<_`; )「な、何をだよ……あ、いや、言わないでくれ」
( ´_ゝ`)「なんで自分自身の性欲すら我慢できない動物が、
人間として生活してんのか不思議だわ。猿だろ」
(´<_` )「猿に失礼だ」
( ´_ゝ`)「じゃあダニ」
(´<_` )「生物としてのランクダウンどころじゃねーぞ、それ」
( ´_ゝ`)「どうでもいいわ。さっさと便器とどうにかなって、
ダニまみれのくせぇタコ部屋に押し込まれちまえ」
616:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:19:33 ID:iV2IjsnU0
(´<_` )「嫌ですー。入りませーん」
( ´_ゝ`)「あと『見舞いに来たすごく具合の悪そうな奴』を教えろ」
(´<_` )「スルーかよ。俺あいつの名前知らないんだけど」
( ´_ゝ`)「外見でいいから教えろっつってんだよ」
(´<_` )「なんか赤いのだよ。軽く兄者と同じ感じがしたな。
ヤク中みたいだったぜ。目の焦点もあってねーし」
( ´_ゝ`)「分かったわ。あいつね。何か言ってた?」
(´<_` )「なんでヤク中でヒットするんだよおかしいだろ……
『俺は真実の愛を見つけた』とか軽くラリってた。
待ってるとか言ってたけど、場所は言ってないな」
( ´_ゝ`)「……マンドクセ」
(´<_` )「何でそんなのと友達やってんだ」
( ´_ゝ`)「友達ってそういうのじゃねぇの?」
(´<_` )「どういうのだよ」
617:名も無きAAのようです:2013/03/11(月) 22:22:39 ID:iV2IjsnU0
( ´_ゝ`)「たまに殴りたくなっても、寒気がしても、
なんだかんだで一緒に居る、みたいな」
(´<_` )「そりゃ腐れ縁ってやつだろ」
( ´_ゝ`)「ああ、そっちか」
(´<_` )「腐れ縁でも、相手をぶっ殺そうなんて考えないけどな」
( ´_ゝ`)「友達と肉壁にしたり、車パクって置いて逃げたり、
囮にしたりするお前だけには言われたくねぇなあ」
(´<_` )「実行してないだけのお前に言われたくねぇよ」
( ´_ゝ`)「うっせぇ」
冷静な俺の一部が、どっちもどっちだと囁いている。
鬱陶しかったので自分の側頭部を殴ったら、
目を見開いたあいつがこっちを見ていた。
いいねぇ、好きだよそういう顔は。
29.糸冬
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